●ぺったんこ巨大ロボ襲来!
北海道釧路市。
この地に突如として光が発生し、現れたのは巨大な女性型ダモクレスだった。
そいつは、この地に封印されていたことを認識する。早速、動き始めようとするが、どうやらグラビティ・チェインが枯渇しているようで満足に動くことができないらしい。
「ダモクレス……女性……なのか?」
「腰はくびれてるし、お尻も大きいから女性だろうが……」
この地の人々は避難しながらも、その巨大ダモクレスの姿に着目する。
女性型ダモクレスなら、多少女性らしさを現す為に胸の部分も大きく造られていることがほとんど。しかしながら、その体は悲しいくらいにまっ平らである。
「クッ……」
そんな声がダモクレスから漏れたような気がした。
そして、そいつは全身にミサイルポッドを展開し、ミサイルをばら撒き始める。ダモクレスを見ていた者はもちろん、逃げ行く人にまで命中してその身体を吹き飛ばす。
耳障りな言葉を発する人々を始末しながら、巨大ダモクレスはグラビティ・チェインを集めるべく人の多い市街地を目指して歩き始めたのだった。
ヘリポートにやってきたケルベロス達。
彼らの来訪を待つ間、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)はホットミルクを飲んで身体を温めていた。
「ようこそ、皆も飲むかい?」
彼女はやってきたケルベロス達へと、ホットミルクを差し出す。
牛乳が苦手な者は遠慮していたようだが、それを受け取るケルベロスが美味しそうに飲む中、火鳴木・地外(酷い理由で定命化した奴の一人・e20297)がこんな話を持ちかける。
「巨大女性ダモクレスが出るってな。……どうやら、胸が小さいようだが」
そんな地外の話に、リーゼリットが少し苦笑しながら話す。
「胸のことは置いといても、ダモクレスの出現は見過ごせないね」
なんでも、先の大戦末期、オラトリオにより封印された巨大ロボ型ダモクレスが復活し、暴れ出すのだと言う。
復活したばかりの巨大ロボ型ダモクレスはグラビティ・チェインが枯渇しており、戦闘力が大きく低下している。
「放置すれば、ダモクレスは多くの人間を求めて移動するようだね。たくさんの人々を殺害して、グラビティ・チェインを補給しようとしているよ」
力を取り戻した巨大ロボ型ダモクレスは更に多くのグラビティ・チェインを略奪した後、体内に格納されたダモクレス工場でロボ型やアンドロイド型のダモクレスの量産を開始してしまうのだ。
「力を取り戻す前に、このダモクレスを撃破してほしい」
巨大ロボ型は女性の容姿をしている。残念なことに、胸部はまっ平ら……こほん。
それはそれとして、敵はダモクレスらしく、光線やミサイルを武装として所持している。時に鮮烈なる蹴りを放って相手を薙ぎ払うことが確認されている。
どうやら、グラビティ・チェイン枯渇の影響か、全体的な性能や攻撃力は減少しているようだが……。
「厄介なことに、巨大ロボ型ダモクレスは戦闘中1度だけフルパワーの攻撃をしてくるんだ」
おそらくは、一番威力のある光線だろう。非常に威力のある一撃の為、細心の注意を払って対応したい。
「あと、一般人の避難は警察に任せて、皆は到着次第、ダモクレスの討伐に全力を尽くしてほしいんだ」
それというのも、巨大ダモクレスが動き始めてから7分すると、魔空回廊が開いて敵が撤退しまうからだ。こうなると、ダモクレスの撃破は不可能となってしまう。
「戦うことのできる時間は限られているから、効率よい立ち回りが必要となるよ」
撃破を狙うなら、事前に出来る限り布陣、作戦を十分に考える必要があるだろう。
一通り説明を終え、リーゼリットは依頼に臨むケルベロス達の姿を見回して、さらに告げる。
「相手は普通のダモクレスだと思ったけれど、そんなに外見で胸って気になるものなのかな……」
主張する自身の胸に、少ししょぼんとしてしまうリーゼリット。
そこで、ケルベロス達は自らの持論を語る。男女でその考えは様々だが、そんなケルベロス達の声にリーゼリットはすまなさそうに頭を下げた。
「ごめんね。悩みは人それぞれだからね」
ともあれ、時間もそこまで残されてはいないからと、彼女は自身のヘリオン内へとケルベロスを招き入れ、現場に急行していくのだった。
参加者 | |
---|---|
赤星・緋色(小学生ご当地ヒーロー・e03584) |
ヒメ・シェナンドアー(白刃・e12330) |
火鳴木・地外(酷い理由で定命化した奴の一人・e20297) |
ルリィ・シャルラッハロート(スカーレットデスティニー・e21360) |
イグノート・ニーロ(チベスナさん・e21366) |
神居・雪(はぐれ狼・e22011) |
アビス・ゼリュティオ(輝盾の氷壁・e24467) |
ホルン・ミースィア(ヘイムダルの担い手・e26914) |
●大きいのに小さい?
