●モミの木に斬新な飾り付けを
とある小学校。校門を抜け、玄関まで向かう途中に、大きなモミの木が立っていた。
小さな看板が幹についているが、もうずっと昔の卒業生たちが、もうずっと昔にお金を出し合って学校に寄贈したものらしい。
電飾が巻き付けられて光を放っている他、木の下の方には児童が作ったものであろう歪な飾りが連なっている。
ランドセルを背負い、サッカーボールの入ったネットをぶら下げた1人の少年が玄関から出てきた。駆けてきた彼は、木の前で足を止める。
足を止めて、モミの木を見上げる。少しだけ、誇らしげな表情。
木に注目していた彼は、もう1人の人物が現れたことに気づかなかった。
「ひどいよな。木にこんな変な格好させて。この鬼蓮の水ちゃんが、解放してやるよ」
突然聞こえた声に少年が振り向くと、紫の髪をした少女がいた。
腰の後ろには紫色の飾りがあり、そのさらに後ろから巨大な蓮が生えている。
少女が手を振ると、謎の胞子が彼女からモミの木へと飛んでいく。
木が動き出した。
まるで腕を伸ばすかのように、葉っぱに覆われた枝が少年へ近づいて、彼を捕らえる。
「うわああああーっ!」
「苦しいか? いい気味だ。お前らは植物が苦しんでも気に留めなかっただろ? その報いを受けるんだよ!」
悲鳴を上げた彼を少女が嘲笑う。
取り込まれた少年は、まるで飾り付けの一部のような姿で枝葉と幹に埋まっていた。
さらなる獲物を求めて動き出したモミの木を満足げにながめると、水ちゃんはその場から姿を消した。
●モミの木を止めよう
攻性植物による事件が、三重県のとある小学校で起きると、貴龍・朔羅(虚ろなカサブランカ・e37997)が告げた。
「小学校にはモミの木が植えてあるのですが、それが攻性植物となって、偶然近くにい男の子を1人取り込んでしまうようです」
人型の攻性植物が、植物を攻性植物化させる謎の胞子をばらまく事件がここ最近発生しているが、今回の事件もその1つだ。
モミの木が狙われる事件が発生するのではないかと朔羅は予想して調査していたが、それが当たったことになる。
取り込まれた少年は意識を失っており、枝に複雑に絡みつかれて顔以外ほとんど見えない状態だ。
「攻性植物は男の子を取り込んだまま、小学校の外に移動しようとしています。現地に向かって、攻性植物の撃破をお願いします」
朔羅は淡々と言った。
後ろに控えていたドラゴニアンのヘリオライダーが、敵の戦力について説明を始めた。
敵は1体だけで配下はなし。人型の攻性植物については事件発生後すぐに姿を消しており、遭遇できないという。
「敵の攻撃手段ですが、まず木の天辺に星に似た形の輝く花を生やし、そこから光線を放つことができます。攻撃を受けると燃えます」
また、枝を蔓のように変化させ、近くにいる者を捕縛する攻撃もできる。
「木にはイルミネーションが巻きついていますが、そこから色とりどりの電撃を放つ範囲攻撃も可能です」
その色には人を催眠状態にする効果もあり、敵味方の区別がつかなくなってしまう可能性があるという。
「すでに説明があったとおり、木には小学生の男子児童が1人取り込まれています。普通に攻性植物を倒した場合、彼も死亡します」
ただし、救う方法はある。
敵を単に攻撃するだけでなく、回復しながら少しずつ体力を削れば、攻性植物だけを倒して少年を救出できる可能性がある。
回復の技は傷を完全に癒すわけではなく、治せないダメージが少しづつ蓄積していく。粘り強く攻撃すればいずれは倒せる。
「ですが、救出しようとすると戦闘が長引いて皆さんが危険になります。なにより、敗北しては意味がありません」
ヘリオライダーは言った。
「助けるかどうかは皆さんの判断にお任せしますが、ケルベロスの仕事はデウスエクスを倒すことで、人命救助は必ずしも必要ではないと覚えておいてください」
寄り道せずまっすぐ向かえば、小学校の校門から出る前に敵と接触できるはずだ。
