レッドスパイダーリリー、そして『ある計画』

作者:森下映

 月の輝く夜、一面の見事な彼岸花。
「今年も綺麗な姿をありがとうな」
 年配の男性が、彼岸花達へ語りかける様に言った。
 彼は私有地であるこの場所の管理を任されている。夜の見回りは彼にとって、最も好きな時間の1つ。多くの人々が訪れる昼間の賑わいも誇らしいものだが、この光景を独り占めできる夜は、手塩にかけて面倒をみている彼にのみ許された特権である。
 だがそこに、今日は招かれざる客がやってきた。それは『人は自然に還ろう計画を行っている5体の攻性植物』の1人にしてリーダーでもある、鬼薊の華さま。
 紫色の髪に軍服風のコスチューム、草の葉でできた翼が印象的な彼女が、彼岸花に謎の花粉を振りかける。すると瞬く間に彼岸花の1つが巨大化し、
「うわあああああっ!」
 まさに赤い蜘蛛の如く。男性に遅いかかると、体内に取り込んでしまった。
「自然を破壊してきた欲深き人間どもよ、自らも自然の一部となりこれまでの行いを悔い改めるがいい」
 鬼薊の華さまは満足げに頷くと、その場を去っていった。

「彼岸花の季節だから……もしかして、と思ったのだけれど」
 色素を失くした様な白い肌。髪には仄かに薄桃を滲ませた、アウレリア・ドレヴァンツ(瑞花・e26848)。
「今回アウレリアさんのおかげで予知できた事件は、植物を攻性植物に作り替える謎の胞子をばらまく、人型の攻性植物が関わっています」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)の説明によれば、その胞子を受けた植物の株は攻性植物に変化し、その場に居た男性を襲って、宿主にしてしまったらしい。
「急ぎ現場に向かって、男性を宿主にした攻性植物を倒して下さい」
 攻性植物は1体のみで、配下はいない。だが普通に攻性植物を倒した場合、一体化している被害者も死んでしまう。
「ですが相手にヒールをかけながら戦えば、戦闘終了後に救出できる可能性があります」
 また、鬼薊の華さまは既に撤退しており、戦うことはできない。
「周囲には他に人はいませんので、人払いの必要はありません」
 戦闘時、攻性植物は花や地下の鱗茎を使って攻撃をしてくる。ポジションはクラッシャー。

「攻性植物に寄生されてしまった人を救う事は、非常に難しいでしょう」
「ええ。それでも、できれば」
 ――いえ、必ず。救い出したいとアウレリアの夜明け色の瞳は言っていた。


参加者
ルビーク・アライブ(暁の影炎・e00512)
エヴァンジェリン・エトワール(白きエウリュアレ・e00968)
小早川・里桜(焔獄桜鬼・e02138)
王生・雪(天花・e15842)
キアラ・カルツァ(狭藍の逆月・e21143)
宝来・凛(鳳蝶・e23534)
深幸・迅(罪咎遊戯・e39251)

