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「……何やら予感を感じてやって来たが……こんなものに巡り会うとはな……」
深い山奥の山村に、祟・イミナ(祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟・e10083)の姿があった。目元を覆う黒髪の隙間から覗く深紅の瞳は、実に興味深そうに視線の先にある村を眺めている。
「……どうやら、村全体がモザイクに覆われているようだな……」
だが、村の入り口からでは、その全貌を解明するのは難しい。
「……ふむ」イミナは一瞬考慮した後、迷いも見せずに荒れ果てた村の中へと踏み込んだ。
「……平衡感覚がおかしくなりそうな場所だ」
モザイクの中は、あやふやな世界であった。一歩踏み出せば、地面が天井に、もう一歩踏み出せば、また天井が地面に戻っている。感覚的にはただ歩いているだけなのに、見える景色は踏み出す事に引っ繰り返るのだ。荒れ果てた木造建築の家は、どれも歪な形をしていた。時には、家が二段も三段も折り重なっているものまであるのだ。
「それに……この液体は……」
極めつけは、モザイクの中は粘性の液体で満たされているということ。行動には支障がないが、決して心地よいものではない。
「…………」
イミナは、相変わらず顔色を変えないままで思案する。そうしていると――。
「……まさか、このワイルドスペースが見つかるとはな。貴様、もしやこの姿に因縁浅からぬ者か?」
特徴的なのは、抜けるような白い髪だった。腰に鬼の面と藁人形を携え、赤い蝶を周囲に羽ばたかせるその姿。
「……これは驚いたな。……見覚えのある顔だ」
イミナが言うように、僅かな差違はあれど、その姿はイミナそっくりであった。
「ともかく、今、この場の秘密を外部に漏らす訳にはいかぬ。……貴様には、ワイルドハントである私の手で死んでもらおう」
お前の正体は何者だ? そうイミナが問いかける暇もなかった。ワイルドハントを名乗る女が手を翳すと、深紅の蝶が一斉にイミナに襲い掛かる。
「……まぁいい。何者だろうと祟るまで」
対するイミナは、有り余る呪いで以て、女を迎撃するのだ。
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「皆さんにご報告があります。ワイルドハントについて調査していた祟・イミナ(祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟・e10083)さんが、敵に襲撃を受けました」
山栄・桔梗(シャドウエルフのヘリオライダー・en0233)は、会議室に入るなり集まったケルベロス達にそう言った。
「その自らをワイルドハントと名乗るドリームイーターですが、山奥にある廃村をモザイクで覆い、その内側で何らかの準備を行っているみたいなんです」
このままでは、イミナの命までも脅かされる危険がある。
「急いで、廃村に向かってください。そして、ワイルドハントの撃破をお願いします!」
桔梗が言うと、ケルベロス達が頷く。互いに慌てる様子はなく、粛々と準備を進めていた。何故なら、イミナに何らかの被害が起こる可能性は、予知によって事前に知らされていたからだ。
「ここからは、新たに判明した情報になります。ワイルドハントですが、イミナさんと瓜二つの外見をしており、従える蝶を使った攻撃や、こちらの動きを制限する絡め手に加え、鬼の仮面を被ることで自らの強化もできるようです」
廃村の様子にしろ、ワイルドハントの風貌にしろ、全体的におどろおどろしい雰囲気だ。決して容易な相手ではないだろう。
「ただ、空間自体は奇妙で奇怪そのものですが、イミナさんの様子を見ている所、戦闘には支障はないと思われます」
動きも呼吸も、液体は制限するものではないらしい。では、何の意味がと問われれば、疑問符は付きまとうが……。
