ミケの誕生日~甘いパジャマパーティー~

作者:成瀬

「誕生日に一人ってのも寂しいのよねえ……」
 ミケ・レイフィールド(薔薇のヘリオライダー・en0165)は髪の手入れをし終え、ベッドでトランプを慣れた手付きでシャッフルしながら呟く。一人の時間も嫌いではないが、誕生日の辺りは誰かと一緒に楽しく過ごしたいと思った。
「のんびりパジャマパーティーなんかいいかも。皆で甘いものでも持ち寄って、夜の時間お喋りしたり部屋は淡いライトなんて置いて落ち着いた雰囲気に……決めた、皆を誘ってみましょ」
「いつもお疲れ様。ねえねえ、もし良かったら……パジャマパーティーに来ない?」
 ミケはケルベロスたちに自分の考えたパジャマパーティーについて話し出す。
 ちょっと広めの会場があるから、そこにたくさんラグやクッションを置いて皆でのんびりお喋りしたり、ちょっと早いクリスマスのプレゼント交換したり、甘いもので楽しく過ごせたらと。
「持ち寄ってっていうのもいいし、もちろんアタシからも焼き菓子とかプリンとか、いろいろ用意するわね。部屋の中心にはクリスマスツリーを置いておくわ。ちょっとはクリスマスの雰囲気も出るかしら。それと参加者全員に二つ折りのメッセージカードを一枚渡すわね。中に何が書いてあるかは、ふふ。開けてからのお楽しみ。メッセージは一人ひとり違っていて、あなたはそれを気に留めてもいいし、気にしなくても構わないわ」
 一緒に楽しみましょうと、ミケは愉しげに笑うのだった。


■リプレイ

●パジャマパーティー
 夕方から始まったパジャマパーティーにケルベロスたちが集まり始める。広い会場には暖色系のライトが置かれ、中央には一本のクリスマスツリーが。誕生日祝いの言葉に嬉しそうに笑うと、ミケは皆に礼を言った。
 『松』の三人も揃って姿を現した。
 艶やかな肌が透けて見えるような黒のベビードールで登場したのは淡雪だ。
「そのベビードールまだ着てくれてたのか! 嬉しい、ありがとー!私もまだまだ現役で着ているぞ!」
 コウモリの気ぐるみを着て来たリーズレットは、自分も持ってくれば良かったかと少しだけ後悔した顔をする。
「私はコウモリの着ぐるみだー! ブタじゃないぞ?コウモリだ! ほら、手を広げたら羽があるだろ? ホントだって!」
「はわわ! 淡雪さん、せくしぃ……!」
 うずまきは可愛らしいナイトウェアで、無意識の内にきゅっと胸元を少し隠すように手を遣る。
「うずまきさんはとってもらしいと思う! とっても可愛いぞ! そして暖かそう」「広い場所で皆でパジャマ……なんて、少し緊張するね。夜を楽しむ……なんてちょっと大人になった気分だな♪」
 そうだ、と気になって淡雪がミケの方へ目を向けると、黒のシンプルなのナイトウェアで長い髪を後ろで括っているのが見えた。
「睦ちゃんは恋愛禁止なの? もったいなーい」
 部屋の一角で仲良し三人組は、ガールズトーク中。
「別にアイドルじゃないけど、路上ライブのお客さんが私をそーゆー扱いするなら応えてあげなきゃ的な? そんな感じで今は恋愛禁止中! なんてねっ☆」
「んー、コイバナ? えーとね、その人のことを考えると胸が高鳴る人なら、いるよ。私よりも14歳も年上なんだけどね」
「えー、フィアちゃん、その話もっと詳しく聞かせて欲しいんだけど」
 温かいミルクティーを片手に萌花は続ける。強敵への胸の高まりだと知っているのかどうか。
「えーと、ムキムキで私よりもステゴロが強いんだけど……」
 と、フィアールカ。
「でも、恋愛って禁止したところで止まれるとは限らないし? なんなら、あたしと恋してもいいのよ、センパイ♪ なんてね」
 萌花の冗談に睦はくすくすと笑う。
 『よかったこと探しをしよう! 楽しい思い出で幸運アップ!』
