鎌倉ハロウィンパーティー~夢の夜を求めて

作者:東山ぱんだ

「お兄ちゃん、今夜はハロウィンパーティーだよっ! 一緒に行こうね!」
「……」
「パーティー、とっても楽しみだね!」
「……ぐふう」
「お兄ちゃん、今夜はハロウィンパーティーだよっ! 一緒に行こうね!」
「……」
 明かりを落とした部屋の中で、唯一、テレビの画面だけが光を放っている。
「パーティー、とっても楽しみだね!」
「……」
 ガシャンという音とともに、テレビにゲーム機のコントローラーが投げつけられ、画面に無数の亀裂が入る。
 画面の前にいた男は、恋愛シミュレーションゲームで遊んでいた……というよりは、ハロウィンに自宅でひとりゲームをするしかない自分を慰めていたのだった。
「ちくしょう、会話のパターンは2つだけかよ! こんなゲームじゃ満たされねえよ!」
 その時。突然、テレビと男との間に、赤い頭巾を被った少女のような格好のドリームイーターが現れた。
「う、うわあああああああ!」
 腰を抜かし、おびえる男。
 少女は冷淡な表情を浮かべたまま、手に持った鍵で男の心臓を突き刺す。
「ハロウィンパーティーに彼女と参加したい……ですか。その夢、かなえてあげましょう。世界で一番楽しいパーティーに参加して、その心の欠損を埋めるのです」
 男は意識を失い、そのまま動かなくなった。そしてその側に、カボチャのマスクにモザイクの体、その上にマントを羽織ったような格好のドリームイーターが姿を現した。
 
「皆さん、ハロウィンの日に大変なことが起こりそうっす!」
 ヘリオライダーの黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)は、焦りを隠せない様子で予知の内容を語り始めた。今回の事件は、もともと、藤咲・うるる(サニーガール・e00086)が調査していた案件であった。
 ダンテによると、日本各地で、ドリームイーターが暗躍しはじめているらしい。ドリームイーターは、ハロウィンのお祭りに対して劣等感を持っている人を狙い、新たなドリームイーターを生み出しているのだと言う。
 生み出されたハロウィンドリームイーターたちは、ハロウィンパーティーの当日、一斉に動き出す。ハロウィンドリームイーターが現れるのは、世界で最も盛り上がるハロウィンパーティー会場、つまり、鎌倉のハロウィンパーティーの会場とのことである。
「皆さんには、ハロウィンパーティーが開始する直前までに、ハロウィンドリームイーターを撃破して欲しいっすよ」
 予知によると、ハロウィンドリームイーターは、パーティーが始まるのと同時に現れるらしい。
「そこで、こちらからハロウィンドリームイーターに罠を仕掛けるって話っす。つまりっすね、ハロウィンパーティーが始まる時間よりも早く、あたかもパーティーが始まったように、楽しそうに振る舞うんっす。そうやって、ハロウィンドリームイーターをおびき出そうって作戦っすよ!」
 今回の作戦地点は屋外のパーティー会場であり、戦闘には十分な広さであると言う。また、周囲にはカボチャをくり抜いて作ったランタンなども数多く飾られているため、戦闘時に、明かりを用意する必要もないらしい。
「ハロウィンドリームイーター自体は、パーティーの日、いろんな場所に現れるみたいっす。でも、この作戦地点には1体しか現れないっすから、その点は安心してもらって大丈夫っすよ!」
 そこまで語ったところで、ダンテの表情が一気に真剣味を帯びる。
「ただ、注意してほしいことがあるっす。お祭りなんで、周囲に一般人がいる可能性は高いっす。避難誘導だけは、しっかりお願いするっすよ! せっかくのパーティーっすからね、みんなで楽しく始められるように、何としてもハロウィンドリームイーターを倒してほしいっす!」


参加者
猿・平助(申忍・e00107)
シェリアク・シュテルン(エターナル主夫・e01122)
秋芳・結乃(地球人のガンスリンガー・e01357)
ロジャー・バートン(ジャイアントキラー・e02233)
ミセリア・アンゲルス(オラトリオの自宅警備員・e02700)
月乃・静奈(雪化粧・e04048)
真上・雪彦(死狂い狼・e07031)
鈴原・ティナ(武装野良メイド・e10234)

