●お洒落タイムの妨害者
「どうしようどうしよう、コーデは決まってるのに髪型決まんない……!」
春野・知佳はメイク道具でいっぱいの洗面所で、これでもかとあたふたわちゃわちゃしていた。
髪を軽く纏めてみたり、そのまま下ろしたり、前髪の分け目を変えてみたり。色々試していたと思えば、シュシュや髪飾りを当ててはうんうん唸っている。
「軽く巻いてみる? あっでも、編み込みも可愛いかも……検索検索。……わあ可愛い! ……………………って、魅入ってる場合じゃなくて!」
洗面所から顔を出し、リビングの隅、ベッドに置いたままの『今日の特別コーデ』を見る。
深めのVネックと、ふんわりゆるく広がった袖口が可愛いアイボリーのニットセーター。アンダーはワインレッドのフレアスカートと黒タイツ。艶々のリボン飾りがワンポイントなブーツも黒で、そっちは玄関でスタンバイ済み。
「夏に貰った花の腕時計は用意してあるし、あとはほんと髪型だけなんだけど……うーん、ひろ君は何でも可愛いって言うもんなぁ」
嬉しいけど悩ましい、と口を尖らせる顔は幸せそうに笑っていたが、視界に入った時計を見て強張った。
「『時は金なり』! 待ち合わせまでまだ時間あるけど、早いうちに髪型決めて、とびっきり可愛くなってひろ君とクリスマスデー……え?」
鏡に映る自分、その背後がぐにゃりと歪んでいる。
うそ、という言葉が音になる僅かな間。現れた異形達は、知佳を卵型の機兵へと閉じ込め――広くない為にギュウギュウになった洗面所から、1体ずつリビングに出る。
「ワレラのシメイは、クリスマスがオワルまで、このバを守護スル事ナリ」
「さすれば、ゴッドサンタのハイボクの証、ケルベロスのグラディウスを封印できるだろう」
「この女から、クリスマスの力を絞りダシ、絶望にカエルのだ」
●聖夜略奪~誰がために輝く
「去年のクリスマスを覚えてるかな。ほら、ゴッドサンタの事件」
事件を解決した事でケルベロス達はグラディウスを得、ミッション破壊作戦を開始。
そして多くの地域を開放する事に成功している。
ラシード・ファルカ(赫月のヘリオライダー・en0118)は現状を軽く纏めた後、この状況を良く思わないもの――地球に潜伏していたダモクレス、潜伏略奪部隊『輝ける誓約』の軍勢が、クリスマスの力を利用し、ケルベロスが持つグラディウスを封じようと作戦を仕掛けてきたと告げた。
「敵は魔空回廊を使って、クリスマスデートを楽しみにしている女性『春野・知佳』の前に出現。儀式用のダモクレス『輝きの卵』に閉じ込めて、グラディウス封じ込め儀式を始めるんだ」
戦闘力を持たない『輝きの卵』には、3体のダモクレスが護衛に付き、ケルベロス達の襲撃に備えているという。その3体さえ倒せば、知佳の救出と『輝きの卵』撃破が可能になるのだ。
護衛ダモクレスは、騎士めいたものが1体、槍を装備した女性型が1体、長い爪を持った女性型が1体。
騎士がディフェンダー、槍がクラッシャー、爪がジャマーとポジションは分かれているようだ。連携してケルベロス撃破を狙ってくる為、知佳を助ける為にも、どのように挑むかしっかり考えていくべきだろう。
ラシードが敵の撃破だけでなく救助も願ったのには理由があった。
「儀式が終わると『輝きの卵』は自爆して、そのエネルギー全てをグラディウスの封印に使うんだ。つまり――そういう、事だね。クリスマスだっていうのに、何て非道い事を……」
恋人とのデートをとびっきりのものにする為、お洒落しようと奮闘していた知佳。
恋人への想いも、その頑張りも、これからの未来も。敵は『グラディウスを封印する』その『ついで』で全て奪ってしまう。
「被害者を救助して卵を撃破すれば、彼女はクリスマスデートに行ける。ただ、髪型が決まらないって悩んでいたから、手を貸してあげてもいいかもしれないね」
だってほら、クリスマスだからね?
