オーバー・ザ・レイン・ボゥ

作者:秋月きり

 静かに息を吸う。吐く。吸う。吐く。
 呼吸を合わせ、弓を引く。手の力だけではない。両腕と背中。筋力を総動員して絃を引き絞る。
 弓掛から羽根が離れた一瞬の後、ドスンと思いのほか、重い音が辺りに響いた。的の中心に矢が突き刺さった音だ。
「ふぅ」
 残身の後、一礼を行う。異変はその瞬間、訪れていた。
「お兄ちゃんの動作、とても素敵だったよ」
 今しがた、射を終えた青年の前に現れたのは、アラビア風の衣装をまとった少女だった。
 歌うように、感嘆するように少女は青年に語り掛ける。声の終わりと共に、出現した黄色の炎が、青年の身体を覆い尽くしていた。
「お兄ちゃん、体の調子はどう? ナトリ、お兄ちゃんの事応援してるから、精一杯頑張ってきてね! お兄ちゃんならきっとできるよ!」
 炎が途切れた時、そこに青年の姿は無く。
 3m近い偉丈夫が、巨大な弓矢を背負い、傅ていた。

「『黄のナトリ』の動きを予知したわ」
 リーシャ・レヴィアタン(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0068)は浮かない表情でケルベロス達を迎え入れる。既に生じた犠牲者を考えれば、それも致し方ない事であった。
「死者の泉の力を操る彼女は、その炎で焼き尽くした男性をエインヘリアルにする事が出来る。今回、犠牲になったのは弓術家――と言っても、その卵だった大学生の青年ね」
 ケルベロス達が向かえど、彼がエインヘリアルになる未来を防ぐ事は出来ない。だが、それ以上の犠牲者を抑える事は出来る。
「出現したエインヘリアルはグラビティ・チェインが枯渇状態だから、それを補おうと暴れる様なの。だから、それを止めて欲しい」
 それが彼女の託す願いであった。
「エインヘリアルの出現場所は国立大学にある弓道場になるわ」
 弓道場から出た後、構内で暴れようとするエインヘリアルを止める形になるようだ。なお、黄のナトリは既に姿を消している為、彼女を捕捉する事は叶わない。
「得物は当然、弓。それと、『自分は優れた人間の為、導かれてエインヘリアルになれたのだ!』と言う感じの選民思想を抱いている事も、特徴と言えば特徴ね」
 一般人を見下す想いが強く、故にそれに対する挑発を看過しづらい性質を持つようだ。周囲の人間を避難させる時間稼ぎに使えると思う、とリーシャは助言する。
「みんななら、新たな犠牲者を産まず、彼を止めてくれるって信じている」
 その言葉でリーシャはケルベロス達を送り出す。侵略者達による凶刃から地球人を守る。それがケルベロス達に託された使命なのだ。
「それじゃ、いってらっしゃい」


参加者
カタリーナ・ラーズグリーズ(偽りの機械人形・e00366)
アジサイ・フォルドレイズ(絶望請負人・e02470)
如月・シノブ(蒼の稲妻・e02809)
月宮・京華(ドラゴニアンの降魔拳士・e11429)
ランドルフ・シュマイザー(白銀のスマイルキーパー・e14490)
ジジ・グロット(ドワーフの鎧装騎兵・e33109)
アシュリー・ハービンジャー(ヴァンガードメイデン・e33253)

