●偽りの黄金
そこはかつて遊園地として愛され、廃園となってからも廃墟愛好会に愛される地だった。
寂れたテーマパークを覆うモザイクの海で少女の高笑いが響く。
「あっははははははははははは!! これが、これがハロウィンの魔力か!」
この内側から満たされていく感覚――この力さえあれば!
「我がワイルドスペースは濁流となり、世界を覆い尽くす事すら可能となるに違いない!ケルベロスがいくつか潰したところで、なにを恐れる必要があろうか?」
寂れたアトラクションが混じり合う世界を見上げ、黄金の鎧をまとう少女は不遜な笑みを浮かべる。
一種の昂揚を感じているのか、こみ上げる笑いを抑えきれない様子だった。
「ああ、そういえば『オネイロス』を増援として『王子様』が派遣してくるのだったか。我が領域に踏み入る不敬は万死に値するが、これも『創世濁流』作戦のため。存分にその手腕を奮わせ、成功させてくれよう……あはっ、はははっ!あーっはっはっはっはっはっはっは……!!」
「皆様! ハロウィンのイベントが終わったばかりですが緊急事態ですわよ!」
慌てて駆け込んできたオリヴィア・シャゼル(貞淑なヘリオライダー・en0098)の様子に、ケルベロス達も緊急性の高さを直感する。
「ドリームイーターの最高戦力ジグラットゼクスの『王子様』が、六本木で回収したハロウィンの魔力を使おうと行動を開始しました――日本全土をワイルドスペースで覆い尽くす『創世濁流』作戦ですわ」
現在、日本中に点在するワイルドスペースに、ハロウィンの魔力が注ぎ込まれているらしく、急激に膨張を開始しているらしい。
「このまま膨張を続ければ、近隣のワイルドスペースと衝突して爆発・合体してさらに急膨張し、最終的に日本全土を一つのワイルドスペースで覆い尽くす事になりましてよ」
幸いにもこれまでの活躍で被害の拡大を食い止められている、とオリヴィアは前置きする。
「皆様が隠匿されていたワイルドスペースの多くを消滅させていたため、ハロウィンの魔力といえど、すぐさま日本をワイルドスペース化するまでの力はありませんの。息つく暇もないのですが、皆様には急膨張を開始したワイルドスペースに向かって、主たるワイルドハントの撃破をお願いします」
ワイルドスペース内は粘性の液体で満たされた特殊空間だが、戦闘に支障が出ることはなく、これまでの異空間と変わりない。
「ワイルドハントは黄金の鎧をまとっており、おそらく篁・悠(暁光の騎士・e00141)様の暴走した姿でしょう。両手の暗黒剣を鞭のように伸ばして攻撃してきますわ。二刀ケルベロスチェインでしたらイメージしやすいでしょうか」
オリヴィアが予知で確認した情報はワイルドハントだけではなかった。
「ワイルドスペースには『オネイロス』という組織からの援軍が派遣されているらしいですわ。『トランプの兵士のようなドリームイーター』のようですが、詳しい戦闘能力は不明ですわよ。幸いにも援軍は1体のみとなります」
つまり領主のワイルドハントと、援軍であるオネイロスのドリームイーターと同時に戦うことになる。これまで以上の厳しい戦いになると予想される。
「重要なのは『ワイルドスペース』の消滅ですわ。ワイルドハントを先に倒せばワイルドスペースは消失するため、援軍も撤退していきます。 仮にオネイロスの援軍を先に倒しても、ワイルドスペースは維持されるため、ワイルドハントに勝利できなければワイルドスペースを破壊することが出来なくなってしまいます」
特に重要と思われるワイルドスペースは『オネイロスの幹部』と思われる強力なドリームイーターが出現する可能性も高い、とオリヴィアは指摘。
