●笑顔で被害者の殺害を強いられる絶望
とある森の中。
4人の人影が無数の攻性植物を相手取って戦っている。
彼らは笑顔を浮かべ、攻性植物にペイントブキを振るって撃破していく。
だが、攻性植物が倒れると同時に、同化した一般人の命も潰えてしまう。
「う、うぅ……」
「あっ、ああああっ!」
苦しみながら死んでいく人々。それでも、4人のゴッドペインター達は、笑顔で攻性植物を倒していく。
「笑顔を絶やすな、楽しい事だけを考えろ、被害者の事などかまうな」
「いくら、ゴッドペインターの力に楽しむ心が大事だからって……」
1人はやや躊躇していたが、それでも、ゴッドペインターの力を失うと自分が死んでしまいかねない。無理にでも笑顔を浮かべて彼らは戦う。
「こんな時に、彼らがいてくれたなら……」
「デウスエクスに対抗できる存在? そんなまさか」
「あれ、そんなのいるはずないのに。ははは」
「そうだ、笑顔を絶やすなよ」
彼らはできるだけ楽しい事を考えるよう努め、群がる攻性植物を一般人ごと撃破するしかないのだった。
ヘリポートに集まるケルベロス達。
「皆、来てくれてありがとう」
彼らを、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が出迎える。
挨拶もそこそこに、リーゼリットは今回の依頼について説明を始めた。
「寓話六塔戦争……この勝利は喜ばしいことだね」
この戦いにおいて、捕らわれていた失伝ジョブの人達を助け出すことができた上、救出できなかった失伝ジョブの人達についても情報を得ることができた。
「得られた情報を元にボク達も予知をしてみたのだけれど、失伝ジョブの人達が特殊なワイルドスペースに閉じ込められていることが分かったんだ」
『ポンペリポッサ』が用意したその空間で、彼らは大侵略期の残霊によって引き起こされる悲劇を繰り返させられている。
これは、失伝ジョブの人々を絶望に染めて、反逆ケルベロスとする為の作戦だったのだろう。
「でも、寓話六塔戦争に勝利したからこそ、彼らが反逆ケルベロスとなる前に救出できるようになったんだ」
この特殊なワイルドスペースに乗り込み、繰り返される悲劇を消し去って、閉じ込められた人々の救出を願いたい。
まず、この依頼に付いて注意したいのは、『特殊なワイルドスペースが失伝ジョブ以外の人々の出入りが不可能』ということだ。
「だから、この作戦は失伝ジョブを持つケルベロスだけでお願いしたいんだ」
依頼としては、特殊なワイルドスペース内に捕らわれたゴッドペインター4人の救出を願いたい。
ワイルドスペース内において、自分が大侵略期に生きた失伝ジョブのキャラクターであると『誤認』させられた4人は、一般人を捕らえた攻性植物を延々と倒し続けるハメになっている。しかも、笑顔で、だ。
「ゴッドペインターというジョブは、楽しむ心というのがとても大事なんだよ」
いつまでも、無抵抗の一般人を笑いながら手にかけねばならぬ状況。彼らは絶望的な抵抗を続けてはいるが、徐々に心が折れ始めている。
ケルベロスが森に入ると森の攻性植物が集まり、数十人の人間が取り込まれた一体の強大な攻性植物となる。この攻性植物は、光花、蔓触手、埋葬といった3種の形態を使いこなす。
「この攻性植物の残霊にヒールしながら撃破して、取り込まれた多くの一般人の残霊を助け出すことができれば、彼らを絶望の淵から救い出せるはずだよ」
敵は残霊ということもあり、実際のデウスエクスより弱体化している。この為、失伝ジョブのケルベロスでも対処できるはずだ。
「あと……、戦闘くらいの時間ならば問題ないけれど、攻性植物を倒したら早めに外に出てほしいかな」
特殊なワイルドスペースには、失伝ジョブのキャラクターに対して『自分が大侵略期に生きている』と誤認させる効果がある。
そのまま留まり続けると救出対象の人々と同様の影響が出てしまう為、速やかに撤退すべきだろう。
