彼岸の入りの調査

作者:なちゅい

●調査の末に……
 その日は、彼岸の入りに当たる。
 関西某所の廃工場の敷地内。放棄されて久しいこの場所を、ベルノルト・アンカー(傾灰の器・e01944)が調査を行っていた。
「何だろうね、この感覚は……」
 一見何もない場所に見えるが、ベルノルトは予感めいた何かに引き寄せられるようにして、敷地内を奥へと歩いていく。
「やはり……」
 彼は程なくそれを発見し、自身の予感が正しかったことを確認した。
 そこは、建物があったと思われる場所。モザイクに包まれたその内部は外からでは窺い知ることができない。やむなく、ベルノルトはその内部へと突入していく。
 モザイクの中は、元々の建物の壁や床、中にあったと思われる腐食した機械がまぜこぜになった奇怪な場所だった。
 また内部は、纏わりつくような粘性の液体に包まれている。どうやら、呼吸や行動などに支障はないようだが……。
「おや、こんなところに侵入者とは……」
 調査を始めたベルノルトの前に、彼に似た人影が現れる。
 青白い炎に包まれた人や獣の骸骨を纏ったその人影は、ベルノルトを見て驚いて見せた。
「その姿は……、ワイルドハントですか?」
 ほぼ確信を持ってベルノルトは問いかけるが、相手は構わず言葉を続ける。
「この姿に因縁がある者とお見受けしました。だが、今、ワイルドスペースについて知られるわけには行かないのですよ」
 そいつは全身の炎を燃え上がらせ、全身に纏う骸骨をカタカタと鳴らす。
「ワイルドハントたる僕の手によって、死んでもらいましょう」
 ワイルドハントは虚ろな表情をしたまま、ベルノルト目掛けて襲い掛かってきたのである。

 秋を感じるようになってきたある日。
 新たな事件が勃発しており、ヘリポートにケルベロス達が集まる。
「ドリームイーターによる事件が起こるようだね」
 リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)はすでに、彼らに向けて依頼説明を始めていた。
 なんでも、彼岸の入りに当たる日、ワイルドハントの調査を行っていたベルノルト・アンカー(傾灰の器・e01944)がドリームイーターの襲撃に遭ってしまうようだ。
「ドリームイーターは、自らをワイルドハントと名乗っているよ」
 この敵は 『事件の場所』をモザイクで覆って、その内部で何らかの作戦を行っているらしい。
 このままだと、その場に入ってしまったベルノルドの命が危うい。
「急ぎ、救援に向かって、ワイルドハントを名乗るドリームイーターの撃破を行ってほしいんだ」
 現場は、関西某所、今は誰も立ち寄らない郊外の廃工場だ。
 敷地内の工場一棟がモザイクに包まれてしまっており、その中は工場の壁や機械がバラバラに混ぜ合わされたような特殊な空間になっている。ただ、戦闘には支障がない為、安心して敵の撃破に当たってほしい。
「ワイルドハントは、暴走したベルノルトの姿と酷似しているようだね」
 ドリームイーターは陰鬱とした男性が青白い炎で燃え上がる人や獣の骸骨を纏った姿をしているが、ベルノルトの外見を奪っただけでしかない。
 攻撃グラビティも彼が使うものとは異なる。その身に纏う骸骨や炎、そして、鎖を操り、ジャマーとして立ち回ることが確認されている。
 説明を終えたリーゼリットはそこで、推論を語る。
「ボクが予知するよりも早くベルノルトが現場へと調査に向かったのは、敵の姿と何らかの関係があるかもしれないね」
 敵が応戦してきたということは、ドリームイーターはその中に何か重要なものを隠しているのかもしれない。
 ただ、それを調べたくとも、先にベルノルトを助け出す必要がある。
「ともあれ、彼の救出を。よろしく頼んだよ」
 リーゼリットはそうして、ケルベロス達へとこの一件を託すのだった。


