狂笑の鏡像

作者:雷紋寺音弥

●狂える剣舞
 山陰地方の、寂れた山村。過疎化が進み、今では半数近い空き家を抱える限界集落の在った場所へ、雨宮・利香(黒刀と黒雷の黒淫魔・e35140)は何かに惹かれるようにして訪れていた。
「まさかとは思ったけど……こんな場所にもあったんだね」
 巨大なモザイクによって覆われた村。これが噂に聞くワイルドスペースなのだろう。
「引き返す……って、わけにも行かないよね、ここまで来たんだし」
 意を決し、深呼吸をして中へと足を踏み入れれば、そこに広がっていたのは奇怪な光景。廃屋と化した家屋が上下反対に引っくり返っているかと思えば、池の真ん中から巨大な木が生えていたりもする。
 だが、次の瞬間、彼女は周囲の奇妙な光景でさえ、添え物に過ぎない程に奇怪な光景を目の当たりにした。
「アハハハッ、見つかっちゃった! この空間を見つけるなんて、あなたもしかして、私の姿に因縁がある人?」
 狂った笑いを浮かべ、二振りの刃を手にした金色の瞳を持つサキュバス。漆黒の影をそのまま纏ったような官能的な姿は、しかし黒刀に魅入られた利香の姿と瓜二つ。
「まあ、別にどっちでもいいんだけどね。丁度、退屈してたところだし……この空間に入った人は、ぜ~んぶ私がバラバラにしちゃうから♪」
 黒刀と長剣の二つを振り回しながら、青い肌のサキュバスが利香に迫る。黒刀と黒刀が交錯し、夜の帳の下で激しく火花を散らせた。

●魔刀に魅入られし者
「召集に応じてくれ、感謝する。ワイルドハントについて調査をしていた雨宮・利香が、山陰地方の限界集落で襲撃を受けたようだ」
 大至急、現場に向かって彼女と合流し、敵を撃破して欲しい。そう言ってクロート・エステス(ドワーフのヘリオライダー・en0211)は、ケルベロス達に現在の状況について説明を始めた。
「お約束の通りと言えばいいのか? 利香を襲撃した敵は、ドリームイーターのワイルドハントだ。山間部の限界集落をモザイクで覆って、何らかの作戦を企てていたようだが、その詳細までは不明のままだ」
 それを調べようとワイルドスペースへ向かった利香を、敵は問答無用で襲ってきた。相手は1体のみで、その姿は肌の色を除いて利香に酷似しているものの、しかし戦闘力は敵の方が一枚上手。
「このまま放っておけば、利香は遠からず敗北する。幸い、突入してから合流するまでは、大した時間も掛からない。敵に先手を取られている以上、合流後の立ち回りは考えた方がいいとは思うがな」
 クロートの話によれば、敵の武器は二振りの魔刃。刀剣士や斬霊刀のグラビティに酷似した技を繰り出して来る他、サキュバスらしく相手を魅了する技も使用して来る。撹乱戦法や範囲攻撃を得意とし、踊るようにして敵へと迫り、虚構とも現実ともつかない世界へと引きずり込んで同士討ちをさせるようだ。
「敵の姿は利香に似ているが、その性格や人格は本人とはまったくの別物だからな。相手を玩具のようにしか考えず、他人が破滅する姿を見て喜ぶ……。正直、見ていて気持ちのいいものじゃない」
 実際、敵の言動や行動は、利香とは似ても似つかない。だが、その官能的な姿に見惚れていられる程、柔な相手ではないのも事実である。範囲攻撃に対する適切な対処を考えねば、ミイラ取りがミイラにされるのが関の山だ。
「俺達、ヘリオライダーでさえも予知できなかった事件を利香が発見できたのは、敵の姿とも関連がるのかもしれない。だが、余計な詮索をするよりも、今は彼女を助け出すことを優先してくれ」
 狂える鏡像から仲間を救うことができるか否かは、お前達の手に掛かっている。そう言って、クロートは改めてケルベロス達に依頼した。