「どうか、イミナさんを無事に連れ帰ってください! それにしても、敵はワイルドスペースに踏み込まれた事に、危機感を覚えているようですね。一体どんな意味があるのでしょうか?」
参加者 | |
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福富・ユタカ(殉花・e00109) |
捩木・朱砂(医食同源・e00839) |
目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011) |
土竜・岳(ジュエルファインダー・e04093) |
祟・イミナ(祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟・e10083) |
アト・タウィル(静寂に響く音色・e12058) |
植田・碧(ブラッティバレット・e27093) |
アイカ・フロール(気の向くままに・e34327) |
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祟・イミナ(祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟・e10083)の縛霊手から放たれる網状の霊力と、自在に操られる白髪が絡まり合い、拮抗する。
「……ワイルドハントだか知らないが、実に僥倖だ。偽物とはいえ、『自分自身』を祟れる機会などそうはあるまい。この喜びの前に、お前達の秘密など些細な話だ」
「……異な事を。貴様、変わり者と呼ばれないか?」
デウスエクスと1対1という死すら脳裏を過ぎる状況にて、余裕を見せたのはイミナであり、戸惑いを見せたのはワイルドハントの方であった。楽しげに口端を釣り上げるイミナは、ワイルドハントからしてみれば変人、凶人の域であろう。合間合間に蝕影鬼が間に入り、ポルターガイストで牽制してくれているとはいえ、ワイルドハントが放った鱗粉は、確実にイミナを侵していて――。
「……クックック」
それでもなお、分身を纏わせながら低く含み笑うイミナが理解できず、ワイルドハントは呆れ、考えるのをやめた。
「ここがワイルドスペース……なんだか不気味ですね」
粘液を掻き分け、モザイクの中をアイカ・フロール(気の向くままに・e34327)達救出組は駆けていた。
「本当に、ね。こんな所で一人だなんて、祟さんが心配だわ」
アイカの隣を併走する植田・碧(ブラッティバレット・e27093)の眉根が寄った。
「安心しな。簡単にやられるようなタマじゃねぇよ」
二人を安心させるように告げるのは、捩木・朱砂(医食同源・e00839)。
「とっとと合流するに越したことはねぇがな。しかし、ワイルドハントもイミナに似合いの場所へ誘い込むもんだ」
一歩ごとに上下が引っ繰り返る世界。それも、廃村ときた。朱砂が肩を竦めると、その脇から目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)が顔を出す。
「まさか、祟クンが囚われるとはな」
信じられないといったニュアンスで、真が言う。確かに、イミナに似合うのは、囚われのお姫様よりも、むしろ監禁する側であろうが。
「ともかく、イミナ殿は大事な仲間でござー。傷つけるなど許せませぬ!」
鼻息荒く、福富・ユタカ(殉花・e00109)の足取りがさらに速度を増す。
「ええ、共に戦ったスマートフォンのダモクレスや、ドラゴン戦での相手を一心に祟っていたイミナさんの姿……私は忘れてはいません。そんな彼女がピンチなのですから!」
アト・タウィル(静寂に響く音色・e12058)にとって、イミナは顔見知り程度。だが、アトの脳裏には、ひたむきなイミナの姿が焼き付いている。
(ふふっ、イミナさんは幸せものですね♪)
仲間の意気込む様子に、土竜・岳(ジュエルファインダー・e04093)の頰が自然と緩む。
「絶対にお助けしま――!?」
そして、岳自身も言葉に出して拳を握ったその時。
「あちらで衝撃音がしましたよ!」
岳の耳は、南西の方角から、確かに戦闘音を捉えていた。
