鎌倉ハロウィンパーティー～夢見る一時

■リプレイ

●鎌倉ハロウィンパーティー～夢見る一時
　鎌倉で行われるハロウィンパーティー。そこにドリームイーターが現れる。それを防ぐために行うのは……事前ハロウィンパーティー！
　仮装したケルベロス達が集まる。吹春・こなえ（未熟な電子管楽器奏者・e00255）は蛇使いの仮装。愛用の武器、ウィンドシンセサイザーを蛇使いの笛に見立てている。
　エイダ・トンプソン（夢見る胡蝶・e00330）はちょっと大胆にデザインされている和風ドレスに狐の付け耳と尻尾。妖艶な妖狐だ。武器の爆破スイッチは袖の中に隠し、マインドリングとエアシューズは、その容姿に溶け込むように工夫している。
　風峰・恵（地球人の刀剣士・e00989）は、ダボッとしたローブに三角帽子を纏う。日本刀は細工を加えて布を巻きつけた上、木の杖に見立ててよろよろと歩くと老年の魔法使いそのものだ。
　リアトリス・エルス（鮮血の・e01368）はメイド姿。相棒のボクスドラゴンのステラは、白くてふわふわの毛皮の全身を黒マントで覆うと、頭に顔つきカボチャを乗せて固定。可愛いジャックオーランタンだ。
　星河・湊音（燃え盛りし紅炎の華・e05116）は可愛い妖精の姿。斬霊刀は布を巻き、造花で花の杖に模している。
　アナーリア・シス（新緑の蒼・e06940）は大きな時計を持った兎の姿。大きな時計はゾディアックソードを隠すためのものだ。
　アルバ・トラオム（流浪の医療師・e17032）も魔法使い。とんがり帽子にローブと南瓜ランタン。いかにもハロウィンという感じだ。相棒のテレビウムのソルヴェンテも同じ姿。小さいテレビウムの姿が愛らしい。
　鴨川・鷲兵（凶ツ風・e07642）は海賊姿。海賊帽に、コートを羽織る。刀はカトラスの様に見えるように装飾を施して。
「どうよこの格好。キャプテンと呼んでも構わんぜ？」
「じゃあ、キャプテン！　お菓子をくれないといたずらするよ～」
「えぇと……、お菓子をくれないと蛇でイタズラしちゃいますよっ！」
　鷲兵に湊音とこなえがねだる。
「おう、色々あるぜ。カボチャ味のチョコやクッキー……」
「カボチャ味のクッキーはともかくチョコレートは珍しいですね？」
　鷲兵が渡そうとするお菓子にアルバが感想を述べる。
「甘いカボチャに甘いチョコレート。とっても甘そうだね。ね、ステラ」
「きゅぴ♪」
　リアトリスの言葉にステラも楽しそうに答える。
「と、とにかく、楽しくやろうぜ！」
「おー！」
　鷲兵の言葉に、全員が声を合わせた。