男は楽しげに笑った後、それじゃあ後は頼んだよと、いつものように信頼を寄せた。
参加者 | |
---|---|
芥川・辰乃(終われない物語・e00816) |
メリーナ・バクラヴァ(ヒーローズアンドヒロインズ・e01634) |
ロストーク・ヴィスナー(庇翼・e02023) |
天見・氷翠(哀歌・e04081) |
野々宮・イチカ(ギミカルハート・e13344) |
尾神・秋津彦(迅狼・e18742) |
桜庭・萌花(キャンディギャル・e22767) |
セリア・ディヴィニティ(忘却の蒼・e24288) |
●聖夜にお仕事
全身を包む蒼炎越しに見た存在は、クリスマスデートにはあまりにも不似合いかつ、お邪魔虫。故に、セリア・ディヴィニティ(忘却の蒼・e24288)は溜息をひとつ。
「わざわざこんな日に侵略に乗り出さなくても良いでしょうに……それとも、ダモクレスに風情を期待する方が無茶というものかしら……」
「去年はひどいサンタさんだったし――ねっ!」
野々宮・イチカ(ギミカルハート・e13344)は同意して即、バネのように飛んだ。眩い星の蹴撃は容赦ない火力となって『城』の腹へズドン。重厚な鎧に亀裂が走った所へ、今度は宙翔た光が突き刺さる。
「待ってて。すぐにそこから出してあげるから」
「しっかりデートに間に合わせるから、少し待っていてくれ」
囚われの知佳へ桜庭・萌花(キャンディギャル・e22767)は笑顔で約束し、ロストーク・ヴィスナー(庇翼・e02023)も約束を重ね、『爪』に迫った。稲妻宿した穂先が細身の機兵を貫こうとした直前、間に割り込んだ巨体が低く呻く。
見下ろしてくる赤いモノアイと視線を交えたのは一瞬。
両者共に素早く距離を取った刹那、箱竜プラーミァの力を受け取った天見・氷翠(哀歌・e04081)は小さな呻き声を聞いて気遣うように洗面所の方を見た。だが、薄く青味掛かった白翼をぱさりと揺らし、すぐさま前衛を護り支える星々を描き出す。
「助けに来たよ。デートに間に合う様に頑張るから、待っててね」
グラディウス封じ込め儀式が始まっている影響で、知佳は気を失ったのかもしれない。だとしたら尚の事、約束を重ね、叶えなくては。
眩い光が室内に満ちる中、白と金で彩られた敵が一斉に動いた。
「貴様ラの歩みは今日、ココで止まルのダ!」
「我々の使命ノ邪魔はさセナい」
「疾く死ネ」
内臓まで震わすような咆哮が轟き、爆ぜる雷の雨と網が降り注ぎながら爆ぜる。その標的が後衛だと理解するより早く、萌花と箱竜・棗が飛んだ。
「はぁーい、ザンネンでした」
パチンとウインクした少女が一瞬振り返る。視線を交わした芥川・辰乃(終われない物語・e00816)は柔く笑み、奮い立たせた勇気を胸に舞った。
「命はこの星の宝。聖夜はこの星にとって大切な催し。悪しき企みのためになど、決して奪わせはしません」
溢れた花弁が前衛の周囲を舞い踊り、箱竜の棗も緑伝う白翼で力強く羽ばたき己を癒す。その脇を駈け抜けた尾神・秋津彦(迅狼・e18742)の刃に雷が宿った。
「聖夜とてお構い無しとはご苦労なこと。されど見過ごすわけにはいかない所業、牙にかけて制裁致す」
刃は一瞬のうちに閃き、『城』が呻く。そこへひらりと躍り出たメリーナ・バクラヴァ(ヒーローズアンドヒロインズ・e01634)が――静かに、静かに、微笑んだ。
●それぞれの使命
バヂッと音が爆ぜたのと同時に室内が、『槍』が、雷光に照らされ白く染まる。
「毎年毎年、皆さんのクリスマスデートを!!」
ダモクレスがこういった企みを起こさなければ、クリスマスを楽しみにしていた誰かのひとときに余計な影は落ちなかった筈。
