コーヒー牛乳以外認めない!

作者:柊暮葉


「コーヒー牛乳しか認めない!」
 廃寺でビルシャナが信者10名を集めて叫んでいる。
「牛乳の効果は絶大! たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル類、ビタミンA、ビタミンB群。そして何よりカルシウム! 骨や歯を丈夫にするのだ! さらに認知症の予防になり、幸せホルモンのセロトニンを増やし、乳糖により便秘解消、鎮痛効果にダイエット、正に究極の飲み物牛乳!」
 コーヒー牛乳の瓶を振り上げ叫ぶビルシャナ。
「さらにコーヒーの効能も素晴らしい! ダイエットや便秘にもよく、脳卒中や糖尿病に効き、リラックス効果があり、大人びた味わいのあるコーヒー。正に究極の片手間ドリンクコーヒー!」
 ビルシャナはコーヒー牛乳一気飲み!
「その二つを合わせてしまえば正に至高の飲み物! アムリタ! 一生のうちの食事の機会は限られている。ならば全ての食事はコーヒー牛乳にしてしまえ! 何、スムージーを朝食や昼食にする人間がいるのだ。コーヒー牛乳を食事にしても構わないだろうッ!」
 一生、コーヒー牛乳を食事にしろと言い張るビルシャナであった。そんなビルシャナにも10名の信者がついていた。
 まず突っ込まなければならないのは、カフェオレがダイエットに悪い事は常識だということであろうか……。

「コーヒー牛乳以外認めないという悟りを開いたビルシャナが発生しました。問題を解決してください」
 セリカ・リュミエールが集めたケルベロス達に説明を開始した。
 九十九折・かだん(泥に黎明・e18614)は真面目な顔をして話を聞いた。
「悟りを開きビルシャナとなった者の信者が悟りを開きビルシャナとなり、独立して新たに信者を集めるという事件が起きているようです。悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事が、今回の目的です。このビルシャナ化した人間が、周囲の人間に自分の考えを布教して、配下を増やそうとしている所に乗り込む事になります。ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、ほうっておくと一般人は配下になってしまいます。ここで、ビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が配下になる事を防ぐことができるかもしれません。ビルシャナの配下となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば元に戻るので、救出は可能ですが、配下が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
 それからセリカは情報を付け加えた。
「今回現れたビルシャナは、六道衆・餓鬼道という『生きることは食す事、命ある限り思う侭に喰らうが正しい在り方』という教義を持つビルシャナの信者からビルシャナ化したらしい……ですね」

「ビルシャナの能力は?」
 誰かが尋ねるとセリカはすぐに資料を広げた。
 ビルシャナ閃光……敵を退ける、破壊の光を放ちます。
 八寒氷輪……氷の輪を飛ばし、敵を凍りつけさせます。
 浄罪の鐘……鐘の音を鳴り響かせ、敵のトラウマを具現化させます。
 これらの力で戦うらしい。
「今回のビルシャナは、餓鬼道の信者の中でも片手間飲み物に凝っていた青年が、あらゆる作業中などのお供の飲み物を追及していった結果、最終的にコーヒー牛乳にたどり着き、さらにコーヒー牛乳は成分からいって片手間飲み物ではなく食事に匹敵するという悟りを開いたというものです」
「飲み物の変態ですな……」
 誰かがそう呟き、セリカは苦笑した。
「他の信者達も、日常のお供の飲み物……紅茶やお茶などに凝っていた人間達がビルシャナのために洗脳され、コーヒー牛乳以外に対して排他的攻撃的となっています。そしてビルシャナとともに廃寺を乗っ取り、最早一生コーヒー牛乳以外食事を摂らなくていいという教義を布教しています。こんな教義が広まっては大変な事になりますので、信者達にはインパクトを与えて正気に返し、ビルシャナは退治してください」

 最後にセリカはこう締めくくった。
「教義を聞いている一般人は、ビルシャナの影響を受けているため、理屈だけでは説得することは出来ないでしょう。重要なのは、インパクトになるので、そのための演出を考えてみるのが良いかもしれませんね」