●事前ハロウィンパーティー
　まずはお菓子。ハロウィンドリームイーターが引っかかる一番可能性のあるもの。
　ハロウィンならではのカボチャや可愛い装飾を施したチョコレートやクッキー、マシュマロ等のお菓子。
　アナーリアの持ってきたクッキーは手作りだ。
　それを見て、エイダが複雑そうな顔をした。
「えと……私もクッキーを焼くつもりだったのですが、家の台所が……何故か半壊してしまって」
「は、半壊ですか？」
「大丈夫です！　これはお店で買ってきたお菓子の詰め合わせなのです。あ、味は保証しますよ！　有名店のお菓子なので！！」
　半壊という大事件に恵達が驚いた顔をしたので、エイダは持ってきたクッキーが大丈夫だと必死で主張した。
「あはは、面白いね！　さあ、楽しもうよ！」
　そんなエイダの姿に湊音は笑う。事前ハロウィンパーティーの本番だ。
「名誉挽回です！　ミュージックファイターの実力の見せどころですよ！」
　エイダは笛を吹いて楽しい音楽を奏でる。盛り上げる事はお手の物なのだ。同じくミュージックファイターのこなえがそれに合わせて歌を歌った。
　それに手拍子をとったり、歌ってみたり、踊ってみたり。
「トリックオアトリート！　お菓子をくれなきゃいたずらするぞ！」
「ほらほら、沢山あるのじゃ」
「クッキーもチョコレートも美味しいです。皆さんも一緒に食べましょう」
「お宝発見、ってか。わははは」
　お菓子をねだったり、あげたり、食べたり。笑顔で楽しくパーティーを盛り上げていった。
「ステラ、はい、お菓子」
「みぎゃ♪」
　リアトリスはステラのカボチャの口にクッキーを入れていたずらする。
「ぎゃぅ？」
　お菓子を貰えなかったステラが首を傾げる。それにリアトリスが笑った。
「ふふっ、はいはい、ちゃんとあげるから」
「みぎゃ♪」
　お菓子を貰って嬉しそうにステラは鳴いた。
　ソルヴェンテも楽しげにくるくる回っている。
　楽しい笑い声や歌声が響くパーティー。警戒はしつつも、楽しく過ごしていく時間が流れる。
　そこにそろりと魔法使いの姿をしたハロウィンドリームイーターが近づいて来た。ハロウィンのお菓子。それを求めるかのように。

●対ハロウィンドリームイーター戦
　ハロウィンドリームイーターはおずおずと近寄って来る。お菓子に目を奪われているようだ。
「さあ、敵さんのお出ましだ……！」
　鷲兵の声にケルベロス達はハロウィンドリームイーターに構える。恵は魔法使いのローブを脱ぎ捨てた。
「お菓子、欲しいな……？」
　ハロウィンドリームイーターは、持っている箒を掲げる。箒からモザイクが飛び出し、ケルベロス達に襲いかかった。そのモザイクがケルベロス達の動きを鈍らせたが、こんな事で負けてはいられない。皆の楽しいハロウィンパーティーを守る為にも。
「さあ、本気出していくよ！」
　湊音は全身を地獄の炎で覆い尽くして燃え上がり、大きく気合いを入れる。
「イタズラには、イタズラで仕返しですっ！！」
　こなえはハロウィンドリームイーターに籠に入ったお菓子を見せつけると、そこから炎のドラゴンがハロウィンドリームイーターに襲いかかった。衝撃でお菓子が飛び散り、ハロウィンドリームイーターの周りにお菓子も舞う。そのお菓子も炎に焼かれて、ハロウィンドリームイーターには手に入れる事が出来ない。
「ん、イタズラするだけなら、ここに居なくていいからね」
「きゅぴ」
　リアトリスの言葉にステラも同意するように鳴く。そして、リアトリスがハロウィンドリームイーターを貫くと、それに乗せるようにステラもブレスを吐いた。
「恵さん、アナーリアさん、鷲兵さんに力を……！」
『今動かない方が楽に済みますよ』
　エイダが攻撃を支援し、アルバが更にハロウィンドリームイーターの足止めにかかる。
「この太刀筋、お前に見切れるかな。秘剣、カモメ返し――なんつってね」
　鷲兵は瞬時の抜刀術で斬りつけ、そこに恵の凍てつく一撃が加えられる。その攻撃に乗りアナーリアが舞う。
『踊りましょう、私達と』
　速く、かつ重い斬撃をハロウィンドリームイーターに与えた。
　ハロウィンドリームイーターは再び箒を掲げる。現れたモザイクはまるでお菓子が舞うように自身を包み込んだ。
　その動きを阻むようにこなえはミサイルを撃ち放ち、湊音は炎を叩きこむ。更にエイダの放った闇がハロウィンドリームイーターを包み込んだ。すかさずリアトリスのブラックスライムの槍が撃ち放たれ、ステラのタックルが撃ち込まれた。ハロウィンドリームイーターも箒を使ってそれぞれの攻撃を防ぎつつ、新手の攻撃を放つ。放たれたモザイクが眠気を誘っていく。
「思い通りにはさせませんよ」
　アルバはすかさず回復させ、ソルヴェンテは攻撃を叩きこんだ。エイダは、こなえ、リアトリス、湊音に更なる力を与え、こなえは恵、アナーリア、鷲兵の守りの力を高める。援護を受けたケルベロス達は次々と攻撃に移る。光の斬撃が走り、闇が貫き、月の光が斬り抜け、光速の蹴りと斬撃が叩き込まれた。
　流石に攻撃を防ぎきれなくなってハロウィンドリームイーターはひたすら回復に回り始める。だが、ケルベロス達の攻撃は止まない。高められている力と守りも相まって、ハロウィンドリームイーターを確実に追い詰めていく。ハロウィンドリームイーターの攻撃を受けても、アルバが素早く回復に回り、隙を見せない。
　続く攻撃の中、終劇を迎える。こなえの奏でる美しいウィンドシンセサイザーの音色はハロウィンドリームイーターの戦意を削ぎ、更に湊音が雷の一撃で動きを止めた。そこに鷲兵の斬撃が傷を抉る。恵の月の弧を描くような斬撃を受けた所でアナーリアは最後の一撃を放った。
「ごめんなさい、貴方のパーティーはここで終わりです」
　止めの一撃を受けたハロウィンドリームイーターは……ぽんっと弾ける。そこに現れたのは大きなお化けカボチャ。
「カボチャになった？！」
　不思議な変身にびっくりせざるをえなかった。