参加者
結城・勇(贋作勇者・e23059)
空舟・法華(回向・e25433)
リチャード・ツァオ(異端英国紳士・e32732)
ラーヴァ・バケット(地獄入り鎧・e33869)
大枝・鈴(ウェアライダーの巫術士・e34125)
瀬入・右院(夕照の騎士・e34690)
エレアノール・ヴィオ(オラトリオのブレイズキャリバー・e36278)
星宮・亜希(ウィングウイッチ・e36281)

■リプレイ

●狂乱の演舞
 山間を照らす月明かり。冬の色を微かに含んだ風が吹き抜ける山道を抜けると、そこに広がっていたのは一面がモザイクに覆われた空間だった。
「リカがピンチって聞いたら、いても立ってもいられなくて! 今すぐ助けるから待っててよ!」
 連絡の途絶えた幼馴染のことを思い、星宮・亜希(ウィングウイッチ・e36281)は脇目も振らず、モザイクの空間へと突入する。他の者達も無言で頷き、次々と彼女の後へ続いて行く。
「えっと……まずは、先に向かってる利香さんを急いで探さないと!」
 大枝・鈴(ウェアライダーの巫術士・e34125)が慌てて辺りを見回すものの、雨宮・利香(黒刀と黒雷の黒淫魔・e35140)の戦っている様子はない。普段の彼女であれば、もっと剣を振り回し、刃と刃のぶつかる音がするはずだが。
「人の気配はしない、か……。あまり考えたくないけど、万が一ということもあるからね」
 念のため、瀬入・右院(夕照の騎士・e34690)が光の翼を広げると、果たして村の中央に近い方向に反応があった。
「……こっちだ!」
 それだけ言って、反応のあった方へと急いで飛ぶ。かやぶきの屋根を越えて広場に降り立てば、そこにあったのは考え得る中で最悪に等しい光景だった。
「ああ、利香さんが!!」
 空舟・法華(回向・e25433)の叫んだ先には、力無く倒れている利香の姿が。その手に握られていたはずの刃は墓標の如く大地へと突き刺さり、身に纏う衣服や装甲もまた、あちこち斬られて破られていた。
「あれぇ? もしかして、またお客さん?」
 利香の側に立っていた、もう一人の利香がケルベロス達の方へと振り向いて笑った。否、この場合は利香ではなく、ワイルドハントと呼んだ方が正しいのだろう。
 青白い肌と、狂気に染まって淀んだ瞳。狂った笑いを浮かべる様は、普段の利香とはあまりに程遠く。
「アレがリカの偽物ってわけなの? あんな壊れた顔するなんて……」
 さながら、悪堕ちしたような幼馴染の似姿をする敵を前に、亜希はそれ以上何も言うことができなかった。
「さぁて、知り合いのよしみで助けにゃ来たが……なんつぅか、いつにも増してすげぇ格好してんなぁ? サキュバスの本領発揮ってか。ま、本人じゃねぇけどよ」
 苦笑しながら結城・勇(贋作勇者・e23059)が剣を抜くが、しかしワイルドハントも何ら動ぜず、ケルベロス達の方へと迫ってくる。
「うふふ……さっきの子と違って、今度はたくさんいるし、飽きないで済みそうだね。み~んなバラバラにしちゃうから、悪いけど覚悟してね♪」
 踊るような足取りで迫るワイルドハントには、まるで会話が通じていないようだ。元から狂っていたのか、暴走した利香の姿を真似たことで、狂った性格になってしまったのか。もっとも、今のケルベロス達にとっては、そのどちらでも関係なかった。
「勝手な物言いで襲いかかるだけでなく、無関係の人々まで巻き込むなんて……。生かしておけない、とはこの事か」
「利香様のお姿でやって良いことではありませんねえ。どこから取ってくるのですか、その姿は? まずはその姿、彼女へお返し願いましょう」
 エレアノール・ヴィオ(オラトリオのブレイズキャリバー・e36278)とラーヴァ・バケット(地獄入り鎧・e33869)の二人が、利香を守るようにして前に出た。
 ラーヴァが目配せする横で、エレアノールは無言で頷き利香の身体を抱え上げる。途中、壊れた装甲の裂け目から覗く豊満な胸元へ目が行ってしまったが、それはそれ。
(「……この虚しさがある限り、誘惑なんてされるものですか……!」)
 自分の胸元に広がる断崖絶壁へと目をやりつつ、エレアノールは何かを決意した様子で利香を抱えて駆け出した。亜希や勇も、それに続く。まずは少しでも早く、この危険な存在から利香を遠ざけねば命が危ない。
「利香さんの偽者ですか。知り合いと戦うという経験は希少ですからね。折角なので、少し楽しませていただきましょうか」
 その間の相手はこちらでする。長剣を構えるリチャード・ツァオ(異端英国紳士・e32732)の姿に、ワイルドハントも内なる嗜虐心を刺激されたのだろうか。
「それじゃ、最初はあなた達から遊んであげるね。み~んな狂って、身体も心も、全部バラバラに壊れちゃえ♪」
 黒い稲妻の走る刃を振り回しながら、ワイルドハントがケルベロス達へと迫る。パッチワークの如き歪んだ空間の中、暴走するサキュバスの似姿をしたドリームイーターが刃を振るうのに合わせ、黒い花弁が一面に舞い散った。