参加者
ウォーグ・レイヘリオス(山吹の竜騎を継ぐもの・e01045)
星野・優輝(戦場は提督の喫茶店マスター・e02256)
フォン・エンペリウス(生粋の動物好き・e07703)
天宮・陽斗(天陽の葬爪・e09873)
セレネテアル・アノン(綿毛のような柔らか拳士・e12642)
弐番堂・むささき(紫電の歯車・e31876)
望月・理央(梨園の猟犬・e40334)

■リプレイ


 ケルベロス達は現場の廃寺に到着した。
 すると本堂の方から山門までビルシャナの大声が響いてきた。
「コーヒー牛乳しか認めない! 一生のうちの食事の機会は限られている。ならば全ての食事はコーヒー牛乳にしてしまえ!」
 そして他のお茶やジュースをしきりにdisりながらコーヒー牛乳を褒め称え続けた。
 ケルベロス達はため息をついた。
「コーヒー牛乳…よりはいちご牛乳がいいわね。まあ、何にしろ飲み過ぎはよくないわよね」
 ローレライ・ウィッシュスター(白羊の盾・e00352)は色々な味の牛乳を思い浮かべながらそう言った。
「本業の俺としてはこれは否定するしかないね。これを機会に信者には珈琲の良さをわかってもらわなきゃ」
 星野・優輝(戦場は提督の喫茶店マスター・e02256)はプロ根性を発揮している。
「ん、コーヒー牛乳は美味しいものだけど……それだけじゃつまらないの」
 フォン・エンペリウス(生粋の動物好き・e07703)は頷いた。
「コーヒー牛乳かぁ。小さい頃にすげぇ飲んでた記憶あるぜ、美味しいよな。でも、今回は別々の飲み方で説明、させてもらうな?」
 望月・理央(梨園の猟犬・e40334)が頷く。
 みんなコーヒー牛乳を飲んだ事ぐらいある。
 ウォーグ・レイヘリオス(山吹の竜騎を継ぐもの・e01045)、天宮・陽斗(天陽の葬爪・e09873)、セレネテアル・アノン(綿毛のような柔らか拳士・e12642)、弐番堂・むささき(紫電の歯車・e31876)も交えて、ケルベロス達は立ち話でそれぞれコーヒー牛乳の思い出や価値観を口にした。
「コーヒー牛乳以外いらーんっ、食べ物も飲み物もいらーんっ、他は滅びろ!」
 しかしその間も、ビルシャナが口汚くそんなことを喚いているため、ケルベロス達はまずは突撃する事にした。
 全員で山門から本堂まで移動した。