●終わりと始まり
「一件落着、でしょうか？」
「そうですね。これで本物のハロウィンパーティーが迎えられますね」
　アルバの言葉にアナーリアが頷く。ハロウィンドリームイーター自体がハロウィンへの夢なのだから、こんな不思議で楽しい変化を遂げるのかもしれない。お化けカボチャという所が本当にいかにもハロウィンという感じだ。
「本当ならエミリさんも誘いたかったな。一緒に楽しみたかったし」
　湊音は残念そうだ。
　人見知り故にハロウィンドリームイーターを生み出したエミリ。彼女はドリームイーターを生み出した時点で意識を失っている。今ならばきっと意識を取り戻しているだろうけれど、今回のハロウィンパーティーには参加は難しいだろう。
「後からお見舞いに行くのはどうでしょうか。遅いハロウィンになりますがソルヴェンテがエスコートしてくれますよ」
　アルバの言葉にソルヴェンテがこくこくと頷き、魔法使いのマントを翻してくるりと回る。
「そうですね。そもそも本人が行かないと楽しめないですしね」
「それから衣装を褒めて、お菓子もあげたいですね」
「それで、あと一歩踏み出してくれたら良いですよね」
　恵、エイダ、こなえも賛同する。
「では後日、皆さん一緒にエミリさんにお菓子をあげに行きましょうか？　……もちろん、ハロウィンにはお決まりの台詞を聞かないと、ですけれどね」
　そう言ってアナーリアは微笑む。少し遅れるエミリのハロウィンだけれど、彼女にとっては良い経験になってくれるかもしれない。そして、次は楽しく参加出来る一歩になれば良い。
「それじゃあ、今はこれから始まるハロウィンパーティーを楽しもうよ！」
「うん、一杯楽しんで、それから沢山楽しい事の話もお土産にしたいね！」
　リアトリスの言葉に湊音は笑う。精一杯楽しむ事が、ハロウィンドリームイーターの残したお化けカボチャのメッセージなのかもしれない。皆が楽しむハロウィンパーティーだ。心行くまで楽しもう。
「じゃあ、仮装を整え直すか！」
　鷲兵の言葉にケルベロス達は頷く。
　ハロウィンパーティーを守る為にハロウィンドリームイーターを倒したのだ。本当のハロウィンパーティーを皆が楽しむ為に。
　だったら、お菓子をくばったり、歌ったり、楽しもう。
　始まる本当のハロウィンパーティーが楽しいものになる事を願うケルベロス達だった。

作者：白鳥美鳥	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2015年10月31日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 0／感動した 0／素敵だった 4／キャラが大事にされていた 1
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