鎌倉ハロウィンパーティー~笑うカボチャ頭!

作者:ゆうきつかさ

●予知
 恋人がいなかったり、友達がいなかったり、或いは賑やかなパーティーに気後れしたりなど、ハロウィンパーティーを羨ましく思いながら、どうしても参加する事ができない人の所に、赤い頭巾を被った少女ドリームイーターが現れ、手に持った鍵で、被害者の心臓を一突き。
 鍵は被害者の心臓に穴を開けるが、怪我もせず、死にもしない。
 この攻撃は、ドリームイーターが人間の夢を得るための行為!
「ハロウィンパーティーに参加したい……ですか。その夢、かなえてあげましょう。世界で一番楽しいパーティーに参加して、その心の欠損を埋めるのです」
 そう言ってドリームイーターが、夢を具現化したドリームイーター……カボチャ頭をした全身モザイクのハロウィンドリームイーターが誕生した。
 その後、ハロウィンドリームイーターは、その場から姿を消した。
●都内某所
「藤咲・うるる(サニーガール・e00086)さんが調査してくれたのですが、日本各地でドリームイーターが暗躍しているようです。出現しているドリームイーターは、ハロウィンのお祭りに対して劣等感を持っていた人で、ハロウィンパーティーの当日に、一斉に動き出すようです。ハロウィンドリームイーターが現れるのは、世界で最も盛り上がるハロウィンパーティー会場、つまり、鎌倉のハロウィンパーティーの会場です。皆さんには、実際のハロウィンパーティーが開始する直前までに、ハロウィンドリームイーターを撃破して欲しいのです」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
「ハロウィンドリームイーターは、ハロウィンパーティーが始まると同時に現れます。そのため、ハロウィンパーティーが始まる時間よりも早く、あたかも、ハロウィンパーティーが始まったように楽しそうに振るまえば、ハロウィンドリームイーターを誘き出すことができるでしょう」
 そう言ってセリカがケルベロス達に、資料を配っていく。
「また、このシナリオで撃破されたドリームイーターの死体は、消滅する場合もありますが、ハロウィンのカボチャや、飾り付けに変化してしまい、パーティー会場の飾りの一部になる場合もあるようです。ハロウィンパーティーを楽しむため、ドリームイーターは撃破してしまいましょう。それでは、よろしくお願いします」
 そして、セリカがケルベロス達に対して、深々と頭を下げるのであった。


参加者
ミック・マーベラス(文明に慣れすぎたわんこ・e00368)
リシア・アルトカーシャ(オラトリオのウィッチドクター・e00500)
オルガ・ディアドロス(盾ノ復讐者・e00699)
御山・詠二(地球人のブレイズキャリバー・e04019)
鈴木・犬太郎(超人・e05685)
阿倍・晴明(阿倍王子の玄武・e05878)
ヴィオラ・セシュレーン(百花繚乱・e11442)
エレオノーラ・フラウ(フェイカー・e14696)