■リプレイ

●曇天、そして
 文部両道の精神が息づいたその大学は、秋学期後半に差し迫った師走の頃合いでも、人の行き来が途切れていなかった。
 これがもう数日経過すれば、冬期休暇になり、閑散とした空気を纏うだろう。その意味では、『黄のナトリ』が彼を選定した時期に間違いなかった。
 学生の数にして8000超えの学校ならば、多量のグラビティ・チェインを入手する事が出来る。エインヘリアルに生まれ変わる際に自身が内包するグラビティ・チェインを消費し、枯渇状態の彼にとって、母校――エインヘリアルと化した今、その言葉が正しいのか不明だが――は優秀な狩場だった。
 弓を片手に校内に戻った彼はしかし、その足を止める結果となってしまう。
 彼の行く手を遮る影があったからだ。
「その弓、折らせて貰います! 『さきがけの騎士』の名にかけて!」
 戦闘に立つアシュリー・ハービンジャー(ヴァンガードメイデン・e33253)の言葉に、エインヘリアルは眉を顰める。だが、彼の宣言で理解した。目の前に立ち塞がるそれらは自身の敵だと。
 ならば。
(「『番犬』に気を付けてね、お兄ちゃん」)
 自身をエインヘリアルに導いたシャイターンの言葉が思い出される。つまり、頑張れとは、これらの撃破を含めた激励だったのだろう。
 無言で弓に矢を番え、エインヘリアルは不敵な笑みを浮かべる。
 姫の願いとあらば、叶えぬ理由など無い。

「ちっ!」
 神速。その形容が相応しい速度を以って放たれた矢を叩き落した如月・シノブ(蒼の稲妻・e02809)は舌打ちをする。生まれたばかりとは言え、目の前の存在がデウスエクスである事は変わりなく、その身体能力は生前に由来するのか、並みのデウスエクス以上に感じた。
(「強ぇ。だが、思い通りにさせちゃいけねぇよな」)
 闘気を纏うシノブは威圧の為、エインヘリアルを睨みつける。
「この程度で優れた技能だって言えちゃうとは弓術家が聞いて呆れるね……」
 射を見送ったカタリーナ・ラーズグリーズ(偽りの機械人形・e00366)は鼻で笑い、自身も弓矢で応戦する。妖精の加護を受けた矢はエインヘリアルの頬を掠め、うっすらと血を滲ませた。
「君は優れた人間だから選ばれたと思っているのかもしれないが」
 続くアンゼリカ・アーベントロート(黄金騎使・e09974)の蹴撃は煌く流星と重力の輝きと共に。エインヘリアルの脚冑を抉り、表情を顰めさせる。
「シャイターンは性格の悪い人間を良く選ぶ。つまり逆だ。君が他の一般人より『劣っている』からこそ選ばれたのだよ!」
「私が劣っている、だと?」
「ああ、その通りだ!」
 アンゼリカに対する激昂は、横合いからの蹴りによって遮られる形となった。ランドルフ・シュマイザー(白銀のスマイルキーパー・e14490)の一撃も流星の煌きと共に、エインヘリアルの脚を抉っていく。
「選ばれた勇者サマ気取りかよ、哀れなモンだ! テメエは、唆されただけのブザマな道化が関の山だぜ!!」
 狼の表情に侮蔑を浮かべ、ランドルフは吠える。その挑発に、エインヘリアルの表情が変わっていくのを見て取っていた。憤怒、そして憎悪。その意識を自身らに向けろと、挑発を重ねていく。
「選ばれたンちゃうよ。たまたま、其処におったからデス」
 生み出した紙の兵で仲間達を強化しながら、ジジ・グロット(ドワーフの鎧装騎兵・e33109)は微笑を浮かべる。
「あのマドモアゼル達は、誰でもええから、手当たり次第に殺してエインヘリアルにしとるの」
 或いは、との言葉は悪意を笑みに込めて。
「『人を見下すのが好きな下衆やから』選ばれたンかもしれへんね。ただ、よっぽどの下衆を選んでもなかなかエインヘリアルに出来ひんかったそーデス。せやからムッシューは相当な――」
 そこで言葉を飲み込む。これ以上、台詞を紡ぐと口が曲がり、祖母に怒られてしまう、と。
「――貴様、今、姫を、そして姫に選ばれた私を愚弄したか?!」
 余程ジジの挑発が癇に障ったのだろうか。矢の一撃は小柄な彼女を狙い撃つ。だが、その一撃はドワーフの身体を貫く寸前の処で叩き落された。自身を守った小柄な騎士の姿に、ジジは「ほぅ」っと唸り声を上げる。少女にも見える騎士の背中は意外にも逞しかった。
「選ばれた勇者? 笑わせる。弱者を狙うのは強い相手が怖いからでしょう?」
 愛機ラムレイを駆るアシュリーは、己が得物、砲槍ロンゴミニアドをくるりと回転させると、その勢いでエインヘリアルへ吶喊した。
「Get Ready! Get Set! ――Go!!」
 ライドキャリバーによる加速から繰り出されるランスチャージはエインヘリアルの身体を捉え、大柄な体躯を吹き飛ばす。爆発的な刺突はまさしく、戦友たちの為に道を切り開く一撃――さきがけの一撃だった。それはアシュリーが抱く誉れであった。
「随分な勘違い野郎だな! テメェなんざ実は全然凄くねぇってことだ。おだてられて乗せられちまってるただの馬鹿にしか見えねぇよ」
 光り輝く呪力が尾を引く斧を振るいながらのシノブの挑発は、むしろ面罵に近かった。彼の勇者がはっきりと馬鹿と言い切っていた。
「――犬どもが!」
 全ての攻撃を星霊甲冑で受け止めたエインヘリアルは、憎悪に染まった罵声を響かせる。ケルベロス達の浮かべた笑みに気付くことなく、次の矢を彼は放つのだった。

