その拳は、空を打つがごとく

作者:波多野志郎

 拳が、虚空を打つ。
 空手における、中段正拳突きである。ただ拳を前に突き出す、という行為ではない。その構えも全身の動きを連動させる事を念頭においた構えだ。地面を踏みしめるつま先から始まり、足首、膝、股関節、腰、胴、肩、肘、手首――それらを同時にではなく、連動させて繰り出す事によって生み出される拳打、それが空手の基本技である正拳突きだ。
「――――」
 一打一打を大切に打つ。その空手家は、拳を放つ意味を知っている。いつ何時でも同じように拳が放てる保障など、どこにもない。だから、いかなる状況にあろうと最善の拳打が打てるように考え、試し、打つのだ。
 だから空手家は、山篭りを選んだ。一つとして同じ地形はない。足場に適した拳打を体に覚えさせるように、毎日毎日毎日丁寧に正拳突きを打ち続けたのだ。
「……すごいね、うん」
 その笑みを含んだ声に、空手家は振り返る。そこにいた者こそ、幻武極――自分に相応しい武術を求めるドリームイーターだった。
「お前の、最高の『武術』を見せてみな!」
「なっ!?」
 幻武極の声と空手家の驚きの声が、重なる。勝手に動いた空手家の体は、身にしみ込ませた正拳突きの動きで幻武極の顔面を打ったのだ。だが、幻武極は微動だにしない――連続で放たれる突き、蹴りをそよ風のように受けた幻武極が、小さなため息と共に告げる。
「もういいよ。僕のモザイクは晴れなかったけど、お前の武術はそれはそれで素晴らしかったよ」
 空手家の胸に、幻武極の繰り出した鍵が突き刺さる。崩れ落ちる空手家、だがゆっくりとその体から立ち上がるモノがいた。
 それは、空手の胴着姿のドリームイーターだ。空手家が求める、空さえ打ち抜く理想の姿が物も言わずに踵を返す。
 ――それこそが、不幸の始まりであった。

「山篭りをしていた空手家の方が、襲われます」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は、小さなため息と共に続ける。
「空手家の方を襲うのはドリームイーターです。名前は幻武極、自分に欠損している『武術』を奪ってモザイクを晴らそうとしているらしいのですが……」
 どうやら、空手家の空手ではモザイクは晴れなかったらしい。代わりに、武術家のドリームイーターを生み出して暴れさせようとしているのだ。
「出現するドリームイーターは。空手家の方が目指す究極の空手家のような技を使いこなします」
 かなりの強敵となるのは、間違いない。だからこそ、人里にこのドリームイーターがたどり着く前に迎撃しなくてはならない――でなければ、望まぬ命が落ちる事となるだろう。
「このドリームイーターは、単体攻撃に特化しています……問題は、その威力と精度ですね」
 山中での戦闘となる。雪などは積もっていないが、斜面での戦闘だ。ケルベロスの身体能力なら問題なく戦えるだろうが――向こうは、どんな状況でも最善の攻撃を行なう事を理想とした空手家だ。単騎が相手でも、油断はできない。
 何にせよ、このドリームイーターを倒さなければ空手家は目覚める事がない。
「あのドリームイーターは、自らの武道の真髄を見せ付けたいと考えているようなので、戦いの場を用意すれば、向こうから戦いを挑んでくるでしょう。真っ向から、打ち倒してください」


参加者
幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)
此野町・要(サキュバスの降魔拳士・e02767)
アイオーニオン・クリュスタッロス(凍傷ソーダライト・e10107)
リサ・ギャラッハ(銀月・e18759)
ユリア・ベルンシュタイン(奥様は魔女ときどき剣鬼・e22025)
遠道・進(地球人の鎧装騎兵・e35463)
人首・ツグミ(絶対正義・e37943)

