死者に安らかな眠りを

作者:櫻井悠貴

●誘い
 突然の発作だった。
 青年は恋人に会いに行くために、夜の峠道を運転していた。その途中で、急に胸の辺りに鋭い痛みを覚え、体が思うように動かなくなったのである。
 その青年は元々、心臓に持病を抱えていた。ここ最近は容体が安定していて、彼の恋人とも、病気がすっかり治った後のことを話し合い、幸せな未来を夢見ていた。
 その矢先の、唐突に訪れた終わりだった。
 青年はただ、もう一度だけでも彼女と会って話したいと強く願い――息を引き取る。
 車は制御を失ったまま、路肩のガードレールに激突し、黒煙を噴き上げた。
 その数分後。
 事故の現場に、死神エピリアが滑るようにして現れた。
 エピリアは微笑みを浮かべながら、砕けた車窓から手を差し入れ、青年の胸に歪な肉の塊を埋め込んだ。
 その途端、死んだはずの青年の体はおぞましい音を立てながら変形を始め、みるみるうちに屍隷兵へと変貌していく。
「あなたが今、一番会いたい人の場所に向かいなさい」
 エピリアは屍隷兵と化した青年へと囁きかける。
「会いたい人をバラバラにできたら、あなたと同じ屍隷兵に変えてあげましょう。そうすれば、あなたたちはずっと一緒にいることができるでしょう」
 青年が死に際に抱いていた想いを狂気へと変えるために。
 エピリアの囁きを聞いた青年――屍隷兵は、異常に発達した筋力で車の扉を破壊し、外に降り立った。
 その姿を悠然とした微笑みで見届けたエピリアは、自身に付き従っていた二体の深海魚型死神をその場に残すと、現れたときと同じように音もなく去ってゆく。
 屍隷兵は最愛の彼女が待つ町の方角を凝視して、歪んだ咆哮を上げた。そして深海魚型死神を引き連れて、疾走を開始したのだった。

●任務
「死神『エピリア』が、死んだ人間を屍隷兵に変えて事件を起こそうとしてるっす」
 黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)は痛ましげに目を伏せながら、集まったケルベロスたちへと口火を切った。
「屍隷兵にされたのは、峠道を運転中、発作を起こして亡くなった青年っす。屍隷兵は知性をほとんど失ってるっすけど、エピリアの言葉に騙されて、愛していた人をバラバラに引き裂こうと移動してるっす。……その人も屍隷兵に変えて、ずっと一緒にいるために」
 ダンテは表情を怒りに歪めながら続けた。
「彼の想いを、彼が一番大切にしていた人を殺させるために利用するなんて、そんなことは絶対に許すわけにはいかないっす。一度屍隷兵となった人を元に戻すことはできないっすけど、悲劇の連鎖を止めることはできるはずっす」
 そう言って、ダンテは敵の性質と周辺状況の説明に移る。
「敵は屍隷兵が一体と、エピリアが残した深海魚型死神が二体。いずれも戦闘能力はそれほど高くないっすから、皆さんなら油断しなければ問題ないはずっす。現場の峠道から町へと移動中の対象に接触、撃破するのが今回の任務になるっす。周辺は交通規制がされるっすから、民間人を巻き込む心配はないっす。皆さんは戦闘にだけ集中してくれて大丈夫っす」
 ダンテは面々を見渡すと、力強い口調で言った。
「皆さんの力で、彼をちゃんと眠らせてやってほしいっす。よろしくお願いするっす!」


参加者
十夜・泉(地球人のミュージックファイター・e00031)
アイラノレ・ビスッチカ(飛行船乗りの蒸気医師・e00770)
シェイ・ルゥ(虚空を彷徨う拳・e01447)
ソーヤ・ローナ(風惑・e03286)
サイガ・クロガネ(唯我裁断・e04394)
九条・櫻子(地球人の刀剣士・e05690)
姫宮・楓(異形抱えし裏表の少女・e14089)
軋峰・双吉(黒液双翼・e21069)