 本堂ではビルシャナが今正に説教の真っ最中。
「コーヒー牛乳だけ飲み続けろ! 紅茶やジュースは悪魔の飲み物だ!」
 もう言いたい放題である。
 そして信者達も廃寺の汚い床に座ってひたすらコーヒー牛乳を飲んでいた。
 あまり関わり合いになりたい雰囲気ではない。
 しかし任務は任務である。
 陽斗は本堂の引き戸を思い切りよく開いた。
 ズバーン!
 その音にびっくりしてビルシャナ達が振り返る。
「他の飲み物派だった信者すら染めるビルシャナの珈琲牛乳推し…確かに変態的だな」
 注目浴びてノリノリになりながら陽斗は本堂の中に踏み込んだ。
 続いて他の仲間達も続々と本堂に突入。
「な、なんだお前達は!」
「俺達はケルベロスだ。お前達を説得しに来た」
「なにっ!?」
 顔色を変えるビルシャナは無視して陽斗はコーヒー牛乳を飲み続ける信者達に向かった。
「珈琲牛乳推しは分かったが、教義に則っていると確実に死ぬぞ信者達。珈琲牛乳は大概これでもかと砂糖やらが入っているしな。自分で作っても良いが、人間の体は水分からはあんま栄養が取れないらしいから栄養失調ルートまっしぐらだな? ま、命が惜しかったら甘味飲料はあくまで趣向の範囲に留めておくこった。ところで珈琲牛乳ってどこまでを指すんだ? たまに牛乳多めで牛乳珈琲状態のないか?」
「コーヒー牛乳に種類があったの!?天宮さんは物知りなのね…」
 ローレライが驚いている。
「うん。その質問には後で答えよう」
 喫茶店の制服を着た優輝がそう頷いた。
 続いて理央が口を開いた。
「甘くて美味しいよな、これ。みんなが好きになるのもわかる気がするけどさ、ちょっといいか? コーヒー牛乳に含めれる糖質とか気にしたことあるかよ、おめーら。 200ccで15グラムらしいぜ、調べたら。そーいやさ……おめぇら、最近太ったとか言われねぇのか? それか汗かきやすくなってたり、身体が重くなってたり。 そりゃそんな糖質まみれのジュースをごくごく飲んでたらなっちゃうだろうけどさ、今でなくても。あっはは、それじゃあみっともないからほどほどにした方がいいとおもうぜー?」
「何を言うかー!」
 ビルシャナは怒鳴った。
「糖分で太るがどーした。糖分で太るんだったら栄養失調にならないだろーが! むしろその糖分をエネルギー源として無限の体力を得るのだ! それぞコーヒー牛乳のサクセス!」
 理屈が通用しない事を察して目を見交わす陽斗と理央。
「……なあ?」
「……なあ」
 頷きかける陽斗に理央が苦笑い。
「ん、コーヒー牛乳だけ楽しむなんて邪道なの!」
 そこでフォンが口を挟んだ。
「美味しい食べ物を食べて、コーヒー牛乳を飲んで。また美味しいものを食べて、コーヒー牛乳を飲んで……ん、そうやって両方を楽しんでこその飲み物なの! ん、色々な旅団からコーヒー牛乳に合いそうな食べ物持ってきたの。みんなで一緒に食べよ? ん、それとビルシャナが栄養の種類については豊富な事を言ってたけど、きちんとした食生活にするには1日何リットル飲まないといけないか考えてみた方がいいの……お腹破裂しちゃうよ?」
 フォンが持って来たのはマリービスケットやマドレーヌ、スコーンなど、甘い飲み物に合わせられるシンプルなお菓子の数数だった。
「おお……!」
 ずっとコーヒー牛乳を飲み続けていた信者達は顔を輝かせてフォンのお菓子に手を伸ばす。
「喝ーっ!!」
 しかしそこでビルシャナが叫ぶ。
「至上の飲み物コーヒー牛乳さえ飲んでいれば菓子などいらん! コーヒー牛乳に比べればそんな菓子などただのゴミも同然だーっ!」
 せっかく仲間と準備してきたお菓子がその扱い。愕然とするフォン。
 むかっと来たローレライは前に出る。
「コーヒー牛乳を飲み過ぎるとね……様々な弊害があるのよ……」
 おどろおどろしく怪談風に話すローレライ。
「まず、歯が黄ばむ!……胃腸が荒れる!……そして貧血!……私もコーヒー牛乳が好きで沢山飲んできたけどそういう症状が出たのよ!」
「な、なんだと……」
 狼狽えるビルシャナと信者達。
「コーヒーを飲みすぎると…こうなってしまうわよ!」
 そんな彼らの前でローレライはコーヒー牛乳を一気飲み!
「うごっふ!」
 そして口から血を吐いてばったりと倒れた。
 勿論、口から吐いたのはケチャップである。
 おもむろに、彼女のテレビウムのシュテルネが「飲み過ぎた人間の末路」というプラカードを掲げた。
 ローレライの演技力に、みんな凍り付いて沈黙。
「ろ、ローレライさ~ん!?」
 慌てるセレネテアル。
「こ、こんなバカな……」
 信者達は皆震え上がって手元のコーヒー牛乳を床に置いた。
 だがビルシャナは死んだふりをしているローレライの傍らにしゃがみこんで、彼女の体をツンツン。
