●水面下に広がる謎
一面がモザイクに覆われた領域で。
「これが、ハロウィンの魔力……」
しなやかな黒髪をした女性が、恍惚とした表情で呟く。
「この力さえあれば、妾のワイルドスペースは濁流となって、世界を覆い尽くす事すらできるに違いあるまい……」
ワイルドハントは水色の瞳を虚ろに揺らめかせ、乾いた茸が積み上がったかのような奇妙極まりない風景の中に佇んでいた。
「……ケルベロスとやらが、ワイルドスペースを幾つも潰していると話に聞くが、恐れるに足らぬ」
一見、能面のような無表情に見えたワイルドハントの口元が、醜く歪んで吊りあがる。
「あの『オネイロス』を増援として派遣してくれた『王子様』の為にも、必ず、この『創世濁流』作戦を成功させてやろうぞ……!」
●事態は緊急を要する
「皆さん、ハロウィンのイベントが終わったばかりですが、緊急事態でありますよ」
小檻・かけら(清霜ヘリオライダー・en0031)が、顔を曇らせる。
「ドリームイーターの最高戦力であるジグラットゼクスの『王子様』が、六本木で回収したハロウィンの魔力を使って……日本全土をワイルドスペースで覆い尽くす『創世濁流』という恐るべき作戦を開始したのであります」
現在、日本中に点在するワイルドスペースへハロウィンの魔力が注ぎ込まれており、急激に膨張を開始している。
「このまま膨張を続ければ、近隣のワイルドスペースと衝突して爆発、合体して更に急膨張……最終的に日本全土が、一つのワイルドスペースで覆い尽くされる事でありましょう」
幸い、ケルベロス達の活躍で、隠されていたワイルドスペースの多くを消滅せしめた為、ハロウィンの魔力といえども、すぐさま日本をワイルドスペース化するまでの力は無い。
「皆さんには、急膨張を開始したワイルドスペースへ向かって頂き、内部に居るワイルドハントの撃破をお願い致します」
かけらはぺこりと頭を下げた。
「皆さんがワイルドハントと戦うのは特殊な空間でありますが、戦闘には一切支障なく、存分にお力を発揮して頂けるであります」
黒いレオタードに身を包んだワイルドハントは、浮遊する大きな銀の爪を使って攻撃してくる。
「銀の両手が操るグラビティは、セイクリッドダークネスとジグザグスラッシュにそっくりの効果を持っているであります」
その上、両手そのものをがちりと組んで1つの巨大砲弾のように飛ばしてくる。
強い衝撃のせいで時に行動をしくじらせる可能性のある、理力に優れた魔法攻撃だ。
「また、ワイルドスペースには『オネイロス』という組織からの援軍が派遣されているらしいでありますよ」
オネイロスの援軍は『トランプの兵士のようなドリームイーター』といった外見だが、詳しい戦闘力は不明である。
「援軍は1体のみですが、ワイルドハントと同時に戦うわけでありますから……苦戦は免れないでありましょうね」
先にワイルドハントを撃破した場合はワイルドスペースが消滅、オネイロスの援軍も撤退して戦闘が終了。
反対にオネイロスの援軍を先に撃破すると、ワイルドスペースは維持されるのでワイルドハントと続けて戦う事ができる。
「しかし、その戦いに勝利できなければ、ワイルドスペースを破壊する事自体できなくなるでありましょう……」
かけらはそう補足して、
「多くのケルベロスの皆さんが、地道に調査なさってワイルドスペースを破壊せしめた結果、創世濁流作戦を阻止するチャンスを得られたのであります」
ケルベロス達を彼女なりに激励した。
「皆さんのご活躍を無駄にしない為にも、頑張ってくださいましね!」
参加者 | |
---|---|
ポート・セイダーオン(異形の双腕・e00298) |
テオドール・クス(渡り風・e01835) |
愛柳・ミライ(宇宙救済係・e02784) |
ニルス・カムブラン(暫定メイドさん・e10666) |
ジュリアス・カールスバーグ(山葵の心の牧羊剣士・e15205) |
ダンサー・ニコラウス(クラップミー・e32678) |
