六本木の幻想魔獣~災厄襲来

作者:紫村雪乃


 六本木。
 かつては武家地であり、その後も独特の佇まいを残していた街であったが、現在は繁華街というイメージが強い。
 その六本木であるが。この時期、この街は異様な者たちの闊歩するところと変じる。
 ゾンビーがいる。魔女がいる。吸血鬼がいる。
 無論、彼らは本物の魔物でない。ハロウィンの仮装なのであった。と――。
 その魔物たちは驚いて足を止めた。遠くから迫り来る異形の群れを見出したからだ。
 マンティコア。ピッポグリフ。ペガコーン。スフィンクス。キメラ。
 神話伝説世界にのみ登場する魔獣の群れであった。
「まさか、ジグラットゼクスが直接乗り込んでくるとは……。これは、わたくし達パッチワークの魔女の作戦が滞っているのが原因なのでしょうね」
 魔物の群れの先頭を歩む女が言った。第一の魔女・ネメアである。
「こうなれば、ハロウィンの中心たる六本木の街を制圧し、パッチワークの魔女の力をジグラットゼクスに見せつけねばなりませんわ。お進みなさい、その蹄で牙で爪で、勝利を勝ち取るのです」
 ネメアが命じると、幻想魔獣の大軍勢は六本木の街に雪崩れ込んでいった。

「ハロウィンの力を求めてドリームイーターの魔女達が動き出したみたいなんです」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)がケルベロスたちにむかって口を開いた。
 ドリームイーターの主力を率いるのは、パッチワークの魔女の第一の魔女・ネメア。彼女は、幻想魔獣型の屍隷兵の軍勢を率いてハロウィンの中心地である六本木を制圧し、ハロウィンの魔力を奪い取ろうとしているのであった。
「既に六本木の中心地が六か所、ネメアと幻想魔獣の軍団によって制圧されており、そこから六本の光の柱が空に立ち上っています。この光が、おそらくハロウィンの魔力なのだと思います」
 セリカはいった。ハロウィンの魔力がどんな性質のものかは不明だが、このままドリームイーターに奪われるわけにはいかないだろう。
「皆さんには幻想魔獣の軍勢を撃退して、光の柱の撃破をお願いしたいのですが……。ただ、敵の戦力は強大であり全ての光の柱を破壊するのは難しいと思います。ですから必要に応じて戦力を集中し、出来るだけ多くの光の柱を破壊してほしいのです」
 セリカは敵の布陣について説明をはじめた。
 マンティコアの群れが守る柱は六本木中学校に、ピッポグリフの群れが守る二本目の柱は六本木グランドタワー、ペガコーンの群れが守る三本目の柱は東京都立青山公園南地区、スフィンクスの群れが守る四本目の柱は国立新美術館、キメラの群れが守る五本目の柱は東京ミッドタウン、そして残る六本目の柱は六本木ヒルズにあり、全種類の屍隷兵と第一の魔女・ネメアが守っていた。
「完全に撃退するためには数チーム以上が協力して戦う必要があります。敵の戦力に差がある為、出来るだけ多くの光の柱を撃破するならば、戦力が低い場所を優先して撃退するのが良いでしょう。充分な戦力を揃えられない場合は、敵の完全撃破では無く、光の柱を撃破して撤退する作戦も考慮する必要があるかと」
 セリカはケルベロスたちを見回すと、強ばった顔で告げた。
「六本木の街を救うことができるのは皆さんだけです。苦しい戦いになると思いますが、よろしくお願いします」


参加者
クリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397)
伊・捌号(行九・e18390)
エストレイア・ティアクライス(さすらいのメイド騎士・e24843)
キーア・フラム(黒炎竜・e27514)
プラン・クラリス(愛玩の紫水晶・e28432)
巫・結弦(射貫きの弓手・e31686)
雨宮・利香(黒刀と黒雷の黒淫魔・e35140)
紅・姫(真紅の剛剣・e36394)