最後に、リーゼリットはこう締めくくる。
「数え切れない悲劇を目にしてきた失伝ジョブの人々……。彼らのことを思えば、早く助け出してあげたいね」
まだ、戦い慣れしていない面々だけで望む戦いとなるが、どうかこの依頼を成功させてほしいと、彼女は失伝ジョブのメンバー達へと告げたのだった。
参加者 | |
---|---|
レオ・テーニセン(田舎っぺライオンハート・e44170) |
五十嵐・紫音(レプリカントの零式忍者・e44213) |
落椿・絵空(えそらごと・e44467) |
ナンシー・クニカワ(ヴァルキュリアのゴッドペインター・e44615) |
萌葱・紫苑(魔導騎士・e44769) |
カタリナ・アウローラ(ヴァルキュリアのパラディオン・e44855) |
日色・勇翔(大冒険の予感・e44857) |
アイリーン・アッシュフィールド(祈りの彼方・e44925) |
●絶望の淵から救い出す為に
ポンペリポッサが用意したワイルドスペース。
その中にある森を、8人のケルベロス……失伝ジョブのメンバー達が進む。
「一般人ごと攻性植物を倒す事を繰り返させるとは、なんて惨いことを……」
ここでは、終わる事のない悲劇が繰り返されている。
長髪ウェーブヘアのカタリナ・アウローラ(ヴァルキュリアのパラディオン・e44855)はその事実に清楚な顔を僅かにしかめた。
「ふふーふ、重要な初任務、頑張らないとねぇ」
現状を把握しようと、落椿・絵空(えそらごと・e44467)は周囲を見回す。
おっとりした様子の絵空はゆるりと意気込みを見せるが、モノトーンに服装が統一された五十嵐・紫音(レプリカントの零式忍者・e44213)は初戦闘で緊張を見せていたようだ。
「絶望している失伝の継承者達の希望になれるよう、頑張らないとね」
コギトエルゴスム化を経験したヴァルキュリアもいるが、この場ではどうやら紫音が最年長のようだ。紫色の布で口元を隠す彼女は仲間に告げるようにして、決意を固める。
「助けてあげたいって、心からそう思ったから……。私も笑顔で、頑張るね」
大きな目をぱちくりさせた、アイリーン・アッシュフィールド(祈りの彼方・e44925)。内心では少なからず恐怖はあったようだが、彼女は前向きな態度で仲間達に告げた。
「拙者的に笑顔とは心からの笑顔なら、見た人も笑顔になるのが本当の笑顔で、己を保つ為、敵を倒す為の笑顔は誤魔化しで本当の笑顔ではござらん!」
そこで、サムライ魂を内に秘めた少女、ナンシー・クニカワ(ヴァルキュリアのゴッドペインター・e44615)が叫ぶ。
「故に、敵を癒し倒すだけではなく、4人のゴッドペインターの心も癒せる事をしたいでござるな!」
これから救出する4人と自分達とで描く大合作だと、ナンシーは豪語する。
「超大作の予感でござる!」
それを聞き、メンバー達は表情を和ませて。
「ゴッドペインターの方々を繰り返される悲劇から救い出しましょう」
頷き合うメンバー達の前に見えてきたのは……。
「そうだ、笑顔を絶やすな!」
攻性植物と……人に寄生したデウスエクスの残霊と戦い続ける4人のゴッドペインター達の姿だった。
「おらはおらの描く絵で、この力でみんなを笑顔にしたいんだべ」
くせっ毛のドワーフの少年、レオ・テーニセン(田舎っぺライオンハート・e44170)が本音を語る。相手が残霊であれど、そんなものは関係ない。
「最後はみんなが心の底から笑い合える……。そんな未来を目指すんだべ!」
続くウェアライダーの少年、日色・勇翔(大冒険の予感・e44857)も叫ぶ。例え、捕らわれの人々が残霊であっても、助けてみせると。
「絶望の物語なんて、オレが塗り替えてやるぜ!」
そうして、若いケルベロス達は残霊と戦うゴッドペインター達の救出に乗り出す。
「助っ人参上、的な? ここからは私達に任せてくださいな」
「もう大丈夫だ。私達はケルベロス、君達を助けに来た」