フューリー・レッドライト(赤光・e33477) |
クラリス・レミントン(奇々快々・e35454) |
●
ワイルドスペース。
「ようやく妾のワイルドスペースが膨らみ始めた……クク、まこと楽しみでならぬの」
8人が内部へ足を踏み入れた時、ワイルドハントは予知と同じく中央部に佇み、含み笑いをしていた。
(「ワイルドハントがもしもディフェンダーだったなら厄介だが……」)
仲間の暴走姿と瓜二つの背中へ、フューリー・レッドライト(赤光・e33477)が早速激しい蹴りを見舞う。
ローラーダッシュの摩擦によって炎を纏った殲脚『誓約』が、大きな銀環を容赦無くぶっ叩いて火傷を負わせた。
殆ど無表情の強面は威圧感抜群、他人から怖がられる事も多いが、本当は困った人を見捨てられないお人好しのフューリー。
「その姿は、デウスエクスがなっていい姿ではない。早々に砕け散れ……!」
だが、仲間や罪のない人々を傷付ける者へ対しては普段の物静かな態度から打って変わって、このように激しい怒りをぶつける事もあるのだ。
「……その、なんでよりによって私の姿なんですかね。昔の私が何かしたのか。それとも適当に選んだだけなのか。ワイルドハントの選考基準が本当に謎です……」
ポート・セイダーオン(異形の双腕・e00298)は当然ながらというべきか、ワイルドハントが自分の暴走時とそっくりな見た目をしている事に、戸惑いを隠せないでいた。
しなやかな藍色の髪と澄んだ青い瞳を持つレプリカントの少女。
大人しい雰囲気に反して、意外と豪快な攻撃を好むのは、その巨大な両腕あってこそか。
燦然と輝く黄金爪の生えた巨大な手が何より目立つ、元ダモクレスのブレイズキャリバーである。
「えっと……では、ともかく殴らせていただきますね。お覚悟」
困惑する心を宥め鎮めて、バトルガントレットを構えるポート。
地獄の炎纏いし黄金爪がワイルドハントの銀の爪を強打して、火の回りをも強めた。
「丁度良い暖じゃ」
ワイルドハントが銀の爪に疾った亀裂を一瞥し、そう強がってみせる奥から。
「……」
長い長い槍を右手に携え、ハートのスートも鮮やかな長方形のアーマーを着込んだトランプ兵が、のっぺら坊のように無機質な表情でモザイクの霧の中より現れた。
一方。
「ワイルドハントやら王子様やら、最近処理がめんどくさそうな者たちが増えてきましたねえ……」
と、考え深げに唸ったのはジュリアス・カールスバーグ(山葵の心の牧羊剣士・e15205)。
アイリッシュコリーらしきふさふさした体毛が強い印象を残すウェアライダーの青年だ。
「ま、事此処に至ってウダウダ考えるのは無しです。鈍るだけですからね」
何より食事が楽しみという根っからの食道楽だが、自ら包丁を握る事もあるそうな。
「さて、頭が幸福な王子様から私たちがまず奪うものは、貴方の命となりますか」
ジュリアスは、勢いよく回転させた簒奪者の鎌を投げつける。
「割と好みのタイプかもしれませんが、まあ、仕方ないですね。御覚悟を」
鎌の刃がトランプ兵の大きなアーマーと両腕を一遍にガリガリと斬り刻み、両腕による堅い守りをも崩した。
「『創世濁流』……ここ最近のドリームイーターさんの活発な動き、全てはこの作戦の為だったという事でしょうか」
ニルス・カムブラン(暫定メイドさん・e10666)もまた、日本全土を飲み込むという恐ろしい作戦を考えると、やはり複雑な表情にならざるを得ない。
赤いリボンを結わえたポニーテールと澄んだ翠色の瞳が可愛い、ドワーフのメイドさん。
「作戦が齎す幾多の悲劇……その未来を覆す為に、挑みましょう」
ライドキャリバーのトライザヴォーガーを駆る、真面目で責任感の強い鎧装騎兵である。
「貴女方も生存の為に必死なのでしょう……けど、協和を捨て略奪を選ぶ以上、悲しいですが私達はこれを打ち破るまでです」
ニルスはいつものようにワイルドハント達へ一礼したのち、ジャキッとバスターライフルを構えて。
——ドォォォン!!
