●葡萄畑の中
土の臭いの中に、甘い香りが混じる。
その農園は実りの時期を迎えた葡萄の熟れた香りと、収穫を祝う人々の歓声で満ちていた。
「クレマン様、収穫祭へようこそおいでくださいました。今年の葡萄も良い出来ですよ」
「はは、ここは毎年盛況だねぇ。私もオーナーとして鼻が高いよ」
恰幅の良い男が差し出すグラスを、クレマンと呼ばれた紳士風の男が受け取り笑顔を見せる。
ここら一体の広大な葡萄畑はクレマンの持ち物なのだ、そして今日はその収穫祭に主賓として呼ばれたという訳だ。
始めに挨拶に来た恰幅の良い男を皮切りに、老若男女を問わずに挨拶に来る人々に丁寧に対応するクレマンだが、
「パパー! 葡萄踏みって、なんだか病み付きになりそう!」
彼の一人娘である、セレナが手を振ってくるのに思わず口元を緩める。
「クレマン様、私とは握手をしていただけないのですか?」
「おっと、すまないね。娘に気を取られてしまったよ。私の愛しい一人娘にね」
そんなクレマンだが、少し寂しそうに話しかけて来た女性に、茶目っ気たっぷりにウィンクを返すが、
「ふふふ、確かに可愛いお嬢様ですね……あの首を飾ったら部屋が華やぎそう……でも、お嬢様一人では可愛そうですので、貴方の首を並べましょう」
クレマンが、その声の主が螺旋をモチーフにした模様の仮面を被っていることに気づいた次の瞬間、クレマンの首は仮面の女……螺旋忍者の手に納まっていた。
「ああ、お嬢様の首も頂かなくてはね」
それから、螺旋忍者は事態を理解できずに凍りつくセレナへと歩みを進め、葡萄畑の甘い香りの中に鉄の臭いと臓腑の腐臭を撒き散らしていったのだった。
●狙われた富豪
「ケルベロス・ウォーに大きく貢献した世界各地の有力者を、螺旋忍軍が狙っている事が判明しました」
セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)はケルベロスを前に話を始める。
「ケルベロス・ウォーに大きく貢献したものが、デウスエクスによって粛清されるという事実を突きつける事で、今後、ケルベロス・ウォーに協力する者を減らそうという目論見なのでしょう」
有力者の粛清……自らや家族に危険が及ぶとなれば、有力者たちはケルベロスへの協力に二の足を踏んでしまうかもしれない。
なんとも嫌らしい作戦ではあるが、実に有効な作戦だ。
「今回狙われるのはクレマンと言うフランスの富豪と、その娘のセレナさんです。クレマンさんは彼が所持する農園の一つ収穫祭に呼ばれたのですが、そこを1体の螺旋忍軍に目をつけられたようです」
事態を理解した様子のケルベロスに頷き、セリカは話を続ける。
「その螺旋忍軍は日本刀での攻撃を得意としているようです。また、元々クレマンさんの護衛が居ますが、あからさまに護衛の数を増やしたり、収穫祭への参加を取りやめた場合の螺旋忍軍の動きがわかりませんので、皆さんには収穫祭へ参加しつつクレマンさんを守っていただくことになります」
確実にクレマンを守り、螺旋忍軍を仕留めるために自然な感じで祭りに参加する必要があると言うことか。
「襲撃発生後に何とかクレマンさんとセレナさんを救って下さい。また、螺旋忍軍との戦いの際には、元から居た護衛の方々が周囲の人々やクレマンさんたちを避難してくれます」
最初の襲撃の瞬間さえ押さえれば、後は単純な戦いになると言う事だろう。
一通りの説明を終えたセリカは、まっすぐにケルベロスたちを見つめ、
「皆さんなら、螺旋忍軍の野望を必ず阻止していただけると信じています」
信頼を示すように、微笑んだ。
参加者 | |
---|---|
コンスタンティン・クイン(アビトレイト・e00153) |
桜狩・ナギ(花王花宰の上薬・e00855) |
ファン・バオロン(蒼眼の獄焔龍・e01390) |
