●ホールケーキ等撲滅作戦
店の中から漏れ聞こえてくるクリスマスソング。
街路樹をきらめかせる電飾に星やベル。
クリスマスムードに浮足立つ人々が、日々の買い物も行っていく商店街。
明るい喧騒に抱かれている表通りとは対象的に、ひと気のない路地裏では暗い情熱が燃えていた。
「私たちはブッシュドノエルを愛するもの。クリスマスを祝うケーキとして、これ以上のものはない。そう、信じる者たちである!」
ブッシュドノエル、それは切り株や薪の形を模し、ささやかに飾り立てたものが主流な一品。家庭でも簡単に作れることが特徴で、そのほのかな苦味を持つココアクリームと甘く柔らかなスポンジケーキの甘さの調和が心地よい。
そんなブッシュドノエルノ魅力を語るは鳥人間・ビルシャナ。
聞くは10名の信者たち!
「そのため、私たちはここに来た。ホールケーキを始めとしたクリスマスケーキもどきを店から排除し、ブッシュドノエルの予約のみを受け付けるよう促すため。否、変えるため!」
おう! と信者たちが拳を突き上げる中、ビルシャナは表通りにつながる道へと踵を返した。
「さあ行こう、ケーキ屋にあるべき姿を教えるため。ブッシュドノエルへの愛を告げるため!」
●ビルシャナ討伐作戦
「ほんとにやってくるんだね」
「はい、ですから……っと」
東雲・苺(ドワーフの自宅警備員・e03771)と会話していたセリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は、足を運んできたケルベロスたちと挨拶を交わしていく。
メンバーが揃ったことを確認し、説明を開始した。
「苺さんの予想を元に、クリスマスに相応しいのはブッシュドノエルだけ! という主義主張によってビルシャナ化してしまった方が、それ以外の予約も取っているケーキ屋さんを襲撃する事件が予知されました」
そのため、ケーキ屋が襲撃される前に迎撃し、打ち倒す。それが大まかな流れとなる。
「また、このビルシャナ化した方の主張に賛同し、配下になっている方々がいます。この方々へ、ビルシャナ化した方の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、無力化することもできるかもしれません」
もっとも、今回の場合は相手は臨戦態勢で挑んでくる。説得は戦いの最中、攻撃に対処しながら説得を行うと言った形になるだろう。
「無力化するまでの間、一般人の方々はビルシャナのサーヴァントのような扱いで戦いに加わってきます」
ビルシャナさえ倒せば元に戻るため救出は可能だが、ビルシャナを護るように立ち回る上に非常に脆いため、厄介な存在となるだろう。
「それでは、説得の材料になりそうな要素について説明しますね」
男女5名ずつの合計10名。
うち、男1名女1名は伝統を護るべきだという考えを持っている。
男2名女1名は、ブッシュドノエルになってくれれば作るのが楽だな……というのがきっかけのようだ。
残る男2名女3名は、ブッシュドノエルのほうが美味しいと思っているらしい。
「この辺りを考慮に入れつつ、言葉を投げかけてあげて下さい。続いて、戦場やビルシャナ化した方の戦力について説明しますね」
セリカは地図を取り出し、ケーキ屋に一番近い場所にある裏通りの入口にマルをつけた。
「ビルシャナはこの裏通りからケーキ屋さんへ襲撃しようとしているため、この場所で待ち構えていれば迎撃することができるかと思います」
当然、周囲には一般人が多くいる。そのため、最低限その裏通りの入口周辺からは人々を避難させておく必要があるだろう。
「そして、戦闘力についてですが……」
ビルシャナは1体。
戦闘方針はじわじわと苦しめて倒す……と言った形。守りは配下に任せているらしい。
グラビティは3種。
複数人を威圧するビルシャナ閃光。
経文を紡ぎにより心を奪うビルシャナ経文。
澄み渡る音色で複数人のトラウマを呼び起こす浄罪の鐘。
