●蒼炎の導き
真夜中の裏路地にて、炎彩使い――青のホスフィンは妖しく笑った。
目の前には蒼い炎に焼かれて死した青年の亡骸がある。ホスフィンが指先で燃え続ける炎を示すとその中からエインヘリアルが生まれた。
「ふふ、なかなか良い見た目にできたわね。やっぱり外見にこだわらないとよね」
「有り難きお言葉です」
青年は元より雑誌のモデルだったらしく、デウスエクスに変貌させられた現在も整った顔立ちをしている。ホスフィンは自分に傅く巨躯の男を見上げて双眸を細めた。
「でもいくら格好良くても見掛け倒しはダメ。ほら、とっととグラビティ・チェインを奪ってきてね。そしたら、迎えに来てあげる」
ね、と片目を瞑ったホスフィンは未だ煌々と明るい繁華街を指さす。仰せの通りに、と頭を下げたエインヘリアルは踵を返して街の中心部へと向かっていった。
そして、暫し後。街は血の色に染まることとなる。
●疾風の刃
炎彩使いが再び事件を起こす。
そのような予知があったと話し、雨森・リルリカ(花雫のヘリオライダー・en0030)はケルベロス達に協力を願った。
「有力なシャイターンの彼女たちは、死者の泉の力を操って炎で燃やし尽くした男の人を、その場でエインヘリアルにする事ができるみたいなのです」
今回、被害に遭ったのは雑誌モデルをしていた青年だ。
仕事を終えて自宅に帰る途中にホスフィンに襲われて死を迎え、エインヘリアルとして蘇ったらしい。彼はグラビティ・チェインが枯渇した状態のようで人間を殺して力を得ようとしている。
急ぎ現場に向かって撃破して欲しいと願い、リルリカは詳しい状況を語った。
青のホスフィンは既に何処かに行ってしまった。そのためケルベロス達が相手取るのはエインヘリアルは一体のみとなる。
「予知では、敵はこの路地裏から現れるようでした。そこで皆さまはこの路地の前に陣取って敵を迎え撃ってくださいです」
敵は武器としてルーンアックスを携えているようだ。
相手は此方がケルベロス達だと分かると力を奪う為に襲い掛かってくる。素早い動作で此方を翻弄するように動くが、全員が協力しあえば怖い相手ではない。しかし、甘く見ると返り討ちに遭うので油断は禁物だ。
「エインヘリアルは生前の人間だったときの記憶も持っているようでございます。ですが、どうやら自分を選ばれた人間だと思っているらしくて、殺人に積極的なのです」
彼は容姿端麗な自分を誇っていたらしく、他の人間は自分より劣る存在だと思っていたらしい。特別な人間だったからこそシャイターンに導かれて勇者になったと思い込んでおり、終始高慢な態度を取ると予想される。
「エインヘリアルになった人はもう助けることが出来ませんです。だから……」
救いは死しかない、と俯いたリルリカはぎゅっと掌を握った。
被害に遭った青年もまた悲しい存在。だが、妙な情けをかけて逃がしてはいけない。必ず彼を屠って欲しいと願い、リルリカは仲間達を送り出した。
参加者 | |
---|---|
クィル・リカ(星願・e00189) |
鬼屋敷・ハクア(雪やこんこ・e00632) |
リティア・エルフィウム(白花・e00971) |
ニケ・セン(六花ノ空・e02547) |
ジエロ・アクアリオ(星導・e03190) |
角行・刹助(モータル・e04304) |
野々宮・イチカ(ギミカルハート・e13344) |
セリア・ディヴィニティ(忘却の蒼・e24288) |
●昏き底で
星も月灯りも遥か遠くに沈む夜。
薄暗く人通りのない路地裏、その向こう側で影が揺れた。
「……来たか」
