●
とある廃村。元の秋の色合いに彩られていたはずの色はくすみ、どろどろのモザイクに覆われた領域が存在する。
いわゆるワイルドスペースと呼ばれる空間である。
その中に一人のウェアライダーの青年と思しき人影があった。黒い狼耳に尻尾、首に黄色の布をマフラーのように巻いている気だるげな青年。傍らには顔を砂嵐のようにしたテレビウムがいる。
「これが、ハロウィンの魔力か。この力があれば、このワイルドスペースは濁流となり世界を覆い尽くす事すら可能となるだろう」
ケルベロスとやらが、ワイルドスペースをいくつも潰しているという話だが恐れるに足らぬ、と手に持つ本を諳んじるような口調で呟く。
「あの『オネイロス』を増援として派遣してくれた『王子様』の為にも、必ず、この『創世濁流』作戦を成功させないとならない」
絶対に成し遂げる、とそのワイルドハントは一人時を待っていた。
「みんな、ハロウィンが終わったばかりだが緊急事態だ」
集まったケルベロス達に雨河・知香(白熊ヘリオライダー・en0259) が慌てた様子で説明を始める。
彼女曰く、ドリームイーター最高戦力であるジグラットゼクスの『王子様』が、六本木で回収したハロウィンの魔力を使って『創世濁流』という、恐るべき作戦を開始したんだ。
「この計画が実行されれば日本全土をワイルドスペースで覆い尽くされる。そして現在、日本中に点在するワイルドスペースに、ハロウィンの魔力が注ぎ込まれて、急激に膨張を開始している」
このまま膨張が進むと近隣のワイルドスペースと融合し爆発的に拡大、日本全土が一つのワイルドスペースに覆われてしまうと知香は語る。
「しかし、幸いにもケルベロス達がこれまでに多くのワイルドスペースを破壊しているから今のところ膨張はそこまででもない」
だから今のうち、対処できるうちに各地のワイルドスペースに入り、中にいるワイルドハントを撃破してワイルドスペースを破壊してきてくれ、と知香は告げた。
「ワイルドスペースはモザイクに覆われていて、不思議な感覚にはなるが戦闘に支障はない」
元々そこにあったのは廃村で、明るさや広さは問題ない。
「ワイルドハント自身については黒狼の人派ウェアライダーに似たの姿をしている。手に持った本……台本か? そこから文字やモザイクを出現させて、それで妨害を中心に攻めてくるようだ」
あと傍らにテレビウムのような何かがいるが、そいつはワイルドハントの一部のようで、時々本体の代わりに砂嵐を顔に映して攻撃してくるのだと知香が説明する。
「それから注意が必要なのは『オネイロス』という組織から援軍が来ている。こいつらが加勢してくるから厳しい戦いになるだろう」
ただそちらの撃破の有無はワイルドスペースに影響しないため、不利ならワイルドハントを倒してワイルドスペースの破壊だけを目指すのもありかもしれない。
それから、と知香が付け加える。
「特に重要なワイルドスペースには今回の作戦の中核を担う幹部が来る可能性がある。戦闘力は高いが、うまく倒せれば今後の作戦を有利に運べるかもしれない」
ただし、両方撃破は不可能だろう。現れた場合どちらを優先するか予め決めておくのがいいだろうと知香が補足した。
「ワイルドハントに謎の『オネイロス』の兵士……普段より厄介な戦いになるかもしれない」
しかしこれまでケルベロスが地道にワイルドスペースを破壊し続けてきた結果、阻止できるチャンスが生まれたのだ。
だから何とかこの機会を掴み、日本を守って欲しいと知香は締めくくった。
参加者 | |
---|---|
桐山・憩(レプリカントのウェアライダー・e00836) |
落内・眠堂(指括り・e01178) |
アルケミア・シェロウ(トリックギャング・e02488) |
浦戸・希里笑(黒蓮花・e13064) |
