●失われた新作お菓子レシピ
「……うん、これだ。この味を求めていたんだ!」
孝太の目の前には焼き立てのパウンドケーキ。切り分けて味見をした彼は、強く頷いた。
彼の傍にはノートが置いてある。そこには、小麦粉の量、バターの量、混ぜ込むドライフルーツの種類に量。そして、焼き時間。細かに書かれているそれには、味の評価や改良点、反省点等も細かに書き込まれている。そして、最後に書き込まれたレシピに、孝太はこう書き込む。『理想の味』と。
そんな彼の元に第八の魔女・ディオメデスと第九の魔女・ヒッポリュテが現れた。そして、彼の大事なノートを燃やしてしまう。ノートは全て灰になってしまった。
「な、なんてことをしてくれるんだ! 酷すぎるじゃないか! これは、今まで試行錯誤してきた大事な経過と最後のレシピが書いてあったんだぞ!」
悲しみと怒りを二人の魔女にぶつける孝太。そんな彼に、二人の魔女は手にした鍵で同時に彼の心臓を貫く。
「私達のモザイクは晴れなかったねえ。けれどあなたの怒りと、」
「オマエの悲しみ、悪くナカッタ!」
意識を失い倒れていく孝太。そして彼の傍には巨大なパウンドケーキとノートが現れたのだった。
●ヘリオライダーより
「ねえ、みんなってオリジナルレシピって作った事がある? 俺は結構、アレンジが好きだからよくやるんだけどね」
デュアル・サーペント(陽だまり猫のヘリオライダー・en0190)は、そう言うと、事件の概要を話し始めた。
「実は、またパッチワークの魔女が動き出したみたいなんだ。今回動いたのは、怒りの心を奪う第八の魔女・ディオメデスと、悲しみの心を奪う第九の魔女・ヒッポリュテの2体。この2体の魔女は、とても大切な物を持つ一般人を襲って、その大切な物を壊して、それによって生じた『怒り』と『悲しみ』の心を奪ってドリームイーターを生み出すみたいなんだ。生み出されたドリームイーターは、2体連携で行動し、周囲の人間を襲ってグラビティ・チェインを得ようとするようなんだ。悲しみのドリームイーターが『物品を壊された悲しみ』を語り、その悲しみを理解できなければ、『怒り』でもって殺害するらしい。この2体のドリームイーターが周囲の人間を襲って被害を出す前に倒して欲しいんだ。みんななら出来るって信じているよ」
デュアルは状況の説明を始める。
「場所は料理教室のキッチン。時間帯は昼間だから、周囲の人達を避難させた方が良いと思うよ。生まれたドリームイーターなんだけど、孝太さんって人の考案したパウンドケーキのレシピが書いてあるノートを燃やされて、その『悲しみ』と『怒り』から生まれたドリームイーターで、パウンドケーキの形の『怒り』のドリームイーター、ノートの形の『悲しみ』のドリームイーターだ。このドリームイーターは話せるんだけど、自分の悲しみを語る事と、怒りを表現する事しか出来ないんだ。だから、会話は残念ながら出来ない。だから、倒して、被害者を救ってほしいんだ」
デュアルの話を聞いていたミーミア・リーン(笑顔のお菓子伝道師・en0094)は、何やら複雑な顔をしている。
「パ、パウンドケーキのドリームイーター? 凄く見てみたい……ううん、倒さないといけないの!」
好奇心を抑えて、ケルベロスとしての自覚を取り戻す。
「あのね、オリジナルのレシピを作るのって大変なのよ。しかも、孝太ちゃんは、今までの事をしっかり書いたノートを失うって本当に辛い事なの。だって、ずっと頑張っていた事が無くなっちゃうんだもの。だから、こんな哀しいドリームイーターは倒さないといけないの。みんな、力を貸して欲しいの!」
参加者 | |
---|---|
シヴィル・カジャス(太陽の騎士・e00374) |
楚・思江(楽都在爾生中・e01131) |
アルケミア・シェロウ(トリックギャング・e02488) |
沙更・瀬乃亜(炯苑・e05247) |
フォン・エンペリウス(生粋の動物好き・e07703) |