角行・刹助(モータル・e04304)は夜目を凝らし、人にしては大き過ぎるその影がエインヘリアルだと悟る。行くぞ、と刹助が出した合図にあわせて番犬達は大通りへ向かおうとしている敵の前に立ち塞がった。
「あっちには行かせないよ。残念だけどここより先は通行止め!」
「何だい、君達は」
両手を広げたしろの少女、鬼屋敷・ハクア(雪やこんこ・e00632)はドラゴンくんと一緒に敵を睨み付ける。するとエインヘリアルは訝しげに眉を顰めた。
彼はもう人間ではなく、死した魂がデウスエクスとなった存在。
セリア・ディヴィニティ(忘却の蒼・e24288)は憐れみを覚えそうになったが、目の前の敵から溢れる殺気を感じて気を引き締めた。
「運が悪かった……と貴方は思っていないのでしょうね」
「助からない命というのは悲しいものですね」
セリアの言葉を聞いたリティア・エルフィウム(白花・e00971)は俯き、倒すしかない相手のことを思う。彼女の傍では匣竜のエルレがしかと身構えていた。
「何をごちゃごちゃと言ってるのかな。まあいい、君達の力を奪ってやろう」
対する青年は不敵に笑み、リティア達に斧を向ける。
ニケ・セン(六花ノ空・e02547)は双眸を鋭く細め、殺界を形成して念の為の人払いを行った。傍に控える和桐箱のミミックも臨戦態勢を取っている。
すぐにでも戦いの火蓋が落とされそうな最中、クィル・リカ(星願・e00189)は蒼き花めいた眸に対象を映した。
「奪われた命は哀れと思いますが……、」
「そうするしか道がないのなら、摘み取るのが私達の役目だね」
クィルが零した思いを継ぐように匣竜のクリュスタルスを伴ったジエロ・アクアリオ(星導・e03190)が口をひらいた。
相手は最早、同情の余地など無い相手。そう考えなければならぬ現状、ジエロはクィルの肩にそっと手を置き、自分がついていると示す。
「さあ、僕の糧になれることを喜ぶといい!」
すると先手を取ったエインヘリアルが野々宮・イチカ(ギミカルハート・e13344)を狙い、魔斧を大きく振りあげた。
「狙われているぞ」
「イチカちゃん、危ない!」
「うん、だいじょぶ」
刹助とハクアからの呼び掛けに応えたイチカは身に纏う気を解放し、一閃を受け止める。その瞬間、オーラが心電図めいた形に弾けた。
間近で見た青年は蒼い焔に焼かれてしまったもの。
それならば、きっと――いちど燃えたなら、二度も三度おなじこと。そう考えたイチカは凛と言い放った。
「すくえないものは、しようがない。わたしの火とどっちが熱いか、きめてもらおっか」
●勇者と魂
少女の声が路地に響き、戦いが始まりを迎えた。
真っ直ぐに敵を見据えたクィルは手にした雷杖を構え、強く地を蹴る。
「人々に危害を加える前に、消えていただきましょう」
一瞬で接敵したクィルは杖に巡らせた電撃を勢いのままに叩き込んだ。くーちゃん流石です、と友人を賞賛したリティアは援護にまわる。
「人々の生活を脅かす存在と成るのでしたら、容赦はいたしません。即刻排除させていただきましょう!」
そして、リティアは静けき森の謳を廻らせた。
白い光と清浄な風が戦場に巡る中でエルレも己の属性を仲間に宿す。更に其処へドラゴンくんとクリュスタルスが加わり、匣竜の力が満ちてゆく。
「ふん、勇者として生まれ変わった俺に怖いものなんてないさ」
対するエインヘリアルは高慢な態度を崩さなかった。ハクアは厳しい表情でその物言いに反論する。
「人を傷つけることが勇者のおしごとなんておかしいよ」
速さなら負けないと意気込み、ハクアはひといきに跳躍した。路地の壁を足場にして素早く宙に躍り出たハクアは流星を思わせる蹴りで敵を穿つ。
刹助は殺神ウイルスを生成し、青年を一瞥した。
