創世濁流撃破作戦~太陰夜行

作者:baron

『これがハロウィンの魔力。……盆というには遅めですが』
 虚ろな目をした少女が線路の上を、十種の禍々しい得物を引き連れて行進して居た。
 ふと気付いた様に、空を垣間見る。
 建物の札に山陰線は揖屋駅。……いや、そこが重要なのでは無い。
『この力があれば、私のワイルドスペースは濁流となり秋津島だけでなく常世全てを覆い尽くす事すら可能となるでしょう』
 少女は呟く間も歩みを止めず、引き千切れた緋袴を気にすることもなく突き進む。
『千引きの岩を気取るケルベロスとやらが、ワイルドスペースをいくつも潰しているという話だが、恐れるに足りませぬ。かの『オネイロス』を増援として派遣してくれた『王子様』の為にも、必ず、この『創世濁流』作戦を成功させてくれましょう」
 伊布夜坂を降りながら少女は同時に足を地面から離す事無く、ゆっくりと歩き続けた。


「ハロウィンお疲れさんでした。せやけど、重要なお話がありますのや」
 ユエ・シャンティエが島根の地図とドリームイーターと書かれた巻物を手に説明を始めた。
「ドリームイーター最高戦力であるジグラットゼクスの『王子様』が、六本木で回収したハロウィンの魔力を使って、日本全土をワイルドスペースで覆い尽くす『創世濁流』という、恐るべき作戦を開始したそうですわ」
 現在、日本中に点在するワイルドスペースに、ハロウィンの魔力が注ぎ込まれており、急激に膨張を開始している。
 このまま膨張を続ければ、近隣のワイルドスペースと衝突して爆発、合体して更に急膨張し、最終的に日本全土を一つのワイルドスペースで覆い尽くされる事だろう。
「幸いにもですが、みなはんの活躍で、隠されていたワイルドスペースの多くを消滅させている為、ハロウィンの魔力といえど、すぐさま日本をワイルドスペース化するまでの力は無いでしょお。みなはんには急膨張を開始したワイルドスペースに向かい、内部に居るワイルドハントの撃破を、よろしうお願いしますえ」
 ユエはそう言うと、軽く頭を下げて詳しい説明を始めた。
「場所は島根の揖屋駅付近。あるはずの無い降り坂にあります」
 戦闘が行われるのは特殊な空間ではあるが、特に問題無く戦えるという。
 あくまでエネルギーを蓄える為、そして成長中の空間ということなのだろう。
「そこに居るのは巫女さん風のワイルドハントなんですが、近くに半透明の武装が揺らいで見えます。これは月齢で変わる寄って、一定の姿ではなく効果の方が重要なんでしょうなぁ」
 基本的に多様に変化する定番九個、いわゆる十種の武装を用いて戦うそうだ。
 呼び寄せて白兵戦を挑み、あるいは投げつけてくるらしい。他には八つの雷を身にまとい自身を強化するとか。
「また、『オネイロス』という組織からの援軍が派遣されているらしいんですわ。『トランプの兵士のようなドリームイーター』のようですが、詳しい戦闘力は不明。一体のみですがワイルドハントと同時に戦うのは苦戦するでしょう」
 なお、ワイルドハントさえ倒せば、ワイルドスペースは消滅するので、ワイルドハントを優先するのが戦術的には正しいそうだ。
 先にワイルドハントを倒してしまえば、良くも悪くも援軍は撤退する。
「どちらにせよ、予めワイルドハントを倒してワイルドスペースを破壊するか、気剣を承知で援軍を倒すかを決めておいた方が良いでしょう」
 先に倒せば苦戦する事もないが、敵の戦力を削減できない。
 重要地である場合は幹部が派遣されている場合もあるので、大きく戦力を削げるので考えものではある。
 もちろん、援軍を倒せば連戦になって敗北する可能性も出て来るのは確かだ。
「日本全土をワイルドスペースの洪水で覆い尽くす、創世濁流作戦……恐ろしい作戦ですわ。さすがはジグラットゼクス、ドリームイーターの最強戦力といったところでしょうか」
 謎の多いドリームイーター組織『オネイロス』の援軍も気になるが、ワイルドハントさえ倒すことができれば、作戦は成功となる。
「ですが日本全土をワイルドスペース化などさせるわけにはいきません。みなはんのこれまでの成果を無駄にせえへん為にもよろしうお願いします」
 ユエはそう言うと深々と頭を下げて、出発の準備を始めた。