「幹部は強敵ですが、今回の作戦の中核戦力であるオネイロスのドリームイーターを撃破することが出来れば、今後の作戦も有利に運べるかもしれません。幹部と遭遇した際は幹部の撃破を狙うか、ワイルドスペースの破壊を優先するか、意思を統一しておくことも重要になるでしょう」
ただし『一兎を追う者は二兎をも得ず』と言う。中途半端な作戦では、どちらも撃破できず、撤退を強いられる可能性も高い。
全員の方針統一は重要だとオリヴィアは念押しする。
「アリス・パーティ四姉妹も『オネイロス』の精鋭という情報がありましたが、彼女達の実態も不明点が多すぎましたわ。幹部の存在が気になるかと思いますけれど、現地調査する余裕はありません」
ドリームイーターの野望を阻止するために、まずワイルドスペース問題を解決していきましょう、とオリヴィアは締めくくる。
参加者 | |
---|---|
篁・悠(暁光の騎士・e00141) |
水守・蒼月(四ツ辻ノ黒猫・e00393) |
八王子・東西南北(ヒキコモゴミニート・e00658) |
アーティア・フルムーン(風螺旋使いの元守護者・e02895) |
神白・煉(死神を追う天狼姉弟の弟狼・e07023) |
ハインツ・エクハルト(光を背負う者・e12606) |
天変・地異(正義の極道・e30226) |
津雲・しらべ(さっぱりしました・e35874) |
●黄金の嵐は鍍金の中で嗤う
ヒーローにとって偽物とはある種の宿命。
篁・悠(暁光の騎士・e00141)は突入前に最終決戦形態に姿を変えた。
彼女の姿を模した悪党に立ち向かうのは、これまで彼女と縁あった者達。
「何だか凄い事になっちゃったね~……」
ワイルドハント大量発生という異常事態に水守・蒼月(四ツ辻ノ黒猫・e00393)は動揺を禁じえず、膨張し続ける巨大なモザイクのドームを前に開いた口が塞がらない。
いざ拡大を続けるモザイクの海へ――内部はひっくり返したおもちゃ箱のような、錆だらけのアトラクションを混ぜっ返した異空間が広がっていた。
これ以上ないほどメルヘンとカオスの混在する世界に『王』の高笑いが響く。
「支配者を気取る愚者よ、それは幻想と知るがいい。人それを「敝帚千金」と言う!」
さあ姿を見せろ!
直後、鋭い殺気が走る。 八王子・東西南北(ヒキコモゴミニート・e00658)は頭より先に体が動いた――飛来する黒光の打鞭によって弾き飛ばされる。
「我が領域に無断で踏み入りキャンキャンと、よく吠える駄犬よな」
「ごちゃごちゃうるせぇ!! ……消えてなくなれ、ワイルドハント!!」
姿を現したワイルドハントに、オルトロスのチビ助を率いてハインツ・エクハルト(光を背負う者・e12606)が怒りを叫ぶ。
他のワイルドハントとは幾度も刃を交えてきたが、愛する者を模倣した擬態に憤りを感じずにはいられない。
ハインツの起こす爆風を受けながら蒼月とアーティア・フルムーン(風螺旋使いの元守護者・e02895)が砲撃を開始する。
「自分の時も驚いたけれど、見比べると見た目はよく似たものねぇ……!」
まるで『鏡写し』だと、悠と同じ相貌で邪悪に笑うワイルドハントをアーティアは凝視する。
砲撃を封じるように飛来した赤いペンキ――ハートの描かれたトランプの兵士が、錫杖に似た得物を手に現れた。
幹部クラスではないようだが、鋭敏な動きは『戦闘集団』の名に恥じぬもの。
「燃やされてぇならかかって来やがれ!」
ワイルドハントとの間に立ち塞がるトランプ兵を排除しようと、神白・煉(死神を追う天狼姉弟の弟狼・e07023)が蒼星狼牙棍で乱れ突き、互いの一撃を牽制し合う。
「下っ端とはいえ多少やるか、せいぜい馬車馬のごとく働け!」
縦横無尽に襲い掛かる漆黒の光剣を東西南北とハインツ、チビ助が受け止める中、津雲・しらべ(さっぱりしました・e35874)も九十九式の飾り紐を揺らし、指先から縫合糸を伸ばす。