■リプレイ


 六本木グランドタワー。
 東京都港区にある六本木一丁目駅に近接する複合市街施設である。近代都市のシンボルともいうべき巨大ビルであるが、今、そこは暗黒の魔城と化していた。
 その魔城を見下ろすように空を舞う影があった。ドラゴンを思わせる翼は漆黒で禍々しくはあるが、翼の主は美しい。
 黒髪をなびかせたそれは女であった。十八歳ほどであろうか。ややつり上がったアーモンド型の目といい、細く白い顎といい、いかにも気が強そうな美少女であった。名をキーア・フラム(黒炎竜・e27514)という。
「外にピッポグリフの姿は見えないようね」
 つぶやくと、あらためてキーアは六本木グランドタワーの屋上に視線を転じた。眩いばかりに輝く光の柱が天を貫くように立ち上っている。
「光の柱……」
 つぶやく声は、近くのビルの屋上で発せられた。声の主は可愛らしい娘である。大きな瞳が特徴的な童顔であるためか、実年齢より若く見える。
 名はクリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397)。ケルベロスであった。
「この柱の天辺がドリームイーターの本拠地に繋がってたりして……。なーんて、そんなご都合主義はないですよねえ。でも、ホントどこまで伸びてるんだろ?」
 クリームヒルデは天を見上げた。光の柱はどこまでものびているようで果ては見えない。ただ空を舞うキーアの姿は見受けられた。
「ハロウィンの魔力ってさ、やっぱり悪霊を集めるとか…そういうものなのかな?」
 同じく光の柱を見上げて声をもらした者がいる。その瞳に浮かんでいるのは好奇心の光だ。
 雨宮・利香(黒刀と黒雷の黒淫魔・e35140)という名のその娘は、しかしすぐにやや垂れ目ぎみの目をうんざりしたように細めた。度重なる屍隷兵の襲撃に嫌気がさしているのだ。
 その利香の表情に気づいたのだろう。巫・結弦(射貫きの弓手・e31686)という名の娘が苦く笑った。
 凛然とした美しい娘。それは、結弦は常世と現世の境界を守護していた名家の末裔であるのだが、当代には長男が生れなかったため男性として育てられてきたからであるのかもしれなかった。
「魔女に挑めないのは少し口惜しい所ですが、目の前の事柄を確実に片付けていきましょう」
 結弦はいった。どれほど遠い道のりであろうとも、一歩を踏み出せば少なくともゴールに近づいてはいるのだ。
「……そうよ」
 少女と見紛うばかりに可愛らしい娘がうなずいた。
 紅・姫(真紅の剛剣・e36394)。生真面目なドワーフの娘である。
 姫はそっと右腕に手をのばした。偽装しているためにわからないが、実は地獄化している。デウスエクスのために利き腕を失ってしまったのだった。
 デウスエクスと戦うのは、その復讐のため――では、無論ない。生真面目な姫はそんなことのためには戦わない。戦士が傷つくことは当然であるからだ。
 綺麗事かもしれないが、姫が戦うのは守るべき者のためだ。それが大いなる力をもってしまった者の義務だと姫は思っていた。
「ま、ちゃちゃっと大掃除して、気になる柱をぶっ壊しちまいましょうか! 全部は無理でも、成る可く多く壊せれば敵に損害を与えられる筈。こうも大げさに守ってるんですから、趣味で守ってるなんて事はないでしょ」
 優しげな顔には似合わぬ物騒なことをクリームヒルデはいった。すると大きな瞳が特徴的な美少女が肩をすくめてみせた。
 巫女装束をまとっているのだが、露出部分が多いために輝くような白い肌が秋の光をはねかえしている。プラン・クラリス(愛玩の紫水晶・e28432)。サキュバスの娘はぼそりと続けた。
「出来れば全部に対処したかったけれどね。手が足りないから仕方ない。少しでも光の柱を壊していくよ」
「そうっすね」
 伊・捌号(行九・e18390)という名の少女が準備運動をはじめた。
 透けるように肌の白い美少女だ。肌が白すぎて、むしろ不健康にすら感じられる。プランと同じくデウスエクスの欲望を満たす為に飼われていたサキュバスの少女である。
「それじゃ、ド派手な大仕事の時間っすよ」
「しぃ」
 唇に、その娘は指をあてた。整った顔立ちをもつ美麗な娘である。が、どこか何を感がているのかわからぬところのある娘であった。ともかく明るすぎるのだ。
「皆様、静かに、静かにですよ。奇襲というのは騎士らしくはないですが、それはそれ。この六本木を魔女のよからぬ事の舞台にはさせません」
 娘――エストレイア・ティアクライス(さすらいのメイド騎士・e24843)は六本木グランドタワーを見下ろすと、ニッと笑った。
「お任せあれ! 魔女の企みはこのメイド騎士が阻止してみせます! 一人一人の力が小さくとも、集まり力を合わせればどんな脅威も打ち砕けます!」
 その時だ。光が空で瞬いた。