■リプレイ

●接触
 闇に包まれた峠道を、ライトの輝きが照らしていた。
 木々の香りの混じった夜の風に、八人のケルベロスたちが纏ったコートがはためいている。
「……相も変わらず。拳で決着をつけられる分だけ大分マシですけど、ね」
 闇の先をじっと見つめていたソーヤ・ローナ(風惑・e03286)が、苦々しげな口調で言った。
「亡くなった方の、一番大切な気持ちを利用するなんて。本当に、酷い」
 それに姫宮・楓(異形抱えし裏表の少女・e14089)も応じ、悲しげに表情を曇らせている。
 事故で亡くなった青年を利用する死神エピリアへの怒りは、八人のケルベロスたち全員が共有していた。
 シェイ・ルゥ(虚空を彷徨う拳・e01447)もまた、晴れない顔で肩を竦めてみせる。
「なんというか色々と運が悪かったようだね。……まぁ直接は関係ないといえばそうなんだけど、これも何かの縁だ。せめて、しっかりと終わらせてあげるさ」
 その隣で、十夜・泉(地球人のミュージックファイター・e00031)も同意し、
「世界で一番大好きな、お慕いする方。お相手の女性も、同じ想いを抱いていることでしょう。その上で、殺させようとしている。……許せません。想いが悲しみになる前に、せめて、せめて……終わらせます」
 泉はそう硬い声で言って、傍らの九条・櫻子(地球人の刀剣士・e05690)へと振り返る。
「こうして九条さんと作戦を共にするのも久しぶりですね。今回も、無事に帰れそうです」
 その言葉に櫻子も笑みを浮かべ、
「こちらこそ、ですわ。それに、人を愛する想いを利用するなんて、到底、許せることではありませんから」
 そう、強い決意を込めて言った。
 そうして待っていると、八人のケルベロスの先で、肉を叩き付けるような、重い足音が次第に近付いてくる。
 やがて見えてきた青年――屍隷兵の姿は、もはや人間としての原形を留めていない、醜い肉の塊とでも言うべき姿に変わり果てていた。
 そのおぞましい姿に、軋峰・双吉(黒液双翼・e21069)は不愉快そうに顔をしかめた。
「死人を玩ぶ死神はやっぱり気に入らねぇな。かけられる言葉はねぇし、つーか、そもそも言葉が届くようにも見えないが、……ならせめて、恋人を殺さないように速攻で葬ってやらァ」
 サイガ・クロガネ(唯我裁断・e04394)もまた、屍隷兵と化した青年を、冷静な瞳で見据えて、呟いた。
「わかってんだろ。夢の続きは眠りの中で見るもんだ」
 その独白めいた声音に、アイラノレ・ビスッチカ(飛行船乗りの蒸気医師・e00770)が続く。
「愛する人。病。愛の種類こそ違えど、昔を思い出しますね。大切な人に会いたい。その気持ちは痛いほどにわかる。……だからこそ、あなたを止めねばなりません」
 アイラノレはそう言って、決然とした眼差しで屍隷兵を睨みつける。
 猛烈な勢いで接近してくる屍隷兵と、その後ろに付き従う深海魚型死神へ、八人のケルベロスたちは同時に得物を取り出し、迎撃の構えを取った。