絵空に続き、凛々しい態度の萌葱・紫苑(魔導騎士・e44769)がこの場のゴッドペインター達へと告げ、戦いを引き継ごうと動く。
「君達は……?」
「助けに来たぜ! ここはオレたちケルベロスに任せてくれ! 攻性植物に取り込まれた人達も助けてみせる!」
勇翔に続き、レオもまたくせっ毛を揺らしながら胸を張る。
「絶望を打ち払って希望の笑顔を振りまくのが、おら達ゴッドペインターの――ケルベロスの仕事だべ!」
だからもう、苦しんだり悲しんだりする必要なんてない。その言葉に、ゴッドペインター達は本心からの笑顔を浮かべる。
「ありがとう、助かる……!」
心身共に限界が近い4人。レオはひとまず休ませるべきかと考え、彼らが下がるのを横目で見ていた。
「私も絶望してた。でも、奇蹟ってあるんだよ」
アイリーンもまた、彼らに救出に来たことを伝えて。
「私たちに、任せて。大丈夫、心から笑える場所へ行こう!」
すると、この場にいた攻性植物の残霊がこぞって集まり始めた。
合体する攻性植物。そいつは、人々の残霊を取り込み、一つの巨大な攻性植物へと変貌していく。
「同胞たちを返してもらうぞ?」
紫苑が攻性植物に向けて啖呵を切ると、相手はそうはさせじと枝葉や根を大きく広げてくる。
「さあ、こんな悪い夢はもうおしまいにするべ!」
「聖王女様、私達に彼らを救う力をお与えください」
愛用のペイントブキに、手をかけようとするレオ。カタリナも身構え、攻性植物の対処に乗り出す。
「さぁさ、悲劇を見事喜劇に塗り替えたら拍手喝采。我らケルベロス――絶望を希望に変える者也!」
この絶望より、ゴッドペインターたちを救い出す為に。ナンシーは名乗りを上げて仲間達と共に駆け出すのだった。
●この場の人々に安らぎを
多数の人々を取り込み、大樹となった攻性植物。
もはや元となった植物が何だったか分からぬほどに、異形と成り果ててしまっている。
そして、幹や枝葉の部分には、苦しむ人々が。ケルベロス達はそれに顔をしかめてしまう。
攻性植物が攻撃準備をしている間に、一行は対策に乗り出す。
「心霊よ、肉体を模り傷を塞げ!」
カタリナは前衛の仲間が攻性植物の攻撃に耐えられるよう、エクトプラズムによって擬似肉体を作り出す。
さらに、レオもまた、攻性植物の攻撃に備えて地面に自身の名でもある獅子座を描く。万全に近い耐性がつくよう、彼はしばらく星座を描き続けるつもりのようだ。
そこに伸びてきた攻性植物の根が地面と融合し、大地を侵食していく。
さらに大地だけではなく、前線メンバーをも飲み込もうとする攻性植物へ、ナンシーが仕掛ける。まずは高く跳躍し、彼女は流星の蹴りを敵へと浴びせかけ、体勢を崩そうとしていたようだ。
「これは、私とナンシーさんに!」
元気に叫ぶアイリーンもまた地面に守護星座を描き、自分を含む後方メンバーを光で守護する。
戦いに対する恐怖は未だに拭えないアイリーンだが、先ほどまで絶望の淵にいながらも戦っていたゴッドペインター達に大きく勇気付けられていた。
だからこそ、彼女も仲間を誰一人として倒れさせやしないと、仲間の体力の減少に神経を尖らせる。
「私が相手になるぞ?」
すでに敵が仲間達に根を広げているのを見ていた紫苑は、相手の気を引くべく飛び出し、マインドリングで展開した光の盾を使い、攻性植物へと正面から当たっていく。
それもあって、敵は彼女に強く注意を引き付けられることとなる。
「オレたちは無限の可能性を描き出すゴッドペインターだ! さあ、絶望なんて希望で塗り替えてやろうぜ!」
勇翔はじーちゃんから譲り受けたというゴッドペインターの絵筆を手にし、相手に立ち向かう。
ただ、攻性植物のダメージ量を気にした彼は、自分と相手と囲まれた森……大自然を霊的に繋げ、相手の傷を回復していた。
というのは、ただ倒すだけではこの戦いを見守るゴッドペインター達が救われない。攻性植物に捕らわれた一般人の残霊を救ってこそ、彼らもまた救われるのだ。
