●幻武極と夢の天狼
少年は最強の闘士を目指し、日夜修行に励んでいた。
「ひっさつ! 雷狼拳!」
雷を纏った拳はまるで狼が駆けてゆくかのように素早く繰り出される。とはいっても彼はまだ小学三年生であり、全ては想像上。何処かで見た格闘漫画に影響されたらしく、暇を見つけては廃寺の裏手で必殺技の練習をしているのだ。
無邪気な子供の真剣な遊び。本来ならばその行為はただそれだけのはずだった。
だが、其処に異変が起こる。
「お前の、最高の『武術』を見せてみな!」
「くらえ、天狼稲妻蹴り!」
不意に青い髪の少女が廃寺に現れ、少年に薄い笑みを向ける。すると彼は操られたように少女――幻武極(げんぶきわめ)に対して攻撃を仕掛けはじめた。
幻武極は暫し少年の雷狼拳を受け続けますが、ダメージを受けた様子はない。そして暫くした後、手にしていた鍵で少年の胸を貫いた。
「僕のモザイクは晴れなかったけど、お前の武術はそれはそれで素晴らしかったよ」
少年は意識と夢を奪われて倒れ、その横に闘士風に武装した少年の姿をしたドリームイーターが現れる。少年をよそに身構えた夢喰いは雷狼拳を空中に繰り出し、その様子を眺めた幻武極は満足気に頷く。
「よし、そのままお前の武術を見せ付けてきなよ」
そして、ドリームイーターは少女に命じられるままに廃寺を後にした。
●天狼闘士
その後、付近の住民が夢喰いに襲撃される。
そんな未来が視えたのだと語った雨森・リルリカ(花雫のヘリオライダー・en0030)は武術家を襲ったドリームイーターの名を告げる。
「事件を起こしているのは幻武極という方です。彼女のモザイクは晴れなかったようですが、代わりに武術家の夢喰いを生み出して暴れさせているようです」
武術家とはいっても今回の被害者は闘士に憧れる小学生。
しかし、其処から具現化した夢喰いは少年が夢に見ていた『雷を操る天狼闘士』の力を得てしまっているらしい。幸いにもドリームイーターが人里に到着する前に迎撃することが可能なので、被害が出る前に対応することができる。
どうかお願いします、と頭を下げたリルリカはケルベロス達に状況の説明を始めた。
敵は件の夢喰いが一体のみ。
標的は現在、少年の武術練習場所であった廃寺の裏手から正面にまわろうとしている状況だという。廃寺の周囲は木々に囲まれているがお堂の正面はひらけた空間になっている。また、寺自体が街外れにあるので人通りが少ないのが好都合な点だ。
「皆様はお堂の前で敵を迎え撃ってくださいです。闘士さんは自分の技を見せようと襲い掛かってきますので、そのままえいっと倒しちゃってくださいませ」
敵は痺れを宿す雷撃拳や素早い狼めいた蹴りの他、精神統一での回復を行う。攻撃は一手ずつが重く、回復量もかなり高い為に戦う際には注意が必要だ。
だが、相手も武術家のはしくれ。戦闘途中に逃走を選ぶことはないのでどちらかが倒れるまで戦い続けることが出来る。
「おそらく正々堂々の戦いができますです。それにきっと格好良い必殺技も受けられるので気持ちのいい戦いになるかもしれませんね」
一対多ではあるが実力は互角。
ぐっと拳を握ったリルリカはこの戦いをどう感じるかは皆次第だと語った。おそらく此方も正々堂々とした態度で挑めば眠らされている少年の目覚めも何となくよくなるだろう。
ドリームイーターによって引き起こされた事件が悪夢にならぬよう。そして、悲劇が引き起こされぬように、今こそケルベロスの正義の力が必要なときだ。
参加者 | |
---|---|
アマルティア・ゾーリンゲン(フラットライン・e00119) |
清水・光(地球人のブレイズキャリバー・e01264) |
英・揺漓(ヤンイェン・e08789) |
レピーダ・アタラクニフタ(窮鼠舌を噛む・e24744) |
