男は男同士、女は女同士で愛し合うべき!

作者:ゆうきつかさ

●某教会
「俺は常々思うんだ。男は男同士、女は女同士で愛し合うべきである、と! だって、そうだろ! 男り良さは男が、女の良さは女が……よく分かっている! だからこそ、俺は言いたい。男は男同士、女は女同士で愛し合うべきである、と! 別に何も戸惑う事はない。これこそ、あるべき姿。自然の流れに身を任せ、相手にすべて任せりばイイ!」
 羽毛の生えた異形の姿のビルシャナが、10名程度の女性信者を前に、自分の教義を力説した。
 ビルシャナ大菩薩の影響なのか、まわりにいた信者達は、ビルシャナの異形をまったく気にしていない。
 それどころか、信者達は同性同士で愛し合い、甘い声を響かせていた。

●都内某所
「ミスラ・レンブラント(シャヘルの申し子・e03773)さんが危惧していた通り、ビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響で、悟りを開きビルシャナになってしまう人間が出ているようです。悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事が今回の目的です。このビルシャナ化した人間が、周囲の人間に自分の考えを布教して、信者を増やそうとしている所に乗り込む事になります。ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくと一般人は信者になってしまいます。ここで、ビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が信者になる事を防ぐことができるかもしれません。ビルシャナの信者となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば、元に戻るので、救出は可能ですが、信者が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
「ビルシャナは破壊の光を放ったり、孔雀の形の炎を放ったりして攻撃してくる以外にも、鐘の音を鳴り響かせ、敵のトラウマを具現化させたりするようです。信者達を説得する事さえ出来れば、ビルシャナの戦力を大幅に削る事が出来るでしょう。ただし、信者達は催眠状態に陥った上で愛し合っています。そういった意味で、我に返った時に激しいショックを受け、死を覚悟するかも知れないので注意をしておきましょう」
 そう言ってセリカがケルベロス達に資料を配っていく。
「また、信者達はビルシャナの影響を受けているため、理屈だけでは説得することは出来ないでしょう。重要なのは、インパクトになるので、そのための演出を考えてみるのが良いかもしれない。また、ビルシャナとなってしまった人間は救うことは出来ませんが、これ以上被害が大きくならないように、撃破してください。それでは、よろしくお願いします」
 そして、セリカはケルベロス達に対して、深々と頭を下げるのであった。


参加者
六連星・こすも(ヤクトフロイライン・e02758)
ミスラ・レンブラント(シャヘルの申し子・e03773)
若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)
楠木・ここのか(幻想案内人・e24925)
如月・環(プライドバウト・e29408)
エミリ・ペンドルトン(ビルシャナを逐う者・e35677)
雑賀・真也(不滅の守護者・e36613)
マナ・ティアーユ(エロトピア・e39327)

■リプレイ

●教会前
「先月は同性愛を認めないビルシャナでしたが、今回はその逆ですか……。どうしてこうも偏った思想の鳥さんが集まるのでしょうかねー? 愛の形は他人に決められるものではありませんのに……」
 楠木・ここのか(幻想案内人・e24925)は複雑な気持ちになりながら、ビルシャナが拠点にしている教会の前に立っていた。
 ビルシャナは信者達を前にして、男は男同士、女は女同士で愛し合うべきであると訴えているようだ。
 そのため、教会の中では同性同士が愛を営んでおり、それがごく当たり前のようになっているらしい。
「あの時、『アッー!』鶏は滅ぼしたはずなのに……。まさか、蘇ってきたんでしょうか。……ならば、再び滅ぼすのみ!!」
 若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)がペースト状のウルトラデスソースの瓶を腰に括りつけ、ゴム手袋をキュキュッとつける。
 さすがにビルシャナが蘇って、ケルベロス達に復讐する事はないが、何らかの形で前に参加した依頼に関係があるのではないかと邪推しているようだ。
「これって異性にモテないと言う事実から、目を背けているだけでは……」
 ミスラ・レンブラント(シャヘルの申し子・e03773)が、呆れた様子で溜息をもらす。
 だが、そんな事を口にすれば、間違いなくターゲットに選ばれ、酷い目に遭ってしまう事だろう。
「そういった意味でも、やっぱり男女でイチャついてみせて煽るのが手っ取り早いと思います」
 六連星・こすも(ヤクトフロイライン・e02758)が、雑賀・真也(不滅の守護者・e36613)に期待の眼差しを送る。
 おそらく、信者達は何らかの理由で異性との恋愛に抵抗がある可能性が高いため、再び恋愛の素晴らしさを理解させる事で、考えを改める事が出来るかも知れないと思ったようだ。
「いや、俺達の出番はないと思うんだが……」
 真也が複雑な気持ちになって、さらりと答えを返す。
 ビルシャナ達の考えがハッキリしない以上、異性との恋愛を見せるのは、ある意味で賭けに近かった。
「まあ、試してみる価値はあると思うッス。そうしないと、なんやかんやで男同士で……オエッ!」
 如月・環(プライドバウト・e29408)が頭の中にイケナイ光景を思い浮かべ、青ざめた表情を浮かべる。
 そんな事になれば、地獄絵図になる事は、間違いなし。
 そこまでする価値もないため、全力で回避すべきだろう。
「説得になるかは分からないけど出来るだけいちゃつく必要があるの。だからお願いね、真夜」
 マナ・ティアーユ(エロトピア・e39327)も祈るような表情を浮かべ、ビハインドの真夜に自らの想いを託す。
 その気持ちに応えようと思ったのか、真夜が力強くコクンと頷いた。
「どちらにしても、私の考えが正しければ、あのビルシャナはあらゆる意味で間違えてるわ……。だから百合薔薇のいろはを教えておかないと……」
 エミリ・ペンドルトン(ビルシャナを逐う者・e35677)が邪悪な笑みを浮かべ、仲間達を連れて教会の中に入っていく。
 教会の中にはビルシャナがおり、信者達を前にして、自らの教義を語っている最中だった。