 光は信号弾であった。攻撃開始の合図だ。
 ケルベロスたちはビルから飛び降りた。キーアも合流する。
 一階にピッポグリフの姿は見えなかった。おそらく敵襲に気づいて守りを固めるために退いていったのだろう。奇襲は完全に失敗となった。
「嘆いていても仕方ないわ」
 そう告げると、キーアは非常階段めざして駆け出していった。後に他の七人も続く。残る三班はそれぞれの侵入ルートめざして散っていった。
 わずか数分後のことである。ケルベロスたちは非常階段にたどり着いた。
 六本木グランドタワーは地上四十階。屋上までの距離はかなりある。それを登りきるのはケルベロスといえども難事には違いなかった。
 ケルベロスたちは非常階段に足をかけた。飛ぶように駆け上がっていく。
「危ない!」
 結弦が叫んだ。
 刹那、空を裂いて何かが疾った。それは羽根であった。
「ええいっ」
 咄嗟に先頭をゆく利香が跳び退った。が、間にあわない。空を疾る羽は彼女を切り裂いた。羽は刃の鋭さを秘めているらしい。
 その時、踊り場に異様なモノが姿をみせた。
 鷲の顔。シマウマの体躯。それは猛禽の翼をもっていた。ピッポグリフだ。
「これが終わればハロウィンなのです。あなた方に好き勝手暴れていては誰も楽しむことが出来ません」
 怖気を内に隠し、気丈に結弦は叫んだ。
 戦うことはケルベロスとして覚醒した後も怖しい。当然だ。超人存在であるケルベロスといえども傷つくし、死ぬこともあるのだから。
 けれど、世には彼女よりも弱い者たちがいる。その者たちのため、結弦はやはり戦うのだった。
 次の瞬間、ピッポグリフの足元からつる草がのびた。そして触手のようにピッポグリフにからみついた。
 ケエェェェ。
 怪鳥のように鳴くと、ピッポグリフは身をもがかせた。つる草が引きちぎられる。が、それで十分だった。
 その時には、すでに二人のケルベロスが肉薄していた。エストレイアとプランだ。そのプランにはボクスドラゴン――エイトが従っていた。自らの属性を彼女にインストールする。
 エストレイアが蹴りを放った。文字通り流星のごとき速さと重さをもった蹴りだ。魔獣の筋肉が蹴りの衝撃で軋む。
 と、プランの身が変貌した。透けるように白かった彼女の肌がなお白く、青みすらおびた。それはまるで氷河の色である。
 そのプランの背後には、いつの間にか槍騎兵が佇んでいた。氷の彫像のようにも見える氷結の騎士だ。
「いっぱい味方を呼んでみたよ、皆行って」
 プランが命じると、一斉に騎兵たちはピッポグリフを襲った。蹂躙する。
「物語に居た雪の女王ってこんな感じかな?」
 プランがつぶやいた。
 その時だ。風が唸った。視認不可能な衝撃に吹き飛ばされ、プランが階段を転げ落ちる。
 放ったのは瀕死のピッポグリフであった。
「へえ。けっこうやるね」
 利香は妖刀『供羅夢』を鞘走らせた。白光の閃きは流星のよう。刎ねられたピッポグリフの首が空を舞った。
 次の瞬間である。霧散するピッポグリフを切り散らすように羽根が疾った。さすがの利香も避けることは不可能だ。
 羽根は手裏剣のように肉をざっくりと切り裂いた。真紅の血飛沫が旋風に渦を巻く。
 がくりと姫は膝を折った。手でおさえた首の傷から血がしぶいている。利香をかばったのだった。
「姫、無茶だよ」
 さすがに利香の顔から笑みが消えた。姫の傷は深い。ケルベロスにとってさえも危険なほどに。が、と姫は片目を瞑ってみせた。
「心配ないよ。これくらい。それに、これが私の役目なのよね」
「なら、これが自分の役目っす」
 捌号の全身をするすると金属が覆った。流体金属型の武装生命体である。
 次の瞬間、強化装甲から光が放散された。オウガ粒子である。それは仲間に降り注いだ。これで仲間の超感覚がさらに鋭さを増すはずである。
「そこかぁ」
 キーアは上空を睨みつけた。空を舞うピッポグリフの姿がある。
 キーアは翼を展開させた。一気に飛翔する。
 同じ時、クリームヒルデは高らかに歌っていた。魂を奮い立たせる希望の歌だ。
 震えた魂は輝きを増した。ケルベロスたちの傷が癒えていく。
 キイィィィ。
「全て燃やし尽くしてあげるわ……!」
 ピッポグリフの咆哮とキーアの宣言が重なった。


