●昇り詰めた先
東京、六本木。
街の景色を一望できるタワーマンションの最上階。富と名声を手にした、選ばれた者だけが住まうことを許される都会の城にて、夜景を眺める男が一人。
「ふっ……。やはり、この街の夜景は僕のような人生の勝者にこそ相応しい」
バスローブ姿でソファーに腰かけ、男は高級ワインを口にしながら、誰に告げるともなく呟いた。そんな男の背後に、いつの間にか忍び寄る一つの影が。
「あなた、随分とリッチな人みたいね。有り余る程の財力、人間の欲望に忠実な姿勢……なかなか魅力的だわ」
いきなり後ろから声を掛けられ、男は思わずワイングラスを置いて振り返った。が、気づいた時には、既に遅し。男はバスローブ諸共に緑色の炎へと包まれて、その身体の作りを変えられて行く。
「う……あぁ……。な、なんだ、これは? 力が……身体が……乾いて堪らない……」
元より長身だった男の身の丈は、今や3mを超える巨躯へと変貌していた。彼の城は今の身長では少々狭く、男は膝を突く形で目の前に立っているタールの翼を持った美女に頭を下げた。
「やっぱり、豪華な武具が一番よね。私が迎えに来るまでに、その武具を使いこなせるようにしておきなさいよね」
「ああ、任せてくれ。他の連中とは一味違う……金持ちの戦い方ってやつを見せてあげるよ……」
男の口元が、にやりと歪む。黄金の鎧に包まれた男はガラス窓を突き破ると、自らの渇きを満たすべく、夜の街へと繰り出して行った。
●金持ち、喧嘩せず?
「召集に応じてくれ、感謝する。炎彩使いと呼ばれる、新たなシャイターン達が動き出したようだ」
その日、ザイフリート王子(エインヘリアルのヘリオライダー)よりケルベロス達に告げられたのは、エインヘリアル勢力とシャイターンにより、新たな作戦が開始されたとの報だった。
「炎彩使い……彼女達は死者の泉の力を操り、その炎で燃やし尽くした男性を、その場でエインヘリアルにする事ができるようだな。出現したばかりのエインヘリアルは、グラビティ・チェインが枯渇している。そのため、近くにいる人間を殺し、グラビティ・チェインを奪おうと暴れ出す」
急ぎ、現場に向かって、暴れ回るエインヘリアルを撃破して欲しいとザイフリート王子はケルベロス達に告げた。炎彩使いの方も気になるが、今回は暴れるエインヘリアルを倒すことが最優先だ。
「出現するエインヘリアルは、元は沖田・真人(おきた・まさと)というエリートサラリーマンだったようだな。外資系の企業に勤め、若くして社内で地位を築き上げ、高級マンションの最上階で暮らせるまでに昇り詰めた男だ」
そんな真人ではあるが、エインヘリアルとなった今、彼は3mを超える巨躯を誇る姿へと変貌している。その身を黄金の鎧で包み、宝石を埋め込まれた盾を持つ様は、さながら彼の財力を象徴するかの如く。
「エインヘリアルと化した真人が使う武器はカードだ。お前達が、『プラチナカード』と呼んでいる物に似た形状をしているようだな。これを使って、騎士や猫、黄金の鳳凰といったエネルギー体を召喚し、相手を襲わせることを得意としている」
おいおい、自分で直接戦わないのかよ。そんな突っ込みが聞こえてきそうだったが、それはそれ。
ザイフリート王子によれば、敵の使用する技は見た目が少し違う以外は、巫術士の用いるシャーマンズカードの技に酷似したグラビティらしいとのこと。まあ、金持ち喧嘩せずとも言いますし、ある意味では正しいのかもしれないが。
「真人は以前から、『貧乏人は社会の敗者であり、強者に使われ搾取されるべき存在である』と考えていたようだ。それ故に、エインヘリアルと化した後も、弱者を狩ることに躊躇いはない」
敵が出現するのは、タワーマンションの立ち並ぶ深夜の住宅街。そこまで人通りが多くはないが、会社帰りのサラリーマン等が戦場に紛れ込む可能性もあるので、何らかの対策はしておいた方が良い。