また、10名の配下たちに関しては先に語られたとおりとなる。
「以上で説明は終了となります」
セリカは資料をまとめ、締めくくった。
「伝統などはわかります。ですが、時代によって変わりゆくのもまた自然なこと、そう思います。ですのでどうか、全力での行動を……」
参加者 | |
---|---|
八蘇上・瀬理(家族の為に猛る虎・e00484) |
神宮寺・結里花(目指せ大和撫子・e07405) |
アラタ・ユージーン(一雫の愛・e11331) |
霧城・ちさ(夢見るお嬢様・e18388) |
スノードロップ・シングージ(堕天使はパンクに歌う・e23453) |
唯・ソルシェール(フィルギャ・e24292) |
浜咲・アルメリア(捧花・e27886) |
阿久根・麻実(売星奴の娘・e28581) |
●クリスマスの前に
クリスマスソング、イルミネーション、何よりも人々の笑顔が暖かな空気を招き入れていく商店街の、ケーキ屋近くの裏通り。
ケルベロスたちはブッシュドノエルのみが相応しいと妄信するビルシャナを迎え討つために人払いを行った上で待機していた。
人がいなくなっても変わることなく流れ続けているクリスマスソングに耳を傾けながら、神宮寺・結里花(目指せ大和撫子・e07405)は肩を落とす。
「ケーキなぁ……どっちかというと和菓子派だからなぁ……っす。何ていうかクリームがそこまで得意じゃないんすよねぇ……。餡子の方が好きなんすよね。まあいいっすけど」
ため息と共に顔を上げれば、丸太を抱えている阿久根・麻実(売星奴の娘・e28581)がいた。
「皆さん! 丸太を持ったか!?」
ブッシュドノエルは切り株や薪の形を模したケーキ。
だからこそ彼女は丸太を持ってきた。
そんな彼女に、スノードロップ・シングージ(堕天使はパンクに歌う・e23453)が歩み寄っていく。
「あーみんぇ……貧乏だったとは知ってるけどやっぱり丸太とか木の根を食べてたデスネー。アタシはまあ知ってるから別に驚かないケド……知らない人が見たらドン引きしそうネー」
肩をすくめ、続けていく。
「っていうか、あーみん。そんな固いリブロースなんて絶対美味しくないネ。貧乏舌ってレベルじゃ……」
半ばにて言葉を切り、裏通りへと視線を移した。
アラタ・ユージーン(一雫の愛・e11331)が張り巡らさせていたキープアウトテープを踏み越え、ビルシャナたちが近づいてきたから。
「それでは……」
ケルベロスたちに気づく様子もなく歩いてくるビルシャナと10名の信者たちを見つめ、アラタは静かに身構えていく。
情報通りならビルシャナたちは仕掛けてくるはず。
ならばその攻撃をいなしつつ、信者たちを救い出すための言葉を投げかけよう。
●ケーキと伝統
「邪魔だてするなら容赦はしない。ゆくぞ、お前たち! ブッシュドノエルの素晴らしさを伝えるために!」
ケーキ屋への道を塞ぐケルベロスたちを邪魔者と判断したか、ビルシャナたちが襲い掛かってきた。
もっとも、信者たちの力はとても弱く攻撃力は皆無に近い。
ビルシャナの力だけに注意しながら攻撃をいなしていく仲間たちを眺めながら、八蘇上・瀬理(家族の為に猛る虎・e00484)は荷物からケーキ箱を取り出していく。
「ブッシュドノエル、確かにうまいやんなぁ。雰囲気出るし、クリスマスーって感じするわー」
中身はもちろんブッシュドノエル。
遠目からでも丁寧な仕事がうかがえる、柔らかそうなクリームに包まれている逸品だ。
「いやー、我ながら1週間かけて作っただけあるわ。やっぱホンマに旨いもん食いたかったら手間暇かけてなんぼやんなぁ」
戦いなど忘れたかのように笑いながら、ブッシュドノエルを切り分け口の中へと運んでいく。
男2名、女3名……合計5名の信者たちが動きを止めた。
ブッシュドノエルに釘付けになる分には構わないといったところか。ビルシャナが介入してくる気配もない。
