奔れ麻雀拳!

作者:baron

「あ、ポン!」
 男が郊外にある大きな樹を殴りつけると、ハラハラと落ち葉が降り注ぐ。
 十分な数があるのを確認すると、そのまま息吸い込んで攻撃を連続で繰り出して行った。
「ふーっドラ! ドラドラドラ!!」
 パンチや手刀の乱舞で落ち葉の一枚一枚をはたき落して行く。
 だが全てを落とすには至らない。
 男の拳はそれほどには速くなく、最初に落とす葉を加減できるほどの目利きでもなかった。
「くっ。まだまだ十三越の境地には至れないか」
 男は残念そうに溜息をついた後、再び修行に戻ろうとした時のだが……。
「お前の、最高の『武術』を見せてみな!」
「なに? 貴様何処に隠れ……て……」
 樹の後ろの方から少女がやってくると、男に挑戦的な言葉を投げつけた。
「……」
 体格差を考えればあまりにも無謀な言葉であるが、男は何故か頷くと少女に対して攻撃を始めたのである。
 それは先ほどの動きに良く似てはいるが、遥かに洗練された連撃。
 手刀、貫手、掌底猫手内打ち、掌底熊手外打ち。
 四つの手の形で攻撃を繰り返し最初はゆっくりであったモノが最後は、ほぼ一瞬の間に繰り出されたのであった。
「僕のモザイクは晴れなかったけど、お前の武術はそれはそれで素晴らしかったよ」
 少女はその連撃を避ける事もなく喰らっていたが、締めの攻撃を受けてなお平然としていた。
 そして次には何も無いことを知ると、男に鍵を刺し込んでしまったのである。
「お前の武術を見せ付けてきなよ」
「……」
 男の代わりに現れた中華風の服装を着たナニカは、細い目で頷くとそのまま街へと歩いて行った。


「武術を極めようとして修行を行っている武術家が襲われる事件が起こる」
 ザイフリート王子が地図を手に説明を始めた。
「武術家を襲うのはドリームイーターで、名前は、幻武極。自分に欠損している『武術』を奪ってモザイクを晴らそうとしているらしい。今回の襲撃ではモザイクは晴れないようだが、武術家のドリームイーターを生み出して暴れさせようとするらしい」
 この武術家型ドリームイーターは襲われた武術家の理想像として、もしかしたら本人も実戦では使えないのではないかという大技を使いこなすらしい。
「幸い修行して居たのは山奥だ。このドリームイーターが人里に到着する前に迎撃する事が可能なので、周囲の被害を気にせずに戦う事が出来るだろう」
「敵は一体のみで配下は居ない。場所は修行地付近の森に成るだろうな」
 王子はそう言うとコピーした地図をテーブルの上に置いた。
 マーカーが入れてあるのは確かに山奥であり、その周囲には森が広がっている。これならば人を巻き込まずに戦えるだろう。
「それと、男の使う武術は手のみで足は歩法にしか使わないようだ。また決まったリズムで打ちこむタイプで、威力よりも防ぎ難さの方が大きいだろうな」
 ボクシングのパンチを回避し難い様に、判って居ても防げないタイプがある。
 注意するとしたら手の動きであるが、目にもとまらぬ早業であることは覚悟しておくべきだろう。
「このドリームイーターは、自らの武道の真髄を見せ付けたいと考えているようなので、戦いの場を用意すれば、向こうから戦いを挑んでくることだろう。出逢った場所でも良いし、開けた場所なりに呼び寄せても頷くかもしれん」
 挑戦者を求めるタイプのようでもあり、逃げる可能性は低いだろうとも王子は教えてくれた。
「敵は強力だが精鋭であるケルベロスならばやれると信じているぞ」
 王子の基準で強力という点で汗が出そうだが、逆に言えば協力すればソレを倒せるということでもある。
 王子の信頼にこらえる為、何よりも人々を守るためにケルベロスは相談を始めるのであった。


