創世濁流撃破作戦~微笑みの下に

作者:幾夜緋琉

●創世濁流撃破作戦~微笑みの下に
「ふふふ……」
 少しあどけない彼女の表情の中に浮かぶ、微笑。
 そんな彼女の周りには、紫色がかった黒いオーラが浮かび、そしてその周りには幾つもの剣と、一つの本がふわりと浮遊している。
 ……そして彼女は、その本の中から、もう一振りの剣を抜く。その剣は、まるで本が姿を作り出したかの如く……長い。
 そして、彼女は。
「これが、ハロウィンの魔力……この力があれば、わたしのワイルドスペースは濁流になって、世界を覆い尽くす事も可能になる筈……ふふふ……楽しみね……」
 更にその微笑は、何処か妖艶に呟かれる。
 そして……紫混じりの黒いオーラは、一層強く噴き上がるのであった。

「ケルベロスの皆さん、ハロウィンイベントが終わったばっかりッスけど、緊急事態ッス!!」
 と、ハロウィンの余韻もそこそこに、黒瀬・ダンテは、其の場に居たケルベロスに。
「今回、ドリームイーターの最高戦力であるジグラットゼクスの『王子様』が、六本木で回収したハロウィンの魔力を使い、日本全土をワイルドスペースで覆い尽くす『創世濁流』という、恐るべき作戦を開始したんッスよ!」
「今、日本中に点在しているワイルドスペースに、ハロウィンの魔力が注ぎ込まれているッス。その結果、急激な膨張を開始している様なんッス!」
「これがこのまま膨張を続けると、近隣のワイルドスペースと衝突し爆発、合体し更に急膨張して、最終的には日本全土を一つのワイルドスペースに覆い尽くしかねないッス!」
「幸い、今迄のケルベロスの皆さんの活躍の結果、隠されていたワイルドスペースの多くを消滅させて頂いているので、ハロウィンの魔力と言えど、すぐさま日本をワイルドスペース化するまでの力は無い様ッス」
「そこでケルベロスの皆さんには、急膨張を開始したワイルドスペースに向かい、内部にいるワイルドハントの撃破を頼みたいッス!!」
 そして、ダンテは。
「今回、ケルベロスの皆さんが戦闘する相手ッスけど、何処かミステリアスな雰囲気を持った女性のワイルドスペースの様ッス。ただ、ワイルドスペースと言えども、ケルベロスの皆さんが戦闘するのには特に支障は無い筈ッス」
「彼女の攻撃能力は、その周りに突き刺さった幾つもの剣を射出しての攻撃と、彼女の手に装備された、毒の効果を持った剣を振るう攻撃ッス。なんだか魔法剣士の様な感じの様ッスね」
「又、このワイルドスペースには、『オネイロス』という組織の援軍が派遣されている様で、彼は一体のみッスけど、『トランプの兵士』の様なドリームイーターの姿形をしているッス」
「つまり彼女と、オネイロスという二体と同時に戦う事になるッス。ワイルドスペースの彼女だけでも強敵ッスから、それに加えて戦う相手が増えてるから、苦戦するのは間違い無いと思うッスよ……」
「それに、特に重要だと思われるワイルドスペースには、オネイロスの幹部とおぼしき強力なドリームイーターが護衛として現れる可能性があるッス。この幹部は強敵ッスけど、今回の作戦の中核戦力ッス。撃破すれば、今後の作戦が有利に運べるかもしれないッスね」
「これら幹部と遭遇した際に、幹部の撃破を狙うか、或いはワイルドスペースの破壊を優先するかを、参加者の皆さんで良く考えておいて欲しいッス。オネイロスの幹部は更に戦闘力が高いので、中途半端な作戦では、返り討ちに遭って仕舞う可能性すらあるッスから……」
 と、そこまで言いつつ、ダンテは。
「苦しい闘いかもしれないッスけど、日本全土をワイルドスペース化などさせる訳にはいかないッス。どうか、宜しく頼むッスよ!!」
 と、拳をぐっと握りしめて、皆を送り出すのであった。


参加者
東雲・苺(ドワーフの自宅警備員・e03771)
ギメリア・カミマミタ(俺のヒメにゃんが超かわいい・e04671)
タクティ・ハーロット(重力を喰らう晶龍・e06699)
板餅・えにか(萌え群れの頭目・e07179)
天音・迅(無銘の拳士・e11143)
暮葉・守人(墓守の銀妖犬・e12145)
霧島・トウマ(暴流破天の凍魔機人・e35882)