■リプレイ

●偽りのパーティー
「これでよし、と」
 幽霊の仮装をした月乃・静奈(雪化粧・e04048)が、満足そうな笑顔を浮かべている。静奈は、パーティー会場に多くの客がいるように偽装するために、仮装したマネキンをたくさん用意していた。陰陽師の衣装に身を包んだ真上・雪彦(死狂い狼・e07031)も静奈を手伝っていたのだが、『最後の1つ』を前に、2人は顔を見合わせるしかなかった。
「あとは、これ……ですねえ」
「どうすんだよ、これ?」
 そこには、手押しの台車に乗せられ、三角座りで震えているシェリアク・シュテルン(エターナル主夫・e01122)がいた。
「無理だ……なぜ我はこんなリア充空間に来てしまったのだ……」
 シェリアクが自宅で魔王っぽい仮装をしていた時は、普段しまっている地獄の翼を出したり、角も付けたりして、それなりに楽しいと思えた。しかしそれは自宅だったからだ。
「いやはや、筋金入りの自宅警備員だな……」
 震えるシェリアクを前に、雪彦も静奈も、すっかり困り果てている。
 そんな3人のもとに、周辺の人払いをしていた猿・平助(申忍・e00107)がやってきた。静奈は、平助がいつも不愛想なのでこういう場に馴染めるか不安だった。しかし当の平助は、ロビン・フッドをモデルにした緑の服できっちり仮装していて、意外にも乗り気な様子だった。
「そっちはどうだい?」
「それが、見てのとおりです……」
 静奈の指さした先には、台車で震えるシェリアクがいた。
 平助が、何かを思いついた様子で台車に近づく。
「あー、じゃあこうしてみるか?」
 そう言うや否や、取り出した電飾コードをシュテルンにぐるぐる巻き始める平助。
 静奈は思わず苦笑する。
「平助さん、さすがにそれは……」
「いや、超目立って盛り上がってるって、ふざけてないふざけてない。じゃ、後は任せたぜ」
 そう言い残して去っていく平助。後に残されたのは、苦笑する静奈と雪彦、そして絶賛ライトアップ中のシェリアクだ。
 その時、シェリアクのスマートフォンに連絡が入った。
「む……! これは!」
 シェリアクは急に立ち上がって電話に出る。取って付けたような堂々とした態度で話し始め、次に必死で何かを主張し、最後は無理に高笑いして電話を切った。
 恐る恐る、静奈が尋ねる。
「あの……いまのは?」
「ふっ、我が妹からの電話だ」
「はあ……」
 雪彦は、何となくこの状況を把握した。
「どうやら妹に励まされると元気になるようだな」
「ある意味、便利な性格ですね……」
 動けるようになったシェリアクに、雪彦と静奈は胸をなで下ろした。
 一方、テーブル周辺では、秋芳・結乃(地球人のガンスリンガー・e01357)が料理を並べていた。結乃は特に仮装を意識していなかったが、聖職服にバスターライフルという、ある種の人々の好みを直撃しそうな格好をしている。テーブルに並んだのはパンプキンパイにカボチャグラタン、そしてカボチャのサラダ。結乃が前の日から用意した、カボチャづくしのメニューである。
 その側では、黒の服に蝙蝠羽と尻尾つけた悪魔っ娘という、いかにもハロウィンらしい衣装のミセリア・アンゲルス(オラトリオの自宅警備員・e02700)が、お手製のカボチャのクッキーなどのお菓子を並べている。
 鈴原・ティナ(武装野良メイド・e10234)も、いつものメイド服をツギハギ仕様に変え、腕や首に包帯を巻いてゾンビのメイドに扮している。テーブルにカボチャのケーキやマフィンを並べる姿は、普段のプロのメイドを体現したかのようなティナとは違い、どこか楽しそうな雰囲気を漂わせていた。
 ロジャー・バートン(ジャイアントキラー・e02233)は、ステージ奥に設置されたDJブースにいた。ただ、DJブースを使うには少し身長が足りないので、椅子の上に立っているのはご愛敬だ。
「今時のパーティー会場にはこういうのもあるのか! 便利だな!」
 ロジャーは、ヘッドフォンを耳に当てながら、雑踏や歓声などの環境音を流して客が大勢いるように偽装する。ウサギのDJというシチュエーションが、ハロウィンらしい、ファンタジックな演出にも一役買っていた。