参加者
陶・流石(撃鉄歯・e00001)
天塚・華陽(妲天悪己・e02960)
黒斑・物九郎(ナインライヴス・e04856)
竜峨・一刀(龍顔禅者・e07436)
マサヨシ・ストフム(蒼炎拳闘竜・e08872)
スピノザ・リンハート(忠誠と復讐を弾丸に秘め・e21678)
レミ・ライード(氷獄騎兵・e25675)

■リプレイ


 森の中、なので、足下注意。
 ゆっくり確実に進みます。
(「居ません、まだのよう、ですね」)
 レミ・ライード(氷獄騎兵・e25675)は越えには出さず仲間の様子を確認。
 ケルベロス達は手分けして森を探していたからだ。
「これ以上は探すよりも、場所を決めて迎え討つ方に専念した方が良さそうだ」
「地図から言ってもこのルートで間違いないですしね、すれ違うより待ち構えた方が確実っス」
 陶・流石(撃鉄歯・e00001)が翼を畳んで降りて来ると、黒斑・物九郎(ナインライヴス・e04856)が変身して更に体を縮める。
「まー先手取られなきゃそれで十分だしな。後は狙った感じでいければ恩の字か」
 流石はボリボリと頭をかきながら仲間達の配置を確認していく。
 姿を隠した物九郎と治療師のレミを後ろに控えて、Uの字状の網で捕らえる様な格好だ。
 上手く奇襲できれば理想的だが、この体勢を維持したまま戦えるだけでも随分と違う筈。
(「木々も、敵の攻撃の盾、なるなら、利用する、です」)
 レミは出来るだけ大きな樹の後ろにかくれんぼ。
 使う予定の流体金属は足元を伝わらせて、いつでも起こせるように指示だけ与えておく。

 そしてその時が……。
(「キターッス! チーホー紛いのダブリー可能な手配……しかしダマで行くッスよ!」)
 物九郎は確かに見た。
 家政婦では無いが勝機を確かに見たのだ。今襲いかかれば奇襲するのは無理で、自分が戦闘の先頭に立てると確信したのである。
(「時に喰らった敵のグラビティをも己の武器とする降魔拳士」! 別に喰らって無いけど見せてやりますでよウラー!」)
 物九郎は敵の得意技から麻雀の打ち手まで見抜くと、速攻を掛けて内側から抉り込む様な掌底で殴りかかった。
 まるで猫パンチのような猫手掌底は、相手の動きを見抜けばこそのコピーキャット。
 完全に奇襲出来て無いので反応されたが、奴なら手で払いのける防御を、首をのけぞらせるような無様な避け方。上手く殴りつけて直撃させる。
『何奴!? 敵か!』
「よっしゃー。ケルベロス軍団、あたーっく! なんちってな」
 流石は銃を撃ち込もうとしたが、奴の反応の速さを見て魔力戦に変更する。
『おう、目ぇ逸らしてんじゃねぇよ』
 と鋼の様な視線に魔力を込めて、焦りを引き起こすべくガン付けを開始した。
「やれやれ、武術を極めんとするものが技のみに気をとられて精神修練を怠りでもしたか」
 天塚・華陽(妲天悪己・e02960) は怪しく微笑むと、自分が動きたくなる気持ちを抑えて布石を打つことにした。
「実利のみを求めるとは功夫が足りておらん。足りぬなら足りぬなりに真摯に受け止め、教えを請うなり磨き上げるなりせねばな」
 そして華陽は自陣に戻った物九郎の前に防御用の四角・五画では無く、攻撃用の三角形の結界を張った。
 凶角や攻撃数を表す力によって、炎熱を使ったレンズを作り彼の力を増幅に掛ったのである。
「一人で足りねば皆で掛れば良い。足りないモノを埋め続けるが人生よのう?」
「援護、する」
 華陽の言葉を判ってかどうかしらないが、レミはコクリと頷いて待機させていた流体金属を散布して行った。
 こうして一同は援護し合う事で、強大なデウスエクスに対抗するのである。