■リプレイ

●ハロウィン
「折角のハロウィンパーティの楽しみがなくなってしまうのは悲しいので、しっかりと倒しておかないとですね。パーティは楽しく、です」
 リシア・アルトカーシャ(オラトリオのウィッチドクター・e00500)が 白髪のかつらと白い着物で雪女に仮装し、仲間達と一緒に楽しそうに振る舞っていた。
 リシア達の手によって、辺りはハロウィン仕様に飾りつけられており、まるで実際にパーティが行われているようだった。
「楽しいパーティーをしようとしている皆のパーティーを潰そうとしているのが気に入らねぇな。ケルベロスとして皆を幸せにするため一肌ぬぐか」
 鈴木・犬太郎(超人・e05685)がドラキュラに仮装して、カボチャ料理を並べていく。
 この場にカボチャを置いたのは、ハロウィンドリームイーターに対する嫌がらせ。
 これを見れば、ハロウィンイーターは、少なからず難色を示す事だろう。
「神社の家系の私がハロウィンパーティに参加するのも、なんだか不思議な感覚ですね。……ですがこれも鎌倉市の為、ドリームイーターを誘う出す為に気合を入れないと駄目ですね」
 阿倍・晴明(阿倍王子の玄武・e05878)が緑を基調にしたバニーガール姿で、『TRICK or TREAT!!』と書かれたプラカードを掲げた。
 幸か、不幸か、まだパーティが始まっていないため、辺りに一般人の姿はない。
 それでも、大胆過ぎたような気もするため、恥ずかしい気持ちでいっぱいなようである。
「ところで、楽しくするって言っても……、どう見せればいいんだ……?」
 オルガ・ディアドロス(盾ノ復讐者・e00699)が鎧騎士の格好で、不思議そうに首を傾げた。
 まわりにいるのは、自分達だけ。
 そのため、自分達で盛り上げなければ、ハロウィンドリームイーターが現れる事もない。
「取り敢えず、キャンディやクッキーとかを纏めて買って来たぜ」
 エレオノーラ・フラウ(フェイカー・e14696)が吸血鬼に仮装して、パーティの雰囲気を出すために音楽を流す。
「わふぅ、お菓子くれなきゃイタズラするわんっ!」
 そんな中、ミック・マーベラス(文明に慣れすぎたわんこ・e00368)が風神の格好をして、近所の家にお菓子を貰いに行く。
 雷おこしのつもりか、背中には扇風機のダミー。
「ハッハッハッハッ!!! 愚民どもひれ伏すが良い、我は吸血鬼なり。お菓子をくれないと悪戯しちゃうぜ?」
 エレオノーラも一緒になって、高笑い。
 何件か回った結果、お菓子を貰う事が出来たらしく、ふたりともホクホク顔。
 予想以上の収穫に満足している様子である。
「あれあれ? おかしいですねぇ? こんな所で、パーティなんてする予定がなかったのに……。まっ、いいか。あは、あははははっ!」
 次の瞬間、ハロウィンドリームイーターが能天気な笑い声を響かせ、ミック達の前に姿を現した。
 ハロウィンドリームイーターはカボチャを頭に被っており、何やら違和感を覚えているようだった。
『祭りというのはよくわからんが、貴様が無粋な手合いというのはわかる』
 御山・詠二(地球人のブレイズキャリバー・e04019)が、ハロウィンっぽい派手な飾りのついたかぼちゃの被り物と、仰々しいマントを羽織って、身振り手振りでハロウィンドリームイーターに意思疎通を図ろうとした。
「もしかして、私に対して文句を言っているんですか? そんな冷たい事を言わないでくださいっ! 私はただパーティを盛り上げたいだけなんですからっ!」
 ハロウィンドリームイーターが、まったく悪びれた様子もなく、クスクスと笑いだす。
「……と言うか、ハロウィンパーティーに参加したいんは、アンタやないんよね」
 ヴィオラ・セシュレーン(百花繚乱・e11442)が座敷童のコスプレをして、呆れた様子でため息をもらす。
「そんなツレない事を言わずに、私も仲間に入れてくださいよ。きっと……、楽しいパーティになりますよっ!」
 そう言ってハロウィンドリームイーターがケタケタと笑い、手に持った鍵を握り締めた。

