365日、芋を食え!

作者:雷紋寺音弥

●至高の焼き芋
 街の外れにある空地にて、なにやら香ばしい匂いがする。どうやら、秋の味覚の一つである焼き芋の香りのようだが……問題なのは、それを焼いている存在だった。
「良いか、お前達。人間の一生は有限なんだ。つまり、食べられる食事の量にも限りがある」
 芋を焼きながら語っているのは、羽毛の生えた鳥頭のデウスエクス、ビルシャナだ。今日も今日で、奇妙な教義を語って聞かせ、信者を増やそうとしているようだが。
「ならば! 全ての食事を焼き芋にして、命ある限り食べ続けよ! 焼き芋こそ、シンプルかつ栄養満点な究極の料理! 火種さえあれば、どこでもお手軽に食べられる至高のメニューなのだからな!」
 荒地でも育つ芋ならば、どんな痩せた土地でも収穫できる。正に、芋の持つ神聖なるパワー! これを得ずして何を食らうのかと、焚き火の炎よりも真っ赤になって熱弁するビルシャナ。それに賛同した信者達もまた、手に手に芋を持って齧り始めた。
「ヒャッハァァッ! やっぱり、焼き芋は最高だぁっ!」
「これぞ、ジャパニーズ・スイートポテトだ! 芋のパワーが染み渡るぜぇっ!!」
 焼き芋さえあれば、他に何も要らない。一心不乱で芋に噛り付く信者達の様は、正に浅ましき餓鬼そのものだった。

●餓鬼道輪廻の怪?
「招集に応じてくれ、感謝する。六道・蘭華(双霊秘詩の奉剣士・e02423)の懸念していた通り、焼き芋に拘るビルシャナの出現が予知された」
 今回の事件は、六道衆・餓鬼道というビルシャナの信者がビルシャナ化したものらしい。そう言って、クロート・エステス(ドワーフのヘリオライダー・en0211)は集まったケルベロス達に、事件の詳細について語り始めた。
「ビルシャナは、周囲の人間に自分の考えを布教して、配下へと変えているようだな。放っておくと、ビルシャナの教えに賛同している一般人は、完全にビルシャナの手駒になっちまうぜ」
 そうなる前に、ビルシャナを撃破して人々を救うのが今回の目的である。だが、ビルシャナの影響力は極めて強く、まともな説得では意味を成さない。焼き芋以外の食べ物を勧めたところで、鼻で笑われるのがオチだろう。
「信者達を説得する際、決め手になるのはインパクトだ。味覚が破壊されるくらい凄まじく斬新な料理を出すか、それとも芋を使った全く新しい料理を勧めてみるか……その辺りは、お前達の選択に任せるぜ」
 ちなみに、説得が成功しないまま戦闘に突入した場合、信者達はビルシャナのサーヴァントのような存在となる。もっとも、彼らは情けないぐらいに弱いので、まともに倒すとそのまま死亡してしまう。
 唯一の幸いは、現場となる空地に他の人間がいないことか。教義に納得できなかった者は逃げ去っているので、人払いの手間が必要ないのは助かるのだが。
「戦闘になると、ビルシャナは強烈な閃光や孔雀型の炎で攻撃して来るぞ。閃光は回復にも使ってくる上に、自分は後ろに引っ込んで前に出ようとしない。下手に信者を残してしまうと、かなり戦い難くはなるな」
 どちらにせよ、これ以上の被害を防ぐためにも、ビルシャナの早急な撃破が必要だ。そう言って、クロートは改めて、ケルベロス達に依頼した。


参加者
榊・凛那(神刀一閃・e00303)
ルヴィル・コールディ(黒翼の祓刀・e00824)
シエラ・シルヴェッティ(春潤す雨・e01924)
六道・蘭華(双霊秘詩の奉剣士・e02423)
テレサ・コール(黒白の双輪・e04242)
ジルカ・ゼルカ(ショコラブルース・e14673)
リリス・セイレーン(空に焦がれて・e16609)
十六夜・琥珀(トロイメライ・e33151)

