ミッション破壊作戦~VSメタリカ

作者:鹿崎シーカー

「ではでは本日も張り切りましてー……ミッション破壊を発動します!」
 そう言い放ち、跳鹿・穫は目を見開いた。
 かつてのクリスマスの折り、巨大なサンタ型ダモクレスが落とした小剣グラディウスのいくつかが使用可能状態となった。グラディウスは長さ七〇センチ程の光る小剣型兵器で、『強襲型魔空回廊』の破壊に特化した機能を持つ。
 強襲型魔空回廊は現在、日本全域で発生しているミッションの元であり、デウスエクス達の侵略拠点としても機能する。皆にはここをグラディウスで攻撃し、強襲型魔空回廊を破壊してきてほしいのだ。
 とはいえ、強襲型魔空回廊はミッション地域の中枢であり、通常の方法で辿りつくのは難しい。グラディウスを奪われる危険も合わせて考慮し、『ヘリオンを利用した高空からの降下』が作戦の基盤となる。上空から降下し、強襲型魔空回廊を守る半径三〇メートル程のドーム型バリアをグラディウスで攻撃すると、強襲型魔空回廊はバリアを通してダメージを負い、上手く行けば一度の攻勢で破壊が可能になる……という寸法である。
 もっとも、一回で破壊する必要はない。グラディウスが与えたダメージは魔空回廊に蓄積していき、回復することはない。そのため、どこの魔空回廊も最大十回程度攻撃すれば破壊できる計算だ。
 なお、強襲型魔空回廊の周囲には、強力な護衛戦力が存在する。だが降下攻撃を防ぐ手段は持っておらず、グラディウスは攻撃時にグラディウスを所持していない者を無差別に攻撃する雷光と爆炎を生む。不意打ちでこれをやられた護衛戦力は混乱するため、これに乗じて攻撃・撤退を行ってほしい。
 グラディウスは数こそあれど、替えは利かない。これなくしてミッション破壊はできないために、各々失くさない工夫も考える必要があるだろう。
 次に、敵戦力について。魔空回廊の護衛部隊は、グラディウスの攻撃の余波である程度無力化できるが、強力な敵ついてはその限りではなく、戦闘は免れない。即ち、破壊の成否に関わらず、強敵を倒し、手早く撤退せねばならない。
 もし時間が掛けすぎて敵が態勢を整えてしまえば、最悪降伏か暴走の必要に迫られる。注意して臨むことになるだろう。
「準備はいい? グラディウスは持った? 叫びも大丈夫? ……よし! それではダモクレスのミッション破壊、出発しますッ!」


参加者
ディディエ・ジケル(緋の誓約・e00121)
ソロ・ドレンテ(胡蝶の夢・e01399)
ヴァジュラ・ヴリトラハン(戦獄龍・e01638)
フレア・ガンスレイブ(ガラクタ・e20512)
トライリゥト・リヴィンズ(炎武帝の末裔・e20989)
千里・雉華(終焉紡ぐ兇犬・e21087)
卜部・泰孝(ジャンクチップ・e27412)
カテリーナ・ニクソン(忍んでない暴風忍者・e37272)

■リプレイ

 突如、ヘリオン内部を轟音が揺さぶった。尻餅をついた卜部・泰孝(ジャンクチップ・e27412)の眉間に投げたコインが命中。機内に消える硬貨をそっちのけで上体を起こした彼と開いた入り口に背を預けたディディエ・ジケル(緋の誓約・e00121)の目が合った。
「ってェ……何が起こった!?」
「……攻撃だ。どうやら勘づかれたらしい」
 あごで外を指し示すディディエの近く、急いで入り口に駆け寄ったカテリーナ・ニクソン(忍んでない暴風忍者・e37272)は外を見下ろした。見渡す限りの地獄めいた岩肌と、そこを覆う透明な巨大ドーム。ドーム中央にはワームホールじみた大穴が開き、直上に浮遊したレイドライバーがモノアイからビームを連射していた。
「うげ、ほんとに見つかってるでござる……」
「あれが……レイドライバー……」
 カテリーナの背後、控えめに外を見るフレア・ガンスレイブ(ガラクタ・e20512)の肩をヴァジュラ・ヴリトラハン(戦獄龍・e01638)が軽く抱く。全身の傷から稲妻じみて炎を噴くドラゴンの顔に喜色が浮いた。
「なるほど。あれが山を崩した怪物か。相手にとって不足はない」
「おう。いっちょ派手にぶっ飛ばしてやろうぜ! みんな、準備はいいか!?」
 手の平に拳を打ちつけ、トライリゥト・リヴィンズ(炎武帝の末裔・e20989)が目を光らせる。千里・雉華(終焉紡ぐ兇犬・e21087)とソロ・ドレンテ(胡蝶の夢・e01399)は腕にくくった小剣を確かめ、柄を握る。
「……さて。アタシらのお仕事始めまシょうか」
「行こう」
 一瞬目配せをした八人が、空中に身を踊らせた。最後に飛んだ泰孝は植物絡まるジャンクアームをスイングし金の果実を散布。破裂する果実の光に照らされたディディエは周囲に赤黒い巨大魔法陣を六つ展開!
