●赤髪の魔女
街角に灯る橙色の光。カボチャ提灯を下げた女性を先頭に、夕暮れ時の商店街を仮装した子供たちが練り歩いている。
「Trick or treat! Trick or treat!」
「お菓子くれないと、悪戯するぞ~♪」
どうやら、近所の英会話教室でハロウィンのパーティが開かれ、講師に連れられた子ども達が、挨拶も兼ねて近所の商店街に繰り出しているようだ。行く先々の店にも予め協力を取り付けてあるのか、お菓子をもらった子ども達は、上機嫌になって英語の歌などを歌っているが。
「ふふっ……子どもの遊びの時間は、ここまでさ。ハロウィンは、アタイ達の時間……お前達は、今からあそこに行って、思う存分に暴れて来な!」
ハロウィン用に量産された屍隷兵、パンプキョンシー達を引き連れた赤い髪の魔女が、商店街を指差して叫ぶ。とにかく暴れてアピールし、ハロウィンの魔力を持つ魔女を誘き出せ。それを倒すことで、自分は超越の魔女になれるのだと言ってのけ。
「青や緑なんかに負けてられないからね! 超越の魔女になって、いつかは『ジグラットゼクス』にだって、なってみせるさ!」
そう、魔女が叫ぶと同時に、キョンシーの様な格好をした3体の屍隷兵が、商店街へと向かい跳ねて行った。
●Trick and Trap ?
「召集に応じてくれ、感謝する。ハロウィンの力を求め、ドリームイーターの魔女達が動き出したようだ」
その日、クロート・エステス(ドワーフのヘリオライダー・en0211)よりケルベロス達に告げられたのは、赤、青、緑の3人の魔女達による、屍隷兵を使った襲撃事件の報だった。
赤の見習い魔女・フォティア、青の半人前魔女・チオニー、そして緑の未熟魔女・アネモス。今回の事件は3人の魔女の内、赤の見習い魔女・フォティアが起こすものだという。
「連中の目的は、ハロウィンの力を持つ魔女を探し出して、その力を奪う事らしいな。ハロウィンで盛り上がる人々を屍隷兵……パンプキョンシーが襲撃する事で、目的の魔女が現れると考えているようだ」
ハロウィンの力を持つ魔女とは、いったいどんな存在なのか。それは解らないが、しかしハロウィンを楽しんでいる人達が、屍隷兵に襲われるのを放ってはおけない。
「パンプキョンシーの目的は、『魔女を探し出す』事みたいだからな。上手くハロウィンの魔女であるように見せかければ、一般人を放置して、お前達を攻撃してくるはずだぜ」
これを利用すれば、一般人に被害を出さずに屍隷兵を撃破することも容易い。また、闘いの様子を見た3色の魔女がハロウィンの魔力を持つ魔女であると判断すれば、戦場に現れて力を奪おうとするかもしれない。その場合は、可能であれば彼女達の撃破も行って欲しいと、クロートはケルベロス達に説明した。
「今回、お前達に向かってもらいたいのは、仮装行列で賑わう街の商店街だ。どうも、近所の英会話教室でパーティがあったらしく、その流れで子ども達が街に繰り出して、ハロウィンの菓子をもらい歩いている。先導役の講師もいるが……パニックになった場合、なかなか面倒なことになりそうだぜ」
パンプキョンシーの現れる商店街は、道幅こそ広いものの人通りも多い。おまけに、先に人払いを済ませてしまうとパンプキョンシー達も現れないため、出現と同時に敵の注意を引き付けるなどして、被害を出さないよう立ち回ることが重要になる。
幸いなのは、敵のパンプキョンシー達が、そこまで強くはないということだ。
戦闘になると、敵は噛み付いて血を吸う他に、猛毒の爪で攻撃したり、口から冷気を吐いて来たりするが、個々の戦闘力は、そこまで極端に高くはない。敵の数は3体で、それぞれ前衛、中衛、後衛を担っている以外に大きな違いもない。