メリーナの繰り出した一撃が衝撃と共に『槍』の全身を駆け巡った直後、秋津彦は『城』に刻まれたばかりの傷口目掛け凍結光線を放つ。ごう、と吹いたそれで秋影色の髪が尾のように翻った刹那、今度はセリアの現した黒太陽が絶望の光を落としていく。
「ぬ、グアッ……!」
『城』の体が大きく揺らぐが、フローリングの床を強く踏んだ巨体から光が溢れ出した。
「コれしきノ傷!」
「だったらコレもどう?」
イチカは悪戯っぽい笑みを浮かべ、くるりと向けた杖の先端から次々と魔法の矢を放つ。鳥の群れの如きそれは凄まじい威力と共に突き刺さり、更なる一撃も喰らわせていけば、鎧の砕けていく音がして。
「ぐ、ガッ……オノれ、オノ、レェッ!!」
走ったヒビは音を立てて広がっていき、白き巨体が内側から爆ぜるように崩れていく。
崩壊した『城』を見て、『槍』と『爪』が動きを止めたのは一瞬。どちらも各々の武器に力を漲らせ、ゆるりと1歩、踏み出してきた。
「欠ケヨうともワレらノ使命、変わラズ」
「ケルベロスの血肉モ絶望に添えルとシヨウ」
クリスマスの力を絶望に変え、グラディウスの封印を。
そう言って床を蹴った『槍』の振るう穂先が空気を共に肉を貫き、長い金爪をカシャリと鳴らした『爪』が抱擁と共に肌を裂く。それは癒し手である辰乃と氷を狙ったものだったが、再度後衛へと向けられたそれを萌花と共に防いだロストークは、白い手袋で軽く血を拭って微笑んだ。
「僕が戦うのは、しあわせな人に、しあわせでいてもらうためだ。邪魔はさせないよ」
声に秘めた怒りを滲ませ、高く跳ぶ。落ちる勢いそのままに繰り出した攻撃は、金色の爪と鍔迫り合い――拮抗が崩れた瞬間、長い金糸揺れる頭部へガツンと一撃。
魅魔でもない主が、誰かの快楽エネルギーを求めるような事を言ったからか。プラーミァは何やら言いたげだ。
そんな箱竜から力を受け取った辰乃は、少しだけ不思議そうな顔をしつつも、タタン、と妖精靴を鳴らして棗の癒しと共に舞う。
「お引き取り頂けないのなら、倒すまでです」
その為の癒しに氷翠の描く守護星座も共演すれば、癒しはより厚いものとなって前衛を支えていった。
そこに流れた民謡は、静かに微笑むメリーナが紡ぐ物語。温もりと愛に揺れて目覚める誰かを歌った詩が、確実に『爪』を捕らえていく。
「ッ、ク……ドコまでも邪魔ヲ」
その言葉に萌花は挑発的に笑った。邪魔をするのは当たり前だ。
「だってそっち、デートの邪魔しに来てんだもん。そーゆーのって、もなとしては有り得なさ過ぎってゆーか。てゆーかほんとに有り得なくないイチカちゃん?」
「有り得ないよね。だからビシバシやってくよ!」
きらきらの青い目と鋼色が交わり、石の呪い孕んだ魔法光線が、流星が真っ直ぐ『槍』へと向かう。2つの攻撃が重なれば、それは『城』の次はお前だという宣戦布告。
●輝きのもとへ
まずは盾である『城』から集中攻撃し、撃破したならば、3体の中で最大火力を発揮するだろう『槍』を狙う――そこにフリーとなる敵への抑えや、仲間への癒し、効果の重ね掛け能力を持った『爪』への対処を含んでいたケルベロス達の策に穴はない。
かといって楽な戦いともいえないが、未だ健在であったなら此方側の攻撃を肩代わりしていた『城』はもうおらず、様々な状況を想定してきた者も多い現状、攻防が続くにつれ状況はケルベロス達の有利へと傾いていた。
しかし彼らの中にのんびり戦う心算でいる者も、油断を抱えた者もいない。
『槍』も『爪』もグラディウス封印儀式の完遂を第一としており、それが叶えば知佳は死ぬ。
ロストークの振るう神造の槍が金色の爪と火花を散らし、鋭い突きが一瞬の隙を縫って穿てば、ケルベロス達が重ね続けた傷と呪によって傷付いた『槍』を、プラーミァのブレスが焼き尽くした。
