聖夜に吠える罪人

作者:洗井落雲

●聖夜の襲撃
 12月25日。クリスマス。
 街はイルミネーションで彩られ、巨大なツリーの下には、カップル、家族連れ、或いは独りで……様々な思いを胸に、人々が集まっていた。
「気に入らねぇ……気に入らねぇよなぁ……」
 と、その群衆の中の一人が、ぼそりと呟いた。
 いや、それは明らかに人間ではない。3m近い長身に筋骨隆々とした体、中世の騎士のような甲冑で身を包み、巨大な斧を振りかぶるその男は、デウスエクス、エインヘリアルだ。
「何が気に入らねぇってよぉ!」
 叫びながら、斧を振り下ろした。近くに居た女性が、残念ながら最初の犠牲者となった。ぐしゃり、と音を立てて斬り潰された女性は、悲鳴をあげる間もなく絶命する。
 悲鳴と怒号。逃げ惑う人々を、エインヘリアルは虐殺して回る。
 家族を守ろうとした男を。泣き叫ぶ少女を。腰を抜かし、怯える少年を。
 斬り、潰し、斬り、潰し、斬り、潰した。殺して、殺して、殺しまわった。
「俺以外の生き物がぁ! 幸せそうなツラしてんのが気に入らねぇんだよぉ!」
 瞬く間に、エインヘリアルの周りには、無残な死体の山が積み上げられることとになったのだ。

●聖夜に駆ける救済者
「デウスエクスと言う連中は、地球の行事に合わせて事件を起こさなければ気が済まないのかね?」
 肩をすくめて、月詠・宝(サキュバスのウィッチドクター・e16953)が言った。
「ううむ、イベントには人が集まる。人が集まれば、それだけグラビティ・チェインも収奪しやすくなる。そう言った意味で狙われやすいのかもしれんな……だが、連中の行為に恐怖し、委縮してしまえば、それこそやつらの思うつぼだ」
 アーサー・カトール(ウェアライダーのヘリオライダー・en0240)が答える。
 さて、宝の調査をもとに予知を行った所、クリスマスでにぎわう街に、突如エインヘリアルが襲撃。人々を虐殺するという事件が発生するという事が分かった。
 このエインヘリアルを放っておけば、多くの人々の命が失われることはもちろん、人々にエインヘリアルへの恐怖と憎悪をもたらす結果になり、地球で活動するエインヘリアルたちの定命化の妨げとなってしまうだろう。
「あらゆる意味で厄介な奴だ。コイツを倒し、平穏なクリスマスを取り戻してほしい」
 ケルベロス達は、エインヘリアルが人々を襲撃する少し前に現場に到着することになる。
 現場はクリスマスのイルミネーションが施された街の広場で、周辺には多くの人達が存在する。
 警察には連絡済みである。現場付近には複数名の警官が待機し、いざ事件が起きれば避難誘導を開始してくれるだろう。
 敵となるエインヘリアルは1体。
 『ルーンアックス』によく似た斧を二振り携え、『クラッシャー』として暴れまわっているようだ。攻撃方法も、ルーンアックスとほぼ同等のグラビティを使用してくる。
「ちなみに、コイツはアスガルドでも凶悪犯罪者として刑罰を受けて居た奴らしくてな、言ってしまえば捨て駒、帰る場所のない状態だそうだ」
「つまり……逃げ出すようなことはない、という事か」
 宝の言葉に、アーサーは頷いた。
「相手は極めて凶悪な奴だ。遠慮はいらん。必ず倒してくれ。君達の無事と、作戦の成功を祈っているよ」
 アーサーの言葉に、
「オーケーだ、アーサー。任せてくれ」
 宝はニヤリと笑い、そう返したのだった。


参加者
相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)
バーヴェン・ルース(復讐者・e00819)
アレクセイ・ディルクルム(狂愛エトワール・e01772)
霧島・絶奈(暗き獣・e04612)
シルフォード・フレスヴェルグ(風の刀剣士・e14924)
愛沢・瑠璃(メロコア系地下アイドル・e19468)
穂村・華乃子(お誕生日席の貴腐人・e20475)
月詠・雛(姫向日葵・e28553)