●誘惑遊戯
 淀んだ空気の漂う村の中、夢幻の演舞がケルベロス達を襲う。利香を守るために人員を欠いたことで、残された者達は一方的な防戦を強いられていた。
「うぅ……お饅頭が一つ、お饅頭が二つ……ハッ!? い、いけません!!」
 裂帛の叫びと共に自身を取り巻く幻影を振り払う法華だったが、その顔色は優れない。敵の胸が饅頭に見えていたとか、そんなことは些細なことだ。
 自分も狙われた状態で、たった一人で仲間達を敵の攻撃から庇い続ける。利香を避難させるため、後衛を丸ごと欠いた今の布陣では、攻撃は守り手である自分に集中する。
「なるほど……。姿形だけでなく、戦い方も似ている、と。これは、なかなか面倒な相手ですね」
「長期戦は不利でございますね。早急に潰してやりましょう」
 このまま法華だけに負担を強いるわけにはいかないと、リチャードとラーヴァが同時に仕掛けた。
 研ぎ澄まされた一撃が、水瓶座の星辰を宿した斬撃が、それぞれにワイルドハントへと襲い掛かる。だが、利香の似姿をしたワイルドハントは巧みに身体を捻らせて、紙一重の間合いで急所への直撃を避けていた。
「痛ぁ~っ! ……でも、こうじゃないと、やっぱり面白くないよね♪」
 脇腹を抑えつつも、ワイルドハントは手にした刃の刀身を軽く舐めて立ち上がる。効いていないわけではない。だが、まだまだ敵にも余裕があるようだ。
「このー! ちょこまか動くなー!」
 隙を見て、鈴が真横から蹴りを食らわせるが、それでも敵は少しだけ体勢が崩れた程度。その瞬間、衝撃で敵の胸元が大きく揺れたことで、右院は思わず目を逸らした。
(「うぅ……年頃の男子に対して何という強敵……! ご近所さんがいる前で、色香に惑わされて失態を見せるわけにはいかない……」)
 自分のイメージを守るべく、右院は懸命に意識を保ちながら、真に自由なる者のオーラを仲間に飛ばすことで誤魔化していた。もっとも、そんな彼が何を考えているのかは、ワイルドハントもお見通しだったようだが。
「あれぇ~? もしかして、君、あたしの胸が気になるの~? だったら……もっと、も~っと、イイコトしてあげよっか?」
「……んなっ!?」
 両腕で胸を寄せ上げるようにして、ワイルドハントは右院に迫って来た。しかし、その光景に彼が気を取られた瞬間、すぐさま獰猛な本性を露わにし。
「アハハ! な~んてね、嘘だよ~! 君みたいな悪い子は、お仕置きに惨殺刑で決定だね♪」
 両手の刃を構え直し、一気に間合いを詰めて来る。だが、その切っ先が繰り出されるよりも早く、割り込んだのは勇だった。
「お待ちかねの勇者サマのご登場だぜ!」
 真打ちは遅れて登場するのがお約束。そう言わんばかりに、勇はワイルドハントと刃を斬り結ぶ。白と黒の稲妻が交錯し、夜の村を明るく染めて行く。
「前からお前さんと……本人じゃねぇにせよ、やり合いてぇとは思ってたんだ。ベストじゃねぇが、一応叶ったって事になるのかねぇ?」
 それだけ言って、勇は少しだけ下に視線を逸らす。鍔迫り合いの最中、拳に触れるのは敵の豊満な胸元であり。
「にしても、でけぇ胸だよな。それ、邪魔じゃねぇのかい?」
「お生憎様だけど、このくらいのハンデがないと楽しめないでしょ? 私の奴隷になってくれるなら、好きに触らせてあげてもいいけどね!」
「……ハッ! 言ってくれるじゃねぇか!」
 そのまま強引に刃を押し込んで斬り付けると、勇はすかさず距離を取った。代わりに飛び込んで来たのは、これまた利香の避難を終えたエレアノールだ。
「隙だらけだ、偽物!」
 敵の死角になっていた斜め後ろから、鋭い跳び蹴りを食らわせる。さすがに、これは効いたのか、敵も黒刀を地面に突き刺すことで衝撃を殺して踏み止まった。
「遅くなってすみません! でも、リカは安全な場所まで運びました」
 亜希の声が響くと共に、天空より降臨する光の帯。
 ここから先は、何も憂う必要はない。戦いはこれからが本番だと、ケルベロス達は一気呵成にワイルドハントへ仕掛けて行った。