「……凍てつけ魔血。生まれ育つは死の大樹」
 詠唱と同時、魔力がレイドライバーめがけ一直線に放たれる! 走る魔力は六本の赤黒い氷樹に変貌、それに飛び乗り加速する飛べない面々をレイドライバーは連続ビームで氷樹ごと狙撃。複雑に分かれた氷樹の枝を飛び移り、光線を避けながら前に出た雉華とソロのグラディウスから白い稲妻がほとばしる!
「……いいでスか、デカブツ。今アンタが踏んでるその土はこの国のモン、この星のモンでス。アタシらにゃその地の命も、土に刻まれた想いも護る義務がある。テメエの好きなように何でも奪えると思うなよ……」
 隣、殺気立った目から一粒涙がこぼしたソロが強く踏み込む。高下駄を赤氷に食い込ませ、跳躍。風が雫をかっさらう。
「地獄まで付き合ってもらおうぞ悪魔共……そうさせたのはお前達だ! みんな……みんなッ……!」
 迎撃に飛来する光線を対空砲火を抜けるすり抜けながら、二人は光る小剣を真っ直ぐ突き出す。稲妻を強める剣を持ち、叫ぶ!
「壊れてしまえええええええッ!」
「サツ舐めてンじゃねえぞオラァァァッ!」
 グラディウスが一層強く輝き二人をそれぞれ光で包む。白い雷と化した二人がバリアに激突した瞬間、白い爆炎が噴き出した! 爆破から伸びた二つの光はレイドライバーのをすり抜け地面の魔空回廊を撃つ。激震する大地!
『ぉぉぉぉぉおおおおおああああああああああッ!』
 目を細め、轟音に混じって聞こえる声を聞きながら、トライリゥトはニッと笑う。明滅するグラディウスを手に加速!
「よっし! 行ったぜ!」
「拙者達も負けておられぬ! 続かねば!」
「待ってください……!」
 前傾姿勢を取るカテリーナをフレアが引きとめた。見開いた銀色の瞳が純白の爆発の奥、光量を増すレイドライバーのモノアイを補足!
「危ない……雉華さん、ソロさん、下がって……っ!」
 直後、白い爆炎を赤光が塗り替えた! 吹き飛ばされ宙を舞う雉華とソロに追い打ちのビームが連続発射。大翼を広げ二人をさらったヴァジュラは光線を避け、タワーシールドで防御する。
「ヴァジュラさん!」
「行って来いフレアッ! ディディエ、さっきの足場をもう一回だ!」
「……心得た」
 再び赤黒い魔法陣を複数展開するディディエを、レイドライバーは視線を動かして狙撃! 間に割り込んだ泰孝がジャンクアームの指を開き巨大な手の幻影を形成、飛来するビームに掌底を叩き込んだ!
