ミッション破壊作戦~番犬たちのレゾンデートル

作者:柚烏

 夏の名残も次第に失われていき、透き通るような空が秋のものへと変わる頃――涼しげな風が吹きつけるヘリポートでは、エリオット・ワーズワース(白翠のヘリオライダー・en0051)が任務についての説明を行うべく皆を待っていた。
「これまで、何度も行われているミッション破壊作戦だけど……再使用可能になったグラディウスがあるから、今回も作戦を行うことになったよ」
 そう告げたエリオットは、先ず確認ついでにグラディウスについての説明をする。光る小剣型の兵器であるそれは、通常の武器としては使用出来ないのだが――『強襲型魔空回廊』を破壊する事が可能なのだ。故にグラディウスを使えば、デウスエクスの地上侵攻に大きな楔を打ち込むことが出来るだろう。
「一度使用すると、再使用までかなりの時間が掛かるのが難点だけど……幸いにして、こうして時期が訪れたから」
 そう言ってふわりと微笑むエリオットは、今回向かう戦場はビルシャナの制圧している地域になると告げた。その中で何処へ向かうのかは、現在の状況などを踏まえて皆で相談して欲しいのだ、と。

「強襲型魔空回廊があるのは、ミッション地域の中枢となるから、通常の方法で辿りつくのは難しいんだ。だから、ヘリオンを利用した高空からの降下作戦を行うことになるよ」
 続けてエリオットは、作戦についての説明を行っていく。この周囲は半径30m程度のドーム型のバリアで囲われているのだが、これにグラディウスを触れさせれば大丈夫だ。なので高空からの降下であっても、充分に攻撃が可能なのだと言う。
「そして……ケルベロス全員が、グラビティを極限まで高めた状態でグラディウスを使用して、回廊に攻撃を集中すれば。場合によっては一撃で、強襲型魔空回廊を破壊することも可能なんだよ……!」
 ――もし一回の降下作戦で破壊出来なくても、ダメージは蓄積する為、想いは決して無駄にはならない。そうして最大でも10回程度の降下作戦を行えば、強襲型魔空回廊を確実に破壊する事が出来る筈、とエリオットは頷いた。
「それと、周囲には強力な護衛戦力が存在するんだけど、高高度からの降下攻撃を防ぐ事は出来ないから安心してね」
 と言うのも、グラディウスは攻撃の際に雷光と爆炎を発生させるのだ。これはグラディウスを所持している者以外に無差別に襲いかかるため、防衛を担っている精鋭部隊であっても防ぐ手段は無い。
「その隙に皆は、雷光と爆炎によって生まれた煙幕を利用して、その場から急いで撤退を行って欲しいんだ」
 貴重な武器であるグラディウスを持ち帰る事も、今回の作戦の重要な目的となる。しかし、ある程度の敵は攻撃の余波で無力化出来るだろうが――完全に無力化するとまではいかないので、強力な敵との戦闘は免れないだろう。
「幸い、混乱する敵が連携をとって攻撃を行ってくることはないから、素早く目の前の強敵を倒して撤退出来るようにしてね」
 もし時間が掛かりすぎて、脱出する前に敵が態勢を整えてしまった場合――降伏するか暴走して撤退するしか無いかもしれない。けれどそれは、本当に最後の手段にして欲しいとエリオットは願っているようだった。
「デウスエクスの侵攻は続いているけれど……皆のお陰で、これまでに数多くの地域が解放されてきた」
 その基となったのは、光の剣は勿論だが――ケルベロス達ひとりひとりの強い気持ちが大きいだろう。
 何故戦うのか。己と向き合いながら、その自分なりの答えを光の刃に乗せてぶつけるのも良いかも知れない――エリオットはそう締めくくってから、秋空の下でヘリオンの準備に取り掛かっていった。


