生者必滅の理

作者:あき缶

●死なずの君は生者と言えず
 ぐさ、ぐさ、と刃が人間の肉を貫いては血と絶叫を溢れさせた。
「そうだ、もっと足掻け。どうしたどうした」
 鬼面の甲冑に身を包む巨人は面白げに刃を上下させた。
「死ぬ間際の、生命の灯火が一瞬輝く様こそ、至高。輝きを見せろ、そして俺の糧となれ」
 巨人は目を細めるが、刺し穿つ人間がろくに抵抗もできず事切れたので、不愉快そうに遺骸を蹴り飛ばした。
「くそ、こんな虫ケラのような弱者。ろくに輝きもせんし旨くもない」
 巨人はイライラと周囲に向けてがなる。
「我が名はサナイ! 誰か俺を殺せるものは居ないか!」
 そして巨人は刃で怯える人々の腹を掻っ捌きながら呟く。
「居るはずもないか。俺はエインヘリアル。死なずの者。死なない死合なんぞ、クッソつまらねえ。勇者の選定とか何とか言いやがって、なりたくもねえもんにさせられちまったな」
 アスガルドではどれだけ暴れても、相手はコギトエルゴスムになるだけ。
 そんな結果が面白くなくて暴れた結果、彼は重罪人として収監されたのだ。
 長い時の末、ようやく解放された彼は、こうしてアスガルドから使い捨ての尖兵として地球に放り捨てられた。
「ここでは小さな輝きはある、あのアスガルドよりは楽しいか……」
 不服げに巨人はもう一人、人間を叩き潰した。

●死なずを殺す者
 香久山・いかる(天降り付くヘリオライダー・en0042)が予知したのは、重罪人たるエインヘリアルが地球に落とされ、虐殺の限りを尽くす事件だった。
「殺人だけを……いや、殺す直前に見せる人の足掻きを見るのが好きっちゅう悪趣味なエインヘリアルや」
 このまま蹂躙させていれば、大量の人命が散るばかりか、虐殺による恐怖と憎悪によってエインヘリアルの定命化が遅れていく。
「本人も、殺せるものは居ないか! なんぞと喚きながら暴れとる。お望みなら、殺してやろうって話やね」
 このサナイというエインヘリアルは、強者であるケルベロスがやってくれば、一般人という歯ごたえのない相手は歯牙にもかけないようになる。
「相手は一体、逃げることもない。白昼の街中やけど、一般の人のことは気にせんでもええ。純粋に戦ってくれればそれでええんや」
 ただし、サナイはアスガルドでも凶悪犯罪者として収監されていた――それなりの手練と言える。
「強い、と思うわ。君らが束になってかかってようやく対等というところやろうね」
 武者鎧姿のサナイの武器は巨大なる日本刀とゲシュタルトグレイブがそれぞれ一振りずつ。
「不死者になったことがご不満の様子や。皆で死を与えてやれば、ウィンウィンちゃうか」
 といかるが言うと、ユーデリケ・ソニア(幽世幼姫・en0235)は神妙な顔で頷いた。
「ヴァルキュリアとして……思うところがないわけではないが……。しかしそれはそれ、とにかく人々を脅かす敵は、ケルベロスとして断固許せぬ!」
 ケルベロスは彼女の言葉に同意を示し、ヘリオンに乗り込んでいくのだった。


参加者
ベルンハルト・オクト(鋼の金獅子・e00806)
エルボレアス・ベアルカーティス(死地の蒼華・e01268)
嵐城・タツマ(ヘルヴァフィスト・e03283)
ウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426)
バジル・ハーバルガーデン(薔薇庭園の守り人・e05462)
アイオーニオン・クリュスタッロス(凍傷ソーダライト・e10107)
リカルド・アーヴェント(彷徨いの絶風機人・e22893)
セリア・ディヴィニティ(忘却の蒼・e24288)