■リプレイ

●力の暴流
「んー……そういやそっか。時期はハロウィンだったか」
 行く道すがら、今気づいたかの様に呟く霧島・トウマ(暴流破天の凍魔機人・e35882)。
 ハロウィンの余韻の残る中、ケルベロス達に訪れた依頼。
 ドリームイーターの最高戦力である、ジグラットゼクスの『王子様』が、六本木にて回収したハロウィンの魔力を利用し、日本全土をワイルドスペースで覆い尽くす……『創世濁流』作戦。
 日本中に点在しているワイルドスペースを利用し、急激な膨張が始まっているそのワイルドスペース同士が更に衝突し合い、合体し、更に膨張……加速度的に拡大を続けている。
 このままでは、拡大し続けるワイルドスペースが、日本全国を覆い隠してしまうだろう……それを止める為に、ケルベロス達は、それぞれのワイルドスペースへと急ぐ。
「それにしても創世濁流撃…想像力…ドリーム―イーターだけ何か色々とあるなぁ。何故ケルベロスの姿を騙るかもよくわからんしなぁだぜ」
 と、タクティ・ハーロット(重力を喰らう晶龍・e06699)が肩を竦めると、トウマ、東雲・苺(ドワーフの自宅警備員・e03771)も。
「ああ。ハロウィンの魔力を集めてやる事が……なんかその、規模がみみっちくねぇかァ?」
「そうだねっ。でも、ワイルドハントと援軍を同時に相手にするのは大変だねー。でも、他のみんなもどこかで戦っているんだから、わたし達も負ける訳にはいかないよねっ」
「んだなァ。『王子様』本人は呑気に今頃茶ァ啜ってんだろうしなァ。余裕ぶるってのが一番やっちゃいけねぇ『フラグ』だってのを、定命化してからも散々見た気がすんだがよォ……?」
「うんっ。まぁわたし達の役割は、ワイルドスペースを破壊して、王子にもこれで追い詰める一手にする事だねっ。頑張らないとねー」
 そんなトウマと苺の会話に対し、天音・迅(無銘の拳士・e11143)と暮葉・守人(墓守の銀妖犬・e12145)も。
「ああ。何だか俺達の仲間の姿を騙ってる様だしな……ワイルドハントだからこそ、ともいえるかもしれないが」
「うん。俺にとっても二戦目になるワイルドハントとの戦いになるし……それに、大事な連れの誕生日ももう間近なんだよ。誕生日前に大怪我とか行方不明になってたまるかってんだな」
「……そうだな。オレも同じだ……かつて仲間の奮戦で撤退したことがあるが……そんなの、二度とは繰り返したくは無いからな」
「そっか。んじゃ、頑張ろうぜ」
 ニッ、と笑い、サムズアップする守人。
 そしてギメリア・カミマミタ(俺のヒメにゃんが超かわいい・e04671)が。
「それにしても、強敵らしいな……中々大変な事になりそうだが……」
 と、内心の緊張を解きほぐす様に、ウイングキャットの『ヒメにゃん』を撫で撫で、撫で撫で……。
「……撫ですぎじゃないです?」
 と板餅・えにか(萌え群れの頭目・e07179)が言うも、ギメリアは更に、撫で続ける。
 それが心の安寧をもたらす行為だから……ともあれ。
「まぁ、何にしても色々考えるのは後でいいや……先も過去も知らずに騙るだけの存在ならば、這い上がれない所まで沈めてやるのだぜ?」
 とタクティの言葉にえにかも。
「そうです。うちの友の姿を借りるたーふてー野郎です。寝ぼけた野郎に地球の礼儀を叩き込んでやらにゃーならんですね」
 と、尻尾を逆立て、怒りを表現。
 そして、エヴァンジェリン・ローゼンヴェルグ(真白なる福音・e07785)も。
「そうだな。さぁ、皆……征こうか。無事に戻ってこようぜ」
 と拳を握りしめ、そしてケルベロス達は、ワイルドスペースの中へと潜り込んで行くのであった。