ドワーフとエインヘリアル。たとえるならば天と地ほどの大きさの違いがあるが刹助は決して怯むことなどない。
「どうやらデウスエクスとしての自覚は充分か」
訳も分からずに殺され、代わりに与えられた宿命を受け入れたのなら大した適応力と順応性だと刹助は敵を評する。そして刹助は鈍い痛みを相手に齎した。彼に次いでニケとミミックが攻撃に入る。
「美人さんにしては心が綺麗でないんだね」
青のホスフィンとやらの行方も気になるけれど、とバスターライフルを構えたニケは光弾を次々と撃ち放つ。ミミックも武装を具現化して対象を深く抉った。
ジエロも好機を逃すまいと駆け、敵の背後に回り込む。刹那、音速を超える拳が敵に見舞われた。
「終わらせてあげよう、悲しきいのちを」
「そうはさせない、俺は選ばれたんだ!」
だが、ジエロの拳を受け止めたエインヘリアルが斧を振りあげ返す。咄嗟にリティアがジエロを庇いに向かい、その間にイチカが敵の眼前に跳躍した。
「選ばれたら? どんなひとだって殺していいって理由になるの?」
ひとってとっても不思議だねえ、と何処か他人事のように呟いたイチカは流れる星の蹴撃で敵の体力を削る。即座に身を翻したイチカは距離を取った。彼女があけた射線をなぞるようにしてセリアが身を滑り込ませる。
「言の葉は紡げても、思いは通わないか……」
それならば口をきけないのと何が違うのか。セリアの青い瞳から焔が揺れ、電光石火の一閃が敵の横腹を貫いた。
迸るセリアの蒼炎に続く形でハクアが幻影竜を喚ぶ。
(「(確かにキミは「選ばれた」のだろうけど、きっとそれは――」)
何かに秀でたからでも、勇者としての素質があったからでもない。思わずむっとしてしまったハクアは言葉に出来る思いを胸の裡に沈め、更なる蒼き炎を迸らせていった。
「クィルくん、ジエロさん、いまだよ!」
一撃を宿し終わった幻影の竜が消えていく中、ハクアは友人達に合図を送る。
それを受けた二人は一瞬だけ視線を交わし、左右別々に駆けた。言葉を交わさずともすぐに解り合えるのは互いをよく識っているから。
「覚悟してください」
「恨んで貰っても構わぬよ。元よりその心算だ」
痛いですよ、と付け加えたクィルと同時にジエロは敵に向けて言い放つ。その瞬間、人竜である彼らの腕が竜鱗を纏うそれへと変化した。
「お前は確かに選ばれた。……だが、決して勇者にではないのだよ」
「情けをかけるつもりは毛頭ありません」
そして、一瞬のうちに二人の連撃が敵を鋭く斬り裂いてゆく。
それが敵を大きく揺らがせたことに気付き、イチカも腕を振りあげた。機械の力を指先に集中させて一気に放つ斬撃は容赦なく標的を傾がせる。
「選ばれた時の炎はあっつかった? でもたぶんねえ、」
わたしの炎のがもっともっと熱いよ、と口にしたイチカは次の一手に向けて揺らぐ炎めいた魔力を紡いだ。
「くっ……うざったいなあ!」
頭を振った青年は斧を掲げ、破壊のルーンをその身に宿す。されどリティアが彼の身体に巡った破剣の力を壊しに回った。
「残念ですが、邪魔をすることが私達のお仕事ですから」
音の速さで放たれた拳が敵の加護を真正面から打ち破り、破壊していく。
其処に隙を見出したらしいドラゴンくんが大きな耳をふわりと広げた。どうやらそれはエルレとクリュスタルス、そしてミミックに呼び掛ける合図だったらしい。
匣竜と桐箱が一斉にわーっと突撃してく姿は愛らしかった。しかし、体当たりで与えられた衝撃はかなり重い。
ニケは薄く双眸を細め、構えた銃から氷閃を撃ち放つ。
「ねぇ、君の今の姿ってホントに綺麗かなぁ。俺には歪んで見えるよ」
苦しむ敵を見遣ったニケは穏やかな口調で語った。するとエインヘリアルは、歪んでいるのはどちらだと皮肉を返す。
