括目して見よ! ナント白鳥拳!

作者:秋津透

 新潟県阿賀野市、郊外。
 白鳥が飛来する湖、瓢湖の存在で知られるこの町の、瓢湖からはかなり離れた山の中。
 それなりに暖房の効いたプレハブ小屋の中で、拳法着らしきものを着こんだ一人の大柄なヨーロッパ系外国人の男性が、大きく両手を広げ、舞とも拳法の型ともつかないものを熱心に演じている。
 彼の名はルフェーヴル=ユーティル。ナントの勅令で有名な、フランスのナント市出身である。彼は、東洋の拳法と空手に興味を持ち、各地で修行を積んだのち、この阿賀野市にやってきて、当地に飛来する白鳥の動きを模した拳法「ナント白鳥拳」を創始したのである。
 しかし残念なことに、変なフランス人が興した怪しい拳法の流派に敢えて入門しようという者はなく、彼は一人、自費で購入した土地に建てたプレハブ道場で修行を続けている。
 するとそこへ、いきなり声がかかった。
「お前の、最高の『武術』を見せてみな!」
「コォー! ココココココ、コォー!」
 奇声を発しながら、フランス人拳法家は獲物に襲い掛かるオオハクチョウの如き優雅にして獰猛な動きで、背後に立っていた大きな鍵を持つ少女を攻撃する。しかし少女は、彼の猛撃を受けてもびくともしない。
「あはははは! 僕のモザイクは晴れなかったけど、お前の武術はそれはそれで素晴らしかったよ!」
 言い放つと、少女……ドリームイーター幻武極は、手にした鍵で彼の心臓を貫く。
「コォー!」
 一撃で、フランス人拳法家は意識を失い崩れ倒れるが、貫かれたはずの胸に傷はない。そして彼の傍らに、彼とそっくりな風貌をしているが、より獣的で凶暴な光を瞳に宿した新たなドリームイーターが出現する。
 その様子を見た幻武極は、にやりと笑って告げる。
「さあ、お前の武術を見せ付けてきなよ」
「コォー!」
 奇声をあげ、ドリームイーターは大きく両手を広げて道場から出ていく。
 既に、幻武極の姿はどこにもなかった。

「……フランスから拳法の修行に来て、新しい流派を始めた人が、幻武極に倒されて、新たなドリームイーターが生まれてしまったの。助けてあげてもらえるかしら?」
 エリン・ウェントゥス(クローザーズフェイト・e38033) が、おずおずと躊躇いがちではあるが、彼女なりに決意を籠めた口調で訊ねる。そしてヘリオライダーの高御倉・康が、緊張した表情で告げる。
「新潟県阿賀野市で修行をしていたフランス人の男性が、武術家を襲うドリームイーター『幻武極』に襲われ、新たなドリームイーターが出現してしまう、という予知が得られました。彼が修行していたのは、えー、自分自身で創始した流派、白鳥の動きを模した『ナント白鳥拳』です。ちなみにナントというのは、彼の出身地だそうです。白鳥の動きを模して強いのかどうかはよくわかりませんが、出現したドリームイーターは、鳥のような動きから強力なグラビティを使う怪物と化しています。こんなものが一般人に遭遇したら一大事ですが、幸い、彼が修行していた道場は人里離れた山奥にあります。ドリームイーターは、白鳥の営巣地がある瓢湖に向かっていますが、急行すれば一般人に遭遇する前に捕捉することができるでしょう。ただし、万一捕捉しそこねて瓢湖まで行かれてしまうと、そこは観光地で多くの人が集まっているので、惨事が起きてしまいます」
 そう言って、康はプロジェクターに地図と画像を出す。
「ドリームイーターは単体で、見た目は元になった人物と変わりません。しかし動きや力は、当然ながら人間離れしています。使うグラビティは、鳥が獲物をついばむような動きからの連続頭突き、翼のように大きく広げた腕から放つ冷凍吹雪、自分の傷を癒し状態異常を解消するモザイクヒーリングです。ポジションは、キャスターと思われます。また、さすがに飛行はしませんが、かなり強いジャンプ力を備えているようなので用心してください」
 そして、康は一同を見回す。
「このドリームイーターは、誰かと遭遇すると相手かまわず攻撃を仕掛けてくるようです。一般人が巻き込まれる状況になる前に、きっちり倒していただければと思います。どうか、よろしくお願いします」
 そう言って、康は深々と頭を下げた。


