三色魔女のハロウィン~トリック・アンド・トリック!

作者:黒塚婁

●緑の魔女
 魔女、吸血鬼、南瓜頭に妖精の羽――。
 小さな公園にそんな思い思いの仮装をした子供達が集まっていた。公園には小さな屋台のようなものが作られ、色とりどりのお菓子が並ぶ。
 後少ししたら、パレードをして、見物している親達からお菓子を貰う――その瞬間を待ちわびて、皆、きらきらと目を輝かせている。
 それを、にこやかな表情で高みより見ている魔女が一人。
 彼女のそれは仮装ではない。箒に跨がり宙に浮かび、モザイクを纏う彼女の名は、緑の未熟魔女・アネモス。
「今日の私は絶好調! 良い風が吹いてるから、絶対に赤青の魔女には負けないよ! 『王子様』にもらったチャンスだもん、絶対勝つよ!」
 朗らかに彼女は宣言すると、くるりと滑空し、地上に控えるパンプキョンシー達に指示を出す。
 あの公園を襲い、魔女を誘き寄せて――。
「ハロウィンの力を持つ魔女が現れたら、すぐに私が応援に行くから、絶対に逃がさないでね!」
 底抜けに明るい声音で、彼女はそう命じたのだった。

●招かれざる客
「ハロウィンの力を求めてドリームイーターの魔女達が動き出したようだ」
 集まったケルベロス達を一瞥した後、雁金・辰砂(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0077)はそう切り出す。
 今回事件を起こす――赤、青、緑の三人の魔女。
 彼女達はこの時の為に量産していた屍隷兵『パンプキョンシー』を使って、ハロウィンを楽しむ人々を襲撃させるようだ。
「奴らの目的はハロウィンの力を持つ魔女を探し出し、その力を奪う事らしい。ふざけた話だが、民衆を襲撃する事によって、目的の魔女が現れると考えているようだ」
 ハロウィンの力を持つ魔女とは何なのか、詳細は解らない――だが、ハロウィンを楽しんでいる人達が屍隷兵に襲われると解って、傍観するわけにはいかぬ。
 パンプキョンシーの目的は『魔女を探し出す』事のようなので、自分達がハロウィンの魔女であるように見せかければ、一般人を放置して、ケルベロスを攻撃してくる――巧く立ち回れば、特別な避難誘導をせずとも、一般人に被害を出さずに屍隷兵を撃破できるだろう。
 また、その闘いの様子を見た三色の魔女が、ハロウィンの魔力を持つ魔女であると判断すれば、戦場に現れて力を奪おうとするかもしれない――可能ならば、三色の魔女も撃破してもらいたい、辰砂はそう告げる。
 彼が予知した襲撃場所であるが、住宅街の中心にある公園だ。この日は近隣に住まう人々の企画したハロウィンの催事に使われていて、子供をはじめ、多くの一般人が集まっている。
 パンプキョンシーは道なりに正面の入り口から入ってくる――フェンスで囲まれているため、公園の入り口はそこしかないのだ。逆に考えると、万が一侵入を許せば、逃げ場もないと言えるか。
 個体の力は然程強くはないが、敵は四体いるようだ。戦闘能力についてはまとめを見るように、と辰砂は言う。
「パンプキョンシーの排除そのものは貴様らであれば問題なかろう。ハロウィンの魔女であると見せるのは誰でもよいだろうが、本物を呼び寄せようと思うならば、それなりの真に迫る必要はあるだろう……そして、三色の魔女の能力は不明だ。必ず遭遇するとも限らないが、充分注意するように」
 彼は最後にそう忠告し、説明を終えるのだった。


参加者
バレンタイン・バレット(ひかり・e00669)
ヴィヴィアン・ローゼット(色彩の聖歌・e02608)
アリシスフェイル・ヴェルフェイユ(彩壇メテオール・e03755)
植原・八千代(淫魔拳士・e05846)
八崎・伶(放浪酒人・e06365)
イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)
翡翠・風音(森と水を謳う者・e15525)
ローデッド・クレメインス(灰は灰に・e27083)