「今夜のダンス・ナンバー1曲目、行くぜ!」
 ロジャーの合図とともに花火が上がり、偽りのパーティーが始まる。ロジャーはピエロの仮装でライドキャリバーに乗り、拳銃4丁を使ってジャグリングしながら雰囲気を盛り上げる。
 静奈と雪彦は、マネキンの間を縫う様に華麗に舞っている。
「ハッピーうらめしや~、です♪」
 静奈が必殺技『雪花雪化粧』で雪の結晶を降らせ、雪彦がパーティー用に用意した、蝙蝠の形の紙兵が中空を乱舞する。
「雪彦さん、けっこうお上手なんですね」
「適当に回ってるだけだぜ?」
 雪彦は笑顔を浮かべて謙遜したが、その足取りは軽やかだ。
 そんな2人を見ていた結乃も、我慢できずにダンスに加わった。
「ハロウィンドリームイーターがでてくるまでは、めいっぱいたのしまないとねっ!」
「ええ、結乃さんもご一緒に!」
 和装の2人と重装シスター。この少し不思議な組み合わせが、いかにも仮装パーティーらしい風情を演出していた。
 ティナと平助も、作戦どおりにダンスを始めた。簡単なステップで、ゆっくりと、音楽に乗せて踊り始める2人。しかし忍術修行に明け暮れていた平助には、これが予想以上の難関だった。
「女子とダンスは役得かと思ったが、難度高いなおい……!」
 ティナは平助の手をとり、ステップを教える。しかし、平助の動作は全体的にぎこちない。ただでさえ仏頂面の平助の表情が、さらに固くなっていく。
「平助様、仮装、お似合いですね」
 突然、ティナが笑顔で、他愛もない話題を振ってきた。
 そんなティナに、平助は動揺を隠せない。
(「ティナって、もっとクールでプロフェッショナルなイメージだったんだけどな……」)
 ティナに教わりつつ、少しずつステップを踏めるようになる平助。ティナは、そんな平助を見てクスクス笑いつつ話しかけるが、平助の口数は徐々に少なくなっていく。
「平助様、どうなされました?」
「……あ」
 平助は、ティナの赤い瞳に吸い込まれそうになっていた自分に気付いた。
(「やっぱり……役得だ!」)
 平助は今日の幸運を噛みしめたが、作戦が上手く行けば、間もなくこの時間が終わってしまうことを少し残念に感じていた。
 平助たちの隣では、魔女っ娘のミセリアが、魔王のシェリアクをダンスに誘っていた。
「魔王さま〜、一緒に踊りましょうよ~」
「そ、そうだな……楽しさを演出するためには、我も踊りに参加せねばなるまい。お手をお借りしよう、ミセリア嬢」
「は~い!」
 あからさまに不慣れな様子で、ミセリアと踊り始めるシェリアク。ミセリアとの距離が近づくたびに鼓動が早鐘を打つ。
「魔王さま~!」
 興に乗ったミセリアが、突然シェリアクに抱き付いて持ち上げ、そのまま周囲に見せつけるように舞い始めた。
「さすが魔王さま〜、魔王さまのご威光にあいつら固まってます〜。あ、固まってるのはマネキンだからかな?」
 ミセリアにしてみれば演出の一環だったかもしれないが、非リア充のシェリアクには刺激が強すぎた。いちばん固まっていたのは、客に偽装させたマネキンではなくシェリアク自身だった。
 やがてミセリアとのダンスを終えたシェリアクは、疲れ切った表情で椅子に座った。
「それにしてもだ。歳が離れているといえども、女子の⼿を取るのは緊張するものだな。……抱き上げられた時は、緊張で死ぬかと思ったぞ」
 そうつぶやくシェリアクに、
「いや、かわいい妹だと思えばいいだろ?」
 と、隣にいた者が、ねぎらいの言葉をかけた。
「お前、リアル妹の⾯倒さを知らんな。⽣活⼒まるで無いんだぞ、あれ!」
「夢のないこと言うなよ」
「そもそも、まさかこの我がハロウィンというリア充イベントをすることになるとは……。この深淵なる目をしても⾒抜けなかったわ」
「あー、わかる。俺も実際来てみて、こういうのキツイなーって思ってたよ」
「……いかん、リア充の毒が回ってきた。……なんということだ」
 眉間のあたりを押さえながら、ため息をつくシェリアク。何気なく隣を見ると、そこにはカボチャの仮面にマントを着けた者がいた。
「……ていうか、お前、誰?」
 
