狂騒の調べ

作者:寅杜柳

●聴衆はいなくとも
 とある地方都市の数年前に放棄されたジャズライブバー。
 大勢の人間で賑わっていたのも昔の話。放棄されてからは静まり返り、ステージと取り残されたピアノが時を重ねるのみ。
「そもそもこの世に必要なものなんて、突き詰めてしまえば一つしかない」
 夕暮れのそんな場所で羽毛の異形――ビルシャナが演説をぶっていた。
「それは音楽――何者にも縛られないジャズ、それも最初期のジャズこそがあれば他のものなんてどうだっていいのだ!」
 その宣言に、共感した信徒達が同意の叫びを返す。彼らの手にはそれぞれトランペット、クラリネットにトロンボーン、その他ジャズの為の楽器。ピアノの前にも信徒が一人。
「ここが潰れた時は駄目かと思ったが、今は存分に自由に! 好きに演奏していいんだ!」
「古くさくなんかない。常に変わり続ける強烈で新しい感動を!」
 テンションの上がった信徒達が演奏を開始する。
「そう、後の変容していった音楽など恐れるに及ばず。一期一会、即興が織りなす音楽こそ至高なのだ!」
 その場に止めるものは、誰もいなかった。

 集まったケルベロス達を前に、雨河・知香(白熊ヘリオライダー・en0259) が口を開く。
「悟りを開いてビルシャナとなった者の信者がさらに悟りを開いてビルシャナとなって、独立して新たに信者を集める事件が起きている」
 新たにビルシャナ化した人間も、元のビルシャナとなった者と同じように強い説得力を持った言葉で配下を増やそうとしている。なので一般人が配下になってしまう前にインパクトのある主張をぶつけるなりしてできるだけ正気に戻し、戦闘に巻き込まないようにしてからビルシャナを退治してほしい、と知香は説明した。
「今回のビルシャナの教義は『最初期のジャズこそが唯一至高』というモノのようで、その思想に共感した八人ほどの人間と廃ジャズライブバーに集まっているみたいだ。……様子からするに、元々このバーの常連だった人とかジャズ演奏したいけど仲間がいないとか悩んでた人達なのかもしれない」
 あと古臭いとか言われてフラストレーション貯めてた人とかもいそうで、ジャズを好きに聞いたり演奏したりできる状況にハイになってるようだと、知香が予知した印象を語る。
「説得としては一期一会の即興性を重視してる所を上手く突いたりするのもいいかもしれないな。あとは信者達、多かれ少なかれ後の時代の音楽にも触れているからそこも利用できるかもしれない」
 まあ、ビルシャナの主張を超えるインパクトが大事だろうから具体的なやり方は任せると知香は言い、次にビルシャナの能力についての説明に移る。
「ビルシャナは戦闘では一人に対して怪しげな経文で催眠、一列の相手に対しては鐘の音を響かせてトラウマ、もしくは氷輪を投げつけて氷をそれぞれ付与してくる」
 そこまで強力ではないが説得を受け入れなかった信者がいた場合、ビルシャナを守るようにケルベロス達に立ち向かってくるから注意した方がいい。あと、こちらの説得を受け入れた者は近くの入口からすぐに逃がすことができるから巻き込まずに済むだろう、と補足する。
「あと、今回現れたビルシャナは、クロエディーヴァという『音楽による救済』を教義とするビルシャナの影響でビルシャナ化したらしい。……信者からさらにビルシャナ、まるでネズミ算だな」
 いずれにせよ放置するわけにはいかない。これ以上被害が出る前によろしく頼む、と知香は説明を締めくくり、ケルベロス達を送り出した。


参加者
レヴォルト・ベルウェザー(叛逆先導アジテーター・e00754)
和郁・ゆりあ(揺すり花・e01455)
フィオネア・ディスクード(箱庭の鍵花・e03557)
パトリシア・シランス(紅蓮地獄・e10443)
メリッサ・ルゥ(メルティウィッチ・e16691)
ヨミ・カラマーゾフ(穢桜・e24685)
弐番堂・むささき(紫電の歯車・e31876)