他の児童はほぼ下校した後らしく、周囲には他に人はいない。
周辺住民の避難はヘリオライダーが手配しているので、学校の敷地から出さない限り被害は気にしなくていいという。
「男の子を助けるのは簡単ではないでしょう。でも、できれば助けてあげられるといいですね。冬に1人で死ぬのは、寂しいでしょうから」
まるで独り言のように、朔羅は最後に言った。
参加者 | |
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レクシア・クーン(咲き誇る姫紫君子蘭・e00448) |
弘前・仁王(魂のざわめき・e02120) |
シア・ベクルクス(花虎の尾・e10131) |
アリシア・クローウェル(首狩りヴォーパルバニー・e33909) |
尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130) |
雅楽方・しずく(夢見のウンディーネ・e37840) |
貴龍・朔羅(虚ろなカサブランカ・e37997) |
夢山・蒼矢(ドラゴニアンのミュージックファイター・e40188) |
●校門のツリー
ヘリオンから降り立ったケルベロスたちは、現場となる小学校へ向かっていた。
「日本は特に、植物と時を刻む文化の国だと思うのですが……攻性植物、少しは落ち着いて下さらないでしょうか……」
急いでいても、貴龍・朔羅(虚ろなカサブランカ・e37997)の表情はどこか虚ろなままだった。
「そうですねえ。大人しくしていて下されば、仲良くなれるかもしれませんのに」
おっとりとした口調でシア・ベクルクス(花虎の尾・e10131)が同意する。
「しかし、暴れはじめてしまった以上は切り刻まないわけにはいきません。愉しいクリスマスも近いというのに、攻性植物に好きなようにされるわけにはいきませんね」
ウサギの少女が元気に跳ねる。
見えてきた校門へ向かって、アリシア・クローウェル(首狩りヴォーパルバニー・e33909)は速度を上げる。
「ええ。少年を助けて飾り付けも改めてするとしましょう。子供達がよいクリスマスを迎えられるように」
弘前・仁王(魂のざわめき・e02120)の落ち着いた声が、夕暮れの学校へと響いた。
「ぞれでは、伐採の時間ですよ」
校門の上に軽く飛び乗り、アリシアは宣言した。
モミの木は音もなく校門へと近づいて来る。
「卒業生や在校生の皆さん、学校に関わった多くの方々に親しまれただろう木をこんなにしてしまうなんて……。この木による被害だけは何としても防がないと」
花冠をかぶったように生えたトリレイシアの花の下、レクシア・クーン(咲き誇る姫紫君子蘭・e00448)は悲しそうに笑う。
木に半ば取り込まれた少年の姿はすぐに見えた。
「……随分、悪趣味な飾りだね。こんなのを子供が見たら、トラウマになるよ。だから絶対に助けるよ、男の子のためにも、皆のためにも」
夢山・蒼矢(ドラゴニアンのミュージックファイター・e40188)は青い鱗に覆われた目元を不快げに寄せる。
少年の姿は楽しげな無数の飾りに囲まれていた。
だが、飾りが楽しげであればあるほど、子供たちの心が踏みにじられたことがはっきりと意識させられる。
「きっとあのツリーは、皆が心を込めて飾ったのでしょうね。ずっと前から、沢山の生徒さん達に愛されていたんだと思います」
雅楽方・しずく(夢見のウンディーネ・e37840)が言った。
大人びた見目をしているが、彼女はまだクリスマスに心を浮き立たせる年頃の少女だ。
「倒したらツリーも消えてしまうのは悲しいですけど、男の子が笑顔で楽しいクリスマスを迎える為なら……!」
だからこそ、彼女は決意を込めて得物を構える。
他のケルベロスたちもそれぞれに戦いの準備を整えている。
前方に彼らに気づいているのかいないのか、モミの木は音もなく校門へと近づいていく。