「私も聞きました」
「た、確かに聞こえました!」
アイカが同意する。それに、アトも頷いた。即座に音の方角へ方向転換したケルベロス達は、そこで黒と白の競演を目にした。
「来たか。……遅ければこのままワタシが祟り尽くしてしまうところだったぞ。……ああ、まだ祟り足りない」
イミナは口ではそう言う物の、白い肌の至る所に刻まれた痛々しい青痣と真っ赤な傷を見れば、その実情は競演とは程遠い一方的なものだと一目で分かる。
「させるかよ!」
また、それだけに止まらず、ワイルドハントは白髪でイミナを縛り上げ、金槌で追撃を仕掛けようとしている。その前に真が飛び出し、両手を盾に金槌を受け止める。横合いから、援護するように煎兵衛のハート光線。
「イミナ殿! 福富・ユタカ含めケルベロス、馳せ参じた次第! 加勢致す!」
そして、救援の到着に苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるワイルドハントを、
「拙者の大事なイミナ殿を傷つけたこと、その身で償って頂きまする。イミナ殿の流儀に倣い、祟ってやりまする!」
ユタカはチェーンソー剣を匠の技で操り、後退させた。
「フロールさん、祟さんを頼んだわよ?」
「心得ております、碧さん。微力ながら、皆さんを支援致します……っ!」
アイカにそう告げ、碧が前へ出る。入れ替わりに後衛に入るイミナの肩を優しく叩いた碧。
「姿が瓜二つで見間違わないか心配だったけれど、なるほど……髪の色は対照的なのね」
そう呟きながら、碧は電光石火の蹴りでワイルドハントを牽制する。
「……くっ、厄介な」
ケルベロスは集団で真価を発揮する。その事を知っているのか、ワイルドハントが痛烈に蹴られた肩を手で押さえる。そして、腰に手をやると、そこに携えた鬼の仮面を被った。
ドクン――! モザイク内が脈動し、ワイルドハントの気配が、文字通り鬼気迫るものへと変貌した。
「漆黒の雷光でその身を焦がせ!」
真が纏う汞身南蛮胴具足から、絶望の黒光が照射される。
「真さん、肩をお借りしますね!」
「おう!」
真の攻撃自体の威力は心許ないものであったが、続き岳が真の肩を借りて繰り出した回転突撃攻撃の命中を確実に補佐している。
「貴様ら、邪魔ばかりを!」
暴力的な波動と共に、ワイルドハントが紅蝶を羽ばたかせ、前衛に鱗粉を撒き散らす。不運にも上乗せされた暴力的な威力と毒は、だが減衰によって一定の弱体化がなされ、毒もユタカと岳にしか行き渡らない。
「…………チッ」
効きが悪いと悟ったワイルドハントが舌打ちをする。
「どうですか? 私達だって、無策で来た訳じゃありませんよ? じわじわと相手を雁字搦めにして、祟ってあげましょう」
アトの流星の煌めきを宿した飛び蹴りが、ワイルドハントに突き刺さる。
後方では――。
「ご無事で何よりです、イミナさん」
「……手間をかけるな」
「いえ、そんな」
イミナへと、禁断の断章を詠唱するアイカによって、ヒールが施されていた。
「蝕影鬼もよくやってくれたみたいだな。それとイミナ……まだ祟(や)れるな?」
朱砂が、ニヤリと笑った。イミナは無表情のまま、藁人形に朱砂の名前を書き、それを証明しようとする。そこを「俺じゃねぇよ」苦笑しながら、朱砂が止めた。
そして、イミナがイミナである事を確認した朱砂は、重力を宿した飛び蹴りで、アイカのヒールが完了する間を作ったのだった。
●
「今更でありまするが、正直、イミナ殿に似ている敵に腹パンを入れるの心苦しいのでござるが……」
「それは分かる。見れば見る程ソックリで、戦いにくくて困ったモノだ」
戦況はケルベロス優勢で進んでいた。時折、アトと岳の攻撃が回避されるものの、バッドステータスが重なるにつれて頻度も改善されてきている。
それ以上に問題となるのは、ユタカと真の言った通りの内容だ。
「まるっきり2Pカラーで見間違えずにはすむが、確かにいい気はしないな。まぁ、簪の有りなしの違いがあるから、色が同じでも間違えることはないが」
朱砂が、事も無げにそんな事を言う。だが、当の本人はというと……。