「あんたら旨いブッシュドノエル食う為に、うち以上の情熱かけてケーキ作るんやろ? すごいなーホンマ」
挑発的な言葉を投げかけても反論はなく、代わりに5名の信者たちが近づいてくる。
瀬理は彼らにブッシュドノエルを配った。
躊躇うことなく食べ始めていくさまを見つめながら、浜咲・アルメリア(捧花・e27886)もまた荷物から3つのケーキ箱を取り出していく。
中は宝石のようにきらめくチョコレートケーキ。
星々を詰め込んだかのようなフルーツタルト。
雪のようにふんわりと輝くショートケーキ。
どれも、腕の良い職人が作り上げた品々だ。
「ケーキとは芸術品、見た目でも味でも楽しむものよ」
ブッシュドノエルを食す者たちに示しながら、落ち着いた調子で語りかけ続けていく。
「勿論ブッシュドノエルも素晴らしいけれど、それ以外のケーキを諦めても良いのかしら」
彼らを放置すれば、今、示しているようなケーキはなくなってしまうのだから。
「手に入れにくいケーキもあるけれど。一年の終わり、頑張った自分へのご褒美に。その時一番心に響いた、特別なケーキを自由に楽しむ。それが人の幸せというものよ」
言葉を前に、押し黙る信者たち。
その心を震わせる事ができるよう、霧城・ちさ(夢見るお嬢様・e18388)が歩み寄る。
「ブッシュドノエル以外のケーキは嫌いですの?」
返答はない、いらない。
「そうではありませんわね? きっと他のケーキもおいしく食べれるはずですの。クリスマス以外はブッシュドノエル以外も食べますわね?」
頷いていく信者たち。
ならばと、ケーキ屋を示していく。
「それであればこの季節に並ぶたくさんの他のケーキも見るべきで気に入ったらぜひ食べるといいですわっ。みなさまこだわりがあるならもっと研究するべきですわっ」
「……まあ何でもいいデスネ。美味しければなんでもいいデス」
更にスノードロップが続けていく。
信者たちの心を捉え続けるため。
「ビターなチョコレートケーキデモ、フルーツが一杯なタルトでも。美味しければなんでもイイねー。っていうか大事なのは誰と食べるか……じゃないデス?」
小首をかしげ問いかければ、頷く代わりにブッシュドノエルを感触していく5名信者たち。互いに顔を見合わせた後、頷きあい戦場から離れていく。
信者たちの食べるブッシュドノエルを見つめ満足げな表情を浮かべていたビルシャナは、ここにいたりケルベロスたちの意図に気づいたのかハッとした様子で顔を上げた。
「よ、よもやブッシュドノエルをこのような事に使うとは……だが、我らが正しいことに違いはない。ブッシュドノエルこそが、正当な」
ビルシャナを無視し、神宮寺・結里花(目指せ大和撫子・e07405)は残る信者たちへと向き直った。
先程の光景を見ていたからだろう。残っている信者たちもどことなく戸惑った表情を見せており、先程よりもより対処のしやすい攻撃だけを仕掛けてくる。
だから結里花は経文へと変わっていくビルシャナの言葉を聞き流しながら言葉をぶつけた。
「ケーキのメニューが固定になれば楽になるってのはよーくわかるっす。家も義妹が我儘で中々食べたいものが決まらなくて本当に毎年苦労してるっすからね。美味しく……かつカロリーも計算にいれて見た目も綺麗で……」
男2名、女1名……合計3名の信者たちが頷いた。
彼らのみに視線を移し、結里花は言葉を続けていく。
「本当に大変っす。でも……手間をかけた分だけ喜んでくれる。一年に一度なんだし、手は抜かず頑張ったらどうっすか?」
「といっても、やはり手間なものは手間……という意見もわかります。ですから、例えば……」
更に、唯・ソルシェール(フィルギャ・e24292)がふんわりとした声音で語り始めた。
「クリスマスプディングなどは材料を混ぜて約だけでできますわね。このように、ブッシュ・ド・ノエルの他にも工数を減らし、簡単に作れるクリスマスケーキは沢山ありますわ」
視線が集まる中、荷物からケーキ箱を取り出しクリスマスプディングを示していく。