●戦闘
 最初に動いたのはアイラノレだった。
(まずは足を止める)
 そう心の中で呟き、疾走してくる屍隷兵へと、一瞬で接近した。
 スナイパーのポジションから放った跳び蹴りが、流星を思わせる煌めきを放ち、屍隷兵へと直撃する。狙い通り足止めのエフェクトが発生し、屍隷兵の動きが鈍った。
 先陣を切ったアイラノレの後ろからは、サイガが冷徹な足取りで屍隷兵へと歩み寄っていた。
「よお。お迎えの時間だぜ」
 瞬間、サイガの研ぎ澄まされた殺気が、本当に目に見えるかのような鮮烈さで広がった。
 理性など残っていないはずの屍隷兵が、僅かな間ではあるが足を止めた。
 その隙に、サイガは電光石火の早業で右脚を振り抜き、屍隷兵を大きく蹴り飛ばす。
 その背後ではソーヤが、戦闘に入る面々を冷静に見つめていた。
「幕引きしか出来ないのが私達です。人の死に余計な飾り付けをさせないように、ここで止めましょう」
 そう言って、前列に向けてヒールドローンを展開する。
 ソーヤの目的は回復ではなく、盾アップのエフェクトであった。前列にいる四名はヒールドローンの援護を受け、屍隷兵たちの攻撃に対する抵抗力を獲得する。
 序盤から攻勢をかけるケルベロスたちへ、屍隷兵が獣のような咆哮を上げて躍りかかった。
 狙われたのは、中衛に立つ楓である。屍隷兵の攻撃を受けて弾き飛ばされながら、楓は痛みよりも悲しさから声を震わせた。
「私の中の異形の魂……お願い……、死者の魂を……永遠に……眠らせて……」
 一言一言に、自分の内側に眠る存在へと語りかけるための、強い意志を込める。
 楓は一瞬、眠るように目を閉じ――そして、雰囲気が一変した。
 まるで今しがたここに来たばかりといったように、改めて屍隷兵を見据えた。
「なんとも惨い姿じゃの。……然り、これは終わらせなければなるまいて」
 楓の中に眠る別人格、『カエデ』が、すっかり変わった口調で、痛ましげに呟いた。
 ケルベロスたちのグラビティが夜の闇を切り裂き、屍隷兵たちへとダメージを蓄積させてゆく。
 そんな中、空中を泳ぐ深海魚型死神が急下降してきて、前衛に立つ櫻子へと強襲をかける。
 櫻子は飛び退きながら、日本刀を構え直し、隣に立つ泉へと目線を送った。
 泉もまた、その意図を察して一つ頷く。
「はあああッ!」
 裂帛の気合いと共に櫻子が踏み込み、先程自分に攻撃を加えてきた深海魚型死神へと深々とした太刀傷を刻む。
 そして、間髪入れず、拳を握りしめた泉が続いた。
 ぴったりと息の合った連携。泉が握りしめた拳は、櫻子の攻撃後の隙を埋めるようにして放たれ、深海魚型死神の胴体へとクリーンヒットする。
 二人のクラッシャーの連続攻撃は、その威力も凄まじいものだった。深海魚型死神は大きく吹き飛ばされ、ガードレールの向こうの斜面に転がり、動かなくなった。
 味方がやられたことに怒ったのか、もう片方の深海魚型死神が、牙を剥きながらケルベロスたちを襲う。
 その姿を冷静に見つめていたアイラノレは、敵の動きを見切って、腕を大きく振った。
 直後、アイラノレの腕や肩、はたまたコートの内側から、無数のメスが出現し、空中を泳ぐ深海魚型死神の全身に突き刺さった。
 突然の出来事に身をよじる深海魚型死神に、アイラノレは語りかける。
「痛いままでいるのは苦しいでしょう? 動かないでくださいね、せめて少しでも楽にしてあげますから」
 そのメスに塗られていた強力な麻酔薬が効果を発揮して、深海魚型死神へパラライズのエフェクトを生じさせた。
 そこへ駆けつけたシェイが、不敵な口調で言った。
「悪いけど、君たちに用はないんだ。さっさとご退場願おうか」
 そう言って振るわれた拳は、魂を喰らう降魔の一撃となり、深海魚型死神へと叩き込まれる。
 そこへ更に、
「速攻ってやつだ。悪く思うな」
 双吉がスナイパーのポジションから、狙い澄ました魔法の矢を撃ち放った。
 双吉によって精密にコントロールされた魔法の矢は、その全てが深海魚型死神へと命中し、大きな衝撃波を生じさせた。
 連続のグラビティの直撃に、深海魚型死神は為す術もなく吹き飛ばされ、遙か遠くの路上に湿った音を立てて落下すると、ピクリとも動かなくなった。
 それを見た屍隷兵が、怒りに満ちた咆哮を上げた。
 異形と化した腕に、無数の筋を走らせながら、前衛に立っていたシェイへと強烈な一撃を加える。
 攻撃を受けたシェイは大きく後退したが、その口元には哀れむような笑みが浮かんでいた。
「なかなか男前になったね。……なんて皮肉も、もうわからないだろうけどさ」
「シェイ、回復する!」