 貫く。切り裂く。穿つ。切り結ぶ。
 矢の一撃はケルベロス達を梳り、ケルベロス達の牙はエインヘリアルの星霊甲冑を砕いていく。
 一進一退の攻防に見える戦いだったが、しかし、次第に番犬達が追い詰められている事は誰の目にも明らかだった。
(「妙だな」)
 レプリカントの弓矢やオラトリオの冷凍弾を弾き、ウェアライダーやドワーフの拳、地球人による斬撃を受け止める彼は、挑発を主軸とするケルベロス達の攻撃に違和感を覚えていた。
 如何に地獄の番犬が愚かしくとも、獣ではない。勝機の無い戦いを挑むとは考え辛かった。ならば、彼らが挑発と称し、自身を、そして黄のナトリを侮辱している事は、そうする事で、エインヘリアルから冷静な思考を奪おうとしている。そうとしか考えられなかった。
「健気だな、犬ッころ!」
 故に彼は笑う。ケルベロス達の目的は、地球人を守る事だろう。自身らを盾にしてそれを叶えようとしている。それを健気と言わずして、何を健気と言うのだろうか。
 だから笑う。それが無意味である事を、彼自身が知っている。それを見せてやると浮かべた笑みは、とても残忍な物だった。
 矢を番えた彼が狙ったのはケルベロスの誰でも無く、天だった。
「――っ?!」
 ケルベロスの誰かが息を飲むのが判った。だが、遅い。
「やめろ――っ」
 矢を放った彼は厳かな声でその技の名を口にしていた。
「オーバー・ザ・レイン・ボゥ」
 空中で那由多の数程分裂した矢が、雨の如く、地上へと突き刺さった。