●二つの影は
 そして、ワイルドスペースの中を歩くケルベロス達……程なくすると、ワイルドハントの少女が。
『……ふふっ……』
 何処かあどけない表情の中に浮かぶ、微笑み。
 ミステリアスな雰囲気を彩る様に、周りには紫色がかった黒いオーラを纏い、更にその周囲には幾つもの件と、一つの本がふわり、と浮遊している。
 ……そして、ケルベロス達に気づくと。
『あら……どうしたのかしらぁ……?』
 あどけなさに加え、どこかに妖艶さが漂う彼女。
 ……そんな彼女の容姿を前にすると……改めて、ペリム・エストルテに似ているな、と思う。
 でも、実際の所、彼女はペリムではない。ペリムとは似て非なる……彼女の暴走した姿をしたワイルドハントである。
「これ、ワイルドハントの姿は知ってる人なんだけど、違う人なんだよねー」
 と言うと、それにえにかも。
「そうだねー。それにしても……」
 と言いつつ、ワイルドハントに対し。
「まったく、わざわざこんな湿気た場所までご苦労様ですよ。地球で商売するにはそれなりに筋通してもらわにゃなりませんが、責任者の方はおりますかの?」
 と問いかけるも、えにかは。
『ふふっ……責任者って何かしらねぇ……? まぁ、私が責任者、って事になるのかしらねぇ……?』
 と笑みを浮かべる彼女……と、そうしていると、それを守る様に、トランプの兵士の様な姿をしたドリームイーターの一人、オネイロスの援軍が姿を現わす。
 ……と、それに。
「ふぅーむ……って、ドリーム騙るなら自分の姿で勝負せんかワレー! 挨拶回りで札持ち込むのは感心じゃが、トランプは違うじゃろー! 誠意のある札見せんかー!!」
 理不尽……かどうかは良く解らないけど、ワイルドハントに怒るえにか。
 ワイルドハントは。
『ふふっ……何を言ってるのかしらねぇ……? まぁ、別にいいわ。さっさと倒すしちゃいましょうかねぇ? ほら……行きましょ?』
 とオネイロスの援軍に指示を与え、彼も、こくり、と頷き、その手に持った槍を掲げる。
 その動きに対し、苺とギメリアが。
「でもこの姿で悪い事を続けさせる訳にはいかないし、やっつけさせてもらうよっ」
「そうだな。世界中の人々と猫達の平和の為、このワイルドスペースは必ず壊すッ!!」
 宣戦布告と共に、ケルベロスの前に立ち塞がるオネイロスの援軍。
 そんなオネイロスに対し、取りあえず前線に立つタクティが。
「取りあえず……先ずは仕掛けるのだぜ!」
 と言いながら、タクティが接近し、先陣切って轟竜砲の一撃を放つ。
 ……その一撃は、オネイロスの援軍に確実に命中。
 更に、エヴァンジェリンも、時空凍結弾を撃ち抜く……が、それも命中。
「……どうも、オネイロスの幹部、という訳では無さそうかな?」
 と、守人の言葉……勿論、まだまだ油断は出来ない。
 更に守人が、分身の術を使用。
 そんなケルベロスに対し、オネイロスはブンブン、と槍を振りかざして反撃。
 また、ワイルドハントの彼女は、浮かんだ本からすっ、と一振りの剣を抜いて、その手に構える。
 ……そして、二体連続しての連携攻撃。
 剣戟と、槍撃がその体力を確実に削られてしまう。
 その一撃に、苺が。
「勇敢なる戦士に戦う力を与えたまえ!」
 と、『大地の恵み』で仲間達の体力を回復すると、苺のボクスドラゴン、マカロンと、タクティのミミックもボクスブレスと、愚者の黄金で補助。
 ……そして、ジャマーの迅は幻夢幻朧影を仲間達に掛けて、妨アップを付与。
 更にギメリアが轟竜砲で攻撃しつつ、傍らのヒメにゃんが、同じ攻撃目標へ猫ひっかき攻撃。
 そして、えにかが仲間達の体力状況を確認した上で……大丈夫そうだと認識為。
「それじゃー、取りあえずてきとーにオネイロスの援軍を仕留めるとしますよー!」
 と後ろから声を掛けながら、殺神ウイルスでブレイクとアンチヒールを狙い付与。
 また、トウマも。
「色々と動かれると面倒だしなァ……さっさと倒れてくれ」
 と、ライトニングボルトの一閃を放っていく。
 ……そして、行動が一巡し、次の刻。
『本当、面倒ですねぇ……』
 と肩を竦める仕草をするワイルドハント。
 ……そんなワイルドハントの動きを補助する様に、オネイロスの援軍が前に立ち、防御と共に反撃。
