投げられないものは無いらしい

作者:あかつき


 山本・マサヒロは学校の裏山で一人、山籠りを敢行していた。大学生二年生である彼は、去年成し得なかった柔道日本一を目指し、一人黙々と修行に明け暮れていたのだ。
「去年勝てなかったあいつ……強い体幹、強い腕力。いや、それだけではだめだ、もっと、もっと違う……何か、工夫が」
 とはいえ、競技である以上ルールがある。ルールに引っかからないように、かつ、大胆に。裏山に流れる小川の川辺に出て、一人打ち込みを始める彼の前に現れたのは、ドリームイーター、幻武極。
「お前の、最高の『武術』を見せてみな!」
 言われるや否や、マサヒロは操られたように、幻武極に対して向かっていく。繰り出す技は、彼が夢想していた技、無双投げと言う名のバックドロップ、無双固めと言う名のクロスフェイス、無双落としと言う名のブレーンバスター。そう、彼はプロレスも好きだったのだ。
 一通り技を受けた幻武極は、投げられた体制からむくりと立ち上がった。
「僕のモザイクは晴れなかったけれど、お前の武術はそれはそれで素晴らしかったよ」
 そして、手に持った鍵でマサヒロの胸を貫く。その場で倒れたマサヒロの横に、筋骨隆々で袖の破れた柔道着姿の2メートル近くある大男が現れる。彼は、マサヒロから生み出されたドリームイーター。ドリームイーターは、具合を確かめるように数度打ち込みを行う。
「お前の武術を見せつけてきなよ」
 幻武極に送り出され、ドリームイーターは山を降りていった。


「武術を極めようとして修行を行なっている武術家が襲われる事件が起こる」
 雪村・葵(ウェアライダーのヘリオライダー・en0249)は集まったケルベロス達に、そう言った。
「武術家を襲うのはドリームイーターで、名前は幻武極。自分に欠損している『武術』を奪ってモザイクを晴らそうとしているらしい。今回襲撃した武術ではモザイクは晴れないようだが、代わりに武術家のドリームイーターを発生させ、暴れさせようと画策しているようだ」
 生み出されたドリームイーターは、昔の漫画に出てきそうな筋骨隆々の大男。柔道着を身に付けて、超強力なプロレス技を仕掛けてくる。葵はそう説明をする。
「この姿は襲われた武術家が目指す究極の武術家のような姿らしいな。なかなかの強敵となる筈なので、用心して当たってくれ。しかし幸いなことに、今回このドリームイーターは山から山を降りる前に迎撃することが可能なので、周囲の被害を気にすることなく戦うことができる」
 ドリームイーターは一体のみ。配下などは存在しない。ドリームイーターと接触するのは、山を流れる小川の下流。広々とした河原があるが、人の出入りは無い。繰り出す技は無双投げ(バックドロップ)、無双固め(クロスフェイス)、無双落とし(ブレーンバスター)。どれもモザイクの力が働いて、無駄に協力だ。
「このドリームイーターは自身の武術を見せ付けたいと考えているようなので、戦いの場を用意すれば、向こうから勝手に現れて戦いを挑んでくるだろう。このドリームイーターが一般人を襲う前に、倒してきてくれ。よろしく頼む」
 葵はケルベロス達をそう言って送り出した。


参加者
蒼龍院・静葉(蒼月光纏いし巫狐・e00229)
ガド・モデスティア(隻角の金牛・e01142)
セルディナ・ネイリヴォーム(紅蓮皇封せし黒き翼・e01692)
ドールィ・ガモウ(焦脚の業・e03847)
土竜・岳(ジュエルファインダー・e04093)
暮葉・守人(墓守の銀妖犬・e12145)
リカルド・アーヴェント(彷徨いの絶風機人・e22893)
ジェミ・ニア(星喰・e23256)