「そうは問屋が卸さねえってよ! リヴィンズの兄ちゃん、ニクソンの嬢ちゃん! 今がだ、ぶち破れぇッ!」
 泰孝を肩越しに見たトライリゥトとカテリーナはうなずき、バリアに向かって一気に屈み、大ジャンプ!
「セイ、やろうぜ。俺達があれを砕くんだ!」
 背中に顔をこすりつけてうなずく相棒に微笑み、トライリゥトは目を閉じて開く。光り出す小剣を握るカテリーナの横で、トライリゥトが叫ぶ!
「賑わったのも今は昔、廃墟の町になったって! こんなのがうろついてていいわけはねぇッ!」
「二八〇余年もの間、豊かな資源で日本の発展を支えた別子銅山。自然に帰りつつある彼の地を、今こそ取り戻す時! かつての栄華を想わす遺構に、侵略の鋼の音は不要でござる!」
「巨大機械達の侵攻なんざ、今ここでとめてやる! ダモクレス!」
「盛者必衰の理をあらわす彼の地に……再び静寂を!」
 グラディウスの刃が眩い白光を膨らませ、急速励起! 雷ほとばしる剣を、二人は大上段から振り下ろした!
『地球から出ていけええええええッ!』
 二度目の爆轟! レイドライバーは光線の出力を上げて泰孝を吹き飛ばしディディエを狙う。高速で近づく光線を前にディディエは魔力弾を全弾発射! ビームは赤黒い光球とすれ違いディディエに直撃、空に爆炎の華を咲かせ、そのまま射線を動かしトライリゥトとカテリーナをまとめて薙ぎ払った! 目を離したレイドライバーに向けて跳んだ雉華のローラーシューズを影めいたオーラが、ソロの高下駄を空色の光が彩る。
「贖え」
「堕ちろッ!」
 ダブル飛び蹴りが錆色の外皮にぶつかり陥没せしめる。同時に三度の爆発音! 着物と肌を焦げさせたディディエと泰孝、ヴァジュラ、フレアがバリアに剣を突き立てていた。そちらに目をむけるレイドライバーを大地から伸びた氷樹が取り囲み鋭い枝を全方位から突き刺しその場にぬい止める。氷の枝に乗ったカテリーナはそこへ液体の入ったビンとラミネートされた大手裏剣を投擲! 手裏剣が表面を引き裂き、ビンの水がボディを濡らす。
「HAHAHAHAHAHA! 水とディディエ殿の氷で動けまい! このままネジ釘ひとつにまで分解してくれようぞッ!」
「こいつでぶっ飛びやがれぇッ!」
 氷の枝を蹴って跳躍したトライリゥトが大剣を振り抜き、ソロは氷のパイルで殴る。氷樹の円陣を跳躍しながら飛び交う銃弾、手裏剣、剣戟、打撃! 串刺しの全身を軋ませるレイドライバーを見下ろし、ディディエは低い声でつぶやく。
「……この地域は、日本の歴史の一部を紡いだ歴史ある地帯だ。其の様な場所であるからこそ、奴らも目を付けたのかもな」
「かもな。そんで、銅も由緒正しい資源の一つだ。小銭にすら事欠くオレにとっちゃ身近なもんさ。……その歴史、そして自然に朽ちるからこそ魅力ある廃墟を消し飛ばすとは許せねぇ」
 ニヤリと笑って泰孝が言い、廃材の腕で剣を押し込む。強まっていく放電と噴炎! 徐々にホワイトアウトし始める視界で、二人は構わず剣を押す!