参加者
天満・十夜(天秤宮の野干・e00151)
アリス・ティアラハート(ケルベロスの国のアリス・e00426)
月枷・澄佳(天舞月華・e01311)
ウォリア・トゥバーン(獄界の流浪者・e12736)
霧城・ちさ(夢見るお嬢様・e18388)
知井宮・信乃(特別保線係・e23899)
イズナ・シュペルリング(黄金の林檎の管理人・e25083)
プラン・クラリス(愛玩の紫水晶・e28432)

■リプレイ


「ここを降ればもう直ぐ……自分と同じ姿と相対するのは変な気持ちですね」
 月枷・澄佳(天舞月華・e01311)は存在しない坂……伊賦夜坂を降っていた。
 どこまでも続く深い穴は、黄泉比良坂にでも通じているのだろうか?
 いいや、ここは黄泉の国でも現世でもない。ワイルドスペースなのだから、何処にも繋がって居ないのだ。
「創世濁流……日本全部ワイルドスペースで覆うってスケールが大きいね」
「日本全土を……とはまた大きく出たな」
 ただし、ワイルドスペース同士が連結しなければの話である。
 プラン・クラリス(愛玩の紫水晶・e28432)と天満・十夜(天秤宮の野干・e00151)は聞いた事も無い様な大がかりな作戦に、ゴクリと喉を鳴らす。
 単純に大規模破壊と言うだけなら兵器でも可能だが、世界を覆うなど途方も無い。
「ワイルドスペースで溢れさせる訳には行かないし絶対阻止するよ!」
「ワイルドハントにもオネイロスにも好き勝手はさせないから。がんばって止めるよ! みんながんばろうね!」
 プランの言葉にイズナ・シュペルリング(黄金の林檎の管理人・e25083)が頷く。
 闇の恐ろしさを乗り越える為か、あるいは大規模作戦に立ち向かう為か、顔を見合わせて握り拳を握った。
 イズナが先行して確認した所、敵の援軍は既に合流して居るようなので、励まし合う為に声を出しても問題も無いだろう。
「あったぼうよ、オレ様達に勘付かれた時点で計画は失敗したも同然! 纏めて倒してやるぜ!」
 十夜に至っては興奮のあまり剣を抜いてしまった?