●オーバー・ザ・レイン・ボゥ
 それは雨だった。自身の魔力が編んだ矢は無限の雨となり、大学構内に降り注ぐ。
 何かで身を守ろうが、屋内に逃げ込もうが関係ない。自身の生み出した矢は有象無象の区別なく、この大学構内に存在する一般人を貫き、そのグラビティ・チェインを搾取する。
 それが命を賭してまで、ケルベロス達が守ろうとした事だろう。絶望に染まる表情を見ると、腹の奥底から笑いが込み上げて来る。
「残念だったな」
 構内では血の華が咲き、そして無数のグラビティ・チェインが自分の元に集うだろう。学生数にして8000強。その全てのグラビティ・チェインを喰らい、己はエインヘリアルとして大成する。それが、自身を勇者に導いた姫の望みでもあった。
「残念だったな、番犬共」
 繰り返す。目を伏せ、肩を震わせている様は、無力な自身らを嘆き、泣いているのだろうか。ならばせめてもの情け。その命も刈り取り、地球人達と同じ場所に送ってやろう。
 矢を番えた彼は、しかし、そこで再度、違和感に襲われる。
(「――?」)
 自身のグラビティは放たれた。それを防ぐ方法を持つ人間は、目の前にいる6人の番犬達のみ。構内にいる人間の誰一人といて、それを防ぐ術がある筈も無い。
 なのに――。
「てめえら、何を笑ってやがる!」
 奴らは、肩を震わせ、笑いを堪えていたのだ。
 そして理解した。
 この身の何処にも、グラビティ・チェインが集わない事に。
「残念だったな、エインヘリアル」
 三度目の文言を発したのは、新しく現れた一組のドラゴニアン達。その内の竜派の男の方だった。
「ただの戦闘と理解し、私たちの行動を見極められなかった貴方の負けだよ。選定に選ばれたとしても、その程度なんだね」
 人派の女は嘲笑を以ってエインヘリアルの行動を嘲笑う。矢の雨に撃たれた為か、白い肌には赤い線が入っていたが、それも竜派の男が紡ぐ治癒グラビティによって塞がれて行く。
 エインヘリアルは知らない。二人のドラゴニアン――アジサイ・フォルドレイズ(絶望請負人・e02470)と月宮・京華(ドラゴニアンの降魔拳士・e11429)の二人によって、l大学構内に残っていた全ての人間達が避難を完了していた事を。その時間を稼ぐ為、カタリーナを始めとした6人のケルベロス達が奔走していた事を。
 確かにエインヘリアルの放つ弓は雨の如く、大学構内の全てを貫いた。それは確かだった。
 だが、そこ――大学構内に誰も居なければ、彼の望みが叶う筈も無かった。
「すまん。2分は超過した」
 アジサイの言葉に、だが仲間達は首を振る。
 彼らは知っている。危険を顧みず、大学構内を二人が文字通り、竜の羽根で飛び回った事を。そこにすら意識を向かわせない為に挑発を行っていたが、もしもエインヘリアルがケルベロス達の意図に気付いていれば、彼ら二人を撃ち落とす可能性は存分にあった。
 二人が危険を省みない選択肢を選んだからこそ、構内の人間を全て撤去させる事が出来た。それを賞賛こそすれ、非難する理由など在る筈も無い。
「――さぁ、幕引きと行こう。エインヘリアル。貴方に敗北を教えてあげる」
 京華の宣言は、ざらりとした笑みと共に紡がれた。