『槍』は声を上げる事すら出来ず、どう、と倒れ伏し、氷翠は僅かに瞳を伏せる。人や地球は勿論大切で、守りたい。それと同時に、敵対者である彼らへ憐憫の情が湧く。
(「せめて、安らかに」)
瞳が上を向いたのは、『爪』が打ち鳴らす獲物に輝きが浮かんだのを見たから。洗面所には知佳を捕らえた『卵』がいる――素早く黒鎖を走らせ、守護魔法陣が前衛の守りをより堅くした直後、広がりながら降り注いだ雷網に辰乃はすかざす何度目かの舞を見せた。花びらが踊れば癒しと共に呪が祓われ、棗の力も秋津彦の傷を癒していく。
身が軽くなった感覚に少年は笑みを浮かべ、水を得た魚のように室内を駈け抜けた。床を蹴って跳び、壁を地のようにして――部屋の物は壊さないよう気を付けながら、一気に迫り繰り出した突きが『爪』の腹を貫く。
強烈な一撃から間を置かず走った別の衝撃は、技術の粋を注いだメリーナの攻撃。三日月のように細く、そしてぴくりとも動かない目に静かな微笑みが交差する。
「小癪、ナ」
「今年も皆さんのクリスマスデートの邪魔をするからです」
そう言って素早くクルリと踊るように離れれば、メリーナと入れ替わるように飛び込んできた萌花の蹴撃が、電光石火の刃となって襲いかかる。
ぐう、と漏れた呻き声には尚も闘志が見られるが、恐らく長くはもたない。だからといっていつまでも時間を掛けていられないとセリアは呟き、床を蹴る。一瞬で迫った神造の槍が冷気と共に閃き――。
「待ち人も居る様だし、特段の無粋を働いた罪、冥府の海で確りと雪いで来ることね」
鋭い一撃と共に氷華めいた傷が咲き、絶対の冷たさが『爪』の身を蝕む。
その姿を、周辺を赤々と照らす何かが上から来ている。気付いた『爪』が見たのは、勝利を確信して笑う赤錆色の少女。
「女の子は準備に時間がかかるもの。これだって準備のひとつで……だけどそろそろ、王子様がおまちかね!」
心電図描く地獄の炎は『爪』の全身に絡みつき、響く悲鳴も、機械の肉体も全て熔かしていく。
それが止んで晴れた後、ケルベロス達は一斉に洗面所へと駆け込んだ。『卵』から知佳を取り戻し、全員の力で撃破する。そうして次は――愛し合う2人の為、最後の一仕事。
●大切なひとの為
部屋にはヒールを施して、片付けて。
知佳の心を落ち着かせて、無事だった今日の為のコーディネートに着替えてもらったら、鏡の前にスタンバイ。
何か始まると感じ取っているらしい知佳の目は、鏡に映る自分と、その周りを固める女性陣の間を行ったり来たりしていた。
「クリスマスデートのための準備のお手伝い、ぜひさせて」
折角のクリスマスデートなのだから、ちょっと特別な髪型に。
可愛く華やかになる手伝いをしてくれる、という声は『輝きの軍勢』に捕まる直前まで悩んでいた乙女にとっては正に救いの手。
「う、嬉しいけど、そこまでしてもらっちゃっていいの……?」
「いーのいーの」
そうよ、とセリアは知佳の手にスマートフォンを握らせる。
「一番の自分を見せたいのでしょう? なら、尚更焦ってはいけないわ。それに事情が事情だし……相手もきっと分かってくれるでしょう」
「う、うん!」
連絡が済んだらお手伝いの本番開始。氷翠はタブレットを使い、ある写真を見せた。
「例えば……こういう髪型はどうかな」
「わあ! あっ、こっちはあなただよね? すっごく可愛い!」
「ちなみにもながやりました」
「えー凄い!?」
きゃあきゃあ送られる賛美の視線と声に、氷翠はこの時にした『普段しないお洒落』と『恥ずかしさ』で居たたまれない様子。
ふふー、と見守っていたイチカは、こういった事に一番慣れている現役読者モデルな萌花が取りかかり始めたのを見て、必要なものをテキパキと手に取った。
