たくらみの黄色い炎

作者:林雪

●黄色い炎
 とある格闘ジムの屋上でサンドバッグを蹴る音が響く。蹴っているのは大学生格闘家・虎尾フミヤである。
『なかなかいい蹴りだよ、お兄ちゃん』
 手すりに腰掛けてその様子を眺めていたシャイターン『黄のナトリ』がそう声をかける。ビクゥと振り返る虎尾。
「うお! びっくりしたどこのキャバ女だ? チッ、こんなとこまで入ってきやがって……」
 ナトリを追い払おうと大股で歩み寄った男の体は、一瞬で黄色い炎の柱に包まれた。
『合格だよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんには勇者の資格がある』
 ナトリが操るその炎は暮れ方の空を不気味に照らし、虎尾の悲鳴すら飲み込んでその体を焼き尽くした……はずだった。だがその肉体は炭化して砕けはしない。寧ろ、元より巨大な体躯となって炎の中からゆっくりと立ち上がった。勇者エインヘリアル誕生の瞬間だ。
『どうお兄ちゃん、調子は?』
『ああ、最高だよ……ただ、どうにも体が重いぜ……』
 たった今、人間からエインヘリアルへと生まれ変わったばかりのその姿は全身しなやかな筋肉に覆われ、バネのようだった。
『それはねお兄ちゃん、お兄ちゃんは生まれたばっかりでグラビティチェインが足りてないからだよ。人間を殺していっぱいグラビティチェインを奪えば、きっともっと気分よくなるから。ナトリ、応援してるね。じゃあ、また後で迎えに来るよ』
『ああ、わかった。そのへんの虫けらどもを、殺せばいいんだな……クク、楽しくなってきたぜ』
 そう言い捨てて、エインヘリアルは屋上から飛び降り、街へ虐殺に向かうのだった。

●カポエイラエインヘリアル
「シャイターン達が動き出したよ。今度の奴らは炎を操るらしい。死にかけの人間の元に現れるんじゃなくて、普通に元気なやつのところに。郁くんの調査が間に合ってよかった」
 ヘリオライダーの安齋・光弦が、集まったケルベロスたちに解説を始める。事件を起こしたのはシャイターン『黄のナトリ』だ。警戒に当たっていた鏑木・郁(傷だらけのヒーロー・e15512)も頷いて口を開いた。
「ナトリはどうも『死者の泉』の力を操る事が出来るっぽいな。黄色い炎を呼び出して、その炎で燃やされた人間はそのままエインヘリアルとして生まれ変わってしまう」
 ナトリの手によってシャイターン化してしまったのは虎尾フミヤ21歳、学生格闘界で頭角を現しつつあるカポエイラという競技の選手だが、傲慢で強さを誇示したがるところがあり、後輩をシゴキで苛めていたり女性蔑視の傾向があったりと性格はとてもシャイターン好みである。
「得意技は生前のものと同じだ。生まれたてのエインヘリアルはグラビティ・チェインが枯渇した状態で放り出されてるから、すぐにでも人間を殺そうとするはず。急いで止めに向かって欲しい」
 エインヘリアルは都内の街中のとある格闘ジムの屋上で誕生し、そのまま人間を求めて、ジムのすぐ近くの駅前通りへと向かったようだ。
「この通りに待機して迎え撃つのがいいと思うけど、飲食店を始め沢山お店があって、買い物のお客さんたちもいる。被害を出さないように避難誘導も頼むよ」
 幸いと言うべきか、黄のナトリは既に現場から姿を消しており、飢えたエインヘリアルは単独行動である。
「元々の性格なのかも知れないけど、妙に自信たっぷりでプライドも高いヤツらしい。あまり調子づかせると面倒そうだ」
 光弦がそう言うと、郁が慎重な表情で頷いた。
「人の命を簡単に奪うような奴ら、放ってはおけない。すぐ現場に向かおう」