■リプレイ

●聖夜の街で
 巨大なツリーと電飾で彩られた街を、様々な人々が、様々な表情で歩いている。
 その表情に共通するのは、笑顔だ。
 祝福された夜を迎える喜び。大切な人達と――それは、恋人相手とは限定されない。家族、友人、兎に角、大切な関係性の人々と――過ごす幸せ。
 だが、注意深く見るものが居れば、今日はそんな人々の中に、警備員や警察官が多く紛れ込んでいることに気付いたかもしれない。
「うん。みんな幸せそうだ。だけど、こういう賑やかな時期や催しは、デウスエクスにとっては、虐殺で憎悪と拒絶を集めるのに適しているんだろうな……」
 そんな人々の営みを見やりながら、腕を組みつつ言うのは、相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)だ。人々の幸せなひと時を壊すデウスエクス、その存在を残念に思い、少し顔をしかめた。
 ちなみに、泰地は、まるで格闘技の大会に出るかのようなスタイル――つまり、格闘技用のトランクスに、バンテージや手甲、レガースのみを付けた、半裸のいでたちである。
 今日は中々な寒さなのではあるが、鍛え抜かれた肉体はものともしないのか、寒がる様子はみじんも感じられない。
「――ム。故に、俺達の出番と言うわけだな」
 バーヴェン・ルース(復讐者・e00819)が答えた。
 ヘリオライダーの予知によれば、今日この時、罪人エインヘリアルによる襲撃が発生するらしい。
 人々の幸せを守るのがケルベロス。ならばこの時、動かぬわけにはいかない。
「ああ、分かってるぜ。見つけ次第思いっきり蹴り飛ばして、とっとと退場してもらうか」
「応――頼りにさせてもらおう」
 言いつつ、二人は油断なく周囲を警戒する。
 そこから少し離れた場所では、愛沢・瑠璃(メロコア系地下アイドル・e19468)が同様に、周囲を警戒している。
「クリスマスになれば当然人も増えるわよね……この人達全員、あたしのライブのお客さんだったら最高だったのに」
 軽い冗談などを言いつつも、その視線は油断なく、辺りを見渡す。瑠璃のウイングキャット、『プロデューサーさん』もまた、きょろきょろと辺りを警戒していた。
「まったく、今日のような記念すべき日に……デウスエクスも無粋なものです」
 アレクセイ・ディルクルム(狂愛エトワール・e01772)は些か不機嫌そうであった。
「そうね……こういう日くらい大人しくしてなさいっての」
 瑠璃が同意するのへ、
「ええ、今日は我が愛しの薔薇姫の生誕の日にして結婚記念日。このような日を血に染めようとは、許しがたい愚行としか言いようがありません」
 アレクセイが答えた。瑠璃はすこし目を丸めた後、
「え、そっち? ……うん、まぁ、大切な日に変わりはないわね。あんたの大切な人の為にも、さっさと片付けて、クリスマスの仕切り直しと行きましょうか」
 ニヤリと笑いつつ、警戒を続けるのであった。
「まだ現れないようですね……できれば速やかに対処したい所ですが……」
 シルフォード・フレスヴェルグ(風の刀剣士・e14924)が言う。獣の耳を動かし、わずかな異変も見落とさぬよう。
「焦っても仕方ないでしょう。一刻も早くエインヘリアルにご退場願いたい気持ちは、大いに分かりますが」
 微笑を浮かべつつ――これは、標準的な表情で、実際には無表情と変わりない――霧島・絶奈(暗き獣・e04612)が言う。
 足元では、絶奈のテレビウムが、何時でも飛び出せるように準備をしている。いざという時は、市民の盾となるのが、テレビウムの役目だ。
 その時、悲鳴が響いた。同時に、人々に動揺が走り、空気が張り詰めるのが分かる。警察官や警備員の声だろうか、避難を促す声が聞こえる。
「どうやら、あちらのようですね」
 絶奈が言った。
「行きましょう!」
 言うや否や、シルフォードが駆けだした。絶奈は頷くと、テレビウムを伴って走り出す。

