●究極の軟体拳法
若狭湾。福井県から京都府にかけての海岸地形を形成する、日本海側では珍しい大規模なリアス式海岸。
そんな入り組んだ海岸に面する断崖絶壁の森の中、なにやら瓶を片手に柔軟体操をする、褌一丁のスキンヘッドな男が一人。
「ぬぅ……。修行の末、ボストンバッグに入れる程にまで身体を柔らかくはできたようだが……それでも、まだ柔らかさが足りぬな」
自分の追い求めている柔らかさは、人体の構造の限界を越えた柔らかさだ。一瞬でもいい。その柔らかさを手に入れるためには、もっとたくさんの酢を飲まねば。
「古来より、酢は筋肉の柔軟性を上げるとされて来た! この酢による柔軟性を極限まで高め、自由自在に発現させることができれば、その時こそ俺の追い求めている拳法が完成する!」
そう言って、男が高らかに酢の入った瓶を掲げ、再び口にしようとしたときだった。
「究極の柔軟性か……? なかなか面白いな。お前の最高の『武術』を見せてみな!」
突然、彼の横にポニーテールの少女が現れ、問答無用で勝負を挑んで来た。
「ハッハッハ! 悪い事は言わん、止めておけ! 未完成と言えど、俺の『酢拳(さくけん)』は、そんじょそこらの拳法とは訳が違う! 中途半端な気持ちで挑めば、怪我では済まんぞ!」
それでも構わないというならば、少しばかり手合わせをしてやろう。それだけ言って、少女に仕掛ける男だったが、その攻撃は悉く空を切る。
「へぇ……人間って、修行次第ではこんな動きもできるんだね。まあ、僕のモザイクは晴れそうにないけど……お前の武術、なかなか素晴らしかったよ」
変則的な軌道から繰り出される拳と脚を難なく避け、少女は手にした巨大な鍵で、男の胸板を貫いた。
「……っ!?」
幻武極。『武術』の欠落したドリームイーターの手により、意識を失い崩れ落ちるスキンヘッド。その傍らには、いつしか酢の入った瓶を持った、男の似姿をしたドリームイーターが現れていた。
●その名は『酢拳』
「酢を飲んで身体が柔らかくなるって……確か、迷信だった気がするっすけど……」
その日、ケルベロス達の前に現れた黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)は、何とも微妙な表情のまま、自らの垣間見た予知について騙り出した。
「武術を極めようと修行を行っている武術家が、ドリームイーターの『幻武極』に襲われる事件が予知されたっす。その影響で出現したドリームイーターが、グラビティチェインを奪うために、街まで行って暴れようとしているっすよ」
出現するドリームイーターは、襲われた武術家が目指す『究極の武術家』のイメージが具現化したもの。どうやら、酔拳ならぬ『酢拳』という武術のようで……酢を飲んで身体を柔らかくし、人間の肉体の限界を越えた柔軟性を手に入れることを目的としたものらしい。
「そんな人のイメージから生まれたドリームイーターっすから、実際に身体が恐ろしく柔らかいっす。戦いになると、その柔らかい身体や、酢の入った瓶を武器に攻撃して来るっす」
敵の格好は、褌一丁にスキンヘッドという飾り気のないもの。全身のどこでも自由自在に伸ばしたり曲げたりできるようで、伸縮自在の手足を使って攻撃して来る。また、手には酢の入った瓶を持っており、この中身を飲むことで体力を回復させたり、そのまま瓶で殴って来たりするので注意が必要だ。
「今から行けば、ドリームイーターが森から外に出る前に倒すことが可能っす。場所は、若狭湾の断崖沿いにある森の中っすね。敵は自分の武道の真髄を見せ付けたいと考えているっすから、戦いの場を用意してやれば、向こうから戦いを挑んでくるはずっすよ」
なんとも気色悪い敵だが、油断していると酢漬けにされるのはこちらの方だ。くれぐれも、甘く見ることのないように。それだけ言って、ダンテは改めてケルベロス達に依頼した。
参加者 | |
---|---|
風空・未来(けもけもベースボール・e00276) |
カタリーナ・ラーズグリーズ(偽りの機械人形・e00366) |
クロコ・ダイナスト(牙の折れし龍王・e00651) |
峰谷・恵(暴力的発育淫魔少女・e04366) |
草間・影士(焔拳・e05971) |
鮑娘・マネキ(鮑大好き・e06059) |
山蘭・辛夷(ネイキッドアームズ・e23513) |
クオン・ライアート(緋の巨獣・e24469) |
●軟体男、現る!