■リプレイ


「ここが話にあった河原ですね。まだ時間はありそうです」
 じゃり、と靴の裏で河原の石を確かめながら、土竜・岳(ジュエルファインダー・e04093)が呟く。
「いいねぇ、紅葉舞う河原の特設ステージって最高じゃん」
 言いながら暮葉・守人(墓守の銀妖犬・e12145)が取り出すのはキープアウトテープ。その間に、岳は手早く手頃な木を拾い集めている。
「うんうん、その辺りの木、ええなぁ。杭に丁度や!」
 ガド・モデスティア(隻角の金牛・e01142)は大工用具を取り出して大きく頷くと、直ぐ作業を開始する。
「じゃあ、それは僕が運びますよ。えっと……こんな感じで良いですか?」
 ガドが作成した杭は、ジェミ・ニア(星喰・e23256)が怪力無双を使い、良さそうな所に刺していく。
「おー、良いんじゃねぇか? そんで、周りにキープアウトテープと……なんか安定感がねぇな。ついでにこれも張っとくか」
 ドールィ・ガモウ(焦脚の業・e03847)は頷きながら、ロープ束を取り出して、キープアウトテープを支えるように杭に巻きつけていく。
「リング手作りなんて初めてだから」
 ちょっと不安になりながらジェミが呟きながら、残りの杭を刺していく。
「まぁ、リングについつはこれで大丈夫だろう。それより問題は……対柔道家の戦略だな。ルールギリギリの技を使う柔道家か。固められたり投げられない様に注意しつつ間合いを取るか」
 ジェミに答えたら直ぐに戦闘時のシミュレーションを始めたらしいセルディナ・ネイリヴォーム(紅蓮皇封せし黒き翼・e01692)だが、それでも作業の手は止まっていない。
「日本発祥の柔の技に自身が何処まで通じるのか……。何処まで私の斬ったり蹴ったりが入るのか、とても楽しみです」
 周囲の気配を探りつつ、準備体操やリング設営の手伝いをする蒼龍院・静葉(蒼月光纏いし巫狐・e00229)が呟く。
 同じくリング設営を負担にならない程度に手伝うリカルド・アーヴェント(彷徨いの絶風機人・e22893)は、誰一人として突っ込まない部分が気になって仕方なかった。
「いや、もう既にそれは柔道ではないのでは」
 ぽつりと零した純粋な疑問は、幸か不幸かこの場の誰の耳にも届かなかった様子。
「いいや、俺の勝手な予想で混乱させるのは……」
 本意ではない、と彼は一人被りを振りを降った。
「こんなもんでええんと違うか?」
 河原に打ち付けた杭と、間に張ったロープとキープアウトテープ。突貫で作ったわりには、結構様になっている。我ながら良く出来た、と満足げにガドが頷いた、丁度その時。川上の方から河原の石を踏み、近づいてくる音。現れたのは、柔道着姿の大男。
「……来たな」
 リングに凭れかかっていたドールィは、小さく呟く。そして、大男……柔道家のドリームイーターに向け、叫ぶ。
「チャンピオンを目指すんだろ? ならまずは俺たちを倒して行ってもらおうか!」
「多少、腕は立つようだが……」
 にやり、と口角を上げるドリームイーターに、ドールィは僅かに目を細める。
「私もお手合わせ願えますでしょうか」
 リングの横で蹴りの素振りを繰り返していた静葉が一歩、踏み出す。
「テコンドー我流派、蒼龍院と申します。この辺で修行者が居ると聞いて参りました。此度一戦交えませんか?」
「流派無し、ネイリヴォームだ。この辺で柔道の修行中と聞いた。そうだな……此処に居る全員だ。手合わせ願えるか?」
 セルディナの申し出に、ドリームイーターは酷く楽しそうに口元を歪めた。
「全員、か」
 じり、とドリームイーターとの距離を詰めていくケルベロス達。それぞれの構えを見て、ドリームイーターはハンッと鼻を鳴らす。
「良いだろう。全員、纏めて相手をしてやる」
 言うや否や、ドリームイーターは地面を蹴る。