 ソーヤが声を投げ、即座にルナティックヒールを飛ばした。メディックのポジションから放たれた光球は、シェイの体を包んで傷を癒やし、同時に力を向上させた。シェイは感謝するように、ソーヤへ拳を握ってみせる。
 その隙を埋めるように、『カエデ』の人格となった楓が疾走し、屍隷兵へと躍りかかる。
 楓は螺旋を込めた掌を屍隷兵へと叩き付けようとするが、相手の意外な敏捷さを前に、その体を捕らえきることができない。
「ふん、素早いの。……或いは、その歪んだ怒りのせいか?」
 人間であるなら抱くはずのない、獣じみた憤怒を前に、楓は哀しげに表情を曇らせた。
 狂ったように動きを加速させる屍隷兵へ、狙いを定めたのは、スナイパーのポジションに立つ双吉である。
「死神お得意の妄念で動く兵隊。駒にゃ便利なのかもしれねぇが――」
 双吉は不敵に口元をつり上げ、精密に照準した竜砲弾を、屍隷兵の足へと直撃させた。
 的確な足へのダメージと共に、足止めのエフェクトが発生し、屍隷兵の動きが鈍くなる。
「考える頭が残ってねェから、こうやって簡単に足を止められんだよ」
 双吉の攻撃によって動きを鈍らせた屍隷兵へ、再び櫻子と泉が、息の合った連続攻撃を繰り出した。
 櫻子はその卓越した技量からなる達人の一撃を、泉は多量の出血を強いる斬撃を、絶妙のタイミングで連続して放ち、屍隷兵の体力を大幅に削り取る。
 そうして、とうとう屍隷兵から余裕が消え去ったのだろう。
 獣のような咆哮を強め、更に力を増した一撃を、ケルベロスたちへと叩き込もうとする。
 が、その攻撃は、常に敵の動向を警戒していたサイガによって、あっさりと受け止められる。
「アンタの『想い』はその程度?」
 その冷然とした口調に、屍隷兵は怯むように一瞬だけ動きを止める。
 味方を庇い傷を負ったサイガへは、シェイが手をかざし、大樹の加護による回復を行っている。
 優勢のケルベロスたちに対し、屍隷兵はもはや余力が尽きかけようとしていた。
 劣勢の状況を否定するように、濁りきった咆哮を上げる。
 それは聴き方によっては、何か人間の言葉を発しているようでもあった。
 その意思を汲むように、シェイが旋刃脚を放ちながら、呟く。
「君はもう彼女に会うことはできないよ。残念だけどね」
 それに続き、戦場を見守り続けていたソーヤも口を開く。
「私達は『地獄の番犬』ですから、この先に行かせる訳にはいかないんです」
 ソーヤはそう言うと、優勢を決定づけるために、前列へ向けてヒールドローンを放つ。
 ドローンが淡い緑色の輝きを降り注がせ、前列のケルベロスたちが負っていたダメージを一気に回復させる。
 この時点で、屍隷兵に勝ち目など残されていなかった。
 それでも、屍隷兵は、叫び声を上げ続け、動くことを止めない。
 楓が、そんな屍隷兵を哀しげに見つめ、手をかざした。
「哀れよの。……もう終いにしようぞ」
 そう言って放たれた螺旋状の氷結波は、ジャマーのポジションの特性と相まって、屍隷兵の全身を凍らせ、ダメージを増加させる効果を発揮した。
 それを合図に、ケルベロスたちが動く。
「本願投影。シアター、展開ッ!」
 双吉がそう叫ぶと、周囲に黒い霧が展開された。
 そこに何の幻影を見たのか、荒れ狂っていた屍隷兵が、一瞬だけ硬直した。双吉はその隙に、全力の攻撃を叩き込み、屍隷兵へと大きなダメージを与える。
 続いたのは、サイガだ。
「よぉくご覧」
 屍隷兵に肉薄したサイガが、零距離から青黒い炎を、屍隷兵の体内へと叩き込む。
 その炎が焼き焦がすのは、脳や中枢神経といったものだけではない。刃も拳も――そして、信じるものさえも、ことごとくが燃え溶け、原初の恐怖へと叩き落とされる。
 重ねて、朗々とした詩が降り注いだ。
「古の龍の眠りを解き、その力を解放する。桜龍よ、我と共に全てを殲滅せよ!」
 その声の主である櫻子が、痛ましげな表情と共に日本刀を振り下ろし、同時に召喚した古龍と共に屍隷兵の体を貫く。
 更に、櫻子と合図を交わしていた泉が、呟きと共に仕掛ける。
「制御できる自信はありませんが、ヒトツメ、行きますよ?」
 より速く、より重く、より正確に。極限まで無駄を省いた一撃が、屍隷兵の心臓部分を破壊する。
「ここで終幕です。アンコールはありません」
 泉の宣告の通り、屍隷兵が負ったダメージは、完全に致命傷となるものだった。
 屍隷兵は、最後に、手を伸ばそうとした。
 その姿を見たアイラノレは、僅かに表情を変えた。
(……先生)
 アイラノレは心の中で呟き、トリガーを引く。
 せめて最期は苦痛のないようにと、祈りを込めて放たれた銃弾は、過たず屍隷兵の頭部を貫いた。
 屍隷兵は手を伸ばしたまま前に倒れ、完全に動かなくなったのだった。