参加者
スレイン・フォード(ロジカルマグス・e00886)
パトリック・グッドフェロー(胡蝶の夢・e01239)
梅林寺・マロン(インフィニティポッシビリティ・e01890)
ロベリア・アゲラータム(向日葵畑の騎士・e02995)
シスキア・ウィンドフィールド(平穏に捧ぐ子守唄・e16699)
御足菜・蓮(剣脚のヴァルキュリア・e33882)
エリン・ウェントゥス(クローザーズフェイト・e38033)
シャーロット・ファイアチャイルド(炎と踊る少女・e39714)

■リプレイ

●出た! ナント白鳥拳!
「ヘリオライダーの予知によれば、ドリームイーターが発生した場所は地図上のここ。そこからまっすぐこの瓢湖に向かっている」
 白鳥の越冬地として名高い新潟県阿賀野市、瓢湖。そこに今、八人のケルベロスと三体のサーヴァント、そしてファミリアロッドに化身する白フウロウが集まっている。
「山また山の険しいルートを、敵がどのように走破してくるのかは、ヘリオライダーにも見えなかったそうだ。だが、想像するに、ハイジャンプを重ねて障害物や難地形を跳び越してくるのではないかと思う。何しろ相手は、オオハクチョウの動きを模しているそうだからな」
 喋るのはあまり得意じゃないんだが、と内心呟きながらも、しっかりとした口調で告げて、今回集まったメンバー中では最年長(32歳)のスレイン・フォード(ロジカルマグス・e00886)が一同を見回す。
「もちろん、跳んでくると決まったわけではないが、障害物を壊して直進するなら、大騒ぎになるからすぐ見つかるだろうし、普通の人間のように障害物や難地形を避けるなら、ろくに進めず出発点近くにいるはずだ。そのつもりで、探してくれ」
「は~い、わかりました~」
 スレインに次ぐ年長者で、シスターの衣装を身に着けたオラトリオ、シスキア・ウィンドフィールド(平穏に捧ぐ子守唄・e16699)が、少しほわんとした口調で応じる。
 今回、シスキアと、パトリック・グッドフェロー(胡蝶の夢・e01239)ロベリア・アゲラータム(向日葵畑の騎士・e02995)のオラトリオ三人に加え、ヴァルキュリアの御足菜・蓮(剣脚のヴァルキュリア・e33882)が飛行可能なので、パトリックのサーヴァントであるボクスドラゴン『ティターニア』と、シャーロット・ファイアチャイルド(炎と踊る少女・e39714)の使い魔(ファミリアロッドの化身)である白フクロウを伴い、空中を飛んで索敵を行う。
 飛行できないスレイン、シャーロット、そしてエリン・ウェントゥス(クローザーズフェイト・e38033)梅林寺・マロン(インフィニティポッシビリティ・e01890)の四人と、シスキアのサーヴァントであるオルトロスの『ジョニー』は、敵の目的地である瓢湖に待機。敵が見つかれば急行し、万一見つからずに瓢湖まで来られてしまったら迎え撃つ。
 ちなみに三体目のサーヴァント、蓮に従うシャーマンズゴースト『トコヤ』は、いつに間にか姿が見えなくなっている。
(「しかし……単なる偶然だろうが、私以外の待機者は、見事なまでに年少組だな」)
 微妙な表情で、スレインは待機組の三人を見やる。エリンが12歳、マロンが8歳、シャーロットが6歳。ケルベロスの実力は年齢では計れないが、少なくとも外見は可愛い子供たちであり、一緒にいるとスレインは引率の先生か、若い父親にしか見えない。
(「もしも私のバイクに同乗させることになったら、身体が小さい方が融通が効くか……さすがに三人全員は無理かもしれんが」)
 スレイン自身は戦闘場所に急行するためマウンテンバイクを用意しているが、他の三人をどうするかまでは考えていなかった。
(「……まあ、なるようになるさ」)
 声には出さずに呟いて、スレインは離陸する飛行索敵組を見送った。