■リプレイ

●誘惑の香り
 街外れにある空地から、風に乗って芋の焼ける臭いが漂って来る。ビルシャナ出現の報を受けたケルベロス達が現地へ向かったところ、そこでは噂のビルシャナが、芋を焼いている真っ最中。
「焼き芋を楽しむってだけなら、とても秋らしいのだけれど……」
「うん……。焼き芋、おいしいとは、思うケド……飽きないってスゴいね」
 焼き立ての芋を一心不乱に貪る信者達の姿を、リリス・セイレーン(空に焦がれて・e16609)やジルカ・ゼルカ(ショコラブルース・e14673)は、早くもドン引きした様子で見つめている。あんなに慌てて芋を口に放り込んで、喉に詰まったりしないのだろうか。
「芋って、サツマイモだけなのかな……? 拡大解釈かもしれないけど、ちょっと狙ってみようかな……?」
「まあ、サツマイモと一口に言っても、色々な品種がありますしね」
 どこか躊躇いがちな榊・凛那(神刀一閃・e00303)の迷いを捨てさせるように、六道・蘭華(双霊秘詩の奉剣士・e02423)が声を掛けた。
 そう、確かに彼女の言う通り、サツマイモには実に様々な種類がある。それこそ、沖縄さんの紅芋から、果ては高級黒豚の餌とするべく開発された、極上に甘い品種まで。と、いうことは、今さら変わり種が一つや二つ増えたところで、そんなに怪しまれることもあるまい。
「焼き芋、美味しそうだな! くれ!」
「あ~っ、ずる~い! わたしも食べる~!」
 そんな中、ルヴィル・コールディ(黒翼の祓刀・e00824)や十六夜・琥珀(トロイメライ・e33151)が、早くもビルシャナと信者達に芋をねだるべく近づいて行った。どうも、説得ではなく自らの腹を満たすことが目的になっているような気もするが、それはそれ。
「ハハハハッ! お前達も、我が焼き芋の味を堪能し、その虜になるがいい!」
 調子に乗ったビルシャナが、早速ルヴィルや琥珀へ焼き芋を振る舞い始める。なんというか、確かに芋は美味そうなのだが、しかしビルシャナの態度を見ているだけで腹立たしく思えてくるのは何故だろうか。
「焼き芋って確かにおいしいけど、それだけじゃゼッタイ飽きちゃうってば! おいしい芋料理で、おいしいのは焼き芋だけじゃないってコトを、しっかり教えてあげるからね!」
 このまま調子に乗らせても困るので、シエラ・シルヴェッティ(春潤す雨・e01924)も気を取り直し、自らのお勧め料理を作って食べさせるべく、空地の中へと足を踏み入れる。そして……そんな彼らの姿を生暖かく見守りつつ、テレサ・コール(黒白の双輪・e04242)は何やら不敵な笑みを浮かべていた。