●弔い
「これも何かの縁だ。最後に青年を弔っておこうか」
 そうシェイが提案してから、十数分の時間が経過していた。
 泉が奏でるレクイエムが、峠道に柔らかく響き渡っていた。
 舞いと共に綴られる旋律は、まるで、彼が身に付けている空鈴が音を奏でているかのようでもあった。
「――ああ、片付いた」
 サイガが、花を手向ける仲間たちを一瞥しながら報告している。
 やがて通話を切ると、夜の闇に向けて呟いた。
「安らかであれと願うのは、眠らせた側のエゴか否か?」
 そう呟いてから、それこそ各々の選択だろうと、サイガは頭を振る。
 その隣では双吉が、我が身を省みるように言った。
「にしても、発作で事故死か……。持病はないがロクな生活してないし、俺も病院で体診てもらおうかねェ……」
 二人の視線の先では、青年の弔いを進めるケルベロスたちの姿がある。
「可哀そうな人、恋人を想う気持ちを……。無念でしょうが、ゆっくり休んでくださいね」
 優しく語りかける櫻子の横では、ソーヤが悔しげに顔を歪めていた。
「心臓は魂の在り処、といいます。それごと作り変えられてしまえば、私たちにはどうしようもありません。……屍隷兵と化しても、活動に脳を使っている以上、情報としての記憶や意識は残されているのでしょう。だからこそ、利用できる」
 自分で言っていて反吐が出ますね、とソーヤは忌々しげに言った。
 その隣では、楓が夜空を見上げながら、そこに青年の姿を見るように呟いた。
「地上に留まる死霊とならず……浮かばれることを、祈りたいです」
 アイラノレも頷く。
「せめて彼の想い人に、彼の気持ちを伝えましょう。彼はあなたを最後まで愛していました。利用されてしまったけど、その愛は本物です……と」
 ケルベロスたちの働きによって、不幸の連鎖は止められた。
 その事実こそが、亡くなった青年にとっての、確かな安らぎとなったことだろう。

作者:櫻井悠貴 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年9月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 1
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。