参加者
イェロ・カナン(赫・e00116)
リラ・シュテルン(星屑の囁き・e01169)
オペレッタ・アルマ(オイド・e01617)
辰・麟太郎(臥煙斎・e02039)
大成・朝希(朝露の一滴・e06698)
輝島・華(夢見花・e11960)
ザンニ・ライオネス(白夜幻燈・e18810)
ダリル・チェスロック(傍観者・e28788)

■リプレイ

●子どもたちの学園へ
 光の剣――グラディウスを携えて、ケルベロス達は支配された地の解放を目指す。此度彼らが向かう先は福井市に在る『子どもたちの学園』で、其処ではビルシャナの企む計画が、着々と実を結びつつあったのだ。
「全ての元凶、マグス・ヴェーザー……」
 ――それは『学園』とは名ばかりの、洗脳教育を施しビルシャナへと造り変える為の施設だった。復讐や憎悪と言った負の感情を利用された子どもたちは、新たな子どもたちを生み出す力と意志を受け継ぎ――そうして悲劇は延々と続いていく。
「私も本当の両親は分からず、今の両親に拾われました。私は幸いにも、大事に育てられましたが……」
 沈痛な面持ちで眼下の学園を見つめる輝島・華(夢見花・e11960)は、其処に窮状にある子どもたちが集められていること――そして彼らの辿る運命を思い、思わず言葉を詰まらせた。けれど薄紫色の三つ編みを揺らして深呼吸をすると、華は気持ちを切り替えるようにふんわりと微笑む。
「それでも今回、イェロ兄様やザンニ兄様たちと戦えることは、とても頼もしいです」
 以前も依頼で共に戦った、ザンニ・ライオネス(白夜幻燈・e18810)――彼もまた、親の顔を知らない捨て子だったのだと言う。しかしそんな過去をおくびにも出さず、ただザンニは赤銅色の髪をかき上げるのみ。
「ああ、けど小さな子供がこうして歪められていくのを見ると、なんとも苦い気持ちになるな……」
 一方で、敵地を眺めるイェロ・カナン(赫・e00116)の甘やかな佇まいには、微かに苦みが混じっていた。グラディウスを振るう――その為には魂で叫べと言うなら、彼にも想うところはあるもので。それは空虚な記憶を抱えるダリル・チェスロック(傍観者・e28788)も、同じであるようだった。
(「……何故かは分かりませんが。子供が虐げられているなら、戦わずにはいられない」)
 ――彼の女性や子供に甘い性分は、もしかしたら失った記憶の残滓が影響しているのかも知れない。そして厳つい竜面をしかめる辰・麟太郎(臥煙斎・e02039)も、子供を慈しむもののひとりだ。
「こんな世の中だからこそ、俺は戦いで割を食わされる子供がいることが我慢ならねぇ」
 着物の懐から取り出した煙管を咥え、荒々しく告げる彼は恐らく、そんな光景を何度も目にしてきたのだろう――強面な自分を見て子供に泣かれた哀しみは、取り敢えず置いておくことにして。
(「どうして、『これ』がここにあるのでしょうか」)
 と、そんな義憤に駆られる麟太郎たちの勇ましい姿を見て、オペレッタ・アルマ(オイド・e01617)は静かに思考する。彼らのココロに触れ、魂の叫びに賭ける意気込みを知れば知る程――自分は、それすらも分からないのだと気付いたから。
(「何故、なぜ……戦うのか」)
 ――ココロを得てレプリカントへと変じた少女には、確かな自立の萌芽が窺えた。けれどその手足は、未だ繋がれた儘の人形のよう。
「……彼らはきっと、もっと明るい日の下で世界を見つめていられたかもしれない子達で。幸せに、なれた筈だから」
 そんなオペレッタの逡巡に気付いたのか、大成・朝希(朝露の一滴・e06698)はゆっくりと、自身に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「もしそれが自分だったら、僕の友達だったら……そんな悍ましい想像をするまでもなく、悲しいし悔しい」
「苦しい、悲しい――」
 朝希の言葉は、その名の通り朝露の一滴の如く、オペレッタの裡に染み込んでいった。それはどのようなココロなのか、と――彼女が問うよりも先に、朝希は揺るがぬ意志を宿した瞳でグラディウスを握りしめる。
「だから困難だって知っていても、降下の瞬間の思いは『絶対にぶっ壊す』――それだけでいいんだ」
 ええ、とその言葉に頷いたリラ・シュテルン(星屑の囁き・e01169)の手にも、光輝く剣が握られていた。一途な願いを抱きしめた少女は、しなやかな黒猫を伴いながら、ビルシャナによる洗脳施設を確りと見据える。
 ――ありとあらゆる痛みに、癒しを。その為ならば自分は、ちょっぴり強がってでも精一杯この手を伸ばそう。
「往きましょう、すべてのものを、救うために。――がんばろう、ね、ベガ」

