熱血少女はモザイクに挑む

作者:青葉桂都

●ワイルドな襲撃
 それは、静岡県の海に近い場所で見つかった。
 町と町を結ぶ大きな道路から外れて、見落としそうな細い道を進んだ先。
 寂れたホテルがあるはずの場所に、モザイクが満ちている。
「やっぱり……このあたりにある気がしたのよ」
 呟いたのは、こげ茶の髪を後頭部でまとめた少女。
 白波瀬・雅(サンライザー・e02440)は、臆することなくモザイクの中へと入っていった。
 空間には粘ついた濃密な液体が満たされていた。
 体にまとわりつく感覚に不愉快そうな表情を浮かべながらも、雅は進んでいく。
 建物も地形もすでに原型をとどめていなかった。
 まるで悪夢の中のように、液体の中でバラバラになり、ごちゃ混ぜにされている。
 そんな空間に敵はいた。
「あれは、私?」
 敵の姿を見て、雅は思わず呟いていた。
「あなたは何者……? このワイルドスペースを発見できるなんて、この姿に縁のある者なの?」
 振り向いた相手は、雅と同じ顔をしていた。もっとも本人よりもずっと険しい顔をしていたが。
 身につけているのは赤い鎧。これも、雅のものと似ているように見える。
「でも、今、ワイルドスペースの秘密を漏らすわけにはいかないわ。あなたはここで死んでもらう。このワイルドハントの手で!」
 赤い大剣を片手に構えると、敵の周囲で狂ったように光が踊る。
 光の一部がもう一方の手に集まり、槍を形作る。
「こっちだって、こんなところでやられるつもりはないわ!」
 素早く武器を構えた雅へ、ワイルドハントと言う名を持つ雅が襲いかかった。

●救援依頼
 集まったケルベロスたちへと石田・芹架は予知した事件について話し始めた。
「また、ワイルドハントを名乗るドリームイーターに遭遇するケルベロスがいるようです」
 最近よく起こっている事件なので、話を聞いている者も多いだろう。
 今回襲撃を受ける白波瀬・雅もワイルドハントについて調査していた1人だ。
「ワイルドハントは静岡県中部の海岸に近い一角をモザイクで覆い、なんらかの作戦を行っているようです」
 元は寂れたホテルがあったらしいが、それがどうなったのかは不明だ。
「敵の目的はともかく、このままでは白波瀬さんが危険です。急いで、助けに向かってください」
 ケルベロスたちが到着する頃には、すでに敵と遭遇しているはずだ。
 モザイクの中にある空間は、まるで粘ついた液体で満たされたような状態になっている。
 それがなんなのかはわからないが、少なくとも言えるのは戦闘の邪魔になる要素ではないということだ。
 敵はワイルドハントを名乗るドリームイーターが1体のみ。
 襲われた雅と完全に同じ姿ではないので、見間違えることはまずないだろう。
「敵は赤い剣と光でできた槍という2つの武器を持っています。また、周囲を無数の光が回転しながら取り巻いています」
 攻撃手段だが、まずは槍を投擲しての遠距離攻撃。体を取り巻く光も同時に飛んで追撃を与えてくる。
 光を操り、近距離を薙ぎ払う範囲攻撃も行えるようだ。敵の命を喰らい、自身を回復する効果もあるらしい。
 そして、おそらく最大の威力を持っているのが、剣に光をまとわせて行う突撃攻撃だ。この攻撃で打ち倒されれば確実に戦闘不能になるだろう。
「特殊な効果を発揮する技は使わないですが、その分攻撃の威力は高いようです」
 特に突撃攻撃を受けると、体力で劣る者やサーヴァントは一撃で倒される可能性もあるので注意が必要だ。
「ヘリオライダーも今まで予知できていなかった事件を白波瀬さんが発見できた理由が気になりますね。外見がなにか関係あるのかもしれません」
 芹架はそう付け加えた。
 雅の襲撃はこれから起ころうとしている事件だが、空間の異常はそれ以前からすでに起こっているのだ。
「しかし、調査するとしたら後日ということになるでしょう。今は、白波瀬さんの救出をお願いします」
 彼女は静かに頭を下げた。