天月・光太郎(月明かりの路を探す者・e04889) |
安室・零(白馬師団の執事・e06264) |
廓・ありす(サイレンの魔女・e14746) |
フリューゲル・ロスチャイルド(猛虎添翼・e14892) |
アーニャ・シュネールイーツ(時の理を壊す者・e16895) |
●葡萄祭り
熟れた葡萄の甘い香りの中に、人々の笑い声が溢れている。
ただ熟れた葡萄が大量にあるだけでも結構な香りがするのだが、今この場では葡萄踏みも行われているのだ……その香りの強さときたら少し酔ってしまいそうな程である。
香りの強さだけではなく、祭り独特の高揚感もあるのか、人々の浮かれ具合はもはや最高潮と言っても過言ではないくらいだった。
そんな人々の浮かれ具合をさらに盛り上げるべく、廓・ありす(サイレンの魔女・e14746)は葡萄踏みのリズムに併せてギターを弾く。
「友達になろうよ、セレナ」
ありすの音楽に併せて葡萄を楽しげに踏んでいた金髪の少女……セレナへ、フリューゲル・ロスチャイルド(猛虎添翼・e14892)は屈託の無い笑顔を向け、
「まぁ! 積極的ね。良いわよ!」
友達になろうと言う、フリューゲルへセレナもまた笑顔で返す。フリューゲルがセレナへ向ける好意は無邪気なもののようだ。それを察した上で、初対面とはいえ祭りの場を共有する仲間、それも自分よりも年下となれば、セレナからすれば断る理由もないと言うことだろう。
わーいやったーなんて、手を取り合って葡萄を踏みあう二人の様子を、ファン・バオロン(蒼眼の獄焔龍・e01390)もまた葡萄を踏みながら見つめていた。
葡萄踏みに興じるファンたちから、少し会場の隅へ視線を移せば、そこには人々と談笑するクレマンの姿と、
「葡萄の妖精のぶどっしーや! ……っしー!」
デフォルメされた顔のついた葡萄の国からの親善大使を自称する、謎の葡萄のキグルミが居た。
「はい、ぶど……しーっ!」
そしてクレマンと肩を組む謎のキグルミぶどっしーの姿を、コンスタンティン・クイン(アビトレイト・e00153)がカメラで撮る。
「似合うを通り越して正真正銘のぶどっしーといった感じだな」
コンスタンティンはぶどっしーと共に、撮った画像をすぐさま確認しつつ満足に頷き、ぶどっしーもまたやたら機敏な動きで喜びを表現していた。
(「正真正銘のぶどっしーって何だろ」)
葡萄踏みを見守る人々に紛れていた、天月・光太郎(月明かりの路を探す者・e04889)は機敏に地面を転がりながら、今度はセレナの方へと向かっていったぶどっしーとコンスタンティンを見送りつつ首をかしげた。ぶどっしー……語感の良く似た何かが記憶に引っかかる気がするが、きっと気のせいだろう。
「なにこれー! へんなのー!」
なんてセレナから笑われながらも奇怪に動き回るぶどっしーと、それをカメラで撮り捲っているコンスタンティンから、再び光太郎がクレマンへ視線を移せばクレマンは朗らかに人々と握手を交わしていた。
クレマンの傍らにはメイドに偽装した、アーニャ・シュネールイーツ(時の理を壊す者・e16895)と、執事に扮した、安室・零(白馬師団の執事・e06264)が居る。
「フフッ……お嬢様、楽しそうでいらっしゃいますね」
クレマンへ挨拶をする人の波が途切れたのを見計らって、アーニャがクレマンへ話しかけると、クレマンは眩しそうに我が子を見つめながら、
「そうだねぇ、お転婆なのが玉に瑕だけど、とても良い子に育ってくれた。二人とも、これからもセレナを頼むよ」
アーニャと零へセレナを頼むと朗らかに笑った。
自分の付き人へ今までを感謝し、これからを願う……クレマンを知るものからすれば自然な言葉だろう。しかし、これから起こることを知るものにとっては別の意味となる。
「畏まりました」