●焼き芋ジャンキー
 ビルシャナに勧められるままに、信者達は一心不乱に焚き火の周りで焼き芋を貪っている。だが、このまま放置しておけば、彼らも第二、第三の焼き芋ビルシャナになってしまうに違いない。
「ごめんね、ちょっと火を貸して」
 焚き火の炎でフライパンを熱し、シエラは素早く油を引くと、そこにズッキーニやサツマイモを放り込んで炒めた。最後に、溶き卵で包んで焼けば、スペイン風オムレツの出来上がりだ。
「さあ、食べてみて。甘くてとってもおいしいよ!」
 鼻先を刺激する、美味しそうな匂い。普通の人間であれば、これだけで大喜びしそうなものなのだが。
「うむ……確かに、美味いことは美味いな。だが……」
「どうせなら、中身を全部焼き芋にした方がいいんじゃない? ズッキーニとか、はっきり言って邪魔だし」
 骨の髄まで焼き芋教に毒された信者達にとっては、卵もズッキーニも余剰物。なんというか、偏食ここに極まれりといった感じである。
「お前達! 他に何も要らなくて本当にいいのか! 美味しいものはたくさんあるんだぞ~! 同じお芋だとこの大学芋とか! ポテトサラダとか! 大学芋に絡んだこの蜜がたまらないぞ~」
 同じく、ルヴィルが有名店で買ってきた大学芋やポテトサラダを見せびらかしながら食べるが、やはり信者達は動じない。焼き芋第一な彼らにとって、他の芋料理など眼中にもないようで。
「うわ……なかなか頑固だね、これ。それなら、俺は甘い物で勝負しようか」
 まともな料理が駄目なら、スイーツで釣ってみるのもありだろう。そう考え、続けてジルカがアップルポテトパイを取り出した。
「俺からはねえ、熱~い焼き芋の後はコレ!」
 ほっくりとしたパイの隣で、柔らかい口溶けのバニラアイス。一匙掬って目の前に持って行き、しかし最後は自分で食べてみせるが。
「パイとバニラアイス、ねぇ……。別に、焼き芋にアイス乗せても同じじゃない?」
「なるほど! ある意味、新しい食べ方かもしれないな!」
 信者達の興味こそ引けたものの、完全に正気を戻すには至らなかった。
「ハ~ッハッハ! やはり、焼き芋こそ真の完全食! 他の食い物など、添え物に過ぎん! 解ったら、お前達も焼き芋を食え! 焼き芋だけを食いまくるのだ!」
 焚き火を背に、調子に乗ったビルシャナが、ドヤ顔でキメているのが腹立たしい。しかし、その影響力こそが、ビルシャナの真の恐ろしさでもある。
 人の好みは十人十色。ご飯が好きという者もいれば、パンが一番という者もいる。その、一番大好きという感情を、行き過ぎた信仰心にまで昇華させてしまうのがビルシャナの力なのだ。
 それ故に、一度はまれば高級霜降和牛のステーキよりも、焼き芋が美味いと思い込まされてしまう。どれだけ味が良かろうと、あくまで一般的な料理の域を出ないメニューでは、信者達の心を揺さぶるには決め手に欠ける。
 こうなれば、こちらもいよいよ切り札を出そう。この手の連中に効果的なのは、やはり一種のショック療法。
 頑固に偏食を続ける信者達に対し、ケルベロス達は次なる作戦に出ることにした。