潮風が微かに香る森の中。断崖絶壁に程近い山中を分け入って進むと、程なくして開けた場所に出た。
山から転がり落ちたであろう、巨大な岩塊。苔の蒸した岩の上に、褌一丁の男が立っている。
なるほど、あれが報告にあったドリームイーターか。ならば、下手に刺激して逃げられるよりも、その欲求を満たしてやった方が引き付けやすい。
「あ、あの……若しかして高名な武道家さんだったりします……? わたしも降魔拳士をちょっとかじってるものです……。ぜ、ぜひお手合わせ願います!」
少しばかり遠慮がちに、クロコ・ダイナスト(牙の折れし龍王・e00651)がドリームイーターに尋ねた。だが、そんな彼女の姿を見たドリームイーターは、自信に満ち溢れた表情のまま鼻で笑うと、こちらを諭すように問い掛けてきた。
「手合せ、だと? ふふふ……言っておくが、私の酢拳に手加減の文字は存在しない。死にたくないと泣き喚いても、私は戦うことを止めはせんぞ?」
逃げるのであれば、今の内だ。一見、強がりにしか思えない台詞だが、しかしこんな褌ハゲでも正真正銘のデウスエクス。油断して侮れば、痛い目を見るのはこちらだろう。
「お前か、酢を使った武術の使い手と言うのは。俺も格闘家の端くれ、珍しい拳法には興味がある。手合わせ願おう」
自らも拳の使い手であることを改めて強調し、草間・影士(焔拳・e05971)もまたドリームイーターに告げた。
「なるほど、いいだろう。そこまで言うのであれば……我が酢拳の神髄、得と御覧いただこうか!」
それだけ言って、ひらりと岩の上から飛び降りるドリームイーター。なんとなく、その動きがクネクネしているように思えるのは気のせいか。
「うわぁ……。なんか、本当に全身が伸びそうな感じ……」
「それにしても、この時期にあの格好って相当寒い……。わたしには無理……これは相容れない……」
実際、峰谷・恵(暴力的発育淫魔少女・e04366)やカタリーナ・ラーズグリーズ(偽りの機械人形・e00366)などが早くもドン引きしていたが、それはそれ。
「ふむ、酢を使って柔軟性を高めると言う発想は良し。問題はソレが、強さに繋がるか否かだが……」
とりあえず、戦ってみないことには解らないと、クオン・ライアート(緋の巨獣・e24469)は自ら酢拳の技を受ける覚悟を決めた。
あの褌ハゲは、人間ではなくドリームイーター。暑さ、寒さに対する概念も、もしかすると地球人とは異なっているのかもしれない。
「まあ、酢の効果は置いておくとして……戦闘において、柔軟性の高い動きをする敵は厄介だ」
敵のペースに乱されてはいけないと、山蘭・辛夷(ネイキッドアームズ・e23513)が気の抜けそうになっている仲間達に注意を促す。格好はアレで、使う技もアレだが、だからこそ、こんなやつにボコボコにされては、ケルベロスとして末代までの恥!
