失伝救出~涙雨降る花に傘を

作者:皆川皐月

●花の癒術士に涙雨
『オォオオオオン!』
 空を裂くような叫びが町を喰らう。
 突如飛来した雨龍が町を強襲し、当たれば身を裂く様な土砂降りの雨を降らせていた。
 雄叫びを上げては逃げ惑う人々を喰らい、青い炎で家屋を焼きつくす。
 助けを呼ぶこえ、死にたくないと叫ぶ声、数多の嘆きが木霊していた。
 そんな中、息を切らせて町の外を目指し走っていた少女が転ぶ。
「うっ!痛っ……」
 転んだ際に足を捻ってしまったのであろう。
 必死に立ち上がろうとしては転び、転んでは立ち上がりを繰り返す。
 三度転んだ時、少女の上に大きな影が重なった。
「あ、あ……いやっ、こ、来ないで!来ないでぇ……!!」
 少女は尻もちをついたまま、自身を覗き込む雨龍から一生懸命に遠ざかろうとする。
 涙に濡れた顔、腫れあがった目から伝う涙が痛々しい。
 土に汚れた爪から血が滲み、腫れ上がった足首はもう紫色だった。
『ガアァアアア!!!』
「あっ」
 ほんの一瞬の間を置いて、生を願った少女の上半身だけが喰らわれた。
 雨纏う龍は去る直前まで暴虐の限りを尽くす。
 その様に血が滲むほど悲痛な表情で見つめる3人が居るなど、露も知らずに。

 雨龍が去ったばかりの町で、精力的に働いていたのは3人の心霊治療士が居た。
 赤髪の少女が設置した救護所に集まった人々へ指示を出しながら、丁寧に治療してゆく。
「重傷者から奥に並べて!順番に治療をするわ!大丈夫、心配しないでね」
 赤い髪を靡かせ優しく微笑みかけると、少女は救護所の奥へと走る。
 聞こえる呻き声に唇を噛みながらも、患者を精一杯の笑顔で勇気付けることを忘れない。
「大丈夫。今ね、おじさんの家族も私の仲間が探してくれてる。きっと見つかるよ!」
 混む救護所とは真逆。青髪の少女と金髪の少年は崩壊した町のヒールと、怪我人を発見次第、救出と治療を繰り返していた。
「なぁ。俺達ってさ……なんで、戦わないんだろう」
「……あれに挑み、貴方は勝てると思ったんですか?」
 仲間の鋭い返しに、少年は息を呑む。
 眼前に広がる凄惨な光景。咽返る血の匂い。もう二度と動くことの無い亡骸。
 雨龍の食い残しだ。余りにも惨すぎる。自分達の手ではもう治せない現実、人々を雨龍の暴威から守れない己の無力さ、に拳を握った。
「こんな時……彼ら、彼らがいてくれたらっ、デウスエクスなんて……!」
「彼ら?貴方そんな人達をご存じで?」
 問われた本人もきょとんとした。
 まるで思っても無い事が口を突いて出た様な顔。
「え?あ、いや……デウスエクスに勝てる奴なんて居る筈が無いよな。ちょっと混乱していたみたいだ」
「しっかりして下さい。まだ助けられる人がいるはず……弔いは全て助けてからですよ」
「……うん」
 少年少女は頬を伝う涙を拭い、己に出来ることを再開した。