●招かれざる客
「きゃあああああああ!」
 ミセリアの絶叫が響き渡る。たしかにヘリオライダーのダンテは、ハロウィンドリームイーターは体がモザイクになっていると予知していた。しかし、まさか肌色のモザイクだとは誰も思っていなかった。
「変質者じゃねーか!?」
「アブナイ子が来ちゃったー!?」
 雪彦と結乃も驚きを隠せない。しかし静奈は、顔を真っ赤にして手の平で顔を覆いつつも、指の間からチラリチラリと敵の姿を見ている。あくまでも敵から目を逸らさないためである。
 ロジャーは溜息まじりに銃を構えた。
「やれやれ……お客さん、ドレスコードって知ってるかい? どうやらさっさとご退場を願うしかなさそうだぜ!」
 ロジャーが銃を構えると同時に、他のケルベロスたちも臨戦態勢を取る。
 しかし、敵の初動の方が早い。
「お前、俺を見てアブナイって言っただろ!」
 そう叫ぶと同時に、敵は結乃に向けてモザイクを飛ばす。
「どう見たってアブナイでしょ!」
 正しい反論をする結乃だが、ピンチには変わりない。
 しかも飛んで来るのは、謎の肌色モザイクだ。
「まずい……!」
 雪彦が一陣の風となり、結乃とモザイクの間に割って入った。
「くっ……」
 衝撃に苦痛に顔をゆがめる雪彦。
「あ、ありがとう……」
「いや、守りたかったのは……そいつさ」
 結乃の背後には、テーブルに並べられた料理の数々があった。
「結乃たちが作った料理だぜ? あんな変態野郎に潰させはしねえよ!」
 苦痛に耐えながらも笑顔を浮かべる雪彦。
「雪彦、いい気合だ。俺も負けられねえな!」
 平助が抜刀の体勢から駆け出し、敵とのすれ違いざまに絶空斬を放つ。
「……やっぱり俺は、踊るよりも躍らせるほうが好きらしい」
 平助の斬撃を受け、敵はよろめくような足取りでひざを付いた。
 静奈も冷静に状況を分析する。追撃か、支援か。
「攻撃は他の方にお任せして、私はこちらを」
 静奈の呼び出した半透明の『御業』が鎧に変形し、雪彦の体を包む。
「……助かったぜ。実はちょっとキツかったんだよ」
 静奈に笑顔を向ける雪彦。
「無理をなさらずに」
「いや、おかげ様で万全の体勢ってやつさ。こいつは礼の代わりだ。見てやってくれ」
 雪彦は、抜刀の体勢で身を低く沈める。
「剣戟必殺――」
 雪彦の必殺技、『鮮紅雪月花』。
 白刃が放たれると同時に敵は凍て付き、宙には深紅の雪が舞う。
「……静奈の雪が癒しの雪なら、俺の雪は血染めの雪ってとこか」
 舞い落ちる深紅の雪。
 その狭間から、ティナの赤い瞳が敵を捉える。
「パーティーにふさわしくない方には、お帰り願いましょう」
 ダンスで見せた笑顔は消え失せ、冷淡な表情のままで放たれる達人の一撃が敵を捉えた。
 ケルベロスたちの猛攻を前に、敵は押され続けている。結乃とロジャーの追撃も決まり、いまや勝利は目の前のはずだった。
 しかし、誰も予想できなかった最悪の事態が訪れる。
「やっちまいな、ベルウッド!」
 ロジャーが、相棒のライドキャリバー『ベルウッド』に指示を出す。
 炎を纏って敵に突入するベルウッド。
 敵はこの攻撃を完全に見切っていた……はずだった。
「うおおっ?! 熱っ! 熱いって!」
 マントの端が燃えている。紙一重でかわしたのが災いしたのだ。
 大慌てでマントを脱ぎ捨てる敵。
「……ふふふ、危ないところだったぞ」
 敵は余裕に満ちた態度を見せる。
