三色魔女のハロウィン~業火の種火

作者:久澄零太

 夜の町を無数の異形が渡り歩き、禍々しいランタンに照らされて奇声をあげる……そう、ハロウィンのイベントだ。人々は思い思いの仮装を楽しみ、その仮装のオバケになりきってお菓子を交換する。そんな今宵限りのオバケたちの姿を、ビルの屋上から見下ろす影が四つ。
「おーおー、集まってるねぇ」
 赤の見習い魔女・フォティアは屋上の手すり越しに人々を眺め、背後に控えさせていたパンプキョンシー三人衆に下を示す。
「お前達はあそこに飛び込んで思いっきり暴れてくるんだ。そうすればきっとハロウィンの力を持った魔女が現れる。あとはそいつから力を奪って、アタイは超越の魔女になる!」
 まだ見ぬハロウィンの魔女に想いを馳せて、フォティアは火の魔女でありながら、氷のような笑みを浮かべる。
「さぁ、行きな。ハロウィンの力を持った魔女を引きずり出すんだ!!」

「皆大変だよ!」
 大神・ユキ(元気印のヘリオライダー・en0168)はコロコロと地図を広げて、とある商店街を示す。
「ハロウィンの力を求めてドリームイーターの魔女達が動き出したみたいなんだけど、皆には、赤、青、緑の3人の魔女が起こしている事件に対応して欲しいの。三魔女は屍隷兵のパンプキョンシーを用意してて、これを使ってハロウィンを楽しむ人々を襲うみたい」
 一見すれば仮装した人に見えなくもない敵の姿を描き、ユキは魔女の目的はハロウィンの力を持つ魔女を探し出して、その力を奪う事らしいと説明した上で。
「魔女……あ、皆に向かってほしい現場にはフォティアっていう魔女がパンプキョンシーを送ったんだけど、その魔女はハロウィンで盛り上がる人々を屍隷兵が襲えば、ハロウィンの力を持った魔女が現れると思ってるみたい」
 なんだかヒーローみたいだね? そう苦笑したヘリオライダーは魔女の衣装を取り出しつつ。
「パンプキョンシーが現れる場所に向かってハロウィンのイベントを楽しむ人達を助けてあげて欲しいんだけど、そのパンプキョンシーの目的がさっき言ったハロウィンの力を持った魔女を探す事なわけでしょ? だから、皆が魔女っぽい姿で、ハロウィンの力を持った魔女のフリをすれば、敵は一般の人を無視して皆に襲いかかってくるの」
 仮装、演技力、そして魔女力? といった事を問われるが、上手くやれば人払いなどせずとも、一般人を巻き込むことなく戦うことができるだろう。
「それから、三色の魔女がみんなの事をハロウィンの力を持った魔女だと思ったら、力を奪うために戦場に現れるの。その時はついでにバシッとやっつけちゃって!」
 拳を突きだし明るくいってのけるユキだが、もし現れたのならパンプキョンシーと三色の魔女、その連戦になるため消耗には留意した方がよさそうだ。
「パンプキョンシーは意思のある火の玉を飛ばしてきたり、ランタンの光で周りの人全部がオバケに見える幻覚を仕掛けてきたり、お札を貼り付けてキョンシーみたいに体を固めたりしてくるよ」
 ほら、キョンシーって体が固まってるゾンビらしいやん? お札を貼られるとキョンシーごっこができるよ☆
「せっかくのハロウィンなんだから、仮装していくのもいいかもしれないね。それこそ、皆で魔女の格好してみる?」
 ユキは全員分の魔女衣装を広げる……そう、男性ケルベロス諸君。君らも魔女衣装だよ。


参加者
パティ・パンプキン(ハロウィンの魔女っ娘・e00506)
モモ・ライジング(鎧竜騎兵・e01721)
ビスマス・テルマール(なめろう鎧装騎兵・e01893)
ケルン・ヒルデガント(ピュア耳・e02427)
アイリス・ゴールド(愛と正義の小悪魔・e04481)
野々口・晩(蝦夷黒獅子・e29721)
バラフィール・アルシク(闇と光を抱く・e32965)
曽我・小町(大空魔少女・e35148)