「白鳥拳……すごく、あぶないね……そんなのが跳んできたら思わず叩き落としそう」
 鋭い目で周囲を警戒しながら蓮が呟き、ロベリアは思わず目を丸くする。
「そ、そうですか? 確か、見た目は元の武術家さんと同じだって聞いてますけど?」
「うん、だから……白鳥拳の武術家って……ほら、股間に白鳥が……」
 蓮が顔を赤らめながら応じ、ロベリアはますます当惑した表情になる。
「こ、股間に? そ、そんな姿の人がいるのかしら? ……いえ、その、ええと、いるのかもしれないけど、今回ドリームイーターに襲われた人は、普通に白い拳法着姿だったと思います。確か、画像が……」
「……ああ、そうなの。それなら良かった」(こてん)
 ネットで白鳥拳を検索すると、そんなのばっかり出てくるから、と、蓮は安堵した様子でこてんと首をかしげ、どんな検索してるんですか、と、ロベリアは自分の額を抑える。
 するとパトリックが、鋭い声で叫んだ。
「あれじゃないか? あの、樹の上!」
「えっ!?」
 てっきり宙を跳んでいるか、さもなくば地上にいると思って敵を探していたロベリアは、驚いてパトリックが示す先を見た。
 大樹の頂、梢の先に、一人の人物が立っている。
 元にされてしまった武道家はフランス人とのことだが、大柄な体躯に焦茶色の髪と髭、白い拳法着をまとって両腕を広げた姿は、なかなか堂々としている。
 ただ、白鳥というよりは、イヌワシとかそういった猛禽類を思わせるのは、人間の姿をしていても自ずから放たれるデウスエクスの狂猛さのせいだろうか。
「見つけた! ここで止める!」
 装備したインカムを通じ、瓢湖で待機しているメンバーに向かって、パトリックが叫ぶ。同時に、シスキアがドリームイーターの前に飛びだし、攻撃するかと思いきや、小腰をかがめて挨拶する。
「どうも、シスター兼業ケルベロスのウィンドフィールドと申します。急な申し出で申し訳ございませんが手合わせ願えますか?」
「コォー! ココココココ、コォー!」
 ドリームイーターは、大きく胸を反らして奇声を発すると、梢からジャンプしてシスキアに襲い掛かる、と、見えた瞬間、『ティターニア』が飛び出して庇う。
「コォー!」
 子細構わずボクスドラゴンを捉え、がつがつと頭突きを浴びせながら、ドリームイーターはもろともに地上へと落下する。途中で木の枝にぶつかり、へし折り、がきばきどかと物凄い音をたてながらも、そこはデウスエクス、何の痛手も受けずに『ティターニア』を攻撃し続ける。
(「なかなかの威力ですね……待機組が合流するまで、うまく持たせないと……」)
 声には出さず呟きながら、ロベリアは両者の落下地点から少し距離を取る。幸い、周囲に人影はなく、ロベリアは大急ぎで山林の樹木にキープアウトテープを貼って回って封鎖する。
 一方、パトリックはドリームイーターを追って猛然と急降下をかけ、斬霊刀を非物質化して敵の背中から腰にかけて斬りつける。
「ティターニアを、離せっ!」
「コォー!」
 痛撃を受けたドリームイーターはボクスドラゴンを手放し、くるっと身を翻してパトリックの方へ向き直る。まだ、地面までは落ちておらず、足場は大樹の太枝の上だ。
「キュ~」
 さんざん頭突きを受けまくってしまった『ティターニア』は、ぷるぷると頭を振った後、属性をインストールして自分自身を癒す。
 そこへ急降下してきた蓮が、いきなりオリジナルグラビティ『一踏両断(イットウリョウダン)』を放つ。
「折れず曲がらずしなやかに、全てを祓い、道を斬り開く!」
 ヴァルキュリアブラストの要領で光の翼を暴走させ、全身を「光の粒子」に変えて敵に殺到。激突直前で実体化し、清浄なる霊力と膨大な剣気を叩きつけて敵の防御を崩し、高く上げた脚を振り下ろして敵を斬り祓う。エアシューズ『斬霊脚』を履いた足の踵が、とっさに頭を躱したドリームイーターの肩を砕く。
「コォー!」
 ドリームイーターは、跳びさがって間合を取る。両腕を大きく広げる構えは変わらないが、肩を砕かれた側の腕がだらんと下がって崩れた状態になる。
 一方、どこからともなく出現した蓮のサーヴァント『トコヤ』は、マッスルポーズで祈りを捧げ『ティターニア』を癒す。続いて、ようやく追いついてきたシスキアが、『ティターニア』と自分を含む前衛にオウガ粒子を散布、治癒と命中率上昇を行う。
「コォー!」
 それも白鳥の動きなのだろうか、ドリームイーターは周囲の敵をきょときょとと見回していたが、拳法着の各所に散っているモザイクを肩と背中、腰に集め、自分の傷を治癒する。
 そこへ、キープアウトテープを貼り終えたロベリアが舞い上がってきて、少し上方から角度と勢いをつけると、オリジナルグラビティ『シールドバッシュ』を敢行する。
「吹き飛べ!」
「コォー!」
 手にした『太陽の大盾』を、ロベリアは渾身の力でドリームイーターに叩きつける。圧力に耐えかねて太枝がばきばきと音をたててへし折れ、当の二人のみならず、そこにいた全員が足場を失って下に墜ちた。