■リプレイ


「……とても綺麗に咲いているの」
 真紅の花々の中舞い降りた真っ白な鳥の様な少女の髪にも銀の花が咲いている。暁闇の空の様な紫の瞳、その肩は護る様にベロアのジャケットに覆われて。アウレリア・ドレヴァンツ(瑞花・e26848)。
(「この手で救えるものがあるなら、この力……惜しみなく」)
 余念は要らない。フローティングキャンドルが母譲りの黒髪と、父譲りの彩帯びぬルビーク・アライブ(暁の影炎・e00512)の瞳を照らし出した。
(「救いたいから。いや――救うから!」)
 守りたい者の為に戦い、愛する者の為に生きる。人型の攻性植物が気になりはするが今は、目の前の命を救う為に。
「此処は、彼が育て、愛した庭なのに……身勝手なのは、どちらなのかしら」
 空の様な青と雲の様な白を身に纏う、花緑青の瞳持つオラトリオ、エヴァンジェリン・エトワール(白きエウリュアレ・e00968)。トゥヘッドの髪には花簪も添えられ、最愛の義父の懐にも縁ある芙蓉が忍ばされ。ルビークの手首、幸せを祈り贈ったブレスレットもともにある。
「確かに心無く自然を壊す輩もおる……けど」
 彼岸花に負けぬ鮮やかな赤い椿咲かせ、同じ程赤い瞳の右、一筋の刀傷。翼猫、瑶の羽織りにも椿は描かれ絆は強く。宝来・凛(鳳蝶・e23534)。
「自然に寄り添う人と、愛された花の姿を狂わせるなど……壊し手は果たしてどちらなのか……」
 白猫の絹が羽ばたけば、身が別れた様にも見えた。純白のオラトリオ、王生・雪(天花・e15842)。髪の花神と横顔を灯りが映す。
「この星にあるまじき不自然な存在の跋扈と目論見、必ず止めましょう」
「そやね」
(「破壊、なぁ……」)
 深幸・迅(罪咎遊戯・e39251)としては、人型の攻性植物の言動を否定はできない。だが強制するのも違うだろうと思う。
(「ま、詮索は終わってからってな」)
 この花の燃えるような赤は嫌いではない。許されぬ恋も心の奥底ではこんな色をしていたのだろうか。永劫に続く様な赤の波の間、淡麗な姿の元軍属は歩を進める。
(「彼は花の事を愛してくださっていたのに、こんな仕打ち……」)
 灯りに金の髪が煌めいた。光の意味の名と姿は父譲り。心強く優しき見習いシスター、キアラ・カルツァ(狭藍の逆月・e21143)。
(「必ず、助けてみせます」)
 今は亡き義父の存在もあるのだろう、思いは非常に強い。
 と、
「……どうかした?」
 エヴァンジェリンが小早川・里桜(焔獄桜鬼・e02138)に声をかけた。
「! ううん!」
 振り返った右目を通る傷は、頬の痕と十字を刻む。里桜はぶんぶん首を横に振ったが、エヴァンジェリンはじっと顔を覗き込んだまま。
「えット……今日はガンガン燃やしちゃえーー! じゃダメだし……ウン、緊張気味かも」
(「それで元気なさそーだったのか」)
 知人の知人。印象よりも大人しい里桜を少し心配していた迅も目を細め笑んだ。そして、
「あれか」
 ルビークが足元に暁彩を置く。アウレリアは宿主を得た狂える花と男性を見つめ、
「助けるよ、あなたのこと」
 ギシャアアアという怪物じみた声、茎は激しく地面を叩き、『赤い蜘蛛』は番犬達の方を向いた。アウレリアは包囲にかかる仲間達より一歩退き、愛用の白銀の杖、Seiriosをくるり回して構える。
 きらり零れる数多の星雫。頼もしい仲間の背。
(「みながいてくれて、心強いの。それに、」)
 杖に揺れる銀絲に伝うクンツァイトの綺羅星飾りをひと撫でし、
(「彼も、――いる」)
 ひたり花へ視線を向けた。安寧が、あなたにも届きますように。
「では、はじめましょうか」
 必ずまた来年も、お花を見せるから。