参加者
ノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)
古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)
狼森・朔夜(迷い狗・e06190)
ヴィンセント・ヴォルフ(銀灰の隠者・e11266)
輝島・華(夢見花・e11960)
鏑木・郁(傷だらけのヒーロー・e15512)
雅楽方・しずく(夢見のウンディーネ・e37840)
八久弦・紫々彦(雪中花・e40443)

■リプレイ

●勇者の資質
「暴力に長けてるのと強いのって、別だよね」
 ノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)が何気なく呟いたその言葉は、視界に捉えたエインヘリアルに向けられたものだったが、狼森・朔夜(迷い狗・e06190)にも染み入る言葉だった。かく言うノーフィアも、自分自身力で解決するタイプだとの自覚があるだけに、そこは決して見誤るわけにはいかないのだ。
「あの動きの感じ……見覚えあるわ。本当にカポエラ使いなのね」
 以前にも、今回の敵と同じカポエラという格闘技を使うエインヘリアルと対決した経験を持つ古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)が言う。商店街の入り口に舞い降り、着地からゆっくり立ち上がったエインヘリアルは、独特のステップを踏み始めた。リズムに乗せて左右にステップを踏みつつ、ゆっくりと不敵に近付いてくる。
 予知に従い、予めケルベロスたちは待機していた。
「エインヘリアルが、来る。オレたちが食い止めるから、早く逃げてほしい」
 ヴィンセント・ヴォルフ(銀灰の隠者・e11266)の抑揚のない淡々とした声は、人々を混乱させなかった。が、徐々にその巨体に注目する一般人が増えてくるにつれ、そちこちで悲鳴を上げる者も出てくる。
『ヘッ……羽虫のクセに、騒ぐんじゃねえよ……』
「きゃあぁ!? 何あれッ」
「私達はケルベロスです! 大丈夫です、落ち着いて避難して下さい!」
 集団パニックを起こさないようにと輝島・華(夢見花・e11960)が声を高くしてそう言えば、鏑木・郁(傷だらけのヒーロー・e15512)も武装を展開、頼もしい姿を人々に披露し安心感を与えながら、声をかけて回った。
「怪我してる人や具合悪い人、いたら言ってくれ。遠慮しなくていいから」
『……いやがるいやがる……テメェらのグラビティチェイン、この俺が根こそぎ貰ってやるから感謝するんだな』
「見るからに自分勝手な人ですね……人はあなたのサンドバッグじゃありません!」
 エインヘリアルの歪んだ物言いに、如何ともし難い嫌悪感を覚えて雅楽方・しずく(夢見のウンディーネ・e37840)が思わず語気を強める。
「他者を傷つけて喜ぶ奴が勇者とは……笑えるな。さて、その鼻を折ってやろうじゃないか」
 だがその前に、と八久弦・紫々彦(雪中花・e40443)は全身から剣気を放ち、興奮した人々の熱を削いでパニックの危険を減らした。人々の避難誘導が進む中、エインヘリアルが動けないようにケルベロスたちは包囲の輪を縮めていく。
『チッ、何がお兄ちゃんだあのアマ……ケルベロスがいるなんざ聞いてねえぞ……俺ぁ、グラビティチェインを浴びに来たんだよ、邪魔すんじゃねえ』
 言うや、ブン! とエインヘリアルの激しい蹴りが空を切る。衝撃波が人々に襲い掛かる……それを、ケルベロスたちが指を咥えて見ているはずもなく。しなやかにバネを利かせて跳躍し、間に身を割り込ませて衝撃を蹴りで相殺したのは朔夜。
「よう虎尾。あんた、ここらじゃそこそこ名が通ってるらしいな? ちょっと遊んでくれよ」
 その後ろではノーフィアが翼を広げ、紫々彦は光のシールドを発生させてと、他のメンバーも既に臨戦態勢である。
「黒曜牙竜のノーフィアより『一応』勇者らしいエインヘリアルへ」
 殊更に一応、を強調しつつノーフィアが告げる。黒曜斬剣を鞘に収め、両手を広げて笑みさえ浮かべて見せる。
「武芸と月の祝福を……お相手は、素手でしたげよう!」