(「相手の情報が少なすぎて、みんな慎重になってる……けど、誰一人として欠けさせない!」)
援護に走る主人を支援しようと、テレビウムの小金井も応援動画を流し続ける。
賑やかしい声援が響く中で悠が刃を掲げていく。
「ピスケスよ輝け!勇者の戦いに勝利を!」
双魚宮の紋章を描く神雷剣からオーラの横一閃。
距離が遠いワイルドハントまで至らなかったものの、トランプ兵に微細な傷をつけて凍気の浸食を試みる。
「リア充とかマジ勘弁ですけど、友人の格好で暴れるとか迷惑行為ですし?肖像権侵害に無断転載、自作発言も炎上案件なんですよねぇ!?」
リア充憎しは別問題。ネットマナー的にも度し難い! 辛辣な台詞と共に東西南北はトランプ兵に回し蹴りを叩きこむ。
薄っぺらな金属板のように揺れ動くトランプ兵は、錫杖の先をブラシに変えて赤ペンキを広範囲にぶちまける。
粘つく赤い塗料は天変・地異(正義の極道・e30226)の手元も覆った。
「っと、こいつぁ面倒くせぇな!」
(「――主よ、勝利へ導いてください」)
ペンキを振り払い、地異は抜刀と同時に空を絶つ斬撃を放つ。
長柄をバトンのように回して巧みにいなすトランプ兵。その後方から挟みこむように長大なブラックライトの刃が猛威を振るう。
掠り傷から焼けるような痛みが走り、神経が裂かれる激痛が地異達を襲う。
「全然連携とる気がなさ過ぎ、ッ!?」
敵陣を観察しようとするが、後衛まで伸びる黒光が蒼月を傷をつけ、全身を締めつけるような鈍痛が増していく。
相手は友の顔を模した化生。様子見する暇なんぞ与えはしない!
――隙間を縫うように迫る猛攻に、激戦地に立つ現実を身を以て痛感させられた。
「蒼月さん、すぐ治療するから待ってて!」
治療は肉弾戦を繰り広げる前衛を優先しがちになる、激痛に苛まれる煉達をしらべの放つオウガ粒子が包み込む。
しらべの支援で研ぎ澄まされた感覚の中で、ヴォルフガングクラッシャーを変形させた煉がトランプ兵に砲火を浴びせる。
砲撃を浴びながらトランプ兵はペンキと同じ赤薔薇を咲かせ、足元から伸びる茨は地異の前に割り込むチビ助の全身を貫く。
さらに割って入ったワイルドハントの拘束。受け止めたハインツをライオットシールドごと地面に叩きつけ、骨の砕けた鈍い音が響く。
「ハインツ!!?」
「こんなの、大したことねぇ……っ!」
骨が砕けて無事なはずがない、苦悶の表情を浮かべるハインツに悠は叫ぶ。
しかし、膝をついてなるかと黄金の蔓を伸ばし自らの負傷を処置していく。
トランプ兵を優先する間に手隙となっているワイルドハントは耳障りな笑い声をあげた。
「惰弱・貧弱・脆弱脆弱ゥッッ!! 我らの理想郷を阻むとのたまい、この程度か? 茶番にもならんわ!」
「…………その不快な嘲笑、すぐに出来なくしてやろう」
自分と同じ顔で愛しき者を蔑む――悠に胸糞悪いと思わせるには十分過ぎた。
真っ赤な塗料と血にまみれながら改造スマートフォンを振りかぶる東西南北だが、トランプ兵は長柄で受け流し赤薔薇の茨で裂傷を刻みこむ。
「うぅぅぅ、ラミカみたいな体して……これが、オネイロス……!?」
ワイルドハントに気を取られ過ぎたか、あるいはトランプ兵の実力が想定を上回ったためか。
小金井の支援だけでは創傷が塞ぎきらず、東西南北は自由なる者のオーラを自らに纏わせた。
身体を張って援護に回るハインツも治療を補助するが、メディックのしらべとの範囲回復の性能の差が大き過ぎる。
補助効果は付与されるが、ディフェンダーからの複数回復では微々たるもの。戦線を維持するより先に自分の身が保たないだろう。
「星影を疾走する騎士よ、神鳴る光を駆りて、天空を駆け抜け――」
情報回収を試みる蒼月に攻撃し続ける、ワイルドハントに悠が雷槍を構え――、
「群がる闇を燃やし尽くせ!」