 否、漏れ出る殺気に戦士と野生のカンが反射的に身構えたのだ。
 死に向かう線路の上に一人の少女とトランプの様な姿が見受けられる。
『あな悔しや。大願成就の前に邪魔者が来やりましたか。まあくびり殺せば良いでしょう』
「そうはいきません。貴女方の作戦妨害させて頂きます」
 似ている気もするが、ちっとも似ていない。
 澄佳は携帯で通話する時に、間違えて自分の声をイヤホンで聞いた様な違和感を感じた。
 大人たちはテープレコーダーで自分の声を録音したようなと評していたが……、それはきっとこんな風な嫌悪感なのだろう。
 ワイルドハントを狙いたい気持ちを抑え、隣に居る護衛のオネイロスんいグラビティで作った縄で捕縛に掛った。
「各個撃破出来ないのは残念だけど、挟まれ無かったから良いよね。そは……緋の花開く。光の蝶」
 イズナは何も無い場所を両手で包む。
 そっと開くと、そこから緋色の蝶が静かに光の軌跡を描いて飛び始めた。
『やらせませんぞ、やらせませんぞ!』
「トランプ兵さん、援軍にいらしてるんですか……。援軍に行かないと、女王様から首をはねるって、脅されましたか……?」
 アリス・ティアラハート(ケルベロスの国のアリス・e00426)は敵と見つめあった。
 そうこうしている間に、光を描く蝶へ割って入った為か直撃してしまう。
『ええ、実はそうなのです』
「それはご丁寧に。ワイルドスペース……解らない事だらけですけど……破壊しなきゃです……ごめんさい」
 本当かどうかは別にしてトランプさんがそう答えたので、アリは頭を下げながらスカートをつまんだ。
 それはそれとして流体金属を散布し、仲間達の援護を始める。
『千頭をくびりなさい。ヨモツイクサ!』
「お客様、ダメですよ、線路を歩いては。武器の持ち込みも禁止です。……武器がいっぱいでも、返し手はありますから!」
 知井宮・信乃(特別保線係・e23899)は降り注ぐ直剣や鉄槌を交わす為に、味方の後ろに回り込む。
「貴女の相手は私です!」
「助かります。駅やその周りを勝手に改造するのもお引き取りください……と言っても、聞く相手じゃないですね」
 澄佳が守ってくれたことに感謝しつつ、信乃は聞いて居ないだろうな……とは思いつつも言わざるを得なかった。
 彼女は線路を守る立場にある職に付いているのだ(理想は運転手だったがこの場合は同じである)。
 そして電車愛と怒りと憎しみを刀に込め、ワイルドハントを回り込むとトランプ兵の霊威を切る!
 世界を、日本を、故郷の島根を守るため立ち上がったのだ!


「幹部デハナイノガ残念ダ。シカシ、コレハ好機」
 ウォリア・トゥバーン(獄界の流浪者・e12736)は強敵と戦いたかったと吐き捨てると、そこで意識を切り替えた。
「我と共にいざ進めケルベロスども!」
 ウォリアは重量級の体を揺すって突進し、全体重を掛けて飛び蹴りを掛ける。
 そして鉄塊のような大剣を掲げて、仲間達を導いたのである。
「おうさ! 死霊と氷塊、好きな方で逝っちまえ。覚悟しな!」
 十夜は体に刻んだ呪紋を開放し、呪力によって死霊を呼び寄せる。
 死霊どもはまとわり浮いて動きを束縛し、その間に天空から氷の塊が降り注ぐ。
 トランプ兵は死霊に食いつかれたまま、手にした斧槍を振るって逆襲に出た。
『やらせませんよやらせませんよ』
「そちらがやらせないのなら、こちらもやらせるわけにはいきません! ワイルドスペースの破壊、実行しなければいけませんわねっ」
 霧城・ちさ(夢見るお嬢様・e18388)はトランプ兵の見た目を確認して、図案が良くあるトランプであることを確認した。
 スートはハートの8だが、特に可も無く不可も無い能力。
 壁役に徹して居るから余計にそう思うのかもしれないが、攻撃は当たり易いがあまり効いた様子が無いことからタフネスなのだろう。
「護衛用という訳ですのね。でも、倒させていただきます」
「タフだけど当て易し、むしろ戦い易いよね」
 ちさが至近距離まで接近しつつ回し蹴りで相手の動きを止めに掛ると、プランはその後ろを回り込っみながらグラビティを高めて行く。
 そして力を自身の体にまとい、装飾の様に固めながら周囲に部下を召喚して行く。
「戦いは数って聞いたよ、これだけ居れば勝てるよね」
 プランは氷装とも言うべき白いドレスをまとうと、周囲に氷の騎兵を展開。
 号令一下、槍先を揃えて突撃させる。
 次々と突進する騎士達を見ながら、ワイルドハントが動いた。
『起きよ、やくさいかづち共。大雷、火雷、黒雷……』
「うげえ。グロ……ありゃあやっべえぞ」
 十夜が呆れた表情でワイルドハントの紋様から生えて来るモノを眺めた。
 先ほど放っておいた爆薬でトランプ兵を爆発させるが、その煙の向こうから異様な姿が現れる。