■リプレイ

●魔女と使い魔
 カボチャのランタンに、コウモリのフラッグ。お菓子を意識した看板や置物と、悪魔やお化けのマスコット。ハロウィンらしい飾り付けが施された公園は、まるで異世界のようにも感じる。
 更にそこに集う子供達は、物語から抜け出してきたような姿で駆け回っている。
 彼らの様子を見守っていたケルベロス達もまた、いつもとは違う――三人の魔女に、その使い魔。
「楽しいハロウィンを守るために、今日は魔女として頑張ります!」
 蝙蝠のついた魔女帽子を手に、イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)は意気込む。
 うんうんと楽しそうに頷くヴィヴィアン・ローゼット(色彩の聖歌・e02608)は黒い帽子とマント、黒と紫の衣装に身を包み、手にしたカボチャ型の入れ物にお菓子を詰め込んである。アネリーもお揃いだ。
 彼女と対をなすように、植原・八千代(淫魔拳士・e05846)はオレンジと黒の色彩の魔女衣装を纏う。
「今日はよろしくね、使い魔さん達」
 三人の魔女から声をかけられ、おう、と応じたのは襤褸な黒いフードコートで顔も殆ど見せぬ八崎・伶(放浪酒人・e06365)――ゾンビのように見える不気味な仮装に似合わぬ朗らかな声音である。しかし、ひとつ黙すれば、空気が一変するから不思議なものである。
 彼の傍でふわりと浮かぶ焔は、飛行の邪魔にならないよう短い黒マントと魔女帽子――帽子の影から覗く両目が光る様子は、如何にも使い魔らしく。
 恭しくかしこまりましたと応じるのは、執事とメイド。黒衣の執事姿の翡翠・風音(森と水を謳う者・e15525)とアリシスフェイル・ヴェルフェイユ(彩壇メテオール・e03755)は背に蝙蝠のつけ羽。
 シャティレも黒マントを羽織り小悪魔風に装い、行儀良く風音に寄り添っている。
 既に皆、役に入り込んでいる――思い、ローデッド・クレメインス(灰は灰に・e27083)は愉快そうに仲間達を眺めた。彼は猫耳付きなウィッチハットに、黒いマントを羽織っている。動いてマントが揺れると、ポケットに詰め込んだ菓子が時々ちらりと見える。
「兎の使い魔はそう聞かないからな」
 ――と、帽子に自前の兎耳を仕舞い込んだ彼だったが、何かに気付いたようにはたと横を見る。
 まさしく兎なバレンタイン・バレット(ひかり・e00669)が悪魔羽、黒いカボチャパンツ姿で、ひょいっと跳ねて前に出たからだ。
 だが、彼はまったく気にしていなかった。そっか、珍しいのか、とむしろ嬉しそうにしている。
 これから戦うってときだけれど、バレットは思わず破顔する。
「こんな格好だもの、なんだかおもしろいや」
 いつもと違う『奇妙な設定』まで仕立てて、着飾って戦う――そしてそれが無性に楽しく思うこの感覚こそ、ハロウィンの魔力なのかもしれない。