「事態は予断を許さぬ状況だ。だが、お前達ならば、きっとエインヘリアルによる虐殺を止めてくれると信じている」
そう言って、ザイフリート王子は改めて、ケルベロス達に依頼した。
参加者 | |
---|---|
七奈・七海(旅団管理猫にゃにゃみ・e00308) |
クロコ・ダイナスト(牙の折れし龍王・e00651) |
キソラ・ライゼ(空の破片・e02771) |
ウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426) |
朱藤・環(飼い猫の爪・e22414) |
工藤・千寛(御旗の下に・e24608) |
ラヴェルナ・フェリトール(真っ白ぽや竜・e33557) |
ウェスト・シルバーバレット(一発の銀の弾丸・e40527) |
●更なる頂点を目指して
都会の中心に作られた高級住宅街は、夜にも関わらず淡い灯りに包まれていた。
遠くに見えるネオンサイン。高層ビルの窓からは未だ光が漏れ、どれだけ経っても消える様子はない。
眠らない町。その言葉が、なによりも似合う場所だった。幸いにして人通りはまばらだったので、立入禁止テープを張るのも容易だったが。
「シャイターン……。かつて同胞のヴァルキュリアが行った悲劇が繰り返されそうです。何とかして防がなければいけませんね」
これ以上、勝手な魂の選定などさせてなるものか。工藤・千寛(御旗の下に・e24608)が注意深く周囲の様子に気を張れば、通りの向こう側から、なにやら光り輝く鎧を身に纏った男が姿を現した。
「やれやれ、ようやく人が見つかったか。転職先の初仕事で、失態は許されないからね。力も持たない弱者どもは、さっさと僕に狩られてくれたまえ」
そう言って、男は鎧の隙間から光り輝くカードを抜き放った。姿形こそ細身で華奢な青年のそれだが、しかし彼の体躯は優に3mを越えている。
沖田・真人。報告にあった、エインヘリアルと化したエリートサラリーマンだろう。若くして高い地位に昇り詰めただけあって、慇懃な態度が鼻に着く。
「お金……なくても……幸せそうな……人は、いる……。敗者じゃ……ない……」
人の神経を逆撫でする、不愉快な言動に不愉快な態度。思わず反論するラヴェルナ・フェリトール(真っ白ぽや竜・e33557)だったが、真人はそれも鼻で軽く笑い飛ばした。
「金がなくても幸せ? もしかして、暖かい家族とか友情とか、そういうのが大切って言いたいわけ? 言っておくけど……君達、愚民が大切にしているものなんか、僕からすれば一銭にもならないクズでしかないよ」
この世は全て、金の力で動いている。それ以外の幸せなど存在しないと豪語する真人に、どうやら最初から人間らしい心などなかったようだ。
「別に、自分が戦わなくても立派な防具を着るのは構わないんですけどね? 見た目の派手さの割に、脆そうというか……」
黄金は見た目こそ豪華だが、強度は決して他の金属に比べても高くはない。なんともナンセンスな装備であると突っ込む朱藤・環(飼い猫の爪・e22414)だったが、最初から乱闘する気のない真人にとっては、さしたる問題でもないのだろう。
「なんと、シャイターンの者達が魂の選定に成功させておるとはのう。あんな選定基準で、成功するはずがないと思っていたのじゃがのう」
目の前に現れたエインヘリアルの態度に、ウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426)は、戸惑いを隠し切れなかった。
死後、戦乙女に導かれ、英雄として転生した豪傑達。かつて、ヴァルキュリア達が魂の選定をしていた頃に比べ、なんというか性格面での質が落ちているような。