 二人で出掛けるのは大抵昼間、この時間は珍しい。
「ふふ、探さなくてもあるからある意味ラッキー? だってさ、ユナとたくさんお出かけしたし、楽しいことばっかりだったもん」
 『大胆なイメチェンで運気アップ?』
「イメチェン、かあ……例えばどういうのかしらね……派手な格好をしてみるとか……?」
 思い悩むユスティーナ。
「イメチェン? ユナはスタイルいいから何着ても似合うと思うんだよ」
 着たことのない色の服はどうかとメリルディはぴっと人差し指を立てて提案してみた。
「私のは『ラッキーアイテムはふわふわもこもこ』みたい」
 それならと香弥都は辺りを見回す。ふわふわのラグに碧依の着ているグレーの猫着ぐるみパジャマ、そして肉球クッション。
「ボクはふわもこっていうよりツンツンだと思うけどにゃー? カードは『オレンジ色のお菓子を食べると幸福が訪れます』って」
「オレンジ色かあ。私の手持ちにはないなあ」
 お菓子も幸せも分け合うもの。二人は揃って腰を上げると、仲良くお菓子巡りの旅に出かけた。
「悪戯っ子ね。怒ってるわけないでしょう。冬華が手伝ってくれたから」
 ふふ、と笑ってミケは冬華の頬をつんと指先で押す。
 パーティーの準備中に仕掛けた小さな悪戯が積み重なって、機嫌が悪くなったのではないかと冬華は案じていた。用意したプレゼントを見せると、ミケの顔が嬉しそうに綻ぶ。
「ねえ、これ。アタシからのプレゼント」
「ホントに? 嬉しいわ。どうもありがとう。まだ夜は長いわ。飲み物何がいいかしら。……ね、ゆっくり楽しみましょ」
 『ウロ仲間』も会場に集まり談笑中。
「ごろごろできて色んな人とお話できて、最高かよ……」
 ココアのカップ片手にゆったりとクッションに腰掛け、寝間着一つでも個性が出るものだと仲間に視線を巡らせる。カードには『迷った時は、己の直感を信じろ』とある。
 次第に話は、好きなタイプの話になった。
 テンションMAXでダイブしてきたのはコンスタンツァだ。白とピンクのキュートなネグリジェで、着慣れないせいかそわそわして布地に触れる。
「アタシの好みはカレシっす。世界一やさしくてイケメンでアタシのこと大事にしてくれるんすよ!」
 外の仲間にも、惚気を聞かせて欲しいと頼む。
 『もし悪い夢を見たら三毛猫を思い浮かべて』
 ロゼはマシュマロを溶かしたココアを一口。
「好きなタイプは私も彼かな。一人ではできない事も二人ならできるし、優しいし私に色んなことを教えてくれる。お菓子作りを勉強したのも……」
 思い切り惚気けてしまったことに気付き、赤面するが遅い。
 もこもこのキャミソールとベリーショートパンツ姿のクレアレスパーダは少し考える。甘いココアを楽しみながら、誠実で自分のことを最後まで守り続けようとしてくれる人がいい。そう思うも、今は口に出さず聞き役に回る。メッセージには『もう駄目だと思った日は生姜焼きを食べるべし』
「女子会(だが男がダメとは言ってない)開催!」
 今宵は男物の白シルクパジャマにガウン姿のロア。黒猫クッションにぽふと寄りかかる。
「2人とも惚気るねぇ……からの。爆発しろ!」
 無論、激励である。カードは『それは春に芽吹き、夏前には分岐が待ってる』
「誘ってくれてありがとう、ロア君。あ、チョコチップクッキーを焼いてきたから、良かったらみんなで摘まんでね?」
 『あなたの大切な人は誰ですか?』と、カードは清音に問う。答えはすぐに浮かんだ。家族。今着ているパジャマも妹が選んでくれたお揃いだ。
(『痛みを恐れるな。扉と鍵は目の前にある』か……)
 紺色の浴衣を着用し、すっと背筋を伸ばし和真は正座しメッセージに目を通す。
