お菓子作りのドリームイーター~甘いしあわせ

作者:菖蒲


 そこにあったのは静謐だった。穏やかな海底を思わせるその場所はモザイクに包まれ、一目見て異質なものだと判別できた。
 ガーデンテラスで行われていた和やかなティーパーティー。四人の魔女が立去った後、残された食器を片付けるためにテーブルへと近づいたパティシエール鈴音は、びくりと肩を揺らした。
 パティシエたる彼女は、自身の作った菓子を好ましいと笑う様に食す『王子様』に酷く動揺していた。彼の持つ『抗えぬ恋心』は鈴音の心に火をつけたのだ。
 こくり、と喉を鳴らした彼女は狂気的な恋心を抱き肩を震わせる。ぱちり、と幾度も瞬き首を振った彼女へと『王子様』は囁いた。
「ママには負けるが、良いケーキだ。君も行き給え」

 ――かちゃかちゃ、と音が鳴っている。
 ハロウィンは子供たちが菓子を楽しむ時期だ。その準備に取り掛かっている一人のおんなの手は突如として止まった。手にしていたボオルからは混ぜかけの生地が零れていく。
「ッ――」
 その胸に突き刺されているのはドリームイーターの鍵。その場所から生まれ落ちたのは楽し気な夢喰いだった。
「私はおいしいお菓子です。でも、お菓子だからと言って、子供たちに食べられるのはおかしいわ♪」
 楽し気に歌謡うドリームイーターは幸せそうに頬を緩ませる。ハロウィンは子供達がお菓子を求めて練り歩く、そんなのナンセンスだとドリームイーターは手を打ち合わせる。
「そうだわ、そうだわ♪ ハロウィンなんだもの。お菓子が子供食べたっていいじゃない♪
 そうしましょう、きっと楽しい楽しい一日になるわ、さあ、甘いお菓子はいかが?」


 ぱたぱたと手を揺らし「みなさん!」とケルベロス呼んだ笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)は魔女のような仮装をしていた。
「ハロウィンです! は、そ、そうではなく。ハロウィンの力を求めてドリームイーターの魔女さんが動き出したのです!」
 小さなねむはその体を使って大変だと言う事をアピールしてくる。
 これに関連する事件の一つ、菓子作りをしていた女性が突如現れたドリームイーターのカギに貫かれドリームイーターを生み出してしまう事件が発生したのだという。
「それで、ええと、生み出されたドリームイーターはお菓子の様に可愛いのですが、可愛いのは外見だけで、子供を食べてしまおうとしているのです!」
 何処か慌てた様に言うねむの言葉は不安げだ。
 お菓子を食べたいと願い練り歩く子供たちを逆に食べてしまうというのは何とも危険がいっぱいなハロウィンパーティーになりそうだ。
「ドリームイーターは街中で子供たちを狙っているのです。そうですね、ちょっぴり周辺には気を付けたほうが良さそうです!
 それから、ええと、まるでショートケーキの様に可愛らしい外見をしているドリームイーターなので一目でわかると思います」
 かわいらしいショートケーキのドリームイーターはその外見に似合わず暴力的なのだという。クラッシャーとして行動し、破壊活動に勤しんでくることが想像されるそうだ。
「なんだか、可愛い外見なのに、とってもとってもびっくりしますね……」
 ふる、と震えたねむはスカートの裾を握りしめ、大変ですよぉと震えて見せた。
「たのしいたのしいハロウィンをけがすなんてもっての外なのです!
 皆さんのお力が必要です。どうか、楽しいハロウィンにお菓子を」
 ぐぐ、と掌に力を入れたねむは楽しいハロウィンのために頑張るぞと力を込めて拳を突き上げた。


参加者
八千代・夜散(濫觴・e01441)
ブリュンヒルト・ビエロフカ(活嘩騒乱の拳・e07817)
イジュ・オドラータ(白星花・e15644)
四月一日・てまり(カストール・e17130)
玄乃・こころ(夢喰狩人・e28168)
リリー・リー(輝石の花・e28999)
朧・陽葵(不調和オートマタ・e36285)
六連・コノエ(黄昏・e36779)