●待たせたな! これでキマリ……か?
 少し時間を戻して、瓢湖。
「索敵組が敵を捕捉した。かなり遠い。ぶっとばして行くぞ」
 割り込みヴォイスで宣言して、スレインはマウンテンバイクを発進させる。
「乗っていくなら掴まれ。落ちても拾わんぞ」
「はいっ!」
 エリンとシャーロットが、案外敏捷にバイクへ飛びつく。一方マロンは、バイクには目もくれずに猛然と走り出す。
「道を開けて!」
「……ほう」
 バイク顔負けの高速で走りながら、マロンは「隠された森の小路」を使って行く手の植物を左右に押し分ける。確かに、これは巧い手だ、と、スレインはマロンの後を追うコースを採り、植物が開けた道を疾走する。小柄なマロンが開いた道なので、バイクではすり抜けきれないところもあるが、それでもまったく手つかずの山林を強引に突破するよりは、よほど走りやすい。
 そして、ホッキョクグマとホッキョクウサギのハイブリットだというマロンは、険難悪路何のその、マウンテンバイクが追いつけないほどの高速で山中の疾走を続ける。
 バイクに同乗するエリンとシャーロットも、それぞれしっかりとバイクやスレインに掴まり、巧みにバランスをとって運転に負担のないよう努めている。
 更に、スレインはすっかり忘れていたが、シスキアのサーヴァント、オルトロスの『ジョニー』が、けなげに疾走してぴったりバイクに付いてくる。
 やがて、予想よりも遥かに早く、地図上の現在位置と敵発見地点が重なり、ロベリアが貼ったとおぼしきキープアウトテープが視界に入る。
「ここからは自力で走るぞ」
「はいっ!」
 マロンがキープアウトテープの下を潜り抜けるのを見やりながら、スレインは同乗の少女たちに声をかけ、マウンテンバイクを停めると、素早く飛び降りる。けっこうな強行軍だが、少女たちは遅れずついてくる。
 やがて、スレインたちはマロンに追いつき、戦闘現場に到達した。
「いくよっ!」
 マロンが大きく跳躍し、武術家ドリームイーターとおぼしき敵に虹を伴う急降下蹴りを叩き込む。スレインも続いて跳躍し、右腕をドリルのように回転させて打ち込む。
 そしてシャーロットが、いきなりオリジナルグラビティ『ファイアウォール』を発動させる。
「それっ!」
 普通の耳には単なる気合声にしか聞こえないが、実は古代語呪文の詠唱を超高速圧縮したものを唱え、シャーロットはドリームイーターの四囲に炎の壁を出現させる。
「コォー!」
 既に飛行組との戦闘で相応の傷を負っているドリームイーターは、援軍の攻撃を立て続けに喰らい、大樹の枝から地上へと落下する。
(「最初は自己強化しなくちゃと思ってたけど……その必要はなさそうね」)
 言葉には出さずに呟くと、エリンはオウガメタルを展開、落下してきたドリームイーターに文字通りの鉄拳を打ち込む。
「ザナン流紋章術士、ウェントゥス。見せつけたいのでしょう、なら見せてよ、貴方の武術を」
「コ……コ……コ……」
 息も絶え絶えという有様のドリームイーターに、シスキアが降下してきて炎の魔法を打ち込む。そして、やっとご主人様と合流できた『ジョニー』が、ドリームイーターを睨み据えて炎を加える。
 そこへ降下してきたロベリアが、さっとマントを投げてドリームイーターにかぶせ、布越しにバトルガントレットの一本指突き、指天殺を打ち込む。
「コォー!」