●お菓子の芋と、焼き眼鏡
「さつまいもは万能食なので、全ての食事をさつまいもに、と言っているけど……いくら栄養があるとはいえ、1日三食分として3本も食べたら太るわよ」
 まずは小手調べと言わんばかりに、リリスが自分のスタイルを見せつけながら信者達に告げた。
 このまま芋を食べ続ければ、それこそ文字通りの芋姉ちゃん。もう、誰からも愛してもらえない姿になってでも、焼き芋を喰らい続けるのかと。
「な~に、馬鹿なこと言ってるのよ! 焼き芋は完全食なのよ! 完全食なのに、太るわけないでしょ!」
「それに、芋はお通じだって良くするのよ! 食べた分、全部出しちゃえば同じでしょ!」
 もっとも、信者達はビルシャナに吹き込まれた似非科学を信じ切っており、迷信に近い無茶苦茶な反論をしてくるだけだった。やはり、常識的な説得では、こういう連中の目は覚ませないのだ。
 こちらに残された手は、もう残り僅かだった。いよいよ切り札を繰り出すべく、今まで事の成り行きを見つめていた蘭華がついに動いた。
「普通の石焼き芋も当然堪りませんけど、偶にはこういう『焼き芋』も如何でしょう?」
 そう言って蘭華が取り出したのは、どこからどう見ても、ただの焼き芋。無論、それに飛び付かない焼き芋ジャンキーどもではなく、大喜びで彼女の手から芋をひったくり。
「ヒャッハァァァッ! 焼き芋だぁぁぁ……って、あれ?」
「な、なんだ、こいつは!? 焼き芋の中から……粒餡が!?」
 なんと、彼女が信者達に食べさせたのは、紫芋製の『皮』で粒餡入りスイートポテトを包み、焼き芋に擬態させたスイーツだった。
「おのれ! 貴様、騙しおったな!」
 側で見ていたビルシャナが思わず横槍を入れて来たが、しかし蘭華は動じなかった。
 これは騙したわけではない。芋には潜在能力があると、ただそれを示したかっただけであると言ってのけ。
「さあ、次は逃げも隠れもしません。可能性を最大限引き出した、この芋羊羹をどうぞ♪」
 老舗直伝の技を注いだ、京風芋羊羹が彼女の本命だ。もっとも、斬新さでは先の擬態スイーツに劣っていたのか、信者達の反応はいま一つ。
「すごいっ、焼き芋に見えるけど、これ、お菓子なんだあ! うわあ、芋ようかんまでっ! いただきまーす!」
 どうせ残すなら、自分が食べる。ドサクサに紛れて琥珀がスイーツや羊羹を食べていたが、それはそれ。
「えっと……それなら、これはどうかな? 実は、これも芋なんだよ」
 このままビルシャナに流れを持って行かれては拙いと、すかさず凛那がフォローに回った。そんな彼女が用意したのは、一見すると白身魚の蒸し料理にしか見えないもの。
 だが、その正体は里芋で身を、海苔で皮を作った台湾素食。精進料理というやつだ。味も食感も白身魚にしか思えない、一種のもどき料理である。
「これすっごいおいしい~!」
「白身魚まで……ってこれもお芋!? すごーい!」
 シエラも加わり、琥珀と食レポを続けている。もっとも、見た目と中身の一致しない料理の数々を前に、信者達の頭の中は今や大混乱だった。
「えぇと……さっきの焼き芋は、焼き芋じゃなくて……でも、この白身魚は、実は芋で……?」
「わ、解らん! 俺達の目は、どうにかなってしまったのか!?」
 なんだか知らないが、勝手にパニックに陥っている。そんな彼らの隙を、先程から焚き火の中に何かを突っ込んで焼いていたテレサは見逃さなかった。
「好物がおかしな物に見えるのは、きっと眼鏡がないからです。眼鏡はいいですよ。かけるだけで知的に見えます。ささ、熱いうちにどうぞ」
 そう言って彼女がアルミホイルの塊を広げてみると……中から出て来たのは、焼き芋ならぬ焼き眼鏡!
「えぇっ!? メガネ焼いたの!?」
「や、焼眼鏡……熔けたりしませんの?」
 さすがにこれは、琥珀や蘭華もドン引きだった。
「というか……そもそも可食物なの?」
 さすがに、こんな物は食えないだろう。思わず凛那が突っ込みを入れたところで、ライドキャリバーのテレーゼがテレサに体当たりを仕掛け。
「あぁっ、眼鏡が!?」
 宙を舞う眼鏡はアルミホイル諸共に吹っ飛んで、何故かシエラの手の中に。
「ん~……この焼き眼鏡、ビルシャナさん掛けてみたら? 焼き芋と『焼き』は一緒だし、意外とイケるかもよ?」
「な、なんだと!? そんな怪しげな代物、掛けられるわけな……うぎゃぁぁぁっ! 熱ぃぃぃっ!?」
 哀れ、シエラに強引に眼鏡を装着させられたことで、ビルシャナが顔面を押さえて転げ回った。
 デウスエクスは、グラビティ以外ではダメージを受けない。しかし、痛みや熱さといった感覚まで無効にはできず。
「そうか……俺達に足りないものが何か、ようやく解ったぞ!」
「うむ……。本物と偽物の見分けさえつけられないアマチュアな俺達に必要なのは、曇りなき眼を作り出す眼鏡だったんだ!」
 高熱に耐えて眼鏡を掛け続けることで、眼鏡なしでも真の見切りに開眼する。あの焼き眼鏡は、きっとそれを得るための特訓道具に違いない。そんなことを口々に言いながら、何故だか信者達は納得していた。
 いったい、何をどう考えたら、そんな発想に辿り着くのか。まあ、とりあえずビルシャナの支配からは脱せたので、これで良しとしておこう。
 残すは親玉のビルシャナのみ。餓鬼道へ落ちた鳥頭へ、ケルベロス達は一斉に攻撃を開始した。