 ピッポグリフの身体にキーアはゲシュタルトグレイブの刃をつきたてた。
 次の瞬間である。ピッポグリフの身体が炎に包まれた。禍々しい漆黒の炎に。
 それはキーアの莫大なグラビティであった。敵に突き立てた刃の先端から黒炎を流し込み、一気に殲滅するキーアの秘技である。
 通常、この秘技をキーアは多用しない。それは黒炎の威力が強力すぎ、彼女自身にも無視できないダメージを与えるからである。秘技『メギド・カタストロフ』は、いわば諸刃の剣なのであった。
 ピッポグリフの身体がじりじりと灼けていく。が、魔獣がそのままおとなしくしているはずもない。
 ピッポグリフが吼えた。咆哮は破壊音波と化し、跳び退いたキーアを追う。
 空に真紅の花が開いた。血をしぶかせ、キーアが落下する。
 受け止めたのは捌号であった。勢いを完全には殺しきれず、階段を転げ落ちる。
 と、ピッポグリフが態勢をくずした。エイトが体当りしたのだ。
「イイ夢魅せてあげる」
 プランがのばした人差し指をピッポグリフにむけた。
 轟。
 プランの指先から漆黒の弾丸が撃ち出された。それは凝縮された魔力の塊である。
 着弾の衝撃にピッポグリフは身悶えた。が、その目は恍惚としている。強烈な淫夢に精神はおろか、肉体までも破壊されつつあるのだった。

 その後、二体のピッポグリフを屠り、さらにケルベロスたちは階段を駆け上がっていった。
 それは三十五階のことである。足をとめたケルベロスたちは息をひいた。
 階段が崩れてしまっている。上にむかうには跳ぶしかないであろう。が――。
 空を舞う魔影があった。残る二体のピッポグリフである。
「……これでは跳ぶことができないわね」
 姫が呻いた。
 空を舞う時、ケルベロスたちは無防備となる。狙い撃ちされるだろう。
「私がひきつけるわ」
 翼をひろげ、キーアが翔んだ。二体のピッポグリフめがけ、空をかける。
「こっちよ」
 キーアの灼熱の弾丸を放った。地獄の業火を凝縮したものだ。
 ギィ。
 炎弾に灼かれたピッポグリフが苦悶した。すると他のピッポグリフが翼を振った。唸り飛ぶのは刃と化した羽根である。
「くっ」
 羽根に切り裂かれ、キーアの腕から鮮血がしぶいた。