「ハロウィンの魔力……もしかすると、ドリームイーターの連中にとっては、重要なものなのかもしれないな」
仮にそうだとすれば、なおさら渡すわけには行かない。そしてなにより、楽しいハロウィンの当日に、子ども達の涙は必要ない。
折角のハロウィンを台無しにしないためにも、屍隷兵達を残らず撃破して欲しい。そう言って、クロートは改めてケルベロス達に依頼した。
参加者 | |
---|---|
天満・十夜(天秤宮の野干・e00151) |
露切・沙羅(赤錆の従者・e00921) |
アルメイア・ナイトウィンド(星空の奏者・e01610) |
江田島・武蔵(人修羅・e01739) |
水沢・アンク(クリスティ流神拳術求道者・e02683) |
喜多・きらら(煌々綺羅・e03533) |
マサヨシ・ストフム(蒼炎拳闘竜・e08872) |
シルヴィア・アストレイア(祝福の歌姫・e24410) |
●騒乱の南瓜祭り
橙色の灯りに染められた商店街に、子ども達の明るい声が響く。
「Trick or treat! Trick or treat!」
「お菓子くれないと、悪戯するぞ~♪」
今や、すっかり年中行事として定着したハロウィンの祭り。地元の英会話教室に通う子ども達が、仮装して街を練り歩いている。
(「こんな日に巻き込んでしまうのは心苦しいですね……」)
だが、そんな様子を遠巻きに眺める水沢・アンク(クリスティ流神拳術求道者・e02683)の心は、どうにも晴れないようだった。
「できれば、警察や商店街の人に、協力してもらえると助かったんですが……」
「仕方ないだろ、それは。我らのように、抗う力を持たない者……ましてや、子どもを囮に使うような作戦なんざ、解ってて認めろって方が難しいぜ」
江田島・武蔵(人修羅・e01739)の言葉に、喜多・きらら(煌々綺羅・e03533)が肩をすくめながら答えた。
襲撃があることを事前に伝えてしまえば、大人たちはパーティを続けることよりも、延期か中止を考えるだろう。その結果、別の場所が襲われることになっても、それで彼らを責めるわけにもいかない。
何の力も持たない子ども達に、顔も知らない誰かのために命を張るように仕向けるなど、そんなことを認める大人はいないはず。ケルベロス達への信頼はあれど、それで子ども達の安全が、100%保障されるものではないからだ。
「まあ、そういうわけで、後は我に任せておけ」
それだけ言って、魔女風のコスチュームを見に纏ったきららは、ハロウィンで賑わう雑踏の中へと歩を進めて行った。見れば、他にも彼女だけでなく、仮装して人込みに紛れる仲間達の姿が。
「お菓子も大事だけど、学ぶのも大事だよね」
入念にハロウィンのことを下調べした露切・沙羅(赤錆の従者・e00921)が、子ども達にお菓子を配っている。花屋やスーパーの立ち並ぶ交差点では、シルヴィア・アストレイア(祝福の歌姫・e24410)がアルメイア・ナイトウィンド(星空の奏者・e01610)と共に、予告なしのゲリラライブを繰り広げていた。
「さぁ、ハロウィンライブの始まりだよ! みんな~、盛り上がって行こう~!!」
「ボーカルはシルヴィア・アストレイア! ギターは私、アルメイア・ナイトウィンドだ! 今日はハロウィン用の特別コラボだぜ!」
アイドルやギタリスト、そしてケルベロスとしても、そこそこ名前が売れて来たからだろうか。中には二人の姿を見て、我先にと駆け付ける者達の姿も見える。
このまま、楽しく時が過ぎてくれればいいのだが。しかし、現実は時として残酷だ。街の熱気に誘われてか、家々の屋根伝いに現れた3つの影が、突如として商店街の真ん中に舞い降りた。
「どうやら来た様だ。後は頼むよ」
「ああ、任せな……」