投擲と同時に飛び乗る。荷電により加速する雷霆が間近に迫ると、悠が蹴り放つ勢いでさらに加速させた。
超高速の刺突はワイルドハントの肩口を抉り、黄金の鎧に火花が走ると同時に動きが鈍る。
「鈍ったわ! このままトランプ兵を押し切るわよ!」
砲撃と跳び蹴りの一撃離脱を繰り返していたアーティアが大槌に持ち替える。どのみち、トランプ兵を倒さなければワイルドハントに致命傷は与え難い。
蒼月の援護射撃を受けながら、地異と煉がトランプ兵に挟み撃ちを狙う。
「戦闘集団を名乗るだけの腕はあるが、それだけの話だぜ!!」
しらべの放つ薬液がペンキを硬め落とし、切れ味を取り戻した斬霊刀が疾る。
鋭い刺突からの袈裟斬りでトランプ兵の装飾品がハラリと落ちた。
障子を破いたようにめくれる兵士を、煉の獄炎が頭上から飛来し、着地と同時に奥義の構えに移る。
――我が健脚は彗星の如く。我が正拳は蒼き狼の牙と化す!
「これが親父から受け継いだ、俺の牙だっ!」
蒼炎の闘気を纏う拳はトランプ兵のスートを喰い破る。巨大な風穴で燃え盛る蒼炎に呑み込まれ、トランプ兵は瞬く間に消失していく――しかし気を抜くにはまだ早い。
一瞬の隙が生じた煉を触肢のごとき二条の光が迫る。
「やらす、か、よおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!」
接触を阻止しようとハインツが躍り出る。
首筋を締め上げる光の縄はハインツを乱暴に釣り上げ、オブジェと化していた観覧車の残骸へ強かに打ちつけた。
脳が。意識が。世界が揺れる――頭部から溢れる血溜まりの中で膝をつき、戦線離脱を告げるように奮闘していたチビ助も霧散していく。
「駄犬一匹も駆除できぬとは所詮雑兵か」
ワイルドハントの反応は薄いが、不快そうに吐き捨てる態度から上機嫌でないことはわかる。
まだ余力を残すワイルドハントの刃が蛇のようにのたくった軌道で肉薄する。
「遊んでるつもりはないんだけど……っ!」
一分の隙も寄越さない嵐の王に蒼月は御業を招来させる。
雁字搦めにしようと迫る気配を察知したのか、宙に刃を振るってワイルドハントが獣がごとく疾駆する。
「あーイライラします……この後リア充イベが始まってイチャイチャする展開になるんでしょう!? ……こっちは体中痛くて痛くて痛くて痛いんですよぉ!!?」
東西南北もトランプ兵にかなりの手傷を負わされていたが、激情のままに改造スマートフォンを振り回す。――だが、負傷の激しい相手が生じさせる隙を逃すほど甘くない。
「たわけが、見苦しい」
大振りな一撃を鼻先でやり過ごし、暗黒剣で拘束するとジェットコースターの滑走路に擦りつけ火花を散らす。
――『あれ』とは異なるにもかかわらず、通常より難易度が高い作戦に対し心構えが甘かったと言わざるを得ない。
応援動画を流しながら小金井は霧散し、全身の皮膚を焼き裂かれた東西南北の眼鏡をワイルドハントは踏み潰す。
「痴れ者が、駄犬らしく這い蹲っておれ」
「く……皆!あいつは僕とは全然違う、油断するな!!」
嘲るほどの喜劇ですらない――呆れまじりに冷めた言葉を吐くワイルドハント。
苦々しく歯噛みして悠が意識を切り替えるよう叱咤し、アーティアが動く。
(「このままじゃ前衛が押し切られる、確実にいかないと!」)
狙い澄ましたようにアメジストの原石がビームのようにまっすぐ、ワイルドハントの鎧に傷をつける。
煉も砲撃による足止めを狙って砲弾を浴びせ、絢爛豪華な黄金の鎧が砂埃にまみれていく。
砂煙の中から伸びる光が地異の頬をすり抜け、さらに後方――砲撃の構えに入ろうとした蒼月の腹を貫く。
ゴポ、と音を立てて吐血した量から当たり所の悪さを直感させる。
「これで3匹。次は誰が我が刃の供物となるか?」