●我思う、故に
 やがて戦場の上空に辿り着いたヘリオンから、高空からの降下作戦が開始された。降下攻撃のタイミングを揃えるべく、皆に声掛けを行いつつ先陣を切ったのはザンニだ。
「地球を守るのがケルベロスのお役目。侵攻するデウスエクスを一体でも多く退けて平和な場所を取り戻すのも、いま此処にいる自分たちにしか出来ないことっす!」
 ――だから、邪魔をする壁はこの一撃でさっさと取り払ってしまおう。そう告げた彼に続いて、グラディウスを構えた華も大空へと身を踊らせる。
「困っていた子供達を利用して、あんな姿に……。まだ選べる未来も沢山あったはずなのに……絶対許せません」
 彼女の行く手に迫る『子どもたちの学園』――それは、この地を脅かす忌まわしき実験場だ。
「もうこれ以上、貴方達の思い通りにはさせません! グラディウス……私に力を貸して下さい!」
 不幸な目に遭う人達を減らす――それが自分の存在理由なのだと、華は思っている。一人前のレディを目指す彼女を子供に含めるのは悪いのかもしれないが、麟太郎は希望に溢れる子供たちの未来を、守りたいと強く願っていた。
「ガキが戦いの道具にされる光景だけは、二度と見たくねぇと思っていた。今は迷いも無ぇ、憂いも無ぇ」
 だが――と麟太郎は其処で、学園を睨みつけながらグラディウスを振りかざす。
「この行いは何があっても購ってもらう。テメェのツラ憶えたぜ、クソッタレの鳥ヤロウ……!」
 大気をびりびりと震わせる彼の怒号を聞きながら、イェロはそっと鼓動の上をなぞり、その手にある光の剣を見つめていた。
「空の上から見てみれば、歴史ある場所の多いこと。……だってのに、子どもたち囲って学ばせるのが、こんな事?」
 胸の内の熱ならある。けれどそれがグラディウスに伝わるだろうか、と思ったのは杞憂だったようだ。イェロの口にした言葉は次第に熱を帯び、それは胸の鼓動と重なるようにして――空へと響き渡っていく。
「復讐ばかりが、生きる理由じゃ寂しいもんだ。一分一秒永らえて、違った道もあるんだと――識るべき所じゃないとな、学園ってのは」
 ――熟れた果実の色をした瞳が、復讐と口にした時ほんの僅かに、翳りを帯びたけれど。あの壁を貫くまで届くだろうかと願いを抱きながら、イェロは輝きを増した刃を振りかざした。
「自分たちの降り立つ地くらい、取り返さなきゃな。邪魔なもの、早いトコ取っ払わせてもらおっかね!」
「そう、復讐以外にも、たくさん、こどもたちの未来はあった、はずなのに」
 そんな魂の叫びに呼応して、リラの手の中のグラディウスも眩い光を放つ。陽光の中で煌めく星屑のように、刃を振るう軌跡は何処までも美しく――。
「もしかしたら、今よりずっと、幸せな未来があったかも、しれないのに」
