スパッツビリビリにする明王!

作者:なちゅい

●通気性の為に!
 とある建物の一室にて。
 そこに集まる男性達は、不満げな顔でとある映像を注視している。
 それは、学術都市つくばにてスパッツを着用している少女達の映像。それが彼らには非常に気に食わないらしい。
「俺はこの少女達のスパッツを、幾度も幾度もビリビリにしてきた……」
 熱く語るは、ビルシャナと成り果てた男。元々つくばの地で高校教師をしていた男だ。その悪行の為か、解雇されてしまったらしい。
 一方、それを聞くのは、10代後半から40代の男達。彼らは正気を失っており、ビルシャナの言葉に心酔してしまっている。
「あんなに通気性の悪いスパッツなど、破いて当然。俺は彼女達をムレムレの湿気から救ってやったのだ。感謝こそされても、非難される覚えなどない!!」
「「「うおおおおおおお!!」」」
 活気付くこの場の男達。ビルシャナは気を良くしてさらに語る。
「これから、さらに同志を募りに向かう。スパッツはビリビリにせねばならぬ!!」
「「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」」
 傍目から見れば、どう見てもダメな連中ではなるが、彼らは大真面目である。
 ビルシャナはうんうんと頷き、この部屋を出て街へと繰り出して行くのだった。

 ヘリポートで説明を始めようとしているリーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)だが、その表情は少し、いやかなり浮かない。
「スパッツ絶対ビリビリにする明王が出るそうですね」
 きっかけは、ペテス・アイティオ(拾ってください・e01194)の一言。寒くなってきたこの時期に現れるはた迷惑な相手に、リーゼリットも呆れ顔である。
「うん……、説明を始めてもいいかな」
 彼女はケルベロス達が話を聞く態勢になったのを見て、口を開く。
 悟りを開きビルシャナとなった者の信者が悟りを開いて新たなビルシャナとなり、独立して新たに信者を集めるという事件が起きているようだ。
「今回現れたビルシャナは、ヴィゾフニル明王という悪人を救うビルシャナの信者からビルシャナ化したらしいけれど……」
 やることとしてはさほど変わらない。ビルシャナとなった人間、そしてその配下と戦い、ビルシャナとなった人間を撃破したい。
 状況としては、ビルシャナとなった人間が自身の考えを布教し、配下を増やそうとしているところに介入することとなる。
「ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力があるから、放っておくと一般人はどんどん配下になってしまうよ」
 ここで、ビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が配下になる事を防ぐことができるかもしれない。
 ただ、説得できずにビルシャナの配下となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加することとなる。
「ビルシャナさえ倒せば元に戻るから救出は可能だけれど……、配下が増えればその分戦闘で不利になってしまうから、できれば説得しておきたいね」
 現れるビルシャナの名は、石田・俊介。学術都市にて高校教師をしていた男だ。
「茨城県つくば市の同名駅構内に現われたビルシャナは、駅の利用者などに自身の主張を語り聞かせて信者の取り込みを行っているよ」
 信者となりかけるのは、10代後半~40歳の独身男性だ。ケルベロスの現場到着時には男性11人が取り込まれ、教義に同調してしまっている。
「あと、教義に理解を示さぬ者はその場から逃げ去っているようだね」
 その為、現場周辺は人が少なくなっているので、簡単な人払いで対処は問題ない。それ以上に配下となりかけた男性達の説得に力を入れて当たるべきだろう。
 ビルシャナは閃光、経文といった手段の他に、羽を飛ばして相手の服を破こうとしてくる。
 説得できずに配下となった男性達も、素手、カッターなどを取り出し、相手の服を破こうとしてくるようだが、こちらはあまり強くない。ただ、下手に攻撃すると絶命の恐れもある為、攻撃に当たっては慎重に対処したい。
 説明を終えたリーゼリットは、また小さく溜息をつく。
「女の子のことを考えずに自分達の主張を押し付けるビルシャナ……許してはおけないよ」
 ビルシャナの対処について話を終え、ヘリポートに一陣の風が吹く。寒さに耐えるケルベロスへ、リーゼリットはそういえばと思い出す。
「つくばには、つくばうどんっていう新しい名物料理があるそうだね」
 シャトルバスで筑波山まで行く必要があるが、そこからの眺めを見ながら食べるつくばうどんが美味しいのだそうだ。つくね、黒野菜、バラ肉の入ったうどんで温まりながら関東平野を眺めるのも悪くない。
「ビルシャナ討伐で荒みかけた心を癒すには丁度いいかもしれないよ」
 のんびりほっこりするためにも、まずは目の前の事件を。リーゼリットはそう最後に締めくくり、ケルベロス達を現場へと案内するのだった。