■リプレイ

●戦闘の報酬とは
 エインヘリアルが、逃げ惑う人民に刃を振り下ろそうとしたとき、冷徹な声がその手を止めた。
「弱い者イジメで全能感に浸ってるなんざまるでガキだな」
 声の主は嵐城・タツマ(ヘルヴァフィスト・e03283)だ。彼の緑の目はまっすぐにエインヘリアルを捉えている。
「む」
 一旦振り上げた刀をおさめ、エインヘリアルは足元に寄ってきた九人のケルベロスを認める。
「お前たちがケルベロス……デウスエクスを殺しきるという連中だな」
「いかにも、わしらがケルベロスじゃ!」
 ユーデリケ・ソニア(幽世幼姫・en0235)が頷く。
 エインヘリアルは、ユーデリケとセリア・ディヴィニティ(忘却の蒼・e24288)の光翼を見るなり、忌々しげに顔を歪める。
「俺を死に損ないにした連中のお仲間がいやがる」
 セリアはただ涼しい顔で、その不愉快を絵に描いたような彼の表情を眺めている。
 誰が掬い上げた魂か。それは定かでは無いけれど、此れが同胞の不始末の結果なら――。
(「せめて、後始末の一端を担うべきでしょう」)
 嘗ては選定を担ったヴァルキュリアとして、そしてケルベロスとして、セリアはただ務めを果たすつもりだ。
「昏い永遠の死がお望みならば。お前の歪み曇ったその魂……冥府の海へ送り届けてあげるわ」
「殺しうるというなら、殺してみろ。我が名はサナイ! 俺を殺せる者を探している!」
 セリアの言葉に応じるように名乗りをあげたサナイは、ぶぅんっと握ったグレイブを横に薙ぐ。
 グレイブで散らされる前衛の間を掻い潜り、
「剣は示現、名はベルンハルト。――推して参る」
 静かに名乗り返し、ベルンハルト・オクト(鋼の金獅子・e00806)は、振り抜いたサナイの隙を突いた。だが確かに肉に突き刺さったベルンハルトの日本刀に、サナイは苦悶どころか、愉悦の笑みを浮かべるではないか。
「ふふ、殺しきると豪語するならば、そうでなくては。そぉおおでなくてはなああ」
 びりびりと大気を震わせて歓喜する様はまさに狂戦士、死狂いと呼ぶにふさわしい。
「己の不死を嘆くエインヘリアルがおったとはのう」
 グレイブの衝撃を、ぐっと足を踏みしめて耐えたウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426)は意外そうに目を瞬かせた。
「じゃが、やっていることは他のエインヘリアルと変わらぬのう」
 ウィゼはドローンを前衛に撒く。ヴァルキュリアが選定するほどなのだから、きっと生前は立派な武人であったろう。それがこんなザマになるとは。
「テメーがくたばる直前に、どれだけ輝くか試してやるぜ」
 即体勢を整え、タツマはサナイに迫る。タツマの全身をオウガメタルの銀が覆っていく。
 このエインヘリアルは、重罪人だ。闘争本能の発散場所を見誤って幽閉された挙句に地球に投げ捨てられた。
「どうせお前も捨て駒だろうが」
 と呟くタツマの心中は複雑だ。タツマには、闘争本能という獣を飼いならしきれずに社会の爪弾き者になった末に投獄された過去がある。
 ――これは、俺か?
 否。今のタツマはケルベロスとして、暴れる獣を正義のために行使できている。生まれて初めてと言っていいほどの安寧の日々を送ることが出来ている。
 だから、だから――きっと、違う。違うと思うのに、サナイが、今まで倒してきた重罪人エインヘリアルが、自身と重なって重なって……。
(「くだらねえ……っ」)
 オウガメタルの力ごとタツマは激情をこめた拳を叩きつけた。硬い武者鎧ごしに、重い殴打の衝撃がずしりとエインヘリアルの内部へと到達する。
「何かにつけて自分勝手ばっかり、相変わらずデウスエクスには困ったものだわ」
 ため息を吐き、アイオーニオン・クリュスタッロス(凍傷ソーダライト・e10107)は鹵獲術を操る。渦を巻くように火竜の幻影が彼女の掌から生まれ出る。
「ま、これもいつものこと。相手の考えがどうあれ、関係ないわ」
 アイオーニオンには、相手の事情を慮る気はさらさらない。仕事は仕事……否、そもそも彼女は感情を燃やすという感覚が分からない。淡々と冷徹に、しかし掌を離れた焔竜は、彼女の冷え切った心とは裏腹の熱でデウスエクスを灼く。
 セリアのケルベロスチェインが護りを固める。
「俺を殺せる奴は居ないのか、というのは大概フラグなのだが」
 天空からリカルド・アーヴェント(彷徨いの絶風機人・e22893)はそう呟き、サナイの脳天を蹴ろうと落下してくるが、ひょいと身をかわされて、空振りに終わり、地に降り立つ。
「死にたいのか」
 リカルドはサナイを見やる。
「はは、ただ死にたいわけではない。戦った末には、必ずやどちらかの生命、死に際の輝きを報酬として得るべきだと考えているだけよ」
 サナイはにたりと笑ってリカルドの問いに答えた。
「だがデウスエクスは、死を得られぬ。死にたくない! そう感じる時の血湧き肉躍るひりつく感覚……それこそが命の輝きだ。なのに、死なぬ身では輝きもせぬ」
「つまりは、つまらなさからの逃避か」
 リカルドは肩をすくめた。
「はん、なんとも矮小にまとめてくれる」
「せっかく永遠にしてもらったのに、まぁ、贅沢なことを」
「久遠などただの苦痛よ。ぬるま湯のなんと退屈なことか」
 リカルドの言葉に、吐き捨てるようにサナイは呟いた。