■リプレイ


 冬の山中に、寒風が吹き荒ぶ。命が消えうせ、枯れ果てようと自然の美しさや雄大さは失われない。それを深く心に刻ませる、そんな光景だ。
「……生粋の武道家のドリームイーターかぁ、少し楽しみだな」
 念入りに柔軟体操を終え、ガントレッドとパイルバンカーを整備しながらビーフジャーキーを手にとって遠道・進(地球人の鎧装騎兵・e35463)は周囲の仲間に視線を走らせた。これから戦いが始まるというのに、進と同じ期待を抱いている者も少なくない。
「よし、これでいいでしょうかーぁ」
 人首・ツグミ(絶対正義・e37943)が額に滲む汗を拭い、自分が用意した立て看板を満足げに見やる。『当方真剣勝負希望。強き武人求む』――なるほど、気分というのは大事である。
「いいわね、いいわね! 愚直なまでに一つの技を突き詰めた、その武を取り出した精髄……今日の『武術』も、とっても斬りがいがありそう!」
 ユリア・ベルンシュタイン(奥様は魔女ときどき剣鬼・e22025)は、数打ちの刀を手に笑みをこぼす。ふと、ユリアが山を歩く人影を見つけて、手を振った。
「見るからに空手家! って感じね。その道着、飾りでないなら……私たちと、遊んで頂戴?」
 確かに、空手家としか思えない見えない男がそこにいた。使い込まれた道着、隙のない身のこなし、鍛え上げられた肉体――それは一つの武を積み上げた者が思い描く、理想の姿だった。
「……凄いね」
 此野町・要(サキュバスの降魔拳士・e02767)が、そうこぼしたのも仕方がない。同じ道を歩むからこそわかる凄味というのもあるのだ。
「やれやれ」
 アイオーニオン・クリュスタッロス(凍傷ソーダライト・e10107)は、ただ冷静に相手を見極める。人の技とドリームイーターの力、それは決して侮れない――だからこそ、こちらへ向かって歩いて来る間にさえ、油断はない。
「いざ尋常にしょーーーうぶ! かかってきやがれです!」
 果たし状を掲げて叫ぶ山に木霊するリティア・エルフィウム(白花・e00971)の言葉に、幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)もヒュオン! と黄龍三節棍を振るい身構えた。
「互いの武を競いましょう。いざ、手合わせを!」
 空手家の歩速が上がる。それはやがて、疾走へと――ケルベロス達めがけて、一気に駆け寄る!
「来ますよ」
 リサ・ギャラッハ(銀月・e18759)が呟き、テレビウムのフィオナがとことこと横に並ぶ。もはや、風に等しい速度で空手家が眼前へと迫っていた。
「幸鳳琴――参ります!」
 鳳琴が腰を落とし、迎え撃とうとした瞬間だ。フっと視界から、空手家の姿が消えた。否、消えたと思えるほどスムーズに『当方真剣勝負希望。強き武人求む』の立て看板を利用して、死角へと滑り込んだのだ。
「――ッ!」
 そして、立て看板に応と答えるように空手家の正拳突きが繰り出された。