ようやく出番が回って来たと、武蔵の言葉に満を持して、マサヨシ・ストフム(蒼炎拳闘竜・e08872)が頷いた。事前の避難勧告ができない以上、少々荒療治だが仕方がない。
「ハロウィンの魔女のお出ましだ! 死にたくなければ建物の中で震えて過ごすんだな!! さぁ逃げろ、逃げろ!!」
周りの者達に強烈な精神の波動を送り、強制的に混乱させる。楽しげな雰囲気は一転して狂乱の宴と化し、人々は悲鳴を上げて我先にと店の中へ駆け出して行く。
「私達がいるから、大丈夫だよ!」
「近くの頑丈そうな建物に逃げろ! ここは、私達のステージだぜ!」
シルヴィアやアルメイアの声に、狼狽えるばかりだった者達も、蜘蛛の子を散らすようにして逃げ出し始めた。
それでも、中には泣き叫びながら逃げ遅れてしまった子どもがいる。出現した3体のパンプキョンシーは、目敏く獲物を見つけて毒の爪を振り立てて迫るが……そこは、天満・十夜(天秤宮の野干・e00151)がさせなかった。
「おっと、そこまでだ! お前達の相手は、俺達だぜ!」
騎士のような仮装をして颯爽と駆け付ければ、逃げ遅れた子ども達も慌てて近くの建物へと駆け込んで行く。念のため、きららが殺気を放出して戦場に人々を近づけなくしたところで、アンクは徐に右手の地獄を解放した。
「名乗るくらいは良いですよね? クリスティ流神拳術、参ります……!」
焼け落ちる袖口と手袋。中から現れしは白炎の地獄。祭りに誘われ現れた亡者達を、再び在るべき場所に帰すための拳。
いかに悪戯といえど、無垢な命を奪う行為を黙って見逃すわけにはいかない。ハロウィンムードで賑わうはずの商店街は、亡者と番犬のぶつかり合う戦場と化した。
●ハロウィンの悪夢
街中に突如として現れた3体の屍隷兵。その様は、さながらハロウィンの晩に悪霊が現れ、子ども達を攫って行く伝説を模したかの如く。
だが、今宵だけは、そう簡単には事を運ばせない。今の地球には異界よりの来訪者に立ち向かう、地獄の番犬達がいるのだから。
「どうした腐れゾンビ共! そんなんじゃあ、魔女まで攻撃届かねぇぜェ!」
迫り来る敵を物ともせず、マサヨシはエクスカリバールをパンプキョンシーの頭に振り下ろす。南瓜を模した帽子の装飾が破れ、脳天に深々と凶器が突き刺さるが、そこは死体を元にして生み出された屍隷兵。
「う……ぁぁぁ……」
低い唸り声を上げて、パンプキョンシー達は一斉にケルベロス達へと襲い掛かって来た。後方に控える1体が凍える吐息を吐き出したことで、白いガス状の霧が周囲を覆い、一瞬だけ視界が奪われた。
「ちっ……! 抜かれたか!!」
マサヨシが歯噛みするも、残る敵は彼の真横を素通りして抜けた後。全体的に攻撃よりの陣形であるため、壁役の不足から敵の攻撃を捌き切れない。
「ちょっ……どうせ食べるなら、僕じゃなくてお菓子にしてよね!」
「こ、こら~! アイドルに手を触れるのはルール違反……って、痛ぁっ!!」
敵の狙いは、中衛に控える沙羅とシルヴィアの二人だった。牙を突き立てられて血を吸われ、果ては爪から猛毒を流し込まれ、早くも彼女達の体力が削られて行く。撹乱以外にアドバンテージのない者から狙うとは、なかなか嫌な攻め方をして来る相手だ。
「おいおい、ボーカルが先に倒れちまったら、ライブどこじゃねぇぜ?」
自身のオーラを分け与えることで、アルメイアがシルヴィアの身体から毒を取り除きながら言った。今宵の観客は、なかなかどうしてマナーが悪い。しかし、ここで挫けてしまったら、ハロウィンのゲリラライブは務まらない。
「そうだよね……。さぁ、ここからが魔女のステージだよ♪」
気を取り直し、シルヴィアも笑顔で演奏を再開だ。こんなところで、立ち止まるわけにはいかない。その想いを曲に乗せて奏でれば、それは戦う者達を守護する力へと変わり。