「何故かこうしないといけない気がしました」
 ロベリアが呟くと、エリンが妙に納得したような表情で応じる。
「あ、ロベリアさんもですか? 私も、なんかこう、どっかで見たことあるようなー、って感じがして」
「まあ、流儀を編みだしたのはこいつじゃない。こいつの元にされた人だからな」
 軽い身のこなしで枝から飛び降りてきたスレインが、右手に内蔵された小型ミサイル弾をせり上げる。
「……まあ、戦闘スタイルはその成果のみで語るべきか。だが、そういう意味では、此度はお前に語らせる訳には行かない。お前の可能性は此処で刈り取らせて貰う……check」
 呟きとともにミサイルが発射され、ロベリアのマントを跳ね除けて身を起こそうとしたドリームイーターを直撃する。
 爆音とともに胴体に大穴が開き、人間ならもちろん、デウスエクスでもたいがい致命的な状態になるが、ドリームイーターはよろめきながらも立ち上がる。
「コ……コ……」
「おいおい、そんなしぶとい白鳥、見たことないぞ」
 降下してきたパトリックが呆れた声を出し、オリジナルグラビティ『MIRAGE GLAVE(ミラージュ グレイブ)』を発動させる。
「Live and Let Die!!」
 オレは生きる、てめえは死ね、という苛烈な気合とともに、パトリックは無数の残像を伴う超高速剣撃を瀕死のドリームイーターに浴びせたのだが。
「は、外れたぁ?」
「ナント白鳥拳奥義、瀕死の白鳥。あと一撃で倒されるという危機に至り、急に回避力が上昇する……のかどうかは、私は知らん」
 苦笑混じりにスレインが告げ、パトリックは少女じみた美貌に何とも複雑な表情を浮かべる。
 するとそこへ、マロンが空気を読まずに突っ込んでくる。
「宇宙に煌めく芥子粒、隕石よりも巨大なパワーで太陽よりも熱く魂に銀河が雪崩て濃厚な月蒼穹に流星みたいに全身で光の矢を放つ!」
 む、言葉の意味はよくわからんが、何だか凄いに違いない、とスレインが唸り、マロンはオリジナルグラビティ『錐揉圧縮脚(スクリューコンプレッサー)』を放つ。通常の2倍の跳躍し通常の3倍の回転を加えて螺旋を描きながら急降下するドロップキック……だが外れた。
「あ、あれ?」
 後方に一回転して前受け身を取り着地から素早く立ち上がったマロンが、きょとんとした表情になる。本当に何か奥義でも使っているのか、と、スレインが真顔になる。
 そこへ蓮が、蓮の花のように展開する光の翼を輝かせながら、勇躍、飛び降りてきた。
「最後の一撃は、やっぱり最大の技でないとね! 私の全てを解放して、一踏両断、行くわよっ!」
 宣言すると、蓮は胴中に大穴を開けられた瀕死のドリームイーターに、情も容赦もなく全力の『一踏両断』をぶちかます。
「コォー!」
 今度は見事に脳天から股間まで真っ向唐竹割に両断され、さしものドリームイーターも断末魔の悲鳴とともに分解、無数のモザイクと化して宙に溶けた。

作者:秋津透 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年12月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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