 跳躍、着地。そして素早く地面を蹴ったドリームイーターは、その勢いのまま静葉の懐へと潜り込む。
「くっ!」
 バックステップで距離を取ろうとした静葉だが、その腰元をドリームイーターが掴む方が早かった。
「せやぁっ!!」
 強靭な握力と腕力で、頭を下に垂直まで持ち上げられた静葉。ブリッヂするように反り返るドリームイーターの身体ごと、地面に向けて垂直落下。静葉は、派手な音をさせて地面に叩きつけられた。
「派手なゴングだなぁ、オイ」
 ドールィは零しながら、ロープから身体を起こす。
「オラァ!!」
 炸裂した電光石火の蹴りに、ドリームイーターは静葉から手を離して数メートル滑っていく。
「助かりました」
 膝に手をつきながらもなんとか身を起こした静葉は、親指で少し口元を拭う。
「気にすんな」
 ドールィの言葉に静葉は頷く。よろめく静葉は体勢を整える為素早くドリームイーターから距離を取る。
「なんでもありすぎるリングのゴングが鳴る……か」
 リカルドは地面から起き上がったドリームイーターへと攻性植物の蔓を伸ばす。絡みつき締め付ける蔓に、ドリームイーターは眉間に皺を寄せる。
「なんだとっ……!!」
 ドリームイーターの様子を確認しつつ、守人はリングの端で地面にSephirothicを突き刺し、スターサンクチュアリを発動する。
「柔道のルールはよく知らんけど、プロレスとの掛け合わせっていうのは悪く無いと思うんよ。それが通用するか、うちらと腕試しと行こうか」
 攻性植物を振り払おうとするドリームイーターとの距離を取ったガドは、オーラの弾丸を放つ。
「小癪な!」
 攻性植物をなんとか振り払い、迫り来るオーラの弾丸を視界の隅に捉えたドリームイーターは身体を捻り回避を試みるが、ガドの放った弾丸はドリームイーターを追尾する。
「む?!」
 直撃するオーラに、僅かに姿勢を崩すドリームイーター。
「柔よく剛を制す……だったかな」
 その隙を突き開いた間合いから駆け込んでいくセルディナ。攻撃を受けた隙を突く形で、蹴りを繰り出す。
「そう来なくては!」
 蹴りを右腕で受けたドリームイーター。そこへ飛んできたのはガドのサーヴァント、ギンカク。ギンカクはブレスを放射しながらドリームイーターの周りを飛び回る。
「柔道家なのにプロレス技の夢想とは面白いですね。それだけマサヒロさんの勝負への執念が強いということでしょうか」
 ドリームイーターの動きを確認しつつ、回復の為間合いを取っていた静葉へ岳はウィッチオペレーションで回復を施していく。
「ともあれ、夢喰いさんを倒してマサヒロさんをお救いしましょう」
 岳はぐっと拳を握った。
「『強さ』に憧れる人は思うよりずっと多いのですよね。僕も人の事は言えないけど」
 ジェミは日本刀を構え、ドリームイーターとの距離を詰める。振り抜く刀身は、緩やかな弧を描きながらドリームイーターを斬り裂く。
「っが……」
 その一閃にドリームイーターの身体が傾いた瞬間、殆ど傷が癒えた静葉が重力を宿した飛び蹴りを放つ。
「はぁっ!!」
 気合いと共に叩き込んだ一撃は、ドリームイーターを吹き飛ばす。
「ぐぬっ!」
 砂利に半ば埋もれたドリームイーターは、砂利を跳ね飛ばしながら身体を起こす。
「にしても、いくらプロレス好きだからってさ、近接攻撃方法しか持ってないのは戦略として駄目だろ」
 ドリームイーターの戦い方を冷静に観察していた守人は、ぽつりと感想を漏らしつつ、加護を宿した風を召喚する。
「心影より現世へ……吹き抜けるは風! 加護与えし神風也!」
 守人は召喚した風を仲間達に纏わせ、禍を祓い、肉体を強化していく。
「凶器の使用はプロレスでは反則になるが……柔道だとプロレス技は反則、となれば、手加減は必要無いだろう」
 少し思うところのあったリカルドだが、ある意味吹っ切れたらしくオウガメタルを拳に纏いながら、立ち上がったドリームイーターへと間合いを詰める。勢いそのまま、鋼に覆われた拳をドリームイーターのボディーに向けて振り抜いた。
「がっ!!」
 綺麗に決まったリカルドの拳。ドリームイーターは衝撃に破れた柔道着の上から腹部を押さえつつ、ぐらりと身体を傾ける。
「流石に一撃が大きいみたいですね。ならばその威力、削ぎ落としてみせます」
 ヌンチャク型如意棒を構えたジェミは、ドリームイーターが咄嗟に伸ばした腕を捌きつつ、素早く攻撃を打ち込んでいく。
「ぐぬおぉおお!!」
 ガードの姿勢を取るドリームイーターだが、雄叫びをあげたかと思うと攻撃の僅かな間隙から無理矢理腕を伸ばして来た。
「?!」
 咄嗟に身を引くジェミだったが、右手の袖を取られ、驚く程の力で引かれて姿勢を崩してしまう。
「しまった!!」
「らぁっ!!」
 そこへ横合いからドロップキックを入れてきたのはドールィ。ドリームイーターの伸ばした腕を狙ったキックに、ジェミの袖を引く腕が離れる。
「テメェの相手はこの俺だぜ!」
「面白いっ!」
 言うや否や、ドリームイーターは重心を落としてドールィの腰に腕を巻きつけ、そして。
「うぉおおおおぉぉ!!!」
 雄叫びとともに反り返り、ドリームイーターのバックドロップ……いや無双投げが炸裂する。
「ぐあぁっ!!」
「ギンカク、回復や!」
 ギンカクに声をかけたガドは、ドリームイーターへと意識を向ける。
「位置よし、気合いよし……せーのっ!!」
 集中力を極限まで高め、黄金の衝撃をドリームイーターへと打ち込む。放たれた虚空は螺旋の渦を生み出し、ドリームイーターへと衝撃の槍と化し飛んでいく。
「っぐぅ!!」
 僅かに身体を捻ったドリームイーターだが、ガドの放った衝撃は思いの外強く、踏ん張るドリームイーターは端の方まで吹き飛ばされる。
「回復、いきます!」
 岳はエレキブーストを使い、ドールィに回復を施していく。
「っ……なかなか効いたぜ」
 ギンカクと岳のヒールで回復したドールィは軽く頭を振りながら膝に手をつき、身体を起こす。
「はぁっ!!」
 転がったドリームイーターへと駆けていくのは静葉。蒼く煌く二振りの片手剣が交差するように弧を描き、ドリームイーターを斬り裂く。そこへ畳み掛けるように距離を詰め、セルディナはヌンチャク型如意棒を振るう。
「っぐは!!」