「ジャスティーンGO!」
足止めに命中率を阻害する効果はない。的確に、着実に潰していくワイルドハントに悠がファミリアを射出し、雷槍の投擲を繰り返す。
「よくも、まぁ次から次へケルベロスの真似事をするなぁ。コソコソせこい真似してないで、本体を出せよ!」
雷槍を捌くワイルドハントに挑発めいた言葉を投げつけ、地異が剣戟に挑む。
「あんたンとこの寓話六塔もパッチワークと同じ逃げ回ってばっかか?」
「――……く、くくくくくくははははははははっ!声高に『自分はなにも知りません』と叫ぶか!駄犬らしい遠吠えよなぁあああ!?」
ワイルドハントは嗤う。
数合の打ち合いで傷が増える危うさより、挑発があまりに滑稽だと傲慢に笑い飛ばした。
煽るどころか、悪辣な物言いで見下され『言葉を交わす無意味さ』を理解できてしまったことに、地異は自分の言動に苛立たしさが募らせた。
相手は人間ではない。
精神構造そのものが全く違う生命体だからこそ、心無い言動で蹂躙し尽くす鬼畜外道の所業を可能にするのだ!!
「みんな、持ち堪えて……!!」
祈りにも似た言葉を吐露するしらべがローブを翻し、間合いを取り直す地異の傷口を縫い合わせる。神経内の伝達信号を阻害するグラビティも除去すると、しらべはオウガメタルに呼びかける。
「品がねぇ粗悪品だな!お前にゃあ捨てられた遊園地がお似合いだぜ!」
「佳き国であろう? お前達が放棄した『夢の跡』だがな、あははははははは!!」
伸びる二本の光をかわしながら煉は武術棍で確実に一打を与えていく。伸びる刃をすり抜け、裂帛の叫びをあげる煉の背後より印を組むアーティアがひらけた射線に踏み込む。
「無に近き空ではない存在よ、虚空の彼方より戦慄を運べ――!」
流れるように組み変え、練り上げた螺旋忍術を一気に解放する――歪曲した音の波球がワイルドハントを呑み込む。
「終わりにしよう、これで!」
ワイルドハントの具足や頬に亀裂が走り、最後の一押しとしらべが光の粒子を解き放つ。
煉の放つ砲弾の合間を縫って地異がバトルオーラを展開――10メートルに及ぶ光のミサイル弾が顕現する。
「正義の拳に砕かれろ!!ジャアアアステイィィスウウゥッ!!」
小柄な少女を素体にしたワイルドハントを容易く呑み込み、はじけるように爆風が周囲を揺るがせた。
「くくっ、ひひひひははははははは……!!」
劣化したビスクドールのようにパラパラと表皮が剥がれ、爆心地の中にいるワイルドハントからモザイクが漏れ出す。
それでもなおワイルドハントは刃を振るう。お前達も道連れだと――!
「朽ちない命じゃこの先を想像できないでしょう? ――さぁ、受け入れなさい!」
既に『死の宿命』から逃れられない、アーティアは不気味に嗤うワイルドハントのヒビ割れた頬を蹴りあげる。
「滅びろ、ワイルドハント! ――星影を疾走せよ!」
悠が裁きの雷霆を放つ。戦神の雷を想起させる、鋭き一槍が荒廃した幻夢世界を飛び立つ。
「神雷ッ!飛翔ッッ!!」
間近に迫りワイルドハントと視線がかち合う。
死の間際に遭っても――自分を模した嵐の王は嘲笑っていた。
神速の雷槍が胸を刺し穿ち、突き穿たれたワイルドハントは笑い声と雷鳴と共にモザイクの海に溶けていく。
「……成敗ッ!」
作者:木乃 |
重傷:八王子・東西南北(ヒキコモゴミニート・e00658) ハインツ・エクハルト(光を背負う者・e12606) 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年11月15日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 1
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