参加者
阿良々木・蘭(できそこないの邪竜導士・e00666)
マキナ・アルカディア(蒼銀の鋼乙女・e00701)
六連星・こすも(ヤクトフロイライン・e02758)
コクマ・シヴァルス(ドヴェルグの賢者・e04813)
アニマリア・スノーフレーク(十二歳所謂二十歳・e16108)
イーリス・ステンノ(オリュンポスゴルゴン三姉妹・e16412)
ルリィ・シャルラッハロート(スカーレットデスティニー・e21360)
御足菜・蓮(剣脚のヴァルキュリア・e33882)

■リプレイ

●スパッツビリビリって……
 学術都市として知られる茨城県つくば市に、ケルベロス達は降り立つ。
「スパッツをビリビリに加工してきたのね。結構良いビルシャナさん?」
 黒髪ツインテールを揺らす御足菜・蓮(剣脚のヴァルキュリア・e33882)は真顔で仲間達に話す。
 どうやら、彼女は『ビリビリ』を電気の類と勘違いしていたらしい。
 阿良々木・蘭(できそこないの邪竜導士・e00666)のように、毛糸のセーターにスカートという敢えて静電気が発生しやすいファッションで参加していた者もいたが、今回現れるのは、スパッツをビリビリに破くと主張しているビルシャナである。
「え、違うの? 破く?」
 正しく理解した蓮は一転して、踏み斬られて当然とビルシャナに敵意を見せ始めた。
「悪人を救うビルシャナ絡みらしいけど、やってることは案外、セコイわよね……」
 こちらもツインテールだが、紫の髪を翻すイーリス・ステンノ(オリュンポスゴルゴン三姉妹・e16412)は、ただ変態かなとビルシャナに呆れてしまう。
「スパッツ破って、ムレムレから救う……って言ってるけど、ようはえっちぃのが好きなだけよね」
 こちらもまた、ツインテール。銀色の髪を風に靡かせたルリィ・シャルラッハロート(スカーレットデスティニー・e21360)だ。
「破れてるストッキングが好きだって人もいそうですよね」
 黒髪ストレートの六連星・こすも(ヤクトフロイライン・e02758)も、相手のどーでもよさげな主張を想像し、顔をしかめる。
「しかも、ビルシャナになる前から同じような事をしてたなんて、スジ肉入りのヘンタイね。……滅殺しよう」
 青筋を立てていたルリィは言葉通り、ビルシャナをこの地で処分する心積もりだ。
 なお、筋金入りが正しい言葉であるが、漢字が苦手な彼女らしい。
「今回のビルシャナは、ある意味なるべくしてなったとも言えるのかしら?」
 仲間達の話を聞いていたマキナ・アルカディア(蒼銀の鋼乙女・e00701)も、これ以上の被害を防ぐ為にこの場でビルシャナを食い止めると誓うのだった。