北海道釧路市。
ケルベロス達は降り立ってすぐ、街に現れると予知される巨大ダモクレスの出現に備える。
「こっちに帰るつもりは無かったんだけどな。そうも言ってられねぇか」
北海道出身の神居・雪(はぐれ狼・e22011)は、故郷の地が襲われると聞いて黙っていられなかったようだ。
「封印されてたダモクレスとの戦いは初めてかな」
今回、最年少の赤星・緋色(小学生ご当地ヒーロー・e03584)だが、小柄な女性メンバーが多いことでそれも目立たないものの、まだまだ子供っぽい印象を抱かせる活発な少女だ。
「封印されたダモクレスの開封……。力を蓄えている時期だろうダモクレスに戦力を渡すわけにはいかないわね」
淡々と語る白い肌のエルフ、ヒメ・シェナンドアー(白刃・e12330)はまだ見ぬ敵の打倒を誓う。
「気にしてる人結構多いけど、胸が大きかろうが小さかろうがどっちでもよくない?」
「……それ以前に、ダモクレスでもスタイルとか気にすんのか」
そこで、アビス・ゼリュティオ(輝盾の氷壁・e24467)が何気なく仲間に問いかけると、雪があまり気にもかけぬ様子で素っ気無く返す。
「胸が大きいの羨ましがられるのは悪い気しないけど、もう少し背も育って欲しいかな……」
女性メンバーで最も胸部が豊かなルリィ・シャルラッハロート(スカーレットデスティニー・e21360)には、身長が止まったのに胸だけ育つという悩みがある。
ここに来るまでに、彼女は同じく大きなものを持つ銀髪エルフのヘリオライダーと悩みを語り合い、慰め合ったり、励まし合ったりしていたようだった。
さて、一行は現場付近で、ヒメが見定めた位置で敵の出現を待つ。彼女はできる範囲で被害を減らせそうな場所をチェックしていたのだ。
それからすぐに地面が光り輝き、せり上がるようにして現われたのは、巨大な女性ダモクレスだった。
「本当に平たいな……」
肌の露出が大きい雪の胸は人並み以上といったところだが、見上げる相手は悲しいほどに断崖絶壁である。
「ふぅぅ、さっ、ルナ! がんばろーねっ!」
そこで、アホ毛を揺らすホルン・ミースィア(ヘイムダルの担い手・e26914)は両手をぎゅっと握って意気込むと、彼女のウイングキャットのルナが主に鏡を向けて。
「……って、ちがーうっ!?」
ホルンのお胸はまだまだ、悲しいくらいにぺったんこである。
「…………だ、だいじょうぶダモクレスのおねーさんっ。胸なんて無くても、無くて……も………。うわぁぁああああああんっ!!!!」
「身長も伸びてるし、成長期だからまだこれからよ?」
大声で泣き出してしまうホルンは抱っこして慰めるルリィ大きな胸に挟まれ、またも自身の胸の小ささを実感していた。
一方で、依頼を持ちかけた火鳴木・地外(酷い理由で定命化した奴の一人・e20297)も、自身が定命化した経緯を思い返してしまって。
「でかいのに小さい。更に硬そうな胸装甲。やっぱ、地球は最高だなと再認識したぜ」
地外の視線は大きく主張するルリィや、ヒメ、雪らの胸部へと向いていた陽である。ジロジロと彼に見られ、雪は少しばかり恥ずかしさを覚えていた様子だ。
相手もなぜか自身のまな板……もとい、全く膨らみのない胸部に、くっと呻いてからケルベロスを見下ろす。
「女性の魅力は胸にあらず、でございますよ。……滔々とご説明したい所ですが、残念ながら我々は敵同士」
チベットスナギツネのウェアライダーであるイグノート・ニーロ(チベスナさん・e21366)は相手に紳士的な振る舞いで告げながらも、携帯のアラームを5分後に鳴るようセットする。雪もまた、念の為にとタイマーを仕込んでいた様子だ。
「さてと……、逃げられる前にさっさと解体してしまおうか」