■リプレイ

●『自由』という名の鎖
「さあ、もっと高らかに、美しいジャズ以外の醜い音楽を駆逐するように奏で――」
 ビルシャナが叫ぼうとした瞬間、廃屋の扉が真っ赤なヒールで蹴破るように開かれ、その衝撃にビルシャナとその信者達が興じていたジャズの演奏が止まる。
「何奴!? 我らのジャズの邪魔をするのは!」
 視線を向けたビルシャナ達の先にいたのは真紅の色合いに身を染めたパトリシア・シランス(紅蓮地獄・e10443)を先頭にした八人のケルベロス。
「ケルベロスよ。……ジャズは聞いたことないけど、音楽に貴賎はないでしょう」
 そう返したのはのはヨミ・カラマーゾフ(穢桜・e24685)。
「この良さを理解しようとしないとは愚かな……」
 心底信じられないようなものを見たような所作をするビルシャナ。
(「被害者が加害者になる、なんて……やるせないわ、ね」)
 絶対に、止めなくちゃと固く心に決めるのはフィオネア・ディスクード(箱庭の鍵花・e03557)。そんな彼女は音楽って詳しくないけれど、と切り出す。
「色んな音楽に触れるからこそ、そのジャンルの良さをより感じられるものなんじゃないかしら」
 一つに限定しちゃうのは勿体無いと思うんだけど、と言いかけたフィオネアをビルシャナが遮る。
「笑止! 即興で新しい調べを生み出し続けるジャズさえあれば他の醜い音楽など不要!」
「でも、ジャズって触れる機会があまり無いし、少し敷居が高く感じちゃう、のかも」
 耳馴染みのあって即興のハードルが低そうなポップスとかから始めて、少しずつジャズを広めていくのは駄目? というフィオネアの正論にも、相手は理解を示そうとしない。
「ジャズの即興性が好きなの?」
 近くにいた、トランペットを持つ男性信者に聞くのは和郁・ゆりあ(揺すり花・e01455)。彼の答えはそうだとも! と誇らしげ。
「わかった、でもポップスはどう? ねえ、このメロディきいたことない?」
 そう言うとゆりあが色々な時代のヒットしたポップスを口ずさむ。
「そんな音楽などにうつつを抜かしはしない!」
「けど、狭い定義に音楽を押し込めちゃったら、勿体なくない?」
「……ジャズってのァ、形を持たない自由な音楽から始まってる」
 そんな様子を見てメタルロッカーのレヴォルト・ベルウェザー(叛逆先導アジテーター・e00754)が口を挟む。
「けど其れは、『形を持たせてはいけない』ってェ意味じゃねェ。ジャズに大切なのは精神だ、『音楽を楽しむ』ってェ純粋な心だ」
 んでもって其れはジャズだけじゃない、全ての音楽に共通する事さァ、とも加える。
「それはそうだが……」
「『自由な音楽』って枷に囚われて自分達で狭めちまうのは、音楽の可能性を狭めちまうのは勿体無いと思わねェかい?」
 レヴォルトが、信者達に問いかける。信者達は痛い所を突かれたような表情をするが、それでもまだビルシャナの教義に心が傾いているようだ。
「即興性はないですけど、クラシックはどこか懐かしさがあっていいですの」
 子どもの頃によくお婆様と聴きました、とメリッサ・ルゥ(メルティウィッチ・e16691)が話を切り替え、クラシックの良さを語る。
「そんな単調な音楽、ジャズに敵う筈もなし!」
 きしゃーと両手を掲げてビルシャナが威嚇するが、
「いいえ、新鮮さならばクラシックはアレンジの可能性も無限大なんですよ! ロックアレンジもジャズアレンジもいいですね~」
 定番であるが故にアレンジの形も豊富だとサキュバスの少女は反論する。
「そうでござるな。確かに、一昔前のジャズは魅力的でござるが、小生は変化していく音楽にも魅力を感じるでござるよ」
 凶悪な面構えの太ましい鯖トラ猫を肩に乗せ、べべンと三味線を鳴らす赤いコートのレプリカントは弐番堂・むささき(紫電の歯車・e31876)。
「この三味線をはじめとする和楽器も、最近はクラシック、ロック、ポップ、お主達の好きなジャズの中でも使用されてきた楽器でござる」
「それは後の時代の軟弱なジャズ、私達の音楽には不要!」
「しかし日本人の魂に刻まれたこの音色と異国で生まれた音楽の共演なんぞ、まさに心揺さぶられた音楽馬鹿の所業でござるよ?」
 小生はレプリカント故そういう衝動は理解しがたいものでござるが、それが好ましい事ぐらいは分かるでござる、とむささきが胸を張る。
「そうね、確かに一番好き!って音楽はあると思うわ」
 頑なな信者達に理解を示したように、軽いノリで話しかけるのはエディス・ポランスキー(銀鎖・e19178)。
「だけど貴方達が心躍った音楽はホントにそれだけだったのかしら?」
「私達がこの音楽以外に目移りするとでも?」
 ピアノの前にいた信者の女が戸惑ったように疑問を返す。
「音楽に詳しくはないけれど……アタシは音楽を聴くと自然と体も動いちゃうわ。言葉よりも心と体に伝わるような、良い音楽ってそんなものじゃないのかしらね」
 そういう意味ではピアノの音も素敵だけど、シンセサイザーの電子音で体に訴えかける音楽も私は素敵だと思うし、心に、体に訴えかける音楽は貴方達の奏でるジャズだけじゃ決してないわ、とエディスは言う。
「ジャズ以外で体を動かしたくなるような、そんな音楽を一度も聞いたことないと言える?」
「それは……そういえば、最初にいいなと思ったのは童謡でリズムも取らずにばたばた踊ってたなぁ」
「……最後にはジャズに行きついても、それまでに聞いた全部の音楽の価値がなくなるわけじゃないんじゃない?」
 どれが最も優れてる、なんて決めるものでもないでしょう? と、ヨミが少し迷った様子の信者に問う。
「確かにちょっとやり過ぎなのかも……」
「やり過ぎなどではない! 悪しき言葉に惑わされるな!」
 心が傾きかけた信者達をビルシャナが一喝する。埒が明かない、と判断したケルベロス達は、次の作戦に移る。