もっとも、現に目の前に存在している以上、真人が危険な存在であることに変わりはない。彼は既に人ではなく、地球に仇成すデウスエクスになってしまったのだから。
「ご愁傷さまでした……。そうとしか言えませんね。人々を蹂躙しようとするあなたは立派なデウスエクス、私達の敵になったのですから」
「不幸な経緯だとは思うが、ね。放っとく訳にゃ、いかんデショ」
今は、一刻も早く片付けるのみ。七奈・七海(旅団管理猫にゃにゃみ・e00308)がナイフを抜き放ち、キソラ・ライゼ(空の破片・e02771)がライフルを構えたところで、真人も何かに気付いたのだろう。
「へぇ、もしかして、君達が噂のケルベロスかい? こいつは好都合だ。君達の首を手土産にすれば、生まれ変わった僕の出世街道も安泰だね」
こちらが天敵であることもお構いなしに、真人は不敵な笑みを浮かべてケルベロス達に告げた。これから始まる命の奪い合いでさえも、彼にとってはマネーゲームや出世競争程度にしか見えていないということか。
「あ、あの……生まれたばかりでこんなこと言うにもなんなのですが……あなたは利用されてるだけなんです。今は楽しいかもしれないですけど……その刹那の愉しみと引き換えに使い捨てられちゃうんです」
できることなら、黙って退治されて欲しい。刹那の望みに賭けるクロコ・ダイナスト(牙の折れし龍王・e00651)であったが、当然のことながら、真人がそれを受け入れるはずもなく。
「利用? 使い捨て? そんなこと、ビジネスの世界では常識なんだけど? 勝利し、支配する……そのために手段を選ばないのは、誰だって同じだろう?」
自分はいずれ、エインヘリアルの頂点にさえ昇り詰めてやる。その上で、あのシャイターンどもでさえ支配してやると、真人は豪語して譲らない。
「金持ちなのは結構だが、それをもって人を支配しようというのは……。何より、そんな鎧を身に纏いながら自ら戦わない、なんて姿勢は腑抜けのそれだ」
そこまで大言壮語を吐くのであれば、逝く前に貴様の性根を叩き直してやろう。ウェスト・シルバーバレット(一発の銀の弾丸・e40527)がリボルバーの狙いを定めたところで、夜の街は凄まじい銃声や爆音が飛び交う戦場と化した。
●支配者の理屈
金持ちであり、勝者を自称するエインヘリアル、沖田・真人。彼の攻撃はエインヘリアル達の中でも、一風変わったものだった。
白金色のカードを掲げ、真人は様々な形をしたエネルギー体を召喚し、それに敵を襲わせる。白銀の騎士は、経営者に使われる末端社員。血統書付きの猫の群れは、金持ちしか飼えない高級ペットの暗示だろうか。
決して自分からは戦わない。それこそが、強者の余裕だと言わんばかりに。だが、自らの手を汚さない彼のような戦い方は、その身を以て過酷な戦いに身を投じ続けるケルベロス達からすれば、極めて不愉快なものでしかなかった。
「全てを手に入れた貴方から、全てを奪ったシャイターンは許せませんけど……だからと言って、貴方に奪う権利を与えるわけにはいきません!」
同情はしても、容赦はしない。巨大な剣を叩き付けながら叫ぶクロコだったが、直撃を受けながらも真人は未だ余裕の態度を崩さない。
「やれやれ、最初から力押しかい? 貧乏人は、これだから困るんだ。戦いってやつは、もっとスマートにやらないとね」
鎧に用いられている黄金が地球の純金の強度とは異なるのか、それともエインヘリアルと化した真人の力が、見た目以上に強化されているのか。その、どちらでも、厄介なことに違いは無い。
「相手は黄金……ならば、こちらも黄金で対抗するのじゃ」
猫の群れに対抗すべく、ウィゼが黄金の果実を掲げて聖なる光を放出した。その形状は、黄金色に輝く巨大なメロン。
「どうじゃ! 高級フルーツのメロンがゴールデンなのじゃ!」