■リプレイ


 華やぐ街には甘い香りが漂った。ハロウィンを楽しむ街並みには黒とオレンジの装飾が施されている。籠には沢山のチョコレイト。キャンディをぺろりと舐め乍ら、エプロンドレスを楽し気に揺らしたイジュ・オドラータ(白星花・e15644)は踊るように公民館へと向かう。その足取りは楽し気で、トリックオアトリートの掛け声が今にも聞こえてきそうである。
 子供の様に無垢に頬を緩め、甘い香りを探すイジュを追い掛けて、リュネットとラグランジュがきょろりと進む。
 桃色のエプロンドレスは不思議の国から現れたかのよう。黒白のニーハイソックスに包まれた足は迷いなく進みゆく。「怖いおばけが出てきちゃうから、中で待っててね?」と柔らかに声かけて、四月一日・てまり(カストール・e17130)は良い子にできたご褒美をバスケットに詰め込んだことを思い出す。
「わあ、おいしそうな匂いなのね! いいこにするのよ!」
 ぱたりと羽を動かして今日は南瓜のプリンセス、リリー・リー(輝石の花・e28999)はアメジストの瞳をきらりと輝かす。背伸びしたヒールがかつかつと音を立て並んだ石畳にリズムつける。
「甘い匂いに誘われて、ドラキュラだって現れてしまうよ。ほら、いい子にね?」
 黒衣のマントを翻し六連・コノエ(黄昏・e36779)は子供達を公民館へと誘った。勿論、悪い魔女だって来てしまうと冗談めかして朧・陽葵(不調和オートマタ・e36285)は口角上げる。
「悪い魔女さんがくるの?」
「ああ、だから魔法でやっつけてやるんだ。ハロウィンの為の大仕事だぜ」
 に、と笑った陽葵に子供達はすごぉいと楽し気に手を叩く。公民館の中で待って居ると手を振る彼らに手を振って玄乃・こころ(夢喰狩人・e28168)はおどろおどろしく飾って見せた。
 玩具箱の様に鎮座した相棒に視線をやって、宵闇の華の如く猟犬の矜持を肩に掛けたこころの傍らで周囲をきょろりと見回したブリュンヒルト・ビエロフカ(活嘩騒乱の拳・e07817)は祭りの気配に心を躍らせる。切れ長の赤の瞳は甘い薫に誘われるように揺れ動いて。
「上等じゃねェか。ハロウィン!」
「ああ。小さなお客様のエスコートを終えたら、招かれざる客人にはお帰り頂かねば」
 獣の耳に尻尾を生やし燕尾服を身に着けた八千代・夜散(濫觴・e01441)はジャック・オ・ランタンを揺らし意地悪く笑って見せる。瑠璃色の瞳は周囲をきょろりと見回して宵闇より来る客人を捉えては細められた。
「トリック・オア・トリート! あまいショートケーキちゃんはリィがはらぺこいっぱい食べちゃうのよ!」
 小さなプリンセスの手を取って狼執事は「姫のご気分の儘」と嘯いた。作り物の蝙蝠装飾が風で揺れている。ほら、運ばれるのは甘いクリームの薫りだ。


