校舎の屋上で屍猫又にゃー!

作者:秋津透

「ねぇ、あなた達、怪談話は好きかしら?」
 静岡県静岡市の某高校。放課後の教室で漫然とおしゃべりをしていた三人の女生徒に、いつの間にか近づいてきた不気味な少女が訊ねる。
「か、怪談話?」
「そうね、好きっちゃ好きだけど」
 女生徒たちが応じると、不気味な少女はうなずいて話を始める。
「じゃあ、教えてあげる。満月の夜、夜中の十二時ちょうどに、この学校の旧校舎の屋上に行ってごらんなさい。人の体に猫の頭をした妖怪猫又が、集会をしているのを見られるから。でも、猫又に気が付かれたら最後、覗き見をした人は八つ裂きにされてしまうから、注意することね」
「や、八つ裂き!?」
 それって、殺されちゃうってこと? と女生徒の一人が頓狂な声を出す。バカね、八つ裂きにされても生きてる奴がいたら、それこそ怪談よ、と別の女生徒が笑う。
「だけど、満月って、もしかして今夜じゃない?」
「旧校舎って、もうすぐ取り壊しじゃなかったっけ? 屋上登るどころか、入れないわよ、鍵かかってて」
 どういうこと、と、女生徒は少女に訊ねようとしたが、もはや姿がない。
「あれっ、今の子、どこいったの?」
「さあ……でも、今の話、ちょっと面白くない?」
 女生徒の一人が声を低くし、他の一人が呆れたように応じる。
「だからさー、旧校舎には入れないっつーの」
「だからよ。夜中に行ってみて、鍵がかかってたら、でたらめってことで終了だし、もしも鍵開いてたら……屋上行ってみてもいいんじゃない?」
 そんな物好きな、と、女生徒の一人は肩をすくめたが、もう一人は目を輝かせる。
「そうだね。鍵が開いてたら、調べればいいんだものね!」
「やれやれ……」
 肩をすくめた女生徒は溜息をついたが、それ以上、仲間を制止しようとはしなかった。

「自分の身近な場所で起きるという怪談話を聞いて、わざわざ実地検証に行ったことってありますか? そういう心理って、普通なんでしょうか?」
 一色・紅染(脆弱なる致死の礫塊・e12835)が、不思議そうに訊ねる。彼は少々普通でない生い立ちをしているので、そういう心理がよくわからないらしい。
 そして、ヘリオライダーの高御倉・康が緊張した表情で告げる。
「静岡県静岡市の高校で、セージ・ハッピーフォーエバ(サキュバスの風紀委員・e30800)さんの宿敵、ドラグナー『ホラーメイカー』が、屍隷兵と学校の怪談を利用して事件を起こそうとしています。『ホラーメイカー』は、作成した屍隷兵を学校に潜伏させた後、怪談に興味のある生徒に、その屍隷兵を元にした学校の怪談を話して聞かせ、怪談に興味をもった生徒が屍隷兵の居場所に自分からやってくるように仕向けているようです。何でそんなややこしい真似をするのかよくわかりませんが、今回は、三人の女生徒が引っかかってしまいました」
 そう言って、康はプロジェクターに地図と画像を出す。
「現場はここです。既に使われておらず取り壊し間近な旧校舎があり、そこの屋上に、複数の屍隷兵が潜んでいるようです。今から急行しても、現場に到着できるのは夜中十二時頃で、『ホラーメイカー』が女生徒たちに告げた時間ちょうどです。普通は、旧校舎には鍵がかかっていて入れないはずですが、その夜に限って、屋上に至るすべての鍵が開いています。おそらく、『ホラーメイカー』の工作でしょう」
 小細工をしているところから見ても、『ホラーメイカー』は現場の状況をどこかで窺っている可能性が高いです、と康は告げる。そのため、事前に学校当局や警察などに連絡して、女生徒たちを止めたり鍵をかけ直したりすると、屍隷兵が配置されなくなる可能性が高くなってしまう。
「深夜十二時に屋上に出現する屍隷兵は、五体。猫又型とでも言うのでしょうか。小柄な人間の女性……おそらく年端もいかない女児の頭を落として、代わりに猫の頭を繋いだものです。落とされた女児の頭は、下半身に据えられています。体力や腕力は普通の屍隷兵より低いようですが、俊敏でトリッキーな動きをするので注意してください。特に、現場に来てしまう三人の女生徒を屍隷兵の素早い攻撃から守るには、かなりの工夫が必要だと思います」
 飛行可能な方が三人以上いるなら、抱えて飛んで逃げてしまうのが確実かも知れません、と康は思案顔で告げる。
「なぜ、ドラグナー『ホラーメイカー』がこんな手の込んだ真似をするのか、わからない分不気味ですが、とりあえずは、女生徒たちが猫又屍隷兵の犠牲にならないよう、速やかな対処をお願いします」
 そう言って、康は深々と頭を下げた。