けど……との言葉が聞こえたから、視線を送り微笑んだ。
「確かに、慣れた方は作るのが楽かもしれませんが、土台となるロールケーキを作るところは、プロでなければ簡単には参りませんわね?」
あっ、と驚きの声が上がっていく。
「プディングは家庭で作るものですので、お手軽ですわ」
結が言葉を終えるとともに、3名の信者たちはうんうんと頷きながら離れていった。
残る信者は後2人。
逃さぬとばかりに、ビルシャナがケルベロスたちに指先を向けていく。
すでに語り終えた者たちが盾となり、ビルシャナの介入を防いでいく。
だから麻実は胸を張る。
立派な丸太を示しながら。
「ブッシュドノエル……すなわち丸太です、丸太を崇める為のケーキです……なのに何故、あなた方は丸太を持ってきてないんですか!?」
反応は見ない。
「クリスマス?、あれは丸太の為の行事です、丸太を飾り付け、丸太の生誕を祝う、序でに救世主の誕生日も祝います」
勢いで押し切ると、ブンブンと丸太を振り回す。
「丸太がメインなのです、それなのにブッシュドノエルしか用意してないとは何事ですか!?」
かと思えば地面に立て……。
「丸太は食わない癖にブッシュドノエルだけを食べようとか甘えるのもいい加減にしてください!」
ボリボリと貪り始めた。
「丸太は植物繊維のセルロースが豊富です、野菜も食べないとダメです」
木片を噛み砕きながら2人の信者に視線を送る。
「なんかリブロースっぽいので美味しいです、リブロースは食べたこと無いですけど」
2人の信者は視線を逸した。
「さあ、丸太食えよ! なのです」
構わず宣言して突きつけるも、2人の信者が手をのばすことはない。
代わりにアラタが歩み寄る。
もちろん、2人の信者に。
訝しげな視線を受け取りながら、びしっと2人を指し示した。
「伝統を護るべきだと考えているそこのお前! そもそも伝統とは、何だ!?」
2人は言う。
昔から受け継がれてきた風習、大切にされてきた伝統。その中に込められている思想、理念、意志……様々な想い。
「……うん、物質、思想や様式といった、産出された文化を伝えることだとアラタは思う」
しっかりと受け取った意志を示した上で、問う。
「では文化とか?」
返答は待たずに重ねていく。
「その土地の人々が作り出すものだろう? 重ねた年月や国の違いで優劣がつくものじゃないよな」
どんな伝統も、恥柄はきっと新たな習わし。
「ブッシュドノエルが西洋の伝統なら。ショートケーキだって日本産の伝統だ! 他のケーキだって、立派なクリスマスを祝うケーキなんだぞ!」
数十年と重ねていけば、きっと他のケーキも伝統となる。
フランスのパリで発症したと言われるブッシュ・ド・ノエルが、こうしてクリスマスの伝統となったように。
2人は顎に指を当て、考え込む素振りを見せた。
1分ほどの時を経て結論にいたったか、同時に顔を上げていく。
――もう少し、深く考えてみる。伝統や、それを護ることの意義を。
頭を下げ、2人は去った。
残るはビルシャナ、ただ1人。
横槍を妨害され続けたビルシャナは、翼を震わせ喚き散らす。
「ぐ、言葉を弄しおって……よかろう、ならば貴様らを倒し、証明してやる。ブッシュドノエルの素晴らしさ、そしてその正当性を!」
●ブッシュドノエルを愛したビルシャナは
鐘が響き、前衛陣の心を揺さぶっていく。
かき消すため、アルメリアは暖かな光を降り注がせた。
「観念しなさい! ブッシュ・ド・ノエルも美味しいけど、他のケーキも美味しいのよ!」
「あんたの言う通り、伝統は大事やとうちも思うで。けどそれ言うんやったらケーキなんて贅沢なもんくわんと、もっと質素な食いもんで教会のミサ行くんが正しいんとちゃうん? うちはごめんやけど」
ウイングキャットのすあまも翼をはためかせ仲間たちを治療する中、瀬理がエクスカリバールをぶん投げる。
暖かな光に紛れながらビルシャナのもとへと向かい、無防備な右翼にぶち当たった。