 砲弾――その拳の一撃を例えるなら、そう呼ぶのがふさわしい。直線距離を真っ直ぐに、理想的な軌道で打ち込まれる拳だ。
 立て看板はあっさり粉砕、そのまま鳳琴の端正な顔を拳が打ち抜いた。
「ぶあぁッ!」
 殴られた本人が、自分が殴られたと気付いたのは拳の捻りを感じた時だった。打撃を耐えるというのには、準備がいる。いわば、痛みや苦痛、衝撃に耐える覚悟がいるのだ。だが、死角から予備動作もなしに放たれた拳に対して、覚悟を決める時間はなかった。来る、と呼んでさえ、踏ん張る事もできずに宙に浮かされる!
「まだ、まだ……です!」
 だが、武とはこの状況さえ予見しくもの。鳳琴は浮かされた瞬間に、ジャガ! と黄龍三節棍を三節に変形、空中で横回転する遠心力で側頭部を強打した――はずだった。
「っ!?」
 だが、いつの間にか拳を引き戻していた空手家の回し受けが斉天截拳撃の威力を殺す。互いに高い領域まで練磨した技の応酬、それが刹那の攻防だからこそケルベロス達の背筋を凍りつかせた。
「とりあえず、とりあえずお相手つかまつる」
 ガシャンとパワードスーツを展開、左手にパイルバンカー 右手にガンドレットを構えて一礼すると、進は地を蹴る。その瞬間、螺旋力をジェット噴射させて突撃――全体重を乗せた撃鉄式バンカー『アルトアイゼン・ヴォルフ』の一打が空手家の胸部に放たれた。
 まさに古き鉄の狼の名にふさわしい襲撃は、空手家の払いによって軌道を逸らされた。もっとも力のこもった切っ先を、迷わず横から叩く。狼の牙は、空手家の脇腹をかすめるに留まった。
「やだ、すごいすごい!」
 思わず、ユリアがはしゃぐ。理屈や道理は、技を修めていないユリアには皆目検討もつかない。だが、その本質は理解出来た。強い、ただただ強いのだ。ならばこそ、技と対極でユリアは挑む。
 無造作な踏み込みから、電光を纏う刺突。そこに術理はない。ただ、己の生まれ持った才覚のみを頼りとしたユリアの一撃を、空手家は拳と拳で真剣白羽取りの要領で挟んで止める!
「被害者の空手家に敬意を表し、名乗ります。重力空手、此野町 要。我流と名乗るのも失礼な、依然未熟な拳であれば……正拳の極意の、尻尾くらいは掴ませて貰うからねっ!」
 要が名乗り、真っ直ぐに踏み出した。それは自身が放てる、最高の正突きだ。それに対して、空手家が返した答えもまた単純であった。
 ガン! と金属と金属のぶついかる音がした。ユリアの刀から強引に引いた空手家が、一歩下がり正拳突きで迎撃したのだ。互いの拳が、激突した――そのはずだった。
(「向こうが、後から、放ったはずなのに――!?」)
 要が、驚愕する。自分の正拳突きが、繰り出す途中で止められていたのだ。この結果の理由は明確だ。速度とリーチではなく、無駄のなさによる違いだ。
「く――!?」
 要が、横へ吹き飛ばされる。空手家の回し蹴りに、脇腹を蹴り飛ばされたのだ。そこへ、高く跳躍したツグミのスターゲイザーが続いた。
「これが、鍛え上げた空手ですかーぁ」
 ツグミ的に、コツコツ真面目に鍛錬し、自身の向上に取り組む姿勢は正義だ。そして、その正義が至れる高さを知って、ツグミの心が躍った。
「はいはい、熱くなりすぎないようにね」
 カチリ、と巻き起こした爆発と裏腹に、アイオーニオンの声が戦場の熱を抑える。熱さに流されれば、相手の土俵で戦わされる――そうなれば、敗れるのはこちらだと理解しているからこそだ。
「そうですね、私達は私達の戦いを――」
「揺蕩う光よ、天駆ける風となりて その身に力を宿しましょう」
 リサのメタリックバーストが、リティアの静けき森の謳が、前衛を回復、強化する。その時間を稼ぐように、フィオナのテレビフラッシュとボクスドラゴンのエルレのブレスが放たれた。
 しかし、空手家は構わない。己のすべてを振り絞るように、ケルベロス達へと挑みかかった。