参加者
メリルディ・ファーレン(陽だまりのふわふわ綿菓子・e00015)
星詠・唯覇(星天桜嵐・e00828)
レーン・レーン(蒼鱗水龍・e02990)
アバン・バナーブ(過去から繋ぐ絆・e04036)
霖道・裁一(残機数無限で警備する羽サバト・e04479)
一色・紅染(脆弱なる致死の礫塊・e12835)
リチャード・ツァオ(異端英国紳士・e32732)
ラジュラム・ナグ(桜花爛漫・e37017)

■リプレイ

●ド派手に現場突入!
「危険な所に、自分から行くのは、不思議。でも……わざわざ、そう取り計らおうとするホラーメイカーも、不思議。……どちらも、どうして、そうするのでしょう、か……?」
 現場に急行するヘリオンの中で、一色・紅染(脆弱なる致死の礫塊・e12835)が心底不思議そうに呟く。
 すると霖道・裁一(残機数無限で警備する羽サバト・e04479)が、へらっと笑って応じる。
「まぁ人間にもデウスエクスにも、効率だけじゃなく趣味とかロマン求める人たちが居ますからね。このドラグナーもやり方に深い意味なく趣味説を推しますよ俺は」
「趣味……ですか」
 生きるために命を懸けて争うのならばまだわかるけど、趣味のため自分の命を危険に晒したり他人を殺したりというのは、僕にはわかりません、と、紅染は困惑した表情で首を横に振る。
 するとリチャード・ツァオ(異端英国紳士・e32732)が、どこか他人事のような調子で告げる。
「趣味が嵩じての殺人ねぇ。理解しがたいという気持ちもわかりますが、人間社会でも意外によくある話ですよ。まして、我らケルベロスに殺されない限り不死のデウスエクス、退屈しのぎに嵌った趣味に沿って定命の者をまわりくどく殺す……うん、いかにもありそうですよ」
「殺される方にとっちゃ、たまったもんじゃないけどな」
 憮然とした表情で、アバン・バナーブ(過去から繋ぐ絆・e04036)が唸る。
「しかも殺しに使う道具が、人の死体から作る屍隷兵……趣味で済まされる話じゃないぜ」
「とはいえ今回、悪趣味極まるドラグナーの尻尾を掴むところまでは、どうもいきそうにない。屍隷兵にされちまった者は救えないが、救える者は絶対に救ってみせるさ」
 ラジュラム・ナグ(桜花爛漫・e37017)が言い放った時、ヘリオライダーから降下予定点到達三分前の通知が入る。
「……えっと、こっちが降下すると同時に、女の子たちは猫又屍隷兵にでくわしちゃうのよね?」
 つまり普通に降下したんじゃ、着地した時は既に女の子たちは殺されてるかもしれない、と、メリルディ・ファーレン(陽だまりのふわふわ綿菓子・e00015)が、いつになく思いつめた表情で唸り、同族のオラトリオで飛行可能な星詠・唯覇(星天桜嵐・e00828)と裁一に告げる。
「悪いけど、二人とも付き合って。三人がかりで下向きに加速かけて超音速急降下する」
「えっ?」
 唯覇が目を剥き、裁一はにんまりと笑って訊ね返す。
「ほう? 自由落下では間に合わないと?」
「わからないけど、もし間に合わなかったら取り返しがつかない。最善を尽くすわ」
 言い放つと、メリルディは鋭い声で叫ぶ。
「降下口を開けて! 飛行可能者三名、予定点前で先行降下します!」
「了解」
 ヘリオライダーが短く応じ、ヘリオンの降下口が開く。そしてメリルディは、唯覇と裁一の腕を掴んで深夜の空へ飛び出した。
「……あれね」
 深夜の街を煌々と照らす満月の光を頼りに、メリルディは目標の旧校舎屋上へ向け、全力加速をかける。彼女と同レベルの裁一も、面白がっているような表情で加速をかけるが、少しレベルの低い唯覇はついていくのが精一杯で、腕を掴まれたまま空中を引きずられるような体勢になる。
「いやはや、無茶をしますね。ケルベロスでなかったら、大気との摩擦で燃え尽きてますよ」
「いーのよ。ケルベロスなんだから」
 全身を赤熱させ、メリルディは言い放つ。大気中を生身で超音速降下する三人のオラトリオは、流星のように輝き、轟音と衝撃波を放つ。