「面倒? ……なら、もーっと面倒に相手してあげるよっ!」
 と敢て不敵に微笑みながら、轟竜砲をオネイロスの援軍に射撃。
 更に守人も、絶空斬で斬りかかり、更なるダメージを追加付与。
 勿論、ディフェンダー二人の攻撃に続き、クラッシャーのタクティが。
「セット……咲誇れ愚者の華! 晶華ァ!」
 と、『魔王拳・晶華』で、追撃効果の攻撃を叩き込んで行くと、エヴァンジェリンもグラインドファイア。
 そして迅のドラゴニックミラージュが、オネイロスの援軍を炎へと包み込む。
 ……炎の中に苦しむオネイロスの援軍。
『グゥォ……ォ……』
 と、唸り、藻掻く。
 ……と、そんな仲間の苦しみに対し。
『もう……本当、やんちゃな子達ですねぇ……?』
 くすくすっ、と笑う彼女。
 だが、今迄にあったような、余裕さはなくなりつつある。
 そして……更にギメリアが。
「世界中の生きとし生ける愛すべき猫達よ、俺に力を与えてくれ! 聖天使猫龍撃!」
 と、『聖天使猫龍撃』の一撃を叩き込み、更に連携したヒメにゃんも、キャットリング。
 又、トウマが。
「ああ、これが俺の知った『感情の奔流』だ。……少しばかり誇張して教えてやるよ」
 と『嵐獄想:葬想起』を放ち、オネイロスの援軍のトラウマを燻す。
 トラウマに、更に苦しむオネイロスの援軍……そして。
「さーさー、一気に仕留めるのですよー!」
 と、怒濤の如く、殺神ウイルスで攻撃すると……オネイロスの援軍は、崩れ墜ちる。
 そして……残るはワイルドハントの彼女。
『ふふ……仕方ないですねぇ……』
 と言いつつも、剣戟を継続。
 鋭い太刀筋で、少しずつ削る……が、その攻撃をマカロンとミミックがしっかりとカバーリング。
 二体をしっかりえにかが回復に注力することで、戦線崩壊しない様に立ち回る。
 そして……残る仲間達が、確実にワイルドハントの彼女へと攻撃し、削り続け……十数分。
『はぁ、はぁ……っ……』
 と、流石に苦しそうになったワイルドハントの彼女。
「そろそろ、かなっ?」
 と苺の言葉に皆、頷く。
 そして苺が接近し、その頭上からスターゲイザーの一撃を降り注がせると、迅も。
「さあ、どう捌くんだい?」
 と、笑みを浮かべ『訃報の拳牢』でジグザグ付与。
 そして守人が。
「全力で行かせてもらう!」
 と『風刃+天風殺+』の一閃を叩き込むと……そのまま、地面へと吹っ飛ばされる。
 どうにか立ち上がろうとするが……立ち上がれない彼女。
 そして、ギメリアが。
「ヒメにゃん、力を貸してくれ……!」
 とヒメにゃんに言いつつ、二人は連携し、近接……大器晩成撃と猫引っ掻き。
 そして……。
「……これで、仕舞いだ」
 と、エヴァンジェリンが、オウガメタルで腕を覆い、破鎧衝の一撃を叩き込むと……ワイルドハントの彼女は、壮絶な表情と共に……消え失せていった。

●力の牙に
 そして……ワイルドハントを倒した後。
 周りを覆うワイルドスペースは解除され……取りあえず、終わった事に対し、安堵の息を吐く。
「ふぅ……終わった、かなっ?」
 周りを見渡し、状況確認する苺……そして迅も。
「その様だな……無事に任務達成、と。皆、本当ご苦労様だ、な」
 と笑みを浮かべ、仲間の奮戦を労う。
 ……何はともあれ、これで一つのワイルドスペースは介助された。
 まだ、他にも幾つものワイルドスペースがあるが……それは、自ずと結果は出ることだろう。
 それに……自分達の所に現れなかった、オネイロスの幹部の動向も気になるところだが……。
「……ま、取りあえず一度戻ろうか?」
 と、エヴァンジェリンの言葉にトウマが。
「そうだなァ……ま、ワイルドスペースが無くなったここに、もう用はねェしよ」
 と頷き……そしてケルベロス達は、仲間達の健闘を祈りつつ、帰路につくのであった。

作者:幾夜緋琉 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年11月15日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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