●冥途の置き土産?
 淀んだ気の流れる空間に、刃と刃の重なり合う音が響き渡る。数の利を取り戻したケルベロス達であったが、しかしワイルドハントも決して退くことをしない。
 狂った笑顔は何を考えているのかを読ませず、そこから繰り出される剣技もまた、変幻自在で予測不能。おまけに、こちらの同士討ちを誘発させるとなれば、最後まで気の抜けない相手であることは間違いない。
「あらら~、お洋服がボロボロだね~♪ でも、そんなスタイルだったら、裸になっても私の魅力には敵わないよね~♪」
 防具を破られた法華や鈴に、ワイルドハントが胸を揺らしながら挑発している。肉体的なダメージこそないものの、これはなかなか嫌な精神攻撃。
「私だって無くはないはずなのに、周囲の皆さんが立派過ぎるんです……」
「お、おかーさんだって、こう、胸がばぁーんってあるんだから、私だって大人になればきっと……!」
 思わず、二人が自分の胸元に目をやって零したが、果たしてそれも、ワイルドハントの作戦の内だったのだろうか。
「アハハ、お馬鹿さんだね~! 戦闘中に、余所見してちゃ駄目だよ~♪」
 両手の刃を振り回し、ワイルドハントは再び黒い花弁を散らせながら斬り掛かって来た。繰り出される斬撃の渦は、正面に立っている法華だけでなく、他の者達も巻き込んで行ったが。
「……やはり偽物ですか。もう少し太刀筋が鋭いと思ったんですけど」
 斬り付けられた痕を見て、リチャードは相手があくまで利香の似姿をしているだけの存在であると、ここに来て改めて確信した。
 敵は利香と同じく斬撃や催眠を得意とするが、決定的に違うのは、その手に握る太刀の運び方だ。本物の利香が一閃、一閃に研ぎ澄まされるような剣圧を感じさせるのに対し、目の前の敵にはそれがない。ただ、本能のままに相手を斬り刻み、悪戯に苦しめるのを楽しんでいる。
 こいつは獲物で遊んでいるのだ。ならば、それを逆手に取って、一気呵成に攻めれば勝機はある。
「闇を友とし光で貫く。我前に立つなら覚悟するが良い」
「我が名は光源。さあ、此方をご覧なさい」
 燃え盛る手裏剣を投げつつ斬り掛かるリチャードに続き、ラーヴァもまた灼けた金属矢を連続して叩き込む。そちらが剣舞なら、こちらは炎舞だ。ワイルドハントも懸命に刃を振るい相殺を試みるが、それでも徐々に押され始め。
「こいつもオマケだ。全身全霊の一撃、お前にみせてやるよ!」
 ここに来て、勇が自らの掌にグラビティ・チェインを集め、十二星座の星辰を宿した12本の剣を纏めて召喚した。
「うわわ! これって、ちょっとヤバい感じ!?」
 飛来する多数の剣。捌き切れなかった刃は次々にワイルドハントの身体に突き刺さり、その身に纏った影さえも光で染めて行く。
「うぅ……。ね、ねぇ、ちょっと待ってくれない? ほら、こんなところで私が死んじゃったら、それって世界の男の子達にとっての損失だよね?」
 完全に追い込まれたことを察したのか、とうとうワイルドハントは色仕掛けを絡めた命乞いに出た。もっとも、そんな願いも虚しく、その行動は一部の者達の……主に女性陣の神経を、悉く逆撫でしただけで逆効果!
「私達が生きる世紀末の村では、種籾ひとつで生きるか死ぬか……。あなたの色気は私に通用しません!」
「偽物の分際で、一丁前に色仕掛けなど……。お前のような存在は、本物の女性達に対する冒涜だ!」
 完全にブチ切れた法華がナイフで斬り付け、半ば八つ当たり気味に繰り出されたエレアノールの拳が、敵の胸を潰さんばかりの勢いで炸裂する。既に敵は満身創痍。先程までの余裕は、既になく。
「みなさん、頑張ってください! もう少しです!」
「よ~し! 行っけー、騎士さん!!」
 癒しの風を送る亜希の声援に応え、鈴が騎士のエネルギー体を召喚して突撃させる。繰り出される槍先に宿るは氷の属性。それは、まるで鋭い氷柱の如く、敵の身体を真正面から貫いた。
「……がぁっ!?」
 両目を見開き、黒刀を取り落すワイルドハント。その、偽りの姿に終焉を与えるべく、最後は右院が静かに手にしたスイッチのボタンを押した。
「悪いけど、これでさよならです」
 瞬間、身体に貼り付けられた見えない爆弾が次々と爆発し、ワイルドハントを爆風と炎が飲み込んで行く。その肉体が消滅する間際、強烈な爆風は敵が身に纏っていた黒い影さえも吹き飛ばし。
「い、いやぁぁぁん♪」
 消え去る瞬間の、盛大なポロリ。どこかで豪快に鼻血が噴き出すような音が聞こえた気もするが……まあ、何も聞かなかったことにしておこう。