行く手をふさいだのは、尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)だった。
彼はぎこちない笑顔を浮かべているが、それは他の表情の作り方を知らないからだ。
きっと、彼の心の中になにか想いが浮かんでいて、そしてそれに名をつけるとすれば、決して笑顔で表現されるものではなかっただろう。
「そいつは飾りじゃねえ。返してもらうぜ」
戦いが始まる合図となる言葉を、彼は発した。
●攻性植物は踊る
ケルベロスたちが攻撃をしかけるよりも、攻性植物が反応する方が早い。
モミの木に巻き付いたままの電飾が光を放ち始める。
そして、無数の色がついた電撃が襲ってきた。
色とりどりの光は、体だけでなく精神をも蝕むという。だが、それでひるむようなケルベロスではない。
レクシアの展開するドローンと、広喜の鉄塊のごとき縛霊手から飛び出す折り紙の紙兵、シアの金針から広がる雷の壁が仲間たちを守っていく。
アリシアが素早く反対側へ回り込み、降魔の力を宿した手刀で敵を薙ぐ。
仁王もケルベロスチェインを飛ばして敵を捕らえていた。
「太陽よ、輝きを持って世を照らすものよ。世界の秤よ、我が願いによって顕現せよ。一切の浄化を焼き尽くす御柱を立てたまえ」
朔羅は太陽神へと勧請し、その力を自分の巫術に加える。
光の柱が敵を貫いて、モミの木をその場に縫い止める。
次の瞬間、敵を水のような何かが包み込んだ。しずくの技だ。
「クリスマスツリーは人を悲しませる為のものじゃありません。その子を返して貰いますよ!」
少女の声が響く。
だが、それは攻撃ではなく回復の技。アリシアや朔羅の与えたダメージを癒していく。
ただ敵にダメージを与えるだけでは捕らわれている少年が死んでしまうからだ。
元の姿を取り戻して、敵と自分の中間あたりにしずくが戻ってくる。
「助けましょう、ね。楽しいクリスマスを迎えてもらわないと。笑顔を守るために、私たちは在るのですから」
「そうですね。救えないと、わたしたちもクリスマスを楽しみきれないかもしれません。せっかくケルベロスの仲間と過ごす初めてのクリスマスなのに」
朔羅の呟きに、しずくが応じた。
しずくとは同じ旅団に所属する仲間でもある。彼女や、他の仲間たちとクリスマスを迎える場面を、朔羅は一瞬だけ思い浮かべた。
敵を回復しながらの戦いは楽ではないが、負けるわけにはいかないのだ。
蒼矢が蛇のような姿の攻性植物を放った直後、木の天辺で星形の花が咲いた。
仁王は自分に向けて飛んできた光線に向けて、オーラをまとわせた両腕をつき出す。
ただ、それは直撃を避ける程度の効果しか得られなかった。
両腕と体を、熱と衝撃が襲う。
「侮れない威力ですね……けど、そう簡単にくじけるわけにはいかないんです」
敵から目をそらさず、青年は己に言い聞かせる。
「今回は長期戦になります。しっかり仲間を守っていきましょう」
相棒である、名前募集中のボクスドラゴンに仁王は声をかけた。
ドラゴンは頷くような仕草を見せて、仁王に並ぶ。
「あんまり長引かせたくはねえんだがな。早いとこあの小さな個体を助けてやらねえと」
仁王と同じく仲間を守るために動きながら広喜が言った。
彼の言う『小さな個体』というのは子供のことなのだろう。強面のレプリカントは、どうやらずいぶんな子供好きのようだ。
「気持ちはわかりますよ。なるべく効率よくいきましょう」
オーラを集めて気の弾丸を作り出しながら、仁王は彼に頷いてみせる。
やることは単純だったが、しかし簡単ではない。
クリスマスの飾りがついたモミの木という姿ではあるが、見た目に反して敵は強力だ。
仁王とボクスドラゴン、それに広喜に加えて、蒼矢のウイングキャットであるテノールがそれぞれに引き受けてダメージを分散させている。
だが、それだけではデウスエクスの攻撃はしのげない。