「……デウスエクスなどには渡さない。我々が、この地を守る……!」
「おうよ! 銅貨じゃなくて悪いがよ、オレらの命が代わりのチップだ! さあ切った張ったを始めんぜ!」
 咆哮めいて爆音が増した。耳をつんざく騒音の中、全身から稲妻めいた炎を噴出しながらヴァジュラは大口を開けて叫んだ。
「弱きを助け強きを挫くは俺達ドラゴニアンの誇り、星を守るは俺達ケルベロスの務め! そしてより強き者に挑む戦闘狂たる俺の性と、平和を望む義娘の願い! 俺の中のあらゆる心が『これを砕け』と叫ぶのだ! ……愛しき敵よ。お前も、お前の守る回廊も、全て粉々に打ち砕く。俺の心と地獄の全てを以って、笑いながらなッ!」
 急速励起する白い炎と雷が二人のそれと合わさり共鳴! 爆発音を引き裂くように、ヴァジュラはさらに声を重ねる。
「叫べフレア! お前の願いを、お前の想いをッ!」
「私は……」
 わずかに響く声を聞き、フレアは手元に目を落とす。逆手に握った剣の柄。バチバチと電光ほとばしる刃を凝視し、心の丈を口にする。
「私は、レプリカントです。ですが、ダモクレスを辞めたつもりはありません。私の真の願いは地球とマキナクロスの和睦。この戦争を最高の形で終わらせること! ヴァジュラさんも、敵方の創造主も、本当はレイドライバーだって救いたい。送り込まれては殺されるレイドライバーも、別子銅山のこれ以上の破壊も、両方喰い止める為に、この回廊は今ここで砕き割ります! それが、心を得て二つの星を愛した私の覚悟ですっ!」
 刃を伝い熱がバリアに雪崩れ込む! 熱く白い輝きが開いた大穴に吸い込まれた火花をその刹那。白光を押しのけて紅蓮の炎と錆色の球体が急浮上、四人を蹴散らし飛翔した! 離れた四本の小剣が光を失い、爆炎が消滅。翼を広げてフレアを抱きとめたヴァジュラは残った魔空回廊を見やり、空を仰いだ。
「やはりただではやられぬか……レイドライバーよ!」
 炎をまとい浮遊するレイドライバーの全身が銀色の光を帯びる。その場でコマめいて回転したカテリーナはハンマー投めいて手裏剣を投げた。弧を描いて飛ぶ手裏剣に銀色の光が乱反射、レイドライバーの全身から銀色の流星群が豪雨の如く放たれ手裏剣を爆砕! 泰孝は廃材の手をかざす。
「ハハッ、全力モードってか? 歓迎するぜッ!」
 腕に絡みつく植物が一斉に開花し虹色の大竜巻を解き放った。荒ぶる花風に吹かれ、微妙に軌道を逸らした流星群は氷樹の幹や枝を粉砕。フレアはグラディウスを収めた鎧装を巨大な漆黒パイルバンカーに変形させた。発射口からのぞく蒼炎の杭!
「鎧装展開、杭打機形成。地獄解放、火喰鳥装填。対火対熱対神兵器、起動します」
 トリガーが引かれ炎が爆ぜた。飛び出した杭は軌道乱れた銀色の流星に幾度も衝突しながらミサイルめいてレイドライバーのモノアイやや下部に命中! 着弾地点から張り出す氷に構わず赤い一つ目がビームを連続で繰り出して氷樹を壊す。粉々になりかけた枝から飛び出した面々はカテリーナのクナイ型ドローンに乗りサーフボードじみて操り飛翔! その時、流星を降らせながら放たれた光線が竜巻を貫き泰孝を撃った。
「ぐぁッ!」
 撃ち落とされた泰孝に追い打ちの流星群が束になって襲いかかる。背についたセイを頼りに飛んだトライリゥトは彗星の如き威容の流星に両手剣を突き立てた。子竜の体を包む炎が彼の全身を巡り肉厚の刃を真紅に染める。
「まだだッ! こいつに屈してるようじゃ、ダモクレス達を地球から放逐するなんてできねぇ! 諦めて……たまるかぁぁぁッ!」
 両手剣が振り抜かれた瞬間流星が爆発! その間にも止まない銀の雨。武装に地獄の炎を流し込みデーモンじみた意匠に変えたヴァジュラは大盾で星や光線にタックルを仕掛け軌道を逸らす。放たれる光線に真っ向からぶつかり骨身を軋ませながら声高に笑う。
「そうだ、まだだッ! その程度で俺は倒せない! もっとだ、もっと来いッ!」