「7分で逃げるらしいから、速攻で滅殺よ!」
全身をバトルオーラで包んだアビス。ルリィもまた、武器を手に身構える。
女性ダモクレスも枯渇したグラビティ・チェインの補填の為か、武装を展開していた。
『メインシステム【The Soul Conductor】起動……戦闘機動を開始します』
小さく呟くホルンが出現させた巨大鎧装へと、彼女は一体化していく。
少し後ろでは、プリンセスモードに変身したヒメがいた。
ヒメはひらひらした服の上から、赤い軽装鎧を装着して対している。この場から避難する人々もケルベロスの出現を察し、元気付けられていた様子だ。
「戦力補充されても困るし、ダモクレスはぺったんこよりもぺしゃんこにしてやるのだー」
自身もまだまだぺったんこな緋色も、敵に向けて飛び出す。
ダモクレスは邪魔なケルベロスの掃討をと、全身からミサイルポッドを展開するのだった。
●断崖絶壁のようにそそり立つ敵
釧路の街に現われた巨大デウスエクスの姿に、人々は離れるようにこの場から逃げて行く。警察が駆けつけたこともあって、それも加速していたようだ。
全身からミサイルポッドを展開する巨大女性ダモクレス。
だが、その動きがやや動きが鈍いこともあり、ケルベロス達が先に素早く攻撃を仕掛けて行く。
まずは、先駆けて飛び込んだアビスがちらりと後ろに視線を走らせ、後続から仲間が来ているのを見る。
「さすがにこれだけデカイと、普段よりやり辛いね……」
相手は身長が7mと、ケルベロスの3倍はある敵。
仲間に素っ気無い態度を見せることも多いが、連携を考えたアビスは攻撃をとボクスドラゴンのコキュートスが果敢に体当たりを繰り出したのに続き、全身にバトルオーラ「abs-frost」を纏い、強く拳を叩きこむ。
そして、後方から雪が相手を狙うのだが。彼女は自身のグラビティが自身の想定とかなり違うことに気づく。
とはいえ、巨大ダモクレスの足を止めることはできると判断したようで。
「回復は任せたぜ」
仲間に呼びかけた雪は魔力を込めた咆哮で相手の身を竦ませ、ライドキャリバーのイペタムも炎を纏った突撃で主を援護していたようだ。
「封印したのって、やっぱオラトリオかしらね」
失伝ジョブという考えも頭に過ぎったルリィだが、ヘリオライダーの説明を思い出しながらも真紅の光を噴射して突撃していく。
「どちらにせよ、滅殺するのにかわりは無いけど。……運命を受け入れなさい」
ドイツ語で、「小夜城の紅」と名づけられた一撃。彼女は自身から放出された巨大な真紅の十字架を、相手に叩き込んでいく。
だが、その巨体はビクともしない。
「効果的な攻撃手段が分かればよいのですが」
イグノートは仲間達の攻撃がどの程度ダメージを与えているか、逐一チェックし、仲間達に伝達する。
もちろん、自身も竜語を紡ぎ、伸ばした手から竜の幻影を発していく。
燃え上がる炎がダモクレスの体を焦がすのを見て、イグノートはさらに食らいつく弾丸を飛ばそうと、己の気を高めていた。
『【LayCannon】展開、薬室内光素充填』
巨大装甲となったホルンが両肩に2対の砲塔を展開して。
「ルナっ、合わせて!」
彼女は翼猫のリングと合わせ、光のリングを通過して巨大なレーザーとなし、相手へと叩き込んでいく。
それがダモクレスの回路をショートさせるが、相手もすぐに身体を硬直させはせず、全身からミサイルを発射させてきた。
撃ち込まれて来る弾丸を緋色ら前線メンバーは堪える。その爆薬にもどうやら麻痺効果を及ぼす成分が含まれているらしい。
動きを止めるメンバーがいれば、短期決戦で臨まねばならぬ戦いに大きく支障が出てしまう。
「ここで、攻撃の手を止めるわけにはいかないね」