広喜を、蔓のように伸びた枝が締め上げる。
シアはすぐに、傷ついた仲間へと手をさしのべた。
「大丈夫、今回復いたしますわ」
傷ついた広喜へと薄青い輝きが広がっていく。
続いて降りていく帳は、秋が終わっても咲き続ける残菊を思わせる黄色をしていた。
「私が皆さんを支えますの。あの子を助けるまで、頑張ってくださいませ」
かけた声に、広喜は片手を上げて応じた。
「テノールもみんなを守ってあげてね。まだダメージが残ってると思うから」
蒼矢がウイングキャットに声をかけると、テノールは仁王の方へと翼を広げて、清浄な風を吹かせる。
仲間を回復しながら、シアは敵の傷にも気を配っていた。
おっとりとした様子はそのままだが、後列から彼女は味方と敵と、両方の回復へと意識を向けて仲間たちを支援し続ける。
打撃役のアリシアを中心にケルベロスたちの攻撃は敵を削り続け、そして仲間たちがそれを癒し続ける。
「いつもよりたくさん斬れると思えば、悪くないですね!」
一瞬消え去るほどの勢いで跳ねたアリシアが、重力を操って蹴りを叩き込む。
レクシアはそのダメージを癒すべく翼を広げた。
「八重の雲を吹き放ち、遮る瘴霧を吹き払え。此所に生まれるは―――科戸の風』」
地獄で作った翼は蒼い火の粉を散らせ、淡い燐光を放ちながら風を操る。
魔力によって具現化する風は、強きも弱きもレクシアの意のままに。
優しき恵風が、少年の埋まっている辺りを優しく撫でる。
「絶対に助けます! 少しだけ辛抱して下さい!」
呼びかけるその声に、彼はなにも反応を返さない。
ただ、ぐったりとしてモミの木の枝に引っかかっている。
けれども、レクシアは届いていると信じて、声をかけながら癒やしの技を使い続けた。
●倒れるツリー
戦いは終わる様子を見せなかったが、ケルベロスたちもそれは承知の上。
それでも、少しずつ立派だった枝が折れ、葉が欠けていく。
もちろんいかに回復しようと攻性植物が攻撃に手心を加えることはなかった。
幾止めか、電飾に光が走り、電撃が周囲に飛び散る。
広喜はその攻撃からアリシアをかばった。
2人分まとめて受けた攻撃に、頑丈な彼の体が容赦なく焼かれる。
「手を出すなら俺を壊してからにしろよ」
機械の四肢が、生身の体が煙を上げるが、広喜の……どこかぎこちない笑顔は変わらない。
自分が傷つくことなど、彼にとっては問題ではないのだ。
「回復を手伝う必要はあるか?」
後方にいるシアへと問いかける。
「いえ……尾方様は今回復します。他の方は、まだ大丈夫ですわ」
答えた彼女は青い輝きで広喜の傷を癒してくれた。
いざという時のために敵を回復するための技も広喜は用意してきていたが、幸と言うべきか今のところそれが必要になる状況にはなっていない。
腕に装着した無骨な祭壇を敵に向ける。
鉄の塊にしか見えないそれから、広喜は巨大な光弾を放って敵を焼いた。
「大丈夫だぜ、すぐ出してやるからな」
いまだ目を閉じたままの少年へと、彼は笑顔のまま声をかけた。
攻撃をくわえ、それを自分たちで治す。
不毛にも感じてしまいそうなその戦いを、ケルベロスたちは飽くことなく続けていた。
しずくは自らの体を水のような物質へと変化させる。
「今見えているものは、全部「まぼろし」……ですよ?」
変化した体でモミの木を包み込むと、幻想のように敵の傷が癒えていく。
包み込んだその時、彼女は少年へとささやきかけた。
「今あなたがいるのは、悪い夢の中です。すぐにわたし達が助けますから、ね?」
反応はない。ただ……彼が苦しそうにしている様子もないことに、しずくは少し安堵した。
敵から距離をとりながら、元の姿へと戻る。
少年が見ているものを、『まぼろし』にしてしまわなければならない。
彼もまた、しずくが仲間とのクリスマスを楽しみにしているのと同じように、友達や家族とのクリスマスを楽しみにしているのだろうから。
敵の姿はだんだんとボロボロになってきていたが、攻撃はひたすら続いていた。