「捕らわれている人々を救出しないとねぇん」
戦いとなっても口調は変わらぬ絵空だが、気を引き締めて相手に対する。
仲間の回復を目にしてこの場は攻撃と判断した絵空は、喰霊刀「落椿丸」を手にして攻性植物へと肉薄していく。
できるだけ捕らわれの人々を避け、絵空は攻性植物の体へと斬りかかり、その魂を吸い取ろうとしていた。
記憶のない絵空だが、その動きにはまるで淀みを感じさせない。きっと、彼女の体は戦いを覚えており、即座に反応してくれているのだろう。
続けざまに骨装具足を着用した紫音も相手の状況を見て、右手の零式鉄爪を軽く打ち合わせて音を鳴らしてから躍りかかる。自身の体を独楽のように回転させ、相手の伸びた根を切り払っていった。
だが、攻性植物の活動は収まらない。捕えた人々を解放する様子も全く見せぬそいつは枝を蔓触手のようにしならせ、ケルベロス達に向かって打ち付けてくる。
「「…………」」
本当に自分達を、そして、あの捕らわれの人々を救ってくれるのか。
この戦いの様子を、ゴッドペインター達は固唾を飲んで見守るのである。
攻性植物をただ倒すだけならば、特に問題なく撃破はできるだろう。
だが、それだと捕らわれの一般人の残霊も、そして、彼らを救いたいと戦っていたゴッドペインター達が救われない。
「ダメージを与えすぎないよう、注意して戦うのが肝心でござるな」
うっかり倒してしまわぬようにと、ナンシーはペイントブキで力を加減しながら殴りかかる。
「少し、攻撃が先行しすぎているかしら」
「厄介だな。倒していけないというのはッ!」
相手を注意深く見ていた紫音が仲間に告げると、紫苑もまた相手の状況を見て、攻撃の手を止める。そして、自身の体に傷が増えてきたこと、そして、絡みつく蔓触手に煩わしさを感じて。
「ここで……負ける訳にはいかないのだッ!」
彼女はそれらを吹き飛ばそうと気合を入れる。傷が少し塞がり、絡みつく蔓触手を振り払う。これでしばらくは戦えるはずだ。
「大いなる大地よ、彼の者を癒し給え」
攻性植物……というよりは苦しむ捕らわれの一般人へ、カタリナは大自然の力を流し込む。
幾許か人々の苦しみの声が和らぐが、それでもまだ彼らを救えたわけではない。まだまだ辛抱強く戦う必要がある。
また、主に敵を抑える紫苑の体力の減少を、アイリーンが気遣う。
「希望をわけられるように頑張ろうね」
回復に専念するアイリーンはそのスタイルの良さを遺憾なく発揮しながら、桃色の霧を発していた。
「こうやって戦えば、人を助けられるんだよ」
笑顔でアイリーンが呼びかけたのは、さらに後ろでこの戦いを見守るゴッドペインター達だ。
レオも、相手に怒りを覚えさせていた紫苑に魔導金属片を含んだ蒸気を噴射し、それを盾として展開させつつ彼女の傷を癒す。
敵は木々の間で急激に花を咲かせていく。それらにグラビティを集めた敵は高火力の破壊光線を撃ち放つ。
それに対して、レオが盾となる。これ以上紫苑へと攻撃を集めすぎないようにとの配慮だ。
「まだまだ、これからだべ!」
レオ自身とて、徐々に傷が深まってきてはいる。
ただ、相手も少しずつ体力を削がれてきてはいるはずだ。その証拠に、徐々に取り込んだ人々の体が攻性植物の体から浮き出てきているではないか。
仲間が攻性植物への回復を行うタイミングを紫音が見計らい、手にするガジェットを拳銃の形にし、激しい雷を発射する。
紫音の号砲は瞬時に森を駆け抜け、攻性植物の体を焦がす。その巨体に痺れが走った。
「ダメージを与えすぎたでござるか!?」
攻撃を主として行うナンシーも、仲間の攻撃の合間にペイントブキを振るいながら攻性植物の体にカッコいいイラストを描いてみせる。
捕らわれの一般人の苦しみの声が僅かに止まった。そして、その身体から、人々の身体が、1人、また1人と放出されてきていたようだ。
「よし、もう大丈夫そうだな」
「うん、いけるはずだよぉ」