大地をも断ち割るが如き強烈な一撃を、トランプ兵の膝へ撃ち込んだ。
トライザヴォーガーも内蔵ガトリング砲を乱射、ワイルドハント達へ威圧感を与えている。
「躾のなっとらん闖入者よの。妾のワイルドスペースで好き勝手に暴れよってからに」
ワイルドハントは、忌々しげに舌打ちしてから、
「まぁ構わぬわ。直に此処は今以上に大きさを増す故にな」
宙に浮いた左手でジュリアスを引き寄せるや、彼の腹部へ右の拳を力任せに叩きつけ、激痛を齎した。
「ぐはッ!?」
思わず悲鳴を上げて脇腹を抑えたジュリアスだが、
「全く良い物をお持ちで。もっと早急に撃破しなければ不味いかもしれませんね」
呟きにはどこか余裕が感じられる。
——ザッ!
オネイロスの援軍たるトランプ兵は、槍を両手で構えて突撃してきた。
「危ない!」
すかさずフューリーがポートを背中で庇い、ハートの穂先に貫かれた。
(「私は、歌うのが好きだ。歌を聞いてくれる人は、もっと好きだ」)
愛柳・ミライ(宇宙救済係・e02784)は、聴衆への隣人愛なのかそれとも自己愛なのかとにかく想いの深さを再確認していた。
かつては治らない病気や理不尽ないじめに悩んでいたオラトリオの少女。
生きる罪を肯定する歌に出会ったのをきっかけに電波なアイドルを始めた、高校デビュー系ミュージックファイターである。
(「……歌を聞いてくれる人が倒れるのは、辛いから。私が前に出れたらいいのだけれど」)
今は、歌わなくちゃ。歌うのを、やめちゃいけないんだ。
ミライは攻撃に出たいのをグッと堪えて、『KIAIインストール』を熱唱。
願望こそ人類の原動力たることを証明する歌が、ジュリアスの傷を治癒した。
ボクスドラゴンのポンちゃんもポンちゃんで、フューリーに自分の属性を注入、体力を回復させた。
「オネイロスの援軍にしても、幹部じゃないっぽいかな?」
人懐っこい笑みを浮かべて言うのは、テオドール・クス(渡り風・e01835)。
その瞬間瞬間を全力で生きるのがポリシーという、スイーツと猫が大好きなサキュバスの男性。
社交的かつ友好的な性格で笑顔が武器と豪語するも、その実、喪う事と嫌われる事を酷く恐れる根暗が本性。
内心は、人と話しているといたく安心するそうな。
「ま、どちらにしろ、まずは防御を削ぎたいところだよね!」
テオドールはすぐに真剣な目つきとなって、ドラゴニックハンマーを振り下ろす。
『砲撃形態』に変形したハンマーの頭から竜砲弾が撃ち出され、トランプ兵の平べったい胴体に大きな風穴を開けた。
他方。
「あなたの相手はダンがしてあげる。その間に倒しちゃうかも?」
ダンサー・ニコラウス(クラップミー・e32678)は、集中攻撃の対象外である敵の牽制役を買って出て、ワイルドハントの前に堂々立ちはだかった。
金の髪と褐色の肌が異国情緒を漂わせる、トナカイのウェアライダーの少女。
踊る事と祈る事が大好きで、その奇怪な踊りは殆ど誰の理解も得られず、遂にはミュージックファイターに覚醒した過去を持つ。
そのぼんやりした見た目通り——とでも言うべきか、アンニュイな一面もあるようだ。
また、去年のハロウィン以来、物言わぬストーカーもといシャーマンズゴーストに悩まされているらしい。
「そこでカメラ構えてるストーカー、行くよ」
とはいえいざ戦闘ともなれば、後ろの方にいたストーカーとぴったり息を合わせて、攻撃を仕掛けるダンサー。
禍々しい惨殺ナイフの刀身へ、ワイルドハントが密かに忘れたいと思うトラウマを映し、それを具現化してけしかけた。
ストーカーはその細っこい手の上に原始の炎を召喚。
ワイルドハント達へ次々とぶつけて、火傷を負わせるべく奮闘した。
「ひとの暴走した姿を借りて悪事を働くだなんて、あまりにも馬鹿にしてるんじゃない?」