「……彼岸花は、不吉の象徴なんですってね……毒が、あるから」
 エヴァンジェリンへ煌めく陽光のヴェールがかかった。
「……ならその蛮行は、同じ毒の花、ダチュラのオラトリオが、止めましょう」
(「守ることは、アタシの存在意義」)
 叫ぶ赤蜘蛛花に退かず細く美しい銀の矛を構える。『護りきれなかった』過去、彷徨い辿り着いた地で見つけた。
「アナタも、仲間も、友だちも、家族も……アタシは、守ってみせるから」
 出現したドローン達が次々に配置についた。
「くるぜ!」
 地鳴りに気づいた迅が、縛霊手を展開しながら言う。大地が波打つ様に蠢き、番犬達を飲み込もうとした。脳内をかき乱される感覚はあれど、
「邪魔だってぇの!」
 迅はうねる鱗茎をブーツで蹴り飛ばし、勢い後ろへ宙返る。
「メディックの意地舐めンな! 伊達にウィッチドクターやってねぇ!」
 脳内の戦い制し、大量の紙兵を散布。里桜はバールを肩上に振りかぶった。
「里桜、思い切り」
 催眠を耐えながらもエヴァンジェリンが言う。
「ウン!」
 まだ序盤。アウレリアの銀杖も既に光を集めて待っている。里桜は『思い切り』バールを投げた。炎と桜が手首で揺れ、首元でも彼女を護り、走れば走る程足首で踊る。バールは命中し、狂花がぐじゅぐじゅと呻きを漏らした。
「彼岸の花よ、君がそう咲き笑んだのは誰の為だったのかな」
 真後ろへ回り込みルビークが言う。
「デウスエクスの所為にせよ、傷つける事はさせない。君を愛した人を失わせるものか――」
 向けたのは指先1つ。集中の生んだ爆発が花弁と茎を破壊した。
 狂花が激しく悶える。そこへ白い姿が駆け寄った。アウレリアの杖による打撃と施された魔術は花と宿主の傷を回復し、花はしたりと吠える。しかしその真上、キアラが首元のストールを柔らかになびかせ投げた螺旋手裏剣が大量に分裂。ダメージを抑えるためにわざと広範囲へ降り注がせた。その間もキアラは男性から目を離さない。
「瑶、うちと回復頼むよ!」
 翼猫はこくり羽ばたいて迅の催眠を払う。凛はエヴァンジェリンへオーラを送り、
「その人は大切に愛情と感謝を注いできた人。その想いと、せめて残る花達は護ってみせる」
「そうです。彼はこの地に欠かせぬ、守り手たる存在」
 雪が袂を翻した。ひらりひらりと現れ舞い出す胡蝶に思わず前足を出さずにはいられない瑶。凛は邪魔しちゃあかんよと微笑み、男性に言う。
「悲しい思い出になんてさせんから、待っててね」
 胡蝶集う花の前、凛の気持ちに応えるように剣士の娘が蝶の代わり、白刃構えて静かに舞った。
「『良い夢を』」
 夢か現か、蝶が娘か娘が蝶か。惑う狂い花、雪の迷いなき刃は、絹の白から赤へと色を帰る珠繋ぎの輪が締め上げた花の、花弁を散らし茎を斬り落とした。