「……さて、白と黒、祟りて交わろう……」
――祟る祟る祟る祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟……封ジ、葬レ…! 実に楽しそうに祟り、杭を打ち付けているご様子。
「グッ……ガァ!」
四肢にいくつもの風穴を開けられ、ワイルドハントが呻く。
「祟る祟ると……意味が分からぬ事ばかり! この変人めがっ!」
そして、一旦は碧の拳によって粉砕された鬼の仮面を、再構築して被り直した。
だが、その一言は――。
「イミナさんと知り合って短い私にも分かりました。あなたが、イミナさんではないという事が!」
「まったくね、『祟る』の意味が分からない……そんなのは、祟さんの口からは絶対に出てこない言葉だもの」
分かりきっていた事ではあるが、改めて……イミナとワイルドハントが似て非なるものであると、躊躇する必要など欠片もないのだという事を、万の言葉よりも雄弁にケルベロス達に知らしめた。
唸りを上げるアトのチェーンソー剣がワイルドハントを切り刻み、その身を犯す数多のバッドステータスを増幅させる。中でも、複数付与された氷は、ジワジワとワイルドハントの体力を削っている。
「虚」の力を宿した碧のKami-Tamisu:Igarimaが、ワイルドハントの体力減退を促進させた。
「訳の分からぬ事をッ!」
だが、ワイルドハントも現状に満足している訳ではない。後衛に対し、赤き蝶の鱗粉が散布される。
「私が!」
しかし、ケルベロス達はサーヴァントも含めてDF4人体勢だ。高い確率で、誰かが動ける体勢にある。今回も、岳がアイカの前に立ち塞がり、厄介な毒の影響を最小限に。
「アイカ殿! 拙者達の背中は任せるでござるよ!」
唸りを上げる凄まじいモーター音と共に、ユタカのチェーンソー剣が金槌と激突し、派手に火花を散らす。余波を受け、鬼の仮面にピシリと罅が入るが、破壊には至らなかった。
「隙を見せるとヤられるぞ、それっ!」
防ぎきったと安堵を浮かべたワイルドハントの視界に入ったのは、真の暴風を伴う程の回し蹴り。踵がワイルドハントの顔面に入り、仮面が砕け散った。
「風よ、私の声が聞こえますか」
アイカを守らんとする岳の背中に、その詠唱は届く。前衛を優しい風が包み、魔を払う清廉さが付与された。
「助かります、アイカさん!」
「アイカ殿がいらっしゃる事、とても頼もしく思いまする」
岳とユタカが感謝を。ワイルドハントへ駆けだした岳の身体から、蓄積していた毒が一つ消滅する。
(ぽんず、岳さんの援護を!)
以心伝心。アイカの思惑を読み取り、回復に徹していたぽんずが先んじて尻尾の輪を飛ばす。
「小癪な!」
ワイルドハントは、白髪でその攻撃を迎撃。
だが――。
「えいっ!」
岳の大地を叩き割る程の剛力から放たれる一撃は捌ききれず、直撃を受けた。
(……何かケルベロス側との繋がりっつーか……回廊みたいなもんが出来てるのかね?)
ルーンアックスを振り上げた朱砂は考える。イミナが予感を覚えた理由はなんだ? いわば、双子の間に起こるという共感覚のようなものだろうか? 答えの出ない思案に一先ず朱砂は終止符を打ち、光り輝く呪力と共にアックスを振り下ろす。バッドステータスの影響か、ジャマーや後衛の一撃であっても、時折十分すぎる程の威力をもたらす。
「ぐふぅ……ッッ!」
ワイルドハントが膝をついた。ケルベロス達の攻撃に加え、いよいよ身体に刻まれた氷が、致命的な影響を及ぼしかけているのだ。
「用意した武器は使いなれてはいませんが……それでも、今ならば!」
アトが、ファミリアロッドをワイルドハントに向ける。射出されたファミリアは、戦闘序盤とは比べものにならない精度、底上げされた威力を誇る。それも、アト自身が徹底的にジグザグを狙ったゆえの成果だ。
「私がここで倒れる訳にはいかんのだ!」
「ほぅ? なら、倒れる前にどこから湧いて出たのか、教えてもらおうか?」