●雨に傘を
「先の寓話六塔戦争、お疲れ様でした。失伝者の救出と勝利を得られたこと、何よりです」
 集まった面々をセリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が笑顔で出迎える。
 そして改めて一人一人を確認した後、表情を引き締めた。
「それでは概要の説明を開始します。今回行っていただきたいのは、寓話六塔戦争において得た失伝ジョブの情報により予知に掛った、特殊なワイルドスペースに閉じ込められている失伝者達の救出です」
 既に配った資料の確認を促しながら静かに説明が続けられる。
 特殊なワイルドスペースとは、緑の好奇心『ポンペリポッサ』が用意した特殊空間。
 この空間に閉じ込められた失伝ジョブの人々は、大侵略期の残霊によって引き起こされる悲劇を繰り返させられているという。まるで、終わりの無い悪夢を見るように。
 間を置いたセリカの手は、きつく握りしめられていた。
 ハッとして緩く頭を振ったのち、説明が再開される。
「これは失伝ジョブの人々を絶望に染め、反逆のケルベロスとする為の作戦だったのでしょう……しかし、我々ケルベロスが寓話六塔戦争に勝利した結果、彼らが反逆のケルベロスとなる前に救出することが可能となりました」
 特殊なワイルドスペースに乗り込み、繰り返される悲劇を消し去って、閉じ込められた人々の救出をお願い致します。
 そう頭を下げたセリカの瞳は、酷く真剣であった。
「ですが最初にお話した通り、今回挑むのは特殊なワイルドスペース……。この特殊な空間は『失伝ジョブの人々以外の人間が出入りする事は不可能』なので、注意してください」
 話しが移り、資料が捲られる。書かれていたのは悲劇を生むドラゴンの概要。
 雨を操る残霊のドラゴンが一体ドラゴンが町を襲い蹂躙しながら人々を喰らうという。
 この空間は、空間を形成するワイルドハントと、囚われている失伝ジョブであり救出対象の心霊治療士、潜入するケルベロス以外は全て残霊であるが、残霊といえど無辜の民が蹂躙される様子は悲劇以外の何物でもない。
「記載の雨龍『ランショウ』が悲劇の起こりです。よって被害者となる一般人の残霊を守り、ランショウの撃破をお願い致します。この悲劇を倒すことで救出対象者を襲う絶望の雨に傘を差し、希望を取り戻させてください。そして共に、ワイルドスペースからの迅速な脱出をお願い致します」
 説明はランショウの能力へと移る。
 攻撃は三種類。棘のように雨を降らせること、青い炎のブレス、喰らい付きであること。
 また、攻撃力に秀でているため注意してくださいとも告げた。

 一通りの説明が終わり、再びセリカは皆の顔を見る。
「このような悲劇を乗り越えて戦い続けてきた失伝ジョブの先達の為にも、彼らの救出をどうぞ宜しくお願い致します」


参加者
春原・柚月(オネエ系ヤンキー・e44115)
葉沼・空子(夢の描き人・e44120)
純月・逸(墨稜・e44227)
妙篷煉・鳳月(うつろわざるもの・e44285)
仁礼・沫(古椿・e44319)
椿倉・シロ(からっぽ・e44482)
斯刃・八雲(先祖返り・e44500)
シノン・ナイチンゲール(声なき歌鳥・e44599)

■リプレイ

●しとど降る
 雨。雨。雨。
 瓦礫を穿ち、肉を貫く。ワイルドスペースに降る雨はまだ止まない。
 皆々、ケルベロスとして初めての戦いであった。
 虚ろに歪むワイルドスペースに飛び込んだ勢いを殺さず、八人はひたすら走る。瓦礫を飛び越えながら葉沼・空子(夢の描き人・e44120)と純月・逸(墨稜・e44227)、斯刃・八雲(先祖返り・e44500)が、作戦通りに逃げ惑う人々へ片端から逃げろと促し、誘導する。
「か、必ず……必ず助けます!逃げてくださいっ!」
 空子が精一杯叫ぶ。囚われ苦しめられている心霊治療士と、残霊であっても一般人が死ぬ状況は嫌だった。どきどきと早鐘を打つ心臓を今は押し込めて、喧騒の中で一人だって取り残しを作らんと耳の先の毛まで神経を研ぎ澄ませながら、気付いたそばから瓦礫の下敷きとなった人を助け出していく。
 一方、パニックテレパスに声を乗せた逸と、八雲の割り込みヴォイスが逃げ惑う人々を誘導する。
「逃げるのよ、遠くへ行って!」
「私達が来たからもう大丈夫。さ、行くんだよ」
 静かに芯のある逸の声が逃げ惑う人々の背を押し、八雲の親しみやすさが恐れに身を竦ませた人々の指針となった。そして街を襲う龍に近い見目の自分を人々が怖がるのでは、という逸の小さな不安は擦れ違った一人の子供によって杞憂となる。
「ありがとう、おねえちゃん」
 逃げる親に手を引かれ、小さな子供は去った。
 まだ、希望はある。ネクロオーブを握った逸は周囲の救助を完遂した空子と人々を見送った八雲に目配せし、先行した仲間の元へと走る。