 地下にあるつくば駅構内にて。
「スパッツはビリビリにすべきだ!」
「「「うおおおおおおお!!」」」
 ビルシャナとなった元高校教師、石田・俊介はすでに、若者から中年まで11人の男性達を自らの教義に同調させてしまっていた。
「うむ! 変態だな!!」
 悟った様子のドワーフ、コクマ・シヴァルス(ドヴェルグの賢者・e04813)は面倒だからこのまま殴るのもありかなと考えつつ、踏みとどまる。
「正直アレな信者だと、一緒にふっ飛ばしても構わないって思う事もありますが」
 アニマリア・スノーフレーク(十二歳所謂二十歳・e16108)はそれでも、今日も今日とて、『いつも通りに仕事をする』だけだと語る。
「それでも、人として救えるなら救いたい」
 その為にも、無い頭を捻って考えた、目の覚めるような説得を実行するのだそうだ。
 さて、対処に当たる前に、イーリスが殺界を展開する。その上で、コクマがビルシャナ一団へと真っ先に叫びかけた。
「貴様らぁっ! こんな寒い時にスパッツびりびりとか寒いだけだろうがっ」
 まさか、そうやって人を死に追いやるつもりかと、彼はビルシャナへと訴えかける。
「身も心も丸裸にするとは、とんだ変態だなっ! 大体……そういう真似は普通に女性に嫌われるぞっ!!」
 ばばんとコクマが示すは、チームの女性メンバー達だ。
「普通に考えても、衣服を破る行為は犯罪だよね。元教員だったと聞くから更にタチが悪いよね」
 銀髪ストレートの蘭がいきなり辛辣な言葉を口にする。なお、蘭は男の娘であるが、それは脇に置いておく。
「幾度もビリビリに……そうね、お陰で助かっているもの」
 続いて、前に出た蓮は、ビルシャナに同意する素振りを見せる。素手だけでなく、刃物などへの備えも万全だ。
「だって、ビリビリ(感電)するんだから、痴漢や危険人物からも守る少女の為の正義の信仰だものね」
「誰が静電気の話などしているものか!」
 ビルシャナが叫ぶ。蓮は「違う?」と言いつつ、こてんと首を傾げて見せた。
「最近のスパッツは、通気性がよくなってるの知らないの?」
 次に、ルリィがビルシャナ達へと問いかける。
「それでも破ろうというなら、本当は少女を救いたいんじゃなくて、えっちぃのが目的なんじゃないの?」
 彼女はおもむろに、脱いだスパッツを男性達へと見せ付けた。
「「おおっ!」」
「そんなにスパッツに執着するなら、これでもくらえー」
 ルリィがそれを放り投げると、男性どもは一斉に少女のはいていたスパッツに飛びついた。その姿を、ケルベロス達は冷めた視線で見つめる。
 余談だが、ルリィは脱いだスパッツの下にはブルマを着用済みなので、安心だ。
 そのスパッツに飛びつくビルシャナが早速羽を飛ばし、ビリビリに破いてしまう。くんかくんかと鼻を鳴らしていた男性達がちょっとだけ残念がっていたのは、気のせいだろうか。
 ならばと、複数枚スパッツをはいていたアニマリアがこれ見よがしにそれを見せ付けて。
「さぁさぁ、どうぞどうぞビリビリしてください」
 男性達の視線を集めたところで、彼女は真顔でマッチョなおぢさんのポスターを自分の上半身に被せる。
「……どうしました? スパッツが重要なのでしょう?」
「「……あ、ああ」」
 何か違うと考えつつも、男性達は直接素手で、あるいはカッターなどの刃を手にして彼女のスパッツをビリビリに破き始めた。
「…………」
 おっさんのポスターを持ったまま、全く反応を見せないアニマリア。
 群がる男性達から淡々とした態度でスパッツを破かれる少女の図は、なんともシュールである。
「第一スパッツ以外にも、見るべき場所はあるのであるっ!!」
 その隙に、コクマはばばんっと別の女性メンバーを指し示す。
「もしかして……、蒸れから救いたいからスパッツを破きたいんじゃなくて、スパッツ破りプレイをしたいだけなんじゃありませんか?」
 真顔で尋ねたこすもは、ビルシャナがびくりと身体を振るわせたのを見逃さない。
「あの……もしスパッツ破りをやめてくれるなら、これを破ってもいいですよ?」
 提案があると、彼女が見せ付けたのは脚に履いた黒ストッキングだ。
 なお、それに合わせたのはなぜか白ブラウスに暗色系ハイウエストスカートといった清楚系コーディネイト。
 ビルシャナはあまり反応しないが、男性達は清楚な中に潜むエロティシズムにギャップを感じて色めき立っていた様子だ。
「女の子が履いてる黒ストッキングを自分の手で直接破けるチャンスなんて、そうはないですよ?」
 顔を真っ赤にして問い掛ける彼女の様子に、男性達が色めき立つ。
 スパッツを破るには刃や怪力が必要だが、ストッキングなら素手であっさりと破くことができる。
 男性にストッキングを破かれるごとに、こすもはまた新しいストッキングを履く。この展開を想定して、こすもはたっぷりと替えを用意していたらしい。
「おーじゃぱにーずふぇちずむすごいですねー」
 そんな男性達の様子に、アニマリアは抑揚の無い言葉を吐いて真顔で手を叩く。
「はい、履いて下さい」
 そして、スパッツじゃないと視線を逸らすビルシャナへ、アニマリアはスパッツを差し出す。
「ビリビリしてください」
 さらに、アニマリアはビルシャナがスパッツをはいたら、それを破くように男性達へと促すが、ビルシャナはスパッツを投げ返して。
「アホか、なぜ俺がスパッツをはかねばならん!」
 すると、アニマリアは嘆息して両手を上げて首を振る。
「教義の主がこれじゃあ、信じるに値しませんね」
 それによって、男性達のビルシャナの暗示が解けかけてきているところで、コクマはまだ静観しているマキナやイーリスを指し示す。
「見よ……。服と美しい肢体の調和を!」
 2人とも露出が高く、しかも、ぼんきゅっぼんでスタイル抜群の容姿である。
「あれこそ、美! 破るなど愚の骨頂よ!」
 なお、そう言うコクマの視線は彼女達の胸を見つめていた。
「疑問を一つ。着用しているのは女性だけでは無いのだけど。男性に対しても同様な心持ちということでいいのよね?」
 先ほど、自分からスパッツをはくのを拒否したことからほぼ明白だったが、マキナはさらに問いかける。
「まさかとは思うのだけど。欲望の為、女性だけを襲っているのかしら?」
「何を言っている。彼女達を湿気から救ってあげているのだぞ!」
 自分の都合が悪い部分は語らず、ビルシャナは開き直って自分の主張を繰り返すのみだ。
「今ならまだ引き返せるわ。あのビルシャナと違って犯罪者として人としても」
 すかさず、マキナは男性達へと呼びかける。
「スパッツビリビリなんてしてるから、何時までたっても揃いも揃って、独り身なのよ!」
 すでに、破けたアニマリアのスパッツやこすものストッキングを見下ろすイーリスもまた続けるようにして声を上げ、後でイロイロと使えないじゃないと嘆く。
「特に若い人たちは、その変態ビルシャナや年上の人達の顔を見てみなさい!」
 そして、前途ある若者男性へ、イーリスはさらに告げた。
「このままじゃ、同じようなゲスイ顔になっちゃうわ!」
 ドン引きする若い男性達。彼らに視線を向けられた中年の男性達もそれによって正気を取り戻していたようだ。
「貴方達の帰る日常はあちらです」
 アニマリアが彼らに退避を促すと、この場に残されたのはビルシャナただ一人となってしまう。
「おのれ、よくも同志達を……!」
 信者集めを邪魔されたビルシャナは怒りに燃え、翼を広げて襲い掛かってきたのだった。