「編み込みね、イチカもよくやってるから、ちょちょいのちょいだよ。とびきりかわいくしたげるね!」
「じゃまずは全体を緩く巻いて、そしたらココから片側の耳上までレースアップ編み込んで……」
「ラジャー!」
事前の練習の甲斐や氷翠のアシストもあり、ヘアメイクは滞りなく進んでいく。それに合わせて知佳の目はどんどん輝いていった。編み込みとリボン、三つ編みが見事なアンサンブルを決めたヘアスタイルを、右から左からと鏡に映しては歓声を上げる。
「凄い、本当に凄い! あっココお花みたい、やだ可愛いー!」
「よければ、メイクもお手伝いしようか? もな、そういうのも得意だし」
「ネックレスつけられる? イチカの手ならいつでも貸すよ、あわてないあわてない!」
「わーん! ケルベロスさん達頼もし過ぎ! 好き! ひろ君の次に!」
感謝と感激を真っ直ぐ出す知佳に、お洒落の仕上がりを見守っていたロストークはくすりと微笑んだ。名前が飛び出した恋人のどこが好きかと訊ねれば、笑顔と優しい所、と照れ臭そうな声。
「ひろ君が優しくしてくれるからいつでも頑張れるし、ひろ君の笑ってるとこ見ていたいから、やっぱり頑張れるし」
「成る程。他には?」
「え、やだもう! ここからは有料ー!」
お喋りに花が咲くが、メイクも終え、知佳がうっかり忘れていたコートをロストークが着せれば更なる花が咲いたものだから、メリーナは『わあ』と歓声を零し拍手した。
「クリスマスの妖精さんかと思いましたよ♪ 彼氏さんもイチコロです!」
今日の為のコーディネート、それに合わせ、知佳に似合うよう選ばれた髪型とメイク、ネックレス。照れ笑いをしながら、もじもじと腕時計を弄る姿に秋津彦もうんうん頷く。
「こんな麗しいお姿ならば、彼氏殿も惚れ直すばかりか惚れ抜いてしまうでしょう」
同性と異性、双方からの太鼓判に知佳の頬はすっかり赤くなっている。何度もありがとうと繰り返した知佳が、はた、と止まった。あとは自分がドジとかヘマとかしなければ完璧、と。
その言葉にメリーナはふっふふ、と笑い、人差し指を揺らす。
「良いことを教えて差し上げましょう♪ 本日の射手座のラッキーカラーは、ワインレッドと黒!」
「そ、それって……!」
「そう、今日のコーディネートです♪」
更なる太鼓判に震える知佳の周りを棗が飛び回る。
辰乃はふわふわの体を抱き留めると、知佳の頭、その天辺からつま先までゆっくり見て――ふわりと微笑み、頷いた。
「誰かのために、迷い、悩むそのお姿はとても美しいものです。どうぞ、自信をお持ちになってください」
同意するように棗が鳴けば、知佳はふかふかの小竜にもありがと、と礼を言ってから輝くような笑顔を見せた。
「ケルベロスさん達のパワーも加わってるもん。今日の私は今までで一番、とびっきり可愛い女の子になれたから……ひろ君、凄くびっくりするね」
どんなだったか、SNSで報告するから! 踊るような足取りで『ひろ君』の元へ向かう知佳の後ろ姿を見送り、秋津彦は、ほ、と一息。
「無事に救い出せて、一安心ですな」
今日は折角のクリスマス。聖夜はまだ始まったばかり。
これから遊びに出かけても、素敵な何かが待っている事だろう。
作者:東間 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年12月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 1
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