 それでローレライが反応しないと、首筋を羽毛でさわさわとくすぐりまくった。
「ひゃあ!」
 ローレライがたまらずに起き上がると、吼えるビルシャナ。
「やっぱりケチャップじゃねーかコラ! そんなに天下のコーヒー牛乳を貶めたいのか!」
「コーヒー牛乳の危険性をわかりやすく教えてあげたのよ!」
 そのままローレライとビルシャナはぎゃんぎゃんと口げんかを始めた。
 不毛な言い争いを止めるためにウォーグが一歩前に出た。
「なるほど、主食をコーヒー牛乳に食事にしても構わないと……では、その心意気試してみましょうか」
 ウォーグはアイテムポケットから2Lペットボトルのコーヒー牛乳を取り出した。
 どんっ!
 迫力のある本数のペットボトルがビルシャナと信者達の前に並べられる。いずれもコーヒー牛乳であった。
「おかわりはたくさんありますので、遠慮せずに飲んでください。さぁ! さぁ!」
 ウォーグは挑発するようにペットボトルを持ってビルシャナに迫った。
「……あ、信者のみなさんも。好きなのは構いませんが過ぎたるは及ばざるが如しということわざにもあるように、取りすぎはかえって身体に悪影響を及ぼしますからね?」
 勿論、信者にもコーヒー牛乳を勧める。凄い数のペットボトルにたじろぐ信者達。
「望むところだー!」
 しかしビルシャナは怯む事なく、ペットボトルの蓋を開けると2Lを一気飲みし始めた。
 呆気に取られる信者を前に飲み干すと、口から牛乳垂らしながら振り返る。
「飲め! 貴様らも飲むんだ!」
 教祖の命令であるから飲むしかない。仕方なく2L一気飲みに挑戦し始める信者達。そして案の定咽せる信者達。何の地獄だ。
「こんな寒い時期に珈琲牛乳の飲み過ぎは腹を壊しそうでござるよ」
 それを見てむささきが一言言った。
「確かに温泉にいけば美味しそうにご主人様が飲んでいるのを見るでござるが、この時期には寒いでござろ? というわけで暖かい珈琲を所望するでござる」
 むささきはそう言ってデブ猫のウイングキャットぐんじょうの喉を撫でた。
 ぐんじょうの方はあざとい身振り手振りで猫用のホットミルクを所望した。
「御腹をあっためて暖かいものでも飲むでござるよ」
 そして人数分用意してきた腹巻きを配ってあげた。
 しかし既にそのとき--信者達のたぷたぷ腹に腹巻きは貫通しなかった。飲み過ぎで腹が酷い事になっている。
「コーヒーを内包してのコーヒー牛乳。コーヒー牛乳さえあればコーヒーなどいらぬ!」
 そしてビルシャナはまだ言っている。
「それは違うよ!」
 しかしそこで優輝が超高校級のノリで叫んだ。
「珈琲牛乳が至高? 珈琲こそ究極! 豆や挽き具合等で味わいに特徴を持ち、ミルクや砂糖等でお好みで楽しめる。レパートリーの幅が段違いだ。珈琲牛乳はスーパーやコンビニで決まったものしかない。それに対して喫茶店や専門的なお店等でも販売もしている」
 緑縁の眼鏡をクイっとしながら言い放つ優輝。
「そもそも珈琲牛乳とカフェオレの違いを何か知っているだろうか? 珈琲牛乳は珈琲と牛乳の比率に対する定義が無いのに対して1:1の割合で混ぜられた物と決まっているのがカフェオレだ。原料は同じだからおまえの主張は珈琲にもいえる事になる。これが俺の淹れた珈琲だ。これを飲んで良さをわかってもらいたい」
 そう言って優輝は自ら入れたコーヒーを、仲間達と信者達に配ってもらった。ぐんじょうには猫用のホットミルクを上げる。
 あたたかいコーヒーでほっと一息をつくケルベロス達。
「星野さんがオリーブオイルを使っていない……本気の一杯ですねっ」
 セレネテアルは大喜びだし、他のケルベロス達も満足の様子だ。
 冷たいもので体が冷えていた信者達も思わず飲んでしまう。……信者達の方は顔色が悪い。
 何しろコーヒーには、ビルシャナの言う通りある効果があるんだから。
「良い所だけではなく悪い所もしっかり考慮しないとだめですよ~! 例えば牛乳は腐り易かったりお腹が緩くなったりしますよね~? 珈琲は胃にきたりお腹が緩くなったりしますっ」
 セレネテアルが陽気な調子で言った。
「あ、どちらもお腹に良くないですね~。皆さんコーヒー牛乳を沢山飲まれている様ですがお腹は大丈夫ですか~? 一度意識してしまうと、余計にお腹の調子が悪くなってくる事ってありますよね~。…これだけ人数がいると、御手洗で順番待ちが発生しちゃいそうですね~。お隣の方々(信者同士)よりも先に行かなくて大丈夫ですか~?」
 セレネテアルが言った瞬間、信者達それぞれの腹が鳴った。
 ぐぎゅるるるるるぐぐ……。
「う、なんだかセレネテアルさんのお話を聞いていたら、私もお腹が痛くなってきたかも…」
 ローレライが軽く腹を押さえる。