 そんな可能性を摘み取ってしまった『子どもたちの学園』目掛け、リラも懸命に己の想いを叩きつけた。
「大切なこどもたちの未来を、護り、たい。もう、これ以上、奪わせません……ッ!」
 一方で、ダリルは酷く冷静に現実を捉えているようだ。貴様たちをひとりふたり倒したところで、救われるこどもの数などたかが知れているのかもしれないと――そう呟く彼の冷えた語り口には、しかし隠しようもない怒りが滲んでいた。
「だが、だからと言って見過ごす事など出来ない」
 ――止める、この地で起きる全ての不幸を。犠牲しか生み出さないこの回廊を破壊し尽くす。例え今回為せぬとしても、何度も、何度も繰り返しであったとしても。強い決意を魂の叫びに変えて、ダリルの光は真っ直ぐに回廊を目指していく。
「これ以上子供たちに不幸な犠牲は出さない、否、出させない! そして捻じ曲げられてきた彼らに魂の自由を……!」
 そして更に朝希が、其処へ想いを重ねるようにして光の剣を突き立てた。先達への深い憧憬と敬意を胸に、彼らの切り拓いた道を受け継ぎ――さながら大樹が枝を伸ばすように。
「本当なら拭ってあげられたかもしれない。子供達の不運と悲哀を。だけど、こんな狂気に造り替えてしまうなんて……僕は絶対許したくない!」
 ――皆の叫びは余りにも強く、その言の葉が大気に溶ける度に、きらきらと輝いているよう。未だココロの全てを理解出来た訳ではないけれど、オペレッタは仲間たちに背を押されるようにして空へと飛び出した。
「……『これ』にもわかります。彼らがノゾミ、ほっした救いはことなると。これは、まるで――……人形のよう」
 ――人形、と。かつて己をそう称していた少女は、訥々と想いを言葉へと変えていく。そう、それは『救い』ではなく、それは『暴力』とたがわない。彼らのココロは、上書きされ消去されて――嗚呼、だとしたら、かつての自分も。
(「そんな、ことは――」)
 思考にノイズが混じる中で、オペレッタは己のココロが呼んでいるのを感じていた。そうあるべきと、番犬として『ただしい』ことを――そんな彼女の唇から零れたのは、誰に命じられたのでもない、彼女自身が選んだ言葉だ。
「ゆえにこの地を、破壊します。解放します。われわれの手で。すべて、すべて」
 それが、思考の末にオペレッタが出した答え。それが『これ』の――ここにある理由。
「……『これ』が、ここにいる、意味」
「元には戻せないけど、復讐者の学び舎……その根を断ち切る為に。怒りと願い篭め――穿つ!」
 光は更なる光を呼び、オペレッタの翳した刃に朝希の叫びが重なっていく。見れば華も、すべてをぶつけるつもりでグラディウスを思いっきり叩きつけ――直後、八つの剣が放った雷光と爆炎は障壁を砕き、その切っ先は魔空回廊を真っ直ぐに貫いていた。