参加者
大弓・言葉(ナチュラル擬態少女・e00431)
白波瀬・雅(サンライザー・e02440)
百丸・千助(刃己合研・e05330)
ブランシュ・ヴァルディアブ(おめんやさん・e08260)
フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)
シュネカ・イルバルト(翔靴・e17907)
櫂・叔牙(鋼翼骸牙・e25222)
御忌・禊(憂月・e33872)

■リプレイ

●仲間の元へ
 7人のケルベロスたちは、ヘリオンから降り立つと目的の場所へと走り出した。
「白波瀬ちゃん今行くから待っててねー!」
 女の子らしい可愛い走り方をしながらも、大弓・言葉(ナチュラル擬態少女・e00431)は仲間から決して遅れることはなかった。
「雅と同じ姿ってのは何ともやりづれえけど、本物が一緒にいるんなら偽物に遠慮はいらねえな!」
 腰に刀をはいたドラゴニアンの少年が言う。
 百丸・千助(刃己合研・e05330)や言葉を始め、今回のメンバーにはこの先で襲われている仲間と普段からの知り合いである者たちが含まれている。
 2人は武蔵野スイーツクラブという旅団で雅と共によく集まっている仲だ。
「まずは白波瀬との合流が第一だ。急ごう」
 同じくスイーツクラブの仲間であるシュネカ・イルバルト(翔靴・e17907)も言った。
 しばし進んで、ケルベロスたちはモザイクに包まれた空間を発見する。
「この先で、白波瀬さんがワイルドハントに襲われているのですね」
 フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)が言葉を発した。
「しゅらはせさんVSワイルドしゅらはせさん!!」
 天をつくような巨大な花を頭に咲かせたオラトリオが、思わず叫ぶ。
「見間違えることはまずないっていわれてるけど。これはワイルドしゅらはせさんに般若のお面を被せて区別をつけないといけない」
 ブランシュ・ヴァルディアブ(おめんやさん・e08260)がどんな表情で言っているのかは、お面に隠されて見えない。
「決して!! お面を被せてはしゃぎたいわけじゃない!!」
 見えないが、仲間たちにはその声は弾んでいるように聞こえた。
 とはいえ、ブランシュもやはりこの中にいる彼女の知り合いらしい。別に心配していないということは、ないはずだ。
 ケルベロスたちは次々にモザイクへと踏み込んでいく。
 御忌・禊(憂月・e33872)は金色の瞳でモザイクを眺めた。
(「……もう既にそれなりの数のワイルドスペースが発見されているにも関わらず、こうしてケルベロスが誘われる……」)
「……やはり、看過できるものではありませんね……」
 呟いて、禊もまたモザイクへと進入した。
 戦いの音が遠くから聞こえる。他の者たちも、音に気づいたようだった。
「……! あちら、ですね……急ぎましょう……」
 ケルベロスたちは再び、走り出した。
 はたして、白波瀬・雅(サンライザー・e02440)はやはり、もう1人の自分と対峙していた。
「私と同じ姿が相手か。なら負けられないね」
 雅は恐れることなく、敵へ向かって前進する。
「自分にだけは、負けてたまるか!」
 決然と告げる彼女へと、高速で槍が飛んできた。
 貫かれ、さらに光による追撃を受けても雅はひるむことなく敵に肉薄する。
(「距離を詰めたって有利になるわけじゃない。けど……距離をとったら、もっともっと不利になる」)
 間近で自分と同じ顔、同じ色の瞳を見据える。
(「きっと仲間が来てくれる。それまで押しきる!」)
 一撃くらっただけで、敵の強さははっきりとわかる。二撃目の当たり方が悪ければそれだけで倒れてもおかしくない。
 だが、それでも、諦めるという選択肢は雅にはない。
 そしてその選択の正しさを証明するように、背後から足音が聞こえてきた。
 聞き覚えのある声も、ない声も。
「支援対象、視認。状況……開始します」
 櫂・叔牙(鋼翼骸牙・e25222)が宣言する。
 新手の出現に気づいて飛び退いたワイルドハントへと、雅は即座にまた距離を詰めた。