 ぐらぐらと身体を傾けるドリームイーターの様子に、好機を見て取った守人は、Sephirothicを振り被る。
「守る。みんなも、被害者も」
 微笑みながら放たれたのは、空の霊力を帯びた一閃。傷口を抉る一太刀に、ドリームイーターはがくりと膝をつく。
「偽りの夢を追う哀れな夢喰へ……」
 呟き、岳はファミリアのモグラさんをトパーズの体をしたモグラの絵の描かれたカードに変化させ、カードリーダーに読み込ませる。
「モグラさん、行きますよ! ジュエルモール、ドライブ!」
 宝石モグラの力を降魔した岳が放った高重力の重々しい一撃は、ドリームイーターを吹き飛ばす。
「このぉお!!」
 吹き飛ばされたドリームイーターへと視線を向けながら、ジェミは影の中から漆黒の矢を発生させた。
「餐べてしまいます、よ」
 現れた矢は尾を引いて、変幻自在な軌道を描き、ドリームイーターを貫く。
「ぐあぁっ!!」
 幾つも突き刺さる矢に倒れ臥すドリームイーターだが、しかしまだ諦めるつもりは無いらしく。
「まだだ……俺は……倒れんっ!!」
 がばっと起き上がるドリームイーターへ、リカルドが掌を向ける。
「すまんな、ほぼまともにプロレスすらしていなくて」
「何を」
 怪訝そうに呟くドリームイーターへ、リカルドは魔術で集約した風を流れを断つ程の圧縮弾として放出する。ドゴォォン、と爆音を轟かせながら、ドリームイーターを吹き飛ばす。最後、落下するドリームイーターへと跳躍するのはドールィ。
「歯ァ喰いしばれェ!!」
 宙返りと共に増幅させた両脚の『地獄』がドリームイーターに直撃、そのまま蹴り上げられ、ドリームイーターは空中に跳ねあげられる。
「一発で決めるのが、『必殺技』だぜ」
 ドールィが呟き着地すると同時に、ドリームイーターは空中で爆散した。