「スームカ、君に決めた!」
 フィアールカ・ツヴェターエヴァ(赫星拳姫・e15338)はバックの様なミミックを掴むと、振り回して敵の側に放り投げた。
 そしてそのまま踏み台にしつつ、飛び蹴りを掛けたのである。
「そいやー!」
『阿……ポン!』
 フィアールカが飛びあがったところで、スームカに正拳が見舞われる。
 グニャリとへこんでしまうが、それは元からの機能なので気にしないでおこう。
「スームカの仇、お前なんか極寒のシベリアで焼き土下座の刑だーっ!!」
(「死んで、ないと、思う」)
 フィアールカはそのまま蹴りと共に風で巻き込んで行くが、鉄拳の雀は踏み込んで真空の発生前を横手で打ち落とす。
 跳ねのけられたピ-ンヒールの元には、星型のクレーターが出来たということである。
「流石にやるのね」
「呼んだ? まあ、ザイフリート王子の基準で強い……だからねえ」
 フィアールカと流石は肩を並べて身構えながら苦笑した。
 あまりにも隙が無さ過ぎて、一対一で出逢ったら勝てる気が全くしない。
 だがここには頼もしい仲間が居るぞっと、どっちが先に行くかジャンケンで決めようか、それとも呑み比べ(フィアールカはジュース)で決めようかと笑い合う。
「強い、確かに強い。しかし武の高みは己で体現してこそじゃろうに……抜き出して実体化させるとは」
 竜峨・一刀(龍顔禅者・e07436)は敵の姿を残念に思った。
 その強さは山をジックリ登りつめたようなものではなく、また制御の危険を承知で真似び獲った技でもない。
 体現の先、理念の先にある、まだ見ぬ極致を無理やり現したモノなのだ。
 だから華陽が言うように、強制的な成熟ゆえの未熟さが垣間見えるのである。
「だがぬしの無念、ぬしの無明しかと切ったぞ」
 一刀は無造作に抜刀し斬撃を繰り出した。
 黒幕たる幻武極への嫌悪を抱いたままに、それを越える無想から隙を突いて行く。
 キンっと鞘におさめた時、モザイクが傷口より噴き出して行くが、それを見届けるよりも先にすることがある!
 直ぐ様、拳を掲げると敵と体の位置を入れ替えて、仲間を守るべく組み付いたのだ。
「俺の知ってる麻雀は卓を囲んで遊ぶものだけだぜ。どうせなら麻雀勝負だったらいろいろ楽だったんだがな」
「まったくだ。これがドリームイーターじゃなけりゃあ、楽しい戦いになるんだろうがなァ!」
 スピノザ・リンハート(忠誠と復讐を弾丸に秘め・e21678)とマサヨシ・ストフム(蒼炎拳闘竜・e08872)は少しだけすれ違いながら、最終的には似たような思いを抱いた。
「ポーカー拳だろうがバカラ拳だろうが……まあ、何拳だろうがねじ伏せてやるだけさ。武術と忍術、どっちが上か勝負してやろうじゃねーの」
 スピノザは鎖鎌を振り回して手近な樹に取りつくと、ブランコのように利用しながら飛び蹴りを仕掛ける。
「どんな武術であろうとも強くなるという意思に敬意を払おう。だからこそ道を踏み外そうとするその姿は容赦なく叩き潰させてもらう」
 そしてマサヨシは小さく翼をはためかせて飛びあがると、翼を畳みながら突進を掛けた。
 途中でスピノザを追い越しながら、当たるも八卦当たらぬも八卦と飛び膝気味の蹴りを浴びせていく。
 それすらも手刀で跳ねのける鉄拳の雀。だが当たるも八卦なら五分五分、半分当たる計算だ。スピノザの蹴りを避けることは叶わず軽く膝をついた後で即座に立ちあがったのである。