■リプレイ


「ハッピーハロウィン!さあ、魔女の歌を聴けーーっ!」
 ハロウィンに沸く商店街。思い思いの仮装に身を包んだ人々の視線を独り占めにした曽我・小町(大空魔少女・e35148)は南瓜色の丈の短いワンピースを揺らし、黒マントを翻す。
「ハロウィンパワー、メイクアップ☆」
 その傍らアイリス・ゴールド(愛と正義の小悪魔・e04481)が飴玉を口に含み、全身を発光させ、光の中で衣装が解けて南瓜の光と共にローブ、とんがり帽子、アームカバー……南瓜のアクセサリをあしらった衣装の数々に姿を変えて、最後にマントを大きく翻し、背後に種のような物を投げる。
「人は誰も呼ばないが、自称して愛と正義のハロウィン魔女☆マジカルパンプキン惨状♪」
 キメポーズと共にアスファルトを食い破った巨大な南瓜が現れ、目と口が彫られたそれは朧げな光を放つ。
「まるで舞台演劇じゃな……」
 ドレスアーマーに魔女帽とマントを羽織るケルン・ヒルデガント(ピュア耳・e02427)改め、スリーピー・ホロウは目元を隠す仮面のスリット越しに、小さく溜息をこぼす。
「それもよかろうて。今宵はハロウィン。老いも若いも楽しまねば惜しかろう」
 黒いローブの下で白髪を揺らすモモ・ライジング(鎧竜騎兵・e01721)は軽く腰を叩く。
「……魔法の指輪で若作りしてみたが、たまにはこんなのも悪くないのう。やはり歳はとりとうない」
「おねーさんそんなにおばーちゃんなのだ?」
「私はこれでも百年以上は生きておるわ」
「そうなのだ!?」
 モモが変身の異能なんか使うから別の人が来たと思ってるパティ・パンプキン(ハロウィンの魔女っ娘・e00506)が信じてしまった。
「南瓜だー!?」
 ビスマス・テルマール(なめろう鎧装騎兵・e01893)が台車に乗せて運んできた巨大な南瓜に子ども達から歓声が上がる。物珍しさに人が集まってくる中、南瓜帽をかぶった白黒二匹のハリネズミと、とんがり帽にワンピースの腰元をコルセットで留めた姿のビスマスが南瓜を中心にグルグルと踊り始め、南瓜が膨らみ……弾けたそこから現れたのは頭だけ南瓜で首から下がパーフェクトマッスルなバケモン……もとい、南瓜妖怪が現れた。突如現れたパンプキンマッチョにドン引きする人々だが、子ども達にドーナツを配る姿に、これも何かの演出なのだろうとホッと一安心。同時にビスマスもこっそりグッと拳を握る。
「なめろう入りドーナツ……魚臭さは全く残ってないようですね……!」
 新メニューの試食も兼ねてた!?
「トリックオアトリート!パティにもドーナツおくれなのだ♪」
 はいそこ、しれっと一般人に混じるんじゃありません。
「た、助けてくれ!」
 そんな時だった。男性の悲鳴が聞こえたのは。
「誰か……!」
 躓きながら、必死に逃げてくる彼の背後から火の玉が……咄嗟に飛び込んだ黒猫によって掻き消された。男性を庇うように身構えた黒猫はスラリと背丈を伸ばし、後ろ足で立ち上がると毛並を黒く透き通ったドレスに変えて、長い黒髪を夜風に揺らし、腕に鴉を留まらせる。
「今宵はお祭りだというのに、くだらないことで私たちを呼ばないでほしいですわ」
 月のように青い瞳を細めて、鴉が化けた杖を握る野々口・晩(蝦夷黒獅子・e29721)……じゃなくて、ノノ・ノワールレオは振り向きもせずに。
「逃げた方がいいのではなくて?」
「は、はい!!」
 腰を抜かした男性が慌てて逃げ出し、それを皮切りに人々は我先にと続く……大人の騒ぎに巻き込まれ、転んだ少女が泣き出してしまった。そっと助け起こすバラフィール・アルシク(闇と光を抱く・e32965)だが、泣き止まない少女の前でハーブを見せる。しゃくりあげる少女の前でそれが緑色の炎を上げて、ミントの香りを放つクッキーに姿を変えた。
「わぁ……」
 ゆっくりと笑顔になる少女にバラフィールはそれを差し出し。
「Happy Halloween」
 泣き止んだ少女を見つけた母親に彼女を任せ、頭を下げる女性に背を向けた。
「礼などいらぬ、急ぎここを離れなさい」
 魔女たちの前で、三人の生ける屍が口角を上げた……。