●ビリビリビルシャナは滅すべし
 デウスエクスと成り果てた元高校教師へ、コクマは先手を取って鉄塊剣「スレードゲルミル」の刀身を叩きつける。
 ビルシャナの足が止まったタイミング、イーリスがその攻撃に備えて紙兵を撒いていた。
 さらに後方、アニマリアがロザリオ【シルバーペイン】の砲口から轟竜砲を発射し、相手へと叩き込む。
 だが、ビルシャナは足を竦ませただけで、広げた翼から刃の如き羽を舞わせ、前線メンバーの服を切り裂いてきた。
「皆を護るのが私の仕事ではあるのだけど……、これは恥ずかしいわね」
 破れた服から素肌をさらすマキナは頬を染めるが、すぐに絶対零度の視線を敵に向けて。
「貴方の罪、その命を持って贖いなさい」
 彼女はカプセルを投げ飛ばし、敵の身体へとウイルスを撃ち込む。
「現役高校生として、不埒な悪餃子舞の教師を許すわけにはいかないわね」
 直後、ブルマを破かれたルリィも、大きな胸を躍らせながら3体に分身して攻め入っていく。なお、悪行三昧の間違いと思われる。
「えっちぃのは滅殺よ!」
 ルリィは自身の放った衝撃波を追い、ビルシャナの体を切りつけて行く。
 その度に切り裂かれたブルマの合間から、白と水色のシマシマがちらりと姿を現す。
 ビルシャナがそれにちらりと視線を向けたが、それに気を取られてばかりもいられない。
 青白い水晶の刃を纏わせて巨大剣化した刃を、コクマが力の限り叩きつけたのだ。
 ビルシャナは小さく呻きつつ、翼から光を撃ち放つ。後方へと飛んだその光の前に、シャーマンズゴーストのトコヤと、ボクスドラゴンの小白竜が飛び出して受け止めてくれる。
「俊脚抜踏――跳兎」
 そこで、トコヤの後方から蓮が高く跳び上がり、敵の頭を蹴りつけた。
「あたいにさわると痺れるぜ」
 小白竜に守られた蘭は静電気で放電しつつも、一度言ってみたかった言葉を敵に言い放つ。なお、蘭がはいているのは、スパッツではなくレギンスらしい。
「だから、静電気の話などしておらん!」
 叫ぶビルシャナを、ケルベロス達は休み無く攻め立てる。
 仲間が抑え付けるビルシャナを、ルリィがチェーンソー剣で切り裂いて傷口を広げ、イーリスも敵の死角から躍り込んでその身体を切り刻んでいく。
 さらに、アニマリアがロザリオ「シルバーラース」の刃を素早く振り下ろして敵を圧倒し、こすもが正面から敵へと蹴り込む。
「破れストッキングキックはゴホウビですよ?」
 だが、グラビティの篭った一撃は敵の腹を凍りつかせる。
 呻きながらも、経文を繰り返す敵をマキナは聞き流し、その口目掛けて如意棒を叩き込んだ。
 蓮は最後に雷の霊力をその足へと込め、蹴りを喰らわせた後に神速のヒップアタックでトドメを刺す。
「これがホントのビリビリスパッツ?」
「グ、グゲェ……」
 赤面する蓮の顔を見つめたまま、ビルシャナはがっくりと崩れ落ちたのだった。