唯織・雅(告死天使・e25132) |
花咲・郁(蒼穹の魔女・e35261) |
日野原・朔也(その手は月を掴むために・e38029) |
トリニティ・ボガード(通り影・e38405) |
●勝負
空の色が澄んだ青から橙に移り変わる時刻。
花咲・郁(蒼穹の魔女・e35261)達は廃寺の前で辺りを見渡し、敵の到来を待つ。
「それにしても、ちびっこを狙うってのは頂けない話よね」
敵は武術を志す者の夢の化身。
武術には興味無いケド、と呟いた郁は溜息を吐いた。唯織・雅(告死天使・e25132)も頷き、自分なりの思いを口にする。
「武術や、武道は……素人の方、想像するほど。格好良い物でも、華美な物でも。無いと、思うのですけどね……」
要するに他人を傷付ける技術だと雅が語ると、トリニティ・ボガード(通り影・e38405)と日野原・朔也(その手は月を掴むために・e38029)が一概にそうは言えないと告げた。
「夢主の奴もさ、誰かを傷つけたくて憧れたんじゃないと思うぜー」
例えば、何かを守りたいから。自分を磨きたいから。力とは使う者次第であり、ケルベロス達も様々な理由で強さを有している。件の少年もそうだろうと考え、朔也はぐっと拳を握った。トリニティも同意を示し、改めて周囲を見遣った。
「廃寺を背景に決闘なんて、功夫映画の真似事をするには絶好ね」
功夫という言葉を聞いた朔也はふと思い立ち、傍らにいるウイングパンダ、もといキャットの九曜に目を向ける。
「ところでお前、パンダっぽい見た目なんだしさ、中国けんぽーとかは使えねーの?」
問いかけてみても九曜は笹を食べているだけだったが、それもいつも通りだ。
英・揺漓(ヤンイェン・e08789)は少年達のやりとりに微笑ましさを覚え、双眸を細めた。そんな中、清水・光(地球人のブレイズキャリバー・e01264)は敵について考える。
「武術のドリームイーター……まったく、小さい子に何をしてるんや。おいたが過ぎるんは良くあらへんな」
そうして、光は戦いへの決意を抱いた。揺漓も少年を思って深く頷く。
「ひょっとすると何れ本当に最強の闘士になるかもしれない」
少年の真剣で健気な夢を穢してしまわぬよう、正々堂々と同じ武術家として全力で手合わせをしたい。そう願った揺漓はふと、何かの気配を感じる。
郁もはっとし、雅は先を見据えた。同様にアマルティア・ゾーリンゲン(フラットライン・e00119)も素早く身構える。
そして、拳法着めいた服を身に纏った少年が廃寺の裏手から姿を現した。
「お前達、強そうだな。勝負しようぜ!」
夢主の少年にそっくりな夢喰いは笑顔を浮かべ、番犬達に呼び掛けた。すると、レピーダ・アタラクニフタ(窮鼠舌を噛む・e24744)が笑顔で答える。
「いいですよ、全力でお相手しましょう!」
後は自分達が夢喰いを倒せるか否かだと感じ、トリニティや光も構えを取る。
今にも戦いが始まるという最中、アマルティアは八人とサーヴァント達で一人を囲む形になることを詫びようとした。だが、彼女は静かに悟る。
「一対多で正々堂々もないだろうが……いや、この布陣で互角か」
「正々堂々、なんと気持ちのいい言葉でしょうか!」
レピーダも自然とこのままで挑むのが正しいと理解していた。此処に集った全員が全力を賭し、戦うことが正々堂々ということ。
そして――番犬達と闘士の視線が重なった刹那、戦いの幕があがった。
●決闘
地面を蹴り、先手を取ったのは天狼闘士。
いくぞ、と告げて真っ直ぐに光を狙い撃つ敵は拳を振りあげた。
「うちはブレイズキャリバーの清水光やよ。お手柔らかに頼むんよ。正面きっての戦いなら付き合うんよ」
対する光は名乗りを上げ、雷拳を真正面から受け止める。
彼女が地を踏み締めて耐える中、朔也が御札に魔力を込めた。赤黒い雷撃は前衛達を包み込み、戦いの加護を与える。