 その凄まじい接近は、屋上にいた五体の猫又型屍隷兵に当然ながら気づかれ、注意を惹く。校内から屋上に出るドアは、まだ開いていない。少女たちは、急に響いてきた轟音にびびったのだろうか。間に合った、と、メリルディはほっと息をつく。
「このまま突入するわよ!」
「……ふふ。唯覇、キミはどこに落ちたい?」
「ふ、ふざけてる場合かっ!」
 にやにや笑って尋ねる裁一に向け唯覇が怒鳴った刹那、三人は現場屋上に轟音とともに墜落、いや、着地した。
「まったく、こんな真似しても傷一つ負わないんですから、我が事ながらケルベロスというのは常識外れの怪物ですね」
「それはデウスエクスも同じこと。……そして屍隷兵もね」
 裁一の軽口に応じながら、メリルディは周囲を見回す。小柄で未熟な女性の身体に猫の頭を繋いだ異形、猫又型屍隷兵が五体、油断なくこちらの様子を窺っている。
 一方、校内から屋上に出るドアは、まだ開いていない。オラトリオたちの無茶な降下と着地で凄まじい音と震動が生じているので、女の子たちがびびって逃げていれば……と思ったのだがそうもいかず、おそるおそるという感じでドアが開く。
「出ちゃダメ!」
 メリルディが身を翻してドアへ走り、その背に猫又型屍隷兵の一体が襲い掛かる。だが、そこへ裁一が横から体当たりを仕掛けて阻む。
「猫と和解せよ……とはいうものの、これは猫なんですかね?」
「ニャアッ!」
 ふっ飛ばされた猫又型屍隷兵は、くるっと宙返りして着地し、不気味に光る目で裁一を見据える。
「フーッ!」
「どうも和解できる雰囲気ではありませんね……仕方がないから百万回デストロイしますか」
 百万回死んだ猫になって箱に収まってください、と、裁一は意味不明な呟きを漏らして身構える。そこへ、唯覇が駆けつける。
「女の子たちを逃がさないと! メリルディ一人じゃ無理だろ!」
「かといって、ここを下がったら押し込まれますよ。……下がらなくても阻めないかもしれませんが」
 用心深い動きで近づいてくる五体の敵を見回し、裁一は薄笑いを浮かべたまま応じる。唯覇も足を止め防戦に当たろうとするが、裁一の言う通り、二対五では完全に阻止するのは難しい。
 すると、上空からアバンとレーン・レーン(蒼鱗水龍・e02990)の二人が降下してきて、屋上に着地する。
「いきなり飛び出しやがって! 追いかける方の身にもなってみろ! こっちは飛べないんだぞ!」
「そういう文句は、首謀者のメリルディに言ってもらえますか」
 怒鳴るアバンに軽く言い返すと、裁一は唯覇に告げる。
「さあ、ここは、ええと……ドワーフの人に任せてメリルディの手伝いにいきましょう」
「こら! ドワーフの人じゃねえ! 俺の名はアバン・バナーブだ!」
 ぶんむくれながらも、アバンは一人で五体を相手取るべく、刀を構えて屍隷兵たちをぎろりと睨み回す。
 ところが、その時。
「純然羽ばたく 迫轟の雷よ。汝が咆哮にて 天雷紡ぎ 大地を穿て<ディープ・ツー>」
 やや斜めになる位置に降下したレーンが、両腕を変形して荷電粒子フィールドを形成する。いきなりというか何というか、オリジナルグラビティ『超収束荷電粒子砲・弐式(チョウシュウソクカデンリュウシホウ・ニシキ)』の発動である。
 そして、次の瞬間。強烈な電子ビーム状のグラビティが、五体の屍隷兵を一気に薙ぎ払う。
「やったか!?」
 激しい爆発と閃光を見やり、アバン、裁一、唯覇の三人が声を揃えたが、裁一だけは苦笑混じりに肩をすくめて続ける。
「まあ、お約束としては、やってないわけですが」
「確かに、まだこれからですけれども。まったくやってない、というわけでもないようですわ」
 両腕を元の状態に戻しながら、レーンが冷静な口調で応じる。さすがに全滅はしなかったものの、五体の屍隷兵のうち、二体が上半身を完全に吹っ飛ばされて斃れる。
 そして、崩れ倒れる下半身に、今は完全に死者の容貌となった女児の顔が埋められているのを見て、レーンは眉を寄せた。
「可哀想に……でも、もう苦しむこともないでしょう」
 何たる悪趣味、と呟きながら、レーンは残る三体の屍隷兵を見回す。
「あなたがたも、すぐに苦しみから解き放ちます。少し、待っていてくださいね」