●つくばうどんを食べながら
 事後――。
 戦場となった駅構内へ、マキナが戦闘時同様に菱形のクリスタルを飛ばし、イーリスも紙兵で修復を行う。さらに、蓮はメンバーの体をクリーニングしてくれていた。
 なお、コクマは周囲の後片付けをしつつ、彼女達のふくよかな胸をじっくりと見つめていたようだ。
「確かつくばうどんとやらが名物であったな」
「つくばうどん……頭文字をとった具材らしいわね♪」
 コクマの言葉に、イーリスも思い出す。メンバーは早速、バスで筑波山へと向かう。
「何故そういう名前なのか気になったが……、成程……つくねと黒野菜とバラ肉……中々面白いな」
 コクマが語るのに合わせ、メンバー達のその器の中身を見つめる。ちなみに、黒野菜とは地元産のゴボウ、しいたけなどだ。
「具沢山の煮込みウドン? つくねとバラ肉が美味しそう」
「けんちんうどんみたいな感じですけど、つくねと、くろやさいと、バラ肉が入ってるから、つ・く・ば、なんですね」
 ルリィの呟きに合わせ、こすもも納得しながら早速一口。
 コクマも唐辛子を振りかけ、ずるずるっと口に入れた。
「むむっ……、風味が増して体が温まる。この寒い時期には中々の逸品であるっ」
 口の中に溢れるコシのあるうどんに、肉汁や野菜から染み出たダシが絡みつく。その味は実に格別だ。
 彼はさらに箸を動かし、うどんを口の中に入れて行く。
「身も温まって、護った美しい街並みと人々に心も癒されるわ」
 マキナは店の外に見える山からの景色を眺めつつ、あつあつのうどんをふうふうと冷ます。
「でも、こうして体が熱くなるなら……」
 そんな女性メンバーをチラ見し、コクマはうどんを平らげていく。
「……うん。忘れよう。イロイロと」
 食べる前から火照りを感じていたこすももまた、うどんの汁を飲み干して身体をより温めていくのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年11月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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