参加者
フラッタリー・フラッタラー(絶対平常フラフラさん・e00172)
平坂・サヤ(こととい・e01301)
ベルノルト・アンカー(傾灰の器・e01944)
神乃・息吹(虹雪・e02070)
リィ・ディドルディドル(悪の嚢・e03674)
皇・希莉(エラーコード・e16786)
マーク・ナイン(取り残された戦闘マシン・e21176)
ルフィリア・クレセント(白明月華・e36045)

■リプレイ

●ワイルドハントとは……?
 彼岸の入りであるその日、関西某所の廃工場跡にケルベロス達の姿があった。
「さてさてー、私の似姿では無いワイルドハントですわねぇー」
 おっとりといた印象のフラッタリー・フラッタラー(絶対平常フラフラさん・e00172)はすでに一度、自身の姿のワイルドハントを撃破している様子。それもあり、他人の場合に興味を抱いていたようだ。
「ワイルドハント、ね。聞きたい事はあれども簡単に口を割ってはくれないだろうね」
 仮面で目元を隠す皇・希莉(エラーコード・e16786)は、ワイルドハントの企みを推し量ろうとするが、現状はまだ情報も少ない。
「けれど隠そうというのなら、アタシ達には良い事じゃないのかな」
 もうすぐ、世間が南瓜行列ということもあり、その先取りというわけでもないだろうが……、その目的を聞き出したいと希莉は語る。
 程なく、ケルベロス達はモザイクに包まれた建物らしき場所を発見し、そのまま突入していく。
「この空間へ入るのは2度目になりますが、本当に何なのでしょうね、此所は?」
 まだあどけなさが残る金髪の少女、ルフィリア・クレセント(白明月華・e36045)は内部を見回す。
 設置タイプの携帯照明を用意していたが、内部は思った以上に明るい。
 これならと光源を用意していたルフィリア、フラッタリーを始め、コンバットライトを持つロボットのような外見のマーク・ナイン(取り残された戦闘マシン・e21176)も点灯を取りやめていた。
「液体の中なのに、普通に呼吸が出来るなんて不思議だわ……」
 林檎型ランプを仕舞いつつ、白トナカイのウェアライダーの神乃・息吹(虹雪・e02070)も、建物外壁や内部にあったと思われる機械が浮き出るこの空間に興味を持つが。
「まずは、急いでベルさんを探しましょう」
 息吹の言葉に無表情で頷く、ドラゴニアンの少女、リィ・ディドルディドル(悪の嚢・e03674)。魔法使い風の外見の平坂・サヤ(こととい・e01301)も腰に下げたランタンを点けぬまま、仲間の後を追う。
 リィとサヤは同旅団。2人は息吹と顔見知りの関係。そんな彼女達がこうして駆けつけているのは、ベルノルト・アンカー(傾灰の器・e01944)の救出、援護の為だ。
「ええ、兎も角合流を急ぎましょう」
 ルフィリアが仲間達へと促す。急げば急ぐほど、彼の負担が減るのは違いないはずだ。