●屍隷兵に引導と冥福を
「い、いったい、なにが、どうなって……??」
「わたしたちはケルベロス。屋上には、デウスエクスが造った怪物が、あなたがたを殺そうと待ち構えていたの」
 おそるおそる屋上に出てこようとした三人の女生徒を旧校舎内へ押し返しながら、メリルディが口早に告げる。
「わたしたちの仲間が闘っているけど、怪物の数が多くて。何かのはずみで、こっちへ突破してこないとも限らないわ。すぐに下がって」
 そう言って、メリルディは続けざまに爆発音が響いてくる背後をちらりと見やる。
「予定では、わたしとあと二人、あなたがたを抱えて飛んで逃げるはずだったんだけど、足止めされちゃってるのかな……」
「いや、大丈夫だ。予定通り飛行して脱出しよう」
 そう言いながら、唯覇がドアのところへ駆けつけてきて、その後に裁一も続く。
「どうもケルベロスです。怪しいサバト服ですけど正義の味方なので安心を」
「は、はあ……」
 恭しげに自己紹介(?)する裁一に、女生徒たちはあっけにとられた表情になる。
 そして唯覇が、少々強引に女生徒の一人を抱え込む。
「急いで脱出するぞ! しっかりつかまっていてくれ!」
「は、はい……」
 何が何だかわからないながらも、女生徒はイケメンの唯覇にぎゅっとしがみつく。続いてメリルディと裁一もそれぞれ女生徒を抱え、いったん旧校舎の階下へと飛行、非常口から外へ飛び出る。
(「……この子たちはリア充ではない。彼氏とかと一緒に来たなら許し難いが、女の子三人だけで夜中の旧校舎に来るということは、頼れる男友達はいないということだ。故に、救助に値する!」)
 女生徒を抱えて飛行しながら、さすがに声には出さずに裁一は呟く。まったく、どこが正義の味方なんだか。
 そして三人は、旧校舎から出て幹線道路近くに着地する。
「わたしたちは戻って、闘ってる仲間と合流するけど、あなたがた、ここからなら家に帰れる?」
「は……はい……」
 半ば呆然として、女生徒たちはうなずく。もちろん、突入してきた時のような無茶苦茶はやっていないが、それでもごく普通の一般人にとって、オラトリオに抱えられて夜空を飛ぶというのは、何というか、非常に非現実的な感じのする体験のようだ。
 そして、女生徒たちが我に返ってあれこれ言いださないうちに、三人は急いで旧校舎屋上の現場に飛んで戻る。
 しかし、その時にはもう、事は終わっていた。