●今際の輝きとは
 目にも留まらぬ速度で鞘から走ったサナイの刃が、バジル・ハーバルガーデン(薔薇庭園の守り人・e05462)の胸を貫いた。ドフッと重い音をたてながら。
 少女と見紛う可憐な少年の口から、赤薔薇のように血が散る。
「かはっ……」
「貴様らは定命の者、つまり死ぬのであろう! ならば輝いてくれ!」
 サナイの面頬から見えるぎらぎらと輝く瞳が狂乱の色を増す。ぐいと高々と差し上げられながらも、バジルは胸から背に刺さる巨大な刃を握りながら、蒼い小刀の茨を思わせる刀身をサナイの手に突き立てた。
「ぐ……ふ、ううっ。お……望み通り、死なせてあげます……!」
「! それだ、殺されかけながらもなお、俺を殺すと豪語する! それこそが今際の際に見える生命の輝きよ!」
 手指に走る痛みにサナイはバジルを振り払った。
「どこが今際の際だ。この程度一瞬で治してみせる」
 吹き飛ぶバジルに、すかさずエルボレアス・ベアルカーティス(死地の蒼華・e01268)が駆け寄り、魔術切開と縫合を素早く施術する。一瞬にして断裂した神経をも繋ぐウィッチドクターの妙技。
「必要な部分は完全に修復した。立てるだろう」
 エルボレアスの声掛けに、バジルは眉をひそめつつもしっかりと立ってみせる。
「ええ、大丈夫です」
 すこし痛みは残るが、戦うのに問題はない。
 きらきらとオウガ粒子が戦場を漂う。二人のヴァルキュリアが競うようにケルベロスの感覚を研ぎすませていく。
「如何に武勇や膂力が優れていようと、それだけが勇者として相応しい素質だとは思えないわね」
 何故に彼はすくいあげられたのか。ユーデリケと共にオウガメタルを操りながら、セリアは侮蔑の視線をエインヘリアルに向けた。
「ヒトが抱く命の輝き……小さな輝きはつまらないとお前は言うわね。確かにそれはお前達にとっては小さな灯に過ぎないのかもしれない。だけれど、その儚い光こそが私が護りたいものだから」
 強い輝きしか見えない眩んだ目の武者を、セリアは軽蔑する。
 ガチンとベルンハルトの刃をサナイは鞘で受けて、押し返す。
「この程度で俺が殺せると思うな!」
「なるほど」
 ベルンハルトは頷いた。サナイは確かにつわ者だ。慢心も油断も自惚れもする暇はない。
 だが無辜の民を『命の輝きを見たいから』などという瑣末な理由で傷つけるような武者を、ベルンハルトは認める訳にはいかない。
「弱者を虐げ、己の強さを感じる愚か者よ。貴様のその心こそが弱い。強き者とは、力と心をある者を指す……。俺は貴様を決して許すわけにはいかない、負けるわけにはいかんのだ」
「弱者を虐げる? 違うな、虐げたつもりはない。ただ俺の刃を受けるのに、彼奴らが弱すぎることが罪なのだ。はは、ははは、虐げられてしまうような虫ケラ程度の力しか無いことを恨むがいい」
「……っ」
 ベルンハルトの心中にぶわりと激怒の火柱があがる。
 だが怒りに踊らされては負けてしまう。毛も逆立つような怒りをベルンハルトはぐっと堪え、冴え冴えとした声で一言返すに留めた。
「俺がお前に与えるのは、冷たく静かな死だけだ」
 ウィゼが地を割り、狭間にエインヘリアルを捕らえる。
「くだらねえ……」
 タツマは何度目かも分からない呟きを経て、サナイに思い切り達人級の一撃を放った。
 ケルベロスに覚醒しなければ、行き着いた未来の一つである可能性であったとしても。
 これが己の末路だとは思いたくもない。