 ロングコートに宵の闇。風に揺れるは番犬の証。かつり、とブーツを音鳴らしこころは伽藍の瞳をゆらりと揺らす――柳の下には何とやら、朽ちたのは心か躰か、『こころ』は今宵も咲き乱れようぞと口にする。
「伽藍開封……武装顕現」
 小さく口にしたこころの前にガランが姿を現した。甘い香りの夢喰にちりりと燻る気がした感情は気のせいなのだと飲み込んで。
 ぐん、とその身を躍らせた夢喰いより馨るクリームにきゅうと腹を鳴らしてリリーは虹色のスイッチをぽちりと押した。『わくわく』は弾ける様に夢喰いを包み込む。
 その視界とは反対側から夜散は「ショートケーキか? 『甘い』相手だな」と軽口を叩いて見せた。手にした惨殺ナイフの切っ先がきらりと光る。固いアスファルトを蹴り、一気に肉薄すれば甘い香りが鼻先をつんと刺激する。
「ハロウィンなのに南瓜要素が無ェ敵だなァ――ま、可愛いは正義って奴か」
「可愛くったっても楽しいハロウィンを邪魔するなら悪だよ!」
 ぷう、と頬を膨らませたイジュは拗ねた様に夜散を見る。常ならば前線で大暴れする少女は今日は幸福を魔法に込めて支援役として立ち回っていた。
「カハハッ、ハロウィンらしく化けて出てくれたんじゃねーか!」
 これも悪戯だと言うようにブリュンヒルトは拳を打ち合わせ、女海賊として豪快に前線へと飛び込んだ。夜散の一手に体勢を僅かに逸らせた夢喰の隙を狙いすませて拳を突き立てる。
 ぐん、と身を捻る夜散は『獣の如く』肉を断つ。その甘い血潮を浴びるが如く『女海賊は強欲』に前線でダンスを踊る。
 悪戯めいた攻撃を遮るようにてまりはスカートを揺らす。控えめに飾ったエプロンのフリルが静かに揺れて、楽しい思い出を汚されまいとお守り飾る如意棒で地面を付いた。
(「お母さん――私、がんばるよ。楽しかったもんね、ハロウィン……!」)
 嘗ての日を思い出し、母への想いを飲み込んでてまりは顔上げる。宝物は幻の色彩混ざる薔薇の花。大切な世界がきらりと煌めき弾丸となって夢喰穿つ。
 地球のハロウィンはどんなものかと気になりながらコノエは侵略を防ぐが為にラグランジュを前線へと送り出す。微睡み映した代々の瞳はゆっくりと細められた。
「ショートケーキ」
「美味しそう、だろ?」
 リリーの言葉に陽葵は小さく笑う。甘いお菓子は美味しく頂くからこそだ。頬を赤くしたリリーは首をふるりと振って気合を入れた。
「甘いものは誰かを幸せにできる魔法。ハロウィンならなおさら。
 ……なのに子供を食べちゃうなんてそんな悪さ、ぜったい許さないんだからっ!」
 頬を膨らませたイジュは若草色の髪を風に揺らす。きらきらと輝く日常を汚す事は許せない――歩むなら、常に明るい道行が良い。
(「本格的な侵略……なのかしら。夢喰いめ……好きにはさせない」)
 ちりりと心を燻らせたこころの傍らでリリーがむくれながら「きらぁい」と首を振る。髪に飾った百合の花はその仕草で大きく揺れる。
「リィの大好きなハロウィンを壊しちゃうのはゆるさないの!」
 公民館より伺い視る子供の姿に気付き陽葵は悪戯めいた笑みを浮かべて「今から魔法を使うんだ。終わったら美味しいお菓子をやるから中に入ってろ」と魔法使いの杖の様に飾ったハンマーをぐるりと回す。
「魔女さんはいい魔女さん?」
「さあ――どうだろうな? それは終わってからのお楽しみだ」