其処から戦いは巡り、攻防が繰り広げられていった。
青年は既に人間としての命を終えた者。故に二度目の死は救いであると考え、ジエロはこの手で屠ると心に決める。その思いを肌で感じ取ったクィルとリティアは更なる攻勢を重ねていった。
「ハクアちゃん、いつもみたいにいける?」
「大丈夫。行くよ、イチカちゃん」
イチカとハクアも協力しあって連撃を放ち、徐々に敵を追い詰めていく。
そして、攻撃の機を掴み取った刹助は青年を強く見据えた。
おそらく華やかできらびやかなファッション業界が彼の下地を作ったのだろう。自分を磨き、ライバルと凌ぎを削り合い、キャリアを積み上げた勝者で在り続けなければ全てを失う。それが高慢さを生んだのならば、と刹助は首を振った。
「お前は人狩りを生業に選んだ。俺達は人を護るためにそれを止めるだけだ」
故に存分に力を振るい、人としての人生と未練を断ち切るが良い。
刹助は掌を掲げると、ありとあらゆる糸が銀の煌めきを宿しながら迸った。セリアは仲間達が宿した不利益を更に増やすべく鋭利な刃を敵に差し向ける。
「私も嘗ては選定を担った者の一人……だから、」
――狂える魂に引導を渡さん。
戦士の魂を導く戦乙女としての矜持を抱き、セリアは刃を振り下ろした。
刹那、エインヘリアルが傾ぐ。その姿を見て仲間達は確信した。この戦いの終わりはもうすぐ訪れるのだ、と。
●彼の最期
失った命は取り戻せない。
たとえ番犬の力を以てしても生死は覆せないもの。そう知っているリティアは魔力を纏い、白い花を想わせる翼を広げた。
「情けはかけません。せめて苦しみ少なく逝けるように――!」
路地の合間、夜空に飛翔したリティアは敵の頭上から凍結の弾丸を放つ。同様に地上からはエルレが癒しを放って皆を支えていた。イチカと並び戦うハクアもドラゴンくんに最後まで仲間を支えるよう願い、竜槌を強く握る。
「ひんやり凍って!」
次の瞬間、生の可能性を奪う冷たい一閃が敵を大きく穿った。だが、それを受け止めて耐えたエインヘリアルが反撃に入る。
「こうなったら一人だけでも道連れにする……!」
破れかぶれに放たれた光り輝く呪力がセリアに迫った。しかしリティアが咄嗟に割り込み、衝撃を肩代わりした。
痛、と彼女が声を漏らした事に気付き、すぐさま刹助が生命を賦活する力を放つ。
「泣き言も恨み節もうんざりだ。罪業を肯定し、戦士として見送ってやろう」
其処に続いたニケは足りぬ分の癒しと共に仲間達へ力の加護を宿していった。
「甘いね。――汝、朱き者。その力を示せ」
失われし古代語の詠唱唄が戦場に満ち、朱き鎖の影が仲間の影に伸びる。其処から湧き上がる力を感じたクィルは光る水流を周囲に展開させた。
「あなたの命は終わってしまった。それはもうどうしようもなく、悲しいことです」
けれど、とクィルは覚悟を抱いた。
他の命を奪おうとするのなら許す訳にはいかない。凛と紡がれた思いと共に生み出された氷の華が真っ直ぐに敵を貫く。
舞い散る氷の欠片が戦場を煌めかせる最中、ジエロは水竜に攻撃を願った。
「さ、悪夢の時間は終わりにしよう」
ゆっくりとおやすみ。せめて最期は安らかであるように。
敵にだけ聞こえる声で囁いたジエロ、その殺神の力が敵の身を蝕んだ。更にセリアが刃の切先に魔力を集わせ、攻撃の機を狙う。
「弱者の為、主の為、時には顔も知れぬ誰かの為……」
一歩、踏み出したセリアは静かに語った。
「己ではない、他者の為に傷付くことも恐れず戦うもの、それが勇者というものよ。その胸に、心に良く刻みなさい!」
刹那、俊敏な刺突撃が敵を穿ち、重力鎖が氷へと変質しながらその身を縛る。