●死への正常な反応とは
「………喜べ。お前を今から昔へと引き戻してやる」
 リカルドは風を銃に集め始める。
「渦巻け叡智、示し導き、風よ絶て。吼えよ、絶風の『咎凪』よ」
 ギリギリと軋みながら魔術で圧縮された空気弾が、サナイの脇腹を刳り削る。
「このナイフを見て下さい、貴方にトラウマを植え付けてあげますよー」
 バジルのちらつかせる小刀からサナイの目に映るのは、何だったのだろう。
「小癪なぁ!」
 サナイのグレイブが神速でバジルごとトラウマを穿とうとするのを、アイオーニオンが身を挺して庇う。
 確かに彼女の肉は切り裂かれたと言うのに、アイオーニオンの冷ややかな表情は氷像のごとく崩れない。
「悪い部分食べて治療ね。……ああ、全部悪いから丸飲みだわ」
 ブラックスライムに捕食されゆく光景を、眼鏡越しにアイオーニオンに見つめられ、サナイは顔を不快に歪めた。
 エルボレアスがアイオーニオンの傷を縫合する。先程のバジルの傷よりはまだましだ。サナイのグレイブは相当の業物なのか、『綺麗に』切れているので処置が容易で早い。
 冷たい光が、サナイの兜を貫いた。
「此の手に宿るは氷精の一矢。――さあ、射ち穿て」
 セリアの魔力だ。
「ふは、はは、死にゆく。死にゆく感覚……っ! 懐かしや、これだ、これこそが」
「儚い者達が紡ぐ命の系譜が、その軌跡の方がずっとずっと、輝かしく美しいものよ」
 お前には、理解出来ないでしょうけれど。と言うセリアにサナイは首を横に振る。
「いやいや。俺もその儚さを尊ぶ。うむ、俺はその儚さを愛するがゆえに己が身を呪う者」
 セリアは目を瞬かせた。
「紡ぐ生命の系譜、分かる。分かるとも。親を殺せば、子に仇を討たれるという美談。死なずの者では語れぬ美談よなあ。ハハハハ……」
 サナイは楽しそうに語る。セリアはぞっと背を震わせた。価値観がまるで違う――。
「耳を貸すな。あれは死に魅了された修羅よ。皆が死を喜ぶと思った時点で、既に貴様はこの世に滅ぼされる定めであったのだ」
 ユーデリケはサナイに炎の御業を放った。
「そう。死にたくない、というのが、正常な反応だよ」
 リカルドの蹴りが醜悪なエインヘリアルの笑いを止める。
 流れる水のごとき柔の太刀筋、サナイの凶刃が前衛を横一文字に切り払う。
 ウィゼがセリアを、アイオーニオンがリカルドを庇った一瞬後に噴き出るように出血。
 誰一人として斃れさせるつもりはない、『治療狂い』のエルボレアスが間髪いれずに守護薬液を雨と降らせる。
「ただのメディカルレインだと思うなよ――」
 天から滴るエルボレアス特製の薬液は、またたく間に止血を成し遂げ、奪われた体力気力を回復させる。
 セリアのケルベロスチェインが守護魔法陣を形成して前衛に盾を作る。
「大丈夫ですか、すぐに治してあげますね!」
 バジルもエルボレアスほどではないが、ウィッチドクターの術を使える一人。あっという間にタツマの傷を縫い合わせる。
「あと少しじゃ、しっかりしやれ!」
 ベルンハルトの衣服の上に被さった半透明の鎧を思わせる加護は、ユーデリケの御業が姿を変えたもの。
 ウィゼの操る蔦がサナイを絡め取った。
「武と共に生き、武と共に死に、そしてこれが二度目の死じゃ。命の重みを取戻させてやろう」
「ええ、貴方自身を輝かせてあげるわよ。でも、その口ぶりだと、死にかけながらも這いずり回って戦いたいのでしょうけど。こちらは仕事だから」
 そこまでエインヘリアルの望みに付き合ってはいられない。アイオーニオンは確実な始末のために氷のメスを数本形成し、投擲した。
「余り暴れ回ってくれないで貰える? 大人しくしてね」
 足掻きなど許さないとばかりに氷のメスがサナイの経脈に突き刺さって、動きを止める。
「ぬん、……なるほど動かぬ! ハハハハ、とうとう! とうとうか! 俺の天命もここまでとぬかすか!」
 身じろぎを許されぬと悟っても、命乞いもせず呵々大笑するばかりのサナイを見上げ、タツマは口を曲げた。
「……そこだけは認めてやるよ」
 ベルンハルトは大上段に日本刀を構えるなり振り下ろす。
「逃しはしない」
 示現刀術・道。
 祖父から受け継ぐ落雷の如き妙技が、ずはりとサナイを左右に両断した。