●足には足を!
『女どもがイキってんじゃねえぞ!』
 口汚いエインヘリアルの様子に、郁の眉根がひっそりと寄るのを、相棒であるヴィンセントは見逃さない。無言で視線を向けてくる彼に、郁がああと気づいてほんの少し表情を緩める。
「……ああいうの、どうしても好きになれないだけなんだ」
「よほどその脚がご自慢のようですのね」
 華の跳躍に合わせるべく視線で郁が合図し、ヴィンセントも応じる。
「はぁッ!」
 ほぼ3人同時に、と言っていいタイミングで敵の足元にスライディングを集中して炸裂させる。流石に動けずにいるところへ、るりが挑発交じりに言い放つ。
「さあ、虎の尾をフミに来てあげたわ……冗談みたいな名前よね。芸名? ふざけてるの?」
『チィッ! うぜえんだよクソガキが!』
「さっさと消えなさい」
 生前の性格に由来するものなのか、勇者と呼ぶには程遠いその態度に呆れ果てた、とばかりにるりが呼び出した神槍「ガングニール」のレプリカに、指先で命じる。あの愚か者を討て、と。
「ペレ、やっちゃおう!」
 ノーフィアがボクスドラゴンのペレにそう声をかければ、ペレはもちろん、とばかりに先行して敵にタックルをかけていく。追うノーフィアもやはり蹴り技。足技自慢の敵に対して、ケルベロスたちは敢えて足技で挑み、正面から粉砕しようというのだ。
「どうだ、血が騒ぐんじゃねえか?」
 朔夜がカポエラのステップを踏みつつ煽る。内心煽ると同時にどこか、試合となれば格闘家としての誇りのようなものを見られるのではないかという期待もあったかも知れない。だが。
『グオォオラァアッ!』
 獣の如く吼え、荒みきった視線を向けてくるエインヘリアルからは、残念ながらそうしたものは感じられなかった。ただ、体の動きは人を超え、より強烈な技を放つ!
「その動き……アルマーダ! 来る!」
 るりが咄嗟に声を上げる。エインヘリアルはグラビティチェインに飢え、とにかく誰かを殺そうという凶暴さで側転にも似た蹴りから放たれるオーラは、紫々彦に襲いかかった! 肩口に衝撃が走り、その威力でジャケットが切り裂かれる。
「……ッ、なるほど、威力は本物、という事か……」
「! そのまま……」
 しずくが素早く魔導の書物を開き詠唱を開始した。こんな風に、自分の力を誇示するばかりの者へのしずくの憤りが紫々彦にも伝わるのか、治癒と同時に闘争心が煽られる。
「勇気がある者、と書いて勇者なのです。自分の力を見せ付ける為に、誰かを傷つけたり悲しませたりするのは勇気じゃありません!」
「賛同しかないね」
 そう応じて紫々彦が再度リングから光の盾を展開し、味方の防御を厚くする。遠距離からの被弾でこれでは、至近から食らえばかなりのダメージになると身をもって知った。
 確かに敵は恐るべき攻撃力を誇る。力で抑え込む、傲慢な性格がそのまま出ているようで防御を捨てて常に攻撃の隙を狙っている。そこが逆に、ケルベロスたちの狙い目となる。足の動きさえ封じてしまえば戦いは長引かない、と踏んで華が電撃を放ち、郁とヴィンセントはまるで鏡合わせの如く対の動きで戦場を流れて接近攻撃を仕掛ける。郁のハンマーが唸りをあげ、そこへ反対側からヴァイスを閃かせてヴィンセントが切り込む。
 体力を削ぎながらも動きを鈍らせていく作戦は、この敵に対しては正攻法にして、かなり有効だった。
「まるで児戯よね。実際生まれたばかりだから仕方ないか……よちよち歩きが精一杯なのよね?」
 魔法光線で敵を捉えつつ、るりが煽る。