 ――そして、そんな楽しいひとときを破壊するものが、予知通りにやってくる。
 ひょこひょこと跳躍するような足取りの所為で、どこか不揃いな行列で、パンプキョンシーは彼らの前に現れた。
「楽しいハロウィンを邪魔する悪い子は、貴方達ですか? 私の使い魔達も黙っていませんよ!」
 真っ先にイリスがそれらの注意を惹きつけるべく、言い放つ。
「このハロウィンの魔女であるご主人様に何か御用ですか」
 不遜に、アリシスフェイルが問うた。
 当然ながら、パンプキョンシー達は返事をしない。ただ、大げさなほど首を傾げて互いを見合わせている。
 顔に貼られた符で表情は見えぬのだが、何かしら相談できているのだろうか。
「楽しいハロウィンを邪魔するなら、魔女のおしおきだよ!」
 更に、ヴィヴィアンが杖を手に前に出た。並び前に出た八千代が、構えをとりながら、
「Trick or treat!  この場にふさわしくない悪人は、このハロウィンの魔女が退治しちゃうわよ……みんなは危なくない場所に下がって私達のことを応援しててね」
 公園内にいる子供たちへ向け、声をかける。彼女の言葉に頷き、ヴィヴィアンが明るい声音で宣言した。
「とっておきの魔法を見せてあげる! 危ないからいい子は少し下がっててねー!」
 ――彼らは、パンプキョンシー達を逃さぬよう公園内引き込む策を選んだ。
 既に大人達には八千代が自分たちはケルベロスであると告げており、それなりの信頼は得ているのだが、だからこそ、彼らに危険が及ぶような事があってはならない。
「いまからココは魔女さまとおれたちの舞台となるのだー! だから、おまえたちは離れたところでみているがよいぞう!」
 バレンタインが子供達に命じ、
「さぁさ、魔女のお通りだ!  道を開けな!」
 粗雑な動きで皆を安全なところまで下げローデッドがやってくる。閉じていた薄氷の瞳が開かれ、蛍火が揺らめく。
 ざわめきは落ち着かなかったが、指示通り人々と距離が開いたことに、ほっと安心したようにイリスは息を吐く――だが、本番はここからだ。名乗りをあげるために、そのまま息を吸う。
「銀て……じゃなかった。ハロウィンの魔女、イリス・フルーリア! 参ります!」