ビルシャナが声にならない悲鳴を上げていく。
すかさずスノードロップが踏み込んで、漆黒の翼を広げていく。
「死ト希望ヲ象徴する我が花ヨ。その名に刻マレシ呪詛を解放セヨ! スノードロップの花言葉、アタシはアナタノシヲノゾミマス!」
花言葉に誘われた呪詛は真っ白な花弁となり、漆黒の羽と共にビルシャナの体に突き刺さる。
呪詛を注がれたビルシャナは何度も、何度も跳ね上がり、そのたびにうめき声を上げていった。
それでもなお抗わんというのか、ビルシャナが指先を突き出してくる。
「負けませんわ、私がみなさまをお守りしますもの!」
すかさずちさが正面に立ち塞がった。
間髪入れずに放たれた光を、ちさが全身で受け止めていく。
ウイングキャットのエクレアに支えられながら抗い続けていく。
視界が光に満たされている中、不意に、ビルシャナが新たなうめき声を上げた。
「ぐ、この……」
「味わいは深く、複雑に……時に裏切りも必要だ」
アラタの毒がビルシャナを蝕み始めたから。
心を乱され動けなくなってしまったから。
今こそ好機と示すため、ウイングキャットの先生がくちばしを激しく引っ掻いた。
自分の状態もわからぬとばかりに足元をふらつかせ始めたビルシャナに、ソルシェールは狙いを定めていく。
「さ、終わらせましょう……舞い散れ」
純白の羽根が舞い散り、ビルシャナの体に降り注ぐ。
揺らめく純白は刃となりて、その歪な体を切り刻む。
それが地面を埋め尽くした時、雷の羽衣をまとう結里花がビルシャナの体を蹴り上げる。
「迅きこと、雷の如く!! はためけ! 雷装天女よ!!」
宙に浮かんだビルシャナを追いかけ、上へ跳ね飛ばし、さらに距離を詰め、蹴り、追い、殴り、蹴り……。
頂点へ達すると共に上を取り、ビルシャナを叩き落とした。
「ぐはっ」
「さあ、これで!」
落下点には誰もいない。
麻実の声はするけれど。
「おしまい! 鹵獲魔法戸立て隠れの術!」
落下してきたビルシャナを戸にもしていた霊糸で絡め取り、下から上へと打ち上げる。
「……忍法じゃないよ?」
地面に出るとともに言葉を付け加える中、ビルシャナは霊糸を振りほどく事もできず地面に激突した。
ケルベロスたちが更に仕掛ける機会を伺う中、ビルシャナの体からはゆっくりと力が抜けていく。
「ぐ……このような所で、ブッシュドノエルの、夢、破……」
言葉半ばにて跡形もなく消滅し……。
●メリークリスマス
戦場と化していた裏通りを修復し、あるべき姿を取り戻し……力を解けば、人は戻ってくる。
ケーキ屋さんもまた賑わいを取り戻していく。
そういった事後処理を全て終えた上で、瀬理は仲間たちに視線を送った。
「せっかく皆でケーキ持ち寄ったんやし、一緒に食べながらレシピ交換せえへん?」
「いいわね。あたしも提案しようと思っていたの」
頷き改めてケーキの箱を取り出していくアルメリア。
ちさもまた荷物を示していく。
「わたしも色々と用意してきたんだ。ゆっくり休める所でお茶にしましょう!」
異論はない。
ケルベロスたちは腰を落ち着かせられる場所を求め、商店街へと足を向けていく。
アラタはケーキ屋へと足を向けた。
後で合流すると伝えながら。
「このケーキ屋はどんなケーキなんだろうな。ま、皆でにこにこして食べるケーキが一番だけど」
「そうですね」
彼女を見送り、ソルシェールは街へと視線を移す。
賑わう街に、相応しい言葉はただ一つ。
「メリークリスマス。皆さま楽しいひと時を?」
今年も、良い聖夜を!
作者:飛翔優 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年12月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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