●聖夜に吠える罪人
「クリスマスに出てくる、しかも自分以外に幸せな奴が許せない? 非リアのやっかみにしか見えないわよ?」
 後ろ手に女性を庇いつつ、穂村・華乃子(お誕生日席の貴腐人・e20475)が言い放った。対峙するのは、大柄な甲冑姿の男。罪人エインヘリアル、その者に間違いない。
「怪我はありませんね……もう大丈夫です、指示に従って、避難してください」
 月詠・雛(姫向日葵・e28553)は、華乃子が庇った女性に声をかける。女性は震えながらも礼を言うと、警察の誘導に従い、現場から離れて行った。
「なんだァ、テメェ……俺の邪魔をするつもりかぁ?」
 兜の隙間より見える瞳は、凶悪さに歪み、淀んだ色を見せている。
「その通りです! 雛たちケルベロスが貴方の犯罪、止めて見せます!」
 リボルバー銃を突きつけ、雛が啖呵を切る。いつもより大きな声なのは、今日この場にいない従兄の兄、彼に自分の活躍が届くようにと、そして自分が一人前のケルベロスである事を証明したいと、そう言った思いからだ。
「ハハァ? ガキが言うじゃねぇか。まずぁテメェから血祭だ。その顔、絶望に染めてやるぜ」
「悪いけどね、雛ちゃんに手を出したいなら、お姉さんに一声かけてからにしてくれる?」
 拳を構え、華乃子が言う。
「まぁ、貴方みたいな男は審査するまでもなく即失格。死ぬほど殴って、有明の海に沈めてあげるわ」
「ホザけ、たった2人で何ができる!」
 嘲笑うエインヘリアル。だが。
「当然、2人だけではありませんよ」
「聖夜に1人で寂しく散歩だなんて、全然ロックじゃないわね?」
 響く声。同時に、上空より飛来する三つの影が、エインヘリアルに流星の如き飛び蹴りと、鋭い爪の一撃をお見舞いする。
「ぬおっ!?」
 まともに食らい、のけぞるエインヘリアル。攻撃の反動を利用し距離をとり、優雅に降り立つは、アレクセイと、瑠璃、そしてプロデューサーさんだ。
「せっかくだから、あんたにあたしの、地獄へ行くほど激しいゲリラライブを味あわせてあげるから……アタシのファンになったまま逝きなさいな!」
 びしっ、と地獄へ落ちろのサインをかましつつ、瑠璃。
「チッ、仲間が居やがったか……!?」
 立ち直り、頭を振るいつつ言うエインヘリアルの顔面へ、
「てめえの相手はこっちだ!」
 今度は駆け付けた泰地の『顔面蹴り』が突き刺さった。文字通り、顔面に思いきり、足裏による蹴りを入れる技である。威力はもちろん抜群な上、挑発も兼ねた一撃だ。
「お前とは違い、俺達には仲間がいるのでな」
 全身に地獄の炎を漲らせ、バーヴェンが言う。
 と、同時に、ケルベロス達の足元に、鎖で魔法陣が描かれる。
「群にして個、個にして群。集団で狩りをする、地獄の番犬。それが私たちケルベロスの戦い方ですから」
 微笑を浮かべつつ、鎖の主、絶奈が言う。主の行動に続き、テレビウムも、手にした凶器でエインヘリアルへと殴り掛かる。
「クソッ、ふざけやがって!」
 両手の巨大な斧を振り上げ、エインヘリアルが泰地を狙う。振り下ろされる斧を、泰地は手甲で受け止めた。ガキン、と音をたて、斧が手甲へと食い込む。まともに受ければ骨へのダメージは免れないだろう一撃を、泰地は余裕の表情で受けきった。
「へっ、流石に重い一撃じゃねぇの!」
 ニヤリと笑い、泰地が言う。その周囲を、ドローンが舞う。シルフォードのヒールドローンだ。
「……好き勝手できると思うな、エインヘリアル」