●うたを、奏でよう
「よみさん、歌わないの?」
 ゆりあがヨミのブラックスライムを見て問うが、彼女は頬をぷくーっと膨らませる。
 言葉でダメなら実際の音楽で。ビルシャナは聴いた上で否定してやろうとしているのか静観している。
「さあ、セッションを始めましょう!」
 ベースを奏でるのはパトリシア。ギターを奏でる黒一点のレヴォルトとは初対面だが、他の旅団仲間とも遜色なく息を合わせ、弦楽器同士の調和の取れた旋律を創り出す。
 演奏が始まって観念したのか、ヨミが静かに歌い出す。彼女の歌への自信のなさからか辿々しくなっているものの、信者達の気を惹くには十分な声量があった。
 それを受けてゆりあが歌を口ずさみ始め、むささきの三味線が追いかけるような和の旋律で合わせる。ギターにベース、それに三味線にドラムと弦楽器多めの構成だが、三味線の独特な音色とむささきの最近学んだとは思えないほどの正確な演奏技術で独特な彩りをその演奏に与える。
 メリッサも上機嫌で歌い始めようとするが、
「めりさん! ドラム、かもん!」
「あ、そうですね。いきまーす!」
 ゆりあのインターセプトにメリッサが甘い蜂蜜色の髪を揺らし、小型のマーチングドラムで刻む小気味いいリズムはポップスのそれ。確かにこれはベタな音楽かもしれない。しかしそれは王道でもあり、現代に生きる人々の音楽性に大きなベースを与えるものだ。
(「それにしてもなんでゆりゆり止めるんでしょう。むー……」)
 微妙に納得がいかないと不服そうなメリッサだが、彼女の少し個性的すぎる歌を知る友人達は一瞬曖昧な表情をした後すぐに演奏に集中し始める。
 奏でられる曲はポップスを中心にクラシックとそのアレンジを織り交ぜた数曲。楽器構成が偏っている弱点は技量と、呼吸のあった演奏で気にならない程度になってはいる。
(「モモちゃんの誘導優しくて、まさに天使ね! 姉さんの演奏もまた上手くなってるし、むささきちゃんとレヴォルトさんの技術もすごい!」)
 仲間達の演奏に感服しながら、ゆりあは高らかに歌い上げる。
 その演奏を、白銀の髪に桃の花に体を揺らし、フィオネアは楽しんでいる。その姿を見て敵意をほんの少し削がれたか、信者達も聞く姿勢に入る。
(「皆の音楽を身近で聞けるのは役得だけど、盛り上げなきゃね」)
「素敵でしょ? 自慢の友人達なの。……ほら、一緒に踊らない?」
 エディスが軽快なステップを踏み、信者達に体を寄せて踊りに誘う。音楽に合わせダイナミックに揺らされる身体と、竜の尾。
「そもそも音楽は元々、コミュニケーションの手段だったのでしょ? 演奏が好きだったら混ざったっていいと思うわ!」
「そうだな……踊りはしないが、これに合わせないでいるとか演奏者として嫌だな」
 快活に笑う彼女につられ、信者の一人がサックスを構え演奏に合わせ始める。
(「ぽこさん最近こう、すごいなー……」)
 そんなエディスの色香に、ゆりあも歌いながら迷っている様子のサックスの信者にすすっと寄り、
「ほら、一緒にあなたたちも歌いましょ! 踊りましょ! 演奏しましょ!」
 と、隣人力を発動させウインクまじりに誘いかける。
「さあ、次はあなた達も皆で歌いましょう! 楽しいわよ?」
「そうそう、パト姐さんの言うように皆でセッションしましょう!」
 パトリシアとラブフェロモンを使ったメリッサも信者達を誘う。
 親しみやすく語りかけてきた彼女達の誘いに、少し迷った後に歌にサックスを合わせ始めた。
「そうそう! 音楽の定義にだって自由をあげちゃいましょっ!」
 テンション高く宣言するゆりあと演奏に加わった信者達をむささきは見やる。かつて己をレプリカントにした主人ほどには奏でる音楽に効力はない、と彼女は思う。
(「ただそれでも」)
 何時か心を理解し『変化』できるのであれば。
(「こうやって音楽を皆と奏で続けるのも悪くないでござる」)
 無表情ながら、正確に音を外さず仲間に寄り添うように三味線を奏でていく。
 ポップスの次は、スウィング・ジャズ。即興性の高く毎回新鮮な――別の側面で言えば、やや疲れる最初期の問題を和らげたその旋律が響き渡る。
 その音楽には本当に心からジャズを愛しているなら後世に生まれた素晴らしい名曲達の事を忘れてはいない筈だ、と訴えかけるような熱があった。
 更に勢いに乗せて光の意志と希望の歌を奏でようとしたその時、
「……私の前でそれを奏でるとは馬鹿にしてるのか貴様ら!」
 怪鳥が突然声を荒げ遮る。教義的に後の時代の音楽、それもほぼ直後のスウィングは逆鱗だったのかもしれない。氷輪を展開し攻撃に移ろうとするが、
「邪魔はさせないわ」
 それを警戒していたヨミが流星の飛び蹴りでそれを遮る。
「皆さんは早く入り口から逃げて下さい!」
 その隙に演奏を止めたケルベロス達が洗脳の解けた信者達を誘導。教祖が殺意すら向けてくるほどに豹変した姿がダメ押しになったか、彼らが避難した後に残ったのはビルシャナとケルベロス達のみ。
 そして戦闘が始まった。