「フフフフ……。究極の軟体拳といえば、猫を模した愛らしくも美しい我がニャン斗真拳なのだよ!」
まあ、中には鮑娘・マネキ(鮑大好き・e06059)のように、自らも妖しい拳法を使う者が混ざってはいたが。
「久しぶりの純戦、しかも相手は格闘系ドリームイーター」
ここは一発、正々堂々と……行くのがセオリーだが、そんなことは関係ない。どんな手を使おうと倒してやる。そんな決意を固め、褌ハゲと対峙する風空・未来(けもけもベースボール・e00276)。
「さぁて、いっちょ行こうかー!」
海沿いの森に彼女の声が響いたのを皮切りに、究極の柔軟性を持ったドリームイーターとの戦いが幕を開けた。
●グネグネ拳法
断崖から吹き上げる風が森の梢を揺らす中、巨岩を背景に戦うドリームイーターとケルベロス達。だが、その見た目こそ変態と紙一重であるものの、軟体拳法の使い手である褌ハゲは、なかなかどうして強かった。
自由自在に伸びる手足は、間合いを測らせることを許さない。酢の力……か、どうかは不明だが、とにかく極限まで軟体化したボディは時に予測不可能な動きで攻撃を避け、時に攻撃をゴムのように吸収して受け流す厄介な代物。
「ハーッハッハッハ! その程度か、貴様達の腕は!」
調子に乗った褌ハゲが、手足を伸ばしながら攻撃を繰り出して来た。
「手足がびにょんびにょんしてるの、なんかちょっと気持ち悪い……」
「ひぃ、ほんとに手が伸びた!? やっぱり間合いの長いパンチは厄介ですね……」
あまりのキモさに竦み上がる恵やクロコだったが、そんなことを言っている場合ではない。敵の攻撃は変幻自在。その上、間合いも自由自在とあっては、避ける方が難しい。
「確かに、動きが読めんな……。見た目以上に、厄介な技かもしれん。だが……」
迫り来る手足を懸命に捌きながら、影士は反撃の機会を伺った。
自由自在に伸びる手足は、正に肉体によるオールレンジ攻撃。前後左右、あらゆる角度から狙われ、徐々にだが確実に体力を奪われて行く。おまけに、体制を崩そうにも敵の身体は好き放題に曲がるため、そもそもバランス感覚からして人間の常識を超えている。
しかし、そんな軟体拳にも、一つだけ自由に動かない場所があった。否、この場合は動かないのではなく、動かせないと言った方が正しいか。
「そこが限界か? なら、このまま断ち切る」
手足が縮む瞬間を狙い、影士はロッドの柄で勢いを付けて大地を蹴った。狙うは敵の手足ではなく、胸と腹の間の部分。どれだけ手足や首を自由自在に伸ばせても、身体の中心になっている箇所を狙って攻撃すれば。
「フハハハッ! そんな直線的な攻撃に当たるはずが……グホァッ!?」
案の定、軟体術で避けようとした褌ハゲの重心部分に、影士の蹴りが炸裂した。
これはチャンスだ。腕や脚の動きに惑わされなければ、手数ではこちらが有利のはず。
「GAAAAAAAAAAA!!!」
戦場に響き渡る巨獣の咆哮。クオンの叫びが衝撃波となって褌ハゲに襲い掛かったところで、他の者達も一斉攻撃!