「『私たちのため』の楽しい時間を……愚劣な道化ごときが邪魔をする気?」
 バラフィールの問いかけに、屍は応えない。返答の代わりに飛んできた火の塊に、赤い宝玉をあしらった杖で地面を叩き、生み出した雷壁が進行を阻む。
「ここから過激なマジカル☆ショータイム!」
 と、小町は言いつつギターは演奏せず、後ろに回して邪魔にならないように。
「でも、あなた達は顔色が悪いわね?」
 拳を握って腰を落とし……ん?
「It’s time for a coffin break!」
 距離を詰めて顎を捉えたアッパーカット!
「死者は死者らしく、安らかに眠りなさい……」
 マジカルという名の白兵戦だこれー!?
「あら、顔色が悪いのは汚れているからではなくって?」
 ノノがバケツ一杯のお湯をバッシャー! 吹っ飛んだキョンシーに追い討ちというか、お湯をかける……んだけど、この秋の夜にお湯何か被ったら……。
(ガタガタガタガタ……)
 めっちゃ震えてるー!? そんなキョンシーを南瓜の蔓が優しく包んで温め……るわけもなく、亀甲縛りにしてぷらーん……「クッ、殺せぇ……」なんて雰囲気の哀愁漂う姿を晒すパンプキョンシー。
「ふむ、生きた屍ね。魔法薬の材料に使えるかしら?」
 モモの一言にビクッ! 身の危険を覚えたキョンシーがゆーっくり振り返ると、怪しげな呪文のように薬品のレシピを考え込むモモの姿。そっと離れようとした時、モモがポケットに手を入れて飴玉を口に。糖分が切れたタイミングが悪かったのだろう。離れようとする屍に気づいたモモが一体の肩を掴む。
「どこ行くの?ちょっと薬の材料になってほしいだけじゃない」
 それが嫌なんだよぉ!! と一体逃げ出し、残された一体が悲痛な顔で手を伸ばすがモモにズルズルと引きずられていく。
「一体逃げたのだ!追いかけっこなのだー!!」
 さぁ始まりましたハロウィン逃走中! 残された一体は役目を果たせるのでしょうか!? 後ろから迫るのは南瓜頭ことジャックと蝙蝠のハロ。二匹が追いかける中正面に回り込んだのはナメビス。咄嗟に方向転換したキョンシーですが、待ち構えたクロガとルイを踏んでしまった! これは痛い!! 地面に転がった屍の顔面にブライニクル!珍しく箱に詰められていた鬱憤でしょうか、折角オレンジと黒のリボンで飾ってもらった箱を叩きつけ乍らのしかかった! フッサフサの毛並がキョンシーの鼻を襲います!!
「ふぇ……くちゅん!」
 クシャミした途端にブライニクルが飛んで今度は……グリだ! ジャック・オ・ランタンに扮したグリが……籠で殴ったー! さらに中に入っていた飴が正に雨霰と降り注ぎ地味に痛い!! トドメを担うのはカッツェ。とんがり帽を押さえて倒れた屍の胸に着地。オレンジのスカーフを撫でながら、怯えるキョンシーに近づいて……床ドン!? 石畳に前脚をついて至近距離でパンプキョンシーを見つめて……。