 そしてここに、カボチャのマスクに全身肌色のモザイクという最低な姿の敵が完成した。
「変態! 変態! 変態!」
 ふたたび、ミセリアの絶叫が響き渡った。
 ミセリアがゴミを焼き尽くすかのごとき勢いで熾炎業炎砲を放つ。
「熱っ! でももっと罵って! お兄ちゃんの変態って言って!」
「もういいから! このまま焼けてしまって!」
 最悪の事態に、さすがのシェリアクも本気を出すしかない状況になってしまった。
「我が深淵なる術の極み、その五感でとくと味わうがいい! 死の芳香(デスパヒューム)・ハロウィンスペシャル! トリックアンドトリート!」
 シェリアクの必殺技、『死の芳香』。多くの知恵を束ね、作り上げた供物を敵の前に掲げることにより、五感から相手に衝撃を与える恐るべき術……と言うと格好いいが、その実態は、ネットで拾ってきたメニューをもとに作り上げた料理で『飯テロ』をして、なんやかんやで敵にダメージを与えるという技。しかも今回はハロウィン仕様である。カボチャ尽くしの料理に加え、日本人の感性には絶対に合いそうにない、アメリカンな原色虹色ケーキまであった。
 ケルベロスたちを突き動かしていたのは、焦燥というよりも『駄目だこいつ、早くなんとかしないと』という思いだった。しかしこんな時に限って、敵は意外なほどのタフネスを発揮してしまっている。
「こんな最低な敵、さっさと倒さないとダメよ!」
 結乃の瞳が敵を見据え、その瞳孔径が極端に小さくなる。
「……捉えるっ」
 結乃の必殺技、『six sense snipe』。超集中で感覚を『第六感』の域まで研ぎ澄まし、相手の急所を確実に捉えて狙撃を行う技。結乃はスコープ越しに敵の急所を狙おうとしたが、この最悪な敵の急所がどこか、一瞬迷った自分が少し嫌になった。
「俺もご一緒させてもらうぜ?」
 ロジャーが必殺技『超・精密射撃(ワンホールショット)』で敵に狙いを定める。
「悪夢もそろそろ終わりだぜ、目を覚ました時にもし覚えてたら、お前もここに来てみろよ。その時は歓迎するぜ、盛大にな」
 結乃のライフルとロジャーのリボルバーが火を噴き、銃弾がモザイクの体を貫く。敵は断末魔とともに黒い霧となって消滅し、後にはカボチャの仮面だけが残された。
「ふう……」
 結乃はスコープから目を離して大きく息をつき、安堵の表情を浮かべる。
 ロジャーはくるくると拳銃を回し、ホルスターに銃を仕舞った。

 いろんな意味で最悪だった戦いは終わった。静奈たちはヒールで壊れた建物などを直し、ティナは周囲の掃除をしつつ、メイドらしく給仕の準備に取り掛かる。
 雪彦も、荒れてしまった会場を見回した。この場所以外にもドリームイーターは大量発生している。ヒールには少し手間取るかもしれないが、結乃たちが作った料理は守り切った。
「ま、仕事が終わってからだな」
 雪彦は、いったん料理に背を向けて会場の修復に向かった。
 
 今宵、間もなくハロウィンパーティーの幕が開く。

作者:東山ぱんだ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 1/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 0
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