●魔女たちと屍隷兵
 四体のパンプキョンシーは、きちんと誤認してくれたのだろう、会場では無くケルベロス達に向かって飛びかかってきた。
 決して機敏とはいえぬ動きだが、油断はできない――最初の一矢を放ったのは、バレンタイン。
「燃えろ、太陽!」
 放たれた極大のほのお。夕闇を昼間のように眩く照らす魔弾は、たちまちパンプキョンシーを呑み込んだ。
 へへ、と得意げに笑う彼の後ろから、次は黒い太陽が上がる。
 風音が配したそれは、周囲を黒い光で染め上げ、パンプキョンシー達を射すくめる。封印箱ごとシャティレが突進して、空いた空間から、一体のパンプキョンシーが地を蹴りつけ、跳ね上がる。
 が、身動きの取れぬ空中で、大きく顎を開いたドラゴンの幻影が横から食らいつく。
「邪魔しないで下さい、ご主人様は忙しいのです」
 アリシスフェイルが冷淡な視線を向けた。
 不格好に地に叩きつけられたそれの元、待ち構えていたローデッドの掌から、氷結の螺旋が放たれる――至近距離から放たれたそれは、パンプキョンシーの肩を軽く凍らせる。
 更に後方の屍隷兵が、イリスに接近しようと駆けてくるのを伶が展開した蝙蝠装飾付きのヒールドローンが並び、進路の邪魔する。
 その間へ、彼女は詠い、喚ぶ。
「常世彷徨う南瓜の炎、彼の者を縛り、煉獄へと誘わん!」
 魔女の指揮の元、ジャック・オー・ランタン型の精霊が飛び出す。
 杖を向けた先へ飛び出した精霊達がパンプキョンシーに群がる。それを庇うように前へと出た一体が、ランタンを振り回す。
 振りほどかれて、いくつかの精霊が消えると同時、仕返しとばかり次々と炎弾が飛んでくる。待ち構えていた伶とローデッドが、それぞれ分散して受け止める――ダメージは殆ど無いが、小さな炎がマントに移る。
「なさけない使い魔たちね!」
 楽しそうな声音でヴィヴィアンはそう謳い、仄かに紫色をしたサキュバスミストでそれを消す。
 殆ど全身を焦がした一体のパンプキョンシーが、ふらつきながら己の傷を修復し始めるが、背後から輝く手で掴まれ、後方へと引き寄せられる。
 魔人降臨の影響か、いつもより輝きが増した聖なる左手の力に、八千代は笑みを浮かべる。大振りなアクションで、それが子供たちに見えぬよう、マントをはためかせ隠しながら、漆黒の右手を振るう。派手な一撃で、一体を屠る。
「さあ、次はどの子が相手かしら?」
 さながらヒーローショーのような見事な身体捌きで構え直し、彼女はパンプキョンシー達を一瞥する。
 仲間がやられても、彼らの様子に変化は無い。ただ真っ直ぐに攻撃をしかけるのみ。
 それらに乱される心があるかはわからぬが――戦場に流れる、逡巡を肯定する心の曲。風音が奏でたそれで、動きが鈍るような気配はあった。
「まったく、ご主人様のお手を煩わせて」
 更にアリシスフェイルが、ブラックスライムの槍を走らせる。それに穿たれた屍隷兵の体内の毒は更に深く、身を蝕んでいく。
「バレンタインさん、やってしまってください」
「リョーカイ、魔女さま!」
 イリスが広げた翼が聖なる光を放つ――それを背にバレンタインが軽やかに駆け出す。
 飛んできた火の玉を跳躍することでひょいと躱し、そのまま獣化した拳に重力を乗せて叩きつける。更に、斜め上から振り下ろされる星型のオーラ。
 反対側から跳躍したローデッドが踵下ろしの要領で、交差するように仕掛けたのだ。
 身を守るようにカボチャのランタンを乱暴に振り上げ、逃れるためか、一矢報いるためか、二人を振り切り跳躍した。弱り切ったそれを、一筋のエネルギー光線が貫いた。
 僅かに開いた襤褸マントの前をあわせながら、
「さぁて、お次はどれを狙いましょうか」
 伶がヴィヴィアンにお伺いを立てる。彼女はそうね、としばし考える。
「とにかく派手に! 楽しく! ……風音、伴奏は任せるね」
 ヴィヴィアンが目配せすると、仰せのままに、静かに頷き風音がギターを奏でる。
「今日はハロウィーン お化けがお菓子をもらいに行くよ 魔女の力にかかれば カボチャも愉快に踊り出す ほらこの通り!」
 ヴィヴィアンが、楽しそうな振り付け交え、軽やかに唄う。
 パンプキョンシー達はカラフルな魔力の光に包まれ――その身体のコントロールが、うまく行かなくなる。まるで魔女に操られるように。
 なるほど、とフードの奥で伶は笑う。
 カボチャ型の黄金の果実を手に使い魔達を鼓舞しつつ歌う彼女は、確かに楽しそうであった。
 ボクスドラゴン達も主に負けず、忙しく宙を行き交う――アネリーは盾として前に出て、焔はブレスで追い込み、シャティレは傷付いた者の元へと駆けつける。
 パンプキョンシーもやられてばかりではない。ランタンを振り回し、極大の炎を紡ぎ出す。
 炎が放たれる前に、ローデッドは既に踏み切っていた。
「ハロウィンの魔力だかなんだか知らねェが、他人様から何かを奪おうって魂胆は気にくわねェ――ビタ一文くれてやるもんかよ」
 低く吐き捨てながら――重力から解き放たれたように、彼は高く、束の間、宙に留まる。
「――手向けだ、受け取れよ。」
 足先へ薄氷の色の炎纏わせ、重力を思い出したかのように加速し、爆ぜる青の炎獄は花の如く――ゆえに、烙花。
 オレンジ色の脆弱な炎を蹴散らし、周囲を漂う鬼火も、ランタンも破壊する。
 反動に吹いた火傷しそうなほど熱い風に兎耳を踊らせ、彼もまた足元に炎を纏いながら、バレンタインが馳せる。
 駄目押しの一撃、ぽんと跳ねて蹴り倒し、どんなもんだと振り返る。
 残されたのは後一体。
 はっ、と気合いを一つ籠め。
 衣装の裾を翻し、八千代は脚を高く上げる。強烈な回し蹴り、弾き飛ばされたパンプキョンシーは最後の意地か、反動を利用し地を蹴って天に跳ね上がる。それを許さず再び地に落とすは、風音の雷。
「嘆きの歌を紡ぎし音よ、光の鉾となりて彼の者を貫け!」
 美しくも激しい、雷鳴が織りなすかのような歌――音一つ一つが光の鉾となり、次々に撃ち込まれる。
 全身を穿たれながら叩き落とされたが、それは諦めず、まだ動こうと藻掻く。
 しかし、次など与えない――。
「今です、アリシスさん!」
 見えない地雷を一斉に起爆してその逃げ場を奪い、イリスが命じる。
「ご主人様の命により、排除させて頂きます」
 凛と前を向き、アリシスフェイルは両手を頭上高く掲げ、口を開く。
「銀から銅に至り、絶望の淵にて膝を折れ。煙鎖すは零れる涙、焔鎖すは毀れた未来、永劫無窮の業火に灼かれよ――堕天の星」
 詠唱と共に腕から指先へ向け、蔦のように淡い紫と緑の輝く茨が絡まり伸びる。それは彼女の腕を拘束し、きゅっと収縮した棘は、彼女の白い腕を傷つける――噴き出す鮮血は赤い霧となって、球体となった――そう認識した直後、発火し燃えさかる火球となり、敵へと放たれる。
 パンプキョンシーは姿も残さず消し飛ばされたのだった。