(「今は恋愛ごとに興味の無いロア様にも、幸せそうな笑顔を向ける誰かが現れるのだろう」)
 皆の話を聞きながら、主人の未来の幸せを願うのだった。
 触り心地の良い柔らかなクッションに顔を埋め、うとうと寝かけていたマイヤは小さく欠伸をして顔を上げる。カードには『ビッグチャンス到来!』と。
「メッセージカードは『ラッキーアイテムは動物耳』だって。……マイヤちゃんはイヌ耳着ける?」
「イヌ耳付けたらチャンスが来る予感。そしたらセレスも付ける?」
「動物耳……くまとか狐とかも可愛いわよね。私も少し眠たいかも……あなた達と一緒だから落ち着くのもあるのかしらね」
 セレスもつられたように欠伸を一つ。連れられて来たラーシュも何だか眠そうだ。
「このクッション気持ち良すぎてアブナイかも。もっともっと、お喋りしたい……」
 睡魔と戦うセレスとマイヤにキアラは優しく微笑みかける。
「今度は皆でお泊り会しよっか。それなら寝ちゃっても問題ないしね」
 続きは楽しい楽しい、夢の中で。
 優しい光を放つライトの傍では『花家』の三人が。
 選んで貰ったパジャマは怪獣柄。絶句しつつも拒むという選択肢はデニスには無い。
 あむあむケーキを食べたアウレリアはフードのうさみみを揺らしある提案をする。
「トランプ、したいわっ。んと……ばば抜きがいいな。お父さまは……?」
「いいよ、やろう。私も、ばば抜きでいいよ」
「……一個もらい」
 一口サイズのチョコロールを食べていると、ひょいと横から亮に奪われてしまう。紫電の双眸を瞬いてから和らげて、ぽむっと黒い頭をひと撫でする。子供かと眉尻下げて笑われると、口角を上げた。
「私からすれば子供だよ、君も」
「……皆で遊びに行くのは、初めて、だな」
 ぽつりと亮が零す。
 アウレリアは二人の掌を掬い上げて握った。三人で過ごす時間は心地良い。またこうして遊びに来ようと、繋ぎ温もりを分け合い約束するのだった。
 『雨隠』の皆は、童話風ナイティドレスを纏ってパーティーに参加していた。寝そべった喜市は泡のようなフリルが可愛い人魚姫、人魚のブランケットに頬杖をついて尻尾をぱたぱた。手にしたカードは『秘密は秘密を呼ぶ』と告げている。
 志苑は可愛い水色と白のエプロンドレス風で上にカーディガンを羽織り、明子はシンデレラ風で白ロング丈、スクエアネックと裾に白い緻密なレースのドレス、白いレースのガウンを羽織っている。
「きーちゃん!……盛るよ!皆手伝ってー! 髪をお花に見えるように巻くんだよ。あきらちゃんは軽くコテで巻いて、ふわっと大輪の薔薇を咲かせて……」
 皆のヘアアレンジを担当するのは、フィーだ。赤地の膝丈ドレスにアイボリーのフリル付き、その傍らには赤頭巾のブランケットが。有理の髪は小さめの薔薇をサイドに幾つか、白のリボンを編み込み可愛いながらも品のある髪型に。
「薔薇の花みたいに結ってもらって幸せ過ぎるパーティーだわ……」
 自分の髪に触れて呟いた明子は、たくさん持ってきた花のコサージュを喜市の髪へ。
「きーちゃんの髪の毛盛るか?お手伝いするぞ! 盛った髪にお花いっぱい飾って……生け花風?」
 千はグレーテル。チョコレート色のリボンやクッキーのボタン、そしてポッケにはヘンゼルのマスコットが。どきどきでカードを開いてみるとそこには『寝る前にブロッコリーを思い浮かべると、次の日幸運が訪れる』。
「同じ薔薇のモチーフでも、あきらちゃんと私では印象が変わって面白いね」
 今宵の眠り姫の名は有理。淡いピンクのナイティドレス姿で、胸元とスカートの裾には白い薔薇のレースが彩る。上からふわりと婚約者の白いカーディガンを着ている。
「だけど、袖が余って手が隠れてる……私には少し大きいな」
「ふふ、有理ちゃん。それって萌え袖よ」
 喜市がウィンクして笑う。