●子どもたちの行く末
 辺りに噴煙が立ち込める中、地上に降り立った一行は繰り出した光の剣に確かな手応えを感じていた。やがて切れ間から確認出来たのは、破壊され跡形もなく消滅した魔空回廊の存在だった。
「やった……!」
 これでもう、ビルシャナはこの地を支配する手段を失った――今回は足りなくても、元凶に辿り着くまで何度でも挑んで見せると決意していた朝希は、自らの手で解放出来た喜びを噛みしめているようだ。
「これも、先に挑んでくれた皆さんが居てくれたからこそっすね」
 素早く起き上がったザンニが見つめるのはダリルで、再度作戦に挑むこととなっていた彼は、目深にシルクハットを被り直しつつ無言で頷いた。
「さて、後は急いで撤退するのみってね」
 回廊破壊で敵が浮足立っているのを横目に、長居は無用とばかりにイェロが駆け出す。しかし、其々がグラディウスを懐へ忍ばせ、学園を抜け出そうとした所へ現れたのは――ビルシャナ、マグス・ヴェーザーの子どもたちのひとりだった。
「……アナタは嘗て、『何』とよばれておりましたか?」
 オペレッタの静かな問いかけに反応すること無く、ビルシャナはちりん、と尾に絡まる白き鐘を鳴り響かせる。その音色が耳朶に触れると同時、胸の辺りがざわつき――まるで擽られたように、厭な軋みを立てた。
「なんて、つめたい音でしょう」
 ――ああ。覚えがあって、しらない筈のこの感覚は、寂しいと呼べるものなのかも知れない。今ならば心が凍り付くと言う気持ちも分かるような気がしたが、あの音色に囚われてしまえば全てを失ってしまうだろう。
「忘れるな。俺達の目的は、無事にこの地から脱出すること……!」
 仲間たちに檄を飛ばした麟太郎は、早期に決着をつけるべく己の役目を果たそうと動いた。目の前に居る子どもが二度と増えないように願いながら、彼は光輝く粒子を放出して味方の覚醒を促していく。
 ――相手は格上、強化型が相手だと見越したうえで、一行はそれに対抗する為の作戦を確りと組み立てていた。
 先ず此方の攻撃を当てる必要があるのだと、後方からイェロとオペレッタが狙いを定め――流星の如き蹴撃と不可視の障壁が、立て続けに敵の足取りを鈍らせる。
「まだ、当たらない……っ?!」
 その間にも華が斬り込んでいくが、卓越した達人の一撃をビルシャナは回避した。ならばとダリルは初手で粒子を操り、麟太郎に続いて狙いを研ぎ澄ますことに集中する。
(「落ち着いて、これは撤退戦なのですから」)
 つい衝動の熱を帯びた武器を振るいそうになるのを抑えながら、ダリルは努めて冷静さを保ち――白鐘と黒笛を巧みに操るビルシャナの攻撃からは、朝希の操るドローンが仲間たちを守護していった。
「これなら、何とか……」
 しかし、聖者の火をともし治癒の力を高めた彼でも、その全ての傷を癒すことは叶わない。其処へウイングキャットのベガと共に、星屑を纏うリラが優しい福音を響かせて癒しの手を差し伸べる。
「洗脳など、される前に、気付いてあげられたら、よかった。窮状を、救ってやれたら、よかった、ね」
 ――目の前の『子どもたち』は最早、マグス・ヴェーザーそのものに造り替えられたのだろう。それでも今はただ、これ以上の悲劇を生まぬように戦うことが最善なのだと、リラは信じて力を行使する。
「……しまっ、た!」
 が――やはり敵は強力だった。光の盾を具現化し、守りを固めつつ戦っていたザンニが、黒き笛の音を浴びて昏倒した。前線で皆の盾となっていた彼が落ちたのを受けて、イェロが急いで前に出る中――華は重力の鎖を叩きつけて、ビルシャナの加護を打ち砕く。
「もしもの時の覚悟は出来ています。全員で帰るのが無理そうでも、皆様はどうか待っている人達の元へ……!」
「いや――戦線を最後まで保って、必ず全員で帰ります!」
 しかし最後の手段を選択肢に入れていたのは、そう叫んでかぶりを振った朝希も同じ。そうして麟太郎の付与が十分に行き渡った所で、遂にダリルの雷鎖がビルシャナを貫いた。
「もう二度と、このような存在が現れないように……」
 ――篭めたのは殺意とは違う、祈りにも似た思いの丈。破壊の鳴が高らかに響く中で、マグス・ヴェーザーの子どもたちはゆっくりと消滅していった。

 増援が現れる前に片を付けた一行は、学園から脱出した所で大きく息を吐く。
「……まだ救える『子どもたち』も、どこかにいるんでしょうか」
 そう呟く朝希は、この悲劇の連鎖が早く止まるようにと願っているようで。その中でリラは、そっと瞳を閉じて子どもたちの安息を祈っていた。
「――こどもたちよ、おやすみなさい。せめて最後は、優しい夢であるように」

作者:柚烏 重傷:ザンニ・ライオネス(白夜幻燈・e18810) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年9月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 2/素敵だった 8/キャラが大事にされていた 0
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