 自前の羽はあるけれど、偶には違った仮装も善くて。退廃的な雰囲気のマントだって憧れだ。「ランジュ」と可愛らしく蝙蝠の羽を飾った相棒へと視線をやればふい、と逸らす様にラグランジュは前線へと飛び込んだ。
(「――いらないのかな?」)
 くす、と唇に笑み浮かべコノエは楽しいハロウィンを悲劇で彩らぬよう地面をける。対の片割れ――夜明けと共に発ち真昼を集める槍の穂先をぐるりと回す。
「誰も悲しませることが無いように頑張ろうか」
「えいえいおー! なの!」
 ぴょこりと跳ね上がったリリーと共にリュネットが動き出す。癒しの気配を纏いながら「いっぱい殴られたって負けないんだから」と相棒に後押しされたリリーが拗ねた様に虹の軌跡描く。大好きなハロウィンを『悪戯』で血色に染められてしまっては堪らない。
 少女の言葉に同調するようにイジュはこくりと頷いた。つまさき刻むに三日月の輪舞に嵩ね、朽ち星の願いを飾り少女は乞い謳う。
 Lalala――星は、月は、ここにいる。目が眩むほどに回って回って、踊り続けて。星の気配に身をよせて唇で弧を描くブリュンヒルトが拳固める。踊りならば彼女も得意、真っ直ぐ行ってぶん殴る。
「さーぁて、こっちだぜ!」
 リズムに踊るようにひらりと身を揺らした夢喰いの眼前に飛び込んで甘ったるいかおりにブリュンヒルトが目を細める。
 柔らかなスポンジにたっぷりのクリィム。苺は愛情込めて秘密の様に挟まれて。少女の夢の様に甘ったるい夢喰いに胸やけ覚えぬようにと陽葵は神秘を映す。
「甘すぎて、吐き気でも催しそうだ」
 吐き捨てる様に呟いて、熱に魘される身を突き動かしてからりと笑った彼女の後方でコノエは茫と瞳を細める。微睡落ちる様に描く星の軌跡に合わせ浄化の光が夢喰いを蝕んだ。
「――――!」
「お話もできねぇって感じだな? ケーキだから当たり前か」
 小さく笑った陽葵に「ケーキさんもお話しできるなの?」とリリーがぱちりと瞬いた。
 小さな彼女を庇う様に身を投じたこころがちら、と目配せ一つ。癒しを請け負うリュネットがぴょこりと大きく跳ね上がる。
 ショートケーキの様な甘ったるい外見とは対照的に前線へと飛び込むその一撃は確かに重い。眉根を顰めたこころの爪先が地面をたん、と叩く。
「甘いのは外見だけ、ってか?」
 甘いお菓子を食べれば人々は笑顔になるだろう。勿論、その為にスウィーツは存在しているはずなのだ。その笑顔を悪用し、子供達を喰らわんとする所業に陽葵は闘志を燃やし浄化の光で夢喰い包む。
(「さみぃ……」)
 秋風にぶるりと体を揺らした陽葵の傍らを走り抜け、てまりは「お菓子もない、暴力だけ、なら悪戯じゃなくて――」
 跳ね上がったその儘に、気合十分。彼女の手元から植物の蔓がぐるりと伸びる。
「お仕置きだね!」
 甘いプチシューは今はお留守番。目で追って、弱点を探す彼女はその身を一転させ、ダンスを踊るようにアスファルトを蹴った夢喰いを追い掛ける。
(「中々しぶといんだね……!」)
 植物の蔓が桃色のアリスに絡みつく。薔薇の迷路を抜けるかの如く、彼女にしゅるりと絡むそれは今はハートの女王の様に口にする。
「首をお刎ね!」
「いいねェ――まるで『不思議の国』だ」
 夜散のナイフがひゅ、と風を切る。桃色のアリスの仰せの儘に、刃は夢喰いの首を狙って振るわれる。
 月のワルツに音乗せてイジュは歌い癒しを分け与える。おばあさんを食べてしまう狼は今では甘いショートケーキを装って――おばあさんと一緒に食べられてしまう訳にはいかないの、と唇は嘯いた。
「どうして、そんなにお耳が大きいの?」
「――それはね、『私達の声を聴くため』だよ!」
 ぐん、と肉薄したてまりの言葉に夢喰いが俯いた。フリルが揺れる、そして眼前には薄紅の光輝く弾丸。
 鈍い音立てて夢喰いの身が揺らぐ。しかと両目でとらえたコノエはてちてちと歩む相棒の名を呼んで、手をぱんと叩いて見せる。
「さあ、悪戯(おはなし)はそろそろ終わり――良い事をひとつ教えたくなる……かもしれないねぇ」
 コノエの唇に笑み浮かぶ。ショートケーキの甘い香りを払うように彼は黒衣を翻した。
 虚空を見据えた主人の傍らでガランが夢喰いを捉えれば、好機と言わんばかりにブリュンヒルトが飛び込んだ。
「ほら、甘い時間はおしまいだぜっ!?」
 鋭い一撃を受け夢喰いの体がアスファルトへ倒される。さあ、リズムに乗るのはもうおしまい、イジュが小さく息を吸う。
 今日は合言葉は決まっているでしょう? 折角のハロウィンなのだから。
「トリックオア――」
 ぐん、と夜散が前進する。その言葉に夢喰いが顔上げる。クリィム模った甘いスカートが秋風に揺れる。ぐん、とその身を捻り刃が掌か離れた。
 は、と顔を上げた夢喰いの眼前に飛び込んで青年は『慇懃無礼』に獣の如く笑うのだ。
 狼執事は言う。『さっき女王様が言ったんだ』と。
『お菓子が子供を食べてしまうなんて、なんておかしい話なのかしら!』
 がしゃん、と音たて落ちるギロチン。続く言葉は、
「――トリート」