●傾灰の器の姿を借りたモノ
 一方、モザイク内部の奥では。
 色白の青年の姿をしたドリームイーターが微笑を湛え、その身に纏う骸骨をけしかける。
(「己の似姿と相対する日が来ようとは」)
 対するベルノルトは無表情なまま。自身と同じ姿の相手と戦うのは貴重な体験だが、いささか気味の悪さを覚えていて。
 冷静にこの状況を捉えながらも彼は防御態勢を取り、光の盾を自身の周囲に展開した。
 そして、相手目掛けて斬霊刀の刃を見舞う。その際、やや派手に周囲の破壊を気がけて立ち回る。
 それもあってか、戦闘音を頼りに移動していたルフィリアが駆けつけ、先んじて仕掛けていく。
「魂の門を通り、結んだ絆を辿りて来たれ。あなたの姿は、束縛された虹色の乙女」
 召喚に応じたのは、拘束服を纏う虹色の髪を持つ少女人形。ルフィリアはそれを虹色に輝く鎖に変えて前方に伸ばし、夢喰いの手足に絡めて動きを妨害しようとする。
「この鎖は簡単に抜け出せる程、脆くは無いです」
 鎖に辛め取られて動きを封じた相手へ、ルフィリアは事も無げに告げる。
「以前何処かでお会いした事はー、ありますでしょうかー?」
 フラッタリーも平常時のおっとりとした笑顔を浮かべたまま、そいつへと声をかけた。
「さて、どうでしょうか」
 敵はその問いかけをはぐらかす。その間に、他のメンバー達が続々と、この場に駆けつけてくる。
「わ……、本当にベルさんと同じお顔。並んでいると双子みたい……」
 息吹は瓜二つな恋人の姿に見とれそうになるが、鎖で縛られ、体に炎を燻ぶらせた本物のベルノルトの元へとすぐに駆けつける。
「ベルさん、大丈夫?」
 彼女が彼の容態を気がけると、回復役のサヤが溜めた気力を撃ち出してそれらを解除していく。
「この借りは必ずお返しします」
 情けない姿を晒していると自覚しつつ、ベルノルトはその助力に敢えて甘んじることにする。
「すみません、どなたか手を貸してくださいませんか」
「プログラムナンバー検索。実行」
 助力を申し出たサヤに応え、希莉が動く。彼女が自らにインプットされたグラビティ情報を検索、即座に実行することで、ベルノルトの体を淡い光が包んだ。
「似ている、……の、でしょーかねえ」
 まつげの長い目蓋をぱちくりしつつ、サヤ、リィはベルノルトと暴走した彼と同じ姿をしたワイルドハントを見比べる。
「なるほど、本人に似てスカした顔をしているわ」
「スカした顔……」
「殴ろうが蹴ろうが脱がそうが、好きにして良いのよね?」
 遠慮なしに主張するリィは、断じてこの間の訓練で負かされたことを根に持っているわけではないと小さく独りごちてから本人に問う。
「ええ、姿は如何あれ、彼は敵です。殴ろうが蹴ろうが……、脱がすのは止めてください」
 やや冷や汗をかくベルノルトは間接的な苦言を控えるよう促しつつ、表情を引き締める。
 それに応じてか、マークは機械的な口調に切り替わって。
「SYSTEM COMBAT MODE」
 敵を見据えた彼は、武装を展開していった。
「サヤはいつものベルノルトしか存じませんゆえ。そちらをお返し願いましょう」
「僕を倒せるとでも?」
 冷淡に言い放つ敵はまたも骸骨をけしかけるが、構えを取ったベルノルトが仲間の前に立ち塞がって受け止める。彼の視線の先には、息吹の姿があった。
「映し身であれば、尚更の事――彼女に触れる事は許しません」
 防戦一方から一転、ケルベロスはワイルドハント撃破の為にグラビティを放ち始める。
「……どうなんでしょうかー?」
 幾度か問いかけていたフラッタリーも返答は得られないと判断し、展開したサークレットを展開させ、金色瞳を開眼させた。
「幾度現レド変ラ不。獄炎ハ汝ヲ捉エ離サ不」
 フラッタリーは、相手の体から漏れ出るグラビティ・チェインの一端を捕捉する。腕に焔を滾らせた彼女は火縄となして飛ばし、相手を戒めていく。
 だが、夢喰いは平然とした顔で、身に纏う炎を放ってくる。
「キミ、頼むよ」
 希莉が呼びかけたのは、自身のライドキャリバーだ。
 キミと名づけられた一輪バイクは希莉の要望に応えて飛び出し、その炎を受け止めて見せた。
 味方の攻撃によって、大きく崩れた体勢の夢喰いを捉えたマーク。迅速さを重視した攻撃を意識する彼は、展開した20mmガトリング砲から弾丸を連射して相手を蜂の巣にしようとする。
 だが、相手もデウスエクス。多少の攻撃では怯みすらしない。
「……にしても。あの見目は思った以上にやり難い、わね」
 ベルノルトと同じ見た目の敵の攻撃に備え、紙兵を撒いていた息吹は抵抗を覚えてしまう。
「ワイルドハント、彼らも魂を持つのかしら?」
 前線にボクスドラゴンのイドを回らせ、リィは相手を注視する。降魔拳士として相手が生命体なのかどうか、そして、似た存在に心当たりはないかと考えていたのだ。
 ただ、ぼんやりしてもいられない。イドが自分を含めた中、後衛陣に属性注入してくれるのを感じ、彼女も紙兵を撒いて前線メンバーの守りを固めていく。
 他のメンバー達が態勢を整えると、回復役のサヤも時に攻撃に出る。いくら信頼する旅団の仲間と同じ姿をしているとはいえ、相手のたましいは別物と彼女は考えた。
「残念ながら、蹴るのに躊躇はありませんねえ」
 思いっきり、サヤは相手へと星型のオーラを叩き込む。
「その仮初めの姿、剥がせる物か試させて貰います」
 なぜ、相手が本当の姿を隠すかは分からないが、ルフィリアにとって敵なら倒すだけ。
 夢喰いの正面に躍り込んだ彼女は、オーラを纏わせた拳で相手のみぞおちを強く殴りつけた。
「キミ、行くよ。合わせて」
 さらに、希莉が仕掛ける。キミがガトリング掃射するのに合わせ、彼女はアームドフォートの主砲を一斉に叩き込んでいく。
「ねぇ、君たちの目的はなんだい?」
 直後、希莉は問いかけた。
 ワイルドハントからの答えなど期待できないのは、先ほどのフラッタリーの応対を見ても明らかと彼女も分かっていたのだが。
「それを、あなた達に答えるとでも?」
 案の定、夢喰いは自身を包む炎を放ち、返答としたのだった。