『生意気なんだよ、この』
「遅いねっ!」
 ノーフィアも楽しげにそう言い、拳を叩きつける代わりに指を開いてエインヘリアルの襟首を掴み、地面に引きずり倒した。体格差からは信じられないノーフィアの握力を振り払いきれず、敵が激しく舌打ちする。
『この……クソアマども!』
「さっきからその口のききようは、本当に聞き苦しいな」
 立ち上がりざま、紫々彦が脚の長さを存分に生かして脛に激しく連続蹴りを入れる。ジワリと利いてくるタイプのものだとわかるのか、エインヘリアルは一旦距離を取ろうと後ろに飛び退る。
 しかし、そこへ追い縋ってくるのは戦場に咲く花。
「さあ、よく狙って。逃がしませんの……!」
「こっちもよ。油断しないことね」
 華の魔力によって生成された花弁が舞い、周囲をるりの神槍が取り囲む。常の戦場と何が変わるわけではないのだが、平たく言えば少女たちは怒っている。力に驕り、いざとなれば暴力で女を屈させてきた虎尾フミヤという男の濃厚な感じ悪さがエインヘリアルにまんま残留しているせいかも知れない。ああ郁が本当に嫌いそうな奴だ、とヴィンセントが納得する。
 そこへ、ジンガのステップを踏みながら足を高く上げた蹴りを朔夜が放つ。
『なめた真似しやがってェ……!』
「てめぇの方が、よっぽどカポエラなめてんだろ」
「そうですよ。貴方の態度の方が失礼ですよ!」
 しずくも思わず賛同する。女性に対しても自分が使う格闘技に対しても、とにかく何もかもに対して尊敬の念を失った者の品格は、目に見えて下がるというものである。
 ただし、暴力に品格は関係ない。
『食らエェエエエ!』
 体力を温存したエインヘリアルが突如サイドから真正面へ一瞬で回り込み、腹目がけて放ったプッシュキックはヴィンセントを狙う、しかし。
「っ……、きかねえんだよ」
「朔夜、ありがと」
 間に割り込んで盾となった朔夜に短く礼を言い、攻撃に転じるヴィンセント。
「しずく、頼んだ!」
 朔夜を任せて、同じく前に出て行く郁。二双の剣と化したふたりの攻撃は正確に敵を抉る。
「任せて下さい、さあ、朔夜」
 しずくはよく全体を見て、的確なタイミングで治癒に当たった。頼もしい、と感心しつつ紫々彦はアックスを振り上げる。
 続く猛攻。いよいよ足にきたのか、敵の自慢のステップが鈍ってくる。その衣服に黒い焼け焦げを作ったのは、るりの龍である。まだ燻る炎を冷静に見据えて、るりが言い放った。
「女どもとかクソガキとか……言いたい放題言ってくれたわね。今の気分はどう? お兄ちゃん」
『ブッころす……ぶっ殺シテやる……!』
 この期に及んで、と華が呆れる。
 強引に身を起こしたエインヘリアルの正面に跳び出したのは、朔夜だった。
「はぁっ!!」
 強烈な後ろ回し蹴りが、エインヘリアルの側頭部を直撃! 更にそのまま流れに逆らわず足を撓らせる。
「もう一発もっていきな!」
 逆足で、同じ箇所を強烈に朔夜が蹴り込む。その瞬間の肢体の美しさに華が思わず見惚れる。巨体の頭が激しく揺れた。
『ガ……、ぁ、グアアァア!』
 反撃をと足を振り上げたつもりだったらしい。しかし、エインヘリアルの体はそのまま崩れ落ちる。立ち上がってくるかと郁が距離を詰めたが、その体は完全に崩れ、塵となって消えていった。
「練習の成果、出たね」
「ま、だいぶ自己流」
 ヴィンセントが声がけ、朔夜が軽く笑って応じる。
 迅速な対応と避難誘導も功を奏し、一般人に被害を出すことなく事件は解決した。