●ワイルドな戦闘
「お待たせ、白波瀬ちゃん!」
 言葉は雅の背中へ声をかけた。
「助太刀に来たぜ雅! 怪我してねえか!」
「手伝いに来たぞ。早く終えて、甘い物でも食べて帰ろう」
 千助やシュネカも彼女の横から呼びかけている。
「みんな、来てくれたんだね。助かる!」
 答えた雅の方へ、フローネと叔牙が言葉たちの横を抜けて移動していく。
「白波瀬さん! 助太刀に参りました!」
 過去に言葉はフローネとともに戦ったことがあった。頼りになる仲間であることはわかっている。身のこなしから判断するに、叔牙も練度はフローネと変わらないだろう。
「対象、ロッキング。対物センサー、戦闘精度。注視モード……開始」
 背中に3対のはフィンを展開した叔牙がフェアリーブーツで星型の光を蹴りこみ、敵の周囲に浮かぶ光を砕いた。
 その間に言葉は光る盾を雅の前に展開し、千助はオウガメタル粒子を前衛へ散布する。
「これでひとまず大丈夫かな? ぶーちゃん、白波瀬ちゃんを守ってあげてねー」
 ボクスドラゴンのぶーちゃんが、びくつきながらも雅の横に並んだ。
「言葉さん、千助さん、ありがとう。私は絶対、あいつに勝ってみせるよ!」
 雅が力強い笑みを見せる。
「……傷を癒します……どうぞ、御心のままに戦ってくださいませ……」
 禊もまた、雅へと月の力で回復と強化を行っていた。
 軽やかに宙を舞った雅が、自分と同じ顔をした敵に飛び蹴りを叩き込む。
(「白波瀬ちゃんの偽物…まして暴走姿なんて許さないんだから!」)
 その姿を見やり、言葉は気合いを入れ直した。
「ワイルドハント……その目的が気にならない訳ではないが、今は白波瀬の無事が第一だ。消えて貰うぞ」
 シュネカが飛び蹴りで敵の足を止める。
 ブランシュは、彼女に続いて走り出した。
 狙うのは、光が常に周囲を回っているほうだ。
「すごい力を持ってるのに常時無数の光を回転させてるのはちょっといただけないな」
 お面の下から、ブランシュは敵を観察する。
「オートガードやらオートカウンターっぽいのはしゅらはせさんっぽくないし別物だね。もっとこう、敵を殲滅するために攻撃するときだけ出してぶっぱなすとか方がしゅらはせさんっぽい気がする」
 そう、敵はどう見たって、雅とは別人なのだ。
 しかしそれでも、ブランシュは面を取り出して構える。
「そおおおいっ!!」
 巨大植物とともにもの凄い勢いで突進した彼女は、光を打ち砕きながらたたきつけるようにお面をかぶせて、おかしいほどに笑う。
 結局のところ……彼女はただ単に、敵にお面をかぶせたいだけのようだった。
「このっ、うっとうしいわねっ!」
 敵が光で近距離を薙ぎ払おうとするが、すでにブランシュは攻撃の範囲外まで後退している。
「あ、あの光、防御には使ってこないんだ」
 離脱しながら、ブランシュはふと思い出したように呟いた。
「その剣。白波瀬さんの猿真似をしても。絶望に逃避した貴女では、挫けぬ彼女には届きません!」
 フローネが七色の光をまといながら飛び蹴りを放つ。
 敵の注意を引きつけたところに、雅と叔牙もさらに攻撃を加えていく。
 回転する叔牙の腕は敵の光と赤衣を引き裂いて守りを弱体化させる。
 ただ攻撃するばかりではなく、さらに敵の体力を削りとる状態異常も与えようと狙っていく者もいる。
 禊は日本刀を構えた。
「……戦う事は嫌いではありますが……」
 それは、迷いを形にする実体なき太刀、我見・無明。
「ケルベロスとしての仲間を返していただくためであれば……邪道であろうと使いましょう……」
 中距離から敵を観察し、攻撃がもっとも効果を発揮するタイミングを狙って踏み込む。
「…この身、この心……未だ悟りには程遠いけれど……」
 音もなく実体のない刃から放つのは、実体のない一撃。
 それは敵の悩みや惑い、辛苦を呼び起こしてさいなむのだ。
 少年の一撃が、ワイルドハントにトラウマを植え付ける。だが、これだけではまだ十分ではない。
 さらに炎や氷によるダメージを与えるべく、神削は身構えた。
 ケルベロスたちの攻撃は確実に敵の体力を削っていく。しかし、削られているのは味方も同じだった。
 敵の攻撃力は高く、言葉や千助が常に回復を続けなければ押し切られてもおかしくない。
「短期決戦で挑まないとまずいな」
 シュネカは狙いをつけながら呟いた。
 いや、短期決戦を挑みたい理由は、敵の強さだけではない。
 雅があの姿に良い感情を持っていないということを、普段からの仲間であるシュネカは知っていた。
(「それでも白波瀬は恐らく率先して行こうとするだろうから、少しでも負担にならぬよう私も頑張らねばな」)
 どのみち、力を尽くす以外のやり方など、シュネカには似合わない。
 戦闘開始から数分、そろそろ回避の足を止めるのは十分だろう。
「全力で行くぞ!」
 如意棒に闘気を込めるシュネカの前方で、雅が気合いを放つ。
 降魔の力を宿した蹴りが魂を食らった。
 思わず後ずさったその場所を、シュネカの如意棒が正確に貫く。
 よく見知ったのと同じワイルドハントの顔が、見たこともないような形で怒りに歪んだ。