ワイルドハントは何らかの準備をしていたという。だが、問いかける真に、返ってくる返答はなし。真も、それほど期待はしていなかった。金槌を手に、無言で間合いを詰めてくるワイルドハントに、
「破ッ!」
カウンター気味に、真の蹴りが穿つ。
「他者の姿を借りてしか存在する事ができないとは、お可哀想に。自分にないものを求め、足掻く本質から、夢喰さんは逃れられないのですね……」
「……っ、何を!」
岳の瞳が、憐憫の色を映す。ワイルドハントは激昂しかけるが、岳の瞳……憐憫の奥に宿る希望の光に圧倒され、言葉を失った。
「確固とした己がない存在に、私達は負けません! 負ける訳にはいきませんっ!」
岳のモグラファミリアが、カードに変身する。そのカードをリーダーに読み込ませると、瞳の奥と同じ希望を象徴するオパールの輝きを宿したモグラが顕現し、高重力の一撃を見舞った。
「……っ、っ……!」
怖気が走る程整ったワイルドハントの顔が、焦りに彩られる。頰をベタリと血で濡らしたその無様な姿は、最早イミナとは似ても似つかない。
「効果は十分といった所だな」
ワイルドハントが、鬼の仮面を被る。だが、朱砂のウイルスによって満足な効果は得られまい。朱砂が魔法の光線を放った。
「……そろそろ頃合いのようだ。またいつでも現れるといい。喜んで祟ってやろう」
イミナが、氷結の螺旋を放つ。凍える冷たさが、ワイルドハントの思考能力を奪っていく。蝕影鬼もまた、敵の背後に音もなく出現し、攻撃を加えた。
「イミナ殿も蝕影鬼先輩も、さすがでござるな。拙者も負けてはいられませぬ」
ユタカが目元を覆う前髪を掻き上げる。覗いたのは、シトリンを想起させる黄金の瞳だ。輝くそれに、ワイルドハントは咄嗟に視線を外そうとする。
だが――『逃がさねぇよ』……口端を釣り上げるユタカに告げられると、ワイルドハントの視線は縫い止められ、眼光で切り裂かれるという異常をその身に受けた。
「ぽんず、最後まで油断せずにいきましょう」
経験が浅いなりに、仲間のヒールもエンチャントも、アイカは自分なりに貢献できたという自負がある。しかし、いつだって全力のアイカに慢心はなく、影の弾丸と鋭い爪がワイルドハントを襲った。
「~~~~!!?」
ワイルドハントが上げる声なき悲鳴。周囲を舞う赤い蝶が、力をなくし地面に落ちて消滅を始める。
「祟さんに目を付けられたのが運の尽きだったみたいね?」
碧が、ワイルドハントの額にハンドガンの銃口を突きつける。
「世の中には、敵に回しちゃいけない人がいるものよ?」
鳴り響く、一発の銃声。ワイルドハントが、崩れ落ちる。
「……失敬な」さすがにそう言いたげなイミナを碧は振り返り、ペロッと悪戯っぽく舌を出すのだった。
●
「オツカレサマ、祟クン。今回は不運……そういう感じでもないか。まぁ、間に合って良かったよ」
真は戦闘中のイミナを思い出し、苦笑する。
「手かがりを探してみましょう」
ワイルドハントへの祈りを終えた岳がそう言うと、
「何か持ち帰ってみましょうか?」
「廃村の様子も見て回りたいですね」
碧とアトがそう提案した。
「……ならば、まずはこの液体か。試しに飲んでみたりできるか――」
しかし、イミナが行動を始めようとした時だった。モザイクが晴れ、粘液が夢であったように霧散したのだ。
「なぁイミナ……お前さん、村のどこか気になる場所はないか?」
朱砂が問う。だが、イミナは静かに首を振った。
「手かがりはあまりなさそうでござるな。仕方ないでござる、帰って拙者秘蔵のお菓子を皆で食べましょう!」
ユタカが、切り替えて皆に言うと、
「ええ、是非! こんな時は、甘いものを食べるに限りますものね!」
敵の思惑の不透明さに不安を抱いていたアイカが、笑って賛同してくれたのであった。
作者:ハル |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年10月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 9
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