 状況は少し戻って、レーンが強烈な一撃で二体の敵を斃した直後。
「当たれば潰せる……ってことか」
 むしろ沈痛な声で呟き、アバンが踏み込んで刀を振るう。屍隷兵は猫じみたトリッキーな動きで躱そうとするが、新人ならいざ知らず、百戦錬磨のアバンにはそんな小細工は通じない。
「たあっ!」
「ギャアッ!」
 刃が弧を描き、屍隷兵の喉笛を的確に斬り裂く。首を刎ねるほど深い斬撃ではなかったが、傷口から大量の濁った血が噴き出し、その圧力に押されるような感じで、猫の頭が胴体から離れる。
「フム……」
 リチャードが軽く目を細め、念を集中させる。
「猫は九の命を持っているといいますが、それにしてはずいぶんとあっけない……まあ、屍隷兵にされた時点で、命は尽きているとも言えますが」
 ある意味、猫も女児と同じく犠牲者ですよね、と、呟きながら、リチャードは集中した念を爆発させる。しかし、間一髪で屍隷兵は大きく身を避け、念の爆発は空振りに終わった。
「……当たらなければどうということもない、ですかね」
「ならば……当てます」
 そのためのスナイパーです、と、呟いて、紅染がオリジナルグラビティ『悪夢に魘されし狂神(ヌギル・コーラス)』を発動させる。
「意識、代行」
 狂える神よ、歪んだ趣味が生んだ偽りの命を砕け、と、暗い眼差しで呟き、紅染はリチャードの念波を躱した屍隷兵に、網をかぶせるような感じで黒い影を投げかける。
「ギャーッ!」
 狂える神の邪悪な影に蝕まれ、屍隷兵の身体が木っ端微塵に砕ける。邪悪な狂気を以て悪趣味を制す、ですか、と、リチャードは肩をすくめる。
 そしてラジュラムは、オラトリオたちが入っていったドアを一瞥すると、最後に残った屍隷兵に視線を向ける。
「怪談に釣られた一般人は、無事に逃げたか。じゃあ、さっさと終わりにしよう。こんな形になってしまう前に救えず自責の念に堪えんな」
「キシャーッ!」
 威嚇の叫びをあげ、屍隷兵は大きく跳んでラジュラムの頭を蹴ろうとする。その足の爪に、愛刀「楽来」の刃をぶつけるようにして弾くと、ラジュラムはそのまま、屍隷兵の胸元に雷撃の突きを入れる。
「ギャーッ!」
 猫の頭が、苦悶の叫びをあげる。下半身に据えられた女児の顔の口から、ごぼっと血が溢れる。
 そして屍隷兵は、そのまま屋上のコンクリート床の上に倒れ、動かなくなった。
「確かに、あっけない……まあ、長く苦しめたくもないけどな」
 呟くと、ラジュラムは手持ちの酒を屍隷兵の亡骸に振りかける。自分が倒した個体のみならず、レーンのビーム砲撃で上半身をふっ飛ばされた二体、アバンの斬撃で首が落ちた一体、そして紅染が召喚した狂神の邪悪な影に、微塵に砕かれた一体の肉片にも、まんべんなく酒を振りかける。
「今の俺に出来るお前さんたちへの手向けだ、成仏してくれ」
 呟くと、ラジュラムは地獄化した右目から桜色の炎を飛ばした。何か呼応する成分でも入っているのか、酒はたちまち燃え上がり、屍隷兵の亡骸を焼き尽くした。

作者:秋津透 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年9月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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