 冷たい声で――だが、その尻尾は、怒りに膨らみ、激しい感情をあらわにしている――シルフォードが言う。
「さて、宣言通り、死ぬほど殴ってあげるわね!」
 華乃子が言って、駆けだす。繰り出されたのは、甲冑をへこませるほどの拳の一撃だ。
「オウガメタルさん、お願いします!」
 雛が言って、オウガメタルからオウガ粒子を放出させる。
「早く終わらせましょう。家で我が姫が帰りを待っているのですよ」
 日本刀、『星辰』で、アレクセイが斬りつける。甲冑をも切裂く鋭い一撃。
「特別な日に特別な場所で大事な人と笑って過ごす……そんな当たり前のことができないなんて悲しすぎるでしょ!? だから……みんなの大事な日の邪魔なんかさせないわ!」
 バスターライフルより冷凍光線を撃ち放つ瑠璃。プロデューサーさんの追撃のリングもエインヘリアルに突き刺さる。だが、それを受けてエインヘリアルが吠えた。
「姫だの大事な日だの……下らねぇだろうが! 俺が! 俺だけが! 楽しいのがいいんだよ!」
「呆れたっ! なんて自分勝手な奴なのよ!」
 顔をしかめる瑠璃と、
「今、姫を指して、くだらない、と? ……よろしい、その口、二度と開けぬよう縫い合わせてあげましょうか」
 穏やかな、それ故に逆に恐怖すら感じる笑顔で呟くアレクセイである。
「刑罰を受けていた凶悪犯罪者ってのは本当みたいだな!」
 天高く飛びあがった泰地が、虹を纏った急降下蹴りをお見舞いする。
「そんなんじゃ永遠に幸せはやってこないだろ!?」
「俺以外の人間全員が不幸になれば、相対的に俺は幸せだろぉ!?」
 わけのわからぬ理屈で応戦するエインヘリアル。
「何とも滅茶苦茶な事を……死して綺麗に生まれ変わり、来世にでも幸せになるのだな」
 地獄の炎を纏った鉄塊剣でバーヴェンが斬りつける。
「いえいえ、彼は今、十分幸せでしょう。とても幸せな頭をしていると思います。私には理解できませんがね」
 泰地を癒しつつ、絶奈がエインヘリアルに対する正直な感想を述べる。
「ごちゃごちゃうるせぇ! 俺の愉しみの邪魔をするんじゃねぇ!!」
 エインヘリアルの斧が淡く光り、ルーンの輝きがエインヘリアルの傷をいやす。
「まったく……お前みたいな奴は、絶対に生かしてはおけない」
 シルフォードが斬霊刀、『妖刀【黒風】』を抜き放ち、接近。漆黒の刀身が煌き、吹き抜ける風のような斬撃が、エインヘリアルの傷口をさらに広げる。
「そんなに幸せになりたければ、私の愛をあげてあげるわよ! 受け止めなさい、思いっきり!」
 華乃子は思い切り拳を握り、力を籠める。それは物理的な力だけではなく、華乃子のうちに眠るパワーを乗せた、『痛恨の一撃』だ。
 甲冑が思い切りひしゃげる程の、文字通りの痛恨の一撃。
「うげ……っ!」
 たまらず呻くエインヘリアル。
「禁断の断章……雛たちに力を……!」
 雛の詠唱した呪文が、アレクセイの脳髄をを刺激、脳細胞が活性化し、その力を教化させる。
「とどめです!」
 雛の言葉に、アレクセイが頷いた。
「では、先ほどの姫への無礼……死を以て償ってもらいましょう」
 アレクセイが薄く笑う。その瞳を見てしまったエインヘリアルの目に映るのは、自身をがんじがらめに巻き取る千の鎖、虚空より降り注ぐ万の剣。
 すべては幻影だとしても、その痛みは現実。
 そしてその悪夢が、エインヘリアルがこの世で見る最期の光景となった。