●命の輝きとは
 ふう、とアイオーニオンの呼気が、避難も戦闘も完了した静かな街に響く。
 ひゅっと刀を振って、ベルンハルトはエインヘリアルの血を振り落とした。
 祖父に教わった剣法が、今日もベルンハルトに正義を貫かせてくれた。
 バジルとエルボレアスは戦闘で破壊された街を、薬液を散布して修復していく。
 その薬雨にうたれながら、無言でタツマはエインヘリアルの遺骸に背を向けると帰路についた。
 倒せたならもうここに用はない。
「後悔もなく、死ねたってのならそれはそれで、困るのだけれど。人に迷惑も掛けず、後悔もなく、死ねるってのが、一番、理想だろう」
 死に近づいていることを自覚させるために手加減することも考えていたリカルドだが、その必要はなかったようだ。
 サナイは死を誰よりも意識し、そして享受して死んだ。
 目を伏せ、セリアは呟く。
「今日も旧き勇者がまた一人……」
 ユーデリケはその呟きを聞いて、なんとも言えない顔で黙りこくる。
 魂の選定を担っていた過去を持つ彼女達に、今回の敵はいつも以上に感傷に陥らせた。
 事件解決を聞いて、後片付けのために集まってきた人々を眺め、ウィゼは呟く。
「あの者には今を一生懸命に生きる皆の輝きが見えなかったのじゃな。街を復興しようとする皆の輝きも素晴らしいのじゃ」
 死を目前とせずとも、命は輝いている。

作者:あき缶 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年10月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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