●泡のように
 不可思議な経文をビルシャナが唱え、メリッサの精神を汚染しようとするがむささきが庇う。パトリシアの真紅のライドキャリバーが唸りを上げビルシャナへと突撃する。そこに主の放ったトラウマボールが追撃。さらにメリッサが飛び込み音速の拳を突きあげようとするも、羽毛に阻まれ衝撃を殺される。
「行くぜェ!! 『白銀の旗手』!!」
 レヴォルトのギターは演奏の時より一層テンションを上げ、戦士を導く白銀の旗手の勇猛を奏でむささきの傷を癒やす。
 ゆりあが精神を集中させ、不意に爆発を引き起こす。さらにエディスの雷刃が追撃をかけるが回避されるが、『春』の魔導書を広げたヨミが、花のように溢れさせた石化の呪詛を差し向けビルシャナへと戒めを与える。
「ええいうっとおしい!」
 ビルシャナの放った氷輪が前衛を狙うものの、今度は群青がその身体で受け止める。
「研ぎ澄ませ、凍てつく感覚を呼び起こし、眼前へ向かう礎となれ」
 すかさずむささきの『変革者』のための音楽がその傷を癒やす。
「守護は小生たちに任せるでござる!」
 レヴォルトがダブルネックギターを掻き鳴らし、立ち止まらず戦い続ける者達への歌で仲間を癒やす。彼だけではない。フィオネアもオーラを飛ばし、三人が過不足ないように息を合わせ回復しているためケルベロス達の消耗はほとんど無い。
「ありがとモモちゃん!」
 口にする前に正確に癒やしてくれる癒し手に感謝しつつ、パトリシアは彼女の役割に専念する。
「燃え上がれ、悲しみを焼き尽くせ! 地獄の焔に灼かれなさい!」
 彼女を包む紅のような、焔の魔力をこめた弾丸がリボルバー銃から放たれ、ビルシャナを業火で包み込む。
「――茨の中で震えなさい」
 呪いの翠を纏わせたエディスの刃がビルシャナの足を捉え、それを翠の茨で絡めとる。ゆりあがそれに連携してビルシャナに自然な動作で距離を詰め、卓越した技量で正確に敵の中心を打ち抜く。
「劣者より生み出された怒りよ。慟哭を喰らい、この一撃で報え!」
 そこに生まれた隙をヨミは見逃さず、詠唱とともに光の欠片が槍の形に収束し、動きを鈍らせたビルシャナを穿つ。
 さらにもう一段、フィオネアの声なき歌が青薔薇を咲かせ、茨でビルシャナをきつく縛りつける。
「スウィート・スウィート・ウィッチリー」
 銃の形を指で作り、その指先からメリッサが魔法の銃弾を放つ。その弾丸は回避しようとしたビルシャナを追尾、煌く軌跡を残しながらビルシャナの胸を撃ち抜いた。ビルシャナの断末魔が白い羽毛の表面を血とともに零れ落ち、青薔薇を濡らすと花は泡のように、音楽のように空気に溶けていった。