●悪夢は終わりて
 ワイルドハントの消滅に伴い、ワイルドスペースもまた姿を消した。月明かりに照らされる集落は、再び静寂と平穏を取り戻している。
 それはまるで、今までの戦いが悪い夢だったとでも言うかのように。そして、そんな悪夢から覚めるかの如く、利香もまた静かに目を覚ました。
「う……あ、あれ? 亜希ちゃん、それに皆も……どうして、こんなところにいるの?」
 どうやら、まだ夢と現実の境目から、少しだけ戻っていないようだ。仕方なく、法華やリチャードは寝ぼけ眼の利香に、事の顛末を掻い摘んで説明した。
「……と、いうわけです。今回はお手柄でしたね」
「まったく、無事で何よりでしたよ。利香さんの偽物だけあって、それなりに手練でしたしね」
 できれば、こんな無茶は金輪際しないで欲しいものである。しかし、地球を守るケルベロスである以上、それもまた仕方のないことか。
「はぁ……。本当に……本当に、心配したんだからね!」
「ごめん、ごめん。今回は、ちょっとドジっちゃたかもね♪」
 戒めるように告げる亜希の言葉に、利香は飄々とした様子で笑いながら答えた。
 いつもの時間、いつもの仲間。偽りの悪夢は終焉を告げ、彼女達の日常が戻ってきた。

作者:雷紋寺音弥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年10月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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