●ワイルドな終焉
 足を止めただけではない。ワイルドハントが身につけている防具も、ケルベロスの攻撃で徐々にその効力を失っていた。
 ブランシュがおのを振り上げて、笑いながら敵へと叩きつける。
「さあ、どんどん削っちゃおうね」
 反撃と投じられた槍は平助のサーヴァントであるミミックがブロックする。
 防御、回避ともに弱体化させたら、後はそこを狙って攻撃するだけだ。
 叔牙はすでに攻撃へと移行していた。
 体の各所から、光条励起体を露出させる。両腕を敵に向けて構えると、彼は叫んだ。
「敵機動解析・照準多重捕捉(マルチロック)。光条嵐舞……撃ち貫く!」
 腕のみならず、背中から、肩から、光が敵へと飛んでいく。
 一点に集中した輝きが、ワイルドハントを焼いていく。
「やっぱり光はここぞって時に出さなきゃね! しゅらはせさんの偽物はわかってないよ!」
「そ……そう、ですか? ありがとう……ございます」
 ブランシュに言われて、叔牙は戸惑いながら答えた。
 他の仲間たちも、シールドを展開しているフローネを除いてどんどん攻撃を加えていく。
「ケルベロスめ……! こうなったら、私の全力を見せてあげるわ!」
 ワイルドハントが、剣を振り上げた。そこへ周囲に浮かんでいる光が集まっていく。
 光を宿した剣を構えて、猛然と叔牙へ突撃してくる。
 フローネは降り下ろされる剣の前に割り込んだ。
 全力で展開したアメジストシールドで光を受け止める。
「―――青の悪夢。ここで! 断ち切ります!」
 紫の光と白い光がせめぎ合って、周囲に輝きを散らせた。
 長く感じる一瞬が過ぎ去り、盾を貫いた剣がフローネへと届く。
 金剛石の名を持つ鎧が裂けて、切っ先が体を通り抜ける。
 奥歯をかみしめて、痛みをこらえる。
(「対スターブルーでは一人で防ぎきれず、白波瀬さん暴走の引き金になりました」)
 意識を奪い去ろうとする剣……直撃していれば危なかっただろう。
 だが、盾で防いだ分、その勢いは減衰している。
「でも今回は大弓さんと百丸さんが後ろから、彼らのサーヴァントが横から支援してくれます。今度は必ず、最後まで粘ってみせます!」
 固めた守りと、回復を続けてきた仲間たちのおかげとで、フローネは意識を手放さずにすんだ。
 だが、ギリギリのところで耐えきったとはいえ、フローネは危険な状態だった。
「フローネ、大丈夫か!」
 平助は癒しの力を霊力に込める。
「すぐに回復するからね!」
 言葉もマインドリングをはめた手を傷ついた仲間へ向けていた。
「癒しの蛇よ、血を辿れ!」
 蛇のような形を取った霊力がフローネへと延びていき、噛みつく。
 さらに、言葉の盾と、フローネ自身が展開したアメジストの盾が重なった。
「ありがとうございます、2人とも。これでまだ、粘れそうです」
 答えるフローネだが、受けたダメージをすべて回復できるわけではない。次も耐えきるのは難しいだろう。
「無茶するんじゃねえぜ」
 心躍る強敵だが、どうやら最後まで攻撃に回る機会はなさそうだ。フローネに告げて、平助はさらに回復を続ける。
 光を宿した剣はその後もケルベロスたちへ襲いかかった。
 空気を引き裂く刃の軌道は他の攻撃よりは単純だったが、それでもなお、かわしきるのは容易ではない。
 二度めの斬撃を叔牙に代わって受けたミミックが吹き飛んで動きを止める。
「敵ももう追いつめられているはずだ。たたみかけよう。行くぞっ!」
 シュネカが竜人の幻影をまとって突撃していく。
 ブランシュもお面を構えて彼女に続いた。
 攻撃を受けながら、ワイルドハントは三度、剣を振り上げた。
 その寸前、禊の手が静かに敵へと触れて、螺旋の気を叩き込む。
 雅は自分へと向かってくる、自分と同じ顔の敵を迎え撃つ。
「あなたは暴走した私の見た目から力をコピーしている。ならば、共にあるデウスエクスの魂も、私のこの胸に宿る闘志も、そしてこの技もコピーできていないはずだ!」
 歪んだ空間の中、彼女は跳躍する。
 真っ向から剣を蹴り返す。
 光が、砕け散った。
 螺旋の力が与えた重圧が敵の動きを鈍らせていた。相殺できたのは、おそらくそのためだ。
 動きを止めず、雅はさらに高く跳躍する。
 叔牙の伸ばした如意棒に打たれて、ワイルドハントがまるで吸い込まれるように雅の真正面へと飛び込んでくる。
「仲間達の力を重ねた乙女の一撃で、最後の勝負だ! ヴァルキュリア・ストラァァァイク!」
 光をまとったその蹴りは森羅万象を貫く。
 一直線の輝きが、奇妙な液体で満たされた空間を貫き、そしてワイルドハントを打ち砕いた。