●囚われることなく
 戦闘を終えたパトリシアは愛用のジッポで煙草に火をつける。
「ちなみに三味線なのはぐんじょうを意識してでござるよ」
 三味線について尋ねてきた元信者に真顔で説明するむささき。その隣にいた無表情なぐんじょうが一瞬体を震わせたのは錯覚かもしれない。
「途中で邪魔されちゃいましたけど、もしよかったらもう一度皆で演奏しませんか?」
 メリッサがケルベロスだけでなく元信者達にも振り返り誘う。
「せっかく準備してきた事だし次はコイツで演るか?」
 ギターの代わりにサクソフォンを構えたレヴォルトが同意する。
「いいわね。私は踊っちゃおうかしら?」
 エディスもその提案にノリノリである。
「ほら、みんなも一緒にまた歌いましょ!」
「皆さんの演奏を特等席で聴けるなんて、嬉しい」
 ゆりあとフィオネアも賛同している。ヨミは微妙な表情だが聴く分には大丈夫なようだ。
「その次はみんなでカラオケ行かない?」
 パトリシアはそれだけじゃまだ足りないというように追加の提案をしている。

 その後、暫くの間音楽が流れ続けていた。自由に、思うままに奏でられたそれは、悲劇を防いだことを祝うかのようでもあった。

作者:寅杜柳 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年12月17日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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