●教会内
「同性を愛するものたちよ、我が声に耳を傾けなさい。その愛の素晴らしさはね、世間に認められないいところなのよ。秘し、憚るからこそ、尊く燃え上がるの……というわけで、そこの鳥野郎は敵よ! こいつは同性愛のメジャー化を目論んでいるわ。そうなったら普通の恋愛と、何が違うと言うの? 美しい愛を守るため、今こそ立って戦う時よ!」
 エミリが凛とした風を使い、信者達の視線を集めて、ビルシャナを糾弾する。
「美しい愛か。ならば俺と志は同じではないか。何も難しい事は考える必要などない。和解こそ愛だ!」
 ビルシャナがスタイリッシュな命乞いをしつつ、まったく穢れのない瞳でケルベロス達に語り掛けていく。
 この時点でツッコミどころが満載なものの、信者達が催眠状態にあるため、『さすがビルシャナ様♪』と言わんばかりのウットリムード。
「でも、女性なら誰だって本当はイケメンの男子との恋愛をしてみたい。漫画やドラマのようなドラマチックな恋がしてみたいと夢見るはず。その夢を実現するための努力を私達と一緒に探していきましょう」
 ミスラが天から舞い降りた光の如く、女性信者達に語り掛けていく。
「だったら、同性でも問題ないわ。それに、今の相手で満足しているから♪」
 色気むんむんの女性信者が、ボーイッシュな女性信者に寄り添った。
 どうやら、二人は付き合っているらしく、見るからにラブラブである。
「……悪いが俺達の邪魔をしないでくれ。ここは俺達の楽園。余所者が勝手に入ってイイ場所じゃない」
 ビルシャナがベア体型の男性信者の肩を抱き、上から目線で言い放つ。
 そのせいか、ベア体型の男性信者も、まんざらではない様子で、ほんのりポッと頬を染めた。
「……なるほど。ビルシャナさんは同性愛者なのですか、それは大変結構なことで……。私も二次元のBLは大好物ですし、三次元も微笑ましく見守るタイプですが、ここまで来るとさすがに見過ごせません。私が男性なら性的に襲っても良かったのですが、そう言う訳にも行きませんし……」
 ここのかが残念そうにしながら、ビルシャナに語り掛けていく。
「何故、戦う必要がある。俺達は何も間違っていない。何故なら、この状態こそ、自然なのだから……!」
 ビルシャナが何の根拠もなく、教義の正当性を訴えた。
 しかも、自信満々。
 正義は我にあり、と言わんばかりの勢いである。
「……と言うか、同性で愛し合う事が自然なわけないじゃないですか。そんなことしても、心の隙間は埋まらないですよ。……皆さんもわかってるんじゃないですか?」
 めぐみが真剣な表情を浮かべ、ビルシャナ達に語り掛けていく。
「分かっていないのは、お前達の方だ! 同性同士の恋愛がどれほど素晴らしいモノなのか、自分で経験すればわかる事……。文句があるなら、経験してから言ってくれ!」
 ビルシャナが男性信者達の肩を抱き、自分達が間違っていない事を、全力アピール。
 それだけ、深い関係になっているのか、男性信者達の頬は、ほんのりピンク色になっていた。
「まぁ、女の子同士なら華やかで、俺も別にそういうのは嫌いではねッスけど……。あぁ、男同士も……そういうのは確かにあるのはあるッスよね。でも、ほら! 俺みたいなのが男なんかとね? ……って、どうして、みんな俺を見ているの? まさかタイプ? と言うか、スタンダードなの? むしろ、掘ったり、掘られたいしたいって……。じょ、冗談だよね!? マジどうしたらいいんスか、これ! ヘルプミー!」
 環が色々な意味で身の危険を感じ、仲間達に助けを求める。
 だが、ウイングキャットのシハンは他人事。
 腹を抱えながらシシシと笑い、環と何やら小競り合いを始めた。
「ははははつ! 何も恥ずかしがる事はない。ただ身を任せれば……気持ちイイ!」
 岩石のような顔をした男性信者が、無駄に爽やかな笑みを浮かべる。
「でも、同性愛だと……赤ちゃんできませんよ? じゃあ、どうやれば赤ちゃんができるのかな? 詳しーく聞かせてもらおうか! さぁ! さぁ! ど・う・す・る・の・か・な?」
 こすもがニタァと笑って、ビルシャナ達に迫っていく。
 これにはビルシャナだけでなく、信者達までオロオロ。
 ここで言ってもいいのか、倫理的に大丈夫なのか、判断する事が出来ないようである。
「まさか、知らないって訳じゃないよな? まあ、知っていたところで、こいつは、もう俺のモノ。誰にも渡しはしないがな」
 真也が勝ち誇った様子でニヤリと笑う。
「……」
 真夜も何となく対抗意識を燃やしたのか、かなり乗り気でマナとイチャつき始めた。
「ちょっ!? 待って、そこまでとは言ってない。聞いて!?」
 そのため、マナは大焦りッ!
 ほんのりとしたスキンシップのつもりが、マナに対する独占欲が影響しているのか、真夜は全力全開ノリノリであった。
「うふふ、せっかく盛り上がっているんだし、いいわよね♪」
 それを目の当たりにした女性信者達が、含みのある笑みを浮かべ、ケルベロス達に迫っていく。
「え!? な、何を……ひぁっ!? あぁっ! あんっ! あぁぁっ!」
 次の瞬間、ミスラが女性信者達に押し倒され、イケナイ道具を使われ、甘い声を響かせるのであった。