「お前も雷使いなのか?」
「へへっ、そんなところだぜ!」
少年が雷撃に反応すると朔也が悪戯っぽく笑んだ。
敵が纏う金の閃光と赤黒の雷光は宛ら、拮抗するかのように弾ける。
アマルティアは匣竜のパフと共に打って出た。なかなかだな、と敵を評した彼女は地獄の心臓に火を灯す。
「どちらが速いか、比べてみるか?」
刹那、解き放たれたのは地獄の業火。光が受けた傷を癒すべく焔が迸れば、パフが敵へと体当たりに向かう。
更にトリニティが殺神ウイルスを解放する。革手袋をはめた指先が敵に差し向けられたと思うと、込められた厄が敵を襲う。
揺漓はその隙を狙い、真白きオーラを右の拳に纏わせた。
「全力を賭すことが礼にあたるならば――」
一撃ごとに力を尽くすのみ、と心に誓った揺漓。其処から繰り出された渾身の一撃は少年闘士の身を貫く。
だが、敵はまったく揺らぐ様子を見せずに身を翻した。雅がすかさず破鎧の衝撃を打ち込むが、未だびくともしない。
「さて。理想の存在か、或いは……夢幻の住人か。少なくとも、現世の。存在では……ありませんね」
雅が冷静な眼差しを向け、ウイングキャットに合図を送る。
セクメトが清浄なる翼を広げて援護に入ると、亰と九曜も攻勢に入った。二匹が尻尾の輪を舞い飛ばし、敵を左右から穿つ。腕を組んでそれらを受け止めた闘士は楽しげに笑み、やるね、と呟いた。
「あらまー、正統派拳士ーって感じ?」
その様子を見た郁はくすりと笑む。されど、郁自身は格闘技には興味がない。さっさと敵を倒して少年を助けてやるだけだと話した彼女は掌を掲げた。
刹那、氷雪の肉体を持つ冬の巨人が召喚される。
スノーマンは冷たい身体で敵を押し潰さんと迫り、闘士の足止めとなった。其処に好機を見たレピーダはカサドボルグを振りあげ、片目を瞑る。
「どうですか! レピちゃん達の全力を以て、貴方の全力を打倒しましょう!」
ジャージ姿ではあるが、まさに正々堂々と宣言するレピーダ。そして、傘鎌を振りあげたレピーダは敵の身をひといきに穿った。
だが、敵は怯むことなく反撃を繰り出してくる。
「くらえ、稲妻蹴り!」
レピーダに向けられた一閃は素早く、避ける暇さえ与えられない。されどアマルティアが仲間の腕を引き、蹴りを自ら受け止めに入った。
「何だと!?」
「聞いただろう? どちらが速いか、と」
半ば無理矢理に攻撃を受けたアマルティアに少年が驚く。だが、彼女は不敵に目を細めてこれが自分の戦い方だと示した。その間に朔也が光の盾を具現化して仲間を癒し、トリニティが守りの雷壁を戦場に張り巡らせてゆく。
「援護は担うから、頼んだわよ」
トリニティが静かに告げると、光と揺漓がその声に応えるように戦場を駆けた。
「ま、うちはこういう風にしかできへんけどな」
「素晴らしい技を見せてもらったんだ、此方からも礼をさせていただこう」
地獄の炎を纏った光が一閃を放ち、其処へ揺漓が繰り出す電光石火の蹴りが見舞われた。力の限りを尽くし、この戦いに満足して貰えればいい。そう願う番犬達の一撃は鋭く、的確に巡ってゆく。
それから幾度も攻防が重ねられ、どちらも譲らぬ戦いが続いた。
闘士が精神統一を行う中でケルベロス達も癒しに入る。攻撃が放たれれば此方も負けじと攻勢に入る。一進一退の展開ではあるが、雅はしかと戦況を見つめていた。
「正当であれど……夢は幻。夢の、向こう側に……帰って、頂きましょう」
静かな声に呼応する形でセクメトが敵を引っ掻きに向かい、雅もまた爆破スイッチを押して爆発を巻き起こす。
更に郁が翼猫を呼び、竜槌を振りあげた。
「行くわよ、キョウ! 援護したげるから頑張るのよ!」
郁が全力で振り下ろした氷の一閃に続き、亰が鋭い爪で襲い掛かる。それによって敵が一瞬だけ揺らいだ。