●悪意の影
「お疲れ様でした、皆様ご無事でしょうか」
 華は仲間達を労り、誰も大きな怪我を負っていない事を確認すると今度は周辺の一般人の方へと向かう。商店街に戦いの爪痕を残さないよう、ヒールも念入りにして回らねばならないと、ケルベロスたちは休む間もなく動いた。
「少し擦りむいただけね、すぐ治るわ」
 しずくは早速、怪我をしたらしい子供や、巻き込まれて怯えただけの子らに優しく微笑みかけ治療に当たる。
「騒がせてすまなかったね。こういう時は、甘い物がいい」
 紫々彦も、ショックを受けてしまっている若い女性や、もちろんご年配にも隔てなく穏やかにポケットから取り出したボンボンショコラなどを配って歩いている。
「……あったかいもの、どうぞ」
 るりはヒールが手伝えない分、と気を使ってか地元の商店街の人たちと協力して温かい紅茶の入った紙コップを配っている。同じく郁も、迷子になった子供を母親と引き合わせたりと忙しい。
「そっち側を選んじまった、って言うより選ばれちまったんだな。気の毒したぜ……」
 実は朔夜はこの事件の始まりからずっと、そこに忸怩たる思いを抱いていた。どんなに性格に難があろうと、人として生きていた者がひとり、デウスエクスの手によって死に追いやられた事は確かなのだ。被害者、一名。るりから受け取った紅茶を一口飲んだ朔夜の喉にほろ苦さが残る。
「それにしても、エインヘリアルとかシャイターンの勇者の定義って……」
 と、ノーフィアが溜息を吐くのも無理はない。勇者の種族たるドラゴニアンであるノーフィアには、曲がりなりにも『勇者』の称号を頂くはずのエインヘリアルがどう考えてもどクズ、というのが歯痒い。
「私としてはこう、こう……!」
 ノーフィアのその様子に頷くのは郁。彼もやはり勇者にはあるべき姿、というものがあると信じたいのだ。
「わかる……もっとこう、こう……な!」
 うんうん、と頷きあうノーフィアと郁を何となく微笑して眺めていたヴィンセントが、ふと傍らの華に訊ねる。
「華は、勇者ってどう思う?」
「勇者、ですか……? やっぱり、一緒に戦っていて勇気をくれる人、ではないでしょうか」
 ヴィンセント兄様や郁兄様みたいに、と口には出さないが、華の真っ直ぐな感性がヴィンセントに心地よく響き、なら俺の周りには勇者がいっぱいいる、と改めて頷く。
「傲慢さは身を滅ぼす。力ある者はおごってはいけないのさ」
 紫々彦が誰にともなく、或いはエインヘリアルとなって散った被害者に、或いは己自身に向けて言った言葉に、ケルベロスたちは改めて力に対する責任を思う。
 しずくは治療の手を止めぬまま、静かに考える。フミヤも生きてさえいれば、正しく力を使える日が来たかもしれないと思えば胸が痛む。そして自分が今、力を使うべき相手は、と、目の前の子供らに微笑みかける。
「これからも、皆を守る為に頑張ります!」
 更には、見過ごせないのはその力を利用しようとする忍び寄る魔女達の影。たとえそれが何色であっても、これ以上放ってはおけない。
「炎彩使い……ナトリ。覚えたわよ」
 るりが遠くの空を見据えて呟く。彼女はこうしている今も、どこかで『お兄ちゃん』をエインヘリアルにしているのかも知れない。朔夜が悔しげに紙コップを握りつぶす。
「これ以上は、させねえからな」
 傲慢に力を与えて暴走させるような、そんなシャイターンの悪意は決して許せない。まだ見ぬ黄色い炎の鎮火を誓うケルベロスたちだった。

作者:林雪 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年10月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。