●ビルシャナ
「はははははっ! やはり俺の教義に間違いはなかった! 見てみろ! この幸せそうな顔を……!」
 ビルシャナが満足した様子で高笑いを響かせる。
「あんっ! ……やぁ! ……くうんっ!」
 その間もミスラは女性信者達に襲われ、腰をガクガクさせながら甘い声を上げ、淫らな汁で床を汚していた。
「やれやれ、さっさとこの馬鹿馬鹿しい鳥を退治しよう」
 真也が呆れた様子でビルシャナをジロリと睨み、異空間から炎を纏った銀色の剣を召喚する。
「クククククッ……、だったら教えてやろう! 男の良さってヤツをな!」
 ビルシャナが物騒なモノをギンギンにさせながら、邪悪な笑みを浮かべた。
「……って、目がマジじゃないッスか! お、俺はお断りッスよ!」
 尻に寒いモノを感じながら、環がジリジリと後ろに下がっていく。
 だが、ビルシャナはヤル気満々。
 掘ると言うよりも、抉り入れると言った感じに、凶悪そのもの。
 触るな危険と言った感じの雰囲気だ。
「覚悟してください、再生『アッー!』鶏、蘇ってきた事を後悔させてあげます」
 それと同時に、めぐみがゲシュタルトグレイブに準備したソースを塗り、ビルシャナの尻にぬぽっと突き刺した。
「イイッ!」
 これにはビルシャナも、ヘヴンスマイル。
 ビクビクと身体を震わせながら、今までに感じた事のない感覚を味わい、だらしなくドM顔を浮かべる。
「何だか悦んでいませんか?」
 ここのかがドン引きした様子で、ビルシャナと距離を取っていく。
 間違いなくビルシャナは、ドM。
 しかも救いようがないほどの変態である。
「真夜に酷い事をしたら、承知しませんからね」
 マナも違う意味で危険を感じて、ビルシャナの前に陣取った。
「そこを……退けぇ!」
 ビルシャナがケモノの如く吠える。
「咲き誇れ。コズミックフラワー!」
 次の瞬間、こすもの周囲に光の粒子が花のような形で展開した後、無数の光弾となってビルシャナに降り注ぐ。
「ぎゃああああああああああああああああ!」
 その一撃を食らったビルシャナが地面に突っ伏し、ビクリとも動かなくなった。
「あ、あの俺達は一体……。一体ここで何が……。うぐ……尻がイタタタッ……」」
 我に返った信者達体の不調を訴え、パニックムード。
「鳥野郎にやられたら、仕方ないのよ。……気にするなっていうのも難しいだろうし、そうねえ。家に帰って横になって、羊を数えて寝ちゃいなさい。そして、犬に噛まれたと思って忘れるの」
 そう言ってエミリが精いっぱい優しい声で、信者達に話しかけるのであった。

作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年9月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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