「うわあああああんんん!!」

 信者達は泣きながら廃寺のトイレへと走って行った。
「こ、こら、待て、貴様ら、敵前逃亡--!!」
 ビルシャナが叫ぶが洗脳の力なんてなんのその。生理現象にはかなわない。
 全員、脱兎の如く本堂から駆け去っていなくなってしまった。
 ぽかーんとするビルシャナ。
「人のコーヒー飲んでその反応って……」
 密かに傷つく優輝。
「普通においしいぞ」
 フォローを入れる理央。
「ん、あとは悪い鳥を退治するだけなの」
 そう言って、フォンが武器を構えた。


 フォンが爆破スイッチを押してブレイブマインの爆炎を起こす。
 そして皆一斉に、攻撃の初手を放った。
 流れるがごときケルベロスの攻撃にたちまち押さえるビルシャナ。

「コーヒー牛乳飲んだぐらいで、腹を壊すな、軟弱モノめーっ!」
 ビルシャナは吼えるとビルシャナ閃光でケルベロス達を吹っ飛ばす。
 倒れたところで八寒氷輪を飛ばして前衛を凍らせ、さらに閃光を叩きつけてくる。
 ローレライのシュテルネがテレビフラッシュで注意を惹きつけた。
 フォンのクルルがボクスブレスを撃ち放つ。
 ウォーグのメルゥガが主人の仲間に属性インストールを開始。
 むささきのぐんじょうが清浄の翼を広げた。

 フォンは紙兵散布を行い仲間を一気に回復していく。
『【神裏切りし13竜騎(ノブレス・トレーズ)】の御旗の元に、集え我が盟友(とも)達よ!』
 ウォーグがエンブレムが描かれた旗斧を振りかざし、仲間達を鼓舞してさらに回復。
 むささきが回復の追いつかない仲間に片っ端に祝福の矢を撃つ。
 立ち上がった理央はおもむろにスマホを掲げて物理で殴る。
『先導と流星の門』
 優輝は右手の掌を伸ばして魔方陣を展開する。
 艦載機の幻影を複数召喚すると、艦攻隊と艦爆隊は全機突撃!!
『届かぬ月、焦がるる儘に汝は崩し、潰すだろう!』
 業魔崩月衝で闇神楽を舞う陽斗。
 舞で「業魔」を宿した陽斗は、腕は鋭き刃に、時に異形の腕に姿を変え、共に発せられる神気は月すら切り崩さんばかりの衝撃を生み出す。
『「見切った!」……と思ったでしょ~?』
 セレネテアルは旋刃脚でリズムをつけながら氣刃脚でビルシャナを蹴り上げる。
 氣の力を上乗せした蹴りがビルシャナの急所を的確に攻撃。
『全て浄化してあげる!』
 ローレライはSchatz von sieben Farbenで七色の宝石の矢を撃ち放つ。
 ビルシャナは跡形もなく浄化されて消えて行った。呆気ないぐらいの終わり方で、ケルベロス達は任務を果たした。


「直接的に変態なビルシャナとは割と戦っているが、今回の変化球的なタイプはレアな気がすんな…」
 戦闘後、陽斗がそう呟いた。
 そこにようやく、元の腹に戻った信者達が本堂に帰ってきた。
 そしてむささきに勧められるがままに腹巻きを身につけた。
 むささきはデブ猫のぐんじょうを暖かそうに抱っこしていた。ぐんじょうは寒い外に出されて少し不機嫌だった。
 あったかいコーヒーを飲んだだけのケルベロス達はちょっと寒いかなぐらいだった。
「私もコーヒー牛乳飲んだけれど……そんなに酷くはならないな」
 ローレライは信者達を生温かく見守る。
 寒い季節に廃寺で大量のコーヒー牛乳とコーヒーを飲んだ信者達はまだ顔色が悪く、腹を抱えてうずくまっていた。
 なんだって、取りすぎれば毒になるのだ。

作者:柊暮葉 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年10月23日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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