 救助に奔走する三人を背に、六つの影がランショウを肉薄する。
「初仕事が仲間の救出、というのは、大任な気もするけれど」
 味方を棺桶に入れるのは趣味じゃないかも、そう目を細めた仁礼・沫(古椿・e44319)が軽やかに瓦礫を越え、構えたゲシュタルトグレイブの穂先に虚無の力を集中させる。触れたもの全てを消滅させる禁呪が一つ、ディスインテグレート。射程に入るのは大口を開けた雨龍 ランショウ。
「――敵に、綺麗に死化粧をしてあげないと、ね」
 穂先の一振るいで飛ばされた虚無球体が、ランショウの鱗を削ぐ。
「どこ見てんだよ、でけえの。お前の相手はこっちだって!」
 沫が動くのとほぼ同時に居合い抜かれた椿倉・シロ(からっぽ・e44482)の喰霊刀が、食い千切るようにランショウの魂を啜る。見悶える巨体を、シノン・ナイチンゲール(声なき歌鳥・e44599)の藍の目は見逃さない。細い体が天を駆け、虹を纏う。鋭い一蹴が頭を蹴り飛ばすのと同時、ランショウの後頭部にシーナの操った瓦礫が突き刺さる。
 痛みに見悶え低く唸るランショウの目が虹に惑い、怒りに燃えてぎょろりとシノンに釘付けとなれば、シノンも負けじと睨み返した。
「本来、雨はいづれ必ず過ぎ去るもの……それを繰り返す不幸は、頂けませんね」
「そーよ……逃げないで頑張る子達がいるなら、何が何でも助けてやるってーの……!」
 春原・柚月(オネエ系ヤンキー・e44115)のエアシューズが、宿した重力でランショウの顎を蹴り上げる。舞い散った星の間を縫ったのは、妙篷煉・鳳月(うつろわざるもの・e44285)。編み上げるのは彼女だけが扱える守護の呪法。灰の髪を銀に照らす阿頼耶識が、雨を焼くような凛々しい輝きを発す。
「聞こえるか我が同胞たちよ!我々はケルベロス、この狂った空間を壊す者だ!」

 凛とした鳳月の声が、身を寄せ合う心霊治療士達の耳を打つ。
 彼らは多くの人々が崩壊してゆく街から無事に逃げ出すのを何故か不思議に思い、人の波に逆らい街へと近寄っていた。そして、すれ違った人々に“何があった”と問いかける。
 すれば「雨龍に挑む若者がいる」「とてつもない力で瓦礫を押しのけ助けてくれた」「安全な方へ導いてくれた」と口々に言っては去っていくではないか。
 まるで自分たちが夢見た様な救世主が居る。
 居ても立ってもいられず、三人は雨龍の暴れる町の中心が見える場所を目指していた。危険とは知りながら、おかしなほど何かに釘付けになっている雨龍の方へ。
「……どういう、ことです。そんな。まさか……人が!あの龍と戦っています!」
「嘘よ……どうして。大変……あの人達、きっと死んでしまうわ!」
 全てが見える場所まで辿り着いた時、青と赤の少女達は驚愕した。嘘のような現実。雨龍の巨体を押し止め牙を突き立てる六人と、人々を避難させる三人の姿。
 金の少年が頬を上気させ、強く強く拳を握る。胸が苦しい。同時に、胸の奥で忘れていた何かが妙な確信を持つ感覚がする。突然訪れた希望が、理想が、喜びが、全身を駆け巡り早鐘を打っている。
「いたん、だよ。いたんだよ!彼らがっ!!」
 俺達の希望が!心のままに少年は叫ぶ。
 皆、目が熱くなり視界が潤んだ。胸が熱い。行かなければ。自分達が今出来る事は何だ。
 ドラゴンの操る雨が、対抗する者達へ集中的に降る。それでも怯まず立ち上がる彼らに、ケルベロスに、自分達は何ができる?
「行きましょう……私達は、行かなければ。彼らの傷を治しに」
「うんっ……うん、うんっ!私達が行かなきゃ!」
「行こうぜ。俺達が治すんだ!」
 まだあの場所には遠い―……それでも、きっと間に合うはず。
 袖で乱暴に涙を拭った少年少女は全力で走り出す。