クレマンの言葉に、零は小さく礼ををする。ただ親として娘の身を案じる。当たり前のことと人は言うかも知れないが、自らの命が狙われている状況で、その当たり前を出来る人間は中々居ないものだ。
「パパー! 見て見て! この葡萄のお化け面白いのー!」
「ぶ……どっじぃ」
ぶどっしーの首っぽいところに抱きついて天真爛漫に笑うセレナへ、クレマンがにこやかに手を振ると、
「クレマン様、私とは握手をしていただけないのですか?」
少し寂しそうに一人の女性が話しかけてきた。
●現れた敵
ソレを見た瞬間、ファンはオーラを足裏で破裂させ一息にソレの懐へと入り込み、ソレの両の足の間を踏み抜かんばかりの勢いで二歩目を踏み出す。
地面からの衝撃はソレの体を震わせて体勢を崩し、同時にファンへ力を与える。そして三歩目に、ソレの向こう側へ踏み込む勢いで肩から膝までを使って体当たりをかますと、ソレは吹き飛んで地面を転がった。
「きゃ!?」
唐突に真後ろから駆け抜けていった衝撃に髪を乱され、飛び散った葡萄の汁に思わずセレナは両手で目を覆う。
「っ! ケルベ――」
「ヒャッハー! アントシアニンパワアアアア!」
ファンに吹っ飛ばされた女性……螺旋忍軍が両手で地面を弾いて器用に体を起こした瞬間、セレナの手から逃れたぶどっしーこと、桜狩・ナギ(花王花宰の上薬・e00855)の物事の核、中心、真髄――そういったものを捉える一撃が螺旋忍軍の仮面の中央へ炸裂した。
ナギに顔面を打たれ仰け反った螺旋忍軍へ、光太郎の敵のグラビティを中和し弱体化するエネルギー光弾が直撃すると、螺旋忍軍は大きく後ろへ跳ねて光太郎たちとの距離をとった。
「くそっ、ケルベロスめ!」
地に左手を着き、右手で日本刀を構える螺旋忍軍が、忌々しげに渦を巻いた仮面を上げる……と、今まで凍りついたように固まっていた人々は呪縛から解き放たれたかのように悲鳴を上げて我先にと逃げ始めた。
「さぁ、ここはわっちたちに任せてクレマン様も逃げておくんなんし」
逃げ出す人々の中、悠然とクレマンの側まで近づいたありすがドレスの裾を抓まんで会釈をすると、ドレスの中からありすが先生と名付けたナノナノが飛び出して、クレマンの周りをくるくると回る。
クレマンはありすと先生の様子に目を細め、それから自分を守るように前に立つアーニャと零を見やる。
「ああ、後は任せるよ」
そして踵を返すと、セレナへ向かって駆け出した。
「逃がすものか!」
「そこに座りなさい」
駆け出したクレマンを追おうとする螺旋忍軍を、零が一喝するとその言葉は稲光そのものとなって螺旋忍軍へ突き刺さった。
零の一喝により出鼻を挫かれた螺旋忍軍の動きが一瞬止まり、その背後からダンボールの中に潜んでいたラビリンスが飛び出すと、螺旋忍軍の背中へ一撃を叩き込んだ。
「森羅万象、唯我独尊……顕世一切わっちのものでありんす。無論、ぬし様も……」
背後からの不意打ちに慌て、横へ転がってラビリンスから離れる螺旋忍軍へ、ありすが『この世のものは全て自分のもの』という圧倒的支配力を篭めた曲で螺旋忍軍の自由を奪うと、螺旋忍軍はクレマンを追うことを諦めたのか、ファンたちへと螺旋の面を向けた。
「避難は任せた」
螺旋忍軍の様子を確認したコンスタンティンは、警備の者たちへ一般人の避難などを任せると告げると同時に、螺旋忍軍へ音速を超える拳をたたきつけた。
「さぁ、セレナ行こう」
「パパ? これは……!? 君も一緒に!」
目を拭っていたセレナの肩をクレマンが叩くとセレナは首をかしげ、先ほどまでクレマンが居た場所で行われている戦いに丸くする。だがそれも一瞬のこと、セレナはすぐに状況を理解し先ほど友となった少年へ一緒に逃げようと手を伸ばす。
「心配しないでね。絶対、怪我させたりなんてしないから!」
しかし、少年……フリューゲルはセレナとクレマンへ屈託の無い笑顔を向けた後、螺旋忍軍へ向かって走り出した。