クローディア・ワイトマリア(ムネノコドウ・e19278) |
リィナ・アイリス(もふもふになりたいもふもふ・e28939) |
小鳥遊・涼香(サキュバスの鹵獲術士・e31920) |
●失われた新作お菓子レシピ
現場は料理教室のキッチン。おまけに時間帯は昼間だ。周囲の人達の避難は必須の状況。
現場に着いた楚・思江(楽都在爾生中・e01131)は、堂々と大声で自分達、ケルベロスが来た事を伝える。
「さあ、俺たちの後ろから逃げるんだ! ……大丈夫、心配いらねえさ」
にかっと笑う思江の表情は、どこか人々を安心させるものがあった。
また、アルケミア・シェロウ(トリックギャング・e02488)は隣人力を、リィナ・アイリス(もふもふになりたいもふもふ・e28939)と小鳥遊・涼香(サキュバスの鹵獲術士・e31920)はラブフェロモンの力を活用しながら、一般人へと避難を呼びかけていく。沙更・瀬乃亜(炯苑・e05247)も、逃げ遅れた人が居ないかと周囲を見渡す。また、応援に来てくれた有馬・左近(武家者・e40825)と木下・昇(永遠のサポート役・e09527)も、避難誘導を手伝ってくれた。
クローディア・ワイトマリア(ムネノコドウ・e19278)とミーミア・リーン(笑顔のお菓子伝道師・en0094)は、協力し合いながらキープアウトテープを貼って、間違って現場に誰か入って来ない様にする。
皆が協力し合い、料理教室の周囲からの一般人の避難が完了する。
そして、現場であるキッチンに乗り込んだ。
ケルベロス達がキッチンに侵入すると、異様な光景が広がっていた。人間とさほど大きさの変わらない大きなノートと、2メートルの高さはあるであろうパウンドケーキ。特にパウンドケーキは一切れサイズらしいが、横幅もあるので迫力も凄い。
「僕のノートが……ノートが燃やされてしまったんだ……。今までの試行錯誤を書き綴った大事なノート……燃やされてしまった……燃やされてしまった……あれが無ければ、もう二度とあの味を出す事は出来ないんだ……」
「そうさ、燃やされてしまった! 大事なノートなのに! あれは、僕の努力の結晶! 燃やすなんて……燃やすなんて!」
おいおいと嘆き悲しむノート。そして、怒りを露わにするパウンドケーキ。特にパウンドケーキは大きいだけに、その怒り方にも迫力がある。
(「ん、美味しそうなケーキだけど敵なんだね……ん、残念だけど倒すの」)
そう思う、フォン・エンペリウス(生粋の動物好き・e07703)。
(「パウンドケーキって美味しいのよねぇ……」)
一方で、クローディアは、おっとりとした感じで、パウンドケーキに思いを寄せる。確かに巨大だけれど、ふわふわのケーキ。美味しそうだし、通常のパウンドケーキも思い起こさせるのだ。
逆に瀬乃亜はお菓子が好きでレシピを奪った事を、思江は料理人として孝太の気持ちが分かるだけに、このドリームイーターが生み出された事に改めて怒りを覚える。
涼香には、ねーさん以外無くしたいものが無い。でも、壊される事には憤りを感じた。
嘆いているノートと、怒りに満ちたパウンドケーキの話を聞いている間に、瀬乃亜は倒れている孝太を見つけて、安全な場所へと運んだ。
瀬乃亜が孝太の安全を確保した所を確認すると、ケルベロス達は攻撃の構えに入った。
●パウンドケーキ型ドリームイーターとノート型ドリームイーター
「太陽の騎士シヴィル・カジャス、ここに見参! さあ、ケーキ入刀の時間だ」
嘆くノートに合わせて怒りを露わにするパウンドケーキ。その隙をついて、シヴィル・カジャス(太陽の騎士・e00374)は、パウンドケーキの弱点を突いた攻撃を繰り出す。
「ったく、食いもんなら大人しく食われやがれ!」
続き、思江も光り輝く左手から漆黒を纏いし右手で殴りつけた。
……当たったのは良いのだが、何だか攻撃を当てたはずなのに、返ってくる反動は、ふわっとしていて何だか当てた感が無く、相手にダメージが通っているのか少々不安になる感触だ。やはり、ドリームイーターとはいえ、ふわふわのケーキらしい。だが、相手の怒りを買う事には十分な成果を発揮していた。