 一方、ランショウと相対していたケルベロス達は拮抗していた。残霊といえどもドラゴンであり、一体で街を蹂躙できる力は侮れない。
 顎を伝った汗を沫が拭い、肩で息をする盾役を横目に油断なくゲシュタルドグレイブを構える。
「昔は龍なんて倒せなかったかもしれないけど――」
「覚醒した力が、私達にはあるものね……有効活用、といきましょう」
 艶めく黒い鱗がぱちりと指を鳴らすのを見た時、沫はその身を光へと変えた。
 弾け輝きを増し続ける光と化した沫が矢のようにランショウを撃ち抜けば、雲を裂く逸の雷鳴が三重の痺れでランショウを縛り上げる。
「おっと、傷は放っていてはいけないよ。医療に携わる者としては、見過ごせないな」
 薬液の雨が主立って怪我の多い前衛陣の傷を塞いでゆく。避難は無事完了だよ、と微笑みながら眼鏡を押し上げた八雲の姿に、ランショウの抑えを買って出た者達はホッと息をついた。
 畳み掛けるように刻まれた傷と八人に増えた乱入者の姿に、ランショウは痛みと怒りに目を血走らせてケルベロス達を睨みつける。威嚇するように歯を鳴らした時、頭上に茶の尻尾が揺れた。
「貴方の相手はこっちです!」
 咄嗟に見上げたランショウの視界を埋め尽くしたのは、星。
 空子渾身のスターゲイザーがランショウの頭を蹴り飛ばし、その身を重力の鎖で縫い留める。
『オオオォォォオン!!』
「反撃と行こう。もう諦めなどしない!」
 かつては諦めていたが、力の覚醒した今―……そして八人揃った今ならば、やれる。
 鳳月は強い視線でランショウを睨み付けたまま吼えた。声と心に呼応するように、背に輝く阿頼耶識が鳳月の瞳と同じ鮮烈な琥珀の輝きを迸らせ、龍の目を焼く。痛みと目の眩むまぶしさに荒ぶるまま、ランショウは三度棘の如き雨を降らせた。