 その戦いは、人の積み重ねの可能性を再確認させるものだった。鍛錬とは、無駄ではない。鍛えれば鍛えるほど、武とは応えてくれるのだ――と。
「私はそんなに興味はないけどね!」
 ユリアが、二刀を振るう。剣術など修めていない、刀もまた安物の数打ちの刀だ。しかし、ユリアの剣の才覚は無造作に振るっても達人のそれに匹敵する。
 その才の剣を、錬の拳が弾いていく。空間ごと切り裂くはずの斬撃を空手家は、払い、叩き、殴り壊した。
「ふっ――!」
 鋭い呼気と共に、鳳琴が拳を放つ。八極拳の震脚から放たれる一打、それを空手家は後方へ一歩下がりながら払った。
(「八極拳との戦い方を、熟知していますね!」)
 ここで前に空手家が踏み出していれば、間合いを詰める事に特化した八極拳の肘や体当たりを交えた攻防の餌食になる――空手家の間合いで戦いのならば、確かに下がるという選択肢もあるのだ。
「引いて!」
 要の言葉に、すかさず鳳琴へ跳ぶ。それを見極めて放たれた要の旋刃脚が、空手家に受け止められる。
「へいへーーーい! あなたの武術はそんなもんですか!」
 リティアの挑発に、空手家は反応する。即座に振り返り、すり足で間合いを詰めると回し蹴りを繰り出した。まるで、コマ送りのような滑らかさと鋭さで放たれた蹴りは、フィオナが庇った。
「ミァン、ミァン。力を貸して。あなたの光を」
 リサの呼びかけに、真白の竜が応える。吹き飛ばされたフィオナを背で受け止めたミァンが高らかに咆哮し、一条の電光を空手家へと放った。その雷と同時、ミァンの背を駆けて跳んだフィオナが空手家に、鋏の一撃を繰り出した。
 ジャキン! と道着が切り裂かれるが――浅い。しかし、その体勢を崩れた瞬間を、リティアは見逃さなかった。
「今、エルレ!」
 名を呼ぶだけで、十分だ。エルレが脛へとタックル、それを見越したリティアの光の剣の一閃が――空手家を、宙に舞わせた。
「……あれ?」
 しかし、リティアはきょとんとした表情で自分の光の剣を見る。手応えが、あまりにも無かったのだ。斬撃を受け止めた勢いを利用して、空手家が跳んだのだ。
「もうひとつどうぞーぉ」
 空中に浮いた空手家を、ツグミが呼び出した鋼の鬼が拳で叩き落した。ツグミの戦術超鋼拳はそのまま地面に空手家を押し潰そうとするが、飛びつき腕十字の要領で体を捻った空手家は、離脱に成功した。
 地面を転がり、すぐさま立ち上がった空手家は身構える。一部の隙も無い空手家に、進が挑みかかった。
「いやになるねぇ!」
 言葉とは裏腹に声を弾ませながら、進は鋭い蹴りを繰り出す。それを空手家は、回し受けで凌いでいった。
「すごい威力。あの拳、一度受けてみたいところだけれど……さすがに少し、痛そうね」
 間合いをあけ、ユリアは笑う。いや、気分的には笑うしかない。
「はいはい、そう簡単に倒させはしないのよ」
 アイオーニオンのウィッチオペレーションが、フィオナが回復させる。
(「押しているはず、だけど……」)
 アイオーニオンは、冷静にそう判断を下す。敵の技は確かに優れている、だが身体能力がそれに追いついていない、だからこそ届かない相手ではないのだ。しかし、そう正確に理解できている者が他にどれほどいるだろうか? 己の技を、それ以上の技で返される――それは、武術家にとって悪夢のような絶望だ。
 しかし、折れる者は一人もいない。一打で足りなければ十打、十で足りなければ百、千、万と重ねていくだけ。武とは、それを信じられる者だけは歩める道なのだ。
 そして、諦めないこそ、その時は訪れる。
「ォオ――ッ!!」
 空手家が、地面を蹴った。まっすぐに、鳳琴へと――そして、放たれる正拳突きが、鳳琴を捉えた、そのはずだった。
「さぁ……勝負だッ!!」
 ギリ、と歯を食いしばる。いつ来るのかわからないのなら、いつでも来るのだと覚悟を決め続ければいいだけ!