紫苑は畳み掛けるべき段階まで来たと判断し、絵空と共に頷き合う。
「今まで受けた分、返してやろう……」
相手を押さえつけ続けた紫苑の身体も、かなり傷が深まってきている。指輪から光の大剣を具現化させた彼女はその刃を強く輝かせて両手で振り下ろす。
「いくぞ、これが今の私の全力だッ!」
刃が深く、攻性植物の幹へと食い込む。
それによって、また数人の一般人が攻性植物の体から抜け出る。その人々は安らかな表情を浮かべて消えていく。残霊だった彼らはようやく、この苦しみから解放されたのだ。
だが、まだ終わってはいない。勇翔もまた攻撃に乗り出して。
「バットエンドになんかさせない!」
絵筆を使い、勇翔は絵の具を使って空に浮かぶ道を描き出す。
「取り込まれた人達も全員助けて、ハッピーエンドに描き変えてやる!」
その上に飛び乗った勇翔は勢いで滑走して攻性植物へと突撃し、絵筆を叩きつけた。
大きく揺らぐ攻性植物の体。さらに、人々がその枝や根から切り離され、解放される。
その度に、攻性植物の体は少しずつ縮んでいるようにも見えた。
「我が描くは銀の軌跡!」
絵空もまた喰霊刀「落椿丸」の刀身に銀色の塗料を付与し、相手の体に「裂傷」を描き出す。
若干のラグはあったものの、それは現実の物となり攻性植物の体を見事に裂く。そこから、またも人々の体が抜け出ていたようだ。
好機と判断したカタリナも、背にある光の翼を広げて。
「光の翼よ、力を解放せよ!」
解放した力によって暴走させたカタリナは自らの粒子を光の粒子とし、攻性植物に向かって突撃していく。
それらの粒子を浴び、攻性植物は苦しみ悶えて、体内に残っていた人々を振るい落としながら枯れ果てていく。
捕らわれていた人々もまたケルベロスによる救いに感謝し、安らかな笑顔を浮かべてながら昇天したのだった。
●ワイルドスペースからの脱出を
攻性植物の残霊を倒した失伝ジョブのメンバー達は、手早く侵食された地面にヒールを施す。
カタリナはゴッドペインターの容態を気にかけ、自身と彼らと大自然と霊的に接続し、傷を大きく癒していく。
「失伝を受け継ぐ君達を助けられてよかったよ。……本当は残霊になってしまった人達も助けたかったんだけれどね」
口元の布をずらして話す紫音は飲み水やタオルを差し出し、ゴッドペインター達を労う。
気付けば、ゴッドイーター達の服装は私服であったり、パジャマであったりと、拉致された際の服装へと戻っていたようだった。
「さぁ、帰ろう。皆が待っている」
「ここは過去の残霊、悪い夢……。でも、これでもう終わり」
紫苑がそう彼らへと促すと、絵空も手早く事情を説明して。
「早く、目を覚ましましょう?」
それを聞き、カタリナもこのワイルドスペースによる影響を受ける前に、撤収を急ぐことにする。
この場のヒールを考えていたナンシーも、ゴッドペインターを連れて帰還に動いていた。
「そーいや、昔じーちゃんに聞いたんだけど、ゴッドペインターの至宝『神の大絵画』について何か知らないか?」
勇翔は動けぬ1人を抱えつつ、彼らへと尋ねる。残念ながら、それを知る者はこの場にはいなかったようだ。
「助けるのが遅くなって、本当に申し訳ないべ……」
ボロボロのゴッドペインター達へと、レオが謝罪の言葉を口にする。
「でも、もう大丈夫。この光の先は、きっと希望の未来に繋がっているはずだから!」
森を抜ける一行の向こうには眩いばかりの光が……。
「行こう、新しい世界へ」
アイリーンもまた彼らと共に、森から抜け出していったのだった。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年12月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 0
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