「さぁ、ダンスの時間だッ!」
「さん、にー、いち、ファイア!」
掌に魔方陣を展開し、そこから辛夷がレーザーの雨を降らせれば、バットを砲台に変形させて、未来もまた竜砲弾で狙い撃つ。圧倒的な火力による制圧。さすがにこれは、軟体術を駆使するドリームイーターでも防げまい。
「お、おのれぇぇぇっ! 飛び道具とは、卑怯なりぃぃぃっ!!」
爆煙の中から、なにやら敵の叫ぶ声がした。まあ、元より拳だけで戦うつもりはないので、細かいことは気にしたら負けだ。
「ダメージを受けた人のフォローは、ボクに任せて!」
「そ、それじゃ……前の人の援護はこちらで……」
敵が足止めを食らっている隙に、恵やクロコが仲間達の態勢を立て直して行く。そんな中、カタリーナは改めて敵の姿を……褌一丁なハゲの存在について、自問自答を繰り返していた。
「というか、冷静になるとこの人の格好、割と変態ってやつなんじゃ……。まぁ、どうでもいいや」
大切なのは、この戦いを楽しめるか否か。そんなに拳で戦うのが望みであれば、それを叶えてやろうと踏み出して。
「酢などというドーピングに頼ったニッチな拳法は淘汰される運命! さぁ、我が拳法の真髄の前に、その見苦しい姿で平伏するがいいのだよ!」
同じく、マネキもまた爆煙が晴れた瞬間を狙い、一気に敵との距離を詰め。
「ぬぅ……おのれ、小細工を……って、オボロォォォッ!?」
左右から、挟み込むようにして繰り出された掌底と獣の拳が、それぞれに褌ハゲの脇腹を直撃した。
「ヌグァァァッ! も、悶絶ぅぅぅっ!!」
脇腹を抑え、全身のあちこちを伸ばしながら、その辺を転げまわる褌ハゲ。その様は、まるで死に掛けのタコが下手糞なダンスを踊っているかのようなもの。
うん、これはキモい。凄まじくキモい。デウスエクスだと知らない者が見たら、間違いなくトラウマになるレベルの気色悪さ。
「……さ、先程の言葉は撤回しよう。貴様達は、なかなか優れた技の使い手のようだ」
だが、それはこちらとて同じこと。ここから先は、本気で行く。そう言って、酢の瓶を取り出した褌ハゲは、瓶の口を咥えると、その中身を躊躇うことなく飲み干した。
●禁技、酢ビンアタック!?
凄まじい手数と柔軟性。二つの力が合わさった軟体拳。しかし、戦いが長引くにつれて、酢拳使いの褌ハゲの動きは、確実に鈍くなっていた。
あのキモい動きを止めなければ。その一心で繰り出され続けたケルベロス達の猛攻は、いつしか敵の身体を硬化させ、敵の身体から一番重要な柔らかさを奪っていた。
「な、なんということだ! 軟体術を極めた我が肉体が、ここまで翻弄されるとは……」
苦悶の表情を浮かべながら、口元の酢を拭う褌ハゲ。攻撃も回避も制限されてしまった今、敵に残された攻撃手段は僅かしかなく。
「だが、我が拳法には奥義がある。……見せてやろう、酢瓶の本当の使い方というものを!」
そういうが早いか、空っぽになった酢の瓶で、褌ハゲは怒りに任せてクオンの頭を殴りつけた。
「うわぁ……格闘家にあるまじき行為だねぇ。ドリームイーターじゃなければ現行犯逮捕だわ」
先程までとは打って変わって、あまりに酷い反則攻撃に、辛夷は完全にドン引きだった。
軟体術の使い手を自称していながら、ピンチになると凶器攻撃に走る。格闘家として、果たしてそれはどうなのか。
案の定、殴られたクオンはまるで動じておらず、ガラス瓶の破片が頭に刺さったまま敵を睨み付け。
「どうした!? その程度の攻撃では、私の芯に届かんぞ!!」
所詮は勢いに任せた反則攻撃。それを奥義と言ってしまう時点で、格闘家としては3流だ。
「貴様の動き、面白くはあったが……我を止めるには圧倒的に『力』が足りん!!」
そう、力だ。柔よく剛を制すという言葉があるが、その反対に、技は力の中にありという言葉もある。柔軟性と手数だけでは、敵を倒す決め手に欠ける。
「力とは、時に鋭さとなる。それを貴様にも教えてやろう!」
「よ~し、ボクも……! 流星のキラメキをくらえー!」
クオンに続けて未来も大地を蹴り、二人の蹴撃が流星の如く敵の胸板へと降り注ぐ。身体を伸ばして耐えようとする褌ハゲだったが、今やそれさえも虚しい抵抗でしかなく。