『カカカカ。良かろう、行くぞ! ドラドラドラ!!』
 鉄拳の雀は膝をつかされた事に心底楽しそうに笑うと、無数の手刀や拳を繰り出してきた。
 ガードの上から叩きつけ、あるいは丁寧に跳ねのけてから繰り出される無数の連撃は肉体を削るかのようだ。
「惜しい、惜しいぞ! それほどの武練。何故に自らの技量のみで到達せなんだか」
「これが実力だったら教えて欲しいと思うよなぁ。それか挑む山だな」
 一刀は攻撃を腕で受け止め精神力の盾で防ぎながら悲しみ、マサヨシはその脇で信じられないモノを見る瞳で共に口元には獰猛な笑みを浮かべていた。
 これほどの武量がこの世界にあるのかと驚きながら、対決できる己の幸運を痛みと共に噛み締めたのである。
「どうせ避けられねぇなら始めっから全部耐えきるつもりで受けてやるよ!!」
 マサヨシはチェンソー剣を握り締めると、足を留めて斬撃を浴びせ掛った。
 どうせ仲間を庇えば傷付くし、治療してもらいながら時間を稼ぐと思えば避ける意味ないどない。その間に何度か当てれば御釣りがくるでは無いか。
「さっきの麻雀で言うと、跳満直撃コースかね?」
「くわばらくわばら。刻子でドラを抱え込まれると死ぬッスわ。ドラは切らない鳴かせないは基本」
 スピノザと物九郎はロクでもない光景に苦笑しながら、冷静に状況を見定めていた。
「喰いタン抜きを除いて老頭は控えめ、字牌は切って来るかな。逆に言えばソレを待つのが吉っす」
 敵味方の技を見切り、もっとも扱い易い属性に染めていけば良いと、物九郎は観察して居たのだ。
「麻雀? 良く、知らない、です」
 なので、技の名前、言われても、由来も、分からないです。
 レミはキョトンとした顔で、この日初めて口を開いた。
 いや、思い返せばもっとあった気もするが、とにかく戦闘始めてからは最初に違いない。
「ごめんなさい? 出来れば、解説あると、嬉しいです?」
「ああ、この場合はパワーがサブ、魔力は使わないだろうという予測だな。だから逆に魔力からパワーで勝負した方がいいってことだ」
 レミがドローン達に隠れながら尋ねると、スピノザは手元から氷を出したり手元のチェンソーを指差しながら答える。
 もっとも相手の速度が早過ぎて、少しは足止めしないといけないなと苦い顔でチェンソーのスイッチを入れて走り出した。
「次は50%に賭ける青春か……。他の連中の技で確変を期待しますかね」
 スピノザはそういって跳ねられそうになる刃を強引に押し当て、なんとか押し切ったのである。
「そんで、そろそろおっけースか? なら撃つっすよ」
「おう、いけいけ。こうなったら、おぬしが主力よ。幾らか当てたらわしも攻撃にまわるがの」
 華陽がグラビティで作り上げる空間レンズの結界を利用し、物九郎はハンマーを変形させながらぶっ放した。
「たーまーやー! これも弾だ!」
 流石は今度こそ銃を構えて速射し、至近距離からリボルバーに咆哮をあげさせた。
 普通の奴なら100%なんだがなーとか思いつつ、連射したうちの一発を掴まれそうになったので脇に回り込んで行くことにした。
「銃弾を掴んでんじゃねーぞ。てめーはどこの漫画の住人だ!」
 あわや弾かれるかと言うところで命中し、腕を軽く負傷させるが……流石と言えど苦笑するしかない。
「拳法家と戦えると聞いて……え? 麻雀なの? ならどこかに原作でもあるんじゃないかな……」
 フィアールカは今度こそ鉄拳を叩きつけつつ、仲間達の会話に驚愕した。
 アノ麻雀が拳法とかありえないし、銃弾を指で掴もうとするとかフィクションの世界の住人としか思えない。
「だってさ! おばあちゃんが日本人のババ仲間を招いて、編み物しながら麻雀してるのは見たことあるよ! ボケ防止だって」
 うん、ボケ防止のイメージしかない……。
 賭け事に使ってるヤの付く自営業の人が聞いたら卒倒しそうな事を、おばあちゃん子のフィアールカは口にするのであった。
 ちなみに仲間に尋ねたら、俺だよ俺と言うに違いあるまい。
「しかし、麻雀拳ねぇ。世の中にゃ面白い技もあんだな」
 そんな中で流石は手に汗握っている自分に気が付き、ペロリと汗を舐めながらオニギリ欲しいとか思いつつ行き先を思案。
 黒幕の目的はなんだ? いや、今は倒すことが先決だと気合いを入れ直したのである。