「ふっ……黄金のメロン? 実に安っぽい、庶民的な発想だね。どうせなら、もっと僕の舌を唸らせるような、レアな高級食材を出してみたらどうだい?」
ドヤ顔でキメるウィゼだったが、肝心の真人は冷たい視線を向けて笑い飛ばして来るだけだ。この男、やはり気に入らない。エインヘリアルでなかったとしても、お付き合いは御遠慮させて欲しい相手であろう。
「シャイターンに変貌させられし、哀れな魂。ですが……」
「今からでも遅くありませんよ。……ひとの側につく気は?」
左右から跳び蹴りを食らわせつつ、千寛と七海が真人に尋ねる。しかし、衝撃で後方へ吹き飛ばされてもなお、真人は不敵な笑みを崩そうとはせず。
「それ、ヘッドハンティングのつもり? 言っておくけど、僕を雇いたいなら、それ相応の地位と報酬を保証してもらうよ?」
それができなければ、今すぐここで食われて死ね。エインヘリアルとして生まれ変わった真人にとっては、戦いも虐殺も新しいビジネスに過ぎないということか。
「……確かに……敗者は……、強者に……搾取……される……傾向、強い……。でも……搾取……するなら、される……可能性も……ある」
命のやり取りと、金のやり取りを同じにするな。すかさず敵の懐に飛び込み、ラヴェルナは鎧に付けられた傷跡目掛けてナイフの刃を突き立て抉る。
ここは戦場。搾取も支配も関係なく、力のない者は命を取られる。それは超常なる力を得て生まれ変わった、真人であっても同じこと。
「くっ……! 貴様、よくも僕の鎧に傷を! どうなるか、解ってるんだろうなぁっ!?」
鎧の損傷を広げられ、真人の口から思わず汚い言葉が漏れた。恐らく、これが彼の本性。慇懃無礼な態度の裏に潜んでいるのは、残虐非道な暴力性。
「やっぱり、着ている人の本質は空っぽなんですかねー」
敵の視線がラヴェルナへ向いた隙を狙い、続けて環も鎧の裂け目に刃を捻じ込む。再び砕け散る黄金の鎧。自慢の防具も、こうなってしまっては形無しだ。
「ぬぁっ!? 貴様達……楽に死ねると思うなよ!」
これ以上、鎧を傷つけることは許さない。完全に激昂し、本性を剥き出しにした真人だったが、そんな彼に対してキソラが向けるのは侮蔑の言葉。
「やれやれ……。随分とちっぽけなプライドだな、おい」
そう言うと同時に、自分の方へ振り向いた真人の顔面目掛け、魔法光線を叩き込んだ。
人間として見れば、真人は美男子の部類に入る。恐らく、金の力も利用して、女性も好き勝手に弄んで来たのだろう。
そんな彼の顔面に、攻撃を直撃させたらどうなるか。果たして、そんなキソラの予想は正しく、立ち上がった真人の顔からは、もはや先程までの冷静さと余裕は消えていた。
「貴様ぁぁぁぁっ! よくも……よくも、この僕の顔に、ネズミの小便にも劣るような攻撃を食らわせてくれたなぁぁぁっ!!」
憤怒に歪む真人の素顔。その本性が剥き出しになる度に、勝者の風格が崩壊しているということに、彼は気付いているのだろうか。
「ふん……なんとも見苦しく、浅ましいやつだな。魂だけでなく、品性までシャイターンに売り渡したか?」
辟易した様子でリボルバーを連射するウェスト。飛来する銃弾の嵐が敵のカードに穴を開けライドキャリバーのアナコンダが、正面から敵に突っ込んだ。
●弱肉強食
「……くそっ! 何故だ! 何故、僕がこんな目に……!」
戦いの続く住宅街。気が付くと、エインヘリアルと化した真人の身体は、見るも無残な姿に変わっていた。
黄金の鎧は、既にあちこち粉砕されて、かつての輝かしさは見る影もない。それは盾も同様で、施された装飾は既に原型を留めていなかった。
「貴様達……僕を本気で怒らせたな! こうなったら……真の金持ちの力、その目に焼き付けてから死ぬがいい!」
己の感情が命じるままに、真人は二枚のカードを引き抜き、その力を合わせて解放した。