 ――トゥンク。

 オチたー!? 何を言ってるか分からないと思うが、俺も正直よく分かってない。とにかく三体のキョンシーが片付いた事だけは確かなんだ。


「……ナァニコレ?」
 大きな心の動きを感じ取ったフォティアが駆け付けると、現場は悲惨だった。一体の屍は巨大な南瓜から吊るされて、頬を染めながらビクンビクン、一体は縛られてバラフィールに札を剥されながらモモが調合した奇妙な物を飲まされそうになり、最後の一体は……翼を生やした黒猫と身を寄せ合って夜景を眺めていた。
「ハロウィンを楽しむ心を感じたと思ったんだけど……」
 見回したフォティアの目についたのは、パティ。南瓜をあしらった魔女帽に、黒を基調としたゴシックワンピース、蝙蝠と南瓜頭の使い魔……ついでにハロウィンを楽しむかのようにドーナツを頬張っている。
「それでですね、魚のすり身を豆乳と合わせてありまして」
「豆乳?牛乳じゃないのだ?パティの友達に牛乳が嫌い過ぎる子がいるのだ。その子でも食べられるのかのぅ?」
 どいつも魔女っぽいが、一人だけ菓子を口にしている様子に、フォティアは問う。
「そこのちんちくりん!お前、ハロウィンの魔女か?」
「うむ!パティはハロウィンの魔女なのだ。パティは三六五日、ハロウィンパワーを溜めておる♪そしてゆくゆくは、毎日をハロウィンにしてやるのだ!!」
 ハロウィン当日にもパワーを溜めてていつ解放してるのか分かんないってツッコミはやめたげて、パティだもの。
「毎日ハロウィン……!?」
 その野望にフォティアは慄いた。自分がハロウィンにしか具現化できないように、彼女もまたハロウィンの日においては無敵なのでは? そんな不安は首を振って思考の外へ。
「かわいそうだが、妾にこのハロウィンの力があるかぎり倒すことはできないじゃろう。不運だったとあきらめてくれ」
「……え?」
 スリーピーの一言に、フォティアが固まった。
「あんたも……ハロウィンの魔女?」
「いかにも。妾こそがハロウィンの魔女、スリーピー・ホロウである……」
「ハロウィンの魔女が二人!?」
 混乱してスリーピーとパティを見比べるフォティアの背後から南瓜の蔓が迫り、片脚に絡み付いて逆さ吊りに。帽子とスカートを押さえる魔女を、一陣の風が揺らした。
「赤のショーツか、悪くない」
 ワインレッドの生地に黒のレースと真っ赤なリボンがあしらわれた、とある布をそっと胸元にしまうアイリスが改めてキメポーズ。
「ハロウィンの魔女、マジカルパンプキ……」
「きゃああああ!?」
 名乗りが終わる前に絶叫。ついでに蔓を燃やして地面に降り立ち、真っ赤になってアイリスを睨む。
「変態!痴女!バカ!!っていうかハロウィンの魔女三人目!?」
「全然魔力が無いのぅ……まだまだ見習いの若造か?」
 既に余裕のよの字もないフォティアの顔を覗き込むように、モモが視線を合わせた。
「まさか……」
「うむ、私もハロウィンの魔女であるぞ。ひっひっひ……」
 外見とは釣り合わない、年季を感じさせる不気味な笑みに、フォティアは理解した。
「アンタ達……」
「えぇ、私が、私たちが……」
 ノノの言葉に、他六名が重なる。
『ハロウィンの魔女ですわ!!』
「……」
 参加しなかったバラフィールだけ頭痛を覚えたように頭に手を当てていたが、呆れかえっていたわけではないと思う、多分、メイビー……。