その為、ヒメは普段深く抑えている魔力を解放する。彼女の周囲に輝く翠風が漏れ出て、仲間達の傷と不浄を振り払っていく。
緋色はその光を浴びながら、バトルオーラを纏って突撃する。
「絶対、私はできる!」
自身の将来性を信じ、飛び上がった緋色が敵の胸部目掛けて渾身の一撃を叩き込んだ。
初撃は縛霊手で殴り付け、相手の体を霊力の網で縛りつけようとしていた地外。
彼もまた、ミサイルと光を浴びていたが、相手の胸部にある意味で釘付けになっていて。
仲間の攻撃が巨大ダモクレスの体を攻め立て、身体の所々に亀裂が入り、内部の基盤や回路が露出している。
「生体パーツ少なさそうだし……」
ウイングキャットおむちが尻尾のリングを飛ばす横で少し考えていた地外は、バスターライフルを構えて凍結光線を発射する。
狙った敵の胸部に氷が付着し、少しばかり膨らみができたようにも見えて。
「成長の兆し無いなら、もうちょいパーツ換装で胸盛っとけとアドバイスだ」
軽口を叩く地外に気づいたのか、ダモクレスは僅かに眉を顰めてケルベロスへと鮮烈なる蹴りを繰り出してきたのだった。
わずか、7分という短い猶予時間。
ケルベロス達は巨大ダモクレスが逃げてしまう前に、全力でその破壊を目指す。
ルリィはチームの火力となり、チェーンソー剣で仲間の傷を抉り、全力で相手を攻め立てる。
雪はグラビティの装備ミスを悔やみつつ、超加速攻撃で襲い掛かり、さらに彼女は雷のカムイに力を借りる。
「猛き雷、その力の一端を今ここに」
その力を一時的に解放した雪は最大限に力を行使し、四方に雷を発していく。雷は全てを焼く炎となり、ダモクレスの体を焼き焦がす。
直撃を受けているものの、敵もなかなか倒れない。
淡々とケルベロスに蹴りとミサイルを繰り出してきていた巨大ダモクレスだったが、グラビティ・チェインを思うように吸収できぬ状況に苛立っており、胸部に出現させた発射口へと力を高めて行く。
「フルパワー攻撃、きますよ」
イグノートの言葉もあり、各自身構える。
『カノンモードへ移行、フォトンライン全開放』
すると、ホルンが機体を変形させつつ、言葉を紡ぎ出す。
「これは魂送る悼みの焔……次界を貫く光の階……」
彼女の声と共に、機体が位置固定され、展開された武装にエネルギーが込められていく。
『目標捕捉、最終セーフティ解除……撃てます』
「何より早く時駆けた初源の洸陽……世界を生んだ始まりの炎にて、全て、無に還れ」
放たれる強烈な光が街を駆け抜ける。それがダモクレスの体を貫きはしたが、相手の体内に高まるエネルギーを霧散させるとはいかない。
「全力攻撃って、ボディプレスとかだと思ったんだけどな」
なんとなくそんな推論を口にしていた緋色も、集まるエネルギーに危険を覚えたらしく、身構える。ある程度、防具で態勢は練っていたこともあり、大丈夫とは思うが……。
その直後、彼女目掛けて強力なエネルギーが放たれた。
全てを飲み込みそうな威力の膨大な熱量。その手前にアビスが飛び出す。
アビスの小さな体が刹那、光に飲み込まれて。意識どころか、身体すらも持っていかれそうな力。
だが、それを翼猫コキュートスが身代わりとなり、受け止めてくれていた。
消え行く相棒の姿に心を痛めつつも、彼女はダモクレスへと向き直る。
そこで、イグノートのセットした携帯のアラームが鳴り響く。
「タイムリミットが近いようです。皆さま、此処が鍔際で御座いますよ」
「さーて、それじゃあトドメといこうか」
それを耳にして跳び上がったアビスは、流星の蹴りをダモクレスへと浴びせかける。
「きっと胸が小さいせいで、ジェネレーター的な物を搭載するスペースが無くて、再チャージが出来ないのね」