(「頑張って、」)
 淡い藤の光を纏い、飛礫を散らし。続く戦いの中羽搏く翼が見えるようなアウレリアを頭から喰らおうと猛り狂花が広がる。空が赤くなった様にアウレリアが感じた一瞬、Seiriosから銀雷が迸り、花が怯んだ隙、魔術切開を施す。
 雷鳴鳴り花叫び茎うねる激しいやりとりの中でもアウレリアは丁寧に、焦らずに状況を見極める。
「もう少し、お願い」
「わかりました。 ――『癒し、清めよ、鎮めの焔よ』」
 キアラが瞼を閉じ、両手を組み合わせて歌を紡ぐ。Requiem della fiamma。歌声は皓い焔となって彼女を包み、狂乱の赤の中、静かに舞い降り男性に手を触れた。触れた場所からは白い光が満ち溢れ、傷みを癒していく。
 と、花が光を集め始めた。皆の光源、星と月。察し袴捌き黒髪靡かせ飛びこんだ凛と、巨大な鉄塊剣を顔前切っ先を斜め下に向け構えたルビークが壁と立つ。
 花に集った光が溜める様な間をおいて、光線となって番犬達に襲いかかった。が、凛とルビークはそれぞれの刃で切り払いながら盾と耐え抜く。そしてその後ろ。
「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ……百鬼夜行の呪詛は終わらないよ!」
 投げ上げられる呪符の綴、召喚したランページ・マシーンを背に従え、
「そう、散る間際まで、悪夢の花が、夢を魅せてあげる」
 翻る裾、流星となった青い星から一筋の混じり無き銀。同時に飛び越え、飛び出した里桜とエヴァンジェリン。
 勢い花を数メートル以上退がらせる程の勢いで襲いかかった殺戮機械に並走、エヴァンジェリンはglischに花のそれとは違う光を引きながら貫いた。ルビークはぐるりとrunoを取り回し、四肢を焼く自分の燈とは混じらない焔を払うように地獄の左腕を横へ伸べる。
「『退く気は無い』」
 穏やかなテノールの詠唱風に混じる其の声は意思と覚悟。生きるも地獄、死ぬも地獄。ならば地獄だろうと生き抜くと。引きずる昨日の跫、過去の誓いは今は亡き者達との約束であり弔いだから。
「『さぁ往こうか――この祈りが届く所まで』」
 叶うならば何処までも。さらに後方、迅の薄らと伸びる影から、死者の霊運ぶ神話の怪物の名を持つ鷲の影が現れた。
「『要らねぇモン、喰らってきな』」
 ハーピーイーグルが迅の周りを旋回し、纏め残した薄茶の髪が舞い上がる。飛び向かう先は凛、影の翼広げ包み込み、炎を消し止め迅の元へ戻り影へ沈んだ。
 影から生まれ直した様に沈めていた姿勢から立ち上がった凛は、羽ばたいた瑶と迅に惑いがないことを確認、目の高さへ持ち上げた指輪へ集中すると、光の盾を作り出す。間髪いれずに飛び込んだ白と閃きは雪、絹が伸ばした爪で花を袈裟懸けに引っ掻いたと同時、空の霊力得た白刃が確実に花の傷を抉り抜いた。
 続き宿主へ接近、魔術切開を施すアウレリアの回復は花へ活力を与え、いつもなら矛盾しているかの様な戦い。番犬達は確実に目的の達成に近づいていった。