「おいかけっこですね♪ 待って下さいな、白兎さんっ♪」
 不思議の国のアリスを思わせる空色のプリンセスナイティドレスを着たアリスは、ピンクと紫の縞々模様の猫さんのぬいぐるみを抱いてミルフィを追いかける。カードには『貴女の運命の人はすぐ側の『白兎』さん』
「ふふっ♪ 不思議の国のパジャマパーティーはこちらですわアリス姫様……♪」
 追いかけられるミルフィは穢れ無い純白のネグリジェ。
「――あ、ミルフィ……ほっぺにクリームがついてます……♪」
 口元についたケーキのクリームをキスするように拭われる。ポケットのカードが言うには『【貴女の運命の人はすぐ側の『アリス』』
 ココアを手にして会場の隅へ。『無理は禁物。支えてくれる人を思い出して』とあるカードを受け取るとちょこんと座り、棗は綴に寄り添った。
「僕は普通のだよ。そういうキミは……そういうの良く似合うよね」
「えへへ、きみも似合ってるよ。ぎゅーってしたくなるくらい可愛い!」
 棗は純白のクッキーを指で挟む。
「つづるん、あーん!」
「うん。美味しいよ。ほら、お返し。……ぎゅーはまた今度ね」
 苺大福を皿に置き、頬張るその姿を見て共食いかと抱いた感想は口にしないでおく。綴のカードには『欲望と理性、選ぶのは常に自分自身』とある。
 音花の傍でノアはイチゴのホールケーキをごっそりカットしおいしそうに食べ始める。
「兄様、そんなに食べては身体を壊しますよ?」
「甘いものは別腹だね、音花」
 カードを開くと『ステキな人はすぐ傍にいますよ。見渡してください』とある。
「おや、クリスマスも近いし、ステキな女性が見つかるのかもしれないね」
「兄様は素敵な方ですから、きっと良い方が見つかるでしょうね。……自分はこのままでいたいですけれど……」
 握り潰したカードには『次の一秒を作るのは、己の意思一つ』と。
「今日のパーティは楽しかったね、また来ようね音花」
 その言葉が、祿葉には今は少し痛い。
 『音鳴らず時耳をすませば知識を得る』と文字を追い、詩だろうかとすずは思う。ベルを置いて『御伽話』の皆の話を、菓子を食べることなど忘れて聞き入る。今宵選んだのは、レースで飾ったワンピース風の寝間着だ。
 『ラッキーアイテムはココア。楽しい時間の幕開け』と、ココア片手に希莉は微笑む。
「アタシもこういうのは初めてだ」
 ふと見てみると、どうやらセリュカはもこもこ仲間のようだ。
「『友人と過ごすと1日幸せで居られる』か。……おや。もう叶ってしまいそうだね」
 白いキャミソールワンピースにもこもこカーディガンを重ね、微笑しビビは皆へ視線を巡らせる。
 『今こそを楽しもう。宝探しをするように』、と。声に出して読んだウルズラは冷え性なのを気にしてブランケット纏いホットミルクで手と喉を温めている。
「今夜は、たくさん見つけられた気がするわ」
「わたしもウルズラのように沢山の宝を見つけた気がするよ」
「楽しい夜の次は、楽しい朝がやってくる。そうして、また思い出を増やしましょう」
 穏やかにそう言ってウルズラはビビと視線を重ねる。
 もしもこの中の誰かがすなかったり他の誰かがいたり、カードやこの時間も今と少し違ったものになったに違いない。
「『Everything happens for a reason」全ての出来事には理由があるって意味、よね? こうして皆で楽しめている今夜も日々の積み重ねの賜物、って解釈かしら」
 浴衣の合せ目をすいと指先で直しながらスズネは呟く。パジャマパーティーに参加したのは初めてだったが、お茶もお菓子も此処にはある。今夜だけは楽しく頂こうと決めた。
「こういうの、ワタシも、初めて。みんな、それぞれ、可愛いね」