「っと……」
 ぐ、と背を伸ばし秋風を肺いっぱいに吸い込んだブリュンヒルトは周囲の片づけを進め乍ら公民館の入口に視線を向けた。
 被害はなく、子供達は素直に公民館の中で『いいこ』にしていたのだろう。静寂が周囲に満ちた時、ざわりと一つ沸き立つところがある。
 後片付けを行っていたコノエの足元でラグランジュが僅かに揺れる。どうやらアグランジュにとってはお揃いの羽はお気に召さなかったようだ。
「残念だな」
 肩を竦めるコノエにティーポットを思わせるラグランジュはほわりと蒼の煙を纏わせて拗ねる様にそっぽ向く。その様子に小さく笑った陽葵は「さて、主役のお出ましだぜ」と可愛らしいかんばせを綻ばせた。
 お菓子の魔女は公民館の入口より伺う様な眼差しを向ける子供達を手招いた。どうだろう、出ても大丈夫なのかしら、口々に状況を伺う子供達をちらりと見やりこころは可愛らしいものだなと口元にだけ笑みを浮かべる。
 片付けを担う彼女はあまり感情の表現が得意ではない。伽藍洞のこころはガランと共にその様子を柔らかな気配で見守った。
「皆、ちゃんといい子にしてたね! 大丈夫、約束は守るよ」
 にんまりと笑ったてまりはバスケットたっぷりのプチシューを抱え上げる。桃色のアリスは不思議の国でのお茶会を思い出した様にうっとりと甘いクリームの香りに包まれて子供達を手招いた。
「大丈夫だよ! 出ておいでっ」
 へらりと笑ったイジュは甘いお菓子の香りを纏い、森で動物たちと遊ぶ赤ずきんの如く子供達を手招いた。悪い狼さんはもういない、猟師の役を熟してしまった彼女の笑顔は華やいで。
 その笑顔にほ、と胸を撫で下ろした陽葵は昂る熱を払う様にゆっくりと壁を背に凭れ掛かる。仮装した子供たちは次々にてまりのプチシューを求めて走り寄ってくる。
(「ハッピーエンド……いいねェ、そういうのは嫌いじゃないさ」)
 喉慣らし小さく笑ったブリュンヒルトの手を引いてリリーは「みんなの所にいきましょうなの!」とリュネットと共に微笑んだ。
「南瓜のクッキーなら準備したの! ねぇねぇ、合言葉を教えて欲しいのよ!」
「あいことば?」
 きらきらと瞳を輝かせたリリーはリネットと共に踊るようにステップ踏んだ。かぼちゃのプリンセスは今日は子供たちと遊ぶ日なのだと手招いて。
 子供達はきょろりと瞳を揺れ動かす。もう皆知っているのだ。勿体付けてプチシュークリームとかぼちゃのクッキーが欲しいのだと身を揺らす。
 小さな悪魔は猟犬達の持つお菓子に夢中だと頬を緩ませ手を伸ばす。
 唇に指当てて夜散は小さく笑う。狼執事はルールに忠実だ。
「ハッピーハロウィン」
 それよりも、大切な言葉が一つある。
 さあ、この日にとっておきの合言葉をもう一度口にしよう。
 ――トリック・オア・トリート!

作者:菖蒲 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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