神山・太一(かたる狼少年・e18779) |
富士野・白亜(白猫遊戯・e18883) |
ヨミ・カラマーゾフ(穢桜・e24685) |
カルマ・プレンダーガスト(ヴァルキュリアの鹵獲術士・e35587) |
●混濁の中の黒
八人のケルベロス達が侵入したその空間は狂気的な色彩に満たされていた。そしてその空間に、一人のワイルドハントが佇んでいる。
どこか気だるそうな雰囲気のぼさぼさした黒髪に黒い狼の尻尾、そしてどことなく神山・太一(かたる狼少年・e18779)に似た面影のあるその姿は、太一の求める『自分を救って命を落とした兄』そのもの。
(「姿だけ、だけども……」)
怖い、と思いかけた太一の手を引っ張る感触、その先には黒狼の首に巻かれたそれによく似たポンチョを纏ったテレビウムのてっくん。
(「……弱気になっちゃいけない」)
狼の刻印が施された飴色の手袋に包まれた手に、リボルバー銃をぎゅっと握り込み気持ちで負けないように太一が自分に言い聞かせる。
「今回は一人じゃないんだね……王子様か」
幾度となく感じた予兆。大事が起こりそうな、そんな嫌な感覚を覚えながら、浦戸・希里笑(黒蓮花・e13064)はこの領域を支配するワイルドハント、そしてそれを護るように現れたハートのトランプ兵の姿を見やる。
(「これ以上のワイルドスペースの拡大は防がないとね」)
「援軍、援軍ね。いいじゃん、燃えてきた」
普段のスターペイントは狐面に隠し、闘志を昂らせる少女はアルケミア・シェロウ(トリックギャング・e02488)。
「ふん、王子様だか何だか知らないが不穏な奴は殴って吹っ飛ばす、簡単だな」
白猫のウェアライダー、富士野・白亜(白猫遊戯・e18883)もそっけなくそう言うと、オーラを展開する。
「あわわわ、今回強敵二人もいるみたいでちょっと緊張します!」
一方で、二体のドリームイーターの姿を前に、カルマ・プレンダーガスト(ヴァルキュリアの鹵獲術士・e35587)は不安を隠せない。
(「始まる前にアルケミアから私のサーヴァント、なんて冗談言ってもらえて緊張はそこそこほぐれたけど」)
やっぱりちょっと怖いし、緊張する。強敵を相手にヨミ・カラマーゾフ(穢桜・e24685)も内心やや弱気になっている。幹部がいないからマシではあるけれども、怖いものは怖い。
(「それでも、次に繋がる戦いだし、ね。頑張らないと」)
食い止めなきゃ、と自分に言い聞かせ、ヨミが二体の敵をしっかりと見据える。
『ケルベロスか……まさか探り当てられるとは』
どこかエフェクトのかかったような奇妙な声でドリームイーターが言葉を紡ぐ。
「ひとのモン勝手に奪ってんじゃねえよ」
例え少年の中に眠る『もう一人』の姿をしていようとも、偽物が我が物顔で騙る姿には落内・眠堂(指括り・e01178)は敵意を隠さない。援軍だのオネイロスだの、厄介者まで引き連れて人々へと害をなそうとするドリームイーターの行動にはそれ、あるいは殺意しか湧かないのだから。
『この作戦の邪魔はさせない、それが役割なのだから』
「悪いが作戦は成功しない」
ワイルドハントの言葉を、悪人面のレプリカントの女が遮る。
「何故なら――テメェらは悪で、私達が正義だからだ!」
そう宣言し、戦闘態勢を取るのは彼女は桐山・憩(レプリカントのウェアライダー・e00836)。愛猫のエイブラハムも黒毛の気品のある佇まいから翼を広げ、主に続く。
これ以上は語る言葉もないと判断したか、ワイルドハントが手の中の本を開き、文字列を出現させる。それに合わせトランプ兵が武器を構える。
戦闘が、始まった。
●混沌の領域
「ハロウィンの魔力、あんま減らせなかった分の落とし前はキッチリつけるとしようか!」