ワイルドハントの所業を静かに非難するのは、クラリス・レミントン(奇々快々・e35454)だ。
顔の下半分を覆ったガスマスクと、真っ黒な上着のフードを被った風体が、なかなかの怪しさを醸し出しているシャドウエルフの少女。
幼い時からずっと鬱蒼とした森の中で暮らしてきた為に汚れた空気や強い日差しを好まず、かような格好をしている。
「援軍諸共、相応の結末に導いてあげる。覚悟して」
口数少なく表情の変化も乏しいが、決して無感情じゃないようで、ただの人見知り故に感情を表現するのが不得手なのだろう。
「王子の悪巧みごと、撃ち抜いてやる。……当たれ!」
クラリスは、愛用のリボルバー銃で素早く狙いを定め、強く念じる。
目にも止まらぬ速さで飛んだ弾丸は、吸い込まれるようにトランプ兵の槍に着弾、その穂先を撃ち砕いた。
●
「そうそう時間をかけてもいられん。援軍に来た事を後悔するんだな……!」
鉄塊剣『激昂』の真紅の刀身を軽々と振り抜くフューリー。
熟練した一閃は余計な動きの一切が削ぎ落とされ、重そうな見た目に反した流れるような所作でトランプ兵の胴体を斬り裂き、凍てつかせた。
「さっさと音を上げていただいたほうが、此方としても楽に仕事が終わって良いんですけどねえ」
ジュリアスがいささか億劫そうに言い放つ。
空の霊力帯びし簒奪者の鎌で斬りつけ、トランプ兵の腹の傷を容赦なく抉り広げた。
「判断するには、まだ材料が少ないでしょうか……でも何となく、斬撃より魔法の方が効きづらいような」
ニルスは、ワイルドハントやトランプ兵がグラビティを喰らう様子を懸命に観察して、自分がどのグラビティを放てば効率的にダメージを与えられるか考えていた。
その上で、Dwarven Hammer Ver.Busterからエネルギー光弾を射出、トランプ兵のグラビティを中和して弱体化させる。
トライザヴォーガーも車体に炎を纏って突進を仕掛け、トランプ兵に更なる火傷を残した。
「まだ腕が銀だった頃、懐かしいようなそうでないような。あまり覚えていないので何とも言えませんね……」
ポートはそんな風に胸中を吐露しつつ、両肩より現れたミサイルポッドを向ける。
放たれた大量のミサイルが一気にトランプ兵とワイルドハントへ降り注ぎ、爆炎へと変わった。
「そろそろオイタが過ぎるとは感じぬか?」
と、怒りの為か却って猫撫で声になるワイルドハント。
「創世濁流の素晴らしさも理解できぬ小童めが」
ガチッと組んだ黄金の両手を、巨大砲弾のように跳ばしてきた。
「ダンとストーカーを簡単に突破できるとは、思わないこと、ね」
すんでのところで、ダンサーがミライの代わりに砲弾を受け止め、強い衝撃に全身を震わせる。
トランプ兵は槍をくるくるとバトンのように回して、ハートの火炎弾を乱射。
次はストーカーがニルスを守って、身体中を焦がす炎の熱さに耐えていた。
「……悪夢からはいい歌は生まれないのです。こんな手段で、良質のドリームエナジーは集まらないと思いますけど、ね!」
強い口調でワイルドハントへ言い放つや、クッキーちゃんからオウガ粒子を振り撒くのはミライ。
キラキラと光る粒子を浴びせて前衛陣の傷が癒すと共に、超感覚まで覚醒させた。
ポンちゃんも変わらず属性インストールに集中、ダンサーの治療を手伝っている。
(「……今だ!」)
ずっと機を伺っていたテオドールは、トランプ兵の死角へ音もなく回り込む。
背後から肉薄した刹那——奴の急所へ視線を走らせ実に正確無比な狙いを定めて、ズブリと愛用のナイフを突き刺した。
「〜〜〜っ」
トランプ兵は頭からパタリと前に倒れて、暫く地面を掻き痙攣する内に、二度と動かなくなった。
「残るはあなただけ、ね」
バスターライフルの長大な砲身から、魔法光線を照射するのはダンサー。
——ズオッ!