 ベルノルトの姿のワイルドハントはモザイクの空間を自由に動き回り、鎖や骸骨を飛ばしてケルベロスを攻め立てる。
「どうして、その姿を模しているのかな?」
 問いかけを止めない希莉に、敵はまたも骸骨をけしかけてきた。
 おどろおどろしい姿の骸骨は直接食らいつき、取り付き、相手を内面からも弱らせようとしてくるのだ。
 内外両面からの攻撃に希莉は強烈な痛みを実感する。だが、彼女は口元に笑みを湛え、簒奪者の鎌に虚の力を纏わせてワイルドハントの体を大きく切り裂く。
(「ただでは倒れてやらないよ、最後まで足掻いてやるさ。格好悪くてもね」)
 希莉の隣では、ベルノルトが斬霊刀で敵の急所を切りつけ、斬撃痕を凍りつかせていた。
(「あれはベルさんじゃない、と自分に言い聞かせるよりはいっそ……」)
 後ろの息吹も敵の弱体化にと動く。その際、どういう心境で彼に似た相手を攻撃するかと至った結論は、『いつか喧嘩する時の予行練習』らしい。
「ベルさんのばか! 鈍感! 天然タラシ……!」
 相手に紫の林檎を差し出す息吹。その香りが敵の記憶の奥底にある悪夢を形づくる。
「くっ……」
 揺らぐワイルドハントの体。しかし……。
「天然タラシ……。あの、間接的な苦言はその辺りにして頂いて……」
 だが、偽物以上に、本人の方が複雑な面持ちをしており、心の傷を増やしてしまっていたようである。
 敵の態勢がやや崩れたのを、フラッタリーは好機と見た。
 ――姿を騙る不埒者には、焔の縄を結い、竜の如く砲にて穿つ。
 ――縛り、竦ませ、動きを鈍らせ……。
「例e我ガ身焼かReヤウト、糾弾nO助力トn∀ラン」
 獣じみた動きのフラッタリーはかなり狂乱した言葉を発する。
 それでも理性をしっかりと持つフラッタリーは相手に竜砲弾を叩き込み、さらに、鉄塊剣「野干吼」で深く斬撃を見舞う。
 続くマークは、ベルノルトが持つ幻想化した刃に貫かれたことで、判断力を増していた。
「TARGET IN SIGHT」
 それを生かし、マークは機械的な音声を発してライフル「DMR-164C」から発した魔法光線で相手を撃ち貫く。回復支援の手は多いと判断した彼は終始、ワイルドハントを攻め続ける。
「後詰めは任せて」
 イドが回復に重視で動くこともあり、リィは先ほどの言葉通りに容赦なく攻撃を仕掛けていた。
「この世に生まれた事を後悔させてあげる」
 呼び起こされた混沌龍の魂は夢喰いの体を漆黒の鍵詰めで薙ぎ払い、相手に負の感情を流し込んでいく。常人なら発狂レベルの邪念。いくらドリームイーターといえども、ただで済むはずがない。
「味な真似をしますね……」
 身体を痺れさせたワイルドハントはイド目掛け、黒い鎖を伸ばしてくる。精神操作で操る鎖はボクスドラゴンの体を強く締め付けていた。
 前衛陣の傷が深まれば、サヤがすっと息を吸い込む。
「何もかも 騙してしまえ それが為人(ひととなり)の証明……♪」
 陰鬱そうな外見だが、彼女の歌は明るさを感じさせる。生きることの罪を肯定する歌が仲間達を鼓舞し、不浄を振り払っていく。
 信頼する仲間の多い依頼でもある。サヤは彼らを信じて回復支援に力を尽くす。
 隣のルフィリアも相手の嫌がる攻撃によって、攻め崩そうとする。
 何度か攻撃を繰り返すうち、ルフィリアは力技で攻めるべきだと仲間と示し合わせ、相手の胴目掛けて殴打を繰り出す。
 そればかりだと、悠然と立ち回るワイルドハントに避けられる危険もある為、ルフィリアは間に流星の蹴りを相手に見舞っていく。
 大きくワイルドハントの体勢が崩れたところに、息吹が飛び込む。
「イブからのプレゼント、どうぞ受け取って頂戴な」
 彼女は力の限り、敵の顔面にトナカイの蹄をクリーンヒットさせた。
 仰向けに崩れ行くワイルドハントは最後まで微笑を崩さず爆ぜ飛び、モザイクとなって散っていく。
「もうひとりのベルノルトなんて、珍しいものを見られましたねえ」
 いつもの彼の方が好きだから、一目見れば十分とサヤは消え行く相手に言い放つ。
「さよなら、ベルさん(偽)……」
 普通に攻撃して倒した相手に複雑な心境を抱き、なんとなくしみじみする息吹。
 しかしながら、散々不満を爆発させた彼女はこころなしかすっきりしたようにも見えたのだった。