 ソレは倒したデウスエクスかレプリカントのパーツを奪い取って埋め込んだのか、機械の腕や足がズブリと生えていた。
 その姿はまるで、機械の手足を生やした蜘蛛のようではないか。
「どうします? 誰かに結界破りで牽制してもらいますか?」
「苦しいですが先に護衛を潰しませんと、防がれる可能性が高いと思いますわ」
 アリスの提案に、ちさはお弁当を用意しながら答えた。
 護衛が居る以上は防がれる可能性がある。もちろんカバーしても100%とはいかないが、結界破りを持って来た者も多いわけではないのだ。
 それにトランプ兵は強いと言うほどではないし、先に倒してしまった方がやり易いだろう。
「判りました。お願い……白い薔薇さん達……女王様に染められる前に、みんなを癒して」
 アリスの髪に白薔薇ロイヤル・プリンセスが咲き、周囲に無数の白薔薇が咲き誇り真っ白なガーデンが作りあげられる。
 それは傷を治す癒しであり、汚染から心を守る清浄な結界でもあった。
「創世濁流何するものぞ! なあに敵が強いほど遣り甲斐があるというものよ」
 ウォリアは傲岸不遜に笑い掛け、豪語するや士気を鼓舞する為に振り回して居た大剣を担いだ。
 そして無造作に振りまわし、こちらがやられるよりも先に倒してしまえば良いと言い切ったのである。
 こうしてドリームイーターとケルベロスの血戦が開始された。


「島根の出身なんですだから私、気合が入っているんですよ。あちこち飛ばされて、戻ってきたらも~」
『ここはワイルドスペースですぞ』
 詭弁はよいですからっ!
 信乃は力一杯に刀を振り上げ、真っ向唐竹割りに振り降ろす。
 ザクリと濡れた厚紙が千切れるような手応えと共に、トランプ兵の装甲が裂けて行く。
「仮初の器を満たすのは、神が鍛えし宝具の欠片。操るのは理性、導くのは運命!」
 走り出した澄佳は大剣を足元に出現させると、柄を踏み台に大きくジャンプ。
 飛び上がった所で大剣を地に沈め、代わりに天空から無数の戦輪を呼び寄せて投げ放つ!
 そして戦輪をグラビティの縄で繋いで、巨大な錫杖を戦場に出現させる。
『おのれおのれ』
「好きには戦わせてあげないよ♪」
 イズナは蝶を留らせていた指先に手裏剣を挟み、トランプ兵が持つ斧槍に向かって投げ放つ。
 手首のスナップと踊る様な足運びで、螺旋の動きをねじ込んでガツンとぶつけて痺れさせた。
 それほど大きな威力では無かったが、ビーンと揺れ続ける様を見ればその衝撃の強さが判ろうと言う物だ。
「わたくしが回復しますので、貴女は攻撃をお願いします」
「りょーかいなんだよっ」
 ちさが稲荷寿司を食べさせてくれたので、プランは攻撃をすることにした。
 甘い夢を見せて淫らな悪夢を見させてあげる。
『いけませんぞ、いけませんぞ。みたらしんでしまいます』
 トランプ兵は突如、お目を抑えてうずくまった。
 その様子を見て曰く。
「女王様の裸を見てるのかもしれませんね」
「判る気がするなーっ。怖いモノ見たさだねっ」
 アリスとプランは顔を見合わせあって微笑んだのである。
 ハートの女王様のヌードとか、笑えるかナイスバディかのどちらなのだろう。