●ハロウィンと魔法
「みんな、大丈夫だった?」
 公園の奥を振り返り、八千代が問いかける。見た限り、怪我人も怯えているようなものもいない。アネモネがやってくることはなかったが、それならばそれで良い――無事、ハロウィンの会場は守られたのだ。
 既に戦闘を遠巻きに見ていた子供たちは魔女だ、使い魔だ、と畏怖というよりは憧れ――瞳を丸くして、彼らを見ていた。
 ケルベロス達は戦闘でえぐれた地面や、焦げた木々を癒やす。癒やされた空間は見たことも無いような不思議な花が咲き、前とは少し変わる。それは彼らにとってまさに、魔女達の扱う、不思議な魔法だ。
「満ちろ、秋月」
 最後に伶が秋月で、周囲を柔らかく、幻想的に照らし出した。時間も既に宵、闇を照らす不思議な光を、子供たちは素直に喜んだ。
 静かに歩み寄った風音は彼らの前で優雅に一礼して、小さな包みを手渡した――中には琥珀糖が入っている。
「協力、感謝する。これは礼だ」
 色鮮やかで美しいそれに、子供たちの歓声が上がる。シャティレもいくつか琥珀糖をもらい、彼女の隣でふわふわと浮かんでいた。
「こちらにもございますよ」
 慣れぬメイドモードを維持したまま、しかし表情は少し柔らかく、アリシスフェイルが籠を開ける。中で輝く琥珀糖は、やはり魔法のようだ。
「さーて、あっちの使い魔は優しいが、俺達はどうかな?」
 わざと低い声音を作りつつ伶が近づくと、子供たちは少し怯えた様子を見せたが、笑いながら目深に被っていたフードを取り払って菓子を見せると、すぐに表情が明るくなる。
 勇気ある子供達の突進を受け止める主とは裏腹に、焔は宙へと逃げていったが。
「ほらよ、菓子が欲しけりゃ、追いついてみな」
 ちらちらとお菓子を見せながら、ローデッドが誘う。
「おれは簡単にはつかまえられないぞう!」
 ひょいひょいと器用に駆け抜けつつ、わざとお菓子を零していくバレンタイン。
 きゃあきゃあとはしゃぐ子供たちと、魔女と使い魔たちの織りなす、小さなパレード。
 それを見つめ、ヴィヴィアンは笑みを零す。小首を傾げたアネリーに、彼女は優しく囁いた。
「魔女の魔法はね、みんなの笑顔のためにあるんだよ」
 さあ、楽しいハロウィンの続きをしよう――。

作者:黒塚婁 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 0
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