●帰ったら、甘い者を
 ワイルドハントが消えていく。
「そのまま消滅なんてさせはしない! ワイルドハントにも魂があるのならば鹵獲できる筈だよ」
 降魔拳士である雅は、消えていく敵の魂を喰らおうと近づいていく。
 ほどなくワイルドハントは完全に消え去り、雅が振り向いた。
「どうやら、片付いたようですね。今回は粘れたようで、安心しました」
 フローネがシュネカに支えられながら言う。
「無事でよかったねー、しゅらはせさん」
 ブランシュに呼びかけられて、雅は笑みを見せた。
「ありがとう。みんなが来てくれて、嬉しかったよ」
 雅が仲間たちを見回した。
「支援が、間に合って……良かった、です」
 叔牙が言った。
「……皆さん、お疲れ様でした……ここも、すぐに崩壊するでしょうね……」
 地図に現在位置を書き込みながら、禊も言う。
 崩壊するであろう空間から、ケルベロスたちは足早に去っていく。
「帰ったら、甘いものがたべたーい!」
「いい考えだと思うぜ。甘味は疲れを癒してくれるからな」
 言葉と千助が語り合う。
「ああ、悪くない」
 空間の様子を観察していたシュネカも言った。
「じゃあ、いつも通りみんなで集まろうか」
 雅の言葉に、スイーツクラブのメンバーたちが一斉に同意した。
「しかし……あの空間の、状況。DEの、空虚な……モザイク。満たされたいと、望む心の……裏返し、なのでしょうか……?」
 ただ、空間から出るときに叔牙が呟いた言葉が、仲間たちの耳に残った。

作者:青葉桂都 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年10月27日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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