●メリー・クリスマス!
「おう、もう大丈夫だぜ! 皆!」
 泰地の大声が、聖夜の空に響く。
 戦い終わり、ケルベロス達の手によってヒールされ、すっかり元通りになったクリスマスツリーと、その広場で。
 もちろん、ヒールのせいで些か幻想的な風景になってはいるが、それはそれ、いい味になっているだろう。
 泰地の声に導かれて、避難していた人々が戻ってくる。まばらであった広場も、あっという間に元通り、人々であふれかえっている。
 イルミネーションの点灯には、もうしばらく時間がかかりそうだ。人々は、イルミネーションの再開を、今か今かと待っている。
「これで一件落着、だな!」
 泰地が満足そうに笑う。
「そうですね。被害も出ずに、敵を撃退できました」
 嬉しそうに笑う、シルフォード。一人の犠牲者も出さずに戦う。その誓いを達成できたことが、心を満たしている。
「さて、では、私は一足先に失礼いたします」
 アレクセイが言う。
「――ム。イルミネーションは見て行かないのか?」
 バーヴェンの言葉に、
「ええ、姫を待たせておりますので」
 にこやかに笑うアレクセイに、
「ああ、記念日だ、って言ってたわよね。お姫様によろしくね」
 瑠璃がひらひらと手を振る。アレクセイは皆に一礼すると、人ごみの中に消えて行った。
「皆さん、お疲れ様でした」
 雛が、ぺこり、と頭を下げた。
「雛ちゃん、お疲れ様。頑張ったわね」
 にこにことわらいながら、華乃子が言う。
「雛……ちゃんと、戦えてましたか? 皆の役に立ててましたか?」
 尋ねる雛へ、
「この景色が答えでしょう」
 答えたのは、絶奈だった。
「我々はケルベロス。集団で狩りをする獣。群れでの狩りは、その中の全ての仲間に役割が決められているもの。そして、その中の誰が欠けても成立しない。そして今日、私たちは獲物を狩り獲った。ならば――」
 そこまで言って、肩をすくめた。
「――柄にもないですね。失礼。まぁ、私は楽しめましたよ」
 言うと、絶奈は人ごみの中に消えて行った。
「えっと……褒めてもらった、のかな?」
 雛が小首をかしげるのへ、
「あはは、きっと、そうよ」
 華乃子が笑う。
「あ、イルミネーション、点灯するみたいですよ!」
 シルフォードの声に、雛と華乃子がツリーへ視線を移す。
 一斉に、イルミネーションが点灯した。
 まるで星空がそのまま落ちてきたみたいな、キラキラと輝く電飾に、人々が歓声を上げる。
「そっか……」
 雛が呟いた。
 幸せそうな人々の声。皆の笑顔。一般人だけではない、仲間たちの笑顔も。
 それを守ったのは、紛れもない、自分であるのだと。
 雛はにっこりと笑うと、
「華乃子お姉さん、付き合ってください。お兄ちゃんにプレゼントを買いに行きたいんです」
「ええ、もちろん! とびきりのを選んであげましょ」
 華乃子も、笑顔で頷いた。

 泰地は腕を組み、満足げにツリーを見上げている。
 バーヴェンもどこか穏やかな顔で、イルミネーションに彩られた街を眺めていた。
 シルフォードは、尻尾を振りながら、イルミネーションに見入っている。
 瑠璃も目を輝かせ、拍手などしながら、ツリーとイルミネーションを見ていた。
 アレクセイも帰路のどこかで、絶奈もこの広場のどこかで、この光を見ているのだろうか。

「みなさんが素敵なクリスマスを過ごせますように!」
 クリスマスツリーに向かって、雛が大声で、そう言った。
 ここにいるすべての人に届くように。
 ここにいないすべての人に届くように。
 願わくば、世界中の全ての人が、この聖夜に、素敵なひと時を。

作者:洗井落雲 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年12月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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