 水色に白い水玉模様のパジャマ姿の流華。『さざ波の音色が絆を更に深めていく』とカードにはある。
「さざ波の、音色……唄、かな? ワタシ、唄は、好きだから、いつか、皆にも、聴かせられると、いいな」
 そう言って、ふわりと微笑む。
 『願い事をすると明日は晴れ』と書いてあったのはセリュカのカード。もこもこパジャマに身を包み、夕方から集まりこうして夜更かしするのは悪い子になった気分でドキドキする。でも今日は特別。
「そうねぇ、お願いするなら。これからもみんなとの楽しい日が、続きますように!」
 ラグに寝転がりウイングキャットのだいごろーをむぎゅーと抱枕にし、私服の時に鈴女は浸る。
「はふう……ふっかふかで気持ちええでござるな……」
「あたしもだいごろーだっこしたい」
 と、参戦してきたのは百合水仙だ。もふもふの魅力には誰も勝てない。
「エクレアのもふもふでもよいぞ」
「ふむ……だっこしたいと……宜しいならばサンドイッチでござる。鈴女もイブは更にもう一歩進んだオトナの関係について……とか? なーんて」
「あー、クリスマスねー。補習だわ……ケルベロス活動で学校休んだ分の。んー、なになに。『注目アイテムは眼鏡。いろんな意味で新しい世界が見えるかも』だって、クリスマスの運勢……?」
 一方ヒメが選んだのは、青地に白の水玉模様の上下で少し大きめ。袖が少し余っているがそれが可愛らしい。開いてみるとカードには『チャンスを掴むには、時には大胆に』と書いてある。
「ええと、これでボクの写真撮ってもらえないかな?」
 スマホを渡されたちさは写メを撮り、他にも撮って欲しい人がいたらと声をかけた。そして自分のメッセージカードを熱心に読み込む。『糸は既に繋がっている。あとは、勇気をもって引き寄せるだけ』とあった。
「自分のパジャマじゃないのは新鮮でいいわね、着慣れない感じも新鮮でいいわ」
 写真撮影には憂女も参加する。深い赤色をした和柄のパジャマを選び、何枚か人物や構図を変えて撮ってみる。カードには『桜の咲く頃、大切な選択肢がアナタの前に表れるかも知れない』と。
 ライトグリーンのパジャマを選んで着込んだティも、仲間たちと写真を取り合ってわいわい盛り上がっている。
「写真といえば綺麗なクリスマスツリーや大きなケーキも外せませんね」
 思い出すのは今は亡きお師匠さまが開いてくれた、初めてのクリスマスパーティーのこと。お師匠さまがいなかったら、今頃どうしていただろう。ティのカードには『お気に入りの歌を寝る前にゆっくり口ずさんでみて』と綴られている。
 市邨とムジカはお揃いのふわふわもこもこ、ひつじのパジャマ。
「ね、市邨ちゃんのカードは何て書いてあったの?」
 はっきりとした答えは無い。代わりに、ムジカに抱きついて肩口にぐりぐり額を押し付ける市邨、意識は夢と現を彷徨う。
「夢でも一緒だと良いな……大好きなムゥ。寝ても覚めても、君の傍でありますように」
「勿論、夢の中でも貴方の傍にいさせてネ」
 瞼が落ちていく市邨の手からカードが滑り、大切な人へと滑り落ちた。『君が俺の世界に優しい色を与えてくれる』。そうして二人、甘く甘い夢の中へ。
 クリスマスツリーに、甘いお菓子の匂い。
 パジャマパーティーの夜は、こうしてそれぞれに優しい記憶を残し更けていくのだった。

作者:成瀬 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年12月27日
難度:易しい
参加:51人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 7/キャラが大事にされていた 1
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