「……お前達! ノートを灰にしたにも関わらず、その成果である私をも壊そうというのか!? 許さない、許さないぞ!」
パウンドケーキはそう言ったかと思うと、何だか甘い感覚が周囲に漂う。
「あらぁ? 何だかとても美味しそうな感じが……」
ふわふわと甘い夢の中に誘われていくクローディア。
一方のノートは、先程の攻撃を見て思江に向かって文字の鎖を使い、縛り上げた。
「赤薔薇、皆を守って下さい。クローディアさん、今、回復しますね」
瀬乃亜は、テレビウムの赤薔薇にそう言うと、クローディアにカラフルな爆発による力と癒しを行う。
「ん、クルルも宜しくなの」
フォンはボクスドラゴンのクルルに声をかけると、炎を巻き上げる蹴りをパウンドケーキに叩き込む。ふわんとした不思議な感触。更にクルルは連携してブレスを吐いた。
アルケミアは狐の面を被ると、皆と違い、ノート型のドリームイーターを狙う。それを察したパウンドケーキの動きを見つつ、庇われない角度に移動した。
「さぁおいで、――わたしが相手だ」
ノートのドリームイーターにアルケミアは張り付くように立ち回り始める。その意識を自分に向けるように、と。
「ねーさん、一緒に頑張ろうね」
涼香は、ウイングキャットのねーさんに声をかけると、パウンドケーキに向かって漆黒の弾丸を放つ。それに合わせて、ねーさんのリングが叩き込まれた。
(「パウンドケーキのドリームイーター、美味しそうな見た目だなあ」)
そんな事をリィナはのほほんと考える。甘いものが大好きだからだ。それはそれとして、あのドリームイーターは倒さなければ。リィナは、まずシヴィル達にオウガ粒子を放って、神経を研ぎ澄ませていった。
「もっと気を付けないと……」
クローディアは、先程、甘い世界に導かれたので気を引き締めつつ、御業を放ってパウンドケーキを縛り上げた。
「思江ちゃん、頑張るの!」
ミーミアは雷の力を使って思江の傷を癒し、力を底上げしていく。シフォンも合せて清らかなる風を送っていった。また、昇も戦いに参加してサポートしてくれる。
「さあ、覚悟しろよ?」
力を得た思江は、ウイルスをパウンドケーキに向かって放つ。
「ケーキは保存の効かない菓子だからな。貴様のようなドリームイーターではないケーキであっても、作られてからなくなるまでの時間は短い。それを見習って、貴様も人々に迷惑をかける前に早々に消え去るが良い!」
シヴィルはそう言い放つと、パウンドケーキに向かって氷の弾丸を撃ち放った。
流石にダメージが溜まったらしく、パウンドケーキは凹んできたふわふわのスポンジを回復する様に動きを止める。ノートの方はそれに邪魔が入らないようにと、巨大な文字を出現させた。だが、傍に貼り付くように動くアルケミア。ノートは文字をアルケミアに放ったが、その攻撃から身を翻してかわし、カウンターで見えない爆弾を爆発させた。
フォンの方は、回復しようとしているパウンドケーキに向かって鋼鉄の拳で強く殴りつける。それに合わせてクルルはタックルを喰らわせた。
その間に、瀬乃亜はシヴィル達に向かってカラフルな爆発によって士気を高めていく。赤薔薇は仲間達や孝太の様子を見ながら、敵の攻撃に備えていた。
涼香はバスターライフルを構えて、パウンドケーキに向かって光線を放つ。続き、ねーさんが激しく引っかいた。そこを狙い、クローディアは御業を放って燃え上がらせる。そして、攻撃の間を縫って、リィナのオウガ粒子がクローディア達の集中力を上げていった。
「次はクローディアちゃんなの!」
ミーミアは雷の力によってクローディアの力の底上げを行う。一方、シフォンはアルケミア達に清らかなる風を送り、護りを固めた。
パウンドケーキが再び動き出す。攻撃の要である思江を狙って突進するが、シヴィルが飛び込み、その攻撃を受け止め、カウンターで炎の竜を撃ち放った。