朔也と九曜も視線を交わし、仲間達の猛攻に続こうと決める。
「九曜も頼んだぜ! 秘技、雷装天鎧!」
加護の雷撃を再び解き放った朔也に合わせ、名を呼ばれた翼猫は見事な爪撃を見舞った。それらを受けた闘士は僅かによろめきながらも、ぐっと拳を握る。
「強いな……でも、まだまだ!」
既にかなり負傷しているというのにその瞳に宿る光は当初のままだ。レピーダはその姿勢こそ夢主の少年が持ち得る素質だと感じ、そっと微笑む。
「想う力は、やがて現実の力となるでしょう」
レピーダの心からの思いを聞いたトリニティは身構えながら静かに頷いた。
「ええ、悪しき夢の餌食になんてさせないわ。だから……」
――必ず、勝利を掴みましょう。
決意を宿すトリニティの澄んだ声はやわらかに、戦場に響き渡った。
●終演
戦いは続き、雷狼拳や稲妻蹴りが容赦なく繰り出される。
「負けないぞ。今度はこっちからだ!」
その一撃は重く厳しいものだったが、番犬達は決して怯みも戦きもしなかった。
攻撃と妨害、そして不利益の回復。しかと役割を分担してそれぞれが出来ることを担った結果、天狼闘士は押され始めている。
郁は勝機が訪れていると察し、不敵に胸を張った。
「悪いわねー、こちとら魔女だもの! 殴り合いなんかに付き合う気は無くってよ!」
堂々とした宣言の後、竜語魔法が紡がれる。
幻影の竜炎が戦場を包み込んでいく最中、光も最後を見据えて動いた。
「ほな、ここら終いや。全力出していこうか」
天狼闘士を倒しきるまでは、力を尽くすのみ。
散り乱れ、と詠唱の言葉を口にした光の周囲に力が溢れ、鋭い一閃が解き放たれる。まるで風に散る花びらのように激しく、敵は一瞬で切り刻まれた。
其処に生まれた好機を掴み取り、パフが竜の吐息を吐き出した。更に九曜と亰、セクメトが尻尾を振ってリングを次々と飛ばす。
雅もバスターライフルを構え、敵を狙い撃つ。瞬時に放たれた光線は敵を貫き、その動きをしかと封じた。
「構造的弱点、看破。後は……よろしく、お願いします」
「任せとけ! かっけー武術は使えねーけど、巫術士らしく戦うぜ!」
仲間から託された思いを受け止め、朔也は札を掲げる。瞬刻、召喚された氷結の槍騎兵達が戦場に現れた。
いっけー、と標的を指さした彼の掛け声に合わせて兵達が突撃する。
だが、その衝撃に耐えた天狼闘士はアマルティアを狙って駆け出した。危険です、と雅が呼びかける声に反応した彼女は、平気だと首を振る。
次の瞬間。
「ひっさつ、雷狼……何っ!?」
「必ず殺す、と書くわけだが――私は必殺出来なかったようだな」
一撃を見事に避けたアマルティアは敵の背後に回り、刀を振りあげた。刃を弓に見立て、放たれた魔力の一矢は少年の心を貫く。
今だ、と告げたアマルティアの合図にトリニティとレピーダが応えた。
「これにて終幕――」
「夢の終わりは、眩き閃光と共に!」
トリガーを引いたトリニティが祈るのは星影一路、冥府への道行。
光あれと望む思いを抱き、光の翼を刃に変えたレピーダは信じる強さを力に変える。
叶えたい自分を手繰り寄せる為に、少年の未来を切り拓くべく放たれた二人の一閃は重なり、闘士を深く穿った。
刹那、夢喰いの身が大きく傾ぐ。
揺漓はこれが本当の終わりだと察し、再び拳に白き力を纏わせた。
「生憎と雷は作り出せぬが……代わりに食らえ、花の一撃」
終わりを齎すのは、十里香勁。
その一重の花はひたぶるに、あらゆるものを突き崩さんと迸り、そして――。
「ああ、楽しかった……」
満足そうな笑みを浮かべ、夢の少年闘士は消えていった。
●憧憬
こうして、敵は憧れという元の形に還った。
仲間達は頷きあい、本物の少年が倒れているという場所に向かうことにする。
「こんな場所で寝てたら風邪ひくんよ」
「ううん、あと五分……ってあれ?」