朔羅を狙った光線から、仁王が彼女をかばう。
「……まだです。あと少し、倒れるわけにはいきません!」
声をあげて自分を鼓舞する彼を、シアもさらに回復した。
「そろそろ……敵も弱っているのではありませんの?」
「そうですね……うっかり、一気に倒してしまわないよう気をつけましょう」
シアの言葉にしずくが同意する。
「それじゃ、ボクは弱めの攻撃で削るようにするよ」
蒼矢は仲間たちに告げると、大きな青いギターの弦を弾いた。
「それでは、私は回復にまわります。せっかくのクリスマス、誰かが泣くような結末にはさせません……っ」
朔羅が紙兵をばらまくのを視界の端に確かめながら、蒼矢は力強く曲を奏でる。
新時代を築くその曲は、未来ある少年を救うにはふさわしい曲だった。
倒しきってしまわないよう粘り強く削り続け、今や攻性植物は傷だらけになっていた。それでも、動きは鈍らなかったが。
「あと少し……! ここまでくれば!」
レクシアの操る風が、これまでの優しさを失い、激しく叩きつける。
葉っぱのほとんどを吹き飛ばされ、それでもまだモミの木は動きを止めない。
アリシアは一息に敵へと距離を詰める。
おそらく、少年は助かるだろう。アリシアとてそれを望まないわけではない。
だが、仮に助からなかったところで、殺人兎の彼女は殺したことを気にやむことはない。
だから、アリシアはためらわずトドメを刺しに行った。
高速で移動した彼女は根本に潜り込むようにして至近距離まで接近する。
「伐採するにはもったいない業ですが、アリシアの一撃ご覧くださいな!」
彼女の引き締まった脚が閃いた。
蹴りが二度放たれ、打撃音が二度響いたことを認識できた者は何人いただろうか。
太い幹が半ばから折れ、モミの木はゆっくりと倒れていった。
●きっと、楽しいクリスマスを
敵を倒したアリシアが、そのまま素早く少年を抱えて離脱する。
「……息はありますね。大丈夫そうですよ」
急ぎ足に集まってくる仲間たちにアリシアは告げた。
「すぐに治してさしあげますの」
シアが青い輝きを放って少年を癒すと、彼は弱々しいながらも目を開けた。
「あ……ケルベロスの、人たち?」
「ええ、そうですわ。もう大丈夫ですの」
「うん……わかってる。夢の中で……いろんな人が声をかけてくれたから」
動くのはまだつらそうだが、少しだけ少年は微笑んだ。
「素敵なツリー、残してあげられなくてごめんなさい。せめて、残った飾りで周囲をクリスマスらしく彩らせて下さい。もみの木もきっと安心します」
「散らばっちゃった飾りも、なるべく全部集めるからね」
攻性植物となってしまったツリーは、もう回復できない。
しずくや蒼矢の言葉に少年が頷く。
「元気そうなら、教員に許可を取って一緒に飾り付けをするつもりでしたが……無理そうですね」
「仕方ねえな。元のツリーにも負けない飾り付けをしておくから、楽しみにしててくれよ」
仁王の言葉に、広喜が少年へ笑顔を向ける。
朔羅は持ってきていたガラス製のトナカイのオーナメントに目を落とす。飾らせてあげたかったが、残念ながら無理そうだ。
「……これも飾っておきますから、気を取り直して、楽しいクリスマスにしてください」
オーナメントを見せて、彼女は言った。
「少年や生徒の皆さんがまた誇らしく見上げられるように出来れば幸いですね」
レクシアの言葉に皆が頷く。
病院へ少年を運ぶよう手配すると、ケルベロスたちは休む間も惜しんで飾り付けを始めた。
作者:青葉桂都 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年12月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 1
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