「宜しく頼むぞ」
「ああ、任せておけ!」
シヴィルの言葉に、思江は頷く。思江はパウンドケーキを見据えると、光を纏う左手でパウンドケーキを引き寄せ、闇を纏った右手で強力な一撃を加えた。
その強烈な一撃に、パウンドケーキは光の粒となって消えていく。しかし、ノートのドリームイーターは、パウンドケーキの敵と言わんばかりに文字を躍らせた。文字は色々な形となり、不思議な舞の様に動いていく。この奇妙な動きに、ノートの足止めをしていたアルケミアも上手く回避しきれず、その文字の舞に呑まれてしまった。
「ん、びりびりにしてあげるの」
まずはクルルがブレスをノートに向かって吐く。それに合わせ、フォンは自らの大きな尻尾を逆立て大量に発生した静電気を喰らわせた。ノートが電気でピリピリとしている。
「アルケミアさん、回復します」
瀬乃亜は、意識がぼんやりしているアルケミアに、星の光を輝かせて意識を取り戻させた。
「ありがとう。ノートはわたしに任せて」
瀬乃亜に礼を言うと、アルケミアは再びノートの傍に張り付き、その動きに合わせる。赤薔薇も向かい、アルケミアの守りについた。
涼香は、ノートに向かって漆黒の弾丸を撃ち放つ。それと同時に、ねーさんの飛ばしたリングも命中した。リィナも同じ場所を狙って螺旋の拳でノートに触れると、内部からの爆発を起こさせる。更にクローディアも続き、御業を放ってノートを縛り付けていった。
「シヴィルちゃん、頑張ってなの!」
ミーミアがシヴィルの攻撃力を上げる。そして、シフォンはリィナ、フォン、そしてアルケミアに清らかな風を送って護りを固めた。
「君達も壊すの? 燃やすの? 僕の大切なものを奪うの?」
嘆きながらも、ノートは巨大な文字を出現させると攻撃に移るが、それをアルケミアが素早く動いてかわしていく。
隙が生れた所を、シヴィルの凍結の弾丸と思江のオーラの弾丸をノートのドリームイーターに撃ち込まれた。そして、タイミングを見計らって、フォンが設置しておいた見えない爆弾を爆発させる。更にクルルもタックルを喰らわせた。
瀬乃亜は涼香達にカラフルな爆破を起こして士気を高めさせた所でバスターライフルから光線をノートに撃ち込む。ねーさんも続いて思いっきり引っ掻いた。
「……ねぇ……教えて……? 今、どんな気分か……。私も、いっぱい知りたいの……」
リィナは甘く淫らな幻想をノートに見せながら、その隙を突いて強烈な一撃を喰らわせる。更にクローディアが御業を放って燃え上がらせた。
ノートのドリームイーターはアルケミアに翻弄させられている。
「おおおおおおおおおおおおぉぉぉォォオオっっ!!」
思江の咆哮が響き渡る。その咆哮の闘気にノートのドリームイーターは気おされた。それを見て、シヴィルが動く。
「カジャス流奥義、サン・ブラスト!」
シヴィルは重心を低く前傾体勢をとると、背中の翼で風を味方につけながらノートに向かって突進していく。その鋭い突進を受けて、ノートのドリームイーターは燃え去ったノートの様に、灰となって消えていったのだった。
●希望
キッチンの周りをヒールで直し、瀬乃亜は赤薔薇、ミーミアと共に孝太へとヒールを行った。
気が付いた孝太は、やはり落ち込んでいた。ドリームイーターの仕業だとはいえ、彼は大切な物を失ってしまったのだから、当然だろう。落ち込んでいる孝太に、ケルベロス達は、少しでも孝太に前を向いてほしくて、励ましの言葉をかけていく。
「……ぇと……孝太くん……? ……ノートは、燃えちゃった、けど……今まで、学んできた、技術や、思い出は、消えてないと、思うの……。……だから、そんなに、悲しまないで……? 今までの、努力は、ムダに、なってないと、思うから……」
何とか元気づけてあげたいリィナの言葉に、アルケミアも頷く。
「大切なのはノートだけじゃないでしょ? 今までのあなたの苦労も、苦悩も、努力も失敗も成功も、全部あなたの舌が、腕が覚えているはずだよ」