光が声をかけると寝惚けていた少年が驚いて起きあがる。雅は傷がないか確認し、用意していたお茶を渡してやった。
「無事、貴方を……助けられて。良かった……です」
雅は安堵を抱きながら少年にある程度の事情を話す。
事態を理解した彼は俯き、そっか、と申し訳なさそうに呟いた。トリニティは少年が迷惑をかけたと感じていると察し、首を横に振る。
「それだけ君の意志と努力とが優れていたということよ」
自信と希望を支える労いが告げられた後、郁が少年の肩を軽く叩いて励ました。
「悪いのはドリームイーターだから、助かった事を喜んでおけばいいのよ。それにほら、朔也達が稽古つけてくれるんだってさ」
郁が仲間を横目で示すと、朔也が大きく頷く。
「お前が良ければだけどな。雷ってかっけーもんなー! わかるぜ、その気持ち!」
「ケルベロスに稽古をつけてもらえるの? やったあ!」
乗り気な様子の少年を見た郁は軽く息を吐いた。私は趣味じゃないから遠慮するケド、と付け加えた郁だったが、どうやらこっそり稽古を応援する心算のようだ。
郁の心情に気付いたレピーダはくすくすと笑み、自分も自慢のヴァルキュリ真拳を披露してあげたいと意気込んだ。
わくわくする気持ちを抑えきれない様子の少年。その背を押した揺漓は、見ていてご覧、と朔也の方を示す。すると朔也が装殻の呪が記された札を宙に放り投げた。
「唸れ迅雷、雷狼拳! ってな、どーだ!」
「わあ……すごい、雷だ!」
赤黒い雷の加護が少年を包み込み、感嘆の声があがる。まるでその姿は彼が夢に見ていたという雷使い、天狼闘士だ。
アマルティアとトリニティはその様子を眺め、其々に煙草をふかしていた。
「私のは拳法というよりは剣法だからな……教えるほどじゃない」
「どうかしら、意外に少年も気に入るかもしれないわよ」
見守る体勢に入ったアマルティアにトリニティが薄く笑んで片目を瞑る。軽く肩を竦めた彼女は紫煙を燻らせ、どうかな、と目を細めた。
少なくとも今はこんな光景を取り返せた、と思えればそれでいい。
そうして、揺漓達による少年の稽古は続いていく。
「もう少し腰を落として……そう、上手だ」
「うん、わかった!」
「よーし、それじゃ次は全力で打ってこい!」
揺漓はより恰好良く見えるようにと助言を行い、朔也が身を以て技を受ける。
和気藹々と巡る時間は笑顔に溢れていた。
「キュッキュリーン★」
レピーダもヴァルキュリ真拳を披露したあと後、一番星をびしりと指差す。
格好良い、と瞳を輝かせる少年はふと呟いた。
「俺もいつかケルベロスみたいに、本当に強くなれるかな?」
すると揺漓が穏やかに頷き、そっと微笑む。
「夢に此れだけ直向きなのだから、大丈夫。きっと君は強くなれる」
「オレたちが保証してやるぜー」
朔也も満面の笑みを浮かべ、真拳ポーズを保ったままのレピーダも明るく告げた。
「いいですか少年? 迷った時は……かっこよくあれ、です★」
その格好を可笑しく感じたのか、少年は笑い声をあげる。それにつられた仲間達もくすくすと笑い、辺りに和みの空気が満ちた。
明るい声と稽古の掛け声が響くひとときはきっと、少年にとってかけがえのない思い出になるだろう。
やがて、穏やかな夕陽が少年と番犬達を照らしはじめる。
その光は宛ら、此処から繋がる未来の希望を映し出しているように思えた。
作者:犬塚ひなこ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
|
種類:
公開:2017年9月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 1
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|