●天、照らす
 八雲のメディカルレインが再び降り注ぐも、まだ傷は深い。
 鳳月が荒い呼吸を整え再び守りの方陣を編もうとした時、前に出たのは柚月。
「アタシは!絵を描く位しか出来ないけど!」
 つい先日まで戦いは画面の向こうの話であった。現実だけれど非現実的な、遠い話。でも今、目の前に苦しんでいる人がいる。悲しみ続ける人がいる。そして皆と同じように、この現実を変える力がこの手にある。
 戦わねばならないのならば。この一筆が誰かを守れるならば。怖がるのは後だってできる。クソッたれには、なりたくない!
「だったら!この力でっ……!誰かを、助けて、みせんだよっ!!」
 巨大な竜槌とて、柚月からしてみれば絵筆同然。なんてことはない。絵の具があって、それを引ければ皆絵筆。描けるのなら、そこはキャンバス。絵筆と化した巨大な竜槌が、月色の絵の具を勢いよく引く。
 鮮やかな筆捌きで描いたのは、月。
 煌々と輝くきらめきが淡く注げば、僅かに皆の傷を癒し前衛陣の痺れを一つ解く。盾役である柚月のヒールでは万全とは至らずとも、その一筆は確かに皆の支えとなった。
 頬に伝った血を僅かに震える手で拭う柚月の横を、青い髪が抜ける。
「駄目よ、まだ甘いです。……治すというのは、こういうことですよ」
 丁寧な言葉遣いの少女が巻き起こした癒しの風は、春のような温かさをともなって前衛に立つケルベロス達の綺麗に塞いでいく。
「アンタってまさか―……」
「だーめ。話は後だよっ!まずはあれを倒さなきゃ!」
 ひょこりと顔を出したのは赤い髪の少女。また赤い目尻を擦り、元気に笑ってみせる。
 続く様に覗き込んだ少年もまた、目尻が赤い。だが笑顔は酷く晴れやかであった。
「アンタたちケルベロスの傷は任せろよ!俺達が治す!」
 三対の瞳に、絶望は無く洗脳の色は失せている。あるのは太陽のような輝き。
 希望の光。
「そーそー、帰るんだよ。全員でな!」
 歯を見せて笑ったシロが、瓦礫を足場に飛び上がる。先程描かれた月に、ゴッドペインターとして心が躍る。負けられない。描きたい!
 一瞬、機械的な輝きを帯びたシロの赤目が演算したのは、舟の最短航路と必要なインク量。シロの喰霊刀が赤黒いインクを引く。
「code:ark,inperium,finis――」
 機械的な音声とは反対に、生き物のように滑る喰霊刀はまるで筆のよう。
 柚月と同じく宙に描いたのは、怪物染みた大きさの鯨。これは方舟。しかし舟に非ず、怪物でありながら狩猟者。同時に世界の終わりであり、甘い夢。そして最果てへ往くもの。
「彩れ、染めろ。界を成せ!」
 シロの言葉が怪物の如き鯨を泳がせる。瞬く間にランショウへ迫った大口は、容赦無くランショウの右半身を食い潰した。
『オ、オオオアアァオォォォ!!!』
 絶叫。
 雨龍 ランショウはこの場で最も強き者であり、捕食者であった。が、それももうお終い。
 待つのは、死。
 幾度も幾度もこの繰り返しの中、人々に与え続けたものが今、眼前に迫っている。遥か遠い筈の死に、残霊の瞳が僅かな恐怖に濁った隙は、シーナに支えられ凛と立つシノンのインディゴブルーが冷たい色で捉えていた。
「これはせめてもの手向けだ。受け取るがいい」
 齢十にして慇懃無礼なその言葉は、半ば姿すら保てなくなりつつある雨龍へシノンからの贈り物。だくだくと血を流す雨龍の半身に容赦なくゲシュタルトグレイブが付きたてられた時、見たものが震えるほど鮮やかな氷の花が、ランショウを埋め尽くしていた。
 息すら凍て落とす静寂の中、艶やかに花咲き乱れる氷像は静かに静かに自壊する。

●一歩
 いくつもの荒い呼吸が響く。
 皆初めての勝利の余韻。安心感。
「や、やったあ……やったぞ!勝った!倒せたんだ!」
 わっと金髪の少年が喜びに湧く。ずっとずっと求めていたことが目の前にある事は、何にも代えがたい喜びであると全身で示していた。
「……あの、ありがとうございました。本当に、良かったです」
「うん、本当にありがとう!」
 青髪の少女が頭を下げて礼を言えば、赤髪の少女は近くに居た空子の手を取り勢いよく握手をする。
「すみません、少し時間が惜しいのでお話をしてもよろしいでしょうか……?」
 戦いの余韻は冷めやらぬが悠長にはしていられない。すっと歩み出たシノンが、三人の心霊治療士達へこの場がワイルドスペースであることを説く。そして、此処から速やかに脱出しなければならないことも。
「行こう」
 誰の口から出たかは分からない。だが皆の足は、歪みながらも輝く出口へ踏み出していた。
 脱出の後、パジャマ姿の少年に制服姿の少女達と改めて再開し笑いあった時、苦悩と悲哀の過去を越えた“今”が始まる。

 晴れ渡る空に輝く虹が、新たな門出を見守っていた。

作者:皆川皐月 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年1月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 0
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