身を半回転させてコンスタンティンの拳を受け流した螺旋忍軍は、緩やかな弧を描く斬撃をコンスタンティンの首筋へ伸ばすが……駆け込んで来たフリューゲルがコンスタンティンを突き飛ばし、その凶刃から逃れさせる。
コンスタンティンの首の代わりに、フリューゲルの額が浅く斬られるが、そんな傷など気にする様子も無く、フリューゲルは絶望しない魂を歌い上げる。
「くっ」
螺旋忍軍はその歌を嫌うように、フリューゲルに足をかけて後ろへ大きく跳ねるが、
「軌道・速度計算……私の射撃、避けきれますかっ!」
着地点を読んだアーニャがミサイルポッドを出し、大量のミサイルを浴びせると、螺旋忍軍は爆発に包まれた。
●螺旋忍軍
「読まれていた……と言う事ですか」
日本刀が一閃されると螺旋忍軍の体に纏わりついていた煙が振り払われる。目標の首もとれず、囲まれているこの状況……どう考えても暗殺が読まれていたとしか思えない。だとすればどうするか? 逃げるのも手だが、
「目標の代わりに、貴方たちの首を手土産としましょう」
螺旋忍軍は戦闘を選択した。この状況から逃げおおせるのは難しい。ならば、一人でも道連れにしてあの世への手土産としようと、そう考えたようだ。
「そないに首を飾りたいのでありんしたら、是非ご自分のをどうぞ。お手伝いいたしんすよ」
だが、そんな螺旋忍軍の心情など知ったことではない。ありすが螺旋忍軍の言葉を一蹴すると同時に、地獄化した鱗を燃え上がらせたファンの指先が、螺旋忍軍の胸元に突き刺さる。
螺旋忍軍は日本刀を振り払いファンを退けようとするが、気脈を断つファンの一撃はそれを許さない。螺旋忍軍は動かそうとした右腕が自分の意に反して硬直したことに思わず目を向けて……その視線の先に、ライトニングロッドを構えたナギの姿があった。
次の瞬間放たれたナギの雷は違うこと無く螺旋忍軍の体へ直撃し、
「何処から来るのかご用心、魔弾の射手は外しはしない……ってな!」
ナギの雷が当たると同時にファンに蹴り飛ばされた螺旋忍軍が後ろへよろめいたところへ、光太郎の勘と降魔拳士としての解に基づいての狙撃がその鳩尾を貫いた。光太郎の一撃により麻痺に似た状態へ陥った螺旋忍軍の足が止まる。
そして、その隙に零がオーラを溜めてフリューゲルの額の傷を癒し、身を低くして螺旋忍者までの距離をつめたフリューゲルが電光石火の蹴りを放つ。
だが、螺旋忍者はフリューゲルの額に掌を置き、頭の上を軽く飛び越え背後に回る。それから、フリューゲルの背中を掴むと、追憶に囚われず前に進む者の歌を口にしようとする、ありすへ叩きつけて歌を阻害した。
間髪いれずに螺旋忍者は日本刀を鞘に納め、体勢を崩され尻餅をついたありすの眼前に迫り……日本人形のような首目掛けて抜刀しようとするが、
「……ぐっ!?」
再び思い通りに動かなかった右手に思わず息を漏らした。しかしそれも一瞬……だが、その一瞬の隙に、コンスタンティンが目にも止まらぬ速さで弾丸を放ち、螺旋忍軍の日本刀を砕いた。
「口惜しい……その綺麗な首、もって逝きたかったのに」
「3……2……1……時よ凍って……テロス・クロノス!」
砕かれた日本刀の柄を手に、ありすから視線を逸らさない螺旋忍軍に対してアーニャは体感時間にして数秒の時を作る。
「そして、フルバーストっ!!!」
そして、その時の中で溜め込んだ力を一気に解放して――幾筋もの光に貫かれた螺旋忍軍は、完全に動きを停止したのだった。
●共に戦うものたち
消滅してゆく螺旋忍者を見つめていると、戦いが終わったことに気がついたクレマンたちが戻ってきた。
「無事な様でよかった」
「皆、無事で何よりだ。怖い思いをさせてしまってすまない」
自分たちの姿を見て胸を撫で下ろすクレマンに、コンスタンティンはこちらこそと返す。