 いずれにせよ、健在であったトランプ兵が少しずつ弱って来たのが判る。
 しなしなと頼りなく、むしろ滑稽なほどだ。
「あともうちょっとじゃないかな?」
「トドメを刺して倒してしまいましょう」
 イズナが呼びだした光の蝶が、澄佳の生み出した縄の上に次々と留っていく。
 縄をピンと弾けば、振動を伝わってグラビティがトランプ兵に伝わって行くのだ。
 ソレが首に届いた時、絞首刑のようにグッタリと動か無くなったという。
『腕に十種の羅漢宝! 狗神の秤、象印の魔封瓶、黄金の蜂蜜……』
「十種にて対応すと誇るならば我が七星にてそれを滅ぼす。愉しみにしていろ!」
 機械の腕それぞれに武器を持たせて殴りかかるワイルドハントに、ウォリアは横合いから蹴りつけた。
 女の子の顔面だろうと気にしない。真剣な戦いとはそういうものだからだ。
 もちろん反撃で殺されても気にはしないが、彼には仲間が守ってくれると言う確信があったのである。
「これでも……くらいな! アグニ!」
 十夜は箱竜のアグニを抱え上げると、ダンクシュートみたいにワイルドハントの頭の上へ!
 自分は野干(ジャッカル)が彫り込まれた剣でブン殴り、機械の腕を何本か千切ってしまった。
 こうして戦いは折り返しを過ぎ、急展開に入る。


『月に封じられし、黄金の蝗よ! その飽くなき姿を此処へ!』
 何度目かの攻防が過ぎ去り、暗黒の中からナニカが飛び出した。
 それは四聖と四凶の時代に、中央に坐した魔物だという。
「くっ……エクレア出番ですのよ!」
 ちさは蝗の嵐を防ぐが、徐々に結界が割れて行く不気味さを味わった。
 仲間の傷は翼猫のエクレアと共にチュロスを投げつけて回復するが、割れてしまった防壁はそうもいかない。
「もう一度張り直さないと……、みんな、お願い!」
 アリスは再び白薔薇を咲かせることにした。
 防壁を食われたのは全員ではないが、相手の火力が高いので治療を兼ねて咲き誇らせる。
「踏んであげる、鳴いていいよ」
「……隙ありです!」
 プランが急降下しながらストンピングを掛けると、その動きに合わせて信乃は切りかかった。
 物理的な刃を敵の武器が止めたように見えるが、本体は霊力側であり徐々に浸食して行く。
「ヌオリアアア!」
 ウォリアは自らの分身を食らいながら、炎をまとめて振り降ろす。
 豪火の剣が通り過ぎるとワイルドハントは炎に包まれた。
『ヨモツイクサ、来ませい!』
「この期に及んで回復しない? 滅多に治療しないと聞いてたけど、やっぱり人間じゃないからかな」
 信乃は踊るシミターを見上げながら、防御を仲間に任せて刃を合わせながら押し込みに掛った。
「ここが正念場です。一気に行きましょう」
「ちゃんと倒す事も重要だけど、みんなで帰ろうね」
 信乃の言葉に頷きながらイズナは手裏剣を両手一杯に掴んだ。
 飛び交うシミターにぶつけて落としつつ、本体にも投げつける。
「覚悟しな!」
「そーれいくよー」
 十夜が巨大な氷を落とし、プランは氷の騎兵で攻め立てる。
 ワイルドハントは炎と氷で攻め立てられ、自慢の武装も少しずつ砕けて行く。
「あとちょっとでしょうか? ……なら!」
 アリスは初めて攻勢を掛けた。
 凄まじい威力に抑れて治療しっぱなしだったが、ここまでくれば倒した方が早いからだ。
 重砲撃を掛けて牽制し、そこに仲間達がトドメを刺す為に走り込む!
「月枷さま、トドメをお願いしますわ!」
「ええ。悪夢はこれで終りにしましょう」
 ちさが周囲を爆破して逃げ道を塞ぐと、澄佳は手甲を活性化して挑みかかった。
 最後は組み打ちながら接近戦を挑み、反撃として繰り出された拳を受けながら最後の一撃を繰り出す。
 互いに放った貫手が交錯した後、徐々に形を失ったワイルドハントの核を掴んで自らの中に取り込んでいくのであった。

 そして……。
 主人の居なくなったワイルドスペースは、朝霧に包まれて消えて行く。
 醒め無い夢は無いと言うが、悪夢は終わりを告げたのである。

作者:baron 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年11月15日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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