●虹を超えて
 矢は黄金の軌跡を残し、ケルベロス達を穿つ。雨の如く。雹の如く。カタリーナ、シノブ、アシュリー、ラムレイに降り注いだ矢は皆の防具を破壊し、鎧を剥ぎ取っていく。
「Je touche du bois!」
 使役使いと言う制約によって最も体力に劣るアシュリーへ治癒と幸運の付与を施すジジは、その視線をエインヘリアルへと向けていた。
(「心折れたんデスね」)
 精彩に欠く弓捌きをそう断ずる。
 グラビティ・チェインを得る手段を失った瞬間、エインヘリアルの敗北は決していた。その事を悟った彼が出来たのは、ケルベロス達との戦いを継続するか、逃亡を図り、グラビティ・チェインの収奪を行うかの二択だけだった筈だ。だが、後者を選択する事は彼の自尊心が許さない事を、ケルベロス達は知っている。
「惨めやもんネ」
「犬如きが私を憐れむつもりか!」
 血を吐くような言葉は、最後の矜持からだろうか。だが、敗北を認められない時点で勝負は決していた。今のエインヘリアルに8人のケルベロス達が敗北する理由など無かった。
「鉄拳制裁!」
 口火を切ったのは京華だった。細身の身体に似合わない全力の拳骨がエインヘリアルの横っ面に振り抜かれる。
「こう見えて、チキンレースなら負け無しなんですから……!」
 体制を崩すエインヘリアルの足をラムレイの車輪が巣食う。従者のスライディングと共に繰り出されたアシュリーの砲槍はエインヘリアルの星霊甲冑を打ち砕くと、怒号のような音を発する。
 それが彼の怒り。弱者を食い物にしようとしたエインヘリアルに対する憤怒の咆哮だった。
「毒蛇共、御馳走を与えてやる」
 シノブの詠唱と共に、彼から延びた禍々しき蛇たちがエインヘリアルの身体に食い込み、その肉体を貪っていく。凄惨極まる光景も、しかし、見送るシノブの瞳は冷たい。
 それが、彼の犯した罪の償いと言わんばかりに。
「コイツはとっておきのPresentだ! 遠慮はいらねえ! 喰らって爆ぜろッ!!」
「我が騎士剣には、もう1つの姿がある…! 火よ、水よ、風よ、大地よ…。混じりて裁きの刃となれ!」
 追い打ちのランドルフの魔弾は爆発を以って。アンゼリカの光剣は翼による空戦機動を以ってエインヘリアルに叩き込まれる。二者の爆発的な衝撃を浴び、エインヘリアルの身体が僅かに後退した。
「そこだ」
 その動きは見切っていたとアジサイは静かに告げる。闘気に包まれた拳が星霊甲冑毎エインヘリアルの胸を捉え、その装甲を打ち砕き、引き剥がして行った。
「さようなら。――お前の攻撃も見飽きたよ。眠るといい」
 そして、機械の少女が動く。手に握るは白く輝く槍。夜の女神の名を抱く槍を持つカタリーナは不死者に終焉を告げる。
「流星きたり、我らは闇夜に願いを謳う。誓り結びて黒穹を裂け」
 それは美しい軌跡だった。それは刹那の輝きだった。それは暗夜の抱擁だった。
 胸を貫かれたエインヘリアルはごぶりと血の塊を口から零す。それと同時に。
「姫。御心に沿えなかった私を許し給え」
 光と共に消失していく彼が最期に口にしたのは、自身を見出したナトリに対する謝罪であった。

●雨上がりの晴天
「今日倒した彼も犠牲者。炎彩使い……終わらせなければね」
 アンゼリカの祈りは虚空へと消えていく光の粒に向けられていた。炎彩使い。その犠牲を捨て置くわけにいかない。
「――気の毒だと思う筈なんだがな」
 彼女と同じく消失していく光の粒を見送りながら、シノブは独りごちる。エインヘリアルも元を正せば黄のリチウの犠牲者だ。彼を憐れむ気持ちがあっても良い筈なのに。
「腕が麻痺していけねェや」
 己の右手を見下ろす。緊張か、それとも痛みの為か。僅かに震える腕は、己の心情を何処まで映しているのだろう。
「ジュ・スィ・デゾレ、ムッシュー。うち、嘘言いました。ホンマは天才やから殺されました。あなたは下衆やないデス」
 ジジによる葬送は、まるで慰めの言葉の如く紡がれる。死人に罪はない。死者となってしまった今、彼を侮辱する理由もない。
「……あの、お三方。そろそろ」
 悼みを告げる三人の背後から恐る恐る、と言った風にアシュリーが声を掛ける。振り返ればその背後ではアジサイ、京華が飛び回り、カタリーナ、ランドルフが走り回っている。
 エインヘリアルのグラビティは大学構内全てを余す事無く貫いている。それが意味する事はつまり。
「……ヒール、か」
 三人の口から成程、と零れる。後始末もケルベロス達の仕事であるならば、いつまでも祈りを捧げておくわけにいかない。
「判った。すぐ行く」
 やれやれ、と肩を竦める。エインヘリアルの置き土産はとても、面倒臭い物の様であった。

作者:秋月きり 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年12月17日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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