そんな分析と共に、ルリィは再度、真紅の十字架型の光を巨体の相手に叩き込む。仲間に注意を促していたイグノートもまた、威力を重視した攻撃で襲い掛かり、獣となった腕で機械の敵の体を薙ぎ払っていく。
アビスの翼猫が姿を消してしまったものの、単体攻撃は幸いと言えた。
それまで仲間の回復に当たっていたヒメも刀剣士として、左右の手に斬霊刀「緋雨」と「緑麗」を握り、衝撃波を放つ。
相手はダモクレスである以上、霊体を持つ。それを切り裂かれた相手はかなり苦しんでいたようだ。
ただ、敵の頭上に魔空回廊が現れていた。多少苦しむ程度では良しとは言えぬ状況でもある。
ここで確実に敵を撃破すべく、地外も敵の懐へと飛び上がった。
「今までに、色んな種族のデウスエクスの特盛りを揉んできた一撃を食らえ!」
オウガメタルを纏わせた拳で、彼はその胸部を打ち砕かんとする。計算された一打は仲間達の与えた傷もあいまって、打撃箇所に爆発を巻き起こす。
「……予想通り、物足りん!」
絶壁のような胸に、地外は少し、いや、かなり不満を覚えたようだ。
その一打によって、ダモクレスに異変が起こる。敵の上体が大きく揺らいで態勢を崩したのだ。
「はっ!? おねーさんっ、ボク気がついちゃった!」
そこで、ホルンが何か思いついたらしく、叫びかける。
「定命化すれば、もしかしたら成長するか……も……」
彼女自身、定命化して程ないヴァルキュリアだ。だからこそ、胸を気にする相手にも……と思ったのだが。
目の前の巨大女性ダモクレスは完全に沈黙し、街中へと巨体を横たえてしまう。
「お、遅かったぁぁ。……おねぇさぁあんっ!!」
事切れた相手の姿に、ホルンは思わず慟哭してしまうのだった。
●ミルクをのんでのんびりと……
破壊された釧路の街へと、ケルベロス達はヒールに当たっていく。
「ミサイルやキックで、ボロボロになってるからねー」
周囲を見渡した緋色は息を吸って歌い始める。
「もし願うのなら 願うのなら 引き金を引いてみせてよ……♪」
その歌詞は、生きる事の罪を肯定したメッセージ。力持つ歌が破壊された建物の亀裂や道路に空いた穴を幻想で塞いで行く。
イグノートはヒールグラビティがないということで、肉体労働で奉仕し、瓦礫の片付けを行う。
「結局、胸が小さいことの何が不満だったんだろ?」
仲間達が敵の容姿についてあれこれ語っていたのにもかかわらず、アビスは理解できずに氷の盾を展開し、街の修復を行っていたのだった。
作業を終えたケルベロス達は街の人の好意に甘えて、新鮮な牛乳を飲みに行くこととなる。
寒いこともあって、街の人はミルクを温めてくれるというが、イグノートは冷たい牛乳を頂いていた。
「冷たいものを手に腰をあて、一気飲みが作法を伺いました」
彼は聞いていた作法にのっとって、くいっとミルクで喉を潤す。冷たくもほんのり甘さを覚えるその味は実に心地よさを覚える。
ヒメもホットミルクでほっこりと温まり、一息つく。
「たまには、こうやってゆっくり過ごすのも良いわね」
「ハニーミルクも美味しいわよ」
ルリィは蜂蜜も合わせていただき、それをかき混ぜてから口にしていた。
「……少し懐かしい味ではあるな」
北海道出身の雪は、その味に故郷を実感していたのかもしれない。
メンバー達はしばし北の地で身体を温めて英気を養い、新たな戦いの場に向かうのである。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年12月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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