アルケミアが呪言の紙をトランプ兵の周囲に展開、そこから内側へと炎弾を放つ。かなりの火力ではあったが、トランプ兵は何事もなかったかのように己の体へとモザイクを広げる。
(「ディフェンダー、ね」)
援軍から狙うという方針上、後衛で援護に徹せられるとやり辛くあったがこれならば範囲を気にする必要はない。
希里笑が展開したオウガ粒子が前衛のケルベロス達の感覚を鋭敏にする。その加護を得た彼女のライドキャリバー、ハリー・エスケープがうなりを上げてトランプ兵へと炎を纏い突撃。
少し遅れてカルマもオウガ粒子を展開する。
(「どうか、上手くいきますように」)
内心の不安からは想像もできないような、ヨミの流星の如き勢いの飛び蹴りがトランプ兵の胴へとめり込み、続けて太一が精神を集中させトランプ兵を爆破、続けててっくんがピコハンで頭部に追い打ちをかける。
「まだ、逃さない」
太一の爆破と同時に眠堂が指先の護符を手放し陣を展開、召喚された雷獣は雷を纏った爪でトランプ兵を正確に切り裂く。
ここに来て黒狼が何事か呟き、モザイクの塊を空中に召喚、それを操作し攻撃しようとするが、
「ハッ、雑魚が。私ひとり倒せねぇのか?」
憩が思い切り見下した笑みでワイルドハントを嗤い挑発。グラビティが込められたその挑発に気を悪くしたのか、モザイクをを憩へと降らせる。主が負った傷にも慌てずエイブラハムが翼を羽ばたかせ清らかな風を送る。
「ハロウィンパーティーの続きと行こうか!」
白亜が蜂蜜色の地獄の炎で小さな猫の群れ作り出し、黒狼に向かって突撃させる。しつこくまとわり付く猫達は黒狼を引っかき噛み付き、その動きを妨害しようとする。
それを見たトランプ兵がモザイクを黒狼へと飛ばし、ケルベロス達が付与した呪縛を解除する。その動きに二体の様子を注視していたカルマが僅かな違和感を抱くが、己のやるべき事を優先、周囲の仲間へとオウガ粒子を展開する。
「砂嵐がくる!」
その直後、テレビウムの動きを警戒していたアルケミアが、黒狼の傍にいるテレビウムののモニターに変化が現れたことを察知し警告。直後、空間に砂嵐のようなノイズが走り、黒狼に接近していたケルベロス達の全身に肌を掻き混ぜられるような痛みが襲う。
即座に希里笑がステップを踏み、花びらのオーラを前衛へと降らせ前衛を襲う痛みを和らげ、呪縛を解除する。
(「大きな衝突で被害が無し、なんて事は当然なかった」)
また誰かが傷つき倒れるような事が起こるのだろう、と希里笑は思う。でも、だからこそ、せめて少しでも助かる様にと願い、傷を癒し続ける。
数分が経過する。
トランプ兵は消耗しているが倒れるには至らず、黒狼はそれほど消耗もしていない。
「そっち見てんじゃねえよ!」
チェーンソー剣を唸らせ憩が黒狼へと切りかかるものの、黒狼の手の台本より飛び出した文字の塊に防がれる。普段であれば防がれなかっただろうが、かけられた重圧でやや鈍らされている体では上手くいかなかった。
黒狼の単体攻撃を惹き付けようと憩は攻撃を続けているが、トランプ兵の妨害や回復で気を惹き続ける事ができない。同じく黒狼の抑えを受け持っている白亜との連携も微妙に繋がらず、内心焦りを抱く。
同じく白亜も付与したパラライズが解除されていく為、トランプ兵への攻撃へと切り替える事ができない。ジャマーとして付与できるバッドステータスの個数は多いものの、その分一回のキュアで解除される個数も増える。目標とする個数が多ければ多いほど、妨害はされやすくなってしまう。
強力な敵を妨害し、その間に弱い側から狙うのは有効な手段だ。しかし、このトランプ兵の目的はワイルドスペースの維持、つまりワイルドハントの生存。自分が犠牲になろうと最後に空間の主が立っていればいい、そんな目的意識は自身による攻撃を放棄させ、傷の治癒と護衛へと駆り立てる。