「倒す事でしかお救いできず御免なさい。サークルオブライフ、命は巡ります。きっとマサヒロさんは貴方を生む元になった思いを糧に、増々精進されることでしょう」
 ヒールで辺りを補修した後、岳はドリームイーターの消滅したあたりに向けて、瞼を閉じる。
「地球の重力の元、どうか安らかに」
 祈る岳に、傷付いた仲間達のヒールをしていた静葉が声をかける。
「被害者の男性の様子を見に行きましょう」
「せやな。投げ技、結構気になるんよね……話とか、聞けるやろか」
 ぐっと背を伸ばすガドは、武術の心得がある分、今回のドリームイーターの戦い方に興味が湧いたらしい。
 ケルベロス達は被害者男性の倒れているという場所まで、歩いていく。すると、俯せに倒れている山本・マサヒロを見つける。
「大丈夫で?」
 助け起こしたジェミが声をかけると、眉間に皺を寄せてマサヒロはゆっくりと目を覚ます。
「……あれ、俺は? そうだ、なんだか変な奴に……あぁ、それで、倒れて?」
 ぶつぶつと呟くマサヒロに、ジェミは続けて声をかける。
「痛い所はありませんか?」
「それは、大丈夫です。あ、すいません、ありがとうございます!」
 がばっと身体を起こして、深々と頭を下げるマサヒロに、守人が尋ねる。
「いや、それは気にしなくて良いけど……それより、その変な奴って、どんな奴だった?」
「いや、武術を見せろとか……よく覚えて無くて、すいません」
 首を傾げるマサヒロは、本当によく覚えていないらしい。
「そっか。大変だったな」
 気にするな、という風にマサヒロの肩を軽く叩き、守人は笑ってみせる。
「青年よ。時にキミが目指していたのは本当に柔道なのか? ……プロレスでは無いのか?」
「えっ、あっ……あぁ、そう……ですよね……。やっぱり、アレ駄目ですよね……」
 問うリカルドに、マサヒロはがくりと肩を落とす。
「わかっているなら良いのだが……指導者に怒られないようにした方が良いかと」
「ま、お前の『理想』は悪くなかったぜ。何にせよ、ルールは守れよな。大将戦が反則負けじゃカッコ悪ィじゃねぇか」
 フォローするドールィに、マサヒロはこくりと頷く。
「そうですよね。うっかりしてて……」
 わかればいい、と頷くリカルドとドールィの二人と、向かい合うマサヒロの間に勢いよく割って入ったのはガド。
「ま、反省しとるんやから、ええやろ! それはそうと、投げ技や! 心得とかあるんか?!」
 凄い勢いで来るガドに、マサヒロは若干仰け反りった。
「こ、心得ですか? そうですね、間合いと重心の移動でしょうか」
「ふむ……元気そうだな。これなら、大丈夫だろう」
 その様子を眺めていたセルディナは、マサヒロの無事を確認すると、空へと目をやる。日が暮れるまでは、まだ少しありそうだ。
「暫く修行しても良いかも」
 平和を取り戻した山を見やりながら、セルディナは呟いた。

作者:あかつき 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年11月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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