「いきます!」
 夜空へ飛んだキアラの翼から光が狂花へ降り注ぐ。浄化を確実に避けてきたおかげで花の動きは鈍い。
「君を愛した人をこれ以上苦しめさせない」
 ルビークは握りしめたrunoへグラビティをのせ花へ叩き込んだ。呪いの様に沁みる生への詩は男性にも届くだろうかと心をかすめた瞬間、花が襲いかかる。
 がその前には白きエウリュアレ。庇いきり毒に変色していく義娘の四肢に思わずはっとするルビークだったがエヴァンジェリンは首を横に振り、飛び来る比律賓鷲を指差した。その鋭い嘴が爪が、迅の指示通りにエヴァンジェリンの毒を喰らい出す間、迅は再び開いた花を回し蹴り、花弁を散らす。
「『海の底の、一滴を』」
 エヴァンジェリン自身の翼の様に比律賓鷲が影の翼を開いた。迅の元に戻らんと飛ぶ比律賓鷲の下には青い海原と悠と歩くエヴァンジェリン。誰も触れられない心の奥底のような深い深い海の底、拾い上げた波紋のようなグラビティを清浄の一滴と宿主へ垂らす。
「『母なる海を。命育む青を、アナタに』」
 途端染み渡る海の色。彼は遥か遠い波の音をきいたかもしれない。
「愛してくれた人を、斯様に苦しめてはなりませぬ。ゆっくりと、お休みなさい 」
 波がひき、蝶が舞い、雪が狙い惑う花を斬る。十分な回復とその裏にある死に至る傷。キアラの歌が、皓い焔が再び花を大きく回復し、緑の瞳輝かせぐっと皆に頷いてみせた。
 待ってましたといわんばかり、 地面を蹴った里桜が、深緑色の符を投げ上げる。同時里桜の顔は般若の面に覆われ、手には和弓、さらには般若の面を斜につけた幼き緑竜が顕現した。
「『行こっか、流』」
 自由に羽撃き、何処へでも行けるようにと名付けた名前。
「『……射って、屠れッ!』」
 里桜が弓を構えれば、流も狙いを定め、魔力の矢を射続ける。対角、凛は納刀し、
「この地を蝕む異形こそ不自然で場違い。その人を帰して、静かにお休み。『さぁ――遊んどいで』」
 もうええよと、終わりにしよかと。両腕を開けば、地獄の遣いの紅い胡蝶が紅い狂花と戯れ始めた。そして、
「『――舞い散れ』」
 アウレリアの呼び声に、一斉に緑の芽が噴き出で、うねるように蔦が天へと伸びる。祈り、請うような様、月の光を一身に浴び大輪の白き花を咲かせる間に、蠢く蔦は茨となって狂花を貫いた。彼岸花達の中に戻る様に宿主を残し消えていく紅い花。そこで白花は舞い続けた。六花の如く。白く、ただ白く。
「ほい、おつかれさんな?」
 男性を受け止め、迅が手をぷらぷらと合図してみせる。ルビークはすっと袖を抜き、男性に上着をかけた。
(「良かった」)
 改めて花々を見渡し、『あの子』の形見の手鞠、君影をそっと撫でた雪に、にゃあと鳴いて絹も擦り寄る。
「おつかれさま」
 薄桃滲む白い髪をさらり揺らし、微笑んで手を出したアウレリアに、そわそわしていた里桜も手を伸ばして、
「おつかれーっ!」
 ハイタッチ。エヴァンジェリンも穏やかな、静かな笑みを浮かべながら優しい音を皆と立てた。そして、
「はい、パパも」
「え?」
 ルビークは少々面食らいつつも、
「お疲れ様」
 皆と軽く手を合わせていく。キアラは同じ悲劇が繰り返されるのを防ぐヒントになるかもと胞子を探してみるが、
(「見当たらないですね……」)
「よし、目ぇ覚ましたぜ」
 こういう所は本当にウィッチドクターだと思わされる。男性についていた迅が言った。キアラが状況とヒールについての説明を行うと、男性の出した答えは『できる限りそのままにしておきたい』、だった。
「……戦いで荒らさない様にして下さった事はわかりますし、何より、」
 皆さんにご迷惑おかけしたとしても、あの花も、彼の愛した花の1つなのだと。
 それを忘れたくないのだと。
「ゆっくり直していきます」
 どこか遠くを見るような、近い未来を見るような。男性の言葉に迅は、侵食で崩れた道の部分だけを、確認をとってヒールし、凛は良かったら今できるところだけでも手伝わせてと、瑶と一緒にとりかかる。
 雪と絹もしゃがみこみ、猫達のなんともいえない姿に表情を和ませた男性に安心しながら、アウレリアも手伝い、番犬達総出で土仕事。もう少し休んでいた方がと心配するキアラに首をふり、男性もともに作業を始めた。
「私が抱く花は紫陽花、彼岸花と一緒で毒性があるんです」
 隣でキアラが言う。
「私の花は父が私に注いでくれた愛情があったから、こうして綺麗に咲いてくれた……きっとこの彼岸花も沢山の愛情を受けて育ったんでしょうね」
 キアラは励ますように微笑み、
「大丈夫。この花は強い花だからまた今まで通り咲いてくれますよ」
「はい……!」
 男性は心底嬉しそうに頷いた。
「再び天上の花として、この地に吉兆を齎してくれますよう。また会う日を楽しみに――是非再訪したいですね」
「ほんまに、またゆっくり楽しみに来たいね」
 雪と凛が言う。男性はぜひ、と馴れた絹と瑶の頭を撫でる。
「本当に、美しい花ね」
(「天上の花。アタシも、そう在れるだろうか」)
 エヴァンジェリンの視線の先では、暗闇の奥を見つめるルビークの、左腕の焔が揺れていた。
(「いつか必ず」)
 あの敵を。
 土の香り残る指先を見つめアウレリアは思う。
 星を連れ、星を追って、行こう。きっと、道がある限り。

作者:森下映 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年10月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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