「威力を落としても攻撃自体をしてこないんじゃ……!」
太一の攻撃はトランプ兵の体力を削れども、弱体化の効果は薄い。
護り手たるカルマも憩やサーヴァント達と連携をとり味方を庇いあっている。負傷の酷い仲間にはタロットの節制のカードから魔術を発動、砂嵐が襲ってきた時にはフローレスフラワーズのオーラを用いることで仲間を癒している。しかし、
(「これじゃ間に合わない……!」)
希里笑が前衛の消耗を見て歯噛みする。彼女は攻撃手段を捨て完全に支援に徹しているが、前衛を癒す手段として使えるグラビティはは全て広範囲を癒すもの。ポジションの恩恵を受けた上でも特定の前衛のみへと癒しを集中させる手段がない。サーヴァントのキュアや耐性付与も、それだけではジャマーの苛烈な呪縛へと対抗するには足りない。
そして、黒狼の巻き起こす砂嵐から仲間を何度も庇っているディフェンダー達だが、庇うということは自分が受けるという事。付与率は低くとも、複数回受けた場合はその分危険性は上がる。ましてや放置していると増殖する炎、耐性のある防具をつけていても二倍受ければ意味は薄くなってしまう。
(「これは……俺もワイルドハントの妨害に回った方がいいか?」)
一瞬、眠堂の頭をその考えが過ぎる。しかし、本来の作戦は短期決戦狙い、援軍も倒すと決めている以上、ここで護り手への攻撃の手を緩め、撃破までの時間が延びてしまう方が劣勢に持ち込まれてしまうと思い直し、トランプ兵へと精神を集中、爆破する。
それは致命には至らない。故にトランプ兵はこれまで通りモザイクで傷を修復しようとする。しかし、突如トランプ兵の動きが止まり、それを見た黒狼の表情が歪む。白亜が狙い続けたパラライズ、その一部を受け続け、さらに己の回復を後回しにし続けていたが為に残っていたそれが、このタイミングで効果を発揮したのだ。
ヨミが『春』の魔導書を広げ、そこから緑色の粘菌を召喚してトランプ兵の肉体を蝕む。
「今がチャンスね。――劣者より生み出された怒りよ。慟哭を喰らい、この一撃で報え」
そう宣言したヨミの手元に彼女の心の形を現したかのような鋭い光の欠片が集中、槍の形をとり、トランプ兵を貫く。さらにアルケミアが追撃にかかるが、黒狼がモザイクの塊を展開、アルケミアを攻撃しようとする。しかし、
「任せな。私が死なない程度に守ってやる」
アルケミアに向かった攻撃を憩が受け止める。血は流れてもまだまだ闘志を減ずる程ではない。
「ありがと!」
身代わりに受けてくれた憩への感謝は一言、それだけで十分通じる信頼がある――置いていくと共にトランプ兵へと攻撃、卓越した技量から放たれるアルケミアの一撃はトランプ兵の体内深くへと衝撃を浸透させる。
体勢を整えた眠堂が指先から護符を空中へと離す。燃え散った符に描き出された陣を門として雷獣が飛び出し、爪がトランプ兵を深く抉り弾き飛ばす。攻撃手達の集中攻撃を受け続けたトランプ兵がとうとう限界を超え、その身を崩れ落ちさせる。
「ようやく一体」
次は、お前だと空間の主へとその手の護符を向ける。
●殻を砕く
「そら、猫たちのお通りだ」
白亜の白猫の火群が黒狼を襲う。何度も癒され解除されていたが、最早癒す者はいない。さらにアルケミアが練り上げ高めた魔力を棍に籠め、黒狼に向けて伸ばし真っ向から突く。
黒狼が僅かに顔をしかめながらテレビウムを促すと、砂嵐の動画が流され護り手達を害する。しかも、それが途切れることなく、連撃としてノイズが空間を侵食する。
とっさに動いたのはカルマ。その砂嵐の大部分をアルケミア達の代わりに受け止め守り抜いた。しかしその代償に受けたダメージで膝を折りかける……が、
「紡がれる運命は大アルカナ、節制の正位置!」