そして、最期の刻は訪れた。
「何でだ……俺は、選ばれたはずじゃ……」
苦しみ足掻く敵を銀の眸に映し、イチカは何処か淡々とした調子で告げてゆく。
「選ばれた、その程度のきもちじゃなにかを殺すことはむずかしいよ」
――たとえば、復讐心とかがなくっちゃ。
その瞬間、ゆれる心電図型の炎が敵を包み込む。燃える焔は過ぎし火のいろ。火の手は躍り、過ぎし日の怨讐を思わせながら燃え盛った。
やがて炎は消え、跳ねていた心電図が平らな線にかわる。
宛らそれは終わりの合図のように見えた。
●街の光
エインヘリアルは地に伏し、蒼い炎と共に消えていった。
それまで敵が居た場所を一瞥した刹助とニケはこれで戦いが終わったと感じる。ミミックも武装を解き、ニケの隣で静かに佇んでいた。
「こんなものかな」
「皆さん、お疲れ様でした。エルレもね」
リティアは仲間を労った後、匣竜の名を呼んでそっと抱きあげる。イチカも戦闘態勢を解き、少し汚れてしまった服の裾を手で払った。
「ひとを選ばない炎のほうがね、ずっと熱いはずなんだ」
蒼炎に焼かれた青年を思ったイチカは虚空を見つめ、小さく肩を落とす。
落ち込んでいるわけでも悲しいわけでもない。ただ、どうにもならぬことや儘ならぬものがあるのだと識っただけ。
セリアは小さく頷き、同様に死した彼について考える。如何に取り繕おうと結局、最後に残るのは命のやり取りだけ。
「勇者とは……輝ける魂とは、そんなものであってはならない筈よ」
青年が人に手を掛けなくて良かったと感じたセリアは思いを言葉にした。
明るい繁華街に反して路地裏は静けさに満ちている。
疲れを癒すように大きく伸びをしたクリュスタルスを撫でたジエロはふと、先程から俯いたままのクィルの様子に気付いた。
「かわいそう、なんて思ってはいけないと考えていたのに……」
戦いの最中では意識を向けないようにしていた思いが静寂の中で溢れ出す。独り言ちた少年の声を聞き逃さず、ジエロはその傍に寄り添った。
「祈るぐらいはさせて貰おうか」
「そう、ですね。……ありがとう、ジエロ」
自分を気遣ってくれる彼に礼を告げたクィルは瞼を閉じて祈る。
わたしも、とジエロ達に倣ったハクアも青年の冥福を願った。ドラゴンくんも同様に頭を下げて少女の真似をしており、イチカはその姿にけなげさを感じる。
そんな仲間達を見守っていた刹助は不意に空を見上げた。
繁華街の明かりは星と月を隠し、夜空の星は電飾の光に負けてしまっている。何故だかそれが滑稽に感じた刹助はちいさな溜息を吐いた。
「ある意味で。彼は解放されたのかもな」
そう割り切らないと救いが無い。そして、刹助は帰還しようと仲間達をいざなった。
セリアとニケが同意を示し、リティアもエルレを連れて帰路についてゆく。うん、と答えて顔をあげたハクアは仲間に続き、一度だけ振り返って路地を眺めた。
「夜更かしはもうおしまい。ゆっくりおやすみなさい、だね」
デウスエクスの死はきっと、穏やかな眠りに繋がるはず。
そう願うことがせめてもの手向けだと信じた少女はそっと歩き出す。
今宵、ひとりの青年の命が奪われ散っていった。そのことすら誰にも知られぬまま――今日も街は変わらず、賑わうネオンに煌々と照らされている。
作者:犬塚ひなこ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年11月1日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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