クレマンたちは、ケルベロスに協力したことから螺旋忍軍に狙われることになった。だから申し訳が無いとコンスタンティンだけでなく、ありすやファンも同じことを考えているようだ。それだけでは無く、頂いた恩も返さねばならぬと。
「そうか、君たちはそんな風に考えていたんだね」
「違うでありんすか?」
自分の言葉に首をかしげる、ありすに優しく微笑み、クレマンは語る。
「君たちが戦ってくれるから、私たちは明日に希望が持てるんだ。その希望を守るためなら、私たちは何でもやるさ」
もしもケルベロスが居なければ、人々は何時狩られるか判らない、助けも来ない。そんな絶望しかない日々を送ることになるだろう。
「葡萄のお化けさん!」
「ぶど汁ブシャーや!」
ありすが希望と言う言葉を反芻していると、横から猛烈な勢いで走ってきたセレナがぶどっしーに抱きついて押し倒した。
「君も無事だったのね、良かった! それから、ありがとう!」
それから満面の笑顔でフリューゲルへ手を伸ばし握手を求めた。
そんなセレナの様子をみてファンは考える……クレマンからすれば、セレナこそが未来への希望なのだろう……だからケルベロスを支援する。希望を繋ぐためにクレマンも自分に出来る戦いをしているのだ。
否、クレマンだけではない、彼の周りで自分たちに微笑むものたちもまた同じだろう。
「これからも、共に戦おう」
「ああ、勿論」
いくつかの言葉を飲み込み、真っ直ぐにクレマンの瞳を見ながら差し出したファンの手を、クレマンはしっかりと握り返した。
再び農園に歓声が満ちる。今度は掛け値なしに本当のお祭りだ。幸いなことに会場には全く被害が無かったため、そのまま続きを始めることが出来た。
「食べ物を踏んで潰すなんて、なんだかいけないことをしてるみたいで……ちょっとゾクゾクしんすね、ふふ……」
そして再び葡萄踏みに戻ったセレナと一緒に、ひらひらした葡萄踏み用の衣装を借りて着替えたありすも葡萄を踏んでいた。
「おい、あの嬢ちゃん中々良い踝してるぜ」
「セレナお嬢様も良いが、あっちの嬢ちゃんの方が色気があるな」
「はい、中々良いおみ足でございます」
その様子を、さも子供たちを見守る親であるかの様に装ってじっくり観察する駄目な大人たち……さらっと零が混じっていたりもするが。
「折角の収穫祭です……私も、お手伝いします♪」
そんな駄目な大人たちの様子には気づいた様子も無くアーニャも葡萄踏みに参加し、
「お、レプリカントのねーちゃんもかなりいいな」
「はい、中々見事なおみ足でございます」
視線に気づいたらしいファンが、葡萄を踏みながら突き刺さるような視線を向けてくる。
「踏まれたい」
「え?」
そして最後に、何故か奇怪な動きで葡萄踏みに参加しているぶどっしーを見て、
「無いな」
「論外でございます」
やれやれと溜息をつくと……ぶどっしーは猛烈な勢いで零たちの方へ転がって来て、
「「うわふぉ!?」」
駄目な大人たち一同を巻き込み轟沈した。
「いいか、誰もがどの足が一番綺麗なんて納得ができる訳が無いんだ、むっちりした足が好みの人間もいればほっそりとした足が好きなのを好きなのもいる、好みがあるのにどれが一番なんて馬鹿げた話なんだ、そもそも――」
隣で目を回す零たちの様子など気にすることも無く、光太郎が持論を語りだし……祭りはまだまだ続きそうだった。
作者:八幡 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
|
種類:
公開:2015年11月1日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 8
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|