呼び出されたのは、黄金の翼を持つ鳳凰のエネルギー体。騎士や猫とは、格が違う。正真正銘の切り札だと言い放ち、真人はそれをラヴェルナの身体に叩き付けた。
「ハハハハッ! どうだ、見たか! これこそが、真の金持ちの成せる業さ!」
勝利を確信し、高笑いする真人。しかし、彼は忘れていた。勝者で在り続けたいのであれば、一時の感情に任せた行動は危険だということを。
「残念……。貴方の……小さな……プライドじゃ……痛くない……」
満身創痍になりながらも、爆風の中から立ち上がるラヴェルナ。真人の表情が驚愕の色に染まって行くが、許しを乞うには遅過ぎた。
「その鎧ごと、プライドも木っ端微塵にしてやるのじゃ!」
「我々に加護を! 竜をも屠る一撃、その身に受けなさい!」
ウィゼの拳が残された鎧を砕き、英雄の力を降臨させた千寛の槍先が、真人の胸板を容赦なく貫く。それだけでなく、七海が真人の膝を足場にして駆け上がり。
「貴方の打たれ強さ、試してみましょうか?」
続け様に、強烈なアッパーをお見舞いするが、しかしまだ終わらない。
「頭が高い――伏せなさい」
勢いのままに顔面を掴み、そのまま獣腕を叩き付ける。ついでに、これはオマケだと言わんばかりに、ウェストとクロコが同時に跳ね。
「言っておくが、こいつは痛いぞ」
「右腕を失えど、龍王と呼ばれし我が闘気に一片の衰え無きことを、その身で味わうがいい!」
真上から降り注ぐ、幾重にも重なった渾身の一撃。もはや真人に、反撃するだけの力は残っておらず。
「所詮その程度、金持ち謳うなら黒いの位持ちなっての」
風を切り裂く光の刃。キソラの繰り出す大振りの斬撃は、さながら天を駆ける雷鳴の如く。
「目標確認。あとは頼みましたよ!」
肩口を大きく斬り伏せられて膝を突いた真人へ、環が無数のドローン達を向かわせた。
展開される高電圧の障壁。その威力は決して大きくないが、しかしそれも彼女の作戦の内。
「……他人……見下す、のに……自分は……鎧の中……。見苦しい……から……消えて……」
怨念と呪詛に蝕まれた精霊魔法を紡ぎ、ラヴェルナは濃紫色の魔狼達を呼び出す。
もはや、今のお前は無様に狩られる獲物でしかない。最後に、敗者として食われる苦しみを味わいながら、肉片も残さず消滅しろと。
「うぉぉぉっ! ば、馬鹿な! この僕が……こんなところでぇぇぇっ!!」
群がる魔狼の中心から、肉の千切れる音に混ざり、真人の悲鳴が夜空に響く。しかし、それもやがて聞こえなくなり、後に残されたのは傷付いた黄金の防具の欠片だけだった。
●黄金の残滓
夜の高級住宅街は、いつしか静けさを取り戻していた。
「倒し、終わった……。早く……直して……帰る……」
ヒールを終え、ラヴェルナは軽く身体を伸ばし、後ろも振り返らずに立ち去って行く。
戦いが終われば、長居は無用。死んだデウスエクスなどに興味はない。
「しかし……これは魂の選定というよりも、シャイターンどもの趣味ではないかのう?」
シャイターンが活動するようになってから、節操をなくしつつある魂の選定。個々人の嗜好で基準まで揺れることに疑問を抱くウィゼだったが、この場で何かできるわけもなく。
「敵対者とはいえ、シャイターンによって変貌させられた者。その魂の安らぎを祈りましょう」
金と欲望しか信じられなかった真人も、ある意味では可哀想な存在だったのかもしれない。黙祷を捧げる千寛の言葉が、冷たい夜空へと昇って行く。
戦いの終わった夜の町。そこに広がる闇は、まるで何事もなかったかのように、全てを漆黒の中へと飲み込んで行った。
作者:雷紋寺音弥 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
|
種類:
公開:2017年9月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|