ここで倒れるわけには行かない。恐れはある、緊張もある。けれど自分が、ケルベロス達が倒れたら日本が滅茶苦茶になってしまう。そんな未来は許せない――振り絞った勇気がそんな負の感情を乗り越えさせ、カルマの倒れかけた肉体を踏みとどまらせ、節制のカードを用いた魔術を発動させる。穏やかな光は彼の肉体へと調和と活力をもたらし、さらにてっくんが応援動画を流すことで凌駕したカルマの体を覆う大量の砂嵐の呪縛を解除、続いて希里笑が降らせた花びらとエイブラハムの羽ばたいた清らかな風により、憩達を襲った砂嵐のダメージが癒される。
その間攻撃手も黙ってみているわけではない。憩がチェーンソーをぶん回して切りかかり、さらにヨミの放った原罪の聖槍が黒狼を貫こうとするが、いずれも黒狼の本から飛び出してきた文字列に阻まれる。しかしそれは無駄にはならない。
生まれた隙に眠堂が黄金の竜を象ったエネルギー体を召喚、それは黒狼の放つモザイクの液体のように頭上から黒狼を襲い、飲み込んだ。竜の消えた後にはまだ黒狼の姿、けれども全身傷だらけで本体の表情も気だるげなものから、焦りを感じさせるものとなっている。黒狼が何事かを呟くと、まだら色の液体が白亜を圧し潰すように降りかかる。それが彼女を飲み込もうとした瞬間、ハリー・エスケープが白亜を弾き飛ばした。モザイクの塊が落ち切った後には何も残っていなかった。
サーヴァントが消滅しても、希里笑が手を止める訳にはいかない。稼いだその時を逃すことなくヒールドローンを飛ばし、前衛達を癒す。
ここで押し切る、そう判断したカルマが竜の幻影を召喚し炎の吐息を黒狼へと吹き付けさせ、さらに白亜が追撃のエクスカリバールを振りかぶり、黒狼の守りを砕く。
ヨミの流星の如き飛び蹴りが黒狼の頭部を蹴り飛ばす。
「アルケミア、お願い」
「まかされた! 六つ揃えて灰を為せ!」
親友の攻撃にアルケミアが阿吽の呼吸で合わせ、黒狼の周囲に展開されていた呪言の紙から炎弾を射出。守りを貫き、黒狼本体を幾度も灼く。
『……まだだ、目的を遂げるまでは!』
黒狼が本から文字列を大量に召喚、攻撃態勢に入っている太一へと視線をやり、解き放った。
しかしその足掻きは太一を穿つことなく、文字列は憩へと殺到した。どうしようもない怒りが手元を狂わせ、護り手を狙う事を優先させたのだ。その攻撃を受けて血を吐いた憩は倒れず、狂気すら混じった笑みを浮かべ、叫ぶ。
「やっちまえ神山ァ!」
太一が相対するワイルドハントの姿を改めて見やる。その姿は自分を守ってくれた大切な兄の偶像であり、同時に弱い自分への自己嫌悪を示すモノでもあり、そして今はもう失われた存在で。
「キミは何になりたいの? ……サンモンシバイは、終わりにしよう?」
太一が引鉄を引く。弾丸は黒狼の胸を貫き、その弾薬の名に与えられた花言葉通りに終わりを与えた。
●縋る姿を砕いても
「狼の殻を被っても、僕達は、『神山大地』には。……格好いい『狼』には、なれない」
――それでも僕は、地球の人を、皆を守る『番犬』で居続けたいんだ。
ワイルドスペースが消滅し後に残ったのは台本一つ、それを拾い上げ太一が呟く。
「また何か起こるのかな」
ドリームイーター達の大きな動き、それが戦争に繋がりそうな予感を覚えながら希里笑は激戦を終えた仲間を癒す。
ワイルドスペースが消え去った後に残るは異常な色彩ではない、普通の景色。
その勝利の景色を胸に刻み、ケルベロス達はその場を後にした。
作者:寅杜柳 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年11月24日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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