 全身を噴火させながら光線を押し返し押し返し、弾く! 衝撃に射抜かれた肉体にむち打ち力尽くで羽ばたく彼の隣をクナイドローンに乗ったソロが突破。ばらまかれる流星群を紙一重でかわす彼女の両腕に電撃が走って伸長、雷の大剣と化した。
「これが今の私の全て……偽りの星を砕く剣! 爆ぜろ、サンダークラッシュ!」
 振り回された両手の剣が偽の流星を次から次へと叩き斬る。斬撃の隙間をすり抜けたディディエの周囲にぼやけた赤光が現れ、雉華の大型リボルバーに影めいたオーラが流れ込む。
「……現し世へと至れ、妖精王よ。汝の軌跡を、今此処へ」
「いつまで浮かんでやがる気だデカブツ! そこはこの国の空だって言ってんだろうがぁッ!」
 鮮明に具現化した妖精文字と黒い銃弾が飛びレイドライバーの各所を穿った。火を噴き埋まりゆく弾痕めがけフレアは鎧装のホイールソウを乱発! 傷を抉るように食い込む回転刃を憎悪に燃える目でにらみ、ソロは両手の雷剣を投げつける! 二本の剣は屑鉄を組み合わせたような外皮に電極めいて突き刺さり紅蓮の炎を噴出させた。レイドライバーはモノアイを高速で点滅させ全身を覆う炎と銀光を急速励起。赤い一つ目に全ての光を一点収束させ極大のビームを解放。光線は岩肌に紅蓮の線を引きながら宙を薙ぎ払うように動く。全員まとめて滅さんと迫るそれを横合いから止めに入るヴァジュラとトライリゥト!
「グゥオオオオオオオオオオオオオッ!」
「や―――ら―――せ―――る―――かああああああああああッ!」
 剣と盾を構えて突撃した二人が閃光に飲み込まれ、攻勢を仕掛ける面々が順に赤銀の光線に包まれる。大地に赤い直線を描いたレイドライバーは勢いのまま一回転、流星群を撃ち出し落下するケルベロス達に追撃を見舞う。虚空で断続的に爆発が起こり、絨毯爆撃が地獄めいた岩肌を銀一色に染め上げた。


「ぷっ、はぁーッ!」
 岩盤を突き破りカテリーナが飛び出した。地面をごろごろ転がる彼女に、泰孝と雉華を担いだソロ、トライリゥトを抱えたフレアが続き、ディディエとヴァジュラが顔を出す。カテリーナは固い地面に寝っ転がり荒い息を吐く。
「ふふふ……授業サボるために鍛えた土遁の術がこのようなところで役に立つとは……」
「……世も末だな。全員、グラディウスは。失くしていないな?」
 ディディエの問いに、光を失った小剣を掲げて答える。同時に背後を振り返った雉華は山の上の方、今だ輝く絨毯爆撃とレイドライバーを見上げて舌打ちした。
「デウスエクスって総じて諦め悪いでスねェ……その労力を戦争以外に使えば一番有意義でシょうに」
 毒づく雉華をフレアが複雑な表情で見やる。その頭にぽんと手を置くヴァジュラ。
「ともあれ、一度下りて近くのチームに合流するぞ。あれがここまで来ないとも限らん」
「いいのかい? 旦那」
 腕を軋ませる泰孝に問われ、ヴァジュラの傷が電光めいて火を噴いた。
「良くは無い。あれほどの強敵を放置するのは気が引ける。だが俺のワガママに仲間を巻き込むつもりもない。回廊の破壊に失敗した以上、戦う機会はまたあるだろう。幸い、命もグラディウスもあるからな」
 トライリゥトは不敵な笑みで子竜が舐めた顔の傷を指でぬぐう。
「ああ、そうだ。これはまだ一発目だ……次こそやってやろうぜ! まだ終わっちゃいない!」
「必ず砕く。次こそは……」
 ソロが一度、肩越しにレイドライバーをにらんで呟く。そして一同は駆け足で山を織り出した。

作者:鹿崎シーカー 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年12月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 8/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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