「大事な物を燃やされた気持ちは私には分からないけど……諦めずに今後もケーキを焼いて、理想の味を超えていってほしいな」
「1度は作ったものだ。菓子作りのことに詳しくない私がなにを言っても慰めにもならないかもしれないが、諦めなければいつかまた作れるさ」
「私は甘いものが好きです。あなたのレシピは、あなただけが作ることができるもの。これから先も」
涼香とシヴィル、そして瀬乃亜も優しく声をかける。
孝太は俯きつつ、一つ一つの皆の励ましの言葉に頷いた。
「……あのノートは……僕にとって、今までの努力の結晶……大切な宝物だ。……だからといって、もうお菓子作りを辞めたいとまでは思わないよ」
そう言ってから、孝太は両手を見つめる。
「……覚えてるかな、僕の手は……」
「料理ってなぁ生きモンだ。一度感じた理想だけに捕らわれねえで、次の味……いや、更なる味を探すことだってできるってもんさ!」
思江は励ましを込めて明るく声をかける。その言葉に孝太は頷いた。
「……そうだね。一つに括らずに……他を探すのも良いかもしれない」
そう言ってくれた孝太に、ケルベロス達はそれぞれ顔を合せて、優しく微笑む。彼が少しでも前を向いてくれて良かった。心からそう思うから。
「そういうわけだ、まずは気合の入れ直しに……パウンドケーキでお茶と行こうじゃねえか」
思江の言葉に、ミーミアがバスケットを持ちあげる。
「はーい! これはね、ミーミアが作った紅茶のパウンドケーキなの! みんな、お茶にするのよ!」
ミーミアは、まず、手伝ってくれた左近と昇にパウンドケーキを渡し、次に孝太、それから共に戦ったケルベロス達に配っていく。
「食べても良いかしら?」
紅茶のパウンドケーキに目を輝かせるクローディア。それに、ミーミアはにっこりと微笑んだ。
「勿論なの!」
その言葉に嬉しそうに笑ったあと、クローディアは早速、パウンドケーキを味わった。
「うーん、戦った後の甘いものは最高だね」
甘いものが大好きなアルケミアも顔を綻ばせている。涼香も膝の上にねーさんを乗せて、パウンドケーキを美味しそうに味わっていた。
先程まで、巨大なパウンドケーキと戦っていたが、やっぱり普通の大きさのパウンドケーキが一番だ。
「ミーミアさん、美味しいです」
「瀬乃亜ちゃん、ありがとうなの!」
嬉しそうな瀬乃亜にミーミアはにっこりと笑う。そして、フォンがクルルと分けて食べているのに気が付いた。
「フォンちゃん、どうしたの?」
「ん、クルルと分けて食べてるの」
「パウンドケーキなら、まだまだあるのよ? もう一切れあげるの! 食べきれなかったら持って帰ったら良いの」
「ん、ありがとうなの」
そんなフォンとミーミアのやり取りを微笑ましく見守る瀬乃亜と赤薔薇。
「みんなも、おかわりやお土産にして欲しいの! 遠慮しなくて良いのよ?」
ミーミアの言葉に、ケルベロス達も孝太も思わず笑みを零してしまった。
「とっても美味しかったわ、ありがとう♪ また今度作って貰いたいわ……なんて」
ふわりと微笑むクローディア。それに、ミーミアは笑顔で微笑んだ。
「勿論なの! 今度は孝太ちゃんとも一緒に作りたいの!」
「……僕? ……そうだね、今日のお礼になるものを作れたら良いな」
初めて孝太から『作る』という言葉が出てきて、皆は嬉しくなる。
「おう、楽しみにしてるぜ!」
思江は笑いながら、孝太の肩を軽く叩いた。
孝太はまた、お菓子作りを頑張ってくれるだろう。そう心から感じて、それがとても嬉しかった――。
作者:白鳥美鳥 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年9月27日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 1
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