「これ以上、好き勝手にはさせないよ!」
長剣を掲げる沙羅の足元から、星辰の加護が仲間達を守るべく広がったところで反撃解した。
「壱拾四式……炎魔轟拳(デモンフレイム)!!」
「せっかくの祭りに無粋な奴らだ。邪魔だから消えな」
まずは一撃。白炎を纏ったアンクの右拳が、パンプキョンシーの顔面に炸裂する。
続けて、武蔵がリボルバーを乱射するが、しかしこちらは、そこまで期待していた程の足止めにもならず。
敵の陣形がバラバラである以上、必要なのは面の制圧よりも点の制圧。複数を相手取る際に有効な攻撃は、今回のような戦いでは無駄弾も多く生んでしまう。
「チマチマ削るのは、性に合わねぇな! やっぱ、こういうのは全力でブッ潰すまでだぜ!」
「奇遇だな。我も、そう思っていたところだ!」
力と力のぶつかり合いに、余計な小細工は必要ない。十夜の言葉にきららが頷き、互いに狙いを合わせて駆け出して。
「まずは、一発! こいつを食らいな!」
仲間のフォローはボクスドラゴンのアグニに任せ、十夜の一撃が敵の衣服を切り裂き、破る。その亀裂から露出した弱点目掛け、きららは逃さず必殺の一撃を繰り出した。
「光と闇が両方そなわり最強に見える……つまり汝が見てるそれだよそれ」
左手に幻想、右手に恐怖。光の屈折と闇の深淵。相反する力が高速で織り成す光景は、正に悪夢へと誘う夢幻の連鎖。
「あっ……ぁぁぁぁっ!!」
逃げることなど許さない。避ける場所など与えない。力と力の狭間に飲み込まれたパンプキョンシーは、呻くような悲鳴を上げて、そのまま無残に潰れて消えた。
●滾る双炎
3体の内の1体が倒されてしまうと、そこから先は速かった。
いかにハロウィン用に調整された屍隷兵といえど、所詮はデウスエクス達の傀儡に過ぎない。連携が崩れ、数の差で不利になってしまえば、ケルベロス達の敵ではない。
「その程度か。もっと遊ぼうぜ」
腕を噛み付かれてもなお、返す刀で武蔵は敵を斬り付ける。相手がこちらの体力を奪って回復する技を持っている以上、あまり時間も掛けていられない。
「うぅ……ぁぁぁぁ!!」
後方にいるパンプキョンシーが、懲りずに冷気を吐いて来た。しかし、戦い始めならいざ知らず、しっかりと守りを固めた今となっては、そんな攻撃も恐れるに足らず。
「よ~し、一気にフィナーレまで行っちゃおう!!」
この機に畳み掛けるべきだと察し、シルヴィアは一気呵成に歌のボルテージを上げて行く。今宵はハロウィン。ならば、やはり最後はそれに相応しい歌を送らせてもらおう。
「守護者に祝福を……! 罪人に罰を……! これが私の魔法だよっ♪ なんてね♪」
神聖なる即興歌が向けられた先は、仲間達ではなくパンプキョンシー。守護者に祝福を与える歌は、しかし世界の破壊者に対しては、情け容赦ない制裁を与える。
「ぅぅ……あ”あ”あ”あ”っ!!」
身体の内からグラビティ・チェインを暴走させられ、瞬く間に崩壊して行く敵の肉体。そこへ止めを刺さんとばかりに、アルメイアが追い撃ちの一撃を食らわせた。
「略式起訴で判決死刑だ! 地獄に落ちな!」
そう言うが早いか、手にしたギターを槍へと変えて、その切っ先を大地へと突き刺す。そんな彼女の格好は、マントとコウモリで彩った吸血鬼の仮装であり。
「祈れ! 救いを! 己が神に! 嘆け! 運命を! 天仰ぎ! 生! 温い! 死など無い! ただ無惨に果てよ――ッ!!」
ここは吸血鬼らしく、串刺し公爵を演じさせてもらおうか。悶え、苦しむパンプキョンシーの足元より現れたのは、無数の鋭い切っ先を持った槍衾。
「……ぎゃぁぁぁっ!!」