視界を白く染める光の帯がワイルドハントを一気に飲み込んで、ズシリと重い威圧感を与えた。
ストーカーも粘着対象の意思に忠実に、非物質化した爪を振るってワイルドハントの霊魂を引っ掻いた。
「——退いた、退いた」
次いでクラリスが低く恫喝するなり、彼女の影がぬるりと蠢いて、雑じり気のない真っ黒な一匹の猫のシルエットを象る。
「にゃあ」
一声鳴いた猫は相手の足元目掛け駆け出して、ワイルドハントへ大きな災いを齎した。
戦いは続き、ワイルドハント1人だけを相手取る気安さはなく、苛烈さを増していく。
「まだだ……この命が有る限り、俺は止まらない……!」
フューリーは黄金爪砲弾を真正面から受けた痛みに喘ぎながらも、鉄塊剣『赤光』を杖代わりに身体を支える。
再び剣を構えては相手の懐へ飛び込み、達人の域に到った剣技で胸を斬り裂いた。
「此処までは順調……ですかね? 後は押し切れるか否か」
簒奪者の鎌を巨大な刀剣へ変形させる最中に、強烈な突きを見舞うのはジュリアス。
不安定な状態のヨーツイブレードを強引に伸ばす事で、ワイルドハントの心臓部をしっかり狙い澄まして射し貫いた。
「Schiessen wie der Blitz!」
ニルスはいつもの詠唱を行って、Tor Roarを電磁加速砲撃形態に変形。
Dwarven Hammer Ver.Busterの銃身を接続部に挿入、可変式電磁加速砲『ミョルニールレール』の砲弾を、電磁誘導による加速を乗せてぶちかました。
トライザヴォーガーはガトリング掃射で主を援護している。
「どんなに願っても 涙は枯れはしない ゼロを1に変える魔法が 生まれたときから君に掛かってる」
ミライとポンちゃんは、変わらず皆の怪我の治療に専念、お陰でフューリーを始めとした前衛陣も継戦できた。
「……早撃ちなら、負ける気しないけど」
ワイルドハントの猛攻に負けじと、地面へリボルバー銃をぶっ放すクラリス。
跳ね返った弾丸でワイルドハントの肩を死角から貫いた。
「ナイスだクラリス!」
気分が高揚したテオドールも後に続こうと、フェアリーブーツの足で星型オーラを蹴りつける。
理力の籠った星の鋭角は、ワイルドハントの額へ見事に突き刺さった。血のように流れ出すモザイクが不気味である。
「ここが踏ん張りどころかも」
ダンサーはバスタービームと惨劇の鏡像を交互に撃ち出して、順調にワイルドハントの体力と精神力を削っている。
それは、暇さえあればダンサー相手にカメラのシャッターを切っているストーカーも同じだ。
「これでも、昔より腕力を鍛えたつもりなのでっ……!」
ポートは異形の両腕から破壊の嵐を繰り出すと、
「崩れる。壊れる。砕ける。消える。無常の理、其の身に受けて……!」
自分と同じ見た目の身体を切り裂いては引き裂き、叩き潰しては打ち砕いて、
「いかん……妾のワイルドスペース、ワイルドスペースが……!」
最期までワイルドスペースの事しか頭になかったワイルドハントへ、遂に引導を渡した。
「さっさと撤退いたしますか」
さっぱりした顔でジュリアスが呟いた。
作者:質種剰 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
|
種類:
公開:2017年11月15日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|