●ハロウィンパーティ
「ふふ、まずは君から行きましょうかっ!」
 それと同時にハロウィンドリームイーターが、心を抉る鍵で晴明を攻撃!
「……え? まさか、標的は私?!」
 晴明が驚いた様子で声を上げる。
 その途端、晴明のトラウマが具現化し、汚らしい男達の姿になって、いきなり襲い掛かってきた。
「……ひいっ! 揉まないで! やぁっ、そこはだめ……ひぎぃっ!」
 しかも、男達は欲望の赴くまま、あんな事や、こんな事。
「アッー!」
 あっという間に晴明がビクンビクンと身体を震わせ、グッタリと意識を失った。
「仲間に何しよるん?」
 それを目の当たりにしたヴィオラが、迫力のある笑顔を浮かべながら、ハロウィンドリームイーターに攻撃を仕掛けていく。
「あはは、あはっ! 面白いでしょ? だったら、もっと笑いなよっ! 何なら腹を抱えて笑ってもいいんだよっ!」
 ハロウィンドリームイーターが、面白がってピョンピョンと飛び跳ねていく。
「どちらにしても、ハロウィンパーティを妨害させる訳にはいかねぇ。止めさせて貰うぜ!」
 エレオノーラがハロウィンドリームイーターをジロリと睨み付け、ミミック『もっさん』に指示を出す。
 その指示に従って、もっさんがぴょこぴょこと歩きながら、ハロウィンドリームイーターに襲い掛かっていく。
「ちょっ、ちょっと待ってください! 乱暴はいけませんっ! 平和的に行きましょう、平和に……」
 ハロウィンドリームイーターが驚いた様子で、後ろにピョンと飛び退いた。
 それに合わせて、ヴィオラが殺界形成を発動させ、まわりにいた一般人達を避難させた。
「その身に刻め、獄の焦熱」
 それに合わせて、詠二がハロウィンドリームイーターを捉え、近距離から起爆してダメージを与える。
「ひ、酷いっ!」
 ハロウィンドリームイーターが涙目になって、焼けただれた傷口を押さえた。
「まぁ、俺の前に現れたのは不幸な事故だと思って諦めてくれ。悲しいがこれ戦闘だから、手を抜くなんて俺は出来んな」
 オルガが間合いを取りながら、ハロウィンドリームイーターに対して、キッパリと言い放つ。
「でしたら、私も手加減はしませんよっ!」
 ハロウィンドリームイーターが覚悟を決めた様子で、モザイクを巨大な口の形に変え、オルガ達に攻撃を仕掛けていく。
「まあ、そういう事どす」
 それに気づいたヴィオラが分身の術を使い、ハロウィンドリームイーターの攻撃を回避!
「ところで、カボチャ頭を剥いたら、どうなるんだろう? やっぱり、グロいのかな? まぁ、やってみなきゃわからないけれど……」
 犬太郎が興味津々な様子で、ハウリングフィストを使う。
「そ、そんな事をしたら、中身が出ちゃいますっ!」
 ハロウィンドリームイーターが身の危険を感じて、ジリジリと後ろに下がる。
「だいぶ……、弱ってきたな」
 それに気づいた詠二が、一気に間合いを詰めていく。
「ちょっ、ちょっと、待ってください! 私にも準備ってものが……! だから待ってくださいって!」
 ハロウィンドリームイーターが涙目になりつつ、再びモザイクを巨大な口の形に変化させた。
「このまま焔に焼かれなさいっ!」
 次の瞬間、リシアがドラゴニックミラージュを使い、ドラゴニックミラージュを使う。
 それに合わせて、オルガがフレームグリードを放ち、ハロウィンドリームイーターを追い詰めていく。
「わんわんっ! このフライパンの威力を侮ったらいけないわんっ!」
 続いてミックがハロウィンドリームイーターを吸収する勢いで、フライパンを勢いよく振り下ろす。
「ぎゃあああああああああああ!」
 その一撃を食らったハロウィンドリームイーターが断末魔を響かせ、カボチャの置物になってゴロンと転がった。
「倒された後、飾りになって喜ばれるというのも、何だか皮肉だな」
 オルガが複雑な気持ちになりつつ、カボチャの置物を拾い上げる。
 だが、これも運命……。
 今まで犯した罪を償う事は難しいが、パーティに参加した一般人の気持ちを和ませる事くらいは出来るだろう。
「うう……、何だか酷い目に……」
 晴明がようやく意識を取り戻し、魂の抜けた表情を浮かべる。
 あっという間に出来事だったため、身も心もヘトヘト。
 今はゆっくりと休みたい気分のようだ。
「一足先の楽しいハロウィンだったぜ、お前とは別の形で楽しみたかったな」
 エレオノーラが寂しそうな表情を浮かべ、ドリームイーターの消えた場所に沢山のお菓子を供える。
「それじゃ、パーティを始めましょうか」
 そう言ってリシアがヒールグラビティを使って、壊れた場所を流していく。
 そして、リシアはカボチャの置物を飾ると、パーティを始めるのであった。

作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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