 次々とケルベロスたちは跳んだ。が、その前にピッポグリフが立ちはだかった。
 キーアはどうしたか。彼女は鮮血にまみれ、階段を落下していった。
「キーアさん」
 振り返り、クリームヒルデはオーラを放った。すべての呪縛を断ち切る自由無碍の気魂である。自由落下しつつあったキーアの傷が癒着していく。
「仲間を傷つけた礼をするっす」
 捌号が跳んだ。白玲たる姿であるが、その様はむしろ猛禽だ。光を空に刻みつつ、捌号は蹴りをピッポグリフにぶち込んだ。
 刹那だ。衝撃が捌号を襲った。いや――。
 暴風の破壊力に壁に叩きつけら姫であった。捌号をかばったのである。衝撃にコンクリートの壁に亀裂がはしった。
「くっ」
 筋肉と骨の軋む激痛に、しかしむしろ姫の瞳に敵愾の炎が燃え上がった。コンクリート片を撒き散らしつつ、姫は蹴りを放った。
 ピッポグリフはわずかに身動ぎした。姫の蹴りを躱す。
「いひひ」
 笑う声はピッポグリフの耳元でした。利香だ。
 魔獣の目に恐怖の色が滲んだ時、その身体は分断された。自らの筋肉に魔力の電流を流し込むことで一時的に身体能力を賦活化させ、音速の速さで利香が切り刻んだのである。
「雷迅月翔斬!」
 利香の口から太い息がもれた一瞬後、ピッポグリフの肉体は霧散した。
 ケエェェェ。
 残る一体のピッポグリフが羽根を放った。それをあえて受け止めたのはエストレイアである。鮮血をしぶかせつつ、エストレイアは言い放った。
「騎士が退くことはないのですよ」
 エストレイアの背後で光が煌めいた。光の翼を広げたのである。
「逃しません! そこで暫くお待ち下さい!」
 翼を無数の剣へと変化させ、エストレイアは放った。それは空を疾り、ピッポグリフを空間そのものに縫いとめた。
 その眼前、躍り上がった者がある。結弦だ。
「ハロウィンも、クリスマスも、いいえ、未来永劫みんなが楽しく暮らせるように」
 結弦の指輪から光が噴出。それを刃状に収束させ、結弦はピッポグリフを切り裂いた。
「傷を刻んであげる」
 結弦が刻んだ傷をえぐるようにナイフの刃が疾った。なんでたまろう。分断されたピッポグリフを背景として、プランは地に降り立った。


 八人のケルベロスたちが屋上にたどり着いた。見渡せば他の三班のケルベロスたちの姿も見える。ほぼ同時に到着したのだ。
 屋上にはまだピッポグリフの姿があった。一斉にケルベロスたちが襲いかかる。
 ピッポグリフとの戦い。光の柱への攻撃。それは同時に行われた。
 クリームヒルデの手から漆黒の鎖が飛ぶ。捌号の蹴りが空をきる。エストレイアの手の第二星厄剣アスティリオが炎をまとい、ピッポグリフを断ち切った。
 さらにキーアの炎がピッポグリフを消し炭にした。結弦はピッポグリフを地に縛り付ける。とどめは姫の蹴りだ。
「残るのは柱だけだね」
「いひひ……♪ 一気に潰しちゃうよ」
 プランの命じた凍結騎士が柱に激突、利香の刃が視認不可能な速度で切り刻んだ。他のケルベロスたちの攻撃も炸裂する。そして――。
 柱が砕け散った。光の粒子が嵐のように渦を巻く。
 どれほど時が経ったか。
 光の柱は消失していた。ピッポグリフの姿もない。
 静寂が世界にもどっていた。聞こえるのは秋の風の音だけである。
 こうして今回の作戦は終了した。が、柱はまだ四本残っている。六本木の戦いは始まったばかりであった。

作者:紫村雪乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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