「流し満願なんざ、続行させる訳にゃいかねーンスよ!」
 何度目かの攻防の末、物九郎の拳が吠え敵の懐に振動が刻まれる。
 しかし奴は息を整え冷静さを取り戻すと、拳法映画の様にコキッコキと首を鳴らした。
『やるな! だがまだまだ、飛ばされはせんぞ!』
「上等っスよ。こちとら六歳の頃から三毛乃に麻雀仕込まれてますでね!」
 もうやだ大陸に帰れ拳法野郎とか思いつつ、芋引く(怖じけ付く)訳には行かないので物九郎はメンチを切った。
 屈強の敵とは言え、奴も無事な訳が無い。
 三味線(ハッタリ・いい加減なこと)を言って、強気になっているだけだ。……そう思いながら、奴が意気を整える場合と、気合いを載せる場合の区別が付いて来た。
 次からは調整して追い込むことが出来るだろう。
「我が手には太陽と月。来たれ竜声、天翔ける狗。アマケツネの威を見るが良い」
 華陽は籠手を握り締め弓の様に構えると、呪符を矢の如くに番えた。
 意図を糸として弦を張り、引き絞ると幻竜を召喚する。華陽は竜声を放ち炎を矢に替えて解き放つ!
 鉄拳の雀はその炎を受けながら、なお意気盛ん。怯みもせずにやって来るではないか。
『ハイー、ヤッ!』
「やらせるか! 我が炎に焼き尽くせぬもの無し――我が拳に砕けぬもの無し――我が信念、決して消えること無し――故にこの一撃は極致に至り!」
 内側から抉る猫手掌底、外から叩きつける熊手掌底、更には貫手が次々と繰り出される三つの暗刻功。
 マサヨシは自分の体で仲間に向かう凶手を止めながら、肉体も魔力も限界まで引き絞って正拳突きを放った。
 それはまるでカウンターのように突き刺さり、跳ねのけようとした手請いを叩きのめしてぶちのめす!
「気を抜けば敗北に回ってもおかしくなかった。この組み立ても、自分で思い付いたならばもう少し考えがあろうに。全く惜しいものじゃ」
 一刀は刃を納めると心を沈めて解き放つ。
 もはや技の流れを見極めており、大怪我こそあれど敗北はありえまい。
『大阿の利剣、手裡にあり! その無明、しかと切ったぞ』
『来い!』
 一刀が繰り出す無想の斬撃を受け、傷口よりモザイクを吹きだしながらなお笑っている。
 そうとも、敵も味方も笑顔と言うにはなんとも獣めいていることか。
「見掛け倒しだ。あとちっと! 押し込んでいくぞ!」
(「とりあえず、被害者の為、にも、迅速に撃破、しましょう」)
 流石は眼光を飛ばして牽制すると、レミは流体金属を散布しつつ、場合によっては攻撃する事もあるかなと熱を奪う霧を発生させておく。
「大物狙いも嫌いじゃねーが……麻雀は平和に始まり平和に終わる、って言うだろ」
 スピノザは鎖鎌で巻き付け引き寄せながら、蹴りを叩き込みバランスを崩したところへ切り割いて行く。
 余計な事は不要、人は急所を切ったら死ぬのである。
「ゆけい。外したらわしがトドメをくれてやる」
「ん。了解」
 華陽が再びグラビティで作った縄を展開すると、フィアールカはトドメを刺すべき走り出した。
『おやすみなさい』
 敵が放とうとした掌底を巻き取るように、速度を逆用して急接近。
 鋭利な金剛の爪を一閃し、それでも避けようとしたところを膝に蹴りを入れて無理やりに叩き込んだ。
 そして顔面に裏拳を繰り出して打ち倒す。
「終ったか。被害者を治療に行くとして麻雀の方で戦ってみたいもんだな」
「いく? ならこっちもいくかな。しかし、武術を探してるっつうことは、武術自体が目的なのか、それとも何かのために武術を探してんのか、そのあたりは気になるトコかねぇ」
 スピノザがヒールを賭けに行こうとすると、流石は黒幕に付いて尋ねようかと同行する事にした。
 仲間達も周辺の修復に向かい、激闘は終わりを告げたのである。

作者:baron 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年9月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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