●消えるワイルドスペースに……
 ドリームイーターを倒したケルベロス達。
「ワイルドハントが隠していた物が、何か残っていないでしょうか」
「何らかの手がかりが見つかれば、僥倖だが」
 息吹、希莉がモザイク内部の空間を見回して調査を始めようとする。ルフィリアも別の何かが出現するのを警戒しつつ、当たりを探索し始めていた。
 ただ、敵の討伐と共に、その空間は徐々に消えて行き、元の工場へと戻っていく。
 モザイク内部の空間を保存容器に入れていたマークだったが、どうやらその中には何も残らなかったらしい。
「負傷は大丈夫か?」
 人間の口調に戻ったマークは、改めてベルノルトの状態を気がける。
 ベルノルトは大丈夫と返事しつつも、結局調査できなかったワイルドスペースについて推察していた。
「侵入者を相手に逸ると言う事は、彼等の秘密は隠蔽が難しいものやもしれません」
 そんな彼に、リィはふと気になっていたことがあって。
「ところで、ベルノルトとイブキが付き合ってるってホント?」
「ぷっ、けほっけほっ……」
 なんとなく、リィは法的に大丈夫なのかと心配していたようで。それを聞いた息吹が盛大にむせていた。
「ほ、法に触れるような行いはしてない、し……」
「世間で言うところのロリコンってやつよね?」
 否定する息吹に、リィがさらに問いかけると、サヤが彼女の方を叩き、口元に指を当てて。
「リィ、しっ。複雑玄妙な間柄をつついてはいけないのですよ」
「ロリコ……いえ、いいえ、真剣交際であれば合法です」
 精神的にやや消耗していたベルノルトは、これだけはと毅然と言い放つのだった。

 そんなカップルの姿に様々な想いを抱きながら、他メンバー達はこの場から去っていく。
 彼岸を過ぎてなお、ワイルドハントが別のケルベロスを狙っているかもしれない。新たな情報を求める為、メンバー達は別の戦地に向かうのである。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年10月6日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 7
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