●美味しく焼けました?
 秋晴れの空の下、互いに飛び交う閃光や爆音。先程の試食会とは打って変わって、空き地は激しい攻撃の応酬を繰り広げる戦場と化していた。
「お、おのれ! 何故だ! 何故、私の焼き芋パワーが、やつらには通用せんのだ!?」
 もっとも、全ての信者を失った今、ビルシャナは完全なる多勢に無勢。前衛の肉壁を失った後衛など、丸裸も同然の存在である。
「くっ……こうなれば、全員纏めて焼き芋にしてくれる!」
 そう言って後ろを向くと、ビルシャナは何やら念を込めて、巨大な孔雀型の炎を発射して来た。
「ちょっ……! お尻向けて炎出すって、もしかして……」
「オナラ!? お芋だけに、オナラ燃やしたの!?」
 思わずドン引きして散開するジルカと琥珀。まあ、実際には普通にグラビティを放ったのだろうが、いかんせん発射時のポーズが色々と誤解を招くような代物なのはいただけない。
「冗談じゃないわ。オナラに焼かれるなんて、そんな恥ずかしい死に方は御免よ!」
「まったくだな。正直、折角の食欲が台無しだ」
 フォローをそれぞれのサーヴァント達に任せつつ、リリスとルヴィルがビルシャナの尻目掛けて気弾を発射した。どうにも勘違いしているようだが、細かいことは気にしたら負けだ。
「折角、眼鏡をプレゼントしてあげたのに、下品なのは困りますね。眼鏡の名誉のために、死んでください」
 どこか冷めた視線を送りつつ、テレサとテレーゼがミサイルやガトリング砲で一斉射撃!
 ちなみに、彼女の作った焼き眼鏡は、まだビルシャナの顔面に貼り付いたままである。どうやら、熱で羽毛が焦げて完全に癒着してしまったらしい。
「うごごご……馬鹿なぁぁぁっ!?」
 爆風の向こうから、何やら苦しみ悶える声がした。ここまで来れば、もう少し。早く、あの鳥頭を成敗して、美味しい芋料理を堪能したい!
「俺のポテトパイ、お気に召さなくて残念だけど……」
 ジルカがバールを投げ付け、ウイングキャットのペコラとそらがリングを投げ付けたところで、シエラと琥珀が高々と跳躍し。
「私のオムレツが食べられないなら、あなたには代わりに、これをあげるわ」
「好き嫌いしたら、いけないんだよ!」
 顔面に炸裂する必殺キック! 衝撃に焼き眼鏡が砕け散り、最後は凛那と蘭華がビルシャナを焼き芋ならぬ焼き鳥にすべく狙いを定めた。
「斬った方が、火は通るよね!」
「串焼きにして差し上げますわ!」
 空の霊力を纏った斬撃がビルシャナを正面から斬り伏せ、そこに飛来するのは燃え盛る蹴撃。羽毛に燃え移った火を消そうとするビルシャナだったが、勢いを増す炎は止まらない。
「ぎゃぁぁぁっ! わ、私は芋ではない! 芋は……あっち……あっち……熱ぃぃぃっ!!」
 焚き火の方を指差しながら、ビルシャナが炎に巻かれて燃え尽きる。餓鬼道鳥頭は消し炭と化し、人々の平和は守られた。
「やったね、蘭華姉!」
「凛那、巧くいったね♪」
 黒焦げの焼き鳥は放っておいて、凛那と蘭華がハイタッチ。その上で、持ち寄った料理を改めて全員で堪能だ。
「わ~い、食べ放題だ~!」
「私も今度、スイートポテトを作ってみようかな?」
 シエラのオムレツやジルカのパイを大喜びで食べている琥珀の姿を見て、リリスが誰に言うともなく口にする。
「一緒にお酒も飲めたら最高だよな~」
 大学芋を摘まみながら、ルヴィルが秋の空を見上げて言った。
 秋の味覚は、秋に食べるからこそ美味いのだ。結局のところ、食べ物で重要なのは旬である。それを再確認したケルベロス達であった。

作者:雷紋寺音弥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年9月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 8
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