「貫く……これが、私の、八極拳幸家の……一撃だぁぁぁぁっ!」
 ゴウ! と拳と竜が交差する。互いに命中した拳で、動きが止まった。鳳琴の幸家・醒龍が、空手家の正拳突きと相打ちとなったのだ。決闘なら引き分けだが、今は違う――。
「ここですよーぉ!」
 ツグミが跳躍、空中で前転すると勢いを利用して踵を落とす! その一撃に動きを完全に止めた空手家に、ミァンとフィオナが迫った。空手家が振り向いた刹那、ミァンの背にいたフィオナの画面が眩いばかりに輝き、その動きを止める。直後、ミァンの電光が空手家を吹き飛ばした。
「よくできました。ミァン、フィオナ」
 慣れない前衛に、腕を押さえながらリサは微笑む。心強い絆が自分にはあるのだ、と。
「うまく受けて頂戴ね? 首が落ちたら、つまらないもの」
 吹き飛ばされた空手家を待っていたのは、ユリアの剣理だ。唐竹、袈裟斬り、右薙、右斬上、逆風、左斬上、左薙、逆袈裟、刺突――剣における九種の斬撃を、己の剣の才のみで振るう愛された者にのみ許された乱舞だ。それを空手家は、積み重ねた技術のみで迎え撃つ。ガガガガガガガガガガガガガ! と刀の腹を叩き、払い、逸らし――刹那の、永遠とも言われる交差で、ユリアは確かに空手家へと刃を届かせた。
「あぁ、やっぱりこうでないとね」
 なまくら刀が軋みを上げ、肉に食い込み骨を砕く。その感触が途中で途絶えたのは、強引に空手家が地面を転がったからだ。
「そんな紛いものの強さなんてロクでもないわ、消えて頂戴」
 アイオーニオンの腕から伸びたブラックスライムが、空手家を飲み込む。空手家はもがきながら、立ち上がる。強引にスライムを突き破った右腕が、この一本さえあればいいと吼えていた。
「つっぱりを使いたかったですが――!」
 リティアがエレルのブレスと同時に、弓によって時空凍結弾を放つ。度重なる攻撃を受けて、なおも立つ空手家に要と進が同時に駆け込んだ。
「今度こそ――!」
 まず、要が踏み込む。空手家の動きを見て学んだ正拳突きを、相手と同時に放った。
「――ッ!?」
 最初の激突と同じく、音が響き渡る。しかし、結果は違う。互いの拳は最大の威力で放たれあい、拮抗していた。
「理想は理想で終わり、こっちは成長してるんだよ!」
 そして、零距離で進が触れる――指天殺の一撃を受けて、空手家の理想がその場で崩れ落ちる。
「やはり空手は……強いですね。私も修行中の身。勉強させていただきましたっ。さらに高みを目指しますね」
 鳳琴の一礼に、空手家の理想はどこか満足げに笑い消えていった……。



「はぁ、疲れた 疲れた 帰って休みたいぜ」
 パワードスーツを解除して、その場に座り込んだ進がビーフジャーキーを齧る。戦いが終わった、いっそ爽快な疲労感がケルベロス達を襲っていた。
 ――これは戦いを終え、ヒールで修復を終えた後の出来事だ。倒れていた空手家は、見知らぬ者達からの激励を受けた。
「丁寧な鍛錬、毎日の努力…素晴らしいと思いますぅ! 積み重ねが、本当に大切なんですよねーぇ」
「え、あ……そうだな」
 ツグミの敬意を込めた言葉に、空手家はうなずく。
「組手相手とか、必要でしたら仰って下さいねーぇ」
「暇な時で良いから、一度手合わせしてくれると嬉しいな!」
 要のそんな一言に、空手家は照れくさそうに笑う。彼はまだ、理想に至る途中だ。だからこそ、あの理想は「今」の彼の理想に過ぎない。
 いつの日か、理想を超えて更なる高みに至るかもしれない――それこそが、武なのだから……。

作者:波多野志郎 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年11月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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