全身を貫かれ、断末魔の奇声を上げて、それきり敵は動かなくなった。これで残すは、後1体。攻撃の手を阻む障害がなくなったことで、いよいよ全力で戦える。
「魔法の物理少女きらら様こそ、全力でハロウィンを楽しむ魔女なんだぜ。……かかってきな、魔女たる我にこそな!」
「耐えられるかな? そーれ、いっちゃえー!!」
これは、先程までの返礼だ。振り上げられたきららのハンマーによる一撃が、研ぎ澄まされた沙羅の剣戟が、それぞれにパンプキョンシーを凍結させる。そこへアグニがブレス攻撃で仕掛ければ、待っていたとばかりに十夜が呪力を解放した。
「死霊と氷塊、好きな方で逝っちまいな!」
ハロウィンの日だけあって、今日は死霊の勢いも良い。纏わりつかれ、動けなくなったパンプキョンシーの頭上より、巨大な氷塊を振らせて押し潰し。
「ここまで凍れば、砕くのも簡単そうですね」
「菓子をくれなかった代償だ。悪戯の代わりに、木端微塵にしてやるぜ!」
苦笑しながら告げるアンクに、マサヨシが猛々しい笑みを返して答えた。それぞれの拳に宿りし地獄の炎。その力を合わせて叩き付ければ、一気に仕留めることも不可能ではない。
「我が炎に焼き尽くせぬもの無し……。我が拳に砕けぬもの無し……。我が信念、決して消えること無し……。故にこの一撃は極致に至り!」
「決めます……! 外式、双牙砕鎚(デュアルファング)!!!」
研ぎ澄まされし蒼き炎。打ち下ろされる白き炎。追い縋り、追い詰め、そして最後は全てを焼き尽くす。幾度となく、その怨敵を打ち砕くまで、解き放たれた地獄は消えることもなく。
「こいつでぇ……」
「……終わりです!!」
氷柱を溶かし、打ち砕き、二つの拳が敵を打つ。その軌跡は青白い流星の如く輝いて、残る1体のパンプキョンシーを、彼方まで吹き飛ばし殲滅した。
●Happy Halloween !
戦いの終わった商店街には、いつしか先程までの活気が戻っていた。
「どれ、ずらかるかな。片付け片付け」
「え~、もう終わりなの~? せめて、後一曲だけは歌ってもいいよね?」
散らかった場所を掃除しつつ、アルメイアは撤収準備を始めている。しかし、シルヴィアは未だ歌い足りないのか、ゲリラライブを続けながら、街のヒールに努めていた。
「結局、魔女は現れなかったか……」
「仕方ないんじゃね、それは。敵はきっちり倒したわけだし、他の場所の連中が、きっと上手くやってくれてるだろ」
本命が現れなかったことに警戒を解かないマサヨシに、十夜が言った。見れば、他の面々は、子ども達のところへ向かって色々なお菓子を配り始めている真っ最中。
「とんだトリックになってしまいましたが……これは私からのささやかなトリートです。どうぞ」
「折角の祭りなんだ、楽しんで行こうぜ!」
アンクやきららの周りには、既に山のような人だかりができていた。子ども達にしてみれば、街を守ってくれたヒーローから、直にお菓子を貰えるようなもの。思わぬサプライズになってしまったが、これで人気が出ないわけがない。
「よ~し、僕も残りのお菓子、全部配りに行っちゃおう!」
「まあ、少しばかり楽しんで行く分には、構わないでしょう」
負けじと人込みの中へ繰り出して行く沙羅に、武蔵が苦笑しながら後を追う。
「Trick or treat! Trick or treat!」
「お菓子くれないと、悪戯するぞ~♪」
夕陽の堕ちた商店街。橙色の光の中、子ども達の賑やかな声が、夜空の下でいつまでも響いていた。
作者:雷紋寺音弥 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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