「ひぃっ! こ、こっちに来ないでください!」
吹っ飛ばされて来た褌ハゲの身体に、クロコが回し蹴りを炸裂させた。
「ふふふ……。お酢には筋肉組織を弱める力がある。つまり、体が柔らかい分、ダメージの通りもいいってことさ」
ドヤ顔で決めながら、チェーンソー剣の刃を振り下ろす辛夷。酢を飲んで強化された肉体諸共、バラバラにしてやるから覚悟しろと。
「くっ……! こんなところで、我が酢拳が敗北するわけには……」
それでも、しつこく身体を伸ばして攻撃を避けようとする褌ハゲだったが、その動きはケルベロス達によって完全に見切られていた。
「まだ、諦めないんだ……。あぁ、でも、もう見飽きたよ。そろそろ終わりにしようか」
もう、十分に分析は終えた。楽しませてもらった返礼とばかりに、カタリーナがライフルの銃口を敵へと向ける。猫の如き軽やかなステップで間合いを測り、冷凍光線を叩き込めば、敵の身体は伸ばすことさえできない程に凍結し。
「その気持ち悪い身体、もっとボロボロにしてあげるよ!」
小動物へと変化したファミリアロッドを恵が投げ付けたところで、影士とマネキが同時に仕掛けた。
「面白い物を見せて貰った礼に、俺の切札も見せてやろう。その魂、どれだけ燃えてくれるか試してやる」
まずは影士が炎を纏い、凍り付いた敵に連続攻撃! 炎弾の嵐で動きを止め、そのまま掴み上げて空中に叩き上げると同時に、落下しながらも無数の炎撃を叩き込み。
「攻めて、攻めて、攻めまくって、塵も残さず叩き潰すのだよ!! 打つべし! 打つべ――し!!」
全身全霊の力を込めて、マネキもまた下から衝撃波を放つ重拳撃を繰り出して行く。
まあ、実際はスナップを利かせた、ただの猫パンチにしか見えないのが欠点だが、効果の程は十分だ。
「あばばばっ……ひゅでびゅぅぅぅっ!!」
上と下から挟み込まれるような連続攻撃を叩き込まれ、木っ端微塵に爆散する褌ハゲ。そんな敵の最期を見届けて、マネキはドヤ顔で呟いた。
「フフフフ……猫斗真拳は、無敵なのだよ!」
●酢拳の起源
戦いの終わった森の中。程なくして、酢拳使いを自称するスキンヘッドの男は、巨木の近くで倒れているのを発見された。
「貴様の拳法……酢拳と言ったか? なかなか、不思議な動きをする拳だったな」
「お兄さん災難だったねぇ。ちなみに、お酢を飲んだところで柔らかくならないけど……どういう修行したらあんな動きできんの?」
「とりあえず、ボストンバッグに入る芸人のビデオがあったので、それを参考にしてみたのだ。後は、徹底的な柔軟体操に、ヨガの動きも取り入れたぞ」
クオンや辛夷の問いに、意識を取り戻した男は自信満々に答えて言った。なんというか、格闘技には直接関係ないような気もしないではないが。
「思いつきで始めたのかな? それとも実は先祖代々やってる?」
思わず恵が尋ねれば、男は一冊の本を取り出して見せた。なんでも、この本によれば酢拳は中国数千年の歴史を誇る暗殺拳の流れを組む拳法らしいのだが……どう考えても、民俗学者の名を騙る大ボラ吹きが書いたとしか思えない、インチキ本であることは明白だった。
こんなものを信じて修行してしまう辺り、この男は純粋なのか馬鹿なのか。ドリームイーターを引き寄せてしまったのも、そんな夢のような話を信じていたからだろうか。
「ドリームイーターかぁ。最近無茶苦茶してくれてるけど……あいつは今、どこにいるのかな……。会ったら沢山話したいこと、有るのに」
ふと、未来が空を見上げれば、そこには梢の間から真昼の太陽が顔を覗かせている。
彼女の想いや男の夢。それらの全てもまた風に乗って、透き通るような青空の中へと吸い込まれて行った。
作者:雷紋寺音弥 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年12月6日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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