「魔女たる者、月の力を……」
 ノノが天に手を翳すのだが、何も起こらない。
「……」
 サーっと、ノノの顔が青ざめていく。まぁ、そうね。本来の戦術のグラビティが活性化されてないんだもの。
「わ、私が出るだなんておこがましいですわね……お姉さま方、お願いします」
「あれ、来ないならアタイから……」
「いいのかい?」
 魔力を練ろうとするフォティアに、アイリスが問う。
「君の魔法は見たところ炎の魔法。今使ったら空気が温められて対流が生まれ、スカートがめくれてしまうんじゃないかな?」
 実際にはそこまでではないのだろうが、咄嗟のことにフォティアが一瞬躊躇した。そしてそれは、戦場において致命的である。
「Hell or treat!」
 モモの右の掌底が体勢を崩し、フォティアに続けて左手を添えた瞬間、仕込んでいたナイフが飛び出し魔女の胸に深々と突き刺さる。
「どうした?妾達を倒すのであろう?」
 ケル……もとい、スリーピーが膝でフォティアの腹を捉え、打ち上げた反対側に回り込み背を蹴りつけ追い縋るようにして絡めとる回し蹴りで引き戻し、頭を掴んで仮面の隙間から目を合わせる。
「ハロウィンは今宵限りなのじゃ。精一杯に踊るがよい」
「そう……ハロウィンは今夜だけ……だから……!」
 スリーピーが魔女を離し、射線をあければ小町が両手を重ねて腕に竜巻を纏わせていて。
「出てきたからには最後まで魔女の歌に付き合って頂戴ね?」
 一切歌ってないどころか、無詠唱で放たれる竜巻がフォティアを飲み込み、キリキリ舞いさせながら吹き飛ばしてしまう。
「ハロウィンという皆にとって楽しく美味しいイベントを利用しようとした事、悔い改めてください……」
 南瓜妖怪に化けたソウエンを大剣に変えて、重力鎖の光を纏わせるビスマス。
「ローカルウェポン、バージョンハロウィン……」
 大剣に南瓜の輝きと、なめろうの煌めきが宿る。ビスマスの背後に巨大なジャック・オ・ランタンが具現し、フォティアを嘲笑うように大声を上げた後、光の粒子に姿を変えてソウエンに取り込まれていく。
「ジャックランタンウェポンセイバー、顕現!」
 濃厚な黄光を放つ輝ける大剣は天すら穿ち、その長大過ぎる刃は振り下ろされるだけで見習い魔女など、容易く叩き潰してしまった。
「アタイは……超越の魔女に……!」
「……単純、いえ。愚直ですね」
 バラフィールはその呟きは届かないと分かって、地を這う少女を見やる。ここにハロウィンの魔女などいない。故に、仮に勝てたとしても、彼女の望みは叶わない。だというのに……。いや、それよりもだ。一体何が彼女にそうさせるのか。バラフィールの疑問を、パティが代弁した。
「なんで超越の魔女になりたいのだ?」
「『ジグラットゼクス』になるためさ……そしたら……」
 フォティアは俯いて、奥歯を噛み締める。
「ハロウィンだけじゃない、ずっと表に出られる。力の足りないアタイは、今日一日しか具現化できない……だから……!」
「じゃあ、待っててほしいのだ」
 顔を上げたフォティアを待っていたのは、パティの笑顔。
「パティが一年中ハロウィンにできたら、毎日お菓子食べ放題で、遊び放題で、フォティアもお出かけし放題なのだ!だから……」
 パティの鎌に辺り一面から光が集まっていく。目を凝らせば、その光の数々の中に人々の笑顔が浮かんでは消えていく……。
「これは……ハロウィンの魔力?」
「いえ、皆の思い出……かしら?」
 首を傾げるノノに、小町は微笑んで光の一つを撫でる。そこにはギターを弾く自分の姿。彼女のギターだけではない。アイリスの変身、ビスマスの南瓜マジック、バラフィールのクッキー……多くの人の楽しかった思い出として、あるいはたった一人の忘れられない一時として、確かに心に刻まれていったものだ。
「だから、待ってて。フォティアもずっと具現化できるようになったら」
 パティの鎌が見る間に巨大化し、ハロウィンの装飾の光を受けて、その刃を鈍く光らせる。
「その時は、お友達になって欲しいのだ」
「とも……だち……?」
 ポカンとした少女に、パティは笑った。
「ハロウィンが好きなパティ達とフォティアはきっと、仲良くなれるのだ。だから今はさよなら……ううん、『またね』なのだ」
 翻る刃を見つめる魔女の表情は、どこか穏やかなモノだった。

作者:久澄零太 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 4/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 6
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