創世濁流撃破作戦~偽りの救手

作者:零風堂

 幾重にも色が連なり、朧げな世界を作り上げるモザイクたち。
 曖昧な幻が揺蕩うその空間に、ひとり佇む存在があった。
「幻想なる夜の狂宴……ハロウィンの魔力は、我が手中に在り……」
 静かに閉ざされた双眸からは、何の感情も読み取ることができない。そこに風は吹いていない筈なのに、艶やかな銀髪がゆっくりと揺れていた。
「この力により、我が空間、我が『ワイルドスペース』は濁流となり、世界を覆い尽くす事すら可能……」
 額に開かれた第三の瞳が、魔力を灯したかのように妖しく、金色に輝く。
「あのケルベロスらが、多少ワイルドスペースを潰したところで、些細なこと。『王子様』が我が助力にと『オネイロス』を遣わせておる。ならば我が為す『創世濁流』は、完遂されることが必然……!」
 その存在は表情を変えることなく、モザイクの海を漂い続ける。
 背中には翼のように広げられた無数の腕が、救いを求める者を掴まえようとするかのように伸ばされている。
 しかしこの手がもたらすものは、救いではなく――。

●創世濁流を撃破せよ
「みなさん、ハロウィンが終わったばかりですが、緊急事態が発生しました」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は緊張した面持ちでそう伝え、ヘリポートに集まったケルベロスたちに向けて話し始めた。
「ドリームイーター最高戦力であるジグラットゼクスの『王子様』が、六本木で回収したハロウィンの魔力を使い、日本全土をワイルドスペースで覆い尽くす『創世濁流』という、恐るべき作戦を開始しました」
 作戦の詳細を伝えるべく、セリカは話を続ける。
「現在、日本中に点在するワイルドスペースに、ハロウィンの魔力が注ぎ込まれ、急速に膨張が始まった状態です。このまま膨張が続けば、近隣のワイルドスペースと衝突して爆発、合体して更に膨張・拡大し、最終的に日本全土がひとつのワイルドスペースで覆い尽くされてしまいます」
 日本の全てがワイルドスペースに覆われる……。そうなれば、多くの悲劇が生み出されてしまうだろう。
「ですが、まだ活路はあります。これまでの皆さんの活躍で、隠されていたワイルドスペースを幾つも消滅させていますから、ハロウィンの魔力が注ぎ込まれていたとしても、すぐさま日本の全てをワイルドスペースにするまでの勢いはありません」
 それでも時間が経てば、膨張するワイルドスペースは爆発と合体、更なる拡大を繰り返し、いずれは日本を覆ってしまうことだろう。
「それまでにワイルドスペースを潰せるかどうかが勝負です。皆さんは、膨張を開始したワイルドスペースに向かい、内部に居るワイルドハントの撃破をお願いします」
 セリカはそれから、戦場と敵の能力についての説明を開始する。
「皆さんはワイルドスペースに突入していただきますが、戦闘に支障はありません。モザイクに覆われた空間で、敵のワイルドハントもすぐに発見できると思われます」
「ワイルドハントは額に開いた第三の瞳から、金色の光を撃ち出して攻撃してきます。また、背から生えた無数の腕を使い、相手を翻弄するような戦い方をするようです」
 そして、敵はワイルドハントだけではないとセリカは言う。
「ワイルドスペースには、『オネイロス』という組織から、援軍にドリームイーターが1体派遣されているようなのです。1体のみの援軍とはいえ、ワイルドハントと同時に戦うことになりますから、軽視はできません」
 オネイロスの援軍は、トランプをイメージした兵士のようなドリームイーターだとセリカは付け加える。
「先にワイルドハントを撃破した場合、ワイルドスペースが消滅し、オネイロスの援軍は撤退するようです。反対にオネイロスの援軍を先に撃破した場合、ワイルドスペースが維持されるので、ワイルドハントと続けて戦う事が可能ですが、その戦いに勝利できなければ、ワイルドスペースを破壊することはできません」
 作戦は任せるが、ワイルドスペースを破壊しなければ、『創世濁流』を止められない。だからワイルドハントは倒すようにして欲しい、とセリカは念を押した。
「また、特に重要と思われるワイルドスペースには、オネイロスの幹部と思われる強力なドリームイーターが護衛として現れる可能性もあります」
 それが『どこか』までは、残念ながら分からないのだとセリカは話す。
「幹部は強敵ですが、それだけに彼らを撃破する事ができれば、今後の作戦が有利に運べるかもしれません。幹部と遭遇した場合に、幹部の撃破を狙うのか、或いは、ワイルドスペースの破壊を優先するのか、意思を統一しておく事も重要でしょう」
 それからセリカはやや心配そうに表情を曇らせ、言葉を続けた。
「オネイロスの幹部は戦闘力がかなり高いようです。中途半端な作戦では、どちらも撃破できずに敗退することもあり得ます。くれぐれも、お気をつけて……」

 日本全土をワイルドスペースで覆ってしまう、『創世濁流』……その恐ろしい作戦に、ケルベロスたちの表情にも緊張と不安が滲む。
「ですが、ワイルドハントさえ倒すことができれば、こちらの作戦は成功です。謎の多いドリームイーターの組織『オネイロス』のことも気になりますが……、くれぐれもお忘れなきようお願いします」
 それからセリカは顔を上げ、力強く話し始める。
「皆さんがこれまで、ワイルドスペースを幾つも破壊してきたおかげで、敵の作戦を阻止する機会が得られました。これを無駄にするわけにはいきません。どうかワイルドハントを撃破し、この日本を守れるよう……、よろしくお願いします」
 セリカはそう言って、ケルベロスたちを激励するのだった。


参加者
ロナ・レグニス(微睡む宝石姫・e00513)
エルス・キャナリー(月啼鳥・e00859)
リーファリナ・フラッグス(拳で語るお姉さん・e00877)
イブ・アンナマリア(原罪のギフトリーベ・e02943)
ソーヤ・ローナ(風惑・e03286)
遠之城・鞠緒(死線上のアリア・e06166)
アトリ・カシュタール(空忘れの旅鳥・e11587)
ロージー・フラッグ(ラディアントハート・e25051)

■リプレイ

●眩惑の空間
 無数の色が幾重にも連なり、あらゆる境界が曖昧に、朧げな幻のように彩られ象られる。
 拡大を始めたモザイクだらけの空間に、ケルベロスたちはヘリオンから飛び込んでいった。
「この空間は、マジで気持ち悪いの。さっさと片付けましょう」
 エルス・キャナリー(月啼鳥・e00859)は眩暈のしそうな空間を一瞥して顔を顰め、小さく呟く。
「複数の強敵との戦いは、とても緊張するけれど……。両方とも倒すまで、皆さんの背中は、確実に守ります!」
 アトリ・カシュタール(空忘れの旅鳥・e11587)はそう言って、意気込むように杖を握り締めた。
 このモザイクの空間を統べるワイルドハントを倒さねば、日本全土がモザイクに覆われてしまう。多くの人を、大切な人を守るために、アトリは尽力する所存だった。
 移り変わる彩色が明滅し、赤も緑も、青も黄もが不確定に在る。自分たち以外には、光も闇もそこに在り、次の瞬間には失われるような、そんな気分にさせる空間。ケルベロスたちは目を凝らし、敵を探す。
「見つけた! そこだ!」
 リーファリナ・フラッグス(拳で語るお姉さん・e00877)が声を上げて飛び出した。突き進む先には、モザイクの海に漂う異形の存在がある。
「ワイルドハント、援軍のトランプ兵、共に確認。……重要な戦いだ。絶対に負けられない」
 イブ・アンナマリア(原罪のギフトリーベ・e02943)は仲間たちに向けて声を伝え、敵の姿をしっかりと見据えた。

●紙札の兵
「さあ、お手並み拝見といこうか!」
 口元に笑みを浮かべ、リーファリナが駆ける。トランプ兵の突き出した槍を紙一重で避け、鋭い蹴りを繰り出した。
「……!」
 思ったよりも、硬い手応え。リーファリナは蹴りの反動で跳び退り、敵の間合いから逃れた。
「ハロウィンのちから……、わるいことに、つかうなんて、……ぜったい、ぜったい、だめ……!」
 ロナ・レグニス(微睡む宝石姫・e00513)は、振り絞るように魔力を放ち、木の葉を生み出す。多くの人々が楽しんだハロウィンの思い出を、デウスエクスの企みに利用させてはならない――。ロナの想いが力となって、遠之城・鞠緒(死線上のアリア・e06166)の身体を包んでいく。
「花琳ちゃんの美味しい料理で打ち上げが出来るよう、頑張らなくちゃ!」
 大切な想いで造形された、鞠緒の『鬼牡丹の護り』が輝き、光の粒子を散らし始める。きらきらと揺れる輝きに包まれながら、鞠緒とロナは感覚を研ぎ澄ませた。
「……我が『ワイルドスペース』を滅ぼしに来たか、ケルベロスよ」
 モザイクの波に揺れ、瞑目したままでワイルドハントが話し始める。
「だが、すべては徒労に終わる。汝らはここで滅び、世界は濁流に覆われるであろう」
 額の眼が大きく開き、赤い輝きが閃光となって放たれた!
「やらせませんっ!」
 灼熱の視線に立ち塞がったのは、ロージー・フラッグ(ラディアントハート・e25051)だ。ぶすぶすと魔導装甲が熱を帯び、炎に蝕まれていく。
「あの人の姿を勝手に真似するなんて、失礼な敵ですね。やっつけちゃいますよ!」
 しかしロージーは炎に耐えながら、ワイルドハントに闘志を向ける。同時に無数の小型機を展開して、自分たちを警護させ始めた。
「……!」
 敵を薙ぎ払うかのように、トランプ兵が槍を振り回しながら突っ込んでくる。
「それにしても、厄介ですね……」
 ソーヤ・ローナ(風惑・e03286)が左右のエクスカリバールを交差させ、相手の攻撃を受け止めた。
 重い――。
 ソーヤは辛うじて槍の穂先を払って逸らし、直撃を免れる。
「……盾役である私たちが戦局を握る……。頑張りましょう」
 精神を集中させて、ソーヤが乱意衝波を放つ。波動がトランプ兵を打ち、意識を大きく揺るがした。
「どんな企みでも、ばっと吹き飛ばしましょう!」
 エルスが魔導書『無限のグリモア』を抱き、力を集中させる。長い銀髪が微かに揺れ、周囲に展開した『御業』が、無数の炎弾を撃ち出していく。
 するとトランプ兵が、炎からワイルドハントを庇ったように見えた。
「ディフェンダーなの? 一気に押し切りましょう!」
「わかった、援護は頼むよ」
 イブがガトリングガンを構え、弾丸を連射していく。相手は散開して攻撃を避けるが、その間にアトリが、魔力の鳥を飛び立たせた。
「さあ、私達に守るための力を……!」
 翡翠色の輝きが、守護の力となって敵と接するロージー、ソーヤらに降り注ぐ。
「まだまだ、ここからだからね」
 イブとアトリは視線を交わし、小さく頷き合った。

●千手の掴むは
「っ……!」
 ロージーの胸に、トランプ兵の槍が突き刺さる。しかしロージーは片手でその柄を乱暴に掴み、強引に引き抜いた。
 彩色だらけの空間に、鮮血が飛び散る。
「だから私はみんなを支える盾として戦う! それが私の誓いだから……!」
 アトリが急ぎ、傷口に杖を向けていた。ウィッチドクターの魔力で傷口を塞ぐだけの緊急治療だが、それだけでロージーはチェーンソー剣を唸らせていた。
「これで、斬り裂きます!」
 回転する刃を振り回し、トランプ兵の身体に傷を刻み込んでいく。
「花琳ちゃんが持たせてくれた炒飯弁当を力に、敵の企みは断固阻止!」
 鞠緒がワイルドハントに向けて手を伸ばし、悪夢の書物を生み出した。
「この物語は、緩慢な死へのカウントダウン……」
 開かれた書物から湧き上がる歌が、ワイルドハントに迫り、その精神を蝕み始める。
「全ては無駄。我を倒すなど無謀の極みと知れ」
 ワイルドハントは額の瞳を僅かに細め、微かな光に包まれると全身の傷を回復させていった。
「今のうちに、トランプ兵のほうを……!」
 しかしそれは、鞠緒の狙い通りだった。相手に回復させるよう促して、攻撃の手を緩めさせる。その間に、一気にトランプ兵を打ち倒すために……。
「……!」
 リーファリナと対峙するトランプ兵が、槍を構える。相手を見ていたリーファリナだったが、一瞬の後に、自分の脇腹が抉られていることに気付いた。
(「簡単には、見切れないほどの速さかよ」)
 だが、身体はまだ動く。握った拳で相手の頭部をぶん殴る。
「お返しだ。女に迫るなら、もっと優しくするもんだよ?」
 魂の力を奪い取り、ダメージが大きくならないよう立て直す。相手の疲労も大きいようだが、まだワイルドハントも控えている。ここで倒れるわけにはいかない。
「さあ、ヴェクさん! みんなの援護をおねがい!」
 鞠緒のウイングキャット『ヴェクサシオン』も大きく羽ばたき、モザイク溢れる戦場を駆けまわる。輝く翼が邪気を払い、仲間たちの耐性を高めていった。
「随分と、積極的に動きますね」
 ソーヤがひとつ、呼吸を整えて駆け出した。もうすぐ敵の間合いに入る。3歩、2歩、1歩!
「……ここっ!」
 滑り込むように身を低くして、同時にエアシューズに炎を着火させる。相手の槍を掻い潜り、胸元に蹴りを突き立てた。
「――それでは、佳い旅を」
 身体の真ん中から燃え落ちるように、トランプ兵はその場にボロボロと崩れ去っていった。
「……ほう、あの兵を滅したか」
 ワイルドハントが少しだけ、驚いたように呟く。
「これで、あとは……、倒すだけ」
 イブの身を包むは耀う五線譜。輝く音は閃光の弾丸となり、ワイルドハントに喰らいついた。
「ふぁりん、たいせつななかま。……ほんにんじゃ、ないけど」
 ロナはシャーマンズカードを握り締め、氷騎士の力を解き放つ。
「……それでも、わるいことするの、だまってられない、の……」
 氷結の槍騎兵はワイルドハントに詰め寄ると、冷気の槍を突き立てていった。
「好きにはさせない。……これで!」
 逃れようと動くワイルドハントだが、その動きをエルスの禁縄禁縛呪が封じ込める。瞑目し、表情の変わらなかったその顔に、僅かに動揺の兆しが見えた。
「……こちらです!」
 その一瞬を逃さずに、ソーヤが指を伸ばして構え、乱意衝波を放つ。波動がワイルドハントの意識を揺らし、ソーヤに敵意を向けさせた。
「あくまで抗うか。この世界を呑み込む濁流から」
 ワイルドハントが語気を強め、その背の腕を蠢かせる。そのまま猛然と、ソーヤに近づいてきた。
「こちらの踊りはいかがでしょう?」
 鞠緒が紅の旋律をくるりと回し、踊るように舞いながら振り上げる。同時に飛び出した白いハツカネズミが、小さく身を縮めるようにして丸まった。
 鞠緒の動きに呼応するように弧を描き、魔力を帯びて輝きながらファミリアシュートが敵に迫る。
「無駄と知れ」
 敵は背後に伸びる腕を何本か動かし、弾丸の如きファミリアの攻撃を受け流した。そしてその魔の手が、ケルベロスたちにも迫る。
「これは……!?」
 ロージーの両目が、手で塞がれる。ほとんど同時に耳と口が押さえられ、続いて両腕、両足首が掴まれる。
「……!?」
 振り解こうともがくより先に、胸の中心に衝撃が打ち込まれた。息を吐き出すこともできず、意識が飛びそうになる。
「狙うぜ。合わせてくれ」
 イブのガトリングガンが火を噴いた。弾丸が無数の腕を穿つ中で、アトリが癒しの闘気をロージーへと飛ばす。
「負けない……。ぜったい、諦めません!」
 ロージーが渾身の力で敵の腕を振りほどき、バスターライフルを構える。
「希望を捨てなければ、きっと……!」
 撃ち放たれた一条の冷気が、ワイルドハントを氷で包んだ。変わらず両目は閉じているが、その身体にはこれまでケルベロスたちが打ち込んだ無数の傷と、魔力による拘束、そして氷が与えられている。
「聖なる果実は地に堕ちる。神の槍も血に濡れる。――あなたに暗い喰らい紅を、魅せてあげる」
 ロナが普段とは違った様子で言葉を紡ぐ。そこに召喚されるは、穢れた吸血槍。幾つにも分裂したその槍は、相手の手をすり抜けるように突き進み、ただひたすらに敵を貫き続ける。
「……何故、足掻く?」
 血に濡れながら、ワイルドハントが呟く。その身体に、ビシビシと亀裂が走り始めた。
「我を滅ぼそうとも、この世は濁流に呑まれる運命。ならば静かに受け入れたほうが、楽であろうに」
 最後まで穏やかな調子で言うワイルドハントだが、ケルベロスたちの決意は揺るがない。
 事前にワイルドスペースを調査し、戦ってきた仲間がいるから、ここで止める機会が生まれた。
 他のワイルドスペースでも、仲間が戦っている。創世濁流は、必ず止める。
(「諦めたりしないの」)
 エルスの白く美しい体に、闇が纏わりつく。それは夢の中に浮かぶ、滅びの世界を覆う虚無の闇だ。
「諦めよ」
「!?」
 ワイルドハントの額で、赤光が煌めく。力を使うために集中していたエルスの身体が、炎に包まれた。
「……紫竜の花よ、私に力を貸してください。私に、大切な人たちを守る力をください……!」
 アトリがウィッチオペレーションの魔力を解き放つ。魔術的麻酔で、強引に痛みを食い止めた。
「終焉の幻、永劫の闇、かの罪深き魂を貪り尽くせ!」
 集中を取り戻したエルスが、虚界闇喰衝を発動させる。召喚された闇が広がり、敵の腕を次々に飲み込み、蝕み始めた。
「――全てを打ち砕く界の怒りよ」
 リーファリナの詠唱に答えるように、魔術円から数多の砲門がせり出してくる。
「……!」
 発動する前にリーファリナを倒すつもりか、ワイルドハントの背から手が伸びた。しかしそのことごとくが、エルスの闇に喰われて崩れ消えてゆく。
「力の猛り、轟きをもって我が敵を討ち滅ぼさん」
 砲撃が始まる。轟音が世界を震わせ、燃え盛る炎がワイルドハントを灰燼に帰さんと荒れ狂った。

 ばきん。とどこかで音が響いた。
「なるほど、これがケルベロス……。見事なり」
 闇に蝕まれ、炎に穿たれながら、ワイルドハントはどこか清々しい調子で呟く。
 同時にワイルドスペースに広がるモザイクが、少しずつ消滅を始めていた。
「すぐに脱出するの!」
 ケルベロスたちは迅速に、ワイルドスペースから脱出を始める。
「これで、終わり……。すなわち我も、救われる……」
 最後にぽつりと呟いて、あるケルベロスの暴走した姿を模した存在は消滅した。主を失い崩れ去っていくワイルドスペースから、一同は急ぎ離脱するのだった。

作者:零風堂 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年11月15日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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