報復は人ならざる力によって

作者:なちゅい

●虐げられし者の復讐
 そこは、茨城県かすみがうら市にある民家。
 どうやらそこに住む者は資産家のようで、そこそこ大きな一軒家である。
 その庭で、数人の若者達が携帯ゲーム機を手に、ゲラゲラと語り合っていた。
「そういえば最近、芦田のクズ見ねーな」
「あーそれでか。最近ふところが寒いと思った」
 ゲラゲラと笑う若者達。彼らが手にするゲーム機も、芦田・洋という若者から巻き上げた金で購入したものだ。8人全員がゲーム機を持っているところから見ても、かなりの額を巻きあげたことが分かる。
「しょうがねぇな、集金がてらボコりに……って、なんだ、コイツは!?」
 彼らが重い腰を上げて振り向くと、そこには巨大な植物がいた。そいつらはツルで若者の1人を捕まえ、大きく口を開いて食らってしまう。
「うああああああっ!」
「た、助けてくれえええっ!」
 若者達は必死に逃げ惑うが、植物は片っ端から男達を捕らえて食らっていく。
「ぎゃあああああっ!!」
 頭を丸のみされたリーダー。叫ぶ男達を体内へと詰め込んだ植物は、満足そうにツルで腹をさするのである。
 
 夕暮れの街並みを見下ろしながら、リーゼリット・クローナ(シャドウエルフのヘリオライダー・en0039)はなんとも言えない表情でケルベロス達へと語りかけてきた。
「ずっと、いじめられて、孤立して……。そんな人の気持ち、皆は考えたこと、あるかな?」
「……孤立することは、とても悲しいことでございます」
 リーゼリットに続き、隣にいたケイト・クリーパー(人生謳歌の焦熱少女・e13441)も物憂げな表情でそう訴える。
 ケイトの事後行動もあって、とある若者の男性が攻性植物へと化してしまい、いじめていた若者グループに報復する事件が予知されたのだそうだ。
 近年急激に発展した若者の街、茨城県かすみがうら市では、最近、若者のグループ同士の抗争事件が多発している。この若者グループもそのうちの1つらしい。
「とある若者グループに属していた芦田・洋という青年が攻性植物へと変貌して、その若者グループ全員食べてしまう未来が視えたんだよ……」
 この芦田という青年は、日頃からグループメンバーより暴行にあっており、かなりの額をカツアゲされていたらしい。
 誰にも頼ることができず、肉体的にも精神的にも追い込まれた芦田は、何らかの手段で攻性植物へとその身を変貌してしまったと思われる。
「報復自体も決していいことじゃないけれど、それ以上に、デウスエクスの力を借りて、恨みを晴らそうとしているのを見過ごすわけにはいかないよ」
 それは決して使うべきではなかった力。人ならざる者へと堕ちてしまった彼は、もはや倒してしまうしかない。
「彼はツルで狙った相手を捕まえ、食べてしまおうとするようだね。場合によっては、身体の一部を光を集めて破壊光線を放つことがあるから、注意が必要だよ」
 現場となるのは、茨城県かすみがうら市のとある資産家宅。かなり広い庭のようで、テーブルや椅子、近場には池なども設置されている。それらを破壊する可能性はあるが、戦うのにはほとんど支障はないだろう。
 この家の息子をリーダー格とする若者グループ8人が、邸宅内の庭にて携帯ゲームをして遊んでいる所に芦田……攻性植物がやってきて、グループメンバー達へ襲い掛かるようだ。
「状況によって前後はするけど、この若者……いや、攻性植物よりは早く現場に到着できそうだよ」
 急いで現場に向かうのは任せてほしいが、その分、ケルベロス達には全力で、事態収拾に当たってほしいとリーゼリットは語った。
 また、ケルベロス達が現場に駆けつけ、攻性植物との戦いが始まれば、若者達は勝手に逃げていく。ただ、リーダー宅ということもあるので、戦いが終われば彼らは戻ってくるだろう。
「若者達にお灸を据えるなら、止めないよ。ボクも色々思うことはあるから……。その為にも、まずは攻性植物の撃破を頼んだよ」
 もう救うことはできない若者。ならば、せめて安らな眠りにつかせてほしい。リーゼリットは真剣な表情で、そうケルベロス達へと訴えるのだった。


参加者
結城・レオナルド(弱虫ヘラクレス・e00032)
アリシア・メイデンフェルト(エインフェリア・e01432)
カディス・リンドブルム(ドラゴニアンの鎧装騎兵・e02140)
エリース・シナピロス(少女の嚆矢は尽きること無く・e02649)
芦原・芹瀬(エネルギーいつでも募集中・e02897)
アトラス・アステリオ(天關・e02939)
鳶風・鶸(招霊木・e03852)
ケイト・クリーパー(人生謳歌の焦熱少女・e13441)

■リプレイ

●攻性植物と化した若者
 茨城県かすみがうら市、若者達の闘争が続く街。
 増長した若者達は我が物顔でやりたい放題している現状があるが、そんな中でもグループ内でのいざこざも絶えない。
 今回の事件も、その1つ。だが、デウスエクスが関わる事件とあらば、ケルベロスも黙ってはいられない。
 現場となる、とある資産家邸宅へと駆けつけた一行。さほど時間もない為、やむなく結城・レオナルド(弱虫ヘラクレス・e00032)は獣の拳に重力を込め、叩きつける。閉じていた門はぐにゃりとひしゃげてしまった。
 そして、メンバー達は邸宅内へ入り、そのまま庭へと駆けつける。そこでは、若者グループが楽し気に会話をしていたが、ケルベロス達の姿を目にし、彼らの表情が一変する。
「なんだぁ、てめぇーら?」
「時間が惜しいです。離れて下さい!」
 レオナルドが叫びかけるのと同時に、エリース・シナピロス(少女の嚆矢は尽きること無く・e02649)が殺界を形成していく。興味本位で近づく一般人を防ぐこと、そして、この場の若者達がしばらく戻らないようにとの配慮であるのだが。
「ああ? 何でオレの家から離れなきゃいけねーんだよ!」
 若者のリーダーがケルベロスへと吠える。
 しかし、彼が威勢を張るのもそこまでだった。ゆらりと奥の物陰から、不気味な形をした攻性植物が現れたからだ。
「うああああああっ!」
 叫び声を上げる若者達。ケルベロス達は両者の間に立ちふさがるように布陣していく。
 逃げ出す若者達。芦原・芹瀬(エネルギーいつでも募集中・e02897)はこういう事態を招いた彼らに対し、身が震えるほどの怒りを感じていた。
 若者達と言葉すら交わしたくない芹瀬だが、そこで彼らへと聞こえるように敢えて言葉にする。
「芦田・洋……だよな」
 芹瀬の呼びかけに、攻性植物は頭をかすかに垂れたかのように見えた。
「は、芦田?」
「いいから逃げんぞ!」
 それを耳にしていた若者達は知人の名前と認識するも、その場から一斉に逃げ出していた。
「人払いの後は、戦闘……ね」
「……さぁ、戦争でございます」
 エリースの言葉を受け、ケイト・クリーパー(人生謳歌の焦熱少女・e13441)はすました顔で告げる。
 目の前の攻性植物は何を思うのか、ケルベロス達へと大きく口を開く。復讐の邪魔をされ、苛立っているのかもしれない。
(「人としての生を投げ捨ててまで、成し遂げたかった事なのでしょうか」)
 そんな考えが、アトラス・アステリオ(天關・e02939)は頭に過ぎりはしたが。
「思いを尊重して差し上げたいところではありますが、『人』の味方をやっておりますので」
 逃げた若者達を背に、アトラスは植物の前に立ち塞がる。
 同じく盾を構えて攻性植物へと近づく、カディス・リンドブルム(ドラゴニアンの鎧装騎兵・e02140)。彼目がけ、そいつは粘液を伴いながら食らいついてきた。
「……何とも胸糞悪い依頼だな」
 食らいつかれ、粘液に含まれた毒を受けたカディスは青ざめた顔で敵を見据える。芦田・洋はもはや人の形を留めてはいない。
「ああ、虐げられた少年の心が闇を呼んでしまったのですね……」
「だが、すでに取りつかれてしまった以上、時はすでに遅し。これ以上の被害は食い止めないとな」
「やりきれない思いはございますが……戦わざるを得ないのならば」
 アリシア・メイデンフェルト(エインフェリア・e01432)はなかなか割り切ることができないようだったが、カディスの言葉、何より、仲間が攻撃を受けたこともあり、断腸の思いながら戦うことに決めたようだ。
「もはや私達にできることは、少しでも早く変貌したそのお姿から解き放って差し上げることだけ。口惜しくございますが……これも、私達の役目なのですね」
「過ぎた力は身を滅ぼすと言いますが……。こうなってしまう前に出会えていれば、違っていたかもしれません」
 鳶風・鶸(招霊木・e03852)はそう考えるが、残念ながら、ケルベロス達が彼に出会うのは遅すぎた。――今は、悪に染まらぬ様止めるだけだと、鶸は語る。
 レオナルドも戦うのには、気が進まないようだったが。それでも、デウスエクスに飲まれてしまった彼が罪を犯さぬようここで倒すこと、それが自分達の、ケルベロスの使命なのだと考えて立ち向かうことにする。
 芦田を囲むように布陣していくケルベロス達。
「今、此処で貴方の孤独を終わらせるでございます。――その結末に救いがなくとも」
「ごめんなさい、芦田さん。貴方はここで俺達が倒します!」
 ケイト、レオナルドが攻性植物へ告げると、そいつはツルを振り上げ、さらに襲い掛かってくるのだった。

●割り切れぬ想い
 先ほど、植物から仲間へと一撃もらってしまってはいたが。ケイトは積極的に仲間を守ろうと立ち回る。
 もはや、芦田は人間だったとは思えぬ声を上げ、素早くツルを伸ばしてくる。
 今度は仲間を傷つけさせない、1人も倒れさせはしないと、ケイトはその身を挺する。ライドキャリバーのノーブルマインドも一緒だ。
 植物は狙いをケイトへと定めて一直線に伸ばしてくる。それはケイトの身体を貫き、周囲に血が迸った。
 それでも、彼女は全く表情を崩さない。
「……貴方には同情するでございますよ。その恨み辛みは当然のものでございましょう」
 ケイトは機械仕掛けの膂力で、植物の口を掴みかかる。
「だけど、それでも、選んではいけない手段というものがあるでございます……!」
 彼女は手に力を込めて植物の体を振り回し、豪快に地面へと叩きつける。倒れる植物へ、ノーブルマインドも機体に炎を纏って突撃していた。
 カディスも前に出て、巨大な鉄塊剣リンドブルムを振り上げる。
「おりゃあ!」
 腕力と勢いをつけ、彼は武器を叩きつける。だが、相手もデウスエクスとなり果てた者。傷こそ負わせど、寸断するには至らない。
 芹瀬は愛用のブラックスライムを操り、真っ直ぐに伸ばす。その隙を見はからった鶸。彼は完全に表情をなくして敵を観察していた。動作等の癖、細かな挙動……その法則性までも見極めようとする。
 毒へと犯した敵へ鶸がドラゴンの幻影を放ち、植物の体を焼き払わんとする。彼にも思うことはあったが、相手はデウスエクス。敵を消すことに対し、鶸に躊躇いはない。エリースも木の葉を自身で纏い、敵へと障害を与えつつ攻撃をと考えていたようだ。
 一方で、レオナルドは戦いに恐れを抱いてしまっている。それは、彼が心臓を地獄化した名残ともいうべきもの。
「くっ、恐い……。でも、貴方はもっと怖かったんですよね、芦田さん。デウスエクスの力に縋らざるを得ないくらいに」
 レオナルドは震える体を抑えながら、2本のゾディアックソードを握りしめ、攻性植物を十字に斬りつけた。
 アトラスもそれに続くが、ここは他人の私有地。周囲の物を壊さぬよう気を配る。
「さぁ、征きなさい」
 彼は地獄の炎で創り出された火牛の群れを、敵に向かって突進させる。その牛達の突撃を受けた植物はプレッシャーを覚えていたようだ。
 だが、攻性植物は臆することなく口に光を集め、次なる攻撃をと準備していた。
「惨いものです。人をこのように変容させてしまうなんて……しかし」
 アリシアは、攻性植物へと変化した芦田へと攻撃するのがやはり心苦しく。とはいえ、構うことなく攻撃してくる彼を見て、攻撃に備えるべく、ドローンを前面へと展開していく。ボクスドラゴン、シグフレドも万全の構えで敵を迎え撃とうと構えていた。
 そこで発射された光。攻性植物は己の復讐を遂げる為、ケルベロスに向けて撃ち放つのである……。

●せめて、罪を重ねてしまわぬように
 ツル、光、そして食らいつき。攻性植物と化した若者、芦田は、様々な攻撃を使って攻撃を仕掛けてくる。
 主にそれを受け止めてくれていたのは、ケイトだ。彼女はすました顔のまま、敵の攻撃を浴び続けていた。
 だが、サーヴァント達が時折、それを肩代わりしてくれている。ケイトのライドキャリバー、ノーブルマインド、それに、アリシアのボクスドラゴン、シグフレドも身を挺してくれていた。
「荒ぶる戦士に癒しを、どうか再び立ち上がる力を」
 そして、傷つく度に、アリシアが傷つく仲間達へと声高らかに不戦の歌を聴かせる。
「勇士らへ送る旋律はせめてもの癒しを。戦場に翔ける風よ、せめて彼の者らに今一度立ち上がる力を」
 力を帯びた歌声は、仲間達の傷を癒していく。
 そこに叩き付けられる、攻性植物のさらなるツルでの攻撃。今度は、エリースのミミック、ミミちゃんが受け止めてくれた。
(「仲間が倒れない事のほうが……大事」)
 エリースとて、ミミちゃんを可愛らしい存在だと思っている。ただ、戦闘に置いて、甘いことは考えていられない。
 それは、相手が如何なる者だろうと同じ。エリースはゆっくりと得物のボウガンを構えた。
「不憫な子……。せめて、安らかに」
 エリースがボウガンから放ったのは、矢ではなく、影の弾丸。それを受けた攻性植物の体内にさらなる毒が巡っていく。
 ちらりとエリースが振り返れば、その攻撃に合わせるように、レオナルドが動いていた。
「続きます!」
 空の霊力を帯びたゾディアックソードを握りしめた彼は、エリースが弾丸を命中させた所に、願い違わず命中させる。
 鶸は敵の動きを止めることに力を注ぐ。盾となる仲間が少しでも楽になり、いち早く敵を倒すことができるように。彼は半透明の御業で、攻性植物の体を縛り付ける。
 仲間が傷つかないように。そして、芦田がこれ以上被害を広め、手を汚してしまわぬように。鶸もまた全力を注いでいた。
 身体が満足に動かない敵へ、カディスは地獄の炎を纏わせた鉄塊剣を叩きつける。その炎によって、植物の身体が燃え上がる。
 そいつは身の危険を感じたのだろう。逃げ出そうとするが、庭の入口側にケルベロス達が位置取っており、家を回り込まないとこの場からの脱出ができない。
 だが、逆サイドにも逃さじと、メンバー達が立っていた。その1人、芹瀬は自身が操る攻性植物で、相手へと食らいついていく。
 さらに、回り込んでいたケイトが加速して突撃を繰り出すと、アトラスが敵をしっかりと見定める。
「……使う道具を誤りましたね」
 アトラスは芦田へと呼びかける。現状打開の為、暴力という手段を講じた彼。ただ、人を捨てる程の価値があの若者達にあるとは、アトラスには到底思えなかったのだ。
 アトラスもまた、攻性植物をツルのように伸ばし、敵の身体を縛り上げる。
 崩れ落ちる、芦田だったモノ。それは地面へ同化するように溶けていく。
「全てを投げ打った彼が、ゴミに手を下したという汚歴が残らなくて……良かったかもしれませんね」
 だが、攻性植物と化した芦田の生を攻性植物の力で終わらせるとは、何とも皮肉めいた結末となってしまったのだった。

●反省の色のない若者達へ
 庭は戦いによって荒れてしまった。それらへ、レオナルドは気力を溜めつつヒールを施す。
「遺骨の代わりにでもなるものがあればいいのですが……」
 アトラスも壊れてしまったテーブルをヒールで修復しつつ、周囲を見回す。土へと同化してしまった芦田が残した物は、残念ながら見つけ出すことはできなかった。
「ふう、後は若者達を待ちましょうか」
「第一声に何を言ってくるのか、楽しみです」
 鶸はあらかた修復が終わったことを確認すると、アトラスは、帰ってきた若者達の発言を気にしていたようだ。
 メンバー達は殺界も解いてしまい、若者達が戻ってくるのを待つ。
 程なく、若者達は何食わぬ顔で戻ってきた。
「先程の攻性植物は片付けましたので、『今は』大丈夫です」
「よぉ、ご苦労」
 上から目線でリーダーが声を掛けてきた。
「日頃の行いが悪くなければ、そもそもピンポイントで襲う事は無いのですが、心当たりは御座いませんでしょうか?」
「そんなん知らねーよ、いーから帰ってくれ」
 鶸は「次は間に合う保証はありませんので……」と笑顔を崩さぬ忠告するのだが、彼らは何事もなかったかのように、ぎゃははと大笑いし、ケルベロス達が訪れたタイミングと同じように会話を始める。知人が、自身のグループの一員が亡くなったというのに、この態度は何なのか。
 これには、さすがのケルベロス達も黙ってはいられない。レオナルドが凛とした風を若者達へと飛ばす。
「少しお話しをしましょうか。先ず、そこに座って下さい」
 レオナルドは話を聞いてもらえるようにと礼儀正しくさせながら、その場へと正座させる。
「原因はキミ達にあるんだよ」
 よほど、若者達と会話したくなかったのだろう。芹瀬は端的にそれだけを告げ、そのまま去ってしまった。
「貴方達の行ったことが何を引き起こしたか、お分かりですか?」
 彼のあの姿は、貴方達の醜い欲望や行いを映している、努々忘れないことだとアリシアは諭す。
 しかし、若者達は体勢だけはきちんとしているが、よほど嫌なのか、表情で抵抗している。
 割り切れない思いを語るアリシアは、妖精弓を若者達へと差し向ける。
「もし、貴方達が何も思うことなく同じことを繰り返すのであれば、その首、私が飛ばして差し上げましょう」
 この脅しには、さすがに若者達は怯む。
「実に可哀想な方々ですね」
 アトラスがそこで、憐れみの表情で見ながら彼らに告げた。
 弱肉強食というが、搾取するにしても、このようなおざなりなやり方しかできない、この程度のゴミのような発想、方法しかできない育てられ方をした彼らに、憐憫すら覚えていたのだ。
「んだと……!?」
 これにはさすがにリーダーを始め、数人の若者がブチ切れる。
「一言だけ。――格好悪い事してんじゃねえよ、でございます」
 ケイトが冷たく言い放つが。顔を真っ赤にさせた若者達は止まらない。
 そこで、上空を一瞥し、何もないことを確認したケイトは、ガトリングガンを自身の真上へと発砲した。
「黙れよテメエら、でございます」
 カディスも黙っていられなかったのか、若者達へと一気に接近していた。仲間達が静止したこともあり、彼は己の太い尻尾を若者のすんでのところで振り回す形と取っていた。
「失せろ! 外道共が!」
 これには、若者達は再度、この場から逃げざるを得なかったようだ。
「……後味悪いでございますね、本当」
 ケイトは